2024年11月13日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ新鋭
始動から四半世紀を迎え一層精力的な活動を見せている、00年代以降のポーランド・プログレ・シーンをリードするグループMILLENIUM。
2024年、第16作目となる『HOPE DIES LAST』がリリースされました。
それを記念して、彼らのこれまでの作品をピックアップしながらバンドのヒストリーを追っていきたいと思います。
彼らの持ち味は、
の2つ。
この2つの持ち味を生み出すのが、ほぼすべての作曲をおこない、コンセプト・メーカーも担うKey奏者/コンポーザーのRyszard Kramarski。ポーランドのロジャー・ウォーターズと言えちゃうかもしれない才能を持ったミュージシャンです。
MILLENIUMの結成は1999年。98年に1枚のアルバムを残したグループFRAMAUROを前身に、ヴォーカルのLukasz Galeziowskiを新たに迎えて結成されました。
結成時のラインナップは、
作品を重ねる毎に、「叙情美」と「空間的サウンド・メイキング」のバランスを洗練させていき、強度も高めながら、彼らならではのスタイリッシュさと幻想的な広がり感を両立したプログレッシヴ・ロック・サウンドを極めていきます。
それでは、1stから順を追って聴いていきながら、彼らのサウンドの変遷とその魅力を探ってまいりましょう。
メランコリックにたなびくキーボード、しっとりと紡がれるエレキのアルペジオ、物悲しい旋律のアコギ、どこか工業地帯の灰色の世界を連想させる無機質なビートと生活音のコラージュ。
前身バンドFRAMAUROの音楽性を受け継いだ、ピンク・フロイドからの影響を軸にポーランドならではの翳りで包み込んだようなアンサンブルが印象的です。
アコースティックな音とデジタルで無機質な音とのブレンドは彼らの真骨頂。メロディアスなバンド・サウンドと、シンセによる電子音やデジタリーなビートとが違和感なく同居した奥行きのある映像喚起的なアレンジが見事です。
ヴォーカル&メロディも魅力で、憂いたっぷりのハイトーンの歌声とシアトリカルな歌いまわしに心奪われるLukasz Gallのヴォーカル、陰影と叙情がにじむメロディにはデビュー作とは思えない「スケール」と「味わい」があります。
デビュー作のみポーランド語で歌われていることも特筆。
ポーランド語は、西スラヴ語群に属し、チェコ語やスロバキア語とは方言程度の違い。往年のチェコ産プログレと同じメランコリーや気品を感じます。
耽美的かつモダンで、なおかつリリシズムたっぷりな、デビュー作とは思えないハイ・クオリティな一枚。
1stアルバムリリース後、ギターのThomasz Pabianが脱退。新たにPiotr Plonkaが加入します。
Ryszard Kramarskiいわく、MILLENIUMの真のデビュー作として制作され、00年にリリースされた2ndが『VOCANDA』
デビュー作と比べ、「静」と「動」の対比鮮やかに、よりスケールを増した印象。
『アニマルス』『ウォール』あたりのフロイドを彷彿させるアコースティックなオープニング・ナンバーからはじまり、無機的な音色のストリングス・シンセをバックにヘヴィなギターが炸裂し、ジェネシスばりのドラマティックなリズムのアクセントとともに、サックスが乱入して荘厳に盛り上がる展開にノックアウト。
新たに加わったギタリストThomasz Pabianによるエモーショナルな泣きのギターも素晴らしいし、Ryszard Kramarskiも負けじと気品あるタッチのピアノやワルツ曲などでポーランド生まれのショパンのエッセンスをにじませたり、前作以上にメロディアスさが際立っています。
曲間なく繰り広げられる壮大な音のドラマに感動すること間違いなしな傑作。
3rdアルバムのレコーディングの前に、ギタリストとベーシストが脱退。新たにPrzemek Druzkowski(Guitar)とKrzysztof Wyrwa(Bass)が加入します。
そして、02年にリリースされた3rdアルバムが『REINCARNATIONS』。
1st、2ndに比べ、「メロディ」の方にグッと寄っている印象。
彼らならではの空間的な音作りもさすがで、エッジの立ったギターによるシャープなリズムや無機的なビートを効果的に配し、「泣き」に流れず、スケールの大きなサウンドを作り上げています。
今までとは違い、直接的な影響はそれほど感じませんが、やはりピンク・フロイドのエッセンスは確かに流れていますし、堂々と「メロディ」に挑んだメロディアス・ロックの逸品と言えるでしょう。
「しっとりと叙情あるメロディ」と「映像喚起的なサウンド・メイキング」という2つの持ち味の中、前作では「メロディ」に比重が置かれましたが、本作では「映像喚起的なサウンド・メイキング」の方に軸足を置いた印象。
物憂げな叙情美とともに、シャープで無機的なタッチのリズム・ギター、ミニマルなフレーズを奏でるシンセ、デジタリーなビート音などを効果的に配して、独特のクリアで耽美的なサウンドを構築しています。
ピーター・ガブリエルやピンク・フロイドの音世界を受け継いだ正統派と言えるサウンドをモノにした出世作で、Ryszard Kramarski自身が99%満足と誇る傑作。
ギタリストのPiotr Plonkaが復帰して制作された05年作5thで、インターネットにとりつかれた男をモチーフにしたコンセプト・アルバムが『INTERDEAD』。
前作では「サウンド・メイキング」に軸足を置きましたが、再び「メロディ」に寄り、ヴォーカリストGallのスタイリッシュでシアトリカルな歌唱を中心としたフックに富んだサウンドが印象的。
メロディに寄ったと言っても、サウンド・メイキングもまた特筆もの。音空間を自在に操りながら、ここぞでは劇的に盛り上げる緩急自在のアンサンブルや、伸びやかに奏でられる「泣き」のギターは、ピンク・フロイドのエッセンスを確かに感じます。
彼らの「メロディ・センス」とそれを彩る「空間的サウンド・メイキング・センス」とがグイっと引き出されたメロディアス・プログレの充実作。
しっとりとしたトーンでたなびくキーボード、反復フレーズやディレイ音を巧みに操りながらメランコリーやリリシズムを添えるギター、空間を広げるデジタリーなビート、そして、堂々とエモーショナルに歌い上げるヴォーカルと憂いたっぷりのメロディ。
『アニマルズ』『ウォール』期のピンク・フロイドを彷彿させるメロディアスなプログレが印象的。
ネオ・プログレの耽美性や叙情美と、ピンク・フロイドの空間的・映像喚起的な音響センスとが見事に溶け合ったサウンドは彼らの原点と言えるでしょう。
これまでの彼らの作品の中でも特に美しいメロディに溢れています。
前作6thの後、ベスト盤、シングル盤をリリースしてからの08年作7th。
これまでも『ウォール』期のフロイドを彷彿させる映像喚起的なサウンドを聴かせてきましたが、本作のオープニング・トラックの曲目はなんと「EMBRYO」で、大地の脈動のように雄大なリズムをバックに、ギターがギルモアばりに伸びやかなリードを奏で、ヴォーカルが憂いたっぷりなメロディをエモーショナルに歌い上げるフロイドのDNAを正統的に受け継いだサウンドを聴かせています。
「ヴォーカル&メロディ」とそれを彩る「空間的なアレンジ」という彼らの2つの大きな魅力が絶妙のバランスでがっちりと噛み合った印象で、かな~り洗練された感じ。
ピンク・フロイドと同じく、「プログレ」という枠を超えて、ワールド・ワイドに評価されるべきスタイリッシュな「ロック」へとスケールアップした大傑作!
前作から3年ぶりとなった2011年作の8thアルバムで初の2枚組。
憂いあるメロディと空間的で映像喚起的なアレンジとが完璧に融合したスタイリッシュなプログレを前作で極めた彼らが挑んだのが、アルバム2枚に渡って描く壮大なるストーリー。
アダムとイブを主人公に、男女間の複雑な関係性をパズルのピースに見立てて描いたコンセプト・アルバムに仕上がっています。
ジャケット・イメージからも分かる通り、彼らが敬愛するピンク・フロイド『ウォール』へのオマージュであり、挑戦でもある力作。
う~む、コンポーザーのRyszard Kramarskiは「現代のロジャー・ウォーターズ」と言っても過言ではないでしょうね。
一気にスケールアップした前作での自信とともにレコーディングした堂々たる傑作。
スタイリッシュさはそのままに、叙情性を増し、シンフォニック・ロックとして孤高のサウンドへとたどり着いた印象。
映像喚起的なSEから入り、中欧の森を思わせるアコギのリードが静かに鳴るイントロ。その静寂を打ち破って轟くヘヴィなギターとキーボードによる音の壁とギルモアばりに伸びやかに泣くリード・ギター。
そして、何より素晴らしいのがメロディーとヴォーカル。ピンク・フロイドの内省感とネオ・プログレの叙情美とが出会ったような美旋律、そして伸びやかさの中に翳りを感じさせるハイトーンが魅力のヴォーカルは、もう絶品の一言。
99年のデビュー作での「空間的な音響センスに溢れたシンフォニック・ロック」を、これまでの作品で培ったテクニックとサウンド・メイキングのセンスにより圧倒的な強度で聴かせた一大傑作。熱くも透徹としたロマンティシズム。
前々作、前作も素晴らしかったが、ずばりここまでの最高傑作と言える凄いアルバム!
そしてデビュー15周年であり、スタジオ10作目という区切りの中でリリースされたのが『IN SEARCH OF THE PERFECT MELODY』。
「完璧なメロディを探して」というタイトル通り、アルバム冒頭から伸びやかなハイ・トーンのヴォーカルがアカペラで高らかに歌い上げ、鳥肌もの。間髪いれず、彼らの持ち味である、ピンク・フロイドゆずりのディレイ音による空間的なアンサンブルの中、ギター、続いてサックスがリードを取る展開もスケール大きいです。
このタイトル・トラックは、ベートーヴェンやバッハやワーグナーなど偉大なる作曲家へのオマージュであるとともに、偉大なるプログレ大曲、ジェネシス「サパーズ・レディ」やピンク・フロイド「エコーズ」やイエス「危機」へのオマージュとして作られた19分を超える大曲。
メランコリックでいてスタイリッシュな彼らならではのプログレッシヴ・ロックを極めた名曲と言えるでしょう。
ロング・トーンでまるで歌うように優美に奏でられるギターと夢想的なサックスが柔らかにメロディを紡ぎ合うインストあり、ストリングスが艶やかに彩る、愛とともに裏切りを描いた渾身のバラードあり、ピンク・フロイドゆずりの洗練を極めたアンサンブルとともに突き抜けたメロディ・センスで聴き手を壮大な音のストーリーへと導き感動を誘うサウンドは彼らの真骨頂。
現代プログレ屈指のバンドへと上り詰めたバンドが悠々と鳴らした、前作に負けず劣らずのスケールの大きな傑作。
翌15年には地元ポーランドでの公演を収めたライヴ・アルバム『CINEMA SHOW』をリリース。13年作『EGO』、14年作『IN SEARCH OF THE PERFECT MELODY』と立て続けに傑作をリリースしてきた勢いそのままの、脂の乗ったパフォーマンスが楽しめる好ライヴ作に仕上がっています。
今作よりサポート・メンバーとして参加していたサックス奏者が正式にバンドへ加入、アーバンな香り漂うサックスのプレイが大きくフィーチャーされた、格段に洗練度を増したメロディアス・プログレを聴かせてくれます。
サックスに活躍に加え、ギルモアのブルース色を抑えたようなエモーションたっぷりのギターや映画のワンシーンを思わせる会話のSE、一部楽曲での女性ヴォーカルの起用など、『狂気』のフロイドを現代的な音像で再構成したような印象も与えます。
さらに特筆なのがメロディの素晴らしさ。従来に増してシンプルゆえの力強さを宿した凛々しく美しいメロディは、抜群の説得力を誇っていて聴く者のを胸を揺さぶります。
シンフォニック・ロックという従来の基本的立ち位置から前進し、フロイド色を出しつつも独自のサウンドを練り上げた意欲作と言えるでしょう!
本作より新加入したヴォーカリストMarek Smelkowskiのお披露目的な側面も持つ18年作。
過去曲の再録が中心ですが、従来と声質の異なるヴォーカルがいることで、驚くほど新鮮に聴くことができる一枚となっています。
LOONYPARKのkeyによるプロジェクトPADREでも聴かせた、繊細な声の伸びと微かに翳のある落ち着いた声質が特徴的で、ドラマチックで都会的洗練を帯びた現MILLENIUMのサウンドにベストマッチ。
新曲にも注目ですが、聴きどころはやはり過去の11曲を繋げた再録メドレーでしょう!…圧巻です。
オリジナル・ヴォーカリストLukasz Gallが復帰しての13作目は、人間を堕落へいざなう数々の罠を「WEB=蜘蛛の糸」にたとえ、その葛藤と再起の物語を描く重厚なコンセプト作品。
カケレコでも国内盤をリリースして人気を博した、20年に及ぶ活動の集大成を示す傑作!
タイトルやジャケットからもわかりますが、「七つの大罪」をテーマに現代社会の闇を浮き彫りにするのが本作です。
しかし、シリアスなテーマではあるものの、そこはフロイドとマリリオンに薫陶を受けたゆるぎなきMILLENIUMサウンド。
オルガンが叙情的にたなびき、R.ライト彷彿のシンセがダークに広がり、そしてギルモア+S.ロザリーと言える泣きのギターが飛翔するサウンドは、「ドラマチック」という言葉をそのまま音にしたような素晴らしさ。
まさに現代ポーランド・シンフォの雄たる貫禄の示す傑作!
そして!現時点での最新のスタジオ・アルバムとなるのがこちら。新たなヴォーカリストにリーダーRyszardのグループTRKprojectのDawid Lewandowskiを迎えた第15作目!
15作目もコンセプト・アルバムとなっており、ムービースターを目指す若き俳優を主役とする架空の映画の物語を描きます。
ちなみに主人公David L. Sundersは、00年作『VOCANDA』に登場したDaniel Sundersの息子なのだそう。
そのサウンドは、ラティマーばりに泣きまくる哀愁のギターと、フロイド譲りの深遠な音空間を作り上げるキーボード、そして新ヴォーカルの情緒豊かな歌唱が織りなす、叙情性とスタイリッシュさが素晴らしいバランスで調和したシンフォニック・ロック。
どこを切り取ってもグッと来てしまうドラマ性に満ち満ちた会心作です!
上記22年作と同時リリースのベスト・アルバムも要注目ですよ!
00年作2ndから20年作14thまでの20年を包括するベスト。
フロイド、ジェネシス、キャメルらの影響をスタイリッシュに練り上げたサウンドで00年代ポーランド・プログレを牽引してきた、バンドの歴史を凝縮した決定版です!
2024年には、23年4月のフェス出演時パフォーマンスを収めたライヴCDとライヴBLU-RAYが同時リリース!
KARFAGEN & SUNCHILD/RANESTRANE/SOLSTICEなど各国の実力派も名を連ねたオランダでのプログ・フェス「Progdreams X Boerder」に出演した際のライヴ音源を収録!
フロイド影響下の空間を感じさせるメランコリックな音作りに、シンフォニックな荘厳さやスタイリッシュなメロディ・センスを加味したスタイルは、ライヴにおいても変わらず魅力的に響きます。
四半世紀の歴史を背負った貫禄溢れるパフォーマンス!
さらに2024年には2年ぶりとなる待望の16thスタジオ・アルバムをリリース!
新たにサックス/フルート奏者が加入して制作された2024年作。
従来のCAMELやPINK FLOYDからの影響は見事に彼らの音として消化され、本作ではMARILLIONにも匹敵するメロディックで劇的なナンバーが並ぶ、シンフォニック・ロックとしてはこれ以上ないまでに洗練を極めた内容となっています。
荘厳さとスタイリッシュさが調和したシンセやオルガンが立体的に広がり、ギターが泣きのフレーズも満載のメロディアスなプレイを重ね、ハイトーンながら落ち着いたクセのない声質の英語ヴォーカルが切々と歌う。そんなMILLENIUM印のアンサンブルに、アーバンな空気感をもたらすテナーサックスが素晴らしくマッチ。
エレクトロ音響もスタイリッシュに纏わせながら、徹頭徹尾ドラマティックなシンフォニック・ロックを堪能させてくれる一枚!
いかがでしたか?
20年以上に及ぶ歩みによって、ピンク・フロイド『狂気』『ウォール』やジェネシス『眩惑のブロードウェイ』にも迫るほどのコンセプチュアルな作品を送り出す人気バンドへと上り詰めたMILLENIUM。
是非、その深遠でドラマチックな作品世界を一枚一枚堪能いただければと思います♪
99年結成のポーランド屈指のプログレ新鋭バンド。前作から3年ぶりとなった2011年作の8thアルバムで初の2枚組。憂いあるメロディと空間的で映像喚起的なアレンジとが完璧に融合したスタイリッシュなプログレを前作で極めた彼らが挑んだのが、アルバム2枚に渡って描く壮大なるストーリー。アダムとイブを主人公に、男女間の複雑な関係性をパズルのピースに見立てて描いたコンセプト・アルバムに仕上がっています。ジャケット・イメージからも分かる通り、彼らが敬愛するピンク・フロイド『ウォール』へのオマージュであり、挑戦でもある力作。これは傑作です。
現在のポーランド・シンフォ・シーンの中核を担うグループによる17年作。今作よりゲストプレイヤーだったサックス奏者が正式メンバーとして参加。ピンク・フロイド憧憬のメランコリックかつ劇的なサウンドにジェネシス的な叙情溢れるキーボードプレイを加えた音楽性を持っていた彼らですが、今作ではアーバンな香り漂うサックスのプレイも大きくフィーチャーし、従来作に比べ格段に洗練されたメロディアス・プログレを聴かせてくれます。全体的に見るとキーボードが担っていたシンフォ色は後退したものの、ここぞという場面ではシンセがスケール大きくうねり、存在感を発揮。サックスに活躍に加え、ギルモアのブルース色を抑えたようなエモーション溢れるギターや映画のワンシーンを思わせる話し声のSE、一部楽曲での女性ヴォーカルの起用など、『狂気』のフロイドを現代的な音像で再構成したような印象も強く受けます。さらに特筆なのがメロディの素晴らしさ。従来に増してシンプルゆえの力強さを宿す選び抜かれた美しいメロディが、聴き手の胸を強く揺さぶってきます。そのメロディを歌い上げる少し憂いのある男性ヴォーカルも相変わらずいい声です。シンフォニック・ロックという従来の立ち位置から大きく前進し、独自のサウンドを練り上げた意欲作!
現ポーランド・プログレの中核を成す人気グループ、00年リリースの2nd『VOCANDA』と、同作を13年にスタジオ・ライヴで再録した『VOCANDA 2013 LIVE IN STUDIO』を収録した2枚組。オリジナル・アルバムは、デビュー作で印象的だった、ネオ・プログレの叙情性とともにピンク・フロイドのDNAを継ぎ、メランコリックかつ映像喚起的なサウンドの延長線上に、「静」と「動」の対比鮮やかに、よりスケールを増した力作。『アニマルス』『ウォール』あたりのフロイドを彷彿させるアコースティックなオープニング・ナンバーからはじまり、無機的な音色のストリングス・シンセをバックにヘヴィなギターが炸裂し、ジェネシスばりのドラマティックなリズムのアクセントとともに、サックスが乱入して荘厳に盛り上がる展開にノックアウト。前作以上にエモーショナルに泣きのフレーズを奏でるギターも素晴らしいし、気品あるタッチのピアノやワルツ曲などポーランド生まれのショパンのエッセンスを感じるし、前作以上にメロディアスさが際立った一枚です。一方13年の再録は、オリジナル・ヴァージョンでのドラマティックさはそのままに、よりダイナミックでスケール感に満ちた演奏に生まれ変わっています。中でもギターとキーボードの演奏技術/表現力は大きくレベルアップしているのがわかり、作品本来の魅力を引き出すような素晴らしいパフォーマンスに思わず感動。ヴォーカルのLUKASZ GALLの切々としたハイトーン・ヴォーカルもやはり絶品です。LYNXレーベルの15周年を記念した企画アルバムですが、力の入った充実の演奏を披露してくれていて素晴らしいです。
現在のポーランド・シンフォ・シーンの中核を担う人気グループ、00年作2nd『Vocanda』から20年作『The Sin』までの20年間から選ばれた全20曲を収めた22年編集ベスト・アルバム。ピンク・フロイド、ジェネシス、キャメルから影響をスタイリッシュに練り上げた独自のスタイルで00年代ポーランド・プログレを牽引してきた、彼らの歴史を俯瞰するのにこれ以上ない決定版ベストです!
現在のポーランド・シンフォ・シーンの中核を担う人気グループ、スタジオ・アルバム15作目となる2022年作。本作より新ヴォーカルにキーボーディストRyszard KramarskiのバンドTRKPROJECTのDawid Lewandowskiが加入。80年代以降のキャメルを想起させる、どこか物悲しくもエモーションいっぱいに広がる雄大かつ重厚なインスト・パートと、従来のピンク・フロイドからの影響をモダンに昇華させたスタイリッシュでメロディアスなヴォーカル・パートがこれでもかとドラマチックに対比されるスタイルは、これぞMILLENIUM節としてさらに極まっています。タイトに刻む安定感抜群のリズム・セクションを土台に、まさにラティマーばりに泣きまくる哀愁ほとばしるギターと、シンセを軸にフロイド譲りの深遠な音空間を作り上げるキーボードによる、激情とメランコリーを揺れ動くアンサンブルはかつてない素晴らしさ。そんな演奏に渾身の歌を乗せる新ヴォーカルも特筆で、ハートフルな温かみも滲む、歴代ヴォーカルでも屈指の情緒に富んだ歌唱がMILLENIUMサウンドの説得力を引き上げます。どこを切り取ってもグッと来てしまうドラマ性に満ち満ちた、15作目にしてキャリア屈指の会心作!
現ポーランド・シンフォ・シーンの中心に位置する人気グループ、前作から2年ぶりに届けられた16枚目のスタジオ・アルバム、24年作!フルート/テナーサックス奏者が新たに加入し、バンドとしての表現の幅がグッと広がった印象。従来のCAMELやPINK FLOYDからの影響は見事に彼らの音として消化され、本作ではMARILLIONにも匹敵するメロディックで劇的なナンバーが並ぶ、シンフォニック・ロックとしてはこれ以上ないまでに洗練を極めた内容となっています。安定感抜群に刻まれるリズムを土台にして、荘厳さとスタイリッシュさが調和したシンセやオルガンが立体的に広がり、ギターが泣きのフレーズも満載のメロディアスなプレイを重ね、ハイトーンながら落ち着いたクセのない声質の英語ヴォーカルが切々と歌います。そんなMILLENIUM印のアンサンブルに、アーバンな空気感をもたらすテナーサックスが素晴らしくマッチ。叙情的なナンバーでメランコリックに奏でられるフルートも演奏に神秘性を付与していて見事です。ギター、サックス、オルガンがそれぞれの持ち味を生かしたソロプレイを披露し、満を持して哀切極まるヴォーカルへとバトンが渡る、2曲目の展開には思わずグッと来ました。エレクトロ音響もスタイリッシュに纏わせながら、徹頭徹尾ドラマティックでメロディアスなシンフォニック・ロックを堪能させてくれる入魂の一作!
名実ともに現代ポーランド・プログレ・シーンをリードする人気シンフォ・グループによる、24年リリースのライヴ映像作品。23年4月、KARFAGEN & SUNCHILD/RANESTRANE/SOLSTICEなど各国の実力派も名を連ねたオランダでのプログ・フェス「Progdreams X Boerder」に出演した際の映像を収録しています。最新作である22年作『TALES FROM IMAGINARY MOVIES』からのナンバーを中心に、初期・中期からのナンバーも散りばめた全12曲を披露。PINK FLOYD影響下の空間を感じさせるメランコリックな音作りを土台に、シンフォニックな荘厳さやスタイリッシュなメロディ・センスを加味したMILLENIUMならではのスタイルは、ライヴにおいてもその魅力を損なうことはありません。プログラミングを巧みに絡めて聴かせる洗練されたリズム・セクション、シンセ/オルガン/ピアノを操りアンサンブルに重厚な聴き応えをもたらすキーボード、ギルモアのブルージーなエモーションとスティーヴ・ロザリーの歌心を併せ持ったような見事なギター。四半世紀をかけて磨き抜かれたアンサンブルに、22年作から加入した新ヴォーカルが温かみと切なさを帯びた歌声を乗せます。傑作と呼ぶべき出来栄えだった22年作からのナンバーの素晴らしさは言わずもがなですが、現在の高度な演奏力で披露される初〜中期ナンバーもまた新鮮で聴き所です。さすがの貫禄溢れるパフォーマンス!
デジパック仕様、ブルーレイディスク(BD-Rです) ※再生機器との相性によって正常に再生できない可能性がございます
名実ともに現代ポーランド・プログレ・シーンをリードする人気シンフォ・グループによる、24年リリースのライヴ・アルバム。23年4月、KARFAGEN & SUNCHILD/RANESTRANE/SOLSTICEなど各国の実力派も名を連ねたオランダでのプログ・フェス「Progdreams X Boerder」に出演した際の音源を収録しています。最新作である22年作『TALES FROM IMAGINARY MOVIES』からのナンバーを中心に、初期・中期からのナンバーも散りばめた全12曲を披露。PINK FLOYD影響下の空間を感じさせるメランコリックな音作りを土台に、シンフォニックな荘厳さやスタイリッシュなメロディ・センスを加味したMILLENIUMならではのスタイルは、ライヴにおいてもその魅力を損なうことはありません。プログラミングを巧みに絡めて聴かせる洗練されたリズム・セクション、シンセ/オルガン/ピアノを操りアンサンブルに重厚な聴き応えをもたらすキーボード、ギルモアのブルージーなエモーションとスティーヴ・ロザリーの歌心を併せ持ったような見事なギター。四半世紀をかけて磨き抜かれたアンサンブルに、22年作から加入した新ヴォーカルが温かみと切なさを帯びた歌声を乗せます。傑作と呼ぶべき出来栄えだった22年作からのナンバーの素晴らしさは言わずもがなですが、現在の高度な演奏力で披露される初〜中期ナンバーもまた新鮮で聴き所です。さすがの貫禄溢れるパフォーマンス!
99年結成のポーランド屈指のプログレ新鋭バンド。ネオ・プログレとピンク・フロイドの影響の元に、メランコリックで映像喚起的なサウンドでデビューし、徐々に洗練させながら、前々作、前作で到達した、「プログレ」の枠を超えた、ピンク・フロイド『ウォール』ばりのスタイリッシュな「ロック」サウンド。2013年作9thである本作では、スタイリッシュさはそのままに、叙情性を増し、シンフォニック・ロックとして孤高のサウンドを聴かせています。映像喚起的なSEから入り、中欧の森を思わせるアコギのリードが静かに鳴るイントロ。その静寂を打ち破って轟くヘヴィなギターとキーボードによる音の壁とギルモアばりに伸びやかに泣くリード・ギター。そして、何より素晴らしいのがメロディーとヴォーカル。ピンク・フロイドの内省感とネオ・プログレの叙情美とが出会ったような美旋律、そして伸びやかさの中に翳りを感じさせるハイトーンが魅力のヴォーカルは、もう絶品の一言。99年のデビュー作での「空間的な音響センスに溢れたシンフォニック・ロック」を、これまでの作品で培ったテクニックとサウンド・メイキングのセンスにより圧倒的な強度で聴かせた一大傑作。熱くも透徹としたロマンティシズム。これはずばり最高傑作!
99年結成のポーランド屈指のプログレ新鋭バンド。前作6thの後、ベスト盤、シングル盤をリリースしてからの08年作7th。これまでも『ウォール』期のフロイドを彷彿させる映像喚起的なサウンドを聴かせてきましたが、本作のオープニング・トラックの曲目はなんと「EMBRYO」で、大地の脈動のように雄大なリズムをバックに、ギターがギルモアばりに伸びやかなリードを奏で、ヴォーカルが憂いたっぷりなメロディをエモーショナルに歌い上げるフロイドのDNAを正統的に受け継いだサウンドを聴かせています。かなり洗練された印象で、「ヴォーカル&メロディ」とそれを彩る「空間的なアレンジ」という彼らの2つの大きな魅力にサウンドを凝縮させた感じ。ピンク・フロイドと同じく、「プログレ」という枠を超えて、ワールド・ワイドに評価されるべきスタイリッシュでスケールの大きな「ロック」を聴かせる大傑作です。
99年結成のポーランド屈指のプログレ新鋭バンド。最高傑作と言える圧倒的な強度のシンフォニック・ロックを聴かせた前作からわずか1年でリリースされた2014年作10thアルバム。「完璧なメロディを探して」というタイトル通り、アルバム冒頭から伸びやかなハイ・トーンのヴォーカルがアカペラで高らかに歌い上げ、鳥肌もの。間髪いれず、彼らの持ち味である、ピンク・フロイドゆずりのディレイ音による空間的なアンサンブルの中、ギター、続いてサックスがリードを取る展開もスケール大きいです。このタイトル・トラックは、ベートーヴェンやバッハやワーグナーなど偉大なる作曲家へのオマージュであるとともに、偉大なるプログレ大曲、ジェネシス「サパーズ・レディ」やピンク・フロイド「エコーズ」やイエス「危機」へのオマージュとして作られた19分を超える大曲。メランコリックでいてスタイリッシュな彼らならではのプログレッシヴ・ロックを極めた名曲です。ロング・トーンでまるで歌うように優美に奏でられるギターと夢想的なサックスが柔らかにメロディを紡ぎ合うインストあり、ストリングスが艶やかに彩る、愛とともに裏切りを描いた渾身のバラードあり、ピンク・フロイドゆずりの洗練を極めたアンサンブルとともに突き抜けたメロディ・センスで聴き手を壮大な音のストーリーへと導き感動を誘うサウンドは彼らの真骨頂。前作に負けず劣らずの傑作です。
現在のポーランド・シンフォ・シーンの中核を担うグループ、14作目となる2020年作。タイトルが示すとおり、現代社会における「七つの大罪」を描く7曲によって構成されたコンセプト・アルバムとなっています。重厚なテーマですが、本作でもPINK FLOYDと90s以降のMARILLIONから影響を受けた深淵かつエモーショナルなシンフォニック・ロックは健在。ビシッビシッと重くタイトに刻むリズムに乗って、オルガンが叙情的にたなびき、リック・ライト彷彿のシンセがダークに広がり、そしてギルモアの泣きとS.ロザリーのメロディアスな音運びを兼ね備えたギターが飛翔するサウンドは、「ドラマチック」という言葉をそのまま音にしたような素晴らしさ!英語で歌う、スタイリッシュな歌い回しの中に切ない哀愁を秘めた男性ヴォーカルも、劇的なサウンドを一層盛り立てます。エレクトロニクスやSEを効果的に用いた演出力の高さにも注目。今回も貫禄のMILLENIUMサウンドを繰り広げる力作です。
名実ともに現代ポーランド・プログレ・シーンをリードする人気シンフォ・グループによる、24年リリースのライヴCD+DVD。23年4月、KARFAGEN & SUNCHILD/RANESTRANE/SOLSTICEなど各国の実力派も名を連ねたオランダでのプログ・フェス「Progdreams X Boerder」に出演した際の映像を収録しています。最新作である22年作『TALES FROM IMAGINARY MOVIES』からのナンバーを中心に、初期・中期からのナンバーも散りばめた全12曲を披露。PINK FLOYD影響下の空間を感じさせるメランコリックな音作りを土台に、シンフォニックな荘厳さやスタイリッシュなメロディ・センスを加味したMILLENIUMならではのスタイルは、ライヴにおいてもその魅力を損なうことはありません。プログラミングを巧みに絡めて聴かせる洗練されたリズム・セクション、シンセ/オルガン/ピアノを操りアンサンブルに重厚な聴き応えをもたらすキーボード、ギルモアのブルージーなエモーションとスティーヴ・ロザリーの歌心を併せ持ったような見事なギター。四半世紀をかけて磨き抜かれたアンサンブルに、22年作から加入した新ヴォーカルが温かみと切なさを帯びた歌声を乗せます。傑作と呼ぶべき出来栄えだった22年作からのナンバーの素晴らしさは言わずもがなですが、現在の高度な演奏力で披露される初〜中期ナンバーもまた新鮮で聴き所です。さすがの貫禄溢れるパフォーマンス!
現在のポーランド・シンフォ・シーンの中核を担うグループ、13作目となる2019年作。オリジナル・メンバーのヴォーカリストLukasz Gallが復帰して制作された本作。その内容は、PINK FLOYDやGENESIS〜MALLIRIONへのリスペクトに溢れたシンフォニック・ロックに、ポーランドらしい深いリリシズムと翳りある叙情美を加えた、揺るぎなきMILLENIUMサウンド。虚空に切なく響くようなピアノ、アンサンブルに奥行きをもたらす深遠なシンセ、ギルモアとS.ロザリーをミックスしたようなエモーションたっぷりに泣くギター、そしてスタイリッシュな中に哀愁を秘めた変わらぬ素晴らしい歌声…。シリアスでメランコリックに紡がれる演奏が、サビに向けて気高く飛翔していくあまりにドラマチックな展開は毎度ながら見事の一言です。始動から20年目となる彼らですが、ただただ実直に自らの音楽を深化させ続けていく姿勢に胸打たれる一枚です。
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