2019年3月6日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ佐藤です。
フレンチ・プログレならではの魅力の一つと言えば、フランス語の耽美かつアンニュイな響きを生かしたシアトリカルなヴォーカル・スタイル。
時に語りかけるように切々と、時には役に入り込みすぎた役者のように鬼気迫る表情でまくし立てる変幻自在なパフォーマンスが、聴き手を作品世界へ深くいざなう効果を発揮します。
今回は、フレンチ・シアトリカルの代表格と言えるANGEを出発点に、フランス伝統のシアトリカルなパフォーマンスが楽しめる作品を新旧織り交ぜてピックアップしてまいりましょう~☆
イギリスにピーター・ガブリエルがいるなら、フランスにはフランシス・デキャンがいる! ジェネシス直系のシアトリカルなスタイルが、芸術の国フランスの地で増幅されアウトプットされた傑作!
こちらは18年にめでたくリイシューされた、オリジナル・メンバーによるラスト作となった92年作。これが原点回帰といえる輝かしく溢れんばかりのロマンを湛えたシンフォニック・ロックがひたすらに素晴らしい傑作!、もちろん仏シアトリカル・ヴォーカルの始祖フランシス・デキャンの濃密なヴォーカルもたっぷり楽しめます。
まるでフランス伝統のシアトリカル・ロックをオルタナティヴ・ロック的ヘヴィ・サウンドで解釈したようなセンスみなぎるフレンチ・プログレ!なるほど、82年に作品を残したSTEP AHEADのメンバーによるバンドなのか。
中期クリムゾンの荘厳さ+フランス特有の耽美な幻想性。時折姿を見せるシアトリカルな表情も相まって、作品世界へと引きずり込む魔力に溢れたユーロロック屈指の名作。
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こちらもクリムゾン系フレンチ・プログレの名作。浮遊感のあるエフェクトを駆使しながら独特のサイケデリックかつシンフォニックなサウンドを繰り広げます。さほど出番は多くないものの、幻想的な雰囲気の中で歌われるヴォーカルにも注目です。
数ある数あるフレンチ・プログレ・マイナー盤の中でも、これは間違いなく最奥に位置する中の一枚。アコギ、エレピ、サックスらが紡ぐこのどこかミステリアスで浮遊感ある音使い、そしてシアトリカルさも含んだヴォーカル、どうしようもなくフランスだなぁ。枯れた哀愁もたっぷりと含んだメランコリックかつ浪漫あるジャズ・ロックの逸品です。
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これぞANGE直系と言えるシアトリカルで濃密なフレンチ・プログレを聴かせてくれる20年作!フランス語の耽美かつアンニュイな響きを尊重しつつ自己陶酔たっぷりに歌い上げるヴォーカル・スタイルがもうたまらんですね。ANGE好きなら必聴の濃密なフレンチ・シンフォが楽しめますよ~。
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今回は、往年の名アーティストへの憧れを特に強く感じさせる新世代ミュージシャンの作品にフォーカスしてまいりたいと思います!70年代のプログレに親しんだ方にこそ驚いてもらいたいラインナップでお届けいたしますよ☆
名前はHALLOWEENだけど、どっちかと言うとANGEに影響を受けたグループ。フランスらしいファンタスティックさと薄暗さを併せ持つサウンドにフランス語のナレーションをフィーチャーしながら展開する、フランスならではのシアトリカルな感性が光る名作。
メロトロン、ソリーナ、ローズ、ハモンドなど、ヴィンテージ・キーボードがこれでもかと溢れるファンタスティックなフランス新鋭!フランスらしいエレガントな音運びもたまんないなぁ。本人もアンニュイなフランスらしい歌声を聞かせますが、ゲスト参加するアトールのVoアンドレ・バルザーもさすがで、2人のシアトリカルなデュエットも大いに聴き所!
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70年代の楽器と見なされている節があるメロトロンですが、プログレにおいては現在も現役バリバリの楽器であることはご存知でしょうか。今回は、そのあたりが実感していただけるメロトロンが溢れまくりの新鋭プログレ作品をご紹介してまいりましょう~。
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優雅さの中に甘やかな丸みを帯びた出音が特徴的な、ストリングス・シンセサイザーの名器ソリーナ・ストリング・アンサンブル。そんなソリーナの音色が堪能できるプログレ作品を各国よりピックアップしてまいりましょう☆
モダン&ハードなギターとネオ・プログレ直系のシンセが生むコントラスト、そしてフランスらしいエモーショナルなヴォーカル。なんともしっとりとメランコリックで、音が気持ちいい!
フランスのマルチ・ミュージシャンJeremie Grimaを中心とするメロディアス・シンフォ・プロジェクトなのですが、この17年作、ヴォーカルは殆どないにもかかわらず、シアトリカル・ロックと呼んでしまいたい雄弁な音の流れがあります。重厚なヒューマンドラマを観たような気分にさせる完成度の高いシンフォ作!
気になる作品が見つかれば嬉しく思います!
ヴィンテージ・キーボードやエレクトリック・ブズーキを操るマルチインストゥルメント奏者、MOTISことEmmanuel Tissot率いるグループ。2014年作6th。ANGE直系のシアトリカルなシンフォニック・ロックを軸に、MALICORNEに通じるフレンチ・トラッドのフレイヴァーが香るサウンドが持ち味。とにかくメロトロンM400やソリーナやローズやハモンドなどヴィンテージ・キーボードがこれでもかとフィーチャーされていて、特にメロトロンが大活躍!幻想的に溢れるメロトロンをバックにリリカルに紡がれるハモンド、そして、スティーヴ・ハケットを彷彿させる格調高いマンドリンやブズーキが織り成すファンタスティックなアンサンブルは、ジェネシス〜アンジェあたりのファンはたまらないでしょう。MOTISによるフランス印象派絵画のように柔らかで親しみやすいハイ・トーンのヴォーカルとフックあるメロディも特筆。なんと、アトールの名ヴォーカリスト、アンドレ・バルザーがゲスト参加し、1曲でヴォーカルを担当。この曲がまた素晴らしい!アナログ的な温かなサウンドプロダクションも印象的で、70年代の発掘作品と言っても分からないでしょう。これはシンフォニック・ロックのファンは必聴の快作!
ギター/キーボードを務めるフランスのマルチ・ミュージシャンJeremie Grimaを中心とするメロディアス・シンフォ・プロジェクト、17年作。フランスらしい耽美的でスケール大きい、洪水の如きシンフォ・サウンドで押し流していくような冒頭2曲の流れから圧倒的。ヴォーカルは殆どないにもかかわらず、シアトリカル・ロックと呼んでしまいたい雄弁な音の流れがあり、グッと人間的な感情を出したピンク・フロイドと言えそうなとめどなくエモーション溢れ出すサウンドには感動を禁じえません。ギターは終始哀愁の音色を奏でていて、このギターが雄弁な印象を与えている感じがします。最終曲では爽やかなヴォーカルをフィーチャーしたフロイド風メロディアス・ロックを聴かせ、締めくくりも完璧。一貫する雄大なうねりあるサウンドが重厚なヒューマンドラマを観たような気分にさせる、素晴らしく完成されたシンフォニック・ロック作品です!
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