2024年11月21日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: ブリティッシュ・ロックプログレ
英国ロックの森の奥の奥の方へ。
自主制作された作品やマイナーなレーベルからひっそりとリリースされた作品。そんな作品たちの中にもメジャー・クオリティな作品がゴロゴロ眠っているのが我らが英国ロックの深い森。
VertigoやHarvestの人気作を聴き終えた後には、ドワーフでも出てきそうな森の奥の奥の方へと進んでみてはいかがでしょうか?
メジャーになれなかったのが不思議なくらいの完成度!
2枚、3枚と発表していけば必ずや歴史的名盤を作ったであろうと想わせる風格が漂ってるなぁ。
英アンダーグラウンドの秘宝ですね。
元EIRE APPARENT~HELP YOURSELFで71年に傑作ソロを残したアーニー・グレアム、CAMEL加入以前のコリン・バース、UNCLE DOGやROXY MUSIC周辺での活動で知られるデイヴィッド・スキナーら3人が、黒人メンバー3人と結成したバンド。
編成からしてプロジェクト的要素が強そうですが、ファンキーな演奏とブリティッシュ・ポップ・ロックなメロディ/アレンジの組み合わせがハマっていてこれはグッド。
3人が各曲で披露する、それぞれに味わいあるヴォーカルもいいなぁ。
スワンプ・デュオRO ROやジョン・エントウィッスルのバンドでも活躍した才人Alan Rossや、ATOMIC ROOSTER~IBISのドラマーRic Parnellらが組んだバンド。
本場米国顔負けのファンキーな粘り気と英バンドらしいソリッドなキレの良さがバランスした極上の英ファンク・ロックを聴かせる唯一作!
天下のEMIリリース作なのですが、21年までCD化されずにマイナーなポジションに甘んじていたのが元RARE BIRDや元ATOMIC ROOSTERのメンバーが結成したこのグループ。
このサウンド、例えるならSAD CAFEやO BANDにサザン・ロック的アーシーさを加えた感じ!
こちらも21年にめでたく初CD化を果たした2nd。
ドラム&ベースが繰り出すファンキーだけどクールなリズムに乗って、ギターとヴァイオリンがシャープなトーンで哀愁フレーズを応酬させるアンサンブルが兎にも角にもカッコいい!
特にこの後Automatic Manで活躍する黒人ベーシストJerome Rimsonによる音数多くもごきげんグルーヴィーなベースの気持ちよさと言ったらありません…。
ジョージ・マーティンのプロデュース作の中でもとりわけニッチ&ディープな一枚ですね。
英ロックと米ロックとの豊かな出会いをストリングスが優美に包み込むフォーク・ロックが絶品です。
さらには幻の2nd音源も収録した全20曲!
説明不要の人気グループですが、フィル・コリンズも参加するこの最終作は2020年までCD化されていませんでした。
ずばり、10ccかと思う程のひねりの効いたモダン・ポップ・テイストとBRAND Xばりにタイトに攻めるテクニカル・アンサンブルの合わせ技!
続いてもむしろメジャーなアーティストですが、初リリースの最初期音源集ということでピックアップ!
あのゴドレイ&クレームの2人が、10cc結成前67-69年に残した音源の数々!
全盛期10ccそのものと言える完成度のナンバーも多数収録した、全ての英ポップ・ファンへの素晴らしい贈り物!
「田舎のPILOT」はたまた「田舎のELO」って感じ!?
コシのある太いギターとコロコロ愛らしいキーボードのコンビが駆け抜けるビートリッシュなポップ・ロックに、柔らかなフォーキーさも織り交ぜた、70s大英帝国ポップの隠れ逸品!
後にGENTLE GIANTへと加入するドラマーJohn Weathersがプロデュース/アレンジで関わった70年唯一作。
ソウルフルなダミ声ヴォーカルとダルダルに歪んだギターのバッキング、スワンプ・チックなスライド・ギターに格調高いオルガンの織り成すボリューム満点ブリティッシュ・ハード。
いかにも英国的な叙情性と起伏に富んだプログレッシヴなアンサンブルが素晴らしい70年の名作に加え、近年再始動して発表された15年作&18年作も収録した全作入りアンソロジー!
SQUEAREというマイナーレーベルより70年にリリースされた唯一作は、原盤は激レアで高値で取引されているマニア垂涎の一枚。
優美なアコギやピアノを基本にメロトロンや管弦楽器が絡む、英国的な叙情と起伏に富んだアンサンブル。そして、しっとりと歌い上げるヴォーカルと優美なメロディ。
VERTIGOやHARVESTの作品にも比肩する逸品です。
愛すべき英オルガン・ポップ・グループ、全2作品+未発表音源を収録。
ポップさの中に時おりハッとする美しさを見せる珠玉のメロディと、軽快かつ哀愁も帯びたオルガンの組み合わせが絶品!
キャラヴァンやゾンビーズが好きなら是非聴いて欲しい☆
ロジャー・チャップマン率いるバンド、ファミリーが設立したレーベルRAFTより74年にリリースされた唯一作。
ピーター・ハミルとデヴィッド・ボウイが好きなら、このヴォーカルは気にいるでしょう。
内省的でメランコリックで、なおかつ荘厳でハードで。これぞブリティッシュ・ロック。
あのCHESSレコードの傘下レーベルCadet Conceptからリリースされたニッチな逸品!
アメリカとイタリアでしかリリースされなかった幻の英ロック作品で、まるで初期ビー・ジーズとユーライア・ヒープをあわせた感じ?
このそこはかとない侘しさ、哀感。ノリの良い展開でもどこか愁いを帯びたサウンドが堪りません。
JASON CRESTやORANG-UTANに在籍したメンバーによるブリティッシュ・ロック・グループ、73年に録音されつつも20年間お蔵入りになっていた2nd。
ウィッシュボーン・アッシュばりの骨太かつスリリングなツインギターに、憂いある哀愁のヴォーカル。
カントリータッチの米憧憬も上手く織り込んでるし、これが20年ものあいだ未発表だったとは信じられないいぶし銀の英ロック名品です。
こちらも70年代半ばに録音されながらお蔵入りとなった激レア発掘音源ですが、ずばり70年代ブリティッシュ・ロック・ファン必聴!
バーバラ・ガスキンを彷彿させる女性ヴォーカルの歌心あふれる美メロ、その裏で歌い続ける哀愁のギター、いかにも英国的なくすんだトーンのオルガン…。
とめどなく溢れる叙情美にグッときちゃいますよ~。
Rod Stewartのプロデュースで唯一作をリリースしたバンドGRAILのシンガーChris Williamsが渡独し、現地ミュージシャンらと結成したプログレ/ポップ・ロック・バンド。
というわけでほぼドイツのグループなんですが、クラシカルなエッセンスをセンス良く取り入れた、グリーンスレイドやグリフォンあたりと肩を並べる隠れた好グループ。
イエス直系プログレのファンは是非一聴を!
こちらもイギリス出身でドイツのみでリリースされた作品ですが、さらにジャケは星条旗ってなんじゃそれ!?
ツッコミ所はありますが、中身は英国臭と米国臭がブレンドされたトラフィックやプロコル・ハルムに通じる芳醇な逸品。
旧A面では米国色強いスワンピーなサウンドを、B面ではグッと英国臭が増した哀愁のサウンドを楽しめるという、一枚で二度美味しい作品でもあります。
英国ロックの魅力?そうだなあ、憂いたっぷりのメロディ、豊かなハーモニー、くすんだトーンのオルガンは外せないよなあ~。
えっ、このバンドに全部入ってるって!?
70年代初期に活動しながら作品をリリースせずに解散した幻のグループ、71~73年の音源をまとめた発掘盤!
VELVET OPERAやSTRAWBSへの参加で知られるギタリスト、『TUBULAR BELLS』を手掛けたトム・ニューマンによるプロデュースの78年ソロ。
躍動感あるアコギを軸に、哀愁のフレーズを紡ぐエレキギター、ジャジーなブラス・セクション、シンセサイザーなどがスリリングにフレーズを応酬させる16分の大作が素晴らしい完成度。
トラッドな雰囲気を醸し出しつつも牧歌的になりすぎることなく、ハード・ロックやジャズ、シンフォなど様々なアプローチで楽しませてくれる逸品です。
ここからは知られざる英ジャズ・ロックの名盤をご紹介してまいりますよ!
英国はバーミンガム出身のジャズ・ロック・グループ。73年に自主制作された唯一作。
洗練されているとは言えないものの、R&Bタッチの洒落たタッチと英国的な叙情性に富んだアンサンブルは愛すべき魅力いっぱい。
トントン・マクートやランニング・マンやサムライあたりのファンは、「おおっ」となることでしょう。
ちゃんとしたプロデューサーのもとしっかりと録音され、ネオンあたりからリリースされていれば、きっと人気作となっていたはず!
こちらは77年にリリースされた英ジャズ・ロック作品。
アルティ・エ・メスティエリ彷彿のスピードとテクニック、そしてカンタベリー・ロックに通じる柔らかくしなやかな音色使い…。両者が完璧に調和したこんな凄いジャズ・ロックがイギリスに存在したなんて。
マイナーですが、ずばり全ジャズ・ロック・ファン必聴!
こちらも無名ながら超ハイレベルな英ジャズ・ロック!
カンタベリー・ロックやジェントル・ジャイアントを彷彿させる捻りあるセンスと圧倒的なテクニック。
どの曲も緻密に組み上げられた手工芸品のような完成度を誇っていて、こりゃ素晴らし~!
次は知られざる女性ヴォーカルもの英ロックをどうぞ。
男女ヴォーカルをフィーチャーしたブリティッシュ・アンダーグラウンド・プログレの72年作。
バンド名も(なぜ時間と蝿!?)ジャケもアングラ臭プンプンですが、フォークを軸としつつここぞでメロトロンやフルート、エレキのリフが炸裂するこのサウンドはなかなか只者じゃありません。
スプリングやパーラー・バンドに女性ヴォーカルが入ったような、どこか張り詰めた空気感が個性的な一枚。
英ギタリストRod RoachがHORSE解散後に結成したグループって、マイナーもいいとこ?
しかしながらプロデュースはなんとYARDBIRDS~RENAISSANCEのキース・レルフ。
気品ある女性Voと癖のあるギター・・・RENAISSANCEをめちゃくちゃいなたいハード・ロックに寄せたような、味わい深いサウンドが楽しめる作品です。
こちらはずばり「粗野なルネッサンス」!?
生々しく躍動するギター、前のめり気味なドラムと格調高いピアノやオーボエ、アニー・ハズラムを思わせる美麗女性ヴォーカルの対比が新鮮。
原盤はメガレアの英国72年作!
ロンドン東部に位置するダグナム出身のグループ、71年の唯一作で、原盤は極小数枚がプレスされたのみの激レア盤。
ジェファーソン・エアプレイン × イエス ÷ 英国田園風景って感じの英国マイナープログレ快作!
ラストは、CLEAR BLUE SKYやPATTOら比較的有名所から、当時アルバムを残さなかった超マイナーバンドまでを収録した、19年編集の70s英国ロックレア音源コンピ!
底知れぬ70年代ブリティッシュ・ロックの深みを実感できる一枚です♪
いかがでしたか?
みなさまにとってぴったりの一枚が見つかれば幸いです。
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聴かなくなったプログレ&オールド・ロックのCDがございましたら、カケレコを是非ご検討ください。
1枚1枚、専任スタッフが丁寧に査定させていただきます。
1974年に英ブリストルで結成、2人の管楽器奏者を擁する7人組ジャズ・ロック・バンドによる77年の唯一作。このサウンド、ずばり「アルティ・エ・メスティエリ meets カンタベリー・ロック」!手数多くも精密に刻む技巧的なドラミング&ベースが作り出すタイトかつスピーディなリズムに乗って、流れるように快速フレーズを繰り出すギター、ふわりとファンタジックな音色を紡ぐエレピ&シンセ、そして艶のあるしなやかな音色で駆け抜けるフルート&サックスが躍動。アルティばりのスピードとテクニックでひた走るテクニカル・ジャズ・ロックに、カンタベリー風の優雅で芳醇な管楽器群を重ねたこのアンサンブル、ジャズ・ロック然とした強度と、柔らかく軽やかなタッチが見事に一体となっていて、もうとにかく素晴らしすぎます。アルバム後半で聴けるアコースティック・ギターをメインとする地中海的エキゾチズム薫るアンサンブルも極上。こんな大変な傑作がまだイギリスにあったなんて!と驚かずにはいられない逸品です。
ロジャー・チャップマン率いるバンド、ファミリーが設立したレーベルRAFTより74年年にリリースされた唯一作。声を張った力強い歌声、David Bowieを想わせるセンシティヴな歌声ともに魅力的な存在感あるヴォーカル。内省的でメランコリックなメロディ。バンドによるコシのあるハード・ロック・アンサンブルと、全編にフィーチャーされた艶のあるストリングス・アレンジとが見事にかみ合った、荘厳でドラマティックなサウンドが印象的。英国叙情が堪能できるブリティッシュ・プログレの名作。プロデュースは、ロジャー・チャップマン!
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
軽微な折れあり
70年代半ばに録音されながらお蔵入りとなった激レア発掘音源。オリジナル・マスター・テープからの再発盤。英国らしい叙情性が胸を打つ美しいメロディ、そしてしっとりと歌い上げるハイ・トーンの女性ヴォーカル。ライナーにはバーバラ・ガスキンを彷彿とさせると書いてありますが、確かにその通り。歌メロの裏で泣きのフレーズを紡ぎつづける歌心満点のギター、くすんだトーンのいかにもブリティッシュなオルガン。タメの効いたリズム・チェンジでドラマティックに彩るアレンジも見事。1曲目の「Golden Age」から名曲で、溢れ出る叙情美にグッとこないブリティッシュ・ロック・ファンはいないでしょう。リリカルな前半から後半に向けてスピード・アップしながら一気に畳みかける展開の中、どんどんとヒートアップする止めどないメロディアスなギター・ソロに拳を握りしめること間違いなし!2曲目は一転して優美なフルートが導く神秘的なフォーク・ロック。こちらも絶品。この1・2曲目は英ロック・ファン必殺と言える出来映えです。マスター・テープの状態のためか高音が割れ気味の音質が若干残念ですが、それをおぎなって余りある素晴らしい楽曲。英ロック/プログレ・ファン、是非、聴いてみてください!
元RARE BIRDのMark Ashton(vo/g)を中心に、元ATOMIC ROOSTERのメンバー、後にRIFF RAFFやEAST OF EDENで活動するメンバー達によって結成されたブリティッシュ・ロック・グループ、74年デビュー作。このサウンド、例えるならSAD CAFEやO BANDにサザン・ロック的アーシーさを加えた感じ。カッチリとタイトに刻む緻密にして疾走感たっぷりのリズム隊、線の太いブルージーなプレイに痺れるギター、そしてコーラスを纏って哀愁いっぱいに歌い上げるヴォーカル。英バンドらしいタイトな職人肌のアンサンブルと、南部ルーツ音楽的なアーシーさと骨太さを持つ音楽性が絶妙に組み合わさっていてこれは見事です。ヴァイオリンの存在も印象的で、2曲目など泣きのギターと絡みながら物悲しい旋律を奏でるG&Vlnのツイン・リード・ソロには目頭が熱くなります。上記したSAD CAFEやO BAND、またALAN ROSS関連の作品に惹かれた方なら、この作品も是非!
英アンダーグランド・シーンを代表するグループ、72年の唯一作。タメの効いたタイトなリズム隊、ブルースが根っこにあるメロウなギター、英国的叙情性に溢れたメロディ、若干線が細いものの丁寧に歌い上げるヴォーカル。「間」が心地良い絶妙なグルーヴ感は、FREEを彷彿とさせます。1曲目で聴かせる巧みなリズム・チェンジと、リズム・チェンジに合わせて歪んだギターが切れ込むドラマティックな展開など、アレンジも見事。黙々と演奏する絵が浮かんでくるような、職人気質のストイックな雰囲気が印象的。メジャーになれなかったのが不思議なくらいの完成度。2枚、3枚と発表していけば必ずや歴史的名盤を作ったであろうと想わせる風格漂う名盤。かなりグッときました。おすすめです。
元GUN〜THREE MAN ARMYのPaul Gurvitzと後にBADGERで活躍するBrian Parrishによるユニット。CD2に収録の唯一作1stは、George Martinによるプロデュースで、ストリングス・アレンジもすべて担当。スワンプ・ロック寄りのタイト&ルーズなノリの中、英国的叙情に溢れる優美なメロディとメロウなギターが美しい陰影を描く英フォーク・ロック。全編にフィーチャーされたCS&Nばりの豊かなコーラス・ワークも聴き所。くすんだアンサンブルと鮮やかで格調高いストリングスが織り成すコントラストも見事です。CD1には未発表の2ndアルバムを収録!
ZOMBIESのキーボーディスト/コンポーザーとして活躍した才人Rod ArgentがRuss Ballardらと結成したグループ。Russ Ballard脱退後の2作目にして最終作となった75年の7thアルバム。10ccかと思う程のひねりの効いたモダン・ポップ・テイストと、タイトに攻めるテクニカルなアンサンブルの組み合わせが気持ちいい、極上のブリティッシュ・ロックを聴かせてくれます。注目が一部楽曲におけるPhil Collinsの参加。2曲目や5曲目がおそらく彼の参加曲で、まさしくBRAND XやRTFばりの怒涛のテクニカル・ジャズ・ロックが繰り広げられて興奮必至です。Rod Argentの舞うように流麗なエレピさばき、John GrimaldiのGoodsallばりに音数多く切れのあるギターも素晴らしい。プログレ+モダン・ポップというスタイルで言うと、SAD CAFEにも近い聴き心地を持った充実の一枚となっています。
元EIRE APPARENT〜HELP YOURSELFで71年に傑作ソロを残したErnie Graham、CAMEL加入以前のColin Bass、UNCLE DOGやROXY MUSIC周辺で知られるDavid Skinner、そしてナイジェリア出身でGinger Baker’s Airforce/Stephen Stills/BABE RUTH/Jim Capaldi他の作品に参加した腕利きパーカッショニストGaspar Lawal、アフロ・ロック・バンドNOIRで活動したドラマーBarry Ford、ギタリストDave Vascoら黒人メンバー3人の、計6人組ロック・バンドによる75年デビュー作。ファンク・テイストを帯びたグルーヴィなアンサンブルと、ブリティッシュ・ポップ・ロックなメロディ/アレンジの組み合わせがハマっていてこれはグッドです。ジャジー&ファンキーなリズムやクラヴィネット/エレピ、ワウワウの効いたギター、メロディアスなサックスらが織りなすコシの入った演奏に、白人メンバー3人が各曲でヴォーカルを取るのが特徴。クセのない人懐っこい歌声に親しみが湧くDavid Skinner、さすが哀愁とコクのあるヴォーカルが素晴らしいErnie Graham、そしてファンキーな演奏によく合うシャープな歌唱がカッコいいColin Bassと、それぞれの味があるヴォーカルを披露していて聴きモノ。ファンキーなブリティッシュ・ロックとしてO BAND(A BAND COLLED O)やKOKOMOあたりが好きな方にもオススメできる内容です!
後にGENTLE GIANTへと加入するドラマーJohn Weathersがプロデュース/アレンジで関わった70年唯一作。サウンドは、ブルース・ロックをベースに、サイケやスワンプ・ロックを吸収した泥臭く骨太なハード・ロック。重厚なリズム・ギターとオルガンによる混沌としたバック陣と、いかにもブルース・ロック的なバキバキに歪んだスリリングなリード・ギターとによるバトルは聴き応え充分。ダミ声のヘヴィなシャウトでハードなバンド演奏と対峙するヴォーカルも存在感抜群。EYES OF BLUE〜BIG SLEEPのメンバーが在籍しているだけあって、アコースティカルな楽曲で聴かせるリリカルなメロディーも魅力的です。
元RARE BIRDのMark Ashton(vo/g)を中心に、元ATOMIC ROOSTERのSteve Bolton(g)や後にRIFF RAFFやEAST OF EDENで活動するメンバー達によって結成されたブリティッシュ・ロック・バンドによる75年2nd。前作でも米ロック的なアーシーさが印象的でしたが、今作では陰影あるブリティッシュ・ロックを基調に、ファンキーなグルーヴ感覚を取り入れたサウンドを繰り広げます。グルーヴィに躍動するドラム&ベースが生むファンキーなリズムに乗って、ギターとヴァイオリンがシャープなトーンで哀愁フレーズを応酬させるアンサンブルがとにかくカッコいい!特にこの後Automatic Manで活躍する黒人ベーシストJerome Rimsonによる音数多くもゴキゲンな技ありベースプレイの気持ちよさと言ったらありません。そんな演奏に合わせスタイリッシュに歌うMark Ashtonのヴォーカルも特筆。ファンキーではありながら熱量や粘りはさほどではなく、あくまでブリティッシュ・ロックとしてのシャープでクールな魅力に落とし込まれているのが、本作ならではの味わいと言えるでしょう。同系統のアプローチを持つO BANDが気に入った方には是非聴いて欲しい一枚!
John Entwistleのソロ作への参加、そして英スワンプ名作を残したデュオRO ROの片割れとして活動したギタリスト/ヴォーカリストAlan Rossを中心に、KESTRELのキーボーディストだったJohn Cook、ATOMIC ROOSTERや伊バンドIBISのドラマーを務めたRic Parnell、キーボーディスト/サックス奏者Lance Dixon、ベーシストPeter Matthews、そしてヴォーカルのSimon Laitによって結成されたバンドの75年唯一作。本場アメリカ顔負けのファンキーな粘り気と英バンドらしいソリッドな音使いがバランスした極上のブリティッシュ・ファンク・ロックを聴かせてくれます。しなやかかつ技巧も見せる流石のドラミング&腰の入ったベースによってグルーヴ満点の気持ち良いリズムが刻まれる中を、ハード・ロック由来のキレのあるフレーズを弾き飛ばすギター&カラフルなキーボード群が快走。どうやらJohn Cookは演奏には関わっていないようですが、それを補って余りある元JAMES TAYLOR MOVEのLance Dixonの存在が光ります。ファンキーに跳ねるクラヴィネット、ギターとスリリングなソロ回しを演じるシンセのプレイ、そして要所では饒舌なサックスでアーバンな空気まで加えていて、八面六臂の活躍を見せていて素晴らしい。さらにSimon Laitの黒人かと思うほどにソウルフルで貫禄あるヴォーカルも、ファンク・ロックとしての本格感を付与していて見事です。ギターに専念したAlan Rossの痛快に弾きまくるギターワークももちろん最高。たった一枚に留まったのが惜しいと思わずにいられない快作!
VSCD6098(BIGPINK787)(BIG PINK)
紙ジャケット仕様、英文ペーパー付仕様、定価2700+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
アイルランド出身、ギター、キーボード、ベース、ドラムの4人からなるプログレ/ジャズ・ロック・グループ、76年の唯一作。安定感あるリズムと流れるようなタッチのギター&エレピが紡ぐ端正なジャズ・ロックがベースとなっていますが、その音楽性は実に多彩。77年に唯一作を残した美声女性SSW、Rosemarie Taylorをフィーチャーしたカンタベリー・ロックに通じる柔らかくロマンチックな3曲目、GGのケリー・ミネアの作風を思わせる浮遊感あるプログレ・ナンバー、バグパイプ風のキーボードのプレイがカッコいいアイリッシュ風味香るテクニカル・ジャズ・ロックなど、バラエティに富みつつもどの曲も緻密に組み上げられた手工芸品のような完成度を誇っており実に素晴らしいです。ラストは初期GGのアルバムに入っていてもおかしくないほどの凝りに凝った展開とコーラスに彩られたナンバーでハイライトの一つ。底知れぬ技巧と捻りあるユニークな音楽センスを備えたグループによる名盤です。
ロンドン東部に位置するダグナム出身のグループ、71年の唯一作で、原盤は極小数枚がプレスされたのみの激レア盤。男女ツイン・ヴォーカルで、曲によってリードを分け合うスタイルで、ツイン・ギターとリズム隊による6人組。粒立ちの良いトーンで音数多く畳み掛けるドライヴ感抜群のギター、ゴリゴリと疾走するベースとパワフルに叩きまくるドラムによる強靭なリズム隊は、ザ・フーは初期イエスを彷彿させますが、女性ヴォーカル、男性ヴォーカルともにフォーキーといいますかドリーミーで陰影たっぷりで、そのコントラストがこのバンドのオリジナリティ。クラシック・ギターの素養とともに、サイケやフォークやジャズのエッセンスを散りばめたようなギタリストはかなりユニークなフレーズを連発していて、チェコあたりのテクニカルなギタリストも彷彿させます。ツイン・ギターのリードも特筆。ジェファーソン・エアプレインとイエスを掛けあわせて、英国田園風景で割ったような何とも個性的なマイナープログレ快作です。
英国はバーミンガム出身のジャズ・ロック・グループ。73年に自主制作された唯一作。ギター、ベース、ドラム、ピアノ兼フルートの4人組で、全曲インストゥルメンタル。ちょっとバタバタとしていて英国的な哀愁に満ちたドラムとよく動くベースによるリズム隊を土台に、ファズを効かせたギターがたゆたうようにメロディアスなギターを奏で、そこに流麗なエレピや陰影に富んだフルートがからみます。洗練されているとは言えないものの、R&Bタッチの洒落たタッチと英国的な叙情性に富んだアンサンブルは愛すべき魅力いっぱい。トントン・マクートやランニング・マンやサムライあたりのファンは、「おおっ」となることでしょう。ちゃんとしたプロデューサーのもとしっかりと録音され、ネオンあたりからリリースされていれば、きっと人気作となっていたはずです。オススメの一枚。
70年代初期に活動しながら作品をリリースせずに解散した幻のグループ。彼らが71年〜73年に残した音源をまとめた発掘盤。鼻に掛かった親しみやすいヴォーカル、憂いに富んだ英国的なメロディ、淡いトーンの叙情性溢れるオルガン、優美なフルートなど、これぞ英国ロックと言える楽曲はたいへん魅力的。アルバムを残せなかったのが不思議なほどに豊かなメロディ・センスと安定感のあるアンサンブルを持った好グループ。派手さはないものの、じっくりと味わい深い佳曲揃いの好発掘盤。叙情的なブリティッシュ・ロックのファンは必聴!
70sブリティッシュ・ハード・ロックのレア音源17曲を収録した、19年編集のコンピレーション。2019年は『DOWNER ROCK ASYLUM』『PROG-ROCK PORTAL』と同レーベルから続々とレア音源コンピがリリースされていますが、今作も英ハード・ファンならたまらないセレクト!CLEAR BLUE SKY、HACKENSACK、PATTOら比較的名を知られるグループから、SLOWBONE、SAM APPLE PIE、SWEET SLAGなど知る人ぞ知る実力派グループ、そしてARGUS、LIVING DEAD、ROLLS UPといった当時アルバムを残さなかった幻のグループ達まで、底知れぬ70年代ブリティッシュ・ロックの深みを実感できる内容となっています。プログレッシヴな構築性とゴリゴリと荒々しいブルース・ハードなアンサンブルとの対比に痺れるCLEAR BLUE SKY『Veil of The Vixen』、息の合ったツインギターのコンビネーションが気持ちいいハードブギSAM APPLE PIE『Old Tom』、初期サバス直系の重量級ハード・ロックを聴かせるLIVING DEADなどが出色!
ブリティッシュ・ロック・グループ。71年にドイツのみでリリースされた作品。レーベルは、BELLAPHON。中域寄りにバキっと歪んだコシのあるスワンピー&メロウなギター、サザン・ロックに通ずる豪快なリズム、郷愁を誘うメロディアスなオルガン&エレピ、哀愁いっぱいでグッとくるメロディと分厚いコーラス・ワークが印象的な土臭いハード・ロック。旧A面はアメリカナイズされたサウンドですが、B面はグッと英国臭がまし、泣きのツイン・ギターや憂いに溢れたメロディがたまりません。特に『Just Aint Fair』は、PROCOL HARUMばりの土臭くも叙情あるメロディがこれでもかと溢れる名曲。全体的に演奏には厚みとキレがあり、メロディ・センスも抜群。英国でリリースされなかったのが不思議なほどの逸品。
70年に99枚のみ自主制作した激レア盤で知られる幻の英オルガン・ロック・グループ。70年と71年作にそれ以降の72年〜78年に録音された未発表音源を収録したアンソロジー。8分間のプログレッシブ・ロックなど聴きどころ!
3枚組ボックス、各CDはペーパーケース仕様、ブックレット付仕様
盤質:無傷/小傷
状態:良好
2枚は無傷〜傷少なめ、1枚は傷あり
ギター/ヴォーカルのAndy Arthursを中心とする英ポップ・ロック・グループ、75年の唯一作。冒頭ミステリアスな讃美歌で幕を開けたかと思うと、いきなり女性の叫び声が荘厳な雰囲気を突き破り、POLOTのように伸びやかなポップ・ロックへとなだれ込んでいく1〜2曲目の時点でマジカル!コシのある太いギターとコロコロと愛らしいキーボードのコンビが駆け抜ける、PILOTやELOばりのビートリッシュなポップ・ロックが痛快です。その合間に鳴らされる、アコギと柔らかい管楽器の音色が素敵なフォーク・ロック調もまた絶品。また多彩に変化するコーラスワークにも注目で、QUEENばりのオペラチックな多声コーラスから涼風のように爽やかなウエストコースト調まで、ここぞというパートでサウンドを盛り上げていてGOOD。これは70年代大英帝国ポップの隠れ名品!
ずばり「粗野なルネッサンス」!?原盤はメガレアとして知られる幻の72年英国プライベート・プレス作品!何と言ってもアニー・ハズラムを思わせる女性ヴォーカリストの美声が特筆。生生しいトーンで縦横無尽に躍動するギターや前のめり気味のドラムは「いかにも一発録り」というガレージ・チックな雰囲気ながら、そこに気品あるピアノや伸びやかな女性ヴォーカル、さらにオーボエやフルートといった管楽器が加わると、一気にルネッサンスを思わせる荘厳で神秘的な音空間に。その一方でレイト60’sの残り香たっぷりのオルガンをフィーチャーしたサイケ・パートあり、ピアノやギターやリズム隊が流麗でジャジーに絡み合うパートありと、振り幅の大きい自由奔放さも魅力的です。英サイケや知られざるブリティッシュ・ロックのファンは要チェックの逸品!
10ccそしてその後のユニットGODLEY & CREMEで大活躍した2人、Kevin GodleyとLol Creme。彼らが10ccへと発展するバンドHOTLEGS結成以前の67-69年に残していた楽曲を収録した音源集がこのたび初リリース!69年にFRABJOY & RUNCIBLE SPOON名義でリリースされたシングル「I’m Beside Myself」(Eric StewartとGraham Gouldmanも参加!)を冒頭に7曲目までは、当時未リリースに終わったアルバムの音源を収録。以降はGouldmanによるパフォーマンス1曲を含むレア楽曲の数々を収録しています。注目は未発アルバムからのナンバーで、持ち前の繊細でメランコリックなハーモニーが素晴らしい「Chaplin House」、初期10cc彷彿のハイセンスなロック・チューン「Cowboys And Indians」、そして全盛期10ccそのものな浮遊感あるメロディラインとハーモニーに驚く「Fly Away」「Today」などハイクオリティな楽曲が満載。中でも名曲と呼ぶべき「Today」で聴ける、10ccナンバーにレイト60sサイケ・ポップ的煌びやかさを纏わせたようなサウンドは大変興味深いです。これは全ての英国ポップ・ファンへの素晴らしい贈り物!
イギリスのプログレ・グループ、70年作+15年作+18年作の全アルバム3枚に、未発表音源を多数ボーナストラック収録した決定版アンソロジー!70年作は、1人の男性の人生をテーマにしたコンセプト・アルバムで、優美なアコギやピアノを基本にメロトロンや管弦楽器が絡むこれぞブリティッシュ・ロックな楽曲、フルートやサックスをフィーチャーしたプログレッシヴな楽曲、フォーク・タッチのリリカルな楽曲、VERTIGOのバンドを彷彿とさせるヘヴィ&ジャジーな楽曲などを織り交ぜた起伏に富んだ名盤。
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