2024年9月27日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
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スタッフ佐藤です。
これまでカケレコでは、人気シンフォ・グループMILLENIUMのリーダーが主宰するLYNXレーベルがリリースする作品を中心に、ポーランドの新鋭グループを数多くご紹介してまいりました。
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ポーランドのみならず、現代のプログレ・シーン屈指と言えるグループMILLENIUM。デビュー20周年を迎え、活動を包括するボックスもリリースした彼らの、これまでの作品をピックアップしながら、その軌跡を追っていきます!
今回注目するのは、同じポーランドでも70年代に活躍したアーティストたち。
同国ロックの代表的なアーティストから、知られざる実力派アーティストまでピックアップいたします!
まずは「ポーランド・ロックの父」と讃えられ、母国の各所に銅像が設置されているほどの重要ミュージシャンCzesław Niemenをご紹介。持ち前の声量豊かで熱いヴォーカルを武器に、キーボード演奏や作曲もこなすソウルフルなヴォーカリストとして60年代前半にデビューを果たします。60年代後半は英米ロックに呼応するようにサイケデリック・ミュージックにも接近しますが、70年代以降はプログレッシヴ・ロック路線を展開。骨太なジャズ・ロック作品から全演奏を自身で行なったエレクトロニックで前衛的な作品まで、傑作の数々を発表しました。64歳で病没するまで第一線で活躍を続けた、ポーランド・ロックの歴史の体現者と言える偉大なアーティストです。
プログレッシヴ・ロッカーとして生まれ変わったニーメンによる70年リリースの傑作。
荘厳なハモンド、熱情滾るヴォーカル、混声合唱によるコーラス、哀愁を帯びたメロディアスなギターをフィーチャーした16分を超える壮大な1曲目から、説得力溢れる作品世界に惹きこまれます。
その他にも渾身の力を込めたスケールの大きな楽曲が次々と展開される圧巻の一枚です。
『ENIGMATIC』にやられた方は、こちらも是非。
冒頭20分の大作からNiemenの熱情滾るヴォーカルと、それに応じる凄まじくスリリングでテンションの高いジャズ・ロック・アンサンブルが炸裂する興奮必至!
入魂の歌唱をエネルギッシュな演奏陣が盛り上げる劇的ナンバーが目白押しの名作です。
ジャズ・ロック・アルバムとなった本作では、ヤン・ハマーやリック・レアードらマハヴィシュヌ・オーケストラのメンバー、さらにスティーヴ・カーンやジョン・アバークロンビーなど百戦錬磨の名手たちが参加!
ニーメンの熱いヴォーカルとヤン・ハマー得意のピッチベンドが炸裂するかと思いきや、何とヤン・ハマーにはドラムを叩かせて、ニーメンがオルガン/シンセ/エレピ/メロトロンを弾きまくっています。
それにしてもこの熱気とテンション、凄まじいです…。
プログレ期ニーメン作品の中でもとりわけ人気の高い74年作。
変拍子の中を高速で疾走するスリリングなパート、イタリアのアレアを彷彿させる民族色豊かなパート、メロトロンが鳴り響く荘厳なパートなどで一気に畳みかける、爆発的にテンション溢れるプログレッシヴ・ジャズ・ロック!
もちろんニーメンも熱唱!
こちらはニーメンが全ての自身のヴォーカル&演奏で作り上げた76年作。
シンセやメロトロンをメインに駆使し、スペーシーかつトライバルかつ前衛的かつどこか物悲しさも漂わせる独特の音世界を創り上げていて、この世界観は孤高と言う他ありません。
傑作にして怪作!
こちらもモーグ・シンセを中心とするキーボード群とヴォーカルのみによって単独で作り上げた80年の力作。
熱く叙情的ヴォーカルの素晴らしさは言わずもがなですが、演奏は76年作ほどぶっ飛んではおらず、高い技量が伺えるプログレ然としたプレイは、さながら北欧プログレのようにリリカルで気品高くてお見事。
本作も文句なしに名盤です。
上で取り上げたNIEMENのバックバンドとして活動、70年代中期に独立を果たし、ポーランド・プログレの代表的グループとなったのがSBB。バンド名SBBは、出身地の上シレジア地方にちなんだSIRESIAN BLUES BANDの頭文字を取ったもの。なお後に「Szukaj, Burz, Buduj(=Search, Break & Build)」と由来を変更しています。聴く者を唖然とさせてしまう程の圧倒的なテクニックを駆使し、ジャズ・ロック、ブルース・ロック、クラシック、R&Bなどの要素を巧みに融合させた独自のプログレを練り上げた孤高の名バンドです。
1stにしてライヴ・アルバムという大胆不敵な一枚。
サイケ、ジャズ、R&B、クラシックの要素を混合した技巧的なインストゥルメンタルを、ロマンティックで叙情的なピアノ弾き語りでつなぎ合わせたスタイルが個性的です。
ポーランド最高のプログレ・バンドによる、爆発的なエネルギーを封じ込めた痛快デビュー作!
デビュー・アルバムの作風を引き継いだ、重厚でダークでスリリングなジャズ・ロックが収められた2nd。
EL&Pやキング・クリムゾンら英国プログレ、そしてマハヴィシュヌ・オーケストラあたりに通じる、疾走感と重量感を両立した技巧的なアンサンブルが壮絶です。
そんな嵐のようなヘヴィ・プログレを通り過ぎたかと思ったら、凛としたクラシカルなピアノが独奏を始めたりと、意表を突く展開も楽しめます。
3rdアルバム。
ジャンルを自在に横断しながらテクニカルで重厚なアンサンブルを叩きつけた1st&2ndのサウンドに対して、ヴォーカル・パートの比重が高まり、より洗練を感じさせる内容となっています。
叙情的な演奏に乗って切々と歌われるポーランド語のヴォーカルが胸に迫る一方、技巧全開のスリリングなインストゥルメンタル・パートはより切れ味鋭く炸裂していて、その圧倒的なダイナミズムにノックアウトされます。
以降のSBBサウンドを方向づけた作品と言えるでしょう。
デビュー以来練り上げてきたSBBサウンドの集大成と言うべき大傑作。
エキゾチズムを漂わせゆったりと展開する序盤、火が付いたようにスリリングに走り出す超絶技巧インストゥルメンタル・パート、キーボード群が雄大に交差する美しくシンフォニックなパート、そしてラストのR&Bフレイヴァー濃厚な痺れるヴォーカル・パート。
見事な起承転結で構成された、完成度の高い一枚です。
彼らの代表作として人気が高い作品。
本作は英プログレ・ファン、特にEL&P好きの方には是非聴いてみて欲しい。
ずばりEL&Pの名作群にも比肩する技巧とテンションに、東欧らしい陰影やR&B/ソウル・フレイヴァーも加えた79年の名盤!
66年にデビューし、「ポーランドのビートルズ」とも呼ばれた名グループ。
この71年作でもビートリッシュさを残したサイケ&アート・ロックを聴かせていますよ。
OPナンバーなんて「Come Together」をサイケ・ハードに仕立てて、ポーランドならではの哀愁を注いだ感じ!
65年に結成したポーランド・ロック黎明期の重要グループがSKALDOWIE。
この72年作、さながらコロシアムとオランダのトレースの間に位置づけられるような驚くべきサウンドを繰り広げています。
初期SSBにも負けないサイケ、R&B~ジャズ、クラシックなど多彩な素材を練り上げた、ダイナミックなプログレを聴かせる名作です。
レイト60s~70sポーランド・ロックを代表するバンドの一つ。
本作は69-71年の音源を収録した発掘音源集です。
ヤードバーズが好きで、かつアフィニティも好き、という方ならこのサウンドは堪らないと思いますよ~。
この71年作のクオリティもかなり凄いです。
アート・ロック色を残すくぐもったオルガン、熱情を秘めたヴォーカルに壮大なオーケストラやコーラスをちりばめ、伊ヘヴィ・シンフォばりのダイナミックなプログレを完成させた充実作!
ポーランド随一のブルース・ハード・バンドが放った68年1st。
ジャジーで粗野に叩きつけるリズム隊、重さとキレを併せ持ったブルース・ギター、哀愁を帯びたフルート、ポーランド語で力強く歌い上げる女性ヴォーカル!
一曲目から持っていかれます!
1stの延長線上のサウンドを繰り広げる2nd。
ジャズ要素が少し強まっている印象で、サックスやドラムらのタイトなプレイがカッコいい~。
もちろん紅一点ヴォーカリストMIRA KUBASINSKAの歌唱も絶品です。
ジャズ・ロック好きも是非。
ずいぶんと垢ぬけた印象の3rd。
重みあるリズム隊、ソリッドに唸りを上げるブルース・ギター、渋~いブルースハープ。
ポーランドにここまで本場に迫ったブルース・ロックを聴かせるバンドがいたとは驚き。
本格的なブルージーさを漂わせるポーランド語ヴォーカルにも注目です。
62年結成の老舗バンドが挑んだロック・オペラ作。
オペラチックな多声男性ヴォーカルが歌い上げる荘厳なパートと、テクニカルなハード・ロック/ブラス・ロックにプラントばりのシャウトを決めるヴォーカルが乗るパート。
まさしくロックにオペラをぶち込んじゃったような凄い作品!
23年作をリリースするなど現在も活動を続けるポーランドのプログレ・バンドによる75年作1st。
「OMEGA+I POOH」と言えちゃいそうな名曲の1曲目、そしてエマーソンばりに鮮烈なモーグ・シンセが活躍する組曲形式の大作が聴き所!
80年作ですが、最後にこちらの作品もピックアップ。
「ポーランドのイエス」と言ったらこのグループに決まりかな?
『究極』あたりの音楽性を感じさせる、ハードさと叙情性が絶妙にバランスしたポーランド・シンフォの好盤!
いかがだったでしょうか。
気になる作品を見つけていただけましたら幸いです!
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ポーランドのシンフォ・プログレ・グループ、80年作の1st。物悲しくリリカルなメロディ、ハイ・トーンの憂いを帯びたヴォーカルがとにかく素晴らしい。YESのようにテクニカルに疾走するパートや、GENESISのように美しいアコギ・アルペジオを中心とするファンタスティックなパートなど、秀逸なメロディをさらに引き立てるアンサンブルもハイレベル&ハイセンス。ほの暗く冷たいトーンのキーボードもいかにも東欧的で良い感じ。名作。
ポーランド出身のKey兼Vo。74年作の10thアルバム。前作までバックを務めたSBBに代わり、Jan Hammer、Rick LairdといったMAHAVISHNUのメンバー、名エレクトリック・ヴァイオリン奏者Michal Urbaniakなどが参加。バックの精緻なアンサンブルと、NIEMENの熱いヴォーカル&荘厳なオルガン/メロトロンが絡んだサウンドは、これぞ「NIEMEN」印のオリジナリティに溢れています。最高傑作。
65年に結成され、67年にデビューしたポーランド屈指のプログレ・バンド。72年リリースの7thアルバム。R&B〜ジャズの素養を感じさせるシャープに引き締まった艶やかなリズム隊と芳醇なギター、R&B〜サイケの残り香とクラシックの気品とがブレンドしたハモンド・オルガン、そして、ポーランド語の憂いたっぷりのヴォーカルと美しく叙情的なメロディ。ここぞでは、ヴァイオリンとハモンドがスリリングなバトルを聴かせたり、後半では、クラシックをモチーフにしたオランダのトレースにも勝るとも劣らない輝きに満ちたキーボード・プログレを聴かせたり、アレンジも特筆です。オープニングの17分を超える組曲は東欧プログレ屈指と言える名曲でしょう。東欧アート・ロック/シンフォの名作です。
ポーランドを代表するミュージシャン。69年作。荘厳なハモンド、熱情的なヴォーカル、混声合唱によるコーラス、哀愁溢れるメロディアスなギターをフィーチャーした16分を超える壮大な1曲目をはじめ、渾身の力を込めたスケールの大きな楽曲が並ぶ名作。
「ポーランド・ロックの父」と讃えられるヴォーカリスト/キーボーディストによる71年作。プログレッシヴ・ロック路線へと舵を切った傑作『ENIGMATIC』に続く作品で、冒頭20分の大作からNiemenの熱情滾るヴォーカルと、それに応じる凄まじくスリリングでテンションの高いジャズ・ロック・アンサンブルが炸裂する興奮必至のナンバー。特にJacek Mikulaの迫力あるハモンドのプレイは圧巻です。以降もNiemenによる入魂の歌唱をエネルギッシュな演奏陣が盛り上げるドラマチックなナンバーが目白押し。『ENIGMATIC』にも劣らぬNiemenのキャリア屈指の名盤です。
66年にデビューして以来、ポーランド屈指の人気を誇ったビート・バンド。3枚のビート名作を残した後にリード・ギタリストが脱退。トリオ編成となってからの2作目で、通算5作目となる71年作が本作。キャチーなビートを期待したデビューからのファンからはソッポを向かれたものの、現在ではポーランド・ロックの名作として高く評価されているようですが、なるほど納得。オープニングからファズ・ギターが低く立ちこめて、混沌とした空気が渦巻きます。どこかモノトーンのクリーンなカッティング&メランコリックなアルペジオによるリズム・ギターを軸に、ファズ・ギターのリードが時にスリリングに切り込み、時にサイケデリックな音像を描きます。ここぞでは、Vo&Gのメンバーにはヴァイオリンとピアノのクレジットもあって、ここぞでヴァイオリンが狂おしくむせいで痺れます。ビートルズの「Come Together」をサイケ・ハードに仕立てて、ポーランドならではの哀愁を注いだ感じ!?聴き所の多い好作品です。
「ポーランド・ロックの父」として讃えられるシンガー/キーボーディストによる76年作。75年リリースの前作『NIEMEN AEROLIT』に参加したドラマーで、同年に死去したPiotr Dziemskiに捧げられた作品となっています。本作は「文明の発展やそれに伴う宇宙開発の行きつく先に待つ罠」をテーマにしたコンセプト・アルバムで、Niemenがすべての演奏を自身で務めているのが特徴。シンセやメロトロンをメインに駆使して、スペーシーかつトライバルかつ前衛的かつどこか物悲しさも漂わせる独特の音世界を創り上げていて、これは圧巻です。多くがインスト曲ですが、ヴォーカルをフィーチャーしたナンバーでは、R&B調から語り調まで一人コーラスを伴ったさすがの歌唱も聴かせてくれます。同時期のクラウス・シュルツェの作風にも近いと言える一方、このゾクゾクするようなメロトロンの鳴らし方は孤高と言う他ありません。ずばり傑作にして怪作!
5054197737336(POLSKE NAGRANIA)
帯付き仕様、SACD/CDハイブリッド盤、ボーナス・トラック1曲
レーベル管理上、帯に若干の折れやスレがある場合がございます。ご了承ください。
ポーランドを代表するミュージシャン。74年作。変拍子の中を高速で疾走するスリリングなパート、AREAを彷彿とさせる民族色豊かなパート、メロトロンが鳴り響く荘厳なパートなどで一気に畳みかける、爆発的にテンション溢れるプログレッシヴ/ジャズ・ロック。スリリングなジャズ・ロック・パートでは、鋭利なフレーズが飛び交い、聴き手を終始圧倒します。東欧プログレを代表する傑作。
62年に結成、66年にデビューしたポーランドのグループによる72年作5th。アルバム名の通り全22曲から構成されるロック・オペラ作品。管弦がダイナミックに交差する劇的なオープニングに始まって、オペラチックな多声男性ヴォーカルが荘厳に歌い上げるナンバーに圧倒されたと思ったら、オルガンが唸るグルーヴィーな演奏とプラントばりのシャウトを決めるヴォーカルがカッコいいハード・ロック/ブラス・ロックが繰り広げられます。テクニカルでテンション高めの演奏とポーランド語のエキゾチックな響きもあって、とにかく全編にわたって「濃い」サウンドです。「アルバムを通じて一つのストーリーを表現した音楽劇」というスタイルとしてのロック・オペラというより、まさにロックにオペラをぶち込んでしまったような凄い作品!
74年結成のポーランド出身プログレ・バンドが、翌75年にリリースしたデビュー作。一曲目からかなり素晴らしくて、ストリングスとブルージーで叙情的なギターが絡み合うアンサンブルをバックに、切々と歌い上げるポーランド語ヴォーカル。もうとにかく哀愁がいっぱいです。このサウンド、「OMEGA+I POOH」と言うとほめ過ぎでしょうか。それ以降も、エッジの効いたギターとオルガンによるブルース・ロック的なサウンドが聴きモノで、哀愁100%のヴォーカルとアグレッシヴで重厚な演奏陣との組み合わせでダイナミックに迫りくるスタイルがカッコいいです。組曲形式の19分に及ぶ大作では、エマーソンばりに鮮烈なモーグ・シンセが活躍しており、これがまた素晴らしい。2023年にアルバムをリリースするなど現在も活動を続ける彼らの、記念すべき1stにして傑作!
ポーランド随一のブルース・ハード・グループ、68年デビュー作。粗野に叩きつけるパワフルなリズム隊、重さとキレを併せ持ったブルース・ギター、哀愁を帯びたフルート、そしてポーランド語で力強く歌い上げる女性ヴォーカル!辺境ロック的な荒々しさやイナタさも滲ませる一曲目から持っていかれます。その後のナンバーでは渋いブルースハープやサックスもフィーチャーしてブルージーに決めていてこれがなかなかカッコいい。全体に洗練とは対極のバタバタとした演奏ですが、英米ブルース・ロック顔負けの演奏を聴かせるようになる後の彼らにはない辺境バンドらしい味わいが堪らない好盤!
紅一点ヴォーカリストMIRA KUBASINSKA擁するポーランドの名ブルース・ハード・バンド、70年リリースの2nd。ジャズの素養を持ちならがもバタバタと粗野に畳みかけるのが好きなリズム隊、ブルースを基調にジャズ・エッセンスも豊かに漂わせるプレイが渋いギターやサックス、ポーランド語による力強くも憂いを帯びた歌唱を聴かせる男女ヴォーカル。1stを受け継ぐ硬派なブルース・ロックが魅力です。出番は多くないものの、エモーショナルに吹き鳴らすフルートもいい味を出しています。ハード・ロック好きやジャズ・ロック好きの方にもチェックして欲しい一枚!
68年に結成されたポーランドの名ブルース・ハード・グループ、メンバーチェンジを経て制作された71年の3rdアルバム。ズシリと重みのあるリズム・セクション、ソリッドに唸りを上げるブルース・ギター、渋〜いブルースハープ。英米ブルース・ロックと比べても全く遜色ない本格派いぶし銀ブルース・ロックを楽しませてくれます。ヴォーカルはポーランド語ですが、不思議なほど違和感なくブルース・ロック然とした歌唱に聴こえるのが凄い。東欧にここまで本場に迫ったブルース・ロックを聴かせるバンドがいたとは驚き。これはとにかくカッコいいです。
「ポーランド・ロックの父」と讃えられる名ヴォーカリスト/キーボーディスト、80年作。76年の傑作『KATHARSIS』と同様、モーグ・シンセを中心とするキーボード群とヴォーカルのみによって、Niemenが単独で作り上げた力作です。インストゥルメンタル主体の前衛的なサウンドが異色だった『KATHARSIS』に対して、本作は持ち味の熱く叙情的なポーランド語ヴォーカルがたっぷりとフィーチャーされた、終始にわたってドラマティックな音世界を堪能させてくれます。そんなヴォーカルの素晴らしさはもはや言うに及ばずですが、各種キーボードを重ね合わせて織り上げられたファンタジックな演奏のクオリティも特筆。ジャジー且つポップに旋律を紡ぐエレピ、遊び心いっぱいに浮遊するモーグを中心に、北欧プログレのようなリリカルさと気品を帯びた演奏に耳を奪われます。情熱的なヴォーカルと美しく繊細なキーボード・サウンドが見事に調和した名品です。
ポーランド出身、重鎮NIEMENのバック・バンドとして活動後に独立、74年のライヴ録音を1stアルバムとしてリリースしたのが本作です。サイケ、ジャズ、R&B、クラシックなどの要素を混合した技巧的なインストゥルメンタルを、ロマンティックで叙情的なピアノ弾き語りでつなぎ合わせたようなスタイルが個性的。技巧に任せた破天荒な展開は随所に見られますが、ごった煮的なアクの強さはなく、全体を通して演奏には劇的な流れが浮かび上がります。手数多く硬質なプログレ然としたリズム・セクション、叫びをあげるようなサイケデリックなトーンが持ち味のギター、特にジャジーなピアノが見事なキーボード。キーボーディストのJozef Skrzekは歌の方もかなりのものを聴かせます。アヴァンギャルドに拡散していた各楽器の音が次第に収束し、R&Bの太いグルーヴでテクニカルかつノリノリに突き進む場面などはスリル抜群です。コール&レスポンスも交えたライヴ録音らしいテンションの高さも魅力的。満を持してデビューした彼らの爆発的なエネルギーを封じ込めた痛快作!
世界のニッチなロックにフォーカスした膨大なディスク・レビュー、マニアック過ぎる特集、濃密なコラム。質・量ともに過去最大の読み応えとなった「不思議音楽館 ORANGE POWER」第6弾!!
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