2023年1月31日 | カテゴリー:Column the Reflection 後藤秀樹,ライターコラム
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12月と1月は「年の変わり目」ではあるが、物心ついてからはこの時期は不思議な思いで過ごしている。
12月は歳の瀬。師走と呼び除夜の鐘を聞くと年越しとなり「冬」が終わる。新年が明けて年賀状には「初春」とあり、雪も寒さもこれからが本格的だというのに「春」になる。
実感としては、12月はクリスマスに除夜の鐘も「夜」のイメージ。それが元日の「初日の出」を境にして「朝から日中」のイメージに変わる。確かに、「冬至」を境として日没がだんだん遅くなり、1月も半ばになると昼の時間が長くなったことを実感するのではあるが。
少々理屈っぽい言い方になったが、今となっては日本人独特のけじめの在り方のように思え、感慨深く思うことにつながってくる。ヨーロッパに出かけたときに、どこの国でも12月から1月中旬までクリスマス・セールと銘打って安売りをやっていたことに驚いた。日本では歳末セールに新春初売り。やはり年の変わり目を大きく意識した考え方に立っていると思われる。どちらにしても昼の時間が長くなるのは私にとってはありがたいことだ。
◎画像1 Affinity (Vertigo)
最初は「泣く子も黙る」アフィニティの70年の唯一のアルバム『Affinity』。ご存じの通りVertigoを代表する名盤のひとつだ。キーフのデザインによるジャケットが印象的でCD時代になってからもレコードを手放せない作品だ。
今回はその中でA面の2曲目の「Night Flight」を選んだ。「夜間飛行」というテーマも魅力的な曲。
コンポーザーはギターのマイク・ジョップ(Mike Jopp)とリンダ・ホイル(Linda Hoyle)。オルガンはリントン・ネイフ(Lynton Naiff)。曲構成も見事だし、ネイフのオルガンやホイルのヴォーカルはもちろんのこと、個人的にはフォスターのベース・ラインが好きな1曲だ。
★音源資料A Affinity / Night Flight
彼らは1枚のアルバムと2枚のシングルを70年に発表している。最初のシングルは「I Wonder If I Care As Much/Three Sisters」とアルバムからのカット、2枚目のシングルは「Eli’s Comin’/United States Of Mind」とアルバム発表後の新曲だったが、そこではLinda Hoyle And Affinity名義になっていた。
元々は63年にサセックス大学で学んでいたリントン・ネイフ、ドラマーのグラント・サーペル(Grant Serpell)とダブル・ベースのニック・ニコルス(Nick Nichols)がその名もジャズ・トリオ(The Jazz Trio)としてジャズを演奏する形でスタートしている。1年後にサーペルが大学卒業と同時に脱退。別グループで活動を始めることになりモ・フォスター(Mo Foster)へと替わっている。
◎画像2 ICE ( Angel Air CD)
67年にサーペルがそれまで組んでいたバンドRussell’s Clumpに改めてネイフが加わりバンド名をアイス(Ice)と変え再び活動を共にする。Russell’s Clumpはギター中心のバンドだったが、アイスではネイフのオルガンを中心にコーラスを重視したポップス寄りの演奏をしていた。アイスは2枚のシングルをリリースしたが、翌68年、サーペルとネイフ以外のメンバーが脱退。
そこにギターのマイク・ジョップ(Mike Jopp)、旧友のフォスターが加わりアフィニティが誕生することになる。フォスターはジャズ・トリオでは途中でドラマーとして参加したのだが、ここでは何とベーシストに転向したことになる。ネイフはジャズ・トリオ時代のピアノからオルガンを中心にした演奏にシフトしている。
この時期の演奏は『Affinity/Live Instrumentals 1969』(2003年初出)というCDにまとめられて英Angel Air(SJPCD135)で聞くことが出来る。クールなインストで幾分ライト・ジャズ的な演奏を聞いているとその後のアフィニティを想像するのはまだ難しい。ちなみに、アフィニティというバンド名は、ジャズ・ピアノの大御所オスカー・ピーターソンの62年のアルバム名から拝借したものだ。
そして、もう一人の重要メンバーリンダ・ホイルはそこに何故参加していないのか・・・ということが気になる。彼女はアフィニティ結成の前年(67年)にはジャズ・トリオの最後のラインナップのメンバーとしてネイフとフォスターとともに活動するという経歴を持っていた。これも『Origins 1965-67』(2004年初出) (SJPCD167)のボーナス曲として1曲のみだがその当時の「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」を聞くことが出来る。
彼女はアフィニティがスタートした時期に新たなオーディションを受け、68年には既に参加していた。ところが「歌手結節」という声帯ポリープの治療のためライヴには出演できなかったということだ。
しかし、代役を立てるとかメンバーを交替するなどという結果にならず本当に良かったと思う。それはアフィニティのアルバムはもちろん、71年の彼女のソロ作『Pieces Of Me』の素晴らしさを知っているからだ。この思いには多くの方が同意してくれるだろう。
2002年に伊Akarmaから出た未発表曲集『Affinity/If You Live』には、シングル曲を含め68年から70年までのホイルも加わった演奏が収録されている。同年Angel Airからもアルバム『Affinity』の再発盤(SJPD111)として『If You Live』に収められていた全曲がボーナスとして加えられているので便利だ。
ここでもう1曲、ICE時代の演奏を聴いていただこう。68年の2枚目のシングルのB面曲「Whisper Her Name」だ。オルガンはもちろんネイフ。ドラムスはサーペル。ファルセットも使ったハーモニーがフェアリー・ダストを思わせて興味深い。(フェアリー・ダストについては当コラム第2回を参照)
★音源資料B Ice / Whisper Her Name
アイスに関しても2005年にAngel Airから『Ice Man』(SJPCD176)が出ている。2枚のシングルはもちろん、Russell’s Clumpの演奏3曲も含め全19曲収められていて興味深い。やはり、67~68年に活動したサイケポップ・バンドのひとつの典型としての姿が見えてくるようだ。
◎画像3 Affinity / Angel Airから発売されたCD群
それにしても2000年代に入ってからアフィニティ名義(関連)のCDが次々とリリースされて、正直に言うと面食らった。70年に唯一のアルバムを発表したアフィニティだが、ネイフとホイルが脱退した後も新たな女性ヴォーカリスト、ヴィヴィエンヌ・マッカルフィーとデイヴ・ワッツを加え72年まで活動を続けて音源を残していたことも一連のリリースの中で知ることが出来た。その後、マイク・ダボ(Mike D‘Abo)と活動を続けていたが、2006年にもホイルも加わってAffinityが再結成されていたこともブックレットのファミリー・ツリーで知った。そして、再集合のような形でゲストを加え一夜限りの公演を2011年9月10日に『The Baskervilles Reunion:2011』というCDも一連のリリースの中に加えられている。ただ、懐かしのオールデイズ的な選曲で評価は分かれると思われる。
ただ、アフィニティというバンドがかつていたことが歴史の中で、探求するに値するアーティストであることには間違いないだろう。
◎画像4 Spring(Neon)
続いては、やはりキーフのデザインに包まれたスプリング(Spring)の71年の唯一作を取り上げる。そのドラマチックな意匠の三つ折りのジャケットに、Neonレーベルから出されたこと、さらにはトリプル・メロトロンの使用ということもあってよく知られ、人気の高い作品のひとつだ。レコードでは未だに貴重盤だが、CDで手軽に聞けるような時代が来るとは、70年代には考えられないことだった。
私は大学時代に原盤を持っていた友人宅で初めて聞いた。そして1曲目の『Prisoner』を聞いて完全にノック・アウト。特に後半のメロトロン塗れの世界観は素晴らしいと思った。カセットに録音してもらい、家に帰ってから何度も聞いた。アルバムの随所にマーチング・ドラムが導入され、歌詞も暗い物語が語られているようで、ジャケットに描かれた傷つき斃れた兵士を悼むトータル・アルバムのように受けとめることが出来た。
オルガン・ロックを・・・と言いながら、ここではまず、そのメロトロン洪水の『Prisoner』を聞いていただこう。
★音源資料C Spring / The Prisoner(Eight By Ten)
その後ブート盤のLPを手に入れたのだが、トリプル・ジャケットの再現だったもののあまりにもジャケットの印刷が粗く、特に内側の意図的なのかメンバーの写真は不明瞭だし、文字は完全に読み取ることが出来ないほどだった。当時、英国の廃盤ものが一気にブート化された。金額は3000円弱だったと思う。以前にクレシダの時にも書いたのだが、体裁がどれも貧弱で気持ちが萎えてしまうものだった。「いつか、原盤を手に入れるぞ!」と言うにはすべて高額だったので、何とか国内盤としてリリースしてほしいものだとレコードしかない時代のこと、真剣にそう思った。原盤発売権を持っているレコード会社各社に要望の手紙を出したことも今となっては過去の思い出のひとつだ。
◎画像 5 Spring 『:The Untitled 2』
90年代に入ってCD化されたLaser’s Edge盤を入手したことでようやく公式の音源にたどり着くことが出来た。さらに3曲のボーナス・トラック入り。その3曲はセカンド・アルバムのための曲というが、聞き始めて最初の頃はメロトロンが入っていないことに物足りなさを感じた。
しかし、歳は取ってみるものだ。メロトロンは確かに興味深いが、バンドの原点は普通にオルガンが中心だったはずだ・・・とオルガンの魅力に気づいてからは、こうした作品(ボーナス・トラックとして収録された未発表音源)の中にミュージシャン本来の姿を感じ取ることが面白くなってきた。
そう思ってアルバム全体を聞き直すと、唯一のアルバムでもメロトロンだけではなくピアノもオルガンも随分と使われていることに気づき、スプリングというバンドへの思いがさらに強まった。
そんな思いの中でもう1曲、オルガン中心の『High Horses』を聞いていただきたい。
★音源資料D Spring / High Horses
2007年には先の3曲のボーナスを中心に未発表曲をもとに『:The Untitled 2』と題されたアルバムが何と日本のVinyl Japanから紙ジャケット仕様で発売された。さらに2015年には英Esotericからオリジナル・アルバム(リマスター)と『Demos and additional recordings 1971』と題されたもう1枚を加えた2枚組が出された。後者は2007年に出たCDと曲数が同じだが、音質的には格段の進歩が見られる。Marqueeからも21年に紙ジャケ化され、今のところこの形が現行盤となる。
メンバーは、ヴォーカルとメロトロンがパット・モラン(Pat Moran)、ギターとメロトロンがレイ・マルチネス、(Ray Martinez)ベースがアドリアン・モロニー(Adrian Moloney)、ドラムがピック・ウィザース(Pick Withers)、ピアノとオルガン、そしてメロトロンがキプス・ブラウン(Kips Brown)の5人編成。アルバムに記されたメロトロン担当が3人いるというこのクレジットにはさすがに驚かされた。プロデューサーは有名なガス・ダジョン(Gus Dudgeon)。私にとってはエルトン・ジョンの諸作でなじみの深い名前だった。
スプリング解散後に、各メンバーは音楽界で活躍を続けるが、一番おなじみなのはピック・ウィザースがダイアーストレイツ(Dire Straits)の最初の4枚のアルバムでドラムを担当していることかもしれない。さらには裏方としてパット・モランがRockfield Studioのエンジニアとなり、クィーンの『オペラ座の夜』、ラッシュの『フェアウェル・トゥ・キングス』といった作品を担当したこと・・・等々挙げることが出来る。
◎画像6 Fantasy 『Paint A Picture』
これもかつてレコード時代には入手困難で廃盤マニアを悩ませた作品だが、その後CDとして誰もが聞けるようになったファンタジー(Fantasy)の『Paint A Picture』。73年に大手のPolydorから期待を持って発売されたものだが、日本ではレコードが発売されたことはない。
評判が先行していたこともあり90年にSecond Battle盤で発売された時に私も飛びついたレコードだ。同年に日本でもEdisonからもCDになって登場した。
ジャケットは美しい絵画になっていて、細部に曲と関連付けられた意味を見つけることが出来そうで興味深い。全体にアコースティックな響きが強くちょっと意表をつかれた感じだが、アンサンブルもコーラスもうまく決めている。ただ、期待が大きかっただけに、アルバム全体がスローからミディアム・テンポのものが多くメリハリに欠けているようにも思えた。
しかし、改めてジャケットを眺めながら何度か聞いているうちに、「季節が巡る中で橋の下をそれまで凍っていた氷が溶けて流れ出す様子と、色彩を増す山々の様子の光景の中に描き出される心象風景」というバンド名そのもの(ファンタジー)をイメージし、よりゆったりとリラックスした繊細な音作りを大切にしようとする意図が見えてくるようになった。曲によってブラスやチェロを導入するセンスも見事。キーボード面では、オルガンがソロをとるというよりも全体の流れをロング・トーンで締めている印象が強い。ここでは、1曲目のタイトル曲「Paint A Picture」を聞いてみよう。キーボード・プレイヤーはデヴィッド・メトカルフェ(David Metcalfe)。
★音源資料E Fantasy / Paint A Picture
ファンタジーの唯一のアルバムのパーソネルは、ベースのデヴィッド・リード(David Read)、キーボードのデヴィッド・メトカルフェ、ヴォーカル、ギターのポール・ローレンス(Paul Lawrence)、ドラムスのジョン・ウェブスター(John Webster)、ギターのピーター・ジェームス(Peter James)の5人。
70年にChapel Farmという名前で活動をはじめたが、当初からいたのは二人のデヴィッド(つまりベースとキーボードの二人)。メンバー・チェンジの中で72年に名をFire Queenと変え、そして73年にファンタジーとなった。
◎画像7 Fantasy 『Beyond And Beyond』『Vivariatum』『Beyond And Plus Beyond..』
ファンタジーは、この後メンバーそのままに74年にセカンド・アルバムを制作するのだが、レコード発売は叶わなかった。しかし、その音源もCDとして92年にAudio Archiveから『Beyond And Beyond』(A)として発掘リリースされた。それを聞いた印象としては、最初のアルバムよりも曲の出来もよく思われ、リズムが締まっていてこちらの方がより気に入ってしまった。
その中から「Winter Rose」を聞いてみたい。
★音源資料F Fantasy / Winter Rose
94年には同じAudio Archiveから『Vivariatum』(B)という驚きのCDが出た。70年、つまりChapel Farm時代の音源が4曲、さらに76年のファンタジー(再編!)の演奏が6曲収録されている。
76年にメンバー変更はあるもののファンタジーとして音源を残していたことに驚いたが、さらに「Chapel Farmのギタリストがじつはジェフ・ホワイトストーン(Geoff Whitestone)であった」こと、そして「彼が76年の再編ファンタジーでも演奏していたと」いう事実は私にとっては驚愕の事実だった。
近年は長くプロコル・ハルムに在籍しているジェフだが、70年代中期のイフ(If)、クロウラー( Crawler)を皮切りに、錚々たるアーティストと共演し続け英国ロック・ファンにはお馴染みの名前だ。その彼が70年にChapel Farmのオリジナル・メンバーであったことになるわけだが、様々な資料に当たってみてもそのことに触れられているものがなかった。何より彼自身が自らのキャリアを語った資料も数多くあるのに、そこでも語られていないというのは不思議なことだ。しかし、彼の74年のソロ・アルバム『Whitehorn』には「Fire-Fire」という曲が収められているが、『Vivariatum』の1曲目がまさにその「Fire-Fire」の70年ヴァージョンなのでChapel Farm、ファンタジーとの関連を疑う余地はないと思えるのだが・・・。
一方、オリジナル・メンバーでChapel Farmからファンタジーまで一貫してキーボードを担当したデヴィッド・メトカルフェの名前は他の活動が見つからない。76年の再編にも加わっていない。派手さはないものの堅実な演奏を聞かせていただけにそれも不思議だ。
99年にはやはりAudio Archiveから『Beyond And Plus Beyond..』がリリースされているが、これは
基本的に(A)と(B)を1枚にまとめた形だが、公式盤のような美しいジャケットで是非手元に置いておきたい一枚となっている。
◎画像8 Deep Feeling
そして、オルガン・ロックを語るときに忘れられないのがディープ・フィーリング(Deep Feeling)。ポップ・ソロ・シンガーとして64年からシングルを出し続けるガイ・ダレル(Guy Darrell)。彼が、自身のバンドだったGuy Darrell Syndicateをディープ・フィーリングに名前を変えて録音したアルバム。それが70年という時代に合わせプログレを意識した作品となった。(詳細は当コラムの第3回に掲載)
メンバーはベースのデヴィッド・グリーン(David Green)、キーボードのデレク・エルソン(Derek Elson)、ドラムのグラハム・ジャーヴィス(Graham Jarvis)、ギターのマーティン・ジェンナー(Martin Jenner)、ヴォーカルのジョン・スワイル(John Swail)の5人。ジョン・スワイルはガイ・ダレルのことで彼が本名で参加したことになる。気合いの感じられるエピソードだ。
真っ黒な中にギロチンが描かれるという不気味な仕様から、先入観で聞かず嫌いもあるようだが、これはオルガン・プログレの一級品として私は推したい。
★音源資料G Deep Feeling / Guillotine
タイトルから想像できるようにフランス革命をテーマに取り上げた演劇的な雰囲気を持った曲。何かが起こりそうな静かなイントロから物語が語られ、コーラスに移るところも素晴らしいが、何といってもドラマチックな中間部が圧巻。切れ味の鋭いギターの導入と、静謐なオルガンとの対比が見事。
これからDeep Feelingを聞いてみようという方がいたら、英Grapefruit盤か日Marqueeの紙ジャケットがいいと思うが、どちらも後半にはボーナスとして大量のシングル曲が収録されている。ポップな味わいもまた魅力的なのでそちらも気に入っていただけると嬉しい。ただ、サイケ・ポップというよりは、純粋にヒット・パレード的なポップスも多いのだけれど。
逆に考えるとポップ・バンドが時代の空気に合わせて、本格的なロック・アルバムを創りあげたという点において、歴史的なサンプルとして受けとめられるのではないだろうか。
◎画像9 Gracious 『 ! 』 (Vertigo)
当初予定していなかったのだが、ここまでくるとあわせて収めておきたいと考えたのがグレイシャス(Gracious)だ。彼らもVertigoとPhilipsに2枚の名作を残した忘れられない伝説的なバンドのひとつ。
2枚目のオリジナル盤は当初Vertigoから発売の予定もあったが見送られたが、結果的に廉価盤シリーズの扱いという不幸な仕打ちもあったが、内容のほうは素晴らしい。
どちらも聞き所が多いが、ここではやはり70年のVertigoの至宝『Gracious!』から名曲『天国(Heaven)』を聞いていただこう。キーボードとしてはオルガンとピアノも全体的に使用されているのだが、それ以上にメロトロンの使用の方が印象的ととらえられている。あえて、オルガンの使用に焦点を当てて改めて聞いて欲しい。キーボードはマーティン・キットカット(Martin Kitcat!)。
★音源資料H Gracious / Heaven
グレイシャスの前身は67年の(Satan’s)Disciplesというバンドだったが、そのバンド名は「門弟、弟子、取り巻き」といった意味があるが、「キリスト教の信者、キリストの弟子の一人」というとらえ方もできるらしい。そう考えると、この「へヴン」の歌詞も彼らの信条なのだろうと思う。宗教性は日本人には理解しにくい部分があるものの、純粋にひとつの曲として楽しむことができるのは間違いない。
驚くことに、この「へヴン」は米Capitolからシングルとして70年にリリースされている。それも「Do You Have A Clean Mind(Heaven)」と歌詞コーラスの一節がそのままタイトルとなり、A/B面で2パートに分かれている。そのシングルは聞いたことがないのだが、どう編集したのかが気になる。
グレイシャスのメンバーは、マーティン・キットカットがキーボード各種とヴォーカル。ポール・(サンディ)・デイヴィス(Paul ‘Sandy’ Davis !)がヴォーカルと12弦ギター、そしてティンパニ。アラン・カウデロイ(Alan Cowderoy!)がギターとヴォーカル。ティム・ウィトレイ(Tim Wheatley!)がベースとヴォーカル。ロバート・リプソン(Robert Lipson!)がドラムス。ジャケットのクレジットにはすべてジャケットと同じ(!)マークがつけられていたことも印象的だった。
私がグレイシャスの名前を知ったのは高校に入った73年なのだが、71年に国内盤で出ていたアルバムは当然手に入らない。そんな時にNHKで渋谷陽一のラジオ『若いこだま』で「廃盤特集」があった。そこで米ロックのアイアン・バタフライやストベリー・アラームクロック等と並んで何とグレイシャスの「へヴン」がオンエアされた。「廃盤特集」といっても、渋谷さんのことだ。詳細を語ることなく淡々と曲名を伝えてすぐに曲が流れる。カセットの録音体制を構えていた私は一瞬遅れてボタンを押すことになり、頭の部分が欠けてしまった。でも、曲の素晴らしさは一度聞いただけで分かった。文字通り夢見心地で聞いた。
米Capitol盤LPでジャケットもオリジナルとは違う盤を通販のカタログで見つけ、安く手に入れることが出来たのは、それから何年も後のことだ。その後、90年に独RepertoireからCD化されるまでは、その米盤LPで何度も聞いた思い出の1枚でもある。93年には米Renaissanceから2ndの『This is…Gracious!!』がCD化、ボーナス・トラックとして70年にシングル発売されたアルバム未収録の「Once On A Windy Day」が収録されていた。その素晴らしさに感激し、私にとっては生涯の一曲になっている。
◎画像10 Gracious 『 !! 』(Philips LP) 『Buried Treasures』(Renaissance CD)
94年には同じ米Renaissanceから『Buried Treasures』というちょっと変則的なCDが登場した。(同レーベルから再発したTouch、Gracious、Stray Dogの3つのバンドの未発表曲を収録したコンピレーションになっている。)
そこには何と(!)グレイシャスは69年のセッション音源「Life Is On A Movie」「I Put A Spell On You」「Whenever Never Comes」「What A Lovely Rain」の4曲が収められている。
その音源を聞くとカバー曲の「I Put A Spell…」以外のオリジナル曲3曲がビートルズ直系のメロディー・ラインを持っていることが確認できた。未だメロトロンの使用はないものの、室内楽的なオーケストラの導入も聞き取れることで、やはりサイケ・ポップ的な側面が感じられる。ベーシストはオリジナル・メンバーのマーク・レアード(Mark Laird)だった。この時に、既にアルバムを意識した10曲がセッションとして録音を行っていたという。その中の2曲はPolydorからデヴュー・シングルとして発表されているし、ここで明らかになった4曲も含めて合計6曲が明らかになったことになるが、まだ残り4曲の音源が未だ眠っていることになる。
なお、グレイシャスは69年7月にクリムゾンと共演したことを契機にメロトロンを使うようになった。そして、67年にDisciblesとしてスタートしたグレイシャスは、初期はブルースの影響を受けジョン・メイオールのカバー等がレパートリーだったが、68年にThe Whoのサポートを契機としてポップを独自に解釈した曲作りをするようになったという。面白いエピソードだ。
現在ではプログレとして捉えられるグレイシャス。確かに発表されたアルバムには新たなロックの時代の息吹のような複雑な曲構成も感じられる。しかし、どこか人懐っこさを感じてしまうのは、メロディアスな曲作りを忘れていないということなのだろう。
しかし、71年にバンドは分裂状態になり結局解散。その後長い期間を経て95年にティムとロバートのリズム陣が新たな3名を加え、グレイシャスの名の下に翌年にアルバム『ECHO』を出している。
最後に、2004年の独RepertoireのREPUK盤の「!」では、69年のデヴュー・シングルだった「Beautiful」とそのB面「What A Lovely Rain」、そして70年のシングル「Once On A Windy Day」が収録されていてありがたい1枚になっていることも記しておこう。
★音源資料I Gracious / Once On A Windy Day
たまたま思いついた「英国オルガン・ロック」に関して5回も続けました。今回はメロトロンも含めたセレクトにしましたが、前回と今回はおなじみのバンドが並んだのではないでしょうか。
取り組んでいるうちに、やはり60年代から70年代初頭にかけては、それぞれのバンド内で時代の変化を見据えた音楽性を新たに見出したということが確認できたように思えます。そこにその時点で使用されたオルガンをはじめとするキーボードの使い方が多様で、追いかけていくと面白いものです。
今回で言えば、すべてプログレという範疇で捉えられているわけですが、アフィニティはジャズが根にあって、アルバム中にはジミ・ヘンやラヴィン・スプーンフル、ローラ・ニーロからエヴァリー・ブラザーズ、アネット・ピーコック等々のカバーがあり、アレンジ力を活かしてジャズ・ロック的演奏していると言えます。
スプリングやファンタジーは、牧歌的で、時に田園風景も感じられるフォーク・ロック的な曲も含まれていて、ひょっとしたら、そちらの方が専門なの(?)という感じもあります。
ディープ・フィーリングは、ポップ畑のプロ専門集団で全員の演奏技術は非常に高いものがあります。それまでのファンを驚かすほど完全にロックのヘヴィなサウンドに変貌してプログレ的ではありますが、やはりフォーク・ロック的な曲も演奏しています。ただ、全体に「静寂」「静謐」を見事に描き出す部分は独特の持ち味で、やはりプログレでしょうか。
そう考えていくと、世間で言われるプログレと一言で呼べるのは、グレイシャスだけかもしれません。
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ポップな音楽を自分たちでどう表現していくか。多くの新たなマイナー・レーベルが生まれたことは時代を象徴していますが、結局レーベル自体も親会社の営業に影響します。その結果、バンドの創造性以上に売れ行き重視で消えていったバンドも山ほどいるわけです。
20世紀後半のCDというフォーマットへの大きな転換は、長時間収録が可能であることがまず利点で、さらにリサーチャーが過去の未発表音源を数々発見し、ボーナス・トラックとして数多くの埋もれていた作品が陽の目を見るというありがたい状況となりました。
特にシングルのみ複数出したバンドの音源がまとめられて1枚のCDになることは驚きです。有名バンドでもシングルのみの曲、ヴァージョン違いのシングル曲が明らかになる度に発見が多く、自分の中で新たな楽しみとなっています。
何度もこのコラムでぼやいたことですが、今ではそのCDさえも配信系サブスクに駆逐されていきそうな不安があります。しかし、心あるCDメーカーは次々と魅力的な作品を出してくれています。
レコードからCD時代を過ごしてきた者のひとりとして、何かをまとめておけたらいいなという思いでこのコラムに取り組んでいます。今後もアーティストになるか、アルバム単位になるか、テーマを定めるか・・・はその時の思いつきですが、今は自分のライフワークのひとつとして取り組んでいます。
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オルガン・ロックに関してもまだまだ紹介したいものはたくさんあります。アメリカはもちろん、イタリア、ドイツ、オランダ・・・・等、浮かんでくるものは尽きることなくあるので、また機会を改めてということにしたいと考えています。
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Gus Dudgeonのプロデュースで録音され、NEONレーベルからリリースされたイギリスのプログレッシブ・フォーク・ロック・グループによる71年作。トリプル・メロトロン・グループとしての話題性が先行しがちなグループであり、事実楽曲にはメロトロンのストリングスやフルートと言った王道音色からオルガン、チェロなどまで幅広いメロトロン・サウンドが使用されています。しかしその音楽性の基本となっているのは牧歌的で親しみやすい素朴さを持った田園フォーク・ロックといった趣のサウンドであり、むしろその点にこそ彼らの個性を見出すべき叙情的な名盤と言えるでしょう。
オリジナル・マスター・テープからのデジタル・リマスター、DISC2にデモや71年のスタジオ録音曲を12曲収録した2枚組
トリプル・メロトロンとして知られるグループ。NEONレーベルに残る71年の唯一作の後、2ndアルバム用に録音されながらお蔵入りとなった幻のアルバム。英国叙情溢れるメロトロン、浮遊するリリカルなフルート、物悲しいオルガン、気品高く美しいメロディ。英国ポップとしても一級品と言えるほど、とにかく楽曲が素晴らしいです。70年代英国ロック・ファンは涙の好発掘音源。
品の良いシンフォニック・ロックを聴かせるイギリスのフォーク・ロック系プログレッシブ・ロックバンドの73年デビュー作。オルガンのシンフォニックでブリティッシュ的な旋律、牧歌的なアコースティック・ギターとボーカルの素朴な味わいなど、マイルドで緩やかなシンフォニック・ロック寄りのサウンドを聴かせており、メロトロンも効果的に組み込まれた作風です。楽曲によってはブラス・セクションによるドラマティックなアプローチなども見られるものの、一貫して感じられるのは適度にファンタジックでほのぼのとした英国叙情であり、穏やかな旋律を放つ名盤と言えるでしょう。
70年にVERTIGOレーベルよりリリースされた1stアルバム。1曲目「Introduction」は、ブリティッシュ・ロック然としたハードなリフから、一転して叙情的なハープシコードへとつながる展開が素晴らしい名曲。コーラス部分のマイナー調のメロディーも美しく、コーラスも絶品。続く2曲目「Heaven」も、バロック調の荘厳なメロトロンの響きと格調高いメロディーが絶妙に合わさった佳曲。その他の曲も、ジャズの要素を取り入れた白熱のインプロビゼーションやハープシコードとギターのみによるインストなど、オリジナルなサウンドを作り出そうとするバンドの意欲が真空パックされた魅力的な曲で溢れています。
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