2022年5月31日 | カテゴリー:Column the Reflection 後藤秀樹,ライターコラム
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本コラムに向かっているときはいつもそうなのだが、取り上げているバンドを自分の部屋で聞き続けている。不思議だなと思うのは、かなり聞いてきたはずなのに新たな発見があること。特にLPからCDにしても複数枚同じタイトルを所持しているものが多いのだが、リマスターの効果もあり、同じ音源でも印象が違うものに改めて気づいてしまう。しかし、これはいけない。どれか一枚残せばいいやと思いながらも、その印象の違いでどれも愛おしく思えてしまうのだ。
かつてはそこまで感じず、ボーナス・トラックの違いだけを気にしていたのだが、聞き比べ始めるとそうはいかなくなる。じつは高音質CDや最新のリマスターが必ずしも最高とは思えない。モノによっては、新たなリマスターなのに昔より音量のレベルが低くなって聞きにくくなっているものもある。音の分離がはっきりしてこれまで聞こえなかった音が聞こえて感動したものもある一方で、逆に明確になりすぎて違和感を覚えるものもあるから難しい。
私は立派なオーディオで聞き比べている訳ではないし、専門家でもないので単に個人的な印象でしかないのだが、最近ではやはり昔LPやラジオで聞いたときの印象が伝わってくるようなCDが聞けると嬉しい。
ジェントル・ジャイアント(GG)も当時から長いことLPで聞いていたものだから、そこで聞いた印象が自分自身の根底にあるのは仕方のないことだ。
前回も書いたように、私が最初に聞いたGGは日本で74年に発売された⑤『ガラスの家(In A Glass House)』だった。国内盤で赤い帯のついた日本Vertigo盤で買った。帯裏に解説がつく伝説(?)の仕様。74年11月のことだ。(英国では73年9月の発売)。
◎画像1 ⑤ In A Glass House
当時、既に無名バンドの発掘を自分の楽しみにしていたこともあり、ワクワクしながら聞いた。
聞いてびっくり、冒頭の「The Runaway」のガラスを割る効果音もそうだが、何よりもステレオの左チャンネルからしか音が出てこないことに違和感があった。(というより、不良品か、またはステレオが壊れているのかと疑った。)しかし、約50秒間が過ぎ最初のリフを2回繰り返し3回目になるところで一気に左右から聞こえてきた。安心すると同時に、これも仕掛けのひとつなのだろうと納得した。
が、それ以上にそこに収められた音楽は難解で、良いのか悪いのかさえ判断に迷ってしまった。そんな自分が悔しくて、とにかく繰り返し何度も聞いた。メロディーがあるようでないようで、ヴォーカルもわざと主旋律を外して歌っているのか・・・ヴィブラフォンを使うことが多いな・・・リズムはシャープでタイトだが・・・変拍子が多い・・・という謎と感じる部分ばかりが際立っていた。そうして毎日聞いていくうちに、各曲に散りばめられた叙情的なパートの見事さに気づき、ある日突然眼からウロコが落ちたように「これはすごい作品だ!」と評価できるようになった。
★音源資料A The Runaway
当時通っていた高校の部活の放送局の仲間にも聞かせたのだが、誰一人として「いいね」とは言ってくれなかった。当然、人の評価など気にしない私だ。それで、校内の昼の放送で紹介したのだが、かけたのはもちろん「A Runaway」。みんなガラスを割る音にはビックリしたようだが、それだけの反応だった。
後に英国WWA原盤を手に入れたのだが、まずジャケットが日本盤とは違ってフィルムのついた凝ったものだった。さらに1曲目の「The Runaway」のガラス音から左右のスピーカーから普通に聞こえてきたことに唖然とした。冒頭、片チャンネルという措置は日本のみのミックス(?)ということになる。ただし、それで聞いてきた私の耳には両チャンネルに切り替わる瞬間が結構気持ちが良かったので、原盤のほうが物足りなく感じたのも確かだ。ただ、アルバム全編を通して聞くと、エコー効果も含めた音の広がりは間違いなく英国盤のほうが素晴らしかった。
CDになってからも何種かの『ガラスの家(In A Glass House)』を聞いてきたが、当然のこと日本盤のミックスに出合うことは出来ない。私は今でも時々、国内盤を引っ張り出して昔を思い出しながら聞いている。最初の出会いの印象はとても大きいものがある。
そうなると、他のGGのアルバムが気になってくる。本コラムに何度も登場する友人のUさんのおかげもあって、以前のアルバムを聞くことができた。そんな中で、もう1枚気になるアルバムがあった。それが海賊盤の『Playing The Foole』だった。(画像②参照)
海賊盤には当時は不信感があったのだが、このアルバムはすごかった。まず音質がいい。ジャケット・シートにはライヴと記載されているが観客はなく、スタジオでの別テイク集といった趣。オリジナル作品より聞きやすくわかりやすかったというと褒めすぎだろうか。そして決定的なのはラストに収録された「The Power And The Glory」だった。彼らにしては力強くストレートなロック・ナンバーでとにかくカッコよかった。
★音源資料B The Power And The Glory
『In A Glass House』に続くアルバムとして英国で74年に発表された彼らの6作目が⑥『The Power & The Glory』であることは知っていたが、じつは同タイトルの曲「The Power And The Glory」はレコード(LP)には収録されていない。英国でアルバムとは別に、シングルとしてのみの発売だった。
この辺りの事情は、キャッチーなナンバーを用意しながらもアルバムには収録しないというデヴュー以来から続くGGの音楽的な意地を感じさせるのだが、当時はアルバム・タイトルと同名のシングル曲なので私は混乱した。(そう言えばEL&Pのアルバム『恐怖の頭脳改革(Brain Salad Surgery)』には収録されていない同名のシングル曲が存在していたのも有名な話だ。)
◎画像2 ⑥’The Power and The Glory’ + Bootleg「Playing The Foole」
⑥『The Power & The Glory』は73年12月から74年1月に録音されたものでWWAからの2作目として74年9月に英国で発売されている。「スペードのキング」のトランプ・カードを模したダイ・カット・ジャケットになっていて、米国でもCapitolから発売されている。前作は米国では発売が見送られたものの、米国内では輸入盤として150000枚が売れたという事実から、彼らはカルト的な人気バンドであると認知され注目を集めたのだ。
日本ではLPとしては一度も発売されたことがない。そうした事情のせいか今も彼らのアルバムの中では過渡期にあるような作品としてとらえられている気がする。私も最初に聞いたときには前作が圧倒的に感じられただけに、少し軽めの作品だなという印象を持った。全体に難解というよりは聞きやすくなってしまったかな?とも思えた。(不思議な思いではあるが。)
★音源資料C So Sincere(Official Audio)
しかし、その後聞く度にやはり聞こえてくる音以上に、その奧にある世界観の深みを感じ取っていくことになる。ラストの「Valedictory」は冒頭の「Proclamation」に呼応したヴァリエーションであることに気づくとアルバムを聞き返し循環していくことにつながっていく。「So Sincere」での相変わらずモザイク画のような音の構築は強烈な皮肉にあふれている。本作は<政治の堕落>という異色のテーマを持ったトータル・アルバムのように仕上げられていて、ウォーターゲイト事件直後ということもあり、米国でGGが注目されたのもうなずける。
また彼らの曲のコンポーザーはShulman,Shulman,Minnearとして、デレク、レイ、ケリーの3人の共作扱いになっているが、やはりアイディアを持ち寄った後に3人のうちのが誰かが中心になって組み立てて曲として仕上げていくことになる。本作ではナイーヴな部分が多く感じられ、それはケリー・ミネアの個性でもあり、その役割が大きくなっていることもうかがえて興味深い。それにしても、ギターのゲイリー・グリーンとドラムスのジョン・ウェザースのリズムは相変わらず独特で凄みを感じる。
現在ではCDにシングル曲である「The Power And The Glory」もボーナスとして収録されている。
その名が広く知られる存在になったGGだが、じつはアルバム制作とツアーの両面にわたるプロモーター、マネージャーとの確執を引きずっていた。⑤『ガラスの家(In A Glass House)』が米国での発売が見送られたことで、しばらく米国でのツアーは行われていなかった。
⑥『The Power & The Glory』が改めてリリースされたことから、米国でのステージを再開しようとしたもののゴタゴタは続いていた。GGは彼ら自身でツアー運営を行う決心をするのだが、彼らの素人考えでは上手くいくはずもなかった。新たに雇ったマネージャーはウィスキー・ア・ゴー・ゴーで5夜の契約を結んだものの、数回のギグしかできずに追い出されるといういい加減なものだった。結果的に惨めな思いをしたGGのメンバーだったが、⑥『The Power & The Glory』がチャート入りしたことからプロモーター側は以前のトラブルを解消しようと提案してきた。しかし、GGもさすがにこれまでの経緯を振り返り今後のことを慎重に考え、新たにクリサリス(Chrysalis)レコードのテリー・エリスと接触することで、彼にすべてのマネージメントを任せることにした。そのテリーの力によって、彼らは再び完全にステージに復帰できることになった。賢明な考えだったと思う。
そうして1年半ぶり二度目の米国ツアー、小規模の英国ツアーを行う中でGGは英クリサリス・レコードと新たに契約を結ぶことになった。
◎画像3 ⑦『Free Hand』
75年8月に英国でクリサリスに移籍して発売された⑦『Free Hand』。ジャケットは一見してじつに不気味なもので、「束縛からの解放」を意味しているのかなと思いながらも、「縛られた両手と向かっていく手首」は恐怖映画の一場面のようで好きになれなかった。米盤もめでたくリリースされたが、そちらは前作に続いてCapitolから。日本では本国同様にクリサリスから75年に発売されている。その頃のキングのクリサリス盤は何故か英国と同じレコード番号を使用していて、便利なようで実際には逆に原盤との混乱があってちょっとわかりにくかった。
★音源資料D 『Free Hand』(Steven Wilson 2021Remix)
ひと言で言うなら、⑦『Free Hand』は彼らの最高傑作と呼んでいいだろう。1曲目の「Just The Same」は指を鳴らす音と拍手が随所に登場しながら複雑なリズムをいとも簡単にこなす難曲だが、それをキャッチーなナンバーのように聞かせるところが彼らの真骨頂だろう。度肝を抜かれたのは2曲目の「On Reflection」。これまでも導入していたアカペラ・コーラスだが、聞いていて引きこまれるほどに完璧。さらに曲展開も多彩なのだが、自然に流れていく様子は見事というしかない。3曲目のタイトル曲「Free Hand」も素晴らしい。歌メロ部分はわかりやすいが、間奏での各楽器の有機的な絡みの素晴らしさには舌を巻いた。B面も聞くべき所は多く、彼らの目指したものの集大成になっていると感じた。特にアルバムに必ず収録される中世風味のリコーダー・アンサンブルも「Talybont」に健在で、ジャケットの雰囲気とは別にオアシスにたたずんだ雰囲気にさせられるのも嬉しい。とにかくA面の充実度はずば抜けていたと今聞いても思う。
後年になって明らかになった各種のライヴ音源を聞いても、この時期の楽曲の演奏は素晴らしい。レコードそのままの演奏が目の前で再現されるのだから、その驚きから観客の歓声も素直に伝わってくる。さらには映像の時代となり、彼らのステージでの姿が手軽に見ることが出来るようになり、そのすごさを体験できたことも彼らの理解の上では大きな要素になったと言える。メンバーのテクニックのすごさと演奏の迫力は分かっていたが、地味に思えたベースのレイのパワー・プレイにも驚いた。
何よりも75年という、時代的には幾分微妙な時期になってプログレ・バンドとしての大傑作を残したことは歴史的に見ても大きな価値を持っている。
⑧『In‘terview』は、76年4月に英クリサリスから発売された8枚目のアルバム。これもコンセプト・アルバムの趣が強く、テーマはタイトル通りに<インタヴュー>。彼らがプレス関係者から繰り返されるインタヴューに対しての疲れや鬱陶しさから生まれたものだという。しかし決してそれらを否定しているのではなく、答える代わりに自分たちの思いを歌詞に乗せていることは読み取れる。
◎画像4 ⑧’In‘terview’
実際に、彼らのインタヴューはあちこちに星の数とは言わないもののかなりの量があり、彼らの理解する上で参考になっていることは間違いない。ただ、似たような内容があちこちに出てくるのもその通りだ。かつて「英国最高の知られざるバンド」だったGGが、「結構知られた人気バンド」になったことの証明とも言えるのだろうが。
しかし、残念なことにそれゆえにずいぶんと説明的な音楽になってしまったと言えそうな気がしてならない。よく歌詞に目を通すと、タイトル曲「In‘terview」では「フィルがバンドから抜けたときの悲しさ」や、「4枚目のアルバム(Octopus)の後、自分たちの進もうとしている方向に変化はないことがわかった」ということが読み取れる気がするし、4曲目の「Another Show」にはロード(ステージ活動)が続くことの疲れについて歌われているように感じられる。6曲目「Timing」や7曲目「I Lost Of My Head」では、先ほど述べたプロモーター、マネージャーに感じた不安を思い出しているような歌詞だ。
音楽的にはこれまで同様に様々な要素を盛り込んでいてGGらしい世界観はあるのだが、印象に残るフレーズが少なかったというのが最初に思った印象。意外と思える2曲目「Give It Back」のレゲエ・リズムもGGには似合わなかった。「Design」で聞かれるヴォーカル・ハーモニーは、それまでの中世の対位法ではなく、さらに複雑な現代音楽風だ。パーカッション・パートもかなり凝った実験的な構成だが、ストレートで無機質な印象が強く、そこにもっとメロディーが感じられたらと残念に思った。もちろん、演奏テクニックの高さは十分に感じられるのだが。ここでは「Empty City」を聞いてみよう。
★音源資料E Empty City
前作⑦『Free Hand』が成功したのは確かだが、初期に描いていたファースト・アルバムにあった「我々は独自で冒険的で、しかもより魅力的なものをつくり出そうというひとつの思想のもとに、より音楽的であることを条件に、技術的な知識を駆使してレコーディングした。はじめから我々は予想される耳障りな商業性は放棄している。そのかわりに、より確固とした完成度の高い作品を送りたいと考えている。」という初期の世界観に戻らなくては・・・と過剰な意識に立ってしまったのではないかと思わせる作品になってしまったような気がしてちょっと残念だった。
ただ、この作品のレコーディングはツアーに明け暮れていた多忙な時期にぶつかり、中心にまとめ上げたケリー・ミネアが神経質になっていった様子が2011年の2枚組再発の際にジョン・ウェザースの声として触れられていた。
今になって考えると、当時の大物バンドのアルバム・リリース間隔が大きくなることが多かっただけに、もっと時間をかけて落ち着いて制作しても良かったのではないだろうか。
◎画像5 ⑨’ Playing The Fool~Official Live’
クリサリスから、77年1月に英国で発売された彼ら初、かつ唯一の公式ライヴ盤が⑨『Playing The Fool~Official Live』だ。LPでは2枚組。英国はやはりCapitolからのリリース。76年の9月~10月のユーロ・ツアーの記録となるが、ドイツ2カ所、ベルギー、フランス各1カ所での演奏が選ばれている。
電気楽器から古典楽器、ヴォーカル・ハーモニーからアコースティック・アンサンブルまで、レコードで奏でられたものが目の前でそのままに演奏される様子のすごさがダイレクトに伝わってきて、歴史に残る素晴らしいライヴであると評価したい。
内容的にも、それまでのアルバムから彼らの歴史も読み取れるようになっていて、シリアスで濃密な音楽の中にユーモアも感じられるところが気に入っている。
ただCDとして再発される度に曲名や曲の区切りが変わっていて、少しばかり混乱することがある。全編を通して聞く分には問題ないのだろうが・・・
ここでは、アルバムよりも実際のライヴ映像(75年)を見ていただこう。ステージでのアンサンブルの多様性がより明確に分かる。
★音源資料F Gentle Giant Live in Long Beach 1975 Full Concert
⑩『The Missing Piece』はクリサリスからの3枚目、77年の8月に英国発売されている。同年のうちに米国でもCapitolから、そして日本ではそれまでのKingからToshibaEMIにクリサリスの権利が移ってのリリースだった。
◎画像6 ⑩‘The Missing Piece’
1曲目の「Two Weeks In Spain」は、当時のライヴでの定番曲。最初に聞いた時に彼ららしいパワーに溢れた勢いのあるナンバーですぐに気に入った。ポップになった感は否めなかったが、難しい構成よりもこうしたストレートな演奏も彼らにとって重要ではないかとも思った。続く「I’m Turning Around」はメロディーも際立つ叙情性も感じさせる名曲。
★音源資料G Two Weeks Of Spain Live Sight & Sound1978 BBC Nelson Parra Bastias(2020/01/31)
じつは当時、英メロディー・メイカー紙では、本作はアルバム・タイトルに引っかけて「Giant Size Error(大いなる失敗作)!」と酷評されたのを私も真に受けて、彼らも日和ってしまったのか・・・と思ったものだが、その後聞き返すうちに、それまでの彼らの高度な音楽性をコンパクトに表現したものと好意的に受け取り、結構頻繁に聞くようになった。
よく聞くと、前々作⑧『Interview』で消化不良だった実験的な部分を改めて取り戻したことも感じられる。一例として先ほどの「Design」の実験的なパーカッション部分を、本作の「Wining」で再現した感があるのだが、テーマ・メロディーを盛り込んだ中での展開となり曲としての完成度を高めている。同様に⑧『Interview』では無機質に感じられたゲイリー・グリーンのギターも、本作では「Memories of Old Days」に顕著なのだが彼本来の歌心のある演奏に甦ったように思える。ステージではレイとのギター二重奏。最後のエレキはケリーが弾いている。
ラストの「For Nobody」は、まるで「ガラスの家」の世界を凝縮してポップにしたような印象がして今では最高に気に入っている。
★音源資料H For Nobody/ Mountain Time
時代は変わる、音楽の潮流も変わる・・・当たり前のことだが、70年代中期のパンク、ニュー・ウェイヴの勢いは英米を中心に世界を席巻し、さらにはディスコ・ブームもあって、プログレ・バンドにとってはファン共々「冬」の時期に入ることになる。そんな中で、ジェントル・ジャイアントはプログレの最後の砦のように傑作⑦『Free Hand』以後もコンスタントにアルバムを出し続けていたのだが・・・
◎画像7 ⑪’Giant For A Day‘
事前に音楽雑誌での告知を見ることなく、私は大学の講義の帰りに寄ったタワー・レコードでこの⑪『Giant For A Day』のLPを見つけた。その時のショックをどう表現したらいいだろう。彼らのトレードマークの「ジャイアント」がマンガのようにジャケットに大きく描かれ、その周囲に切り取り線があり、横に添え書きが・・・・切り抜いて顔につけて、君も一日「ジャイアント」!・・・ただただ脱力してしまった。
このアルバムは78年9月に英クリサリスから発売されるのだが、米では2週間早くCapitolからリリースされていた。私が手にしたのはその米盤。ジャケットの裏を見てさらに落胆。
家に帰ってシュリンクを破ると内袋に「ジャイアント」のお面が・・・・
★音源資料I Giant For A Day GRP1960
先にも触れたように、その頃私は⑧『Interview』⑩『The Missing Piece』ともにそれほど評価していたわけではない。だから、彼らのさらなる変貌は想像できた。しかし、ここまでマンガチックなジャケットは予想していなかっただけに、大きな期待はないままにターン・テーブルにレコードをのせた。
いきなり1曲目「Words From The Wise」が無伴奏コーラスで幕を開けるが、それまでの中世風なクラシカルなものではなく当世風のキャッチーなポップ・ソング。個人的には思ったよりずっと良かったが、GGファンが期待するものではないだろう。
2曲目「Thank You」はギターの音色にジョージ・ハリソンの曲調を思い起こさせる弾き語り。続くタイトル・ナンバーは、コンピューター音を意識したリフにのせてテクノ・ポップの一歩手前。「なろうと思えばカーター(当時の米大統領)にも、モハメッド・アリ(米ボクサー)にも、マーロン・ブランド(米俳優)にも、ミッキー・マウスにだってなれる。」と歌っている。
そんなふうに曲が続く中、普通にバラードなのだが「It’s Only Goodbye」はグリーンのギターとミネアのピアノにデレクのヴォーカルも素晴らしく、当時から今に至るまで気に入っている一曲である。
★音源資料J It’s Only Goodbye
ここで、その昔このアルバムに関して私が書いた文章を載せておく。
「プログレは結局、ポップがその帰結点でその役割を終えたとある評論家が言っていたが、GGの中にもそのような考え方があったのだろうか。確かにポップに変貌した彼らだが、底辺にあるユーモアは不変であることを忘れてはいけない。だから、彼らが変身してもそれはニュー・ウェイヴのように変にシリアスになるのではなく、どこかピエロのような滑稽さがあちこちに顔をのぞかせる。確かに古くからのファンにアピールするものは少なくなったが、その本質はリラックスしたからこそ余計素直に受けとめられるはずだ。」
その証しとして、あれだけショックだったジャケットを持つアルバムを、私は今も大切に持っている。
日本でのLPの発売も見送られた作品でもある。
◎画像8 ⑫‘Civilian’
前作発表時に彼らはプロモーションのためのコンサートを行っていない。つまり⑪『Giant For A Day』のレコーディングが終了する1978年の6月から、⑫『Civilian』のレコーディングを始める1979年の8月までは約1年間ほぼ沈黙を守っている。これは、彼らの歴史の中でも珍しいことだった。
そして⑫『Civilian』は79年8月から11月にかけて録音、④『Octopus』以来8年ぶりに米Columbiaから80年3月に発売され、英国では英クリサリスから米国から2ヶ月も遅れて5月にリリースされている。本作も日本ではLPとしては発売されていない。
こうした事情は、彼らが活動拠点を米国に置いたことにあるのだが、その経緯は決して順調なものとは言えなかったようだ。ただ、プロデュースがAn Onward U.S Productionと記されていて、それまでのバンドのセルフ・プロデュースではなかった。それで、よくクレジットを見てみるとジェフ・エマーリック(Geoff Emerick)のプロダクションであることがわかった。ビートルズの名作群のエンジニアとして名を馳せた彼は、70年代もロビン・トロワー、ナザレス、マハヴィシュヌ・オーケストラのエンジニアをはじめ、ケイト・ブッシュとのレコード契約の立役者、そして80年代にもウルトラボックス、ビッグ・カントリーといったあらゆるジャンルのアーティストを担当してきたオールマイティの制作担当者だ。
実際に⑫『Civilian』のジャケットを見た時も驚いた。まず、黄色と赤のペンキで乱暴に書きなぐられたようなバンド名だけで、タイトルが記されていない。と思ってじっと見ていると、赤い部分が「Civilian」と浮かび上がってくるのだ。
デザインも昔(1950年代)の米国の通勤風景の写真だが、皆同じ帽子をかぶり、似たような外套を着込んでいる様子も今考えると不気味だが、顔の部分だけ白く抜かれていてその不気味さが際立ってくる。歌詞の方を見ると日常の「市民生活」の画一的で機械的な味気なさをテーマとして取り上げている。これもトータル・アルバムとしてとらえていいのだろう。
聞こえてくる音の方は、一本芯の通ったような迷いが吹っ切れたような演奏。非常にソリッドで元気な曲が多いのだ。かつての難解なイメージはまるでない。もともと超技巧派のメンバーの集団だが、本作では各楽器のソロ・パートの場面は目立たず、バンドとしての一体感がアンサンブルとなって浮かび上がってくる。当時のバンドで言えば、シティ・ボーイ(City Boy)、10cc、ヴォイジャー(Voyger)といったポップ・ロックのグループ群、パワー・ポップのカテゴリーに入ってしまったようで、そう言えてしまうところがジェントル・ジャイアントという他に比較されなかったバンドとしての孤高性を完全に捨て去ってしまった印象だった。
非常に聞きやすく、完成された作品だけに、逆に寂しさが際立ってしまう。
そんな中で印象に残ったのは2曲目「Shadows on the Street」。ケリーの弾くピアノとヴォーカルが中心の静かで詩情豊かな作品。彼らには珍しい作品だが、元気いっぱいの曲が多い中ではとりわけ目立つ。何かレクイエムのようでもある。
80年の5月から久々の全米プロモーショナル・ツアーに出かける。6月まで35回のステージを行う。しかし、米国での商業的成功を目指したこのアルバムも結果的にその夢を叶えるには至らなかった。
★音源資料K Shadows on the Street
結局、バンドとしてのジェントル・ジャイアントの歴史は12枚のアルバムで終了となる。
何度も繰り返しになってしまうが、70年のデヴュー時に掲げた「独自で冒険的で、魅力的な思想のもとに、より音楽的であることを条件に、技術的な知識を駆使してレコーディング。耳障りな商業性は放棄し、より確固とした完成度の高い作品を送りたい」という宣言は、多くの作品に結実して残すことが出来た。さらにステージでも驚異的なパフォーマンスで驚かせてくれた。中世風コーラス、多くの楽器を持ち替えての室内楽やリコーダー・アンサンブルも含めて、極めてテクノロジカルなロックは高い技巧と融合し聞く者を圧倒した。その底にあった彼らの思想性も十分に感じられた。時代の流れにはさすがに逆らえず、結果的にその歴史の幕を下ろすことにつながったが、それさえも潔さと感じられる。
私にとって、今回この原稿に向かいながら、改めて全作品を繰り返し聞き、彼らの苦悩も含めて、その深遠な世界観を再確認するどころか、随所に新たな発見があった。じつに面白いことだ。
ジェントル・ジャイアント後半のアルバムに関しての日本でのレコード時代の発売状況だが、下記の通りで、⑤はともかくとして⑦~⑩まではコンスタントに発売されていていた。しかし⑥⑪⑫は一度も発売されてはいない。
一方のCDだが、彼らのオリジナル・アルバムは輸入盤ではすべて再発されていてCDでの入手は可能だろうと思われる。
日本においては94年にフォノグラムから「Vertigo Classics Super Price」シリーズで①②④が初CDされた。(③は未発売。)その後紙ジャケ仕様として2000年に①④が、2006年に②③が発売され、さらに2009年に①~④までSHM-CDになって改めて紙ジャケ仕様として発売。しかし、WWAの2枚⑤⑥は輸入盤を国内流通仕様にした形の発売があるだけで純粋な日本盤としては発売されていない。
クリサリス期に関しては2015年にワーナーから「Progressive Rock SHM-CD Collection」として⑦⑧⑨⑩が廉価盤として発売されたが、普通仕様(ジュエル・ケース)のCDだった。
クリサリス期はもっと紙ジャケになっていてもよさそうに思えるのだが、⑦『Free Hand』と⑩『Interview』が拡大2枚組(SHM-CDともう1枚はDVD)として日本盤紙ジャケCDになっただけ。
この2枚はSteven Wilsonのリミックス絡みだが、そうなるとStevenの関わっている同じ拡大2枚組仕様の『Octopus』『The Power And The Glory』『Three Piece Suit』もカタログに加わってくることになる。それだけに彼らの音源を揃えるには結構苦労がつきまとうだろう。
GGはVertigo~WWA~Chrysalisと所属会社が替わっているために権利も複雑なのだろうが、(さらに言えば⑪⑫は米盤が原盤になるのだろうか? そうだとしたら⑫は米Columbia?)バンドがAlucardとして音源管理を有しているので、もう少しわかりやすく入手しやすい状況になることを切に願いたい。
そんなことを考えている最中に、今年(2022年)中には⑫『Civilian』のアルバムがレコードとして再登場することと、新たなボーナスを含んだCDも出されるというニュースを知った。ひょっとしたら、この最終作を起点に彼らの歴史を振り返ろうとする動きも出てくるに違いない。それだけに、彼らのカタログが上手く整理されることが望まれる。
◎画像9 Gentle Giant Portrait
70年代を駆け抜けその活動を終えたGG。そのメンバーは初期に2度のドラマーの交替があり、シャルマン兄弟の長兄フィルも抜けている。
しかし、今回の<後編>で扱った⑤~⑫まではデレク・シャルマン、レイ・シャルマン、ケリー・ミネア、ゲイリー・グリーン、ジョン・ウェザースという4作目の『Octopus』以来不変のメンバーだったことは特筆すべきことだろうと思う。私自身としても『ガラスの家』がGGとの最初の出合いだけに、その後アルバムが出る度に「今回はどんなスリルがあるのか?」とリアルタイムで追いかけながら、内容的には一喜一憂しながらもメンバーが替わることなく同じという事実には安心してきたものだ。
解散後、ジョン・ウェザースは長く活動を続けるウェールズのバンド、Manに84年から96年まで参加した。難病のために演奏を休止した時期もあったがその後回復。Wild Turkeyの2006年の再活動アルバムにも関わっていた。
ゲイリー・グリーンは、GG2代目のドラマーのマルコム・モルティモアとThree Friendsを結成。その名の通り、GG時代の曲をレパートリーに演奏活動を継続。2009,2010年には来日もしている。
デレクはレコード会社の仕事に関わり、ポリグラムの副社長、ワーナー/Atcoの社長職にも就いて、後進の発掘に尽力していた。Bon Jovi、Tears For Tears、Dexys Midnight Runnersといった80年代に活躍したバンドの契約や、AC/DCやBad Companyの再活動、Dream Theaterのデヴューにも関わっていたことを私も最近になって知って驚いたところ。また、GG35周年の一連のアニバーサリーCDをリリースしたdrt-エンターテインメントを立ち上げてもいる。
レイも同じように音楽畑で仕事を続け、TV、映画、CM、ゲーム・ミュージック等を手がけ、Sugar CubesやSundaysのプロデュースにも関わっている。
ケリー・ミネアは、クリスチャン・バンドで活動していたということだが、詳細は不明。また、奥さんとGGのCD,DVD発売のためのAlucard Musicを立ち上げ、結構な数をリリースしている。
デレクのdrt-エンターテインメントとAlucard Musicとが上手く関わったら、彼らのオリジナル・アルバムはもちろん、ライヴを含む貴重音源がきちんと揃うと思うのだが・・・・と思っていたら、2019年末にとんでもないBoxが登場した。『Unburied Treasure』という30枚組!!!!
その中のブックレットに添えられた最近のデレクとレイとケリーの3人のショットを見てびっくり。久し振りに見たケリーの姿が、アルバム・イラストの「ジャイアント」そのものになっていたのだ。(画像10を見てほしい。)
◎画像10 Unburied Treasure + Gentle Giantの3人(Kerry; Derek; Ray)
最後に オフィシャル・ファン・ビデオとして公開された「ploclamation」を紹介しておこう。
コロナ禍リモートで行われた驚きの映像だ。世界中のファンが同曲を演奏する様子を収めたもの。コロナ禍にあってこうした形での映像はけっこう目にしたが、GGの難曲をこうしてつなぐというのはさすがに想像を超えていた。なお、映像作成はデレクの娘のノア。彼女は映像作成の仕事をしているということだ。それだけにプロの映像として完成度も高い。
なお、GGのメンバーも次々と出てくるので、探してみると面白いだろう。
★資料音源L Gentle Giant “Proclamation” Official Fan Video
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ご存知英国が誇る超絶技巧プログレ・バンド。初期3作品『GENTLE GIANT』『ACQUIRING THE TASTE』『THREE FRIENDS』より、マルチ・トラックが現存する9曲に、1st製作時に録音された未発表曲「Freedom’s Child」を加え、PORCUPINE TREEの活動でも知られるスティーヴン・ウィルソンがミックスを施した全10曲を収録。曲によっては別テイクかのように立体的な音像へと生まれ変わった曲もあり、相変わらずのミックスの手腕を見せてくれています。
盤質:無傷/小傷
状態:良好
デジパック背、ブックレットに若干スレあり
Derek Shulman、Ray Shulman、Phil Shulmanの三兄弟を中心とする、ブリティッシュ・プログレの代表的なグループのひとつ。ポップ・フィーリング、古楽の様式美を思わせるクラシカルなアプローチ、そして高い演奏技術に定評があり、変拍子を含む複雑な構成の楽曲を軽々と弾きこなす超絶技巧グループです。『Gentle Giant』は1970年の記念すべきデビュー・アルバムであり、比較的とっつきやすい作品とされていますが、それはあくまで彼らのディスコグラフィーの中ではの話。デビュー・アルバムにしてすでに、後の彼らの個性となっていくポップなメロディーと複雑怪奇な楽曲構成は顔をのぞかせており、一度聴けばその完成度の高さに舌を巻くことでしょう。タフなリズム・セクションが跳躍するヘヴィー・プログレから、ヴァイオリンやチェロを迎え室内楽的に聴かせる牧歌的な楽曲まで様々なスタイルの音楽性を披露。マニアックな仕掛け、そしてそれに反するポップな全体像というミスマッチな個性は次作以降、より強固なものとなっていきます。プログレッシヴ・ロック前夜のサウンド・アイディアを放り込み独自の音楽性を提示した傑作です。
Derek Shulman、Ray Shulman、Phil Shulmanの三兄弟を中心とする、ブリティッシュ・プログレの代表的なグループのひとつ。ポップ・フィーリング、古楽の様式美を思わせるクラシカルなアプローチ、そして高い演奏技術に定評があり、変拍子を含む複雑な構成の楽曲を軽々と弾きこなす超絶技巧グループです。『Acquiring The Taste』は1971年のセカンド・アルバムであり、聴き手を選ぶツウ好みの内容ながら、彼らの溢れんばかりの音楽的探究心が結実したという意味ではやはり傑作。GENTLE GIANTといえば、メンバーたちのマルチ・プレイヤーぶりがしばしば話題となりますが、その印象は本作を発端としているのでしょう。おびただしい数の楽器がクレジットされており、その様はまるで劇薬を生み出さんとするマッド・サイエンティストの実験室のようです。一聴して耳に残るような派手さにこそ乏しい印象を持つものの、プログレッシヴ・ロックの特徴のひとつである緻密なバンド・アンサンブルの始祖的な位置にある作品であり、噛めば噛むほど味が出る、聴くたびに新たな発見のある名盤です。
シャルマン3兄弟を中心に結成された英プログレッシヴ・ロック・グループ、73年4th。クラシックやジャズの要素を取り入れ、変拍子や転調を繰り返す複雑な曲展開が特徴です。本作は従来通りの変化に富んだ楽曲展開に加えて、牧歌的なメロディを前面に押し出し、よりPOPになったアルバム。端正なコーラス・パートから一転、切迫感をあおるキーボードがフェード・インし、力強いドラムとギターがスリリングに展開。メンバーそれぞれが楽器を持ち替える曲芸的演奏によって生み出されるダイナミックなアンサンブルが最大の持ち味で、長くても5分程の中につまった山あり谷ありの展開はこのグループならではの魅力でしょう。知名度では劣りますが英プログレの5大バンドに匹敵するオリジナリティを持つグループ。バンドの代表作と評価される名作です。
紙ジャケット仕様、デジタル・リマスター、内袋付仕様、定価2039+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
帯中央部分に軽微な色褪せあり、紙ジャケにスレあり
廃盤希少、紙ジャケット仕様、SHM-CD、日本オリジナルアナログマスターを基にした2009年DSDリマスター音源、デジタル・リマスター、レーベルカード・内袋付仕様、定価2,667+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
レーベルカードに軽微な折れあり
4面開きペーパーケース仕様、SACD〜SHM仕様(専用プレーヤーのみで再生可)、デジタル・リマスター、定価4286+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
Derek Shulman、Ray Shulman、Phil Shulmanの三兄弟を中心とする、ブリティッシュ・プログレの代表的なグループのひとつ。ポップ・フィーリング、ルネサンスの様式美を思わせるクラシカルなアプローチ、そして高い演奏技術に定評があり、変拍子を含む複雑な構成の楽曲を軽々と弾きこなす超絶技巧グループです。『Three Friends』は1972年のサード・アルバムであり、ドラマーのMartin Smithがメンバー間の確執により脱退、後任ドラマーにMalcolm Mortimoreが迎えられ制作されました。その内容は、GENTLE GIANTにとって初のコンセプト・アルバム。タイトルの通り「幼馴染の3人が資本家、芸術家、労働者になり、それぞれ別々の人生を歩んでいく」というストーリーに基づきアルバムが進行していきます。GENTLE GIANTのひねりの効いた音楽性は本作でも健在であり、幼い頃を回想する懐かしくも寂しいようなテーマと絶妙にマッチング。グループは本作でアメリカ・デビューを果たし、ビルボード・チャート入りを経験しました。また、本作を最後にドラマーMalcolm Mortimoreは脱退し、グループは新たなドラマーJohn Weathersを迎えることになります。
紙ジャケット仕様、05年24bitデジタル・リマスター、内袋付仕様、定価2039+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
紙ジャケ側面部に色褪せあり
Derek Shulman、Ray Shulman、Phil Shulmanの三兄弟を中心とする、ブリティッシュ・プログレの代表的なグループのひとつ。ポップ・フィーリング、古楽の様式美を思わせるクラシカルなアプローチ、そして高い演奏技術に定評があり、変拍子を含む複雑な構成の楽曲を軽々と弾きこなす超絶技巧グループです。1975年の7thアルバム『Free Hand』は新たにクリサリス・レコードと契約し、リリースされました。その内容は、前作『The Power And The Glory』の作風をさらに推し進めたサウンドであり、ファンク・ロック、ジャズ・ロック、フォーク、古楽、クラシック、現代音楽など様々な音楽ジャンルを放り込み唯一無二のGENTLE GIANTサウンドへと昇華しています。前作同様、リズム・セクションのJohn WeathersとRay Shulmanが非常に複雑な展開を難なく行き来し、Gary GreenのギターとKerry Minnearのパーカッシブなキーボードが跳ね回るという軽快なサウンドが特徴的。もちろん、グループの大きな個性であるポップ・フィーリングは本作でも健在です。なおGENTLE GIANTは本作で、グループ最高位となるビルボード・チャートのトップ50入りを果たしました。
盤質:無傷/小傷
状態:良好
スリップケースに若干スレ・若干圧痕あり
74年ドイツ、75年アメリカ・ツアー時のTV放送ライヴ映像を収録。全盛期の超絶パフォーマンスをたっぷり味わえる必見DVD映像!いずれも良好な画質・音質にて、楽器の持ち替えを含む超絶的テクニックとアンサンブルを見ることができます。
盤質:傷あり
状態:不良
カビあり、オリジナルケースではありません
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