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ブリティッシュ・ジャズ・ロック特集

ブリティッシュ・ジャズ・ロック潮流図

  • 『皆さん、こんにちは。芹沢聡一郎です。こちらの特集では、【イギリスからのマイルスへの回答。叙情性溢れるブリティッシュ・ジャズ・ロック。】と題しまして、英国に巻き起こった、もう一つのジャズ・ロック潮流をここにご紹介したいと思います。』
  • 『 芹沢さん、こんにちは!今回は、クールなブリティッシュ・ジャズ・ロック特集の登場ですね…!ジャズの本場、アメリカでは、60年代後半から、モダン・ジャズの天才プレイヤー、MILES DAVISの活躍が、シーンに激震をもたらしていたんですよね〜。』
  • 『そうだね。特に時代の転換点となったのが、69年に彼がリリースした『IN A SILENT WAY』だね。この作品は、それまでのハード・バップ・ジャズを更に進化させた、エレクトリック・ジャズの誕生を高らかに宣言する金字塔的アルバムと言えるだろうね。』
  • 『 なるほど…!そしてこの流れは、当時の英国ジャズ/ロック・シーンにも多大な影響を及ぼして行くんですよね!カンタベリー・シーンでお馴染み、SOFT MACHINEなんか、このアメリカの電化ジャズ、フリー・ジャズのシーンに即応するかのような作品をリリースしていますね!』
  • 『うん。ORNETTE COLEMANに代表されるフリー・ジャズ・シーンと共振するかのようにインプロヴィゼーション溢れる作風は、ブリティッシュ・ジャズ畑のミュージシャンが参加した、『3RD』〜『4TH』辺りから顕著になって来ているね。特に69年後半から70年にかけては、COLOSSEUMの『VALENTYNE SUITE』、NUCLEUSの『ELASTIC ROCK』と、ブリティッシュ・ジャズ・ロックを代表する傑作が次々とリリースされているんだ。』
  • 『 ふむふむ…。COLOSSEUMのJOHN HISEMANは、ロック/R&Bシーンの活動と二足の草鞋で、ジャズみたいに全てのミュージシャンが主役になれるロック・バンドを目指していたんですよね!それとは対照的にNUCLEUSは、ブリティッシュ・モダン・ジャズの流れから、ロックの手法を取り入れたバンドって感じですね!』
  • 『ブリティッシュ・ジャズ・ロックの面白いトコロは、COLOSSEUMのようにROCK BANDのフォーマットに限界を感じて、ジャズの手法を取り入れた流れがあり、片やMILES DAVISのようにジャズの臨界点としてロックとの融合を図ったNUCLEUSもあった事。そして、SOFT MACHINEのように創設メンバーを追い出しちゃうぐらい(笑、ROBERT WYATTの事だね)、ジャズ・ロック実験場になってしまったカンタベリー・シーンがあったりと幾層にも重なり合った独自の厚みを有したシーンを形成して行った点が挙げられるだろうね。』
  • 『 確かに!え〜っと。そしてそして、71〜72年にかけては、MILES DAVISから派生したWEATHER REPORTやCHICK COREAの活躍による、クロスオーヴァー/フュージョン・ブームが活況を呈するですよね!』
  • 『そうそう。その流れを敏感に察知した感性を背景に生まれたのが、あのHATFIELD & THE NORTHだったりするんだ。その後の70年代前半におけるカンタベリー・シーンの隆盛は、ブリティッシュ・ジャズ・ロックがアメリカン・ジャズ・ロック/フュージョン・シーンとの併走感覚を見事に体現した結果と言えるんじゃないかな?』

イギリスからのマイルスへの回答。叙情性溢れるブリティッシュ・ジャズ・ロック特集

SOFT MACHINE

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ソフト・マシーンと言えば『3rd』が有名ですが、曲が長くて紹介が難しい。ということで、よりフリー・ジャズ化し、先鋭になった『4th』より、テンションみなぎるオープニング・ナンバーをご紹介!

NUCLEUS

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イアン・カー、クリス・スペディング、カール・ジェンキンス等が結成した英ジャズ・ロックを代表するグループ。しっとりと陰影に富んだ傑作1stアルバムより、音と音の隙間からも叙情がこぼれ落ちてくるような、静かながら雄弁な一曲をご紹介☆

COLOSSEUM

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60年代初期からR&Bシーンを牽引してきた猛者たちによる英ジャズ・ロックを代表するグループ。ブルース〜R&B〜ブルース・ロック〜サイケ〜ハード・ロックといった変遷をすべて吸収したようなエネルギッシュな演奏は悶絶の一言。

TONTON MACOUTE

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ネオン・レーベルより71年にリリースされた唯一作より。淡く浮かび上がる叙情に溢れたフルートやヴォーカル&メロディ。雨上がりのしめやかな夕暮れを思わせるジャケットのイメージ通りのサウンド。これぞ英ジャズ・ロックの音色ですね。

MIKE WESTBROOK

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英ジャズ・シーンを代表するコンポーザーの一人、NEONレーベルからリリースした一枚より。ブラスが分厚くむせぶパート、マイルス『ビッチェズ〜』ばりに浮遊感いっぱいでテクニカルなパート、つややかでムーディーなパートが交錯!

BEN

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ヴァーティゴからの71年作。無名メンバーによる謎多きグループながら、緻密かつダイナミックな演奏は驚きのレベル!淡くむせび泣くフルートは、これぞ英ジャズ・ロックの香り。ハード・エッジに切り替わる瞬間には悶絶☆

WARM DUST

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早いパッセージのシャープなリズム隊、英国らしく淡くむせぶ管楽器、ポエトリー・リーディングも交える知的な感性が光るヴォーカル&メロディ。演奏の強度、叙情性ともにハイ・レベル!

TITUS GROAN

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DAWNからの70年唯一作より。ファンキーな中にいかにも英国的な叙情がにじむサックス、陰影に富んだふくよかなトーンが魅力的なギター、タイト&アグレッシヴなリズム隊。素晴らしい!

HUNGRY WOLF

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全員がセッション・ミュージシャンというイギリスの技巧派バンド、70年の唯一作より。R&Bフレイヴァーいっぱいにグルーヴィーなんですが、土臭さはまったくなく、格調高くしなやかなのは、熟達の演奏者なればこそ。う〜ん、素晴らしい。

HENRY LOWTHER BAND

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数多の英ジャズ・ロック名盤にその名を刻むトランペット&ヴァイオリン奏者。デラムから70年にリリースされたリーダー作より。しなやかで格調高くリリカルなサウンドは、いかにも英ジャズ・ロック。

BOB DOWNS OPEN MUSIC

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サックス&フルート奏者。錚々たるメンバーが参加して制作され、70年にヴァーティゴよりリリースされた作品より。リズムがウネリ、熱気溢れるホーン・セクションが疾走するエネルギッシュなジャズ・ロック!名プレイヤー達が火花を散らす!

MICHAEL GARRICK BAND

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Rendell-Carr Quintetのメンバーとして、ブリティッシュ・ジャズを代表するピアニストによる、72年作。本作は、新世代の感性を高らかに宣言するかのようなニュー・ブリティッシュ・ジャズ・サウンド。強く胸を撃つメロディとリズムの調和と相克。

WEB

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デイヴ・ローソン加入前、アメリカ出身の黒人ヴォーカリストJohn L.Watsonを中心とする編成での2ndアルバム。サイケ、ブルース、ジャズのエッセンスが感じられるブラス・ロック。初期のFLEETWOOD MACに通ずるような洗練されたR&B風味が印象的。

ALEXIS KORNER

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ブリティッシュ・ブルース・ロックの総帥による初期キャリアを網羅した、61年から71年のALEXIS KORNERの勇姿が垣間見れる貴重な音源集です。ジャケット・クレジットにあるように、後に有名になってゆく名うての猛者が集結しているのも驚き!

ATLANTIC BRIDGE

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ジャズ系の名セッション・ベーシストDaryl Runswick、後年ギルガメッシュのドラマーとなるMike Travisらによるジャズ・ロック・バンド、DAWNからリリースの70年唯一作。ジャズ寄りの演奏ながら、メロディアスにして英国らしい叙情がしっとりと影を落とすサウンドはとてもロマンティックで芳醇。ビートルズナンバーの好カバーも光ります。

KEITH TIPPETT GROUP

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クリムゾンへの参加でも知られる異才ピアニスト、初リーダー作より。フリージャズを軸に、ロックやポップスのイディオムを用いた奔放なアート&ジャズ・ロックを展開。たえず格調高い旋律を奏で、全体を艶やかに彩るキースのピアノがやはり特筆です。

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