2021年10月22日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ新鋭
スタッフ佐藤です。
世界中のインディーズ・ミュージシャン/バンドが集まるBANDCAMPのサイトで、「You Can’t Bury Canterbury: A Guide to the Neo-Canterbury Sound」という特集記事を発見しました。
「ネオ・カンタベリー」という括りで、往年のカンタベリー・ロックに影響を受けたヨーロッパ各国のアーティストの作品がピックアップされています。
カケレコで取り扱っている作品が多数ありましたので、カケレコ独自セレクトも合わせてご紹介してまいりたいと思います☆
まずは地球の裏側から届いた素晴らしいジャズ・ロック逸品をピックアップ。
カンタベリー・ロック彷彿の緻密かつ流麗な音使いと南米らしい芳醇なメロウネスが溶けあったジャズ・ロックは、今作でも絶品の一言。
アルゼンチンのみならず現南米で最も注目に値するジャズ・ロック・バンドによる待望4th!!
こちらも注目のカンタベリー系ジャズ・ロックで、我らが日本のグループによる21年作!
カンタベリー・ロックへの憧憬が滲む淡い叙情性と強靭なテクニックが同居するサウンドは、HF&NやHENRY COW、エストニアのPHLOXなどがお好きなら必聴モノ。
KING CRIMSONばりの重厚さと遊び心に富んだCARAVANみたいなユーモラスさまで、変幻自在な表現力が極めて魅力的です。
冒頭からシャープなリズムと芳醇なオルガンをバックにPye Hastings彷彿のソフトなヴォーカルが歌い出す、CARAVAN愛に満ちたアンサンブルが展開されて、この時点でもう堪りません。CARAVANへのひたむきな憧れを貫き通したサウンドが素晴らし過ぎる逸品!
CAMELやカンタベリー・ロックの豊かな情感はそのままにより緻密でテクニカルにしたような、ヴィンテージ色たっぷりのシンフォニック・ロックがもうとにかく素晴らしい。なんと東欧はベラルーシ出身のグループ!
まるで「Third」期ソフツを「太陽と戦慄」期クリムゾンばりのヘヴィネスで再解釈したみたい!?ダブル・サックス編成のベルギー新鋭による迫力満点のヘヴィ・ジャズ・ロック19年作!
まるでナショナルヘルスとクリムゾンを融合させたような、エレガントかつテンションみなぎるアヴァンプログレは本作でも健在!フランスらしい先の読めないアーティスティックな展開の連続に、とにかく聴いていてワクワクが止まりません。何というアイデアの豊富さ!
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ゴングばりの強度と緩急自在さで聴かせるジャズロックをベースに、カンタベリー風の芳醇なホーンセクションとスラップハッピーあたりが浮かぶ浮遊感あるメロディをミステリアスに歌う女性ヴォーカル。カリフォルニア発ジャズ・ロック・バンド、2ndもさすがの快作です!
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注目レーベルAltrOck発のサンフランシスコ出身アヴァン・ジャズ・ロック・バンドINNER EAR BRIGADEが5年ぶりにリリースした17年作2nd『DROMOLOGY』の魅力に迫ってまいりたいと思います。
まるでロバート・ワイアットがドラム&ヴォーカルで、ジョン・ウェットンがベースで、ゾンビーズのロッド・アージェントがキーボードで、イアン・マクドナルドがサックス&フルートって感じ!?
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管弦楽器も交えた70sイタリアン・ロックを受け継ぐテクニカルかつダイナミックな演奏と、女性voによるハートウォームな歌心がこれ以上なく理想的に共存してる…。5年ぶりに届いたこの6th、要注目です!
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英プログレ・バンドRENAISSANCEのヴォーカル、アニー・ハズラムから続く美声女性ヴォーカル・プログレを、世界中からピックアップしてまいりましょう。
ポップさと牧歌性と、スパイシー&ユーモラスな実験性が合わさったサウンド、ケヴィン・エアーズのファンもグッと来そう。シチリア島出身、カンタベリー・フィーリング溢れるジャズ・ロック新鋭、今作もカケレコメンドです!
この完成度は凄いです…!EGGやNATIONAL HEALTHなどのカンタベリー・ロックに影響を受けた英国新鋭による20年デビュー作。カンタベリー・ファンはズバリ必聴レベル。
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12月19日開催の「PROG FEST Online」で紹介された、カケレコの「推しの3枚」&スタッフ選出の2020年ベスト10がコチラ!!
CARAVAN直系のノスタルジックなサウンドが特徴の英国新鋭バンド。今作はそこへGONGや初期ソフツを思わせる怪しいサイケ感も加わっていて、ピリリとスパイスの効いた作風が素晴らしいですっ!
「ネオ・カンタベリー」、いずれ劣らぬハイレベルな作品ばかりでしたね~。
きっと今後もヨーロッパ全土からカンタベリーの血脈を受け継いだ素晴らしい作品が登場する事でしょう!
元の記事はコチラになります。
https://daily.bandcamp.com/lists/canterbury-prog-rock-list?utm_source=notification
2014年にデビューしたアルゼンチンはブエノス・アイレス出身のジャズ/フュージョン・ロック・グループで、ギター、ベース、キーボード、ドラムの4人組。2015年作の2nd。しっとりと艷やかでほのかな気品があって優美なエレピ、フィル・ミラーとキャメルのアンディ・ラティマーを足してニで割ったような、抑制されたトーンの精緻かつマイルドなギター、陰影を感じさせる流麗なベース、ふくよかなドラム。ギルガメッシュやナショナル・ヘルスあたりが好きなら間違いなく気にいるでしょう。これはカンタベリーのファンは必聴の名作です。
2014年デビュー、アルゼンチンはブエノスアイレス出身、ピアノを中心にエレピ、オルガン、シンセを操るキーボーディストとギタリストを擁する4人組ジャズ・ロック/フュージョン・グループによる17年作3rd。南米らしい甘美な陰影を持った美しいメロディを印象的に聴かせる、ロマンチックな表情のジャズ・ロックには前2作を経てさらに磨きがかかっている印象。ピアノやギターは流麗なタッチでソロを応酬させるジャズ本来のクールな佇まいを見せるのに対して、可憐な音色が耳を引くエレピが浮遊感あるファンタジックで柔らかな聴き心地をもたらしていて、少しフィル・ミラーを思わせるギターも相まってハットフィールドやナショナル・ヘルスなどのカンタベリー・ロック・バンドに通じる得も言われぬ芳醇さを生み出しているのが素晴らしい。お約束と言えるバンドネオンの哀愁の音色も必殺です。近年のジャズ・ロック・バンドには珍しく比較的ロック寄りのノリとダイナミズムを持つドラムも特筆で、アンサンブルを力強い躍動感で牽引します。ジャズとロックを最高のバランス感覚で組み合わせた、これぞジャズ・ロック!と呼びたい快作。これは激カケレコメンド!
2014年デビュー、アルゼンチンはブエノスアイレス出身の4人組ジャズ・ロック/フュージョン・グループによる21年作4thアルバム。カンタベリー・ロック彷彿の緻密かつ流麗な音使いと南米らしい芳醇なメロウネスが溶けあったジャズ・ロックは、今作でも絶品の一言。ジャジーなタッチにタンゴのリズミカルさを合わせたようなドラムと歌心を感じる豊かな鳴りのベースによるしなやかなリズムに乗って、リリカルで柔らかなタッチのピアノ、フィル・ミラー彷彿のシャープなトーンのギターが美しい音運びで躍動する、端正かつほのかにファンタジックなアンサンブルに終始耳を奪われます。南米らしいフレイヴァーもたっぷりで、バンドネオンを伴った哀愁のタンゴ・ジャズや、ピアノがリードするボサノヴァ調の軽やかでお洒落なナンバーなど、バンド本来のクールな佇まいはそのままにクルクルと豊かに表情を変化させていく演奏が見事です。一瞬も淀みなく紡がれていく美しく情感あふれるアンサンブルに心が躍る南米ジャズ・ロックの名品。カンタベリー・ロック・ファンには是非お勧めです。
2014年デビュー、アルゼンチンはブエノスアイレス出身の4人組ジャズ・ロック/フュージョン・グループ、23年作5thアルバム。カンタベリー・ロック憧憬のサウンドにタンゴやボサノヴァなどの南米らしいエッセンスを溶け込ませた芳醇なジャズ・ロック/フュージョン・スタイルは、本作でも一切の揺らぎなし。ボサノヴァ・テイストで洒脱に刻むリズム・セクションに乗って、歌うようにメロディを紡ぐギター、淡く滲むエレピや柔らかいタッチのシンセを駆使してファンタジックな彩りを加えるキーボード。美しいメロディを印象的に聴かせる展開でうっとりさせたかと思うと、気づけば白熱したテクニカルなアンサンブルで疾走していたりと、変幻自在な演奏はいつもながら見事の一言です。その切り替わりがとにかく自然体で、音使いのみならずそうした演奏の「しなやかさ」もカンタベリー・ロックに通じる魅力と言えるでしょう。文句のつけどころのない南米ジャズ・ロックの傑作。カケレコメンド!
00年結成、日本のプログレッシヴ・ロック/ジャズ・ロック・グループ。11年作。伸びやかなサックスを主軸に据えた、カンタベリー×エスニック調のジャズ・ロック。叙情的なテーマを奏でるサックス、手数多く的確なドラム、ブンブン唸るベース、時に流麗に時に叩きつけるように弾かれるキーボードによる、ロック・ダイナミズム溢れるジャズ・ロックは、エストニアのPHLOXや日本のMACHINE & THE SYNERGETIC NUTSが好きな方に大推薦です。雄大な響きを湛えたジャンベ、煌びやかな鈴やカリンバの音色、自然音のSEなど、要所に配されたオーガニックなアクセントが、「エスノ」を飛び越してもはや「スピリチュアル」な感動すら喚起させる、ジャズ・ロック作としては稀有な作品でもあります。スティック・ベースやバリトン・ギターなど、ユニークな楽器使いも特徴的。『Thembi』など、スピリチュアル期のPharoah Sandersがカンタベリーの連中と地下でジャズ・ロックをやったらこんな音?などと想像してしまいました。
00年結成、サックス奏者、スティックも操るベーシストを擁する、ギターレスの4人組ジャパニーズ・プログレ・バンド。10年ぶりのリリースとなる2021年作4th。スピーディで緊張感あるテーマからメロディアスで叙情的なフレーズまで演奏をリードするサックスを軸に、ジャジーでしなやかなリズム・セクション、気品と色彩を添えるリリカルなピアノらが一糸乱れずに紡ぐ芳醇なジャズ・ロックがただただ絶品!カンタベリー・ロックへの憧憬が滲む淡い叙情性と強靭なテクニックが同居するサウンドは、HATFIELD & THE NORTHやHENRY COW、そしてエストニアのPHLOXがお好きな方なら「これはっ!」と唸っちゃうはず。トランペットも交えて管楽器が重厚に畳みかけるパートではKING CRIMSONも頭をよぎりますが、次の瞬間には遊び心に富んだユーモラスな表情にクルっと切り替わりCARAVANみたいなポップさを見せる、その変幻自在さが極めて魅力的です。スティックの蠢くような音運びも独特の妖しさを醸し出していて聴き所。カンタベリー・タッチのジャズ・ロックとして間違いなくワールドクラスの一品!
2010年デビュー、ノルウェー出身の4人組新鋭プログレ/ジャズ・ロック・グループによる18年作4th。このサウンド、まるで初期CARAVANを浮遊感と透明感あるポスト・ロック的センスで料理したかのような素晴らしさ!手数多く硬質なジャズ志向のリズム隊に乗って、芳醇なオルガンが湧き出し、エレピが可憐にささやくと、クリーントーンとフィル・ミラーの影響を感じるファズを使い分けメロディアスにフレーズを紡ぎ出します。そしてジェントルに歌い上げる英国的な淡く翳のあるヴォーカルがまた素晴らしい。アンサンブルはタイトに引き締まっていますが、メロディには初期CARAVANが持っていた人懐っこいポップさがたっぷりで、ポスト・ロックを通過した知的でシャープな質感と70年代的な温かみが何の違和感もなく融合しているサウンドに驚かされます。またオルガンやエレピが時おり聴かせるコロコロした愛らしいプレイからは、フィンランドのWIGWAMも想起。カンタベリー・ロック影響下の新鋭は近年少なくありませんが、これほどカンタベリー・ロックを巧みに現代的なサウンドへと溶かし込んだアプローチはそうはないでしょう。CARAVANファンには是非聴いてみてほしい一枚!
マルチ奏者2人にドラマーという編成の、東欧はベラルーシ出身のシンフォ・グループ。13年のデビュー作以来、バスーン奏者/オーボエ奏者/打楽器奏者をゲストに迎え6年ぶりにリリースされた19年作2nd。冒頭14分超の大作で、70年代プログレ・ファンなら早くもハートを鷲掴みされること必至!ジャジーで技巧的なリズム・セクション、クラシカルで清らかに鳴るピアノ、叙情溢れるオルガン、メロトロン(シミュレーション?)、流麗で色彩感いっぱいに駆け巡るギターらがファンタジックかつメロディアスに紡ぐ美麗なアンサンブル。そして大半でリードを取る麗しさとオーボエのような温かみをあわせ持ったアルトフルートのプレイが絶品です。まるでCAMELの豊かな情感はそのままに、よりテクニカルにしたような大変に素晴らしい一曲。各楽器とも途方もなくテクニカルなのですが、モダンなヘヴィさに寄らず常にヴィンテージな味わいがたっぷりなのが堪りません。随所でアンサンブルを格調高く彩るオーボエやバスーンもいい仕事です。比較的「陰」のサウンドという印象が強い東欧プログレにおいて、ここまで「陽」のエッセンスに満ちたスタイルで聴かせるバンドはほとんどこれまでいなかったはず。スペインのKOTEBELあたりにも匹敵しうる超実力派と言っていいでしょう。70sプログレ、特にCAMELファンは必聴の逸品です!
カンタベリー・ミュージックのDNAを継いだフランスの新鋭グループ、2015年デビュー作。エレピやピアノによるミニマルなフレーズがタペストリーのように折り重なったまるでナショナル・ヘルスのようなパート、ビル・ブラッフォードばりに疾走するビートとテンションみなぎる凶暴なリズム・ギターによるクリムゾンを彷彿させるパート、そして、精緻に紡がれるピアノやエレピの中をヴァイオリンが艶やかに舞う室内楽的なパートなどがめくるめく10分を超えるオープニング・ナンバーから圧倒的な演奏力とイマジネーションに驚きます。メロトロンも全編で幽幻に鳴り響いていて特筆。ナショナル・ヘルスやクリムゾンからの影響をベースに、フランスらしいエレガントな感性でまとめあげたサウンドはかなりの完成度と言えます。WHITE WILLOWのギタリスト、YUGENのKey奏者の他、MINIMUM VITALやSTORMY SIXのメンバーも参加。70年代的なサウンド・プロダクションも印象的。ユーロ・アヴァン・プログレの傑作です。
2015年のデビュー作で、完成度の高いアヴァン・プログレを披露した注目のフランス新鋭による、待望の18年作2nd!まるでナショナル・ヘルスとキング・クリムゾンを融合させたような、エレガントかつテンションみなぎるアヴァン・プログレは本作でも健在!緩急自在のシャープで俊敏なリズム・セクションを土台に、ナショナル・ヘルスにおけるデイヴ・スチュワートを思わせるメロディアスで理知的な音運びのオルガンと大胆に主旋律を奏でるメロトロンを中心とするキーボード、そしてナイフのような鋭いトーンで空間を切り開くフリップ直系のギターが、緻密にフレーズを重ね合い織り上げていくサウンドは、芳醇にしてどこまでもスリリング。緊張感あるギターとオルガンの掛け合いの中でメロトロンが不穏に浮き沈みする切迫感あるパートから、ピアノとコルネットが妖しく舞い踊るパート、そしてメロトロンが堰を切ったように溢れ出すパートへ。次々と場面が移り変わっていく、フランスらしい先の読めないアーティスティックな展開の連続に、とにかく聴いていてワクワクが止まりません。何というアイデアの豊富さ。これはクリムゾン・ファン、カンタベリー・ロック・ファンなら是非ともお試しいただきたいサウンド。カケレコメンド!
Patrick Dufour、Fabrice Chouette、Frederic Chaputの実力派マルチ・プレイヤー3人により結成、2015年と18年に完成度の高いアヴァン・プログレ作品をリリースしたことでプログレ・ファン注目の存在となっているフランス新鋭、待望の22年作3rd!あのMINIMUM VITALのJean-Luc Payssan(g)がゲスト・プレイヤーとして、Thierry Payssanがマスターなど制作にかかわっています。1曲目から早くもかなり素晴らしいです。このサウンド、例えるなら1stアルバムをレコーディング中のPICCHIO DAL POZZOに、KING CRIMSONがメロトロンを持って飛び入り参加したかのよう!メロトロンがジョワァ〜とファンタジックに高鳴る中を、フルート(おそらくメロトロン)とオルガンがリリカルに絡む美し過ぎるアンサンブル。それが突如鋭角的なリズムとともに緊張感を増し、クリムゾンが顔を出します。その間もミステリアスに浮遊するシンセのプレイがいかにもなフレンチ・プレグレっぽさを付与。不意に演奏が静まると、今度はエレピが淡く揺らめきオルガンがメロディアスに歌うPDPそのものな神秘的音空間へ。オルガンのプレイにはDave Stewartが感じられ、従来作と同じくNATIONAL HEALTHからの影響も見え隠れします。終盤はタイトでリズミカルな躍動感と共にスリリングに疾走するキーボード群が痛快。ここはまさしくMINIMUM VITALでしょう。10分余りの中で目まぐるしく変化する変幻自在すぎるサウンドにノックアウト必至です。よりカンタベリーな芳醇さを増していく以降の曲も勿論絶品。メロディアスな中にもアヴァンギャルドなタッチをまぶした演奏は、HATFIELD & THE NORTHファンなら堪らないでしょう。4曲目でのJean-Luc Payssanによる多彩なギター&マンドリンのプレイも聴き所です。さすが、見事に期待を上回ってくる傑作!
試聴は下記ページで可能です!
https://alcofrisbass.bandcamp.com/album/le-mystere-du-gue-pucelle
カリフォルニアの新鋭ジャズ・ロック/プログレ・グループ、2012年作。オープニング・ナンバーの気持ちよさときたら!たゆたうようなカンタベリー・フレイヴァーな女性ヴォーカル、そのバックで軽快にリズムを刻むエレクトリック・ギター、ダンサンブルと言えるようなリズム隊。そんな気持ち良いサウンドにサックスが強烈なブローをお見舞いし、ゴングばりの変態ジャズ・ロックへと突入。カンタベリーやレコメンを軸に、ポスト・ロックの浮遊感やヌケの良さを加えたサウンドは実に痛快!小山田圭吾がギターで参加した最近のYMOに、70年代当時のハットフィールドのメンバーが飛び入り参加!と言えば、この素晴らしさが伝わるでしょうか。これは、名作!
世界のチェンバー/アヴァン系の先鋭的なバンドを多く輩出しているAltrOckレーベルよりデビューした、カリフォルニア出身アヴァン・ジャズ・ロック・バンドによる待望の17年作2nd。前作『RAINBRO』では女性ヴォーカルを擁しカンタベリー・エッセンスをたっぷり含んだポップな音作りがたまらない個性派ジャズ・ロックを聴かせた彼らですが、本作でもその唯一無二のサウンドは健在です。全盛期ゴングばりの強度と緩急自在のしなやかさで聴かせるジャズ・ロックをベースに、カンタベリー風の芳醇かつ流麗なホーン・セクションとスラップ・ハッピーあたりを彷彿させる浮遊感あるメロディをちょっぴりミステリアスに歌う女性ヴォーカル。演奏自体は角の立った硬派なジャズ・ロック・テイストがあるのですが、一貫して軽やかなポップ・エッセンスが効いており、無骨な印象は一切与えないハイセンスなサウンドメイクが相変わらず素晴らしすぎます。前作を気に入った方は勿論、カンタベリー・ロック・ファン、ゴング・ファン、スラップ・ハッピーのファンも「これはっ!」となること間違い無しの一枚に仕上がっています。
イタリアのシンフォニック・ロック・グループ、05年作2nd。くすんだトーンの幻想的なキーボード、柔らかでメロディアスなフルート、流れるように歌うソフトな女性ヴォーカルが印象的。全体的にミディアムテンポのしっとりとしたアンサンブルが持ち味。繊細かつ優美な好作品。
03年デビュー、Vo&Keyを務める女性ミュージシャンSimona Riganoを中心とするイタリアのプログレ・バンド。トリビュート・アルバムへの参加曲やEP収録曲をまとめた23年のコンピレーションで、Procol Harum/Steve Hackett/Pink Floyd/Yes/Marillion/Alunni del sole/Santana/Moody Bluesをプレイした8曲に、本作のため新たにGoblinのカバーを追加した全9曲。哀愁のシンセが印象的な叙情派プログレ・インストに生まれ変わった「Repent Walpurgis」、Simonaの美声を生かした優美なサウンドが本家に引けを取らない「Shadow of Hierophant」、独自の浮遊感あるアレンジと原曲通りのドラマティックさが堪能できる「The Great Escape」などが特に秀逸です。そして冒頭を飾る新録音の『Roller』収録曲「Goblin」は、原曲に忠実ながらもよりしなやかで流麗なタッチが魅力となっていて聴きモノ。完成度の高い名曲カバーの数々を楽しめる好編集盤!
イギリス南端に近いデヴォン州出身の新鋭プログレ・グループ、17年作に続く20年作4th。温かみあるオルガンやジェントルな男性Vo.をフィーチャーした、CARAVAN彷彿のサウンドは本作でも健在。なおかつ今回はGONGや初期ソフツを思わせる怪しげなサイケ感、そしてモダンなスタイリッシュさもちょっぴり増した印象。クリーントーンのギターやフォーキーなアコギ、メロトロン等の楽器が朗らかに英国田園風景を描き出す牧歌的なナンバーもあれば、シタールやスペーシーなムーグが鳴り響き、GONGばりのエキセントリックなメロディが炸裂するスリリングなナンバーも。ノスタルジックな中にもピリリとスパイスの効いた作風は、ブリティッシュ・ロックやカンタベリー・ファンなら堪らないはず!CARAVANやGONGや初期ソフツやケヴィン・エアーズのファンには是非オススメの名作です!
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