2023年5月2日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ新鋭
スタッフ佐藤です。
今回注目するのは、女性ヴォーカルが活躍する新鋭プログレ・バンドの作品たち。
様々なタイプの女性ヴォーカルがいましたので、幾つかのタイプに分けて注目作をご紹介してまいりたいと思います!
エキセントリックさ控えめのケイト・ブッシュといった趣の妖艶な美声ヴォーカル。
ヴィンテージ度100%の古式ゆかしきオルガンワーク。その両方を務めるこの女性ミュージシャン、何という逸材!
このイタリア新鋭は要チェックですよ~☆
エレクトロ要素も散りばめた硬質なポスト・ロック調に、ポーランド語で情感豊かに歌う女性voが乗る新鋭モダン・プログレ。
ダークでアヴァンギャルドな音空間が中心ですが、不意にアコギやピアノを基調にした穏やかなサウンドも顔を見せ、ドラマティックに展開します。
現英国を代表するシンフォ・グループの一角ですね。
リーダーRobert Reedの才能が注ぎ込まれた渾身のオーケストレーションと瑞々しい女性voを主役に、過去曲をスケール大きくも繊細に蘇らせています。RENAISSANCEファンなら堪らない22年作!
19年作『Don’t Panic』が大傑作だった米シンフォ・グループIZZの女性ヴォーカルによるソロ作!
エレクトロニックで洗練されたナンバー、クリアで気品に満ちたピアノが彩るナンバー、そしてIZZ彷彿の叙情派シンフォニック・ナンバーを、心地よく響く癖のない美声で歌い上げる彼女のヴォーカルがとにかく素晴らしい。
MAGENTAのクリスティーナと並び、現代最高峰のプログレ系女性シンガーでしょう!
イエスで言えば、P.バンクスがいた『時間と言葉』あたりのサウンドに『海洋地形学の物語』の神秘性を加えて幻想度を大幅アップさせたような感じ!?
W女性ヴォーカル編成で、ハンガリー語という事を忘れてしまうくらいにスッと耳に馴染む聴き心地が本当に素晴らしい。
トランシルヴァニア地方出身の人気シンフォ・バンド、22年作♪
キャリア20年のベテラン・グループですが、本作、イエス系の新鋭プログレ作品としてビックリする完成度!ハウっぽいギター、アンダーソンっぽい男性ヴォーカルに耳が行きますが、いつも通り瑞々しい女性ヴォーカルの貢献も見事なんです。
「Tempus Fugit」っぽく始まり「Awaken」っぽく終わる大作は息をのむ素晴らしさ!
イタリアの新鋭グループですが、ルネッサンス直系の気品を漂わせる逸品。波打つようなピアノを基調とするクラシカルで繊細な演奏と、透明感ある凛とした女性ヴォーカルのなんと美しいこと。これは心洗われる名作です。
ギリシャはアテネ出身のプログレ新鋭、その女性ヴォーカルの名はエヴァンゲリス。美しい響きの名前の通りの澄み切ったハイ・トーンに心奪われます。ゲスト参加した伊プログレ注目グループYUGENのメンバーもさすがの仕事をしています。神秘の森に囚われてしまったような、優美にして妖艶なサウンドが渦巻く至高の一枚!
クラシックからジャズ、民族音楽まで幅広い音楽性を取り込みつつも洗練味を失わないセンス、安定感抜群のテクニックなど、SHESHETらイスラエル・ロックの遺伝子を確かに受け継いだ新鋭!透き通るような女性ヴォーカルも特筆です。
美声女性ヴォーカルの宝庫と言える現ポーランド・シーンも見てまいりましょう♪
生ピアノとヴォーカルを基本に、ヴァイオリンとチェロも参加する、完全アコースティック編成で劇的に紡がれるクラシカル・ロックは、息をのむほどに美麗かつ重厚。美声ながらどこか哀愁味を感じさせる女性ヴォーカルもドラマチックで素晴らしい!
初代女性voが復帰し、ハードかつキャッチーな力強いサウンドへと舵を切った21年作6th。疾走感抜群のプログレ・ハードにトニー・バンクス風の華麗なシンセソロを入れるこのセンス、素晴らしいなぁ。
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2000年代以降のポーランド屈指のプログレ新鋭LOONYPARKを特集!リーダーのソロワークも含めた軌跡を辿ります。
ザクザクとヘヴィなリフを絶え間なく繰り出すギターと、厳かかつミステリアスに歌う美声女性voを軸とするプログレ・メタル。清涼感あるメロディックなパートも巧みに織り込んでいて、さすがはポーランド産。1曲で元DREAM THEATERのDerek Sherinianが参加!
次のページは【歌唱力/表現力抜群の女性ヴォーカル】!
ギリシャはアテネ出身、女性ヴォーカル、男性フルート/Key奏者、男声ギタリストによるトリオ、2010年デビュー作。グリフォンやジェントル・ジャイアントから影響を受けているようで、艶やかなヴァイオリン、ミスティックでいて気品に満ちたフルートやリコーダーが彩る、クラシカルかつトラディショナルな優雅さに、ゲスト参加した現代イタリアが誇るチェンバー・ロック・バンドYUGENのKey奏者やD.F.A.のドラマーによるチェンバー・ロック/プログレのエッセンスが加わったサウンドは、圧倒的に瑞々しく幽玄。紅一点エヴァンゲリアの澄み切ったハイ・トーンのヴォーカルも絶品です。これは至高の一枚!
イスラエルの新鋭プログレ・グループ、05年作。コシのあるマイルドな歪みのヴィンテージなギター・リフとジェネシス的なハモンドによるファンタスティック&ハードなパート、クラシカルな素養があるリリカルなピアノと端正なクラシック・ギターの上をフルートが軽やかに舞うアコースティックなパート、SHESHETを彷彿させるジャズ/フュージョン的なインプロ・パートなどがめくるめく展開。70年代ブリティッシュ・ロックを軸に、イスラエルらしくジャズやアコースティックな感性をブレンドしたサウンドは、かなり完成度高いです。そして、極めつけは、女性ヴォーカル!透明感あるハイ・トーン・ヴォーカルの美しいこと。クラシックからジャズ、民族音楽まで幅広い音楽性を取り込みつつもさらりとこなすセンス、安定感抜群のテクニックなど、SHESHETなど70年代イスラエル・ロックの遺伝子を確かに受け継いでいます。これは素晴らしいグループ。オススメです!
イタリアの新鋭シンフォ・バンドによる12年作。美声女性ヴォーカルをフィーチャーしたフォーク・タッチのシンフォニック・ロックを展開。特徴的なのが何と言ってもその物悲しくもひたすら美しいメロディで、女性ヴォーカルの高い表現力によって神秘的な作品世界が眼前に広がります。さらに演奏面でも繊細に爪弾かれるアコギ、クラシカルな素養が滲むピアノ、演奏をゆったりと支える気品高いストリングスなど、クラシカルなシンフォニック・ロックとしては近年で最高レベルの完成度。RENAISSANCEなどの格調高い英国シンフォから気品漂うメロディアスさを抽出し、より繊細に情感豊かに蘇らせたかのような名作。まさに珠玉の一枚という表現がふさわしい作品です。
歴史的にはトランシルヴァニアとしても知られる、ルーマニアのハンガリー人居住地域出身の人気シンフォ・グループ、4年ぶりのスタジオ・アルバムとなった22年作4th!ギターとキーボード類をメインに十数種類の楽器を演奏するリーダーBogati-Bokor Akosを中心に、2人の女性ヴォーカル、フルート奏者、パーカッション奏者らを含む7人編成での制作です。バンドが憧れの存在に挙げるYESを彷彿させるテクニカルかつアコースティックな牧歌性も織り込んだアンサンブルを、女声voとフルートが作り上げるドリーミーな幻想世界が包み込むシンフォニック・ロックは、ただただ至上の完成度。タイトに変拍子を叩き出すドラムと存在感あるリッケンバッカー・ベースによるYESを思わせるリズム・セクション、Peter Banksに近いセンスでジャジーかつスリリングなフレーズを決めるギター、躍動感いっぱいに疾走するシンセ、柔らかく広がるメロトロンのヴェール…。それだけでも素晴らしいところに、リリシズム溢れるフルート&淡い美声を重ね合わせるW女性voが加わると、もうそれは天上の音楽と言っても過言ではありません。特に2人の女性ヴォーカルはハンガリー語という事を忘れてしまうくらいにスッと耳に馴染む感じが本当に素晴らしい。YESで言えば、Peter Banksが在籍した『TIME AND A WORD』期のサウンドに、『TALES FROM TOPOGRAPHIC OCEANS』の神秘性を加えて幻想度を大幅アップさせたような印象でしょうか。いやはやさすが今作も圧巻の傑作です!
実力派がひしめく現ポーランドでも屈指の人気シンフォ・グループによる、2年ぶりとなった21年6thアルバム。本作、何より前々作まで不動の女性ヴォーカルだったSabina Godulaが復帰し、あの低音寄りで朗々と歌う個性的な歌唱を再び聴かせているのが嬉しいところ。プログレ・ハード的な疾走感でパワフルに畳みかける新境地の1曲目から、このヴォーカルが抜群に映えます。性急なリズムを刻むドラム&ベースに乗ってギター&オルガンがスリリングなユニゾンを決めるアンサンブルに、姉御系の力強い女性ヴォーカルがエモーショナルに歌い上げるスタイルがとにかくカッコいいです。このハードなサウンドにトニー・バンクス風の華麗なシンセソロを合わせるセンスも見事。2曲目以降も、リズム隊とギターが従来以上にハードに迫りつつ、メロディはよりキャッチーになった印象があります。キーボードが担うシンフォニックな美麗さは随所に残しながらも、重量感たっぷりの鋭角的なサウンドとキャッチーなメロディラインを押し出した新たなスタイルを提示する意欲作です。
女性ヴォーカルを擁するポーランドの新鋭バンドによる22年デビュー作。ザクザクとヘヴィなリフワークを絶え間なく繰り出すギターと、落ち着いたトーンの美声で厳かかつミステリアスに歌う女性ヴォーカルを軸とするプログレッシヴ・メタルを展開。嵐のように吹き荒れるメタリックなサウンドがメインですが、不意に浮遊感あるギターが導く清涼感あるメランコリックなパートへと切り替わる時の鮮やかさも印象的で、ヘヴィネス一辺倒ではない表現の豊かさが魅力的です。最終曲はボーナス・トラック扱いですが元DREAM THEATERのDerek Sherinianが参加したナンバーとなっており、本作の随所で聴けた清涼感溢れるサウンドを集約したようなメロディアスな一曲。DerekもTony Banksのようなオスティナートや、らしさ満点の速弾きソロを惜しげなく披露していて、ドラマティックな良い曲に仕上がっていて聴き所。攻撃性の中にナイーヴな感性が包み込まれたプログレ・メタル良作です。
現英国シーンをリードするシンフォ・グループと言える彼らの22年作9thアルバム。デビュー作『REVOLUTIONS』収録の「The White Witch」、04年作『SEVEN』収録の「Lust」のオーケストラル・アレンジ・バージョンに1曲の新曲を加え、全3曲50分の新たな作品として甦らせた一枚です。リーダーRobert Reedがアレンジ含め単独で作り上げた生オーケストラかと思うほどの本格的なオーケストレーションを主役に、女性ヴォーカルのChristina Booth、ギタリストChris Fry(クラシック・ギター)、『Ommadawn』への参加で知られるLes Pennings(語り)の3人+フルートとオーボエのソロ奏者をフィーチャー。とにかくオーケストレーションの完成度が素晴らしく、瑞々しいChristinaのヴォーカルと相性抜群なのは言うに及ばず、流麗なクラシック・ギターやオーボエ&フルートのリリカルな響きとも相まって、スケール大きくもどこまでも繊細な息をのむ音世界が生み出されています。従来のMAGENTAからすると異色作と言えますが、これは単純にクラシカル・シンフォとして極上の出来栄え。RENAISSANCEファンなら堪らないでしょう。必聴作!
21年デビュー、女性ヴォーカルを擁するポーランド・プログレ新鋭、23年作。エレクトロニクスも多用しつつ硬質なサウンドを聴かせるポスト・ロック調に、ポーランド語で情感豊かに歌う女性ヴォーカルが乗る、陰鬱にして美しいプログレを展開。ダークさとアヴァンギャルドさを内包したアーティスティックな音空間が中心ですが、不意にアコギやピアノを基調にした穏やかなサウンドが顔を見せ、ドラマティックに展開します。特に女性ヴォーカルMonika Dejkの優しく語りかけるような響きを持つ歌唱が大変魅力的なのですが、残念な事に彼女は22年12月に事故でこの世を去ったとのこと。実にポーランドらしいメランコリックさと美麗さに心打たれる一枚です。
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