2022年4月28日 | カテゴリー:Column the Reflection 後藤秀樹,ライターコラム
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前回まで「プログレ5大バンド」の思い出を綴ってきたが、ジェネシス(Genesis)を取り上げて、レコード棚から取り出したときに、その隣に並んだジェントル・ジャイアント(Gentle Giant)のアルバム群が「我々は取りあげてくれんのかい?」と自己主張してきた(ように思えた)。
おそらくレコード棚・CD棚でアルバムがアルファベット順に並べている多くの方は、同じ様子ではないだろうか。Cの場所にはキャメル(Camel)の横にキャラヴァン(Caravan)のアルバムが並んでいるように、Gにはジェネシスとジェントル・ジャイアントが隣り合っているものと想像するのだがどうだろう。
◎画像1 Gentle Giant
70年にデヴューしたジェントル・ジャイアント(以下GG)はそのキャリアの割に、その名前は有名だったものの日本ではなかなか聞く機会に恵まれなかったバンドのひとつだ。
また早い時期にアルバムを聞いたとしても、さすがにすぐその魅力に気づいた人はそう多くはなかったのではないだろうか。今も何らかの形が続いている5大バンドに比べ、彼らの活動は80年で止まっていることも今考えると象徴的だ。
かつて伝説の英音楽誌Zig Zagにおいて「英国最高の知られざるバンド」と評されたが、ヨーロッパでは早くから人気バンドとなり、あのイタリアのPFMもその影響下でデヴューし、世界中で数多くのフォロアーがそれに続いたことはよく知られている。
70年代を一気に駆け抜けた彼らの足跡をもう一度確認しておきたい。
GGの主体をなすのはデレク(Derek)を中心に3歳年下のレイ(Ray)と10歳上のフィル(Phil)のシャルマン(Shulman)3兄弟。デレクが16歳の時に兄弟を中心に学校の友人も誘いザ・ハウリング・ウルヴス(The Howling Wolves)を結成し、演奏活動を始める。すぐにロードランナーズ(Road Runners)と名を変えセミプロとして演奏していたところで、1966年大手Parlophoneの目に留まる。バンド名をサイモン・デュプリー&ザ・ビッグ・サウンド(Simon Dupree & The Big Sounds)とすることを条件にレコード・デビューを果たすことになる。彼らは66年12月の「See The Light」から69年2月の「Broken Hearted Pirates」まで9枚のシングルを発表し、いくつか中ヒットをもちながら67年に発表した「Kites」が大ヒット。そのことから彼らの音楽はポップス系の扱いを受け、続けてヒット曲を要求されるようになりシャルマン兄弟のストレスが大きくなっていった。68年には同じParlophoneからモールズ(Moles)名義で「We Are The Moles」という自虐的にも思えるシングルを出していた。そして69年の末にサイモン・デュプリー&ザ・ビッグ・サウンドは度重なるステージに辟易して解散してしまう。
◎画像2 Simon Dupree & The Big Sounds
その直後に、新たなバンドの構想を練っている中で、フィルの友人の紹介でケリー・ミネア(Kerry Minner)がやってきた。彼はドーゼット出身で、ロイヤル・アカデミー音楽院を卒業し作曲の学位を持っていた。そしてギターはオーディションで45人目にやってきたゲイリー・グリーン(Gary Green)。彼はオーディションに先立ち、一緒に演奏する楽器すべてのチューニングを要求し、指定されたフレーズを次々に弾きこなす本格的なギタリストだった。ドラムにはサイモン・デュプリー&ザ・ビッグ・サウンドに最後に加わっていたマーティン・スミス(Martin Smith)が参加。彼はモジョーズ(The Mojos)での演奏経験もあった。
メンバーが揃ったGG。彼らはリハーサルを始めるのだが、ステージに立つことはなかった。サイモン・デュプリー&ザ・ビッグ・サウンド時代のステージ・ギグの連続に飽き飽きしていたことが理由だが、そのことは新たなマネージャーになったジェリー・ブロンの意向に逆らうことになった。ジェリーは後のBronzeレーベルを立ち上げることになる大物マネージャー、名プロデューサーでもあるが、この頃はVertigoスタッフだった。70年11月にGGの最初のアルバムはVertigoからトニー・ヴィスコンティのプロデュースのもと発売されている。これは想像でしかないが、GGが彼の意向には沿わなかったことで苦々しい思いは持っただろうが、結果的にGGの音楽性とその本物感を認めたと言えるのではなかろうか。ジェリー・ブロンも2作目までバンドと一緒に仕事を続けていくことになる。
◎画像3 Gentle Giant (UK.Vertigo)
とても大胆でインパクトの強いジャケット。クリムゾンの『宮殿』に負けていない。ジャイアント(巨人)の顔が表全面にあって、裏ジャケットには、その掌に6人のメンバーが並んで立っている。この経緯は内ジャケットのトニー・ヴィスコンティの『Tall Tale』という解説で説明されている。主人公となる巨人はバンドの音楽に感銘を受け、一緒に記念写真を撮りたいと申し出るが、サイズ感が合わず、こうして高い木から見下ろしたようなイラストでの表現になった。巨人はその音楽の感銘を「雷鳴を除けば、これほど上品な音楽を聞いたことがない」と伝えている。この説明自体気が利いていて面白い。歌詞もよく眺めてみると、巨人が主人公(メンバー自身の投影?)で、結構悲しげで自虐的な雰囲気が強いものが多い。
最初に聞いた時は、ジャケットの奇抜さと不思議な演奏の音世界に当てられた感じが強かった。そして気が付くといつも「Fanny Ways」ばかりを聞いていた自分がいたのだが、年月を経て聞き直してみると、デヴュー作にもかかわらずどの曲にもその深さを感じて圧倒されてしまった。複雑で唐突にも思える曲展開と多様で意外性を持った楽器の導入はもちろんだが、各所に散りばめられた静寂の表現がじつに意味深く思える。まず冒頭の「Giant」がやはりすごかった。「Alucard」は後に彼らの音楽版権社の名ともなるがドラキュラのアナグラムだということに気づいたのはいつだっただろう? 室内楽的な「Isn’t It Quiet And Cold」のノスタルジックなメロディーと寂しげなヴォーカル・ハーモニーもやはり一級品だ。中間部からのアブストラクトな音塊にも意味がある。「Why Not」はハード・ロック(!)と思ったら彼らお得意のリコーダー・アンサンブル、そして後半はノリのいいオルガン・ロック。ラストの「The Queen」は英国国歌。ここでは、アルバム中1番長い9分を超える「Nothing At All」を聴いていただこう。
★音源資料A Nothing at All
最初にこの作品を聞いて完全に理解できた人がどれだけいたのかわからない。しかし、シャルマン3兄弟を中心とした彼らがそれまでの音楽ビジネスに感じていた不満を糧にし、自分たちで本当にやりたい音楽を形として表わそうとしたことがよく分かる。さらには、トータル・イメージとしてまとめ上げたトニー・ヴィスコンティのプロデュース力も手伝って奇跡的な作品になったことを改めて感じる。
◎画像4 Acquaring The Taste (UK.Vertigo)
ヴィスコンティはセカンドの71年6月発売(?)の『Acquiring The Taste』のプロデュースも担当している。メンバーもファーストと同じ。今度はユーモラスな色彩もはっきりとしたジャケット。しかし、中味の方は1枚目に負けず劣らずの世界観を持っていた。愛らしいメロディーも相変わらず顔を出すのだが、ムーグの使用やティンパニの導入、弦楽四重奏もありと、相変わらず実験的な要素も強い。アレンジ面で前作以上に冒険している印象を受ける。ヴォーカルでも「Wreck」での船乗りの労働歌の部分も印象的だが、同じ歌詞、メロディーが途中でクラシカルになることも興味深い。「Black Cat」ではタイトル通りに猫が登場するが、次のラスト曲「Plain Truth」でも暴れ続けているイメージも結構強烈だ。
★音源資料B Wreck
前作のようにアルバムの解説が添えられているのだが、そこには「我々は独自で冒険的で、しかもより魅力的なものをつくり出そうというひとつの思想のもとに、より音楽的であることを条件に、技術的な知識を駆使してレコーディングした。はじめから我々は予想される耳障りな商業性は放棄している。そのかわりに、より確固とした完成度の高い作品を送りたいと考えている。だから、あなたは、ただそこに座って我々の音楽を味わえばいいのだ。」とある。何という自信にあふれた宣言だろう。この2枚目にして既にいかなる批評も寄せ付けない孤高性を備え、独自の世界を築きあげてしまったと言える。
米国では1作目はVertigoのテスト・プレス(VEL-1003)が存在するものの発売は見送られてしまっていた。英本国ではいくつかの好意的なレヴューもあったものの、現実問題として肝心のアルバムが売れず、早くもバンドの存続にも暗雲がたちこめていた。ただ、イタリア、ドイツをはじめとするヨーロッパでの反応には手応えを感じてはいた。
◎画像5 King Alfred’s College Winchester 1971 (CD)
2009年になって、Alucardから『King Alfred’s College Winchester 1971』というライヴ・アルバムが発売されている。71年段階のGGのライヴはじつに珍しい。(CDクレジットには日時が記載されていないのだが、discosの資料を見ると71年2月12日とあるから、それを信じるとファースト・アルバムの発売から3ヶ月経ったところだ。)サイモン・デュプリー&ザ・ビッグ・サウンド時代には連日続くステージという嫌な思い出があり、GG結成後もジェリー・ブロンのツアーの申し出を断っていたのは先に述べたとおりだ。しかし、彼らは最初のアルバムが英国では思ったように売れなかったこともあり、再びステージに立つことを考える状況にあった。
その最初のステージを収録したのがこのCDだ。収録曲はファーストの「Nothing At All」を除く6曲と、「Hometown Special」「Cuty Hermit」というアルバムには含まれていない2曲、そして未だレコーディングもしていない『Acquiring The Taste』から「Plain Truth」を、さらに『Three Friends』に収録される「Peel The Paint」までも演奏しているのだから驚いてしまう。かなり先のことまで読んでいたことがうかがえて興味深い。
この英国でのステージをきっかけとして、GGはバンド継続の命運をかけて評判のよかったヨーロッパ・ツアーに出かけて行くことになる。フィルは当時のインタヴューで、「バンドは、まさにヨーロッパに救われた感じだった。」と語っていた。
2作目の『Acquiring The Taste』は米国でもVertigoから発売(VEL-1005)された。このアルバムのタイトルを意訳すると「癖のある味」となり、自分たちの音楽づくりにおいては間違いなく「それまでとは違ったタイプ」と自信を持って伝えていく気持ちに揺るぎはなかったと言える。
また72年の『Live At Hollywood Bowl』というCDも存在するので、『Three Friends』の米国プロモーショナル・ツアーが実施されたのだろう。ただし、このHollywood Bowlでの共演はブラック・サバスだったこともあり、その音楽性の違いからGGの演奏中にブーイングが響き、ビール瓶を投げつけられるなど散々な目に遭ったらしい。
自らの音楽的立場と、実際の活動の場をどのように折り合いをつけるか苦悩の日々があったということだろう。
◎画像6 Three Friends (UK.Vertigo)
3作目の『Three Friends』で72年4月に発売。タイトルはアルバム順の「3」を意識した形になり、3人の友人の学校時代の「夢」と成人後の「現実」をテーマにしたコンセプト作品になっている。ドラマーが交替。それまでのマーティン・スミスから、新たにマルコム・マルティモア(Malcolm Mortimore)が迎えられた。それまでの2作品と同様にVertigoからのリリースだが、プロデュースはバンド自身。この頃、自らの音楽性もより明確になってきて「自分たちの音楽は、ケリーの中世音楽の要素と、レイのジャズの要素、そして私のロックの要素がひとつの曲の中で融合したもの」とデレクが語っていた。
★音源資料C Peel The Paint
前作ではアレンジ面の冒険が見られたが、デレクが語るように複合音楽としての要素が強く感じられる。特に3曲目の「Peel The Paint」を聞くと、導入部の室内楽からハード・ロック、そして中間部でのジャズが自然に展開しているように感じられる。アルバム全編に感じられる静寂感も魅力的だ。驚きは「Working All Day」のイントロで、クリムゾンの81年の「Discipline」のリフによく似ていること。当然この作品はそれより10年近く前の作品だ。どの曲も構成がよく練られていて、個人的にはかなり聞き込んだ思い入れの多い作品だ。英原盤のジャケットに描かれた3人が向かい合って眺めていた「鳥」が、裏ジャケットでは飛んで行ってしまった。3人も互いに背を向け合うようになり、各々の頭の中では自分の仕事のことでいっぱいになってしまっている。そこで象徴的なこととして、残念なことにずっと一緒に活動を続けてきた長兄のフィルがこのアルバムを最後に脱退することになる。ラストのタイトル曲「Three Friends」を聞くと、中間部からエンディングにかけての荘厳な雰囲気がフィルの脱退の事実を感じさせ、どこか寂しく身につまされてしまうような気分になった。
◎画像7 Octopus (UK.Vertigo)
4作目の『Octopus』は72年12月にリリースされた。英原盤のジャケットはロジャー・ディーンが手がけていることもあって彼らの作品の中でもひときわ人気の高い盤でもある。Octopusはジャケットそのままに『蛸(タコ)』ととらえてしまうが、Octは「8」を表わす接頭語なのでこのタイトルはOct-Opus(8曲の作品)とアルバムの収録曲数を意味しているらしい。
ここでは再びドラマーが替わり、新たにジョン・ウェザース(John Weathers)を迎えている。この時はグリース・バンド(Grease Band)を抜けたばかりだったが、英ロック界にあってEyes Of BlueやAncient Greese、Big Sleepといった通好みのバンドを渡り歩いてきただけに、キャリアも力量も申し分なかった。
最初に彼の写真を見たときに、GGのファースト・アルバムの巨人の大きな顔のモデルはジョンだったのではないかと思ってしまった。当然その頃彼はメンバーではないのだから、単なる私の中の妄想でしかなかったのだが、彼のGGへの参加は間違いなくその後の黄金期を支えることになる。
アルバムの充実度は見事で、過去3枚ではアルバムでは楽器の多彩さと、複合音楽の断片が組み合わされたコラージュ手法の印象が強かった。しかしこの作品では各要素が有機的に結びつき、音の隙間を減らしているようだ。(それが物足りなく感じられたなら、既にGG中毒症と言えるかもしれない。)
内ジャケには、各曲に関しての覚え書きが添えられているのだが、「The Advent Of Panurge」ではF.ラブレー、「Cry For Everyone」ではA.カミュの文学をモチーフにしていることがわかる。前作『Acquiring The Taste』の1曲目の「Pantagruel’s Nativity」でもF.ラブレーの「パングリュエル物語」から巨人の一族を巡る話を取り上げていた。
個人的にはカミュと「Knots」で取り上げられている精神医学者・心理学者R.D.レインの名前に反応してしまった。
★音源資料D Knots
大学時代に幾つかのレインの著作に関心をもって読んだこともあり、GGの表現の根本に影響を与えていることが垣間見えて妙に納得してしまった。彼らの世界観の中には哲学的な文学性や心理学、精神医学までも含まれていることに興味を持つことは絶対に面白い。さらに彼らの音の配置には現代音楽的に数学的な要素も関わっているかもしれないと考えたことで彼らの音楽への興味がさらに大きく広がった頃を懐かしく思い出す。何も難しく考えることはないのだが、彼らの音楽に感じられる知的な味わいはそんなところにもあることは知っておいていいだろう。(ただし、カミュもレインも70年代にはよく読まれていた印象があるのだが、どちらも今は地味な印象となっていることが寂しい。)
★音源資料E The Boys In The Band
小難しいことを書いてしまったが、本作では彼らのライヴの定番とも言える「The Boys In The Band」は素直にカッコよかったし、アルバム全編がやはり素晴らしい作品だ。
◎画像8 米盤Three Friends;Octopus
4作目まで英Vertigoから出されたアルバムを順に見てきたが、米国、日本ではLP時代のアルバム発売事情が違っていた。
米国では、①『Gentle Giant』は先に書いたようにテスト・プレスが作成されたものの発売は見送られたが、②『Acquaring The Taste』は無事米Vertigoから71年にリリースされている。(ファースト・プレスはSwirlラベルで、その後Spaceshipラベル) ③『Three Friends』は72年に発売されたもののなぜかVertigoではなくColumbiaからの発売。しかも、ファースト・アルバムのジャケットがそのまま使用され、一部混乱を招いた。私自身もファーストと信じた結果、間違って買ってしまっただけに悔しい思いをした。(よく見ると巨人の額にタイトルが書いてある)が、『Three Friends』そのものの内容が気に入ったのだが、やはり「それはないよ」と思わずにはいられない措置だった。裏ジャケットのメンバー6人の姿もデヴュー当時のものだけに3枚目では既に違っていたわけだし・・・。
④『Octopus』は英国よりやや遅れて73年、やはりColumbiaから発売されている。で、ジャケットが何と「瓶の中に入れられたタコ」。酢漬けなのかホルマリン漬けなのか、しかも瓶蓋の溝部分が切り抜かれているという不思議に凝ったものとなっていた。しかし不気味。英盤のR.ディーンのシャープなデザインとは真逆とも言える措置が取られていて驚愕だった。
それでも、まだ米国ではファースト以外ほぼ英国と同時に紹介されていただけよかったと言えるかもしれない。
日本では①『Gentle Giant』は71年にPhilips/Vertigo盤として発売されていたものの、②③④の国内盤としての登場は次のようになっている。すべて日本フォノグラムからの発売。
つまり、国内盤LPとしてはオリジナル発売から何年も後になってからの登場、77年から78年にかけてシリーズものとして集中的にリリースされたことになる。こうなっては、ジェネシス以上にアルバムを広く聞かれる機会が遅れ、認知度も低かったのは仕方ないことだろう。
◎画像9 In A Glass House (UK.WWA)
⑤『In A Glass House』は73年に英WWAから発売されたものの、米国では発売が見送られていた。
既に米国でも「最も進歩的な音楽」と評されていたものの、なぜかColumbiaのA&Rマンには認められず、また折からのレコード業界全体の不況もあっての辛い措置だった。この事実は、バンドにとって決定的なダメージと思われた。「正直に言って、あの時にはボクらももう終わりだと思ったよ、でも10分だけ考えて、止めるのではなくアルバムの埋め合わせをしてやろうと決めた。ボクらの底力を見せてやろうとね。」デレクはそう語っていた。
そんな状況の中、『In A Glass House』は日本では『ガラスの家』という邦題を付され、翌74年にVertigoから発売されている。私はその国内盤を買ってはじめてGGを聞くことになる。
ご存知の通りそこから新たにGGの全盛期が訪れる訳だが、それは次回送りとさせていただく。
ただ、今回の最後に70年デヴュー当時に残していた未発表曲のひとつを紹介しておきたいと思う。97年に『Under Construction』としてalucardレーベルからリリースされた2枚組があった。これは結構コアな内容で、彼らの曲作りの過程が多数収録されている。アイディア・スケッチのような録音や曲の断片、デモ、ライヴ等がコラージュのように並んでいる。よほどのファンでなければ楽しめないのではないかと余計な心配をしてしまったのだが、私にとってはじつに興味深いアルバムになっている。
◎画像10 Under Construction(CD)
その中に彼らには珍しく素晴らしい『歌もの』の「Freedoms Child」が収録されており、その存在が驚きであり奇跡的に思えた。確かによく出来た曲だが、シングルで出すとアルバムとのギャップが大きすぎるし、アルバムに収録するとさらに違和感が強くなってしまうようにも思われた。
★音源資料F Freedom Child (Steve Wilson Mix)
この「Freedoms Child」は、70年にケリーが持ち込んだ曲を8月に完成形にしたもの。ケリーが音楽院在籍時に創った曲で、アルバム『Under Construction』のラストには68年のデモ・バージョンも収録されている。
じつは、サイモン・デュプリー&ザ・ビッグ・サウンドの解散直前の時期にレグ・ドワイト(Reg Dwight)がバンドに参加しようとしていた。彼はオーディションで「Your Song」や「Skyline Pigeon」のような曲を歌ったのだが、あまりにポップスでデレクは解散後の新たなバンドにはそぐわないと彼を退けた。
そのレグは、その後間もなくエルトン・ジョン(Elton John)と改名し69年にSSWとしてデヴューし大成功を収めることになる。エルトンの方は、当時はヒット曲のカバー集を制作していたことからもわかるように、自らのデヴューへの足がかりを求めていた。その一方、デレクを始めシャルマン兄弟は逆にヒット曲を出したためにステージに上がる毎日に嫌気がさし、本来的な音楽を創造したいと新たな取り組みを始めたところだった。
何か、すごいエピソードではないだろうか。ここにも英国ポップ・ロック・シーンが交錯するひとつの姿が垣間見える。
新たな音楽の方向を求めていたバンドはそれまでのポップスの要素を極端に嫌ったところからスタートする予定でいたので、ケリーのこのロマンティックな佳曲「Freedoms Child」も、レコーディング完成形になったもののお蔵入りとなり、封印されてしまうことになったわけだ。
◎画像11 Three Piece Suite (CD)
その後、時が経ちGGの最初の3枚を『Three Piece Suite』として2007年にリミックス・アルバムとしてBlue-Rayを含む2枚組に仕上げたのが、過去のプログレ系ミュージシャンの名作のリミックスを手がけているスティーヴ・ウィルソン(Steve Wilson)だった。①『Gentle Giant』②『Acquirng The Taste』③『Three Friends』の初期3作品を取り上げての仕事だが、その中に未発表だった曲の中からあえて1曲「Freedoms Child」も含めたということになる。何と粋な計らいだろう。このアルバムもGGのレーベルAlucardから出されている。
それでは、今回はここまで、次回後編!!
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ご存知英国が誇る超絶技巧プログレ・バンド。初期3作品『GENTLE GIANT』『ACQUIRING THE TASTE』『THREE FRIENDS』より、マルチ・トラックが現存する9曲に、1st製作時に録音された未発表曲「Freedom’s Child」を加え、PORCUPINE TREEの活動でも知られるスティーヴン・ウィルソンがミックスを施した全10曲を収録。曲によっては別テイクかのように立体的な音像へと生まれ変わった曲もあり、相変わらずのミックスの手腕を見せてくれています。
盤質:無傷/小傷
状態:良好
デジパック背、ブックレットに若干スレあり
Derek Shulman、Ray Shulman、Phil Shulmanの三兄弟を中心とする、ブリティッシュ・プログレの代表的なグループのひとつ。ポップ・フィーリング、古楽の様式美を思わせるクラシカルなアプローチ、そして高い演奏技術に定評があり、変拍子を含む複雑な構成の楽曲を軽々と弾きこなす超絶技巧グループです。『Gentle Giant』は1970年の記念すべきデビュー・アルバムであり、比較的とっつきやすい作品とされていますが、それはあくまで彼らのディスコグラフィーの中ではの話。デビュー・アルバムにしてすでに、後の彼らの個性となっていくポップなメロディーと複雑怪奇な楽曲構成は顔をのぞかせており、一度聴けばその完成度の高さに舌を巻くことでしょう。タフなリズム・セクションが跳躍するヘヴィー・プログレから、ヴァイオリンやチェロを迎え室内楽的に聴かせる牧歌的な楽曲まで様々なスタイルの音楽性を披露。マニアックな仕掛け、そしてそれに反するポップな全体像というミスマッチな個性は次作以降、より強固なものとなっていきます。プログレッシヴ・ロック前夜のサウンド・アイディアを放り込み独自の音楽性を提示した傑作です。
Derek Shulman、Ray Shulman、Phil Shulmanの三兄弟を中心とする、ブリティッシュ・プログレの代表的なグループのひとつ。ポップ・フィーリング、古楽の様式美を思わせるクラシカルなアプローチ、そして高い演奏技術に定評があり、変拍子を含む複雑な構成の楽曲を軽々と弾きこなす超絶技巧グループです。『Acquiring The Taste』は1971年のセカンド・アルバムであり、聴き手を選ぶツウ好みの内容ながら、彼らの溢れんばかりの音楽的探究心が結実したという意味ではやはり傑作。GENTLE GIANTといえば、メンバーたちのマルチ・プレイヤーぶりがしばしば話題となりますが、その印象は本作を発端としているのでしょう。おびただしい数の楽器がクレジットされており、その様はまるで劇薬を生み出さんとするマッド・サイエンティストの実験室のようです。一聴して耳に残るような派手さにこそ乏しい印象を持つものの、プログレッシヴ・ロックの特徴のひとつである緻密なバンド・アンサンブルの始祖的な位置にある作品であり、噛めば噛むほど味が出る、聴くたびに新たな発見のある名盤です。
シャルマン3兄弟を中心に結成された英プログレッシヴ・ロック・グループ、73年4th。クラシックやジャズの要素を取り入れ、変拍子や転調を繰り返す複雑な曲展開が特徴です。本作は従来通りの変化に富んだ楽曲展開に加えて、牧歌的なメロディを前面に押し出し、よりPOPになったアルバム。端正なコーラス・パートから一転、切迫感をあおるキーボードがフェード・インし、力強いドラムとギターがスリリングに展開。メンバーそれぞれが楽器を持ち替える曲芸的演奏によって生み出されるダイナミックなアンサンブルが最大の持ち味で、長くても5分程の中につまった山あり谷ありの展開はこのグループならではの魅力でしょう。知名度では劣りますが英プログレの5大バンドに匹敵するオリジナリティを持つグループ。バンドの代表作と評価される名作です。
紙ジャケット仕様、デジタル・リマスター、内袋付仕様、定価2039+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
帯中央部分に軽微な色褪せあり、紙ジャケにスレあり
廃盤希少、紙ジャケット仕様、SHM-CD、日本オリジナルアナログマスターを基にした2009年DSDリマスター音源、デジタル・リマスター、レーベルカード・内袋付仕様、定価2,667+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
レーベルカードに軽微な折れあり
4面開きペーパーケース仕様、SACD〜SHM仕様(専用プレーヤーのみで再生可)、デジタル・リマスター、定価4286+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
Derek Shulman、Ray Shulman、Phil Shulmanの三兄弟を中心とする、ブリティッシュ・プログレの代表的なグループのひとつ。ポップ・フィーリング、ルネサンスの様式美を思わせるクラシカルなアプローチ、そして高い演奏技術に定評があり、変拍子を含む複雑な構成の楽曲を軽々と弾きこなす超絶技巧グループです。『Three Friends』は1972年のサード・アルバムであり、ドラマーのMartin Smithがメンバー間の確執により脱退、後任ドラマーにMalcolm Mortimoreが迎えられ制作されました。その内容は、GENTLE GIANTにとって初のコンセプト・アルバム。タイトルの通り「幼馴染の3人が資本家、芸術家、労働者になり、それぞれ別々の人生を歩んでいく」というストーリーに基づきアルバムが進行していきます。GENTLE GIANTのひねりの効いた音楽性は本作でも健在であり、幼い頃を回想する懐かしくも寂しいようなテーマと絶妙にマッチング。グループは本作でアメリカ・デビューを果たし、ビルボード・チャート入りを経験しました。また、本作を最後にドラマーMalcolm Mortimoreは脱退し、グループは新たなドラマーJohn Weathersを迎えることになります。
紙ジャケット仕様、05年24bitデジタル・リマスター、内袋付仕様、定価2039+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
紙ジャケ側面部に色褪せあり
Derek Shulman、Ray Shulman、Phil Shulmanの三兄弟を中心とする、ブリティッシュ・プログレの代表的なグループのひとつ。ポップ・フィーリング、古楽の様式美を思わせるクラシカルなアプローチ、そして高い演奏技術に定評があり、変拍子を含む複雑な構成の楽曲を軽々と弾きこなす超絶技巧グループです。1975年の7thアルバム『Free Hand』は新たにクリサリス・レコードと契約し、リリースされました。その内容は、前作『The Power And The Glory』の作風をさらに推し進めたサウンドであり、ファンク・ロック、ジャズ・ロック、フォーク、古楽、クラシック、現代音楽など様々な音楽ジャンルを放り込み唯一無二のGENTLE GIANTサウンドへと昇華しています。前作同様、リズム・セクションのJohn WeathersとRay Shulmanが非常に複雑な展開を難なく行き来し、Gary GreenのギターとKerry Minnearのパーカッシブなキーボードが跳ね回るという軽快なサウンドが特徴的。もちろん、グループの大きな個性であるポップ・フィーリングは本作でも健在です。なおGENTLE GIANTは本作で、グループ最高位となるビルボード・チャートのトップ50入りを果たしました。
盤質:無傷/小傷
状態:良好
スリップケースに若干スレ・若干圧痕あり
74年ドイツ、75年アメリカ・ツアー時のTV放送ライヴ映像を収録。全盛期の超絶パフォーマンスをたっぷり味わえる必見DVD映像!いずれも良好な画質・音質にて、楽器の持ち替えを含む超絶的テクニックとアンサンブルを見ることができます。
盤質:傷あり
状態:不良
カビあり、オリジナルケースではありません
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