2024年11月14日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ新鋭
スタッフ佐藤です。
今回注目するのは、女性ヴォーカルが活躍する新鋭プログレ・バンドの作品たち。
様々なタイプの女性ヴォーカルがいましたので、幾つかのタイプに分けて注目作をご紹介してまいりたいと思います!
女性voと中世&オリエンタルなエッセンス薫る神秘的なシンフォニック・サウンドが魅力のイタリア新鋭、24年作2nd。
でもエレクトリック楽器が入ると一気に凄まじい迫力のヘヴィ・シンフォへと発展して、この静謐さとアグレッシヴさの振れ幅は圧巻です。
OF NEW TROLLS/UT NEW TROLLSのギタリストや気鋭女性vo/マルチ・プレイヤーらで結成されたイタリアの注目グループ。
重量感とスピード感を両立させたRUSH彷彿のサウンドに乗る、堂々とした歌いっぷりの女性voがカッコいい!
ゴシック・ロック由来のミステリアスさや暗いロマンティシズムを練り込んだ伊ヘヴィ・シンフォニック・ロック。
祈るような敬虔さと共にどこか正統派ではない妖しさも孕んだ女性ヴォーカルにも絶えずゾクゾクさせられます。
この世界観はなかなか凄いですよ!
姉御なvo.&骨太に唸るギターを軸とする、ソリッドかつ哀愁ほとばしるアンサンブルが最高。ドラマチックなオルガンにもグッと来る~。
ブルージーな70sハード・ロックのスタイルを確かに受け継ぐサウンドに好感が湧くなぁ。
なんとポーランドの新鋭とは!
MAGENTAの元メンバー達を中心とする英国の女性voプログレ・バンド、24年作。
ソリッドなギターが牽引する重厚かつ哀愁にも富んだ演奏に、女性ヴォーカルの艶やかな歌声が映えます。
派手さはないもののこれぞ英国プログレという味わいのサウンドが堪りません。
「宇宙旅行」を題材としてるだけあって、SF的なフレイヴァーは随所に散りばめながらも、やはりGLASS HAMMER節と言う他ない完成されたスタイルを楽しませてくれる23年作!
美声とパワフルさを兼ね備えた女性ヴォーカルもいつもながら素晴らしい~。
エキセントリックさ控えめのケイト・ブッシュといった趣の妖艶な美声ヴォーカル。
ヴィンテージ度100%の古式ゆかしきオルガンワーク。その両方を務めるこの女性ミュージシャン、何という逸材!
このイタリア新鋭は要チェックですよ~☆
エレクトロ要素も散りばめた硬質なポスト・ロック調に、ポーランド語で情感豊かに歌う女性voが乗る新鋭モダン・プログレ。
ダークでアヴァンギャルドな音空間が中心ですが、不意にアコギやピアノを基調にした穏やかなサウンドも顔を見せ、ドラマティックに展開します。
現アルゼンチンを代表するシンフォ・バンドの23年スタジオ・アルバム!
もはやNEXUS節と言える、キーボードを軸とする壮大にして哀愁にも富んだシンフォニック・サウンドを、本作でもたっぷりと味わわせてくれますよ~。
哀愁を秘めて歌う女性ヴォーカルも素晴らしいです。
THE WATCHで活動したギタリストValerio Vadoを中心とするシンフォニック・フォーク・プロジェクト。
Mike Oldfield影響下の幻想的なギターサウンド+Annie Haslamに似る慈愛の伊語女性vo。
この世とは思えない幽玄の世界が広がります。
現東欧屈指のシンフォ・バンド、デビュー直後07年ライヴ音源が23年初リリース!
YES彷彿のただでさえファンタスティックなアンサンブルを、メロトロンやフルートそして2人の美声ヴォーカルが美麗に彩るサウンドは、ライヴでも変わらず感動を届けてくれます。
90年代ポーランド、というより、90年代ユーロ・プログレを代表すると言ってもよさそうなシンフォ大傑作。
Genesis、Camel、Renaissanceの最良の部分を抽出して東欧らしいメランコリーで包み込んだようなサウンドは、デビュー作にして見事なまでに完成されてますね。
切々と祈るように歌うエモーショナルな女性ヴォーカルに息をのみます。
イタリアの新鋭グループですが、ルネッサンス直系の気品を漂わせる逸品。
波打つようなピアノを基調とするクラシカルで繊細な演奏と、透明感ある凛とした女性ヴォーカルのなんと美しいこと。
これは心洗われる名作です。
ギリシャはアテネ出身のプログレ新鋭、その女性ヴォーカルの名はエヴァンゲリス。
美しい響きの名前の通りの澄み切ったハイ・トーンに心奪われます。ゲスト参加した伊プログレ注目グループYUGENのメンバーもさすがの仕事をしています。
神秘の森に囚われてしまったような、優美にして妖艶なサウンドが渦巻く至高の一枚!
クラシックからジャズ、民族音楽まで幅広い音楽性を取り込みつつも洗練味を失わないセンス、安定感抜群のテクニックなど、SHESHETらイスラエル・ロックの遺伝子を確かに受け継いだ新鋭!
透き通るような女性ヴォーカルも特筆です。
生ピアノとヴォーカルを基本に、ヴァイオリンとチェロも参加する、完全アコースティック編成で劇的に紡がれるクラシカル・ロックは、息をのむほどに美麗かつ重厚。
美声ながらどこか哀愁味を感じさせる女性ヴォーカルもドラマチックで素晴らしい!
ギタリストが交代し演奏に重厚さと迫力が増しましたが、センス溢れるキーボードワークと女性ヴォーカルが担う、従来の彼ららしいスタイリッシュなシンフォ要素はもちろん健在。
現ポーランド・シンフォ最高峰、23年作!
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2000年代以降のポーランド屈指のプログレ新鋭LOONYPARKを特集!リーダーのソロワークも含めた軌跡を辿ります。
ザクザクとヘヴィなリフを絶え間なく繰り出すギターと、厳かかつミステリアスに歌う美声女性voを軸とするプログレ・メタル。
清涼感あるメロディックなパートも巧みに織り込んでいて、さすがはポーランド産。
1曲で元DREAM THEATERのDerek Sherinianが参加!
次のページは【歌唱力/表現力抜群の女性ヴォーカル】!
ポーランドを代表するシンフォ・グループ。96年作の1st。ほの暗い叙情性を帯びたロマンティシズム溢れるキーボード、丁寧にメロディを紡ぐギター、優美なフルート、憂いある美しいメロディ、透明感溢れる女性ヴォーカル。東欧シンフォを代表する大傑作。
イタリアの新鋭シンフォ・バンドによる12年作。美声女性ヴォーカルをフィーチャーしたフォーク・タッチのシンフォニック・ロックを展開。特徴的なのが何と言ってもその物悲しくもひたすら美しいメロディで、女性ヴォーカルの高い表現力によって神秘的な作品世界が眼前に広がります。さらに演奏面でも繊細に爪弾かれるアコギ、クラシカルな素養が滲むピアノ、演奏をゆったりと支える気品高いストリングスなど、クラシカルなシンフォニック・ロックとしては近年で最高レベルの完成度。RENAISSANCEなどの格調高い英国シンフォから気品漂うメロディアスさを抽出し、より繊細に情感豊かに蘇らせたかのような名作。まさに珠玉の一枚という表現がふさわしい作品です。
ギリシャはアテネ出身、女性ヴォーカル、男性フルート/Key奏者、男声ギタリストによるトリオ、2010年デビュー作。グリフォンやジェントル・ジャイアントから影響を受けているようで、艶やかなヴァイオリン、ミスティックでいて気品に満ちたフルートやリコーダーが彩る、クラシカルかつトラディショナルな優雅さに、ゲスト参加した現代イタリアが誇るチェンバー・ロック・バンドYUGENのKey奏者やD.F.A.のドラマーによるチェンバー・ロック/プログレのエッセンスが加わったサウンドは、圧倒的に瑞々しく幽玄。紅一点エヴァンゲリアの澄み切ったハイ・トーンのヴォーカルも絶品です。これは至高の一枚!
OF NEW TROLLS/UT NEW TROLLSのギタリストClaudio Cinquegrana、女性ヴォーカル/マルチ・プレイヤーElena Hellen Villaらが結成したイタリアのトリオ・グループによる24年デビュー作。テクニカル&シャープなギターを軸とする古き良きプログレ/ハード・ロックの流れを汲むソリッドなアンサンブルと、現代イタリアのグループらしい抜けの良い開放的なメロディの組み合わせが見事。ドッシリとした重量感とスピード感を両立させたこのサウンド、影響を受けているバンドとしてRUSHを挙げているのにも納得です。堂々とした歌いっぷりを聴かせる英語の女性ヴォーカルも聴きモノで、カッコ良さという点では現代プログレの女性ヴォーカルでも屈指ではないでしょうか。70年代憧憬を端々に感じさせながらも決して懐古趣味的にはならず、非常にセンス良く現代のプログレッシヴ・ロックとして練り上げている快作!
イスラエルの新鋭プログレ・グループ、05年作。コシのあるマイルドな歪みのヴィンテージなギター・リフとジェネシス的なハモンドによるファンタスティック&ハードなパート、クラシカルな素養があるリリカルなピアノと端正なクラシック・ギターの上をフルートが軽やかに舞うアコースティックなパート、SHESHETを彷彿させるジャズ/フュージョン的なインプロ・パートなどがめくるめく展開。70年代ブリティッシュ・ロックを軸に、イスラエルらしくジャズやアコースティックな感性をブレンドしたサウンドは、かなり完成度高いです。そして、極めつけは、女性ヴォーカル!透明感あるハイ・トーン・ヴォーカルの美しいこと。クラシックからジャズ、民族音楽まで幅広い音楽性を取り込みつつもさらりとこなすセンス、安定感抜群のテクニックなど、SHESHETなど70年代イスラエル・ロックの遺伝子を確かに受け継いでいます。これは素晴らしいグループ。オススメです!
女性ヴォーカルを擁するイタリアン・シンフォ新鋭、24年作2ndアルバム。冒頭からピアノ、ヴァイオリン、アコースティック・ギター中心に紡がれるオリエンタルな旋律と中世音楽的な格調高さを備えたアンサンブルにグイッと惹き込まれます。イタリア語で歌う凛とした歌声の中に哀愁を秘めた女性ヴォーカルも、演奏陣が描き出す世界観と見事なまでにマッチしていて素晴らしい。キラキラとした音色のピアノと瑞々しいアコギによる神秘的なタッチの演奏に慈愛に満ちた歌声が響くバラードも感動的です。しかし一転してダイナミックなリズムとヘヴィに切り込むギター&荘厳なシンセらが雪崩れ込むヘヴィ・シンフォニックなパートの迫力がまた凄まじく、静謐さとアグレッシヴさとの振れ幅は圧巻の一言。女性ヴォーカルも厳かで緊張感ある歌唱に切り替わり、抜群の表現力を披露します。これは続々と登場している女性ヴォーカル・シンフォの中でも特筆に値する一枚だと思います。傑作!
天才コンポーザー/key奏者Krzysztof Lepiarczyk率いる、現ポーランド屈指の人気を誇る女性voシンフォ・バンド、23年作7th!前作にて初代ヴォーカルが復帰、今作ではギタリストが交代しています。前21年作『7TH DEW』で聴かせたプログレ・ハード的な疾走感あるサウンドを更に押し進めており、新ギタリストによるメタリックなギターワークも相まって、LOONYPARK史上最高の迫力で押し寄せるアンサンブルに冒頭から圧倒されます。もちろん従来の彼らが持つスタイリッシュなシンフォ要素も健在。トーンを巧みに変化しながら生き物のように躍動するシンセ、ここぞで劇的に鳴らされるピアノ、未来的な世界観を演出するプログラミングと、ハイセンスの一言に尽きるキーボードワーク、そしてしなやかさと厳かさが絶妙な塩梅の女性ヴォーカルの魅力は、ハードさを強めたサウンドにおいても変わらぬ輝きを放ちます。一聴ヘヴィなプレイが印象的に思えたギターも、アルバム中〜終盤では前任者に匹敵するメロディアスなソロを連発していてこれまた見事。さらにラスト・ナンバーは、叙情的なピアノをバックに切々と歌うヴォーカル、やがて神秘的な音響が散りばめられ幻想のベールに包まれて幕を閉じる、初期を思い出させる名曲となっており感動的です。やはり現ポーランド・シンフォ最高峰、今回も文句なしの傑作!
結成は90年代初頭まで遡る、イタリアのゴシック・ロック/ヘヴィ・シンフォ・グループ、2024年作。ゴシック・ロック由来のミステリアスな演出や暗いロマンティシズムをたっぷりと練り込んだヘヴィ・シンフォニック・ロックは、さすがベテランと言えるかなりの完成度。祈るような敬虔さと共にどこか正統派ではない妖しさも孕んだ女性ヴォーカルにもゾクゾクさせられるし、そこに狂ったようなピアノやストリングスが覆いかぶさってくるパートは一瞬OPUS AVANTRAになったみたいでまた素晴らしい。一方ギターやリズム隊は、時折理性を失ったように轟音で爆走し始めて、往年のゴシック・ロック/オルタナを偲ばせます。冷気を纏ったようなトーンで終始荘厳に鳴り響くオルガンにも注目です。これはなかなか他では聴けない凄い世界観…!
女性ヴォーカル兼key奏者とギタリストを中心に09年に結成され12年にデビューしたイタリアのプログレ・バンド、2023年作。ヴィンテージ・トーンでワイルドに唸るオルガン、ジャジーで洒脱なタッチのピアノ、ハード・ロック気質の骨太なギターらが絡み合いながら疾走する、バンド名通りの70年代テイスト満点のアンサンブルからして最高なのですが、やはり一番の特徴はケイト・ブッシュばりに妖艶な女性ヴォーカルの存在。と言ってもケイトほどエキセントリックではなく、少しミステリアスな空気を漂わせながらもしっとりと歌い上げるタイプで、美声女性ヴォーカル好きの方にもアピールする声質です。ピアノがリードするジャジーなパートでのお洒落な歌いぶりも堪りません。それにしても、この素晴らしいヴォーカル・パフォーマンスとヴィンテージ度100%のオルガンのプレイを同一人物が務めているとは、何という逸材でしょう。女性ヴォーカル&70年代憧憬サウンドという2つの人気要素を余すことなく楽しませてくれる快作!
現アルゼンチンを代表するシンフォニック・ロック・バンドが放った23年スタジオ・アルバム。アグレッシヴに疾走するリズム・セクション、緊張を煽るスリリングなピアノ、分厚く荘厳に鳴り響くシンセ、哀愁を担うオルガンとギターらが壮大に織り上げるシンフォニック・アンサンブルは、いつもながら圧倒的な映像喚起力を誇っています。そんな演奏にどこか哀感を秘めた美声を乗せる女性ヴォーカルも素晴らしい。中核を担うキーボーディストLalo Huberによる、Keith EmersonとRick Wakemanを合わせたようなフレーズセンスのシンセ・ソロも全編冴え渡っています。キーボード・シンフォ・ファンはとにかく要チェックですよ〜!
イタリアの新鋭シンフォニック・フォーク・グループによる21年作。LETHE、THE WATCHで活動したギタリストValerio Vadoを中心とするプロジェクトで、オーストリアの詩人リルケの作品「オルフォイスへのソネット」を題材にしたコンセプト作です。ディレイやリヴァーブを深くかけたギターサウンドを繊細に折り重ねた夢想的かつ物悲しい音空間と、イタリア語による慈愛に満ちた女性ヴォーカルの調和が息をのむほど素晴らしいシンフォニック・フォークを奏でます。ギターはおそらくMike Oldfieldの影響下にありそうですが、Steve Hillageがプログレ・フォークをやったら…なんてフレーズも頭に浮かんできました。どこかAnnie Haslamの声質に似る女性ヴォーカルもスッと耳になじむ心地よさがあります。終始この世とは思えない幽玄の世界を描写するようなサウンドに圧倒される、ただならぬ一枚です。
ルーマニア内のハンガリー人居住地域、歴史的にトランシルヴァニアと呼ばれる地方を出身地とするシンフォ・グループによる、23年リリースのライヴ・アルバム。デビュー作『HOLDFENYKERT』リリースに伴う07年ツアー中、ブダペストでのプログ・フェス「The MiniProg Festival」出演時のライヴ音源を収録しています。1stアルバムからのナンバーに、メンバーのソロ曲も交えた全10曲をプレイ。タイトで活きの良いリズム・セクション、淡いトーンながらも疾走感たっぷりにリードするギター、色彩豊かに響くシンセらが繰り広げる、YESからの影響が色濃く表れた芳醇なアンサンブル。それをメロトロンや可憐なフルートが幻想のヴェールで覆います。2人の美声女性ヴォーカルによる、ハンガリー語というのを忘れさせるほどにナチュラルな聴き心地の歌声も至上。1stアルバムでシンフォ・ファンを虜にしたあまりに美麗でファンタスティックなシンフォニック・サウンドは、ライヴにおいても変わらぬ輝きを放っていて聴き入ってしまうこと必至です。なおこのフェスには、彼らにとってバンド名の由来ともなったYESのオリジナル・ギタリストPeter Banksも参加しており、最終曲終了後には彼からバンドへの称賛の言葉も収録されていて、本ライヴ作品を劇的に締めくくっています。女性ヴォーカル・シンフォやフルート入りシンフォがお好きな方、そしてPeter Bnaks時代の初期YESがお好きな方には是非聴いていただきたい素晴らしいパフォーマンスです!
女性ヴォーカルを擁するポーランドの新鋭バンドによる22年デビュー作。ザクザクとヘヴィなリフワークを絶え間なく繰り出すギターと、落ち着いたトーンの美声で厳かかつミステリアスに歌う女性ヴォーカルを軸とするプログレッシヴ・メタルを展開。嵐のように吹き荒れるメタリックなサウンドがメインですが、不意に浮遊感あるギターが導く清涼感あるメランコリックなパートへと切り替わる時の鮮やかさも印象的で、ヘヴィネス一辺倒ではない表現の豊かさが魅力的です。最終曲はボーナス・トラック扱いですが元DREAM THEATERのDerek Sherinianが参加したナンバーとなっており、本作の随所で聴けた清涼感溢れるサウンドを集約したようなメロディアスな一曲。DerekもTony Banksのようなオスティナートや、らしさ満点の速弾きソロを惜しげなく披露していて、ドラマティックな良い曲に仕上がっていて聴き所。攻撃性の中にナイーヴな感性が包み込まれたプログレ・メタル良作です。
YESの現ヴォーカリストJon Davisonが在籍した事でも知られる、90年代以降の米国を代表するシンフォ・グループ、23年作21thアルバム!ジャケット・イメージからも伝わるとおり、宇宙旅行をテーマにしたコンセプト・アルバムとなっています。持ち味のキーボードを主体とした重量感たっぷりで厚みあるシンフォニック・サウンドを核に据えつつも、随所でスペーシーなトーンで駆けるシンセが活躍しSF的なスケール感を広げています。いつもながら鉄壁と表現すべき安定感でズシリと刻むリズム・セクション、シンセを支えるように奏でる重厚なオルガンやクリアで気品高いピアノ、疾走感あるパートを牽引するメロディアスかつハードエッジなギター、そして美声でありながらパワフルさも備えた女性ヴォーカル。SF的なフレイヴァーは纏いながらも、やはりGLASS HAMMER節と言える完成されたスタイルを本作でも味わわせてくれます。この重厚でスケール大きくも、あくまでキャッチーな分かりやすさを大事にしたサウンドは、特にYESファンには是非オススメです!
08年デビュー、女性ヴォーカルを擁するポーランドのハード・ロック/ストーナー・ロック・バンドによる24年作。姉御なヴォーカル、骨太に唸るギターを軸とする、ソリッドかつ哀愁ほとばしるアンサンブルが堪りません。ここぞでドラマチックに鳴るオルガンにもグッと来ます。ヘヴィではありがらメタリックさはなく、70年代のブルージーなハード・ロック・スタイルをしっかりと受け継ぐサウンドが好印象。ポーランドのバンドからこの音が聴けるということに驚くと共に、同国シーンの懐の深さを感じずにいられない一枚です。
21年デビュー、女性ヴォーカルを擁するポーランド・プログレ新鋭、23年作。エレクトロニクスも多用しつつ硬質なサウンドを聴かせるポスト・ロック調に、ポーランド語で情感豊かに歌う女性ヴォーカルが乗る、陰鬱にして美しいプログレを展開。ダークさとアヴァンギャルドさを内包したアーティスティックな音空間が中心ですが、不意にアコギやピアノを基調にした穏やかなサウンドが顔を見せ、ドラマティックに展開します。特に女性ヴォーカルMonika Dejkの優しく語りかけるような響きを持つ歌唱が大変魅力的なのですが、残念な事に彼女は22年12月に事故でこの世を去ったとのこと。実にポーランドらしいメランコリックさと美麗さに心打たれる一枚です。
現英シンフォ・シーンの代表的グループMAGENTAの元メンバーであるAllan Mason-Jones (ds)、Dan Fry (b)、Martin Rosser (g/key)らを中心に結成されたバンドの24年作。ソリッドなギターが牽引する重厚かつ哀愁にも富んだアンサンブルに、女性ヴォーカルの艶やかな歌声が映えます。MAGENTAに通じるメロディーのキャッチーさも魅力。派手さはないもののこれぞ英国プログレという味わいに溢れたサウンドは、70sプログレ・ファンにオススメしたいです。
製造上またはレーベル管理上の問題で、ペーパーケースにスレ、CD収納部分の端に破れがございます。予めご了承ください。
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