2021年11月30日 | カテゴリー:Column the Reflection 後藤秀樹,ライターコラム
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最近TVを見ていて驚いたのが、サントリーの「ザ・ストロング」という炭酸飲料のCMの音楽。いきなり、コラシアムのアルバム『ヴァレンタイン組曲』の1曲目の「The Kettle」の強力なイントロのフレーズ。我が耳を疑いましたが、何度聞いても間違いない・・・と思いながらも、何故今なのか・・・とネットで検索をかけてみると、FATBOY SLIMの『YA YAMA』という曲でした。Youtubeで見てみると件のフレーズをただ繰り返すような不思議なナンバーでした。同様に驚いた方はいませんでしたか?
前回は日本で発売されたブラス・ロック関連のアルバムを紹介したが、ロイ・ヤング以外は米国のバンドを取り上げた。今回は英国発のブラス・ロックを挙げていこうと思う。もちろん当時、日本で発売されていたものもあるのだが、レコード会社でもその扱いには苦慮した様子がうかがえる。その理由の一つは印象としての地味さがあったと思う。米国以上にジャズ的要素が強いことで、ロックとして売ることへの迷いが感じられた。実際に当時の売り上げは芳しくはなかったようだ。しかし、時代を経て新たなリスナーに発掘されて評価を得て、人気が出てきたものも多い。時代が変化して人の思いが変わっていくことの不思議さと面白さを感じてしまう。
時代を経て、現在(いま)の感覚でその頃(70年代初頭)のブラス・ロックを紹介していこうと思う。
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まず、ブラス楽器がメンバーにいなくても、出された作品としてブラスが印象的なものをいくつか挙げておきたい。
◎画像1 Uriah Heep/Salisbury + Affinty + Fair Weather/Beginning From An End
大々的に導入したものは、ユーライア・ヒープ(Uriah Heep)の71年発表の2枚目「ソールズベリー(Salisbury)」のタイトル曲。これは16分に及ぶ壮大なブラス・ロック・シンフォニーとなっている。ジョン・フィディ(John Fiddy)のアレンジを得て別世界を描き出す。ハード・ロック・バンドとしてVertigoからデヴューした彼らの冒険は実験的ではあったものの今でも大きな意味と価値を持っていると思われる。
★音源資料α Uriah Heep / Salisbury
続いては同じヴァーティゴのアフィニティ(Affinity)。70年の唯一のアルバムの1曲目「I Am And So Are You」はジョン・ポール・ジョーンズ(John Paul Jones)のアレンジによる見事なブラス・ロック。もう1曲B面の冒頭の「Three Sisters」ではクリス・ヒューズ(Chris Hughes)のブラス・アレンジ。これもダイナミックな出来で、バンドの持ち味の各メンバーの演奏をより盛り上げている。言うまでもなく聞き所の多い名盤ではあるのだが、LP時代にA面B面の冒頭にインパクトのある演奏を配置したプロデューサーのジェリー・ブロン(Gerry Bron)の思惑が結実したと言える。
★音源資料β Affinty/ I Am And So Are You
もうひとつ、アンディー・フェアウェザー・ロウ(Andy Fairweather-Low)が70年にフェア・ウェザー(Fair Weather)の英RCA/Neonからのアルバム。Keefの素晴らしいジャケットから誰もがプログレを想像したが、じつは彼の得意なスワンプ系のサウンドだったという迷盤(?)。しかし、じつはこちらも聴き応えある作品である。そして、アルバムの3分の2くらいはブラスが効果的に使われている。特に「God Cried Mother」、「Don’t Mess With Cupid」、「You Ain’t No Friend」「Looking For The Red Label」といった曲で聞くことの出来る演奏は印象的。アンディーはこの前にいたエーメン・コーナー(Amen Korner)でも2人のサックス奏者を擁し、ステージでは派手なパフォーマンスも見られた。
★音源資料γ Fair Weather / God Cried Mother
・・・・・と挙げていけばキリがなくなるほどたくさんの実例がうかんでくるのだが・・・・
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今回は、明らかにジャズ・ロックとして認知されたというよりも、ロック・フィールドから発信されたものが多い。主に単発(1枚から数枚のアルバム・リリース)で紹介されたもの、明らかにシカゴやBS&Tに触発されて登場したものを中心に紹介していきたい。個人的な思いによる主観的な選択になってしまうことに関してはご了解願いたい。
◎画像2 Heaven/Brass Rock 1
最初は、2年前に紙ジャケ・シリーズ「Sony Music Progressive Rock Paper Sleeve Collection Vol.2」の1枚として日本で初めて発売されたヘヴン(Heaven)のその名も『ブラス・ロック1(Brass Rock 1)』。何よりも、ブラス・ロックという音楽性以上に、2枚組でのデヴュー、そのアルバムのジャケットが十字架型で6面に開く特殊ジャケット。そこにはオレンジの空にトーテム・ポールがそびえているという印象的なデザイン。メンバー写真の撮影を含めデザイン担当はキーフ(Keef)だ。
前回触れたとおり、日本ではEpicのサンプラー・アルバム(Epicから発売された初期作品にオマケとして無料で付録としてついた30cmLP!)に1曲が収録され、チェイスのアルバム『追跡』にも同包されていた。そのサンプラーにはポコ(Poco)、スキッド・ロウ(Skid Row)、ソフト・マシーン(Soft Machine)等も含まれていて非常に好奇心を刺激される1枚なのだが、そこにヘヴンも堂々と「私がなりたかった物(Things I Should’ve Been)」が収録されていたのだ。ジャケット裏には売り文句として「★シカゴのデヴューから2年、イギリスにヘヴン誕生~71年7月、イギリスに驚異のブラス・ロック・バンドが出現、ちょうど2年前のシカゴのデヴューに似た、あるいはそれ以上の衝撃で迫ってくる。2枚組アルバム、6つ折りで120cm×90cm、広げると十字架の形というジャケットなど話題の多いデヴュー作、このグループはヘヴンといい、イギリスの卓越したミュージシャン7人で組織。(へヴン/ブラス・ロック1 近日発売予定)」と記されていた。
これは、チェイスの『追跡』を買った友人宅で聞いたのだが、ブラス・サウンドのカッコ良さと対照的にあまりのダミ声ヴォーカルに驚いたが、その時点では国内発売を楽しみに待つことにした。しかしいつまで経っても出なかった。後年になって英盤LPが欲しくなるのが人情だが、ジャケットの複雑な体裁のせいかどこの廃盤店のリストを眺めてもなかなか出てこない。何年もかかって、比較的安価でようやく手に入れることが出来た。手にとって6面を開いた時には嬉しかった。現在の国内盤紙ジャケCDでもその意匠は再現されているのでありがたい。
彼らは伝説のワイト島音楽祭に69年・70年と続けて登場したことで知られるが、当時の地元での聴衆の評価以上にじつはレコード会社の思惑に翻弄された経緯を持つバンドだった。
彼らはポーツマスで68年に結成された当時から3人のホーンを含んだ7人組で、その音楽性はフォーク・ロック的な音楽性を持っていたという。当時のレパートリーにはドノヴァン(Donovan)のカヴァー曲「天国の愛に包まれて(Wear Your Love Like Heaven)」もあったというから、ちょっと意外な気がする。そんな彼らの70年のワイト島での演奏がリッキー・ファー(Rikki Farr)の目に留まり、彼にマネージメントを託すことになる。リッキーはT-Bonesでの活動やMarmalade、CBSからのアルバムでよく知られるゲイリー・ファー(Gary Farr)の兄にあたる。
リッキーは、米国のシカゴの成功を見て、3管編成のヘヴンにその姿を重ね第2のシカゴを思い描いていた。当然、メンバーには音楽性の変更を迫られたことに動揺が走ったが、先に述べた2枚組、凝ったジャケットでのデヴューを果たすことになり破格の契約をCBSと結べることには抗えなかった。その音楽性をブラス・ロック路線に転向させられた(形の)彼らのレコーディングは思うように行かず、トロンボーンやトランペットの力量不足から新たなメンバーの補充参加を生み、内部で不信も広がっていく。それでも何とかアルバムは完成し、英CBSから71年に発表され、話題性もあり音楽誌のレヴューにも好意的に取り上げられたが、売れなかった。米国でのアルバム発売もなく、日本でも発売予定があったものの結局見送られた。結局彼らもアルバム1枚を残しただけに終る。
★音源資料A Heaven / Come Back
これらの周辺事情は近年になって明らかになったことで、シカゴ同様に2枚組で売り出す意気込みから当時から大いに期待した作品なのだが、今聞き直してみてもダイナミックな音作りの中に「英国の翳り」が感じられ私は好意的に受け取っている。効果音やストリングスも導入されクラシカルな荘厳さも持ち合わせ、じっくり対峙するタイプの作品の一つと評価したい。
◎画像3 Brainchild / Healing Of A Lunatic Owl
70年にA&Mからデヴューしたブレインチャイルド(Brainchild)もジャケットが印象的な1枚。バンド名も「狂ったフクロウの治療(Healing Of A Lunatic Owl)」というアルバム・タイトルもどこか暗示的だ。彼らも3管を取り入れた7人編成だが、全編にわたって明らかに米国のブラス・ロックとは違った感性を醸し出していると思われる。
1曲目の導入部のエコーに導かれるブラス・サウンドも驚かされたが、冒頭の明らかにシカゴに影響されたアレンジには笑ってしまうが、トランペットのソロからの後半は高音を強調した個性的なアレンジはもっとさわやかだ。5曲目の「サッドネス・オブ・ア・モーメント」の叙情は明らかに英国ならではの感性だ。4曲目「シーズ・ラーニング」ではオルガンを中心にしたイントロ部のリフがいかにも英国的な「仄かな光」を感じさせ、ウェブ後のサムライ(Samurai)につながっていくような気がする。ここではプロデューサーのレニー・ライト(Lennie Wright)の思いが散りばめられていると思われる。
メンバーの中で、サックスのブライアン・ウィルショー(Brian Wilshaw)がデヴィッド・ボウイの73年の『アラジン・セイン』で演奏していることは確認できたのだが、残りのメンバーの他の活動は確認出来なかった。
★音源資料B Brainchild / She’s Learning
なお、プロダクションはGEMで、デヴィッド・ボウイやゲイリー・グリッター等を抱えた大手だ。期待を込めたブレインチャイルドだったが、アルバム1枚のリリースでその活動を終えている。
前回取り上げたロイ・ヤングも、英国勢として今回まとめればよかったと思うのだが、特筆すべきこととしてブレインチャイルドと同様に英A&Mにアルバムを残すビザンチウム(Byzantium)の72年のファースト・アルバムに、Roy Young Band Brass Sectionがクレジットされていたことを付け加えておきたい。
ブレインチャイルドは、レコード時代には日本では発売されず、91年にCDになって初めて登場した。
ブレインチャイルドの唯一作をプロデュースしたレニー・ライトはウェブ(The Web)のドラマーで、3作目の『I Spider』から実質的4作目のサムライ(Samurai)名義の同名アルバムまでやはりプロデュースを手がけている。
◎画像4 The Web
そのウェブだが、最初の2枚『Fully Interlocking』『Theraphosa Blondi』は英Deramから出されているが、ブラス・ロックというだけでなくストリングスも入れ、さらに多国籍で摩訶不思議な雰囲気を持ったポップ・ロックとも呼べる作品になっている。有名なマイク・ヴァーノン(Mike Vernon)のプロデュースによる68年と69年のリリースとなるわけだが、もともと66年にサウンズ・ユニーク(Sounds Unique)というジャズ系バンドに、ロック・ポップス系の音楽性を持ったジョン・イートン(John Eaton)が加わることでウェブとなる。さらにジョン・ワトソン(John L.Watson)という米国出身の黒人ヴォーカリストが加わる。彼の歌声が個性的なのだが、単純にR&Bやソウル・ミュージックとも言い切れないところが逆に面白い。
基本的にメンバーとしての管はトム・ハリスのサックス/フルート1人ということになるのだが、アンサンブルの主体としての存在感がじつに大きなものがある。
★音源資料C The Web / Like The Man said
そしてプログレ・ファンにとって重要な3枚目『i spider』が70年にPolydorからリリースされる。バンド名から「The」が取れてシンプルに「ウェブ(Web)」になり、ベースのディック・リー・スミスとヴォーカルのワトソンが抜け、新たにデイヴ・ローソン(Dave Lawson)がキーボード兼ヴォーカルとして参加している。ギタリストのジョン・イートンがベースに転向、そしてプロデューサーはレニー・ライト&ウェッブとクレジットされている。
デイヴ・ローソンが収録された5曲すべてを提供しているということで、それだけでもその貢献度の大きさは分かる。もともと演奏面では全く心配の無いキャリアを持ったメンバーの集合体ではあったが、70年という時期に、ブラスとキーボードを中心に既にプログレッシヴな感性を聴かせていたことは改めて驚いてしまう。
★音源資料D Web / Love You
さらにそのウェブがその名をサムライ(Samurai)と変え、英Greenwich Grammophon Companyから71年に発表した『Samurai』がまた素晴らしい。相変わらずブラスは入っているのだが、残念ながらトム・ハリスが抜けてしまい、替わって英国ジャズ界のベテラン・サックスプレイヤー、トニー・ロバーツとドン・フェイの2人を含め7人がクレジットされている。しかし、内ジャケットには5人しか写っておらず、サポート・メンバーとしての参加にとどまったようだ。しかし、その存在感には大きなものがあり、前作と並んで完全にプログレッシヴ・ブラス・ロックと呼びたい音楽性になっている。
★音源資料E Samurai / Save It Up For So Long
『I spider』同様にデイヴ・ローソンの貢献が大きいものの、ほぼプロデューサー業に徹したレニー・ライトの力も大きい。特に、ウェブでも時折聞かせていた彼のヴィブラフォンをはじめとするパーカッション群の音色はアルバムの雰囲気を決定づけていると思う。
日本ではウェブのファーストとサムライが日本でも英国とほぼ同時期に既に発売されていたというのは驚きである。しかし、当然のことながら大きなプロモーションもないので評判になることもなく売れなかった。
この作品が忘れられた頃、デイヴ・ローソンは73年にコラシアム(Colloseum)のデイヴ・グリーンスレイド(Dave Greenslade)とダブル・キーボードが売りのグリーンスレイド(Greenslade)を結成し、プログレ・ファンの心をつかむようになっていく。
◎画像5 Walrus
「セイウチ」をグループ名にしたウォールラス(Walrus)も忘れがたいブラス・ロック・バンドだ。サックス2人とトランペットという変則3管の8人編成。アルバム・ジャケットのイラストがデヴィッド・アンスティ(David Anstey)の手によるもので、Mellow Candleの『Swadding Songs』をはじめDeramレーベルの数多くのジャケットを手がけているので、お馴染みのタッチの画である。プロデュースも同レーベルの多くの作品を担当しているデヴィッド・ヒッチコック(David Hitchcock)。70年に発売された彼ら唯一のアルバム。
メドレー形式でつなげた構成が3曲収録されているのが特徴的。リード・ヴォーカルのノエル・グリーナウェイ(Noel Greeaway)はヴァン・モリソン(Van Morrison)をぐっと渋くしたようなしゃがれた声の持ち主で印象に残る。が、曲によってきれいなハーモニーも聞かせているので結構器用さを持ち合わせているのだろう。
肝心の3管は迫力があり、アルバム冒頭の「Who Can I Trust」から英国ブラス・ロックの典型のようなアンサンブルを聴かせる。サックス・プレイヤーのビル・ホード(Bill Hoad)はフルートも担当し、曲によって端正で牧歌的な音色を聞かせている。
★音源資料F Walrus / Who Can I Trust
◎画像6 Satisfaction
英Deccaから70年にアルバムを出したサティスファクション(Satisfaction)も基本となる3管を含めた6人編成のブラス・ロック・バンドだった。やはりプロデュースはデヴィッド・ヒッチコック。ジャケットを見ると、ロックン・ロールが飛び出しそうな感じだが、曲の構成もコーラスもしっかり聴かせる典型的な英国ロック。そこに完全にシカゴを意識したブラスが加わるのだからたまらない。メンバーは、この後キンクスやラス・バラードのソロ、さらにはキャラヴァンのアルバムにもゲスト参加する連中だから、実力者揃いであったと言える。中でもギターのデレク・グリフィス(Derek Griffith)は元アートウッズに在籍していたベテランで、その縁で旧友のキーフ・ハートレー(Keef Hartley)が75年に結成して唯一のアルバムを出すドッグ・ソルジャー(Dog Soldier)で、あのミラー・アンダーソン(Miller Anderson)と共にギター担当として参加していた。
★音源資料G Satisfaction / Just Lay Back and Enjoy It
サティスファクションも1枚で消えたと思っていたら、2014年にAcid Jazzレーベルから『Three Ages Of Man』というLP,CDが突然リリースされて驚かされた。そこに収められたのは71年から72年にかけてセカンド・アルバムとして録音されたものだった。当時オクラ入りとなったものだが、収録された9曲中5曲はほぼ完成形。残りの4曲はブラスが入っていないが、演奏、録音共に素晴らしい。バンドとしての姿も変化していったことも分かるだけに、こうして晴れて明らかになったことはじつに喜ばしいことだ。このCDは日本盤としてもUltra-Viveから発売されている。1枚目の英Esotericからの再発と合わせて是非聴いて欲しい。
◎画像7 Galliard / Strange Pleasure + New Dawn
Deramからもう一つガリアード(Galliard)をあげておこう。70年に2枚のアルバム、『Strange Pleasure』と『New Dawn』を出している。彼らはバーミンガム出身の6人編成バンドで2管(トランペットとサックス)を含んでいる。トランペットはデイヴ・カスウェル(Dave Caswell)、サックスは1枚目ではジョン・スミス(John Smith)だったが2枚目ではライル・ジェンキンス(Lyle Jenkins)へと交替。
『Strange Pleasure』のほうはDeramのNovaシリーズの1枚として出されたが、その特徴としてはアコースティックで牧歌的な味わいを出す一方で、クラシカルなブラス・アレンジも取り入れたところ。個性的でよく出来た作品と評価できる。
★音源資料H Galliard/Open Up Your Mind
『New Dawn』は、アコースティックでフォーク的な味わいを持った基本的な姿勢は同じなのだが、ラーガ風のシタールを導入した曲も取り入れ、より深みを増した。その一方でブラス・セクションに当時英国ジャズ・ロック・シーンで活躍していたジャズ・ミュージシャンをゲストとして加え、本格的なジャズ・ブラス・アンサンブルにも挑んだ大傑作と呼べる作品だ。特にサックスのトニー・ロバーツ(Tony Roberts)とトランペットのハリー・ベケット(Harry Beckett)の名は、英国ジャズ・ロック・アルバムのあらゆる場面で目にする名前だ。
その後、ガリアード側の正式メンバーだった2人のホーン・メンバーがキーフ・ハートレー・バンドに呼ばれ、『タイム・イズ・ニアー(Time Is Near)』(Deram 70年)に参加することになり、ガリアードは実体を失ってしまった。
彼らが残したアルバム2枚ともにブラス・ロックとしても一級品だし、ジャズ・ロック的とは総称的に呼ばれてしまうのは仕方ないこととして、70年の英国ロック・アルバムとしてはもっと深く、イマジネーション溢れる素晴らしい作品だ。
日本ではDeramの発売権はキング・レコードにあったのだが、ウォールラスは発売されていたものの、残念ながら、サティスファクションもガリアードの2枚ともに国内発売はされなかった。
◎画像8 Trifle + Demon Fuzz + Titus Groan
もうひとつ英国的なブラス・ロック・バンドがDawnレーベルから71年に唯一のアルバム『ファースト・ミーティング(First Meeting)』を出したトライフル(Trifle)だ。彼らはサックスとトランペットの2管だが、やはり英国的なブルージーなサウンドを持っている。曲構成も上手く変化に富んだサウンドを聴かせていた。特にマンフレッド・マンズ・チャプターIIIの「ワン・ウェイ・グラス」をとりあげ、オリジナルのマイク・ハグのヴォーカルほどミステリアスな声ではないものの、くぐもった感覚を上手く出していて面白い。アルバム中の「今宵の死」や「新たな教え」「ロウソクの灯り」といった曲では英国グループならではの叙情を聞くことができる。英国代表のブラス・ロックとしてもっと知られてもいいと聞く度に思う。同じDawnからは、デモン・ファズ(Demon Fuzz)、アトランティック・ブリッジ(Atlantic Bridge)もブラス・ロックを演奏している。タイタス・グローン(Titus Groan)もサックス/フルートを演奏するメンバーがいた。(本コラムの第21回と第23回にそれぞれ取り上げているので参照頂けたら幸いである。)
日本では、日本コロンビア・レコードがDawnレーベルを抱えていて、これらのアルバムは発売されていた。今考えると驚きである。
★音源資料I Trifle / One Way Glass
◎画像9 Greatest Show On Earth
英Harvestレーベルのグレイテスト・ショウ・オン・アース(Greatest Show On Earth)も編成的には間違いなくブラス・ロックを指標としたバンドであった。音楽性としてはオルガンとギター主体にした印象が強く、忘れられがちなバンドであるが、サックス2人、トランペット1人を含む8人組。これまでもプログレやブラス・ロックというよりは、英国ロックの個性派と呼ばれていた感が強い。Jennings兄弟とWatt-Roy兄弟の4人が中心メンバーで確かに耳に残るのはオルガンなのだが、じつは彼らもBS&Tやシカゴの影響を受けて結成されたバンドだった。70年のデヴュー・アルバムのHipgnosisのデザインによる目玉のインパクトが強烈だったが(というより怖い・・・見開きにするとさらに怖い)、音楽的には難解な部分はなく聞きやすい。日本でLPの発売はなかったが、デヴュー作から「無常の世界(Real Cool World)」が東芝/Odeonから70年にシングルが発売されていた。アルバムは同じ70年にもう1枚「The Going’s Easy」が発売されている。(こちらも日本では未発売) どちらも現在の耳で聞いても聴き応えがあり面白いので、未聴の方には是非お勧めしたい。
★音源資料J Greatest Show On Earth / Real Cool World
◎画像10 Warm Dust
英Trendから70年に2枚組でデヴューした8人組のWarm Dust(ウォーム・ダスト)。正式メンバーにギタリストがいないが、サックス奏者が2人いる。彼ら2人でのフルート・アンサンブルも見事で聞き物となっている。メンバーにはその後、エース(Ace)、Mike & The Mechanicsで活動し、ソロ・シンガーとしても成功を収めるポール・キャラック(Paul Carrack)、ビッグ・ジム・サリヴァン(Big Jim Sullivan)とタイガー(Tiger)を結成するレス・ウォーカー(Les Walker)も在籍していた。
セカンド・アルバム『Peace For Our Time』は英国首相だった「ネヴィル・チェンバレン(Neville Chamberlain)の1938年9月30日」という副題が付けられ、第2次世界大戦勃発の1年前のチェンバレン政権の「ミュンヘン協定」への批判が作品のテーマとなっている。宥和政策であったはずがヒトラー下の独の対戦準備の巨大化を生み、結果的に戦争が大規模の被害につながったとする政策上の失敗に言及したもの。それを契機に起こった世界中の悲惨な写真の数々が内ジャケットに掲載されていて暗澹たる気持ちにさせられる。ただ、ナレーションでつなげられたドラマチックな各曲は壮大なジャズ・ロック的演奏となっていて、なかなかに素晴らしい。
★音源資料K Warm Dust / Song For A Star
彼らは英国内ではヒットを出していないが、独では人気が高かったようで72年の3作目は独Basfから発売されている。もう1枚ファーストとセカンドからの編集盤『Dreams Of Impossibilities』という2枚組も同年に発売されている。どちらも英国盤は発売されていない。もちろん、ウォーム・ダスト自体日本でのアルバム発売がないだけでなく、音楽誌で紹介されることも皆無だった。私が最初にかったのはこの編集盤だったのだが、インフォーメーションが何もなく、どういう扱いの盤なのか最初は全く分からないままだった。
◎画像11 Swegas
ウォーム・ダストと同じ英Trendからアルバムを出したスウェガス(Swegas)も忘れられないバンドだった。極彩色に彩られた女性の裸体写真のジャケットが強烈にサイケデリックの時代を彷彿とさせる71年のアルバム『Child Of Light』。それが彼らの唯一のアルバムだと私は長いこと信じていたが、セカンド・アルバム『Beyond The Ox』が同じ71年に出されていた。そのことが2009年にCD化されたことで分かり驚いてしまった。そのジャケットのデザインを見てマンガのような雄牛が描かれていて肩すかしを食らったが、内容は一級品のブラス・ロックだ。CD再発の際、実際に入手するまで再結成かアウト・テイク集かと思っていたのだが、このデザインで71年に独Basfから発売されたセカンド・アルバムそのものだった。この辺りの事情はウォーム・ダストの3枚目と同様だったようだ。
もっと驚いたのが、じつはそれ以前にCharismaレーベルにつながる前身のようなB&Cに未発表となってしまうアルバムが存在していたことだ。彼らのHP(Swegas.com)に掲載されている。そこではその音まで聞くことが出来るので驚いた。69年10月に契約しアルバム1枚分を録音したのに発売がキャンセルされてしまったということだ。
彼らは、やはりBS&Tとシカゴを聞いたことで可能性を見出し、ブラス・ロック・バンドを結成した。当初は10人編成で管は5人(!)。グループを立ち上げたのはトロンボーンのニック・ロナイ(Nick Ronai)と、トランペットのブライアン・スパイビー(Brian Joe Spibey)だったのだが、ブライアンはファースト・アルバムが幻になった時点で他のメンバー2人と同時に脱退してしまう。そんな失意の中、ツアーを続ける中で新たなメンバーを加入させて、何とか71年に『Child Of Light』を完成させたことになる。その段階で管は4人(トランペット、トロンボーン。サックス×2)という編成になった。幻となったファーストからは「プラネタリウム」だけが再録音され収録されていた。
★音源資料L Swegas / Planetarium
『Child Of Light』の1曲目がレア・バード(Rare Bird)の『ビューティフル・スカーレット』ということに驚かされた。最初のイントロのブラスはアマチュアっぽく聞こえて感心しなかったが、ヴォーカルが迫力あるソウルフルな声を持っていることには注目したことは覚えている。「プラネタリウム」も冒頭はブラスのみ。アルバム全編の印象として録音自体ブラスの音量レベルがリズム楽器よりも大きく感じられ、少々の違和感がある。2曲目以降の長尺曲では、各楽器のソロ、パーカッションの使用の面白さはあるのだけれど・・・。
後に聞いたセカンド・アルバム『Beyond The Ox』のほうが各楽器の音量バランスが向上していてずっと聞きやすかった。とは言え、日本盤の発売はなかったので私にとっては苦労して原盤を入手した思い出も含めて、1枚目は忘れられない大切な作品である。
◎画像12 Aquila
まずバンド名を表わした「鷲」のジャケットが印象的。70年にRCAという大手から出されている。プロデュースがニルヴァーナ(Nirvana)のパトリック・キャンベル・ライオンズ(Patrick Campbell-Lyons)ということもあり期待感は高まったのだが、中ジャケのメンバーのイラストとクレジットも文字が何か自主制作的な素人臭さを感じてしまう。実際、演奏のほうも少々バタバタした感じがあってかなり意外な作品の一つ。ただ捨てきれない人懐こさがあることも事実。
★音源資料M Aquilla / Change Your Ways
5人編成で管はサックス+フルートの1人。ギターのラルフ・デニヤー(Ralph Denyer)は、ブロンド・オン・ブロンド(Blonde On Blonde)のオリジナル・メンバーでデヴュー作『Contrasts』(Pye 69年)に参加していた。
◎画像13 Mogul Thrash
やはりRCAから唯一のアルバムを発表したモーグル・スラッシュ(Mogul Thrush)。発表された70年にはほとんど話題にならなかったが、後年ジョン・ウェットン(John Wetton)が在籍していたことで注目された時期がある。バンドを結成したのは、コラシアム(Coloseum)のジェームス・リザーランド(James Litherland)。彼はコラシアムのデヴュー作『Those Who About To Die』と『ヴァレンタイン組曲(Valentine Suite)』でギターと特徴のある印象的なヴォーカルを聴かせていた。彼にとって最後のステージが独の『スタークラブ』だったが、そこでマイク・ローゼン(Mike Rosen)と出合い意気投合し新グループの結成を決意する。マイクはエクレクション(Eclection)のギタリストだったが、新たなグループに参加するためにエクレクションを脱退し、リザーランドと合流しメンバーを集めた結果がこのモーグル・スラッシュということになる。因みにジョン・ウェットンはリザーランドと共にエドワーズ・ハンド(Edwards Hand)のセカンド『Stranded』に参加していたことから声がかかったことになる。
コラシアムに於いて、リザーランドはヴォーカリストとして参加したのだが、前任のギタリストが脱退したためにギターも担当することになった経緯がある。コラシアムにはディック・へクストール・スミス(Dick Heckstall-Smith)という英国ジャズ・ロックの伝統を一気に引き受けるような伝説的な存在がいたわけだが、リザーランドは新たなバンドでもコラシアム同様の試みを導入することにした。そこで加えたメンバーがロジャー・ボール(Roger Ball)とマルコム・ダンカン(Malcolm Duncan)という2人のサクソフォニストであり、最初に参加したローゼンは何とトランペットを担当することになった。
★音源資料N Mogul Thrush / Dream Of Glass And Sand
プロデュースはブライアン・オーガー(Brian Auger)、エンジニアはエディー・オフォード(Eddy Offord)だったこともあり、ジャズ・ロックからプログレへの移行期のサンプルとしてブラス・ロックがあったことを見事に語っているような作品と言える。
もっと言えば、ロジャーとマルコムが73年にアヴェレージ・ホワイト・バンドを結成したことで、ブラス・ロックが一時期のブームのように去り、ブラス・サウンドがソウル、ファンクのもとに戻っていったように思えるのも象徴的なことかもしれない。
◎画像14 If
英国勢のブラス・ロック・グループとしては、日本でもコンスタントに発売されていたことで、よく知られているイフ(If)。原盤はIslandで1枚目のみ国内盤としてPhilipsから一度出たが、2枚目以降東芝から米Capitol経由で発売された。3・4枚目は英国ではUnited Artistsに移籍したが日本ではそれまでと同様にCapitol盤として出されていた。(後にファーストもCapitol扱いで再発された。)
中心となるサックスのディック・モリシー(Dick Morissy)は60年代英ジャズの立役者のひとりで、カルテット編成でリーダー・アルバムも発表している。イフは69年にモリシーとデイヴ・クインシー(Dave Quincy)、そしてギターのテリー・スミス(Terry Smith)が中心になって結成された。ニュー・ロック、エレクトリック・ジャズといった時代の流れを見抜いた形なり、ジャズ・ロックの代表グループとしてとらえられた。ファースト・アルバムは英米両国でチャート・インを果たしている。
コラシアムに続くバンドとして、イアン・カー(Ian Carr)のニュークリアス(Nucleus)と英国ジャズ・ロックの双肩としてみなされていた。しかし、ジャズ色の方が強かったニュークリアスに比べイフの方はヴォーカルを入れて曲をコンパクトにしていることもあり、よりロック・フィールド寄りにとらえられた面もないではない。
私がイフをはじめて聞いたのは、71年「3」が最初だったのだが、1曲目冒頭のブラス・アンサンブルのカッコ良さは感じたものの2曲目のヴォーカリストのJ.W.ホドキンソン(J.W.Hodokinson)の声になじめず、すぐに気に入ったとは言えなかった。しかし、次の72年「4」をレコード店の視聴ブースで聞いて、ぶっ飛んでしまった。それは、今も彼らの曲の中で一番好きな1曲目の「Sector」だった。その頃、ニュークリアスの2枚目『We’ll Talk About It Later』の冒頭の印象的な「Song For The Bearded Lady」が超お気に入りだっただけに、両者は同じ感性にあると悟った。その後はIfを改めて順に聞いて、やはり凄いバンドという印象を深めたことが思い出ではある。
★音源資料O If/Sector 17
72年にディック・モリシーが入院したことで一度バンドは休止。それに伴って各メンバーは別の活動をはじめ、J.W.ホドギンソンは74年ダリル・ウェイ(Daryl Way)のウルフ(Wolf)の3作目『群狼の夜の歌(Night Music)』に参加。イフでの声とは全く違った若々しく素晴らしい歌唱を聞かせていて驚いてしまった。
イフの創設メンバーのデイヴ・クインシーとテリー・スミスは、オシビサ(Osibisa)のラゥティ・アマロ(Loughty Amao)らと共に、ゼブラ(Zzebra)を結成する。テリーは1枚目(Polydor’74)の後に脱退し、2枚目『Panic』(Polydor‘75)にはキーボードにマーク・アーモンド(Mark-Almond)のトミー・アイアー(Tommy Eyre)を迎えるが、このゼブラも基本的にはブラス・ロックだ。
ディック・モリシーは体調回復後、新たなメンバーでイフを再度結成し、73年に『Double Diamond』74年には『イフの魂(Not Just Another Bunch Of Pretty Faces)』、『泥酔のティー・ブレイク(Tea-Break Over -Back On Your’Eads!)』をリリースした。しかし、残念ながらかつての勢いは感じられなかった。その後、ジャズ・ギタリストのジム・ミューレン(Jim Mullen)とモリシー/ミューレン(Morrissey/Mullen)というユニットを組み70年代後半から80年代を生き抜いたのだが、大きな話題になることはなかった。しかし、CDの時代になってイフ時代のライヴ音源が明らかになって、その当時の輝きを改めて確認できたことはありがたいことだった。
前回の最後に、次回はブラス・ロックの英国編とヨーロッパ編を・・・と書きながら、英国だけでいっぱいになってしまった。しかも、振り返ってみると、まだまだ抜けているものもいっぱいある。
英国の60年代からの歴史的なものに触れようとは考えていなかったが、それにしてもコラシアムやキーフ・ハートレー・バンド、マンフレッド・マンズ・チャプターIII 、ニュークリアスに関しては、今回の文中で触れただけだし、その他にもAlan Bown、Bob Downes Open Music、Manfred Mann’s Chapter III、One、Gnidrolog、Gasoline Band、Judas Jump、Iguana、Broth、Leigh Stevens、アレクシス・コーナー絡みではCCSだけでも取り上げよう・・・等々と思い、メモに入れながらも今回はオミットしてしまった。
一連の「ブラス・ロック」の原稿に取り組む中では、私自身がシカゴ、BS&Tをはじめとして何故のめり込むことになったのかを自分なりに明らかにしたいという思いがあった。最初に、その昔は国内盤だけが手がかりだったので、日本で発売された米国のブラス・ロック系を先にとらえたのだが、なかなか一般的な認知は難しかったかも知れない。しかし、今回英国ものを取り上げてみて、やはりその湿り気のある高揚感という独特の空気を再確認したのだが、逆に「今では全部、英国の貴重盤ばかり」であることを再確認する結果になってしまった。
学生時代にブラス・ロックからプログレに自分の好みが移り変わっていったと考えていたのは事実だが、よくよく考えてみるとキング・クリムゾンの「21世紀の精神異常者」のイアン・マクドナルドのサックスはブラス・ロックだと認識していたし(導入部のインパクトに驚き、中間部のギターとサックスとのユニゾンは本当にぞくぞくした)、EL&Pの「展覧会の絵」は原曲のブラス・パートをキーボードに置き換えたものだし(キーボード主体となったプログレの典型として)、ピンク・フロイドの「原子心母」はまさしくブラス・ロックそのものだ(ロン・ギーシンのアレンジによるものではあるが)・・・という当たり前のことに改めて気づいた次第。
つまり、それが音楽である限り、どんな楽器でも必要があれば使うというだけのことなのだ。
シカゴとBS&Tに影響を受けてトランペットを、サックスを、トロンボーンを・・・とメンバーに配置してデヴューしたバンドがたくさんいたわけだが、基本はロックとして押さえながら、そこにジャズやクラシックの要素を貪欲に吸収していたことで面白さが生まれたわけだ。同様にジャズ・サイドからロックに近づいたものも確かに多かった。
さらに、ひと言でサックスと言っても、テナー、アルト、ソプラノ、バリトンと種類があるし、同時にフルートを中心とした木管を演奏することも多く、それらがクレジットで詳細に紹介されたものも多く一様にブラス・ロックと呼ぶことの難しさも感じてしまった。
今回取り上げた作品群はどれも69年から72年までに発表されたものばかりというのは象徴的だ。その後の時期のブラスを含んだ作品の多くはソウル、ファンク、フュージョン系となり、純粋にブラス・ロックと呼べるものは数少なくなってくるのは事実である。
次回は用意があるのでブラス・ロック・ヨーロッパ編を行います。
そして、その次がブラス・ロックの最終回として、日本では発売されていなかった米国ものを中心にした名曲選のような形でジューク・ボックス的に展開したいと考えています。今しばらく、ブラス・ロック絡みでおつきあい頂ければありがたいです。
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URIAH HEEPといえば、「対自核」(邦題)と云われる程の代表作!サウンド的には前作「Salisbury」と次作の中間といった所なのですが、バンドのサウンドが成長し、完成度の高いアルバムになっています。また、ミック・ボックスのギターが活躍しており、このアルバムがブリティシュ・ハードロックの名盤として語られる事が多いことも頷けるサウンドになっています。まだ、少々荒削りなサウンドですが、勢いのあるサウンドで、バンドとしての勢いも感じられる仕上がり。冒頭に収録されたアルバム・タイトル曲「Look At Yourself(対自核)」は、名実ともにユーライア・ヒープの代表曲であり、70年代ブリティッシュ・ハード・ロックの名曲のひとつ。楽曲の全編を重厚なオルガンが覆っていますが、決してそれだけが浮き上がることなく、全体としてアグレッシヴなロック・ミュージックを構成する様が見事。間奏部のエキゾチックなメロディや要所要所で聴かれる印象的なコーラスも独特の雰囲気を醸しています。終盤ではOsibisaのメンバーによるパーカッションの客演を得て、さらに魅力的な演奏が展開。決して「軽快」とは言い難いが、興奮を誘うような独特の疾走感が痛快!
英ハードの代表格、72年作4th。前作で完成させたドラマティックなオルガン・ハード・ロックのスタイルにアコースティック要素を注入、Roger Deanによるアルバム・ジャケットの如く、幻想的な世界観を作り出しています。ヘヴィ且つメロディアスなワウ・ギター、凶暴に歪んだハモンド・オルガンが生み出すグルーヴ感に、パワフルなハイトーン・ヴォーカルが乗るハード・ロック・パートから、泣きのスライド・ギターとシリアスなコーラス、センチメンタルなピアノが絡み合うシリアスな叙情的なパートへ、緩急を付けた曲展開にグイグイと引き込まれます。繊細なアコギ、力強くタメの効いたドラム、メロディアスなベースも素晴らしい。ハード・ロックの疾走感こそ前作『LOOK AT YOURSELF』に譲るものの、英オルガン・ロックらしいドラマティックな構成美が楽しめる本作もURIAH HEEPの代表作の一つです。
廃盤、紙ジャケット仕様、アップグレード・リマスタリング盤、ボーナス・トラック5曲、解説・歌詞・内袋付き仕様、定価2200+税
盤質:傷あり
状態:並
帯有
若干カビ・帯に軽微な折れあり
廃盤、紙ジャケット仕様、アップグレード・リマスタリング盤、ボーナス・トラック6曲、内袋付仕様、定価2200+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
クラプトン・バンドのサポート・ギタリストとしても知られるアンディ・フェアウェザー=ロウが結成した5人組グループ。71年にNEONレーベルよりリリースしたグループ唯一のアルバム。土臭いギター、ソウルフルなヴォーカル、CS&Nばりの分厚いハーモニーが印象的な英国スワンプ・ロック。さすがクラプトンに認められるだけあり、リフ、リズム、ソロともに雄弁なギターはかなりの迫力。ハモンド、サックスも英国らしい叙情的なフレーズで好サポートしています。ジャケットはキーフ。
直輸入盤(帯・解説付仕様)、ボーナス・トラック6曲、定価2600+税
盤質:傷あり
状態:並
帯有
ケースツメ跡あり、若干カビあり
グリーンスレイドでお馴染みのKey/Voのデイヴ・ローソンが加入して70年に3rd『I SPIDER』を発表したバンドWEBがそのまま発展したバンドがSAMURAI。彼らの71年唯一作が本作です。管楽器奏者を含む7人編成で、淡いトーンのオルガン、角の取れたマイルドなファズギター、叙情的にむせぶサックスやたゆたうビブラフォンが織りなす幻想美溢れるサイケデリック&ジャジーなブリティッシュ・ロックが印象的です。引き締まったドラムやゴリゴリとアグレッシヴなベースなどタイトなリズム、そしてデイヴ・ローソンによる英国的な優美な歌声も特筆。KHANあたりと並ぶR&Bからサイケを通過したジャズ・ロックへとたどり着いた英国ロックの逸品です。
紙ジャケット仕様、06年24ビット・リマスター、定価2730
盤質:無傷/小傷
状態:
帯有
帯・解説に黄ばみあり
英ブラス・ロック/ジャズ・ロック・グループ。DERAM NOVAレーベルより69年にリリースされた1st。サックスをフィーチャーしていますが、アンダーグラウンド臭は無く、60年代的なポップなメロディーと品格あるアコースティック・ギターによるメロウなサウンドが持ち味。穏やかさの中にもサイケやジャズのテイストが漂うサウンドは、ピンク・フロイドのアコースティカルな楽曲とも通じる魅力があります。
70年にDERAMレーベルよりリリースされた2ndアルバム。基本的には前作の延長線上にあるサウンドですが、ブラス・ロック的な楽曲ではよりタイトに、アコースティックな楽曲ではよりメロウに、各楽曲毎の色が明確になった印象です。シタール、フルート、アコーディオンなどの使用で、アレンジも多彩になっています。シタールとフルートがメロウな旋律を奏でる2曲目は、英国フォーク・ロック・ファン必聴の名曲!
70年にDawnレーベルよりリリースされた唯一作。サックス、オーボエ、フルートなど管楽器をフィーチャー。ハード・ロック、ジャズ、フォーク、R&Bをごった煮にしたハード&メロウな味わい深いジャズ・ロックを聴かせています。哀愁のメロディー&ハーモニーも印象的。名作。
オルガン奏者やブラス隊を含む8人編成のグループ。70年にHarvestレーベルよりリリースされた2nd。Vertigoのオルガン・ロック勢にも通じる叙情美に、スプーキー・トゥースあたりに通じるアーシー&メロウネスを加えたデビュー作の魅力はそのままに、引きずるようなヘヴィネスが増した印象。R&B、ジャズ、ハード・ロック、ブリティッシュ・フォークなどがごった煮になったサウンドはこのグループならではの魅力。英ロックのファンは必聴の逸品です。
70年発表の1stアルバム。骨太なバンド・アンサンブルとむせび泣くサックスが最高に格好良いハードな曲から、オーボエ、フルートなどの管弦楽器によるいかにも英国的な響きが美しいジャジーなバラードまで、どの曲もハイテンションな演奏がこれでもかと詰め込まれた名盤。メロディー・ラインも文句なしに素晴らしく、切々と歌い上げるヴォーカルとともにたいへん印象的に響きます。ブリティッシュ・ロック、ブリティッシュ・ジャズ・ロック・ファンとも必聴。おすすめです!
4人のホーンセクション、オルガン、ギター&ヴォーカル、ベース、ドラムによる8人編成のグループ。UK TRENDレーベルより71年にリリースされた唯一作。土臭くロックなリズム、淡くむせぶオルガン、ブルージーなギター、R&Bテイストの分厚いホーンセクションから成る一体感抜群のブラス・ロック。哀愁溢れるメロディと感情を内に秘めたような憂いのあるヴォーカルも魅力的。
英ブラス・ロック/ジャズ・ロック・グループ。DERAM NOVAレーベルより69年にリリースされた1st。サックスをフィーチャーしていますが、アンダーグラウンド臭は無く、60年代的なポップなメロディーと品格あるアコースティック・ギターによるメロウなサウンドが持ち味。穏やかさの中にもサイケやジャズのテイストが漂うサウンドは、ピンク・フロイドのアコースティカルな楽曲とも通じる魅力があります。
70年にDERAMレーベルよりリリースされた2ndアルバム。基本的には前作の延長線上にあるサウンドですが、ブラス・ロック的な楽曲ではよりタイトに、アコースティックな楽曲ではよりメロウに、各楽曲毎の色が明確になった印象です。シタール、フルート、アコーディオンなどの使用で、アレンジも多彩になっています。シタールとフルートがメロウな旋律を奏でる2曲目は、英国フォーク・ロック・ファン必聴の名曲!
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