アメリカン・ロック特集
【前章】芹沢聡一郎の「学べるアメリカン・ポピュラー音楽ダイジェスト講座」
- 皆さん、こんにちは、芹沢聡一郎です。今回は、いよいよ、ロック発祥の国アメリカを特集いたします!
- 芹沢さん!遂に、ロックンロールが生まれた自由と希望の国、アメリカが登場ですね!僕は、ブリティッシュ・ロックと同じくらい、アメリカのロックが大好きなんです!でもアメリカって、国がとっても大きいし、いたるところで様々な音楽が生まれていて、それぞれの繋がりやルーツや時代との関係性が見えにくい印象があります。でもこうしてロックン・ロール誕生までの流れを見てみると、アメリカの音楽にも非常に豊かな歴史があるんですねえ!』
- そうなんだ。そもそもアメリカにロックンロールという音楽が誕生して約60年。この歴史的大事件がなかったら、イギリスのBEATLESや、その後のプログレッシヴ・ロック、そしてパンク・ロックやオルタナティヴ・ロック等の現在のロック・ワールドは全て存在しなかった事になってしまうんだからね。
- ですよねえ!でも、そもそもロックンロールって何で登場して来たのかなあ?やっぱりロックンロールにも、ご先祖様のようなルーツがあるんですか?
- もちろん。広義の意味でのロックンロールは、黒人音楽のリズム&ブルース(R&B)と白人音楽のカントリーが融合した音楽として、今日では定義づけられているよ。R&Bは、元々、アメリカが植民地時代だった頃にアフリカから連れられてきた、黒人奴隷の人々の子孫が生んだ、エネルギッシュでリズムの躍動感に溢れた音楽が元としてあるだ。カントリー・ミュージックは、アメリカという国の建国を担った英国系移民による、トラディショナルな民謡等のDNAが含まれていると言えるだろうね。
- なるほど。やっぱりアメリカのロック誕生の裏側には、黒人と白人の音楽の、せめぎあうような混交の歴史があるんですね!
- そうだね。イングランドやアイルランドの移民達によるトラディショナル・フォーク、クラシックから派生したラグタイム、黒人の大道芸ミンストレル・ショー等の音楽なんかが、初期のアメリカ音楽を形作っているんだ。
- なるほど~。それで、こう言った音楽の中から、ゴスペル(黒人霊歌)、ジャズ、ブルース、フォーク、カントリー、リズム&ブルース(R&B)が、次第に生まれてくるんですね!
- そうだね。そして、1950年代、戦後の豊かさの反面、米ソ冷戦という鬱屈とした時代背景の中で、若者達は欲求不満のはけ口としてロックンロールを生んでいくんだ。その中ででてきたスターがエルヴィス・プレスリーだね。
- 腰をくねくね歌うスタイル、カッコ良いですよね~。でも、当時の大人達から、大批判を浴びたんですよね?
- うん。彼の踊る姿は、反抗の音楽としてのロックンロールの登場を象徴しているね。そしてこの音楽は、この後、未曾有の歴史的試練を経験したアメリカと共に、「何の為の反抗なのか?」「何ゆえの反抗なのか?」というロックそのものの存在意義を絶えず自らに問いかけながら、非常に知的な創造性を発揮して行くことになるんだ。
- そして、イギリスではいよいよビートルズが登場ですね!
- そうだね。エリヴィスのロックンロールは海を渡り、イギリスでビートルズを生み出したわけだ。彼らが全世界を席巻し、ブリティッシュ・インヴェイジョンとして、米国から出発したロックの波が英国で一気に増幅され、米国にかえってきたわけだ。
- なるほど。イギリスのバンドとも切磋琢磨しながら発展していったロック・ミュージック。ウッドストックという頂点へと一気に上り詰めるわけですね。ワクワクしてきました。
- それじゃ、イギリス勢とも呼応したアメリカン・ロックのメインストリームとも言える、フォーク~フォーク・ロック~サイケデリック~SSW時代と代表作を聴きながら進めていくよ!
【第一章】ブリティッシュ・インベンションへの回答、フォーク・ロックの逆襲へ。