2021年10月22日 | カテゴリー:Column the Reflection 後藤秀樹,ライターコラム
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今年の夏はこの北の地も本当に暑かった。北海道は8月7日で15日連続の猛暑日でこれまでの記録を更新し、札幌の真夏日も同じ18日連続で大正13年以来の記録更新となった。ちょうど、オリンピックのマラソン競技が終了するまで異常な暑さが続いたのだから皮肉な感じがする。
さすがに10月の半ばを超えると気温は一日を通して下がってくるのだが、つい先週までは日中はちょっと動くと汗をかくくらいに暑かった。でも、十日ほど前に雪虫を見かけた。こちらでは雪虫を見かけるとその後2週間くらいで雪の便りが届くので、今年の暑さも思い出の中に消えていくのだろう。
そんな中、待ち望んだシカゴの『Live At The Carnegie Hall Complete (16CD)』と『シカゴ・ジャパニーズ・シングル・コレクション:グレイテスト・ヒッツ』が届いた。当コラムの第4回でシカゴの「流血の日」が大好きだということとその思い出を書いた。カーネギー・ホールでのライヴ(オリジナルには未収録)、国内シングル・バージョン(日本編集)がどちらも初めてCD化されたことで真っ先に聞いた。個人的にどちらもとても嬉しかった。
特にライヴの方は1回目の公演でしか演奏されていない貴重なもので、逆に初演のみというのが「何故?」と思うほどに素晴らしかった。歌詞も一部替えていることが分かって新鮮だった。やはり、当時の彼らの若さと勢いを感じることが出来て至福の時を過ごした。
未だ、すべては聞いていないので、追ってこのコラムで触れていこうと思う。
さて、改めてブラス・ロックについて、歴史的に眺めていこうと考えた4回目。前回に続いて68年から72年までの間に日本で発売された作品についてもう少し振り返っておきたい。
まずは、個人的には思い入れの多い「思い出盤」であり、愛聴盤でもあるテイチクから出たラスタス(Rastus)からはじめよう。中古レコード店では安価でよく見かけた2枚組。1枚目がライヴ盤、もう1枚がスタジオ盤。シカゴ同様デヴュー作が強気の2枚組。しかし、日本ではその2枚を分けた格好で発売されていた。アルバムは米日ともに71年に出されている。テイチクは洋楽には弱い印象が根付いていて、この作品も注目されることはなかったのが残念。
★画像1 Rastus
彼らは9人組で、バリトン・サックスを含む3人のサックスと、2人のトロンボーンが含まれているのが特徴的。珍しく表ジャケットにメンバー写真と担当楽器が記載されているので、一目でブラス・ロックだと分かる。当初シカゴで活動するバンドと伝えられたが、じつはオハイオ州クリーヴランド出身だった。ライヴは、ミルウォーキーで録音されている。
何より、その収録曲をみて驚いた。ブライアン・オーガーの『Black Cat』、キーフ・ハートレイの『Snnin’For You』、グラハム・ボンドの作品でコラシアムでもお馴染みの『公園の散策(Walking In The Park)』といった英国ジャズ・ロック・ファンにとっては気になる選曲が並んでいる。
プロデュースはJohn Rhysで彼は60年代ポップスからサイケデリックまで地味だが印象深いバンドを手がけている。そんな中でSRCのデヴュー作を担当したことは大きな意味を持っていたと思われる。Rastusのデヴューに関わってSRCのメンバーの提供曲である「セイリン・イージー(Sailin’ Easy)」はシングル・カットされた忘れ難い曲である。
◎音源A Rastus 「Sailin’ Easy」
続いては、ビクター系なのだがRCAからはライトハウスをリリースしていたことには前回触れた。
同じRCAから、ライトハウスよりやや早く68年という早い時期にローディング・ゾーン(The Loading Zone)がブラスを擁したバンドとしてなかなか渋いアルバムを出していた。
★画像2 The Loading Zone
このバンドの印象的なジャケットは昔からよく見かけた。日本では69年に発売された彼ら唯一のアルバムだが、ジャケットの地味さもあって、私も手にとって聞いてみるまでにはかなり時間がかかった。
彼らは66年から活動しているが、68年にリンダ・ティリーという黒人女性ヴォーカルを加入させ、同時期にサックスとトロンボーンを導入し、ソウル、ブルース寄りのブラス・ロックを聞かせているようになった。音楽性はともかくも、『何だこりゃ?』というジャケットのために日本での注目度は低かったと思われる。米本国ではプレスの記事も多く、ヴォーカルのリンダはその後ソロとして活動を続けていて、人気はあったようだ。ここではシングルにもなった「ノー・モア・ティアーズ」を音源として提示するが、米シングルではLinda Tillery And The Loading Zoneとクレジットされていた。前回紹介したテン・ホイール・ドライヴもバンド名に、ウィズ・ジュニア・レイヴァンとヴォーカリストの名前をつけたのと共通している。
◎音源B The Loading Zone 「No More Tears」
ビクターのMCAからはロイ・ヤングの『ミスター・ファンキー(Mr.Funky)』(71年)が完全にブラス・ロック風味に仕上がった味のあるアルバムになっていた。
★画像3 Roy Young /Mr.Funky
ロイはジョン・バリー・セヴン、クリフ・ベネット&ザ・レベル・ルーザーズ、そしてデヴィッド・ボウイとの関わりも見られる英国のロックン・ロール、ブギウギ・ピアノの演奏者。ロイ・ヤング・バンドを名乗ったこともあるのだが、この作品は彼の名前のみで勝負。しかし、裏ジャケットには7人のメンバーがいて、うち2人のサックス、1人のトランペットを含んでいる。なおドラムスはこの後ストローヴスに参加するロッド・クームスも在籍している。哀感も備えた英国ロックの素晴らしさを持った1枚なのだが意外と知られていない。ここでは間違いなくブラス・ロックを意識した音楽性が展開されている。ずいぶん以前にCD化されていたようだが今は入手困難で、是非再CD化を期待したい。
◎音源C Roy Young Band 「New Sun, New Horizon」
あと、ビクターからはアル・クーパーの立ち上げたSounds Of Southレーベルから74年になって登場したエリヤ(Elija)というバンドのファースト・アルバム『ファンファーレ(Fanfare)』もある。同レーベルからは別格のレーナード・スキナード、そしてモーズ・ジョーンズの方が有名で、エリヤは忘れられた存在という印象が強い。
★画像4 Dreams
CBS/SonyはBS&T、シカゴ、チェイスを抱えていたこともあり、勢いは他のレコード会社を圧倒した感もあるが、忘れちゃいけないのが、ドリームス。BS&Tの初代トランペッターだったランディー・ブレッカーが脱退後すぐに結成したバンドだ。何と言っても、その後のクロスオーバーやフュージョンにつながる音楽性を聞かせていたのだからすごい。ランディーの弟のサックス奏者マイク、そして圧倒的な力量を持ったビリー・コブハム、ジョン・アバーコロンビーが在籍していたということも今となっては伝説だろう。彼らは『Dreams』(70年)と『Imagine My Surprise』(71年)の2枚のアルバムを発表した。個人的には1作目でキーボード、ギターを担当していたジェフ・ケントの曲が好きで、2作目ではいなくなったのが残念だった。また、プロデュースはロイ・ハリーで、BS&Tの『3』『4』と並行しての仕事だったようだ。
★画像5 Little John
そして、チェイスと同じEpicからはリトル・ジョンというバンド。70年に『Up And Down』でデヴューしていたが、71年の2作目『Little John』で日本初お目見えとなった。デヴュー作でもブラスを交えた5人組だったが、2作目では9人編成となり本格的なブラス・ロックを追求するようになったと言える。彼らの特徴は洗練された都会的なアンサンブル。やはりカッコいい。彼らの作品も未CD化のままなのが残念だ。用意した音源資料はアルバム1枚丸ごとなので、まずは1曲目の「Feelin’ Of Delight」を聞いて欲しい。
◎音源D Little John 「Feelin’ Of Delight」
CBSと言えば英国のへヴン(Heaven)を思い浮かべる方が多いと思う。彼らのアルバムは日本発売も予定され、Epicのサンプラー・アルバムで1曲のみ紹介されたものの(「私がなりたかったもの/Things I Should’ve Been」が収録されていた)結果的には見送られてしまった。(Heavenについては次回、英国編で改めて紹介したい。)
★画像6 The Flock
忘れてならないのは、最近になって久し振りにファーストが再発、しかも紙ジャケットになったフロック(The Flock)。69年に米Columbia、日CBS/Sonyから発売になったが、とにかく不思議なバンドだった。明らかにブラス・ロックという3人のホーンを加えた7人編成のバンドなのに、裏ジャケットの写真にはヴァイオリニストの姿。音を聞いてみたかったが、当時の国内Sony盤はシールドされていてレコード店での試聴も出来ないやっかいな1枚だった。
◎音源資料E The Flock 「Clown」
フロックはシカゴで65年に結成され、当初は5人組。その頃のシングルを聞くとバーズ(The Byrds)のようなコーラスを活かしたフォーク・ロック的な音楽性を持っていたと言える。しかし、67年の2枚目のローカル・シングル(「I Like You」)では既にブラス・サウンドも聴くことが出来る。結成当時からのメンバーであるリック・コノフは、ファースト・アルバムではテナー・サックスとヴォーカルを担当しているので、当初から要所でブラスを使用してきたと思われる。
結局、私がこのアルバムを聞いたのは少し遅れたのだが、1曲目の「イントロダクション」を聞いてヴァイオリンのジェリー・グッドマンのひとり舞台(実際にはギターとの掛け合いになるが)だったことに戸惑ったのも思い出のひとつ。続く「クラウン」でようやくブラス・ロックらしくなったのだが、長尺の曲が多いことで曲展開も複雑で、またコーラスの多用とヴァイオリンの導入もそれまで聞いてきたロックとは明らかに違う色彩を持っていた。その頃は未だ、プログレッシヴ・ロックという言葉は一般的ではなかった。しかし、ジャズやクラシックの要素も持ち合わせた音楽性もアルバム構成も、プログレの先駆けのようにしか思えない。
続く2枚目のアルバム『恐竜の棲む沼(Dinosaur Swamps)』を70年9月にリリース。その後、新たなアルバムを制作中にメンバーが次々と脱退、ジェリー・グッドマンがジョン・マクラフリンのマハヴィシュヌ・オーケストラに参加することになり、アルバムは完成しなかった。そんな中で、オリジナル・メンバーのフレッド・グリックスタインが新たなヴァイオリニストを迎え、ツアーを開始。そして75年にはMercuryから通算3作目となる『インサイド・アウト』を発表。フェリックス・パパラルディがプロデュースを担当していた。他だ、そこでは既にブラス・ロック・グループとしての姿は消えていた。
東芝(その後のEMI)にはやはり英国のイフ(If)がいる。ファーストこそ英Islandの関係で日本ではフィリップスから出ていたが、米Capitol経由で2作目以降が出ることになる。日本ではシカゴ同様にバンド名を毎回イラスト化して、アルバム名は番号で表すというこだわりを見せていたことが印象的だった。
★画像7 If
ディック・モリシー(Dick Morissey)とデイヴ・クインシー(Dave Quincy)という英ジャズ界の大物が結成したロック・バンドということで本国では大注目だったが、日本では一部の好事家に好まれた印象があった。私もシングルで出された「忘却の道/Forgotton Road」を聞いて、もう一歩と思ってしまった。今となっては忘れられない1曲なのだが、サックス2本という編成は当時の私の耳には厳しかった。(Ifは英国編として次回もう少し詳しく・・)
★画像8 Abel + California Earthquake + Razmataz
その他にはエイベル(Abel)やカリフォルニア・アースクェイク(California Earthquake)、ラズマタズ(Razmataz)といったところがリリースされていた。
エイベルの唯一のアルバム『プリーズ・ワールド/Please World』は米Fantasyから出たもの。彼らはトランペットとサックスの2人を含んだ5人編成。ファズのかかったハードなギターとコーラスワークも魅力的なバンドだった。
◎音源資料F Abel 「Please World」
カリフォルニア・アースクェイクの71年の唯一のアルバム『変革/サインはピース! Reformation』は、ロック・シンフォニーとして展開したコンセプト・アルバムになっている。歌ものはソウル/ファンク風でもあるが、当時流行したジーザス・ロックのひとつとして全体に風格のある重厚な作品となっている。ただ、カバー曲「サインはピース/Put Your Hand In The Hand」を収録していることで、ちょっと損をしてしまったような気がする。同曲はカナダのオーシャン(Ocean)の70年の大ヒット曲だが、メッセージを持ちながらもいささか軽目のフォーク・ポップという印象が強く、このコンセプト作品に取り入れたことでそのイメージをマイナスに向けているような気がしてならない。カリフォルニア・アースクェイクはジャズやクラシックに堪能な6人のメンバーが基本編成。レコーディングにあたってのゲストも多い。資料として用意したオープニング曲は、プログレ的な展開を持っていて特に興味深い。
◎音源資料G California Earthquake 「In The Beginning」
もうひとつ、ラズマタズは唯一のアルバム『ラズマタズ・ファースト・アルバム For The First Time』が72年にUnited Artists経由で日本ではLibertyレーベルからリリースされた。最近まであちこちの中古盤屋さんで売れ残っているのをよく見かけた。確かにジャケットも地味だし、一度試聴したときの印象もぱっとしなかった。しかし、何度か聞いているうちに彼らの音楽性の不思議な魅力に取り憑かれた感じになった。
じつはこのアルバムはムンク・ブラックバーンというサックス・プレイヤーがメンバーにいるものの、ブラス・ロックというよりはジャズっぽさを持ったロックといったほうがいいと思う。インストにはジャズ・ロックそのものという曲もある。雰囲気的にはバック・ドア(Back Door)に近いかもしれない。私の興味はむしろリチャード・モートンという中心メンバーが弾くピアノと歌声。それはプロコル・ハルムのゲイリー・ブルッカーの弾き方、歌い方に似ていることだった。
今回聞き直してみても、他に紹介しているほどブラス・ロックと呼べるものではないのだが、普段なかなかその音楽性を伝えにくい盤なので、この機会に触れさせてもらった。
東芝から出たブラス・ロックとしてはママズ・アップルパイ(Mom’s Apple Pie)が一番よく知られた存在かもしれない。一番の話題はあのG.F.Rのプロデューサーだったテリー・ナイトが新たに立ち上げたレーベル、Brown Bagの第一弾として出されたことだった。10人編成という大所帯でリード・ヴォーカリストが2人いる。ホーンはトランペット、サックス、トロンボーンで3人。彼らは70年8月に結成、その時は6人編成だったが、その後11人に膨らんでレコーディングに際して10人に落ち着いたという。ブラス・ロック・グループはメンバー・チェンジも含めて、徐々に大きな編成になっていく過程は共通した部分があって面白い。
★画像9 Mom’s Apple Pie
彼らのデヴュー・アルバム『ママのアップル・パイ Mom’s Apple Pie』(72年)の国内盤の帯コピーには「10人編成、ハードなホーン・ロック・グループ」と書かれている。ここで注目したいのは「ブラス・ロック」ではなく「ホーン・ロック」と謳っていること。じつは米国では「ブラス・ロック」という呼び方よりも、「ホーン・ロック」という方が一般的なのかもしれない・・・と思うことはこれまでに何度もあった。ただ、昔から同時代として、ここ日本においてBS&Tやシカゴを聞いてきた者としては「ブラス・ロック」という言葉にノスタルジックな響きを感じてしまうのも間違いないことだろうと思う。
彼らの2枚目『セカンド』(73年)では帯コピーに「10人組ハード・ブラス・ロック・グループ」と記されていて、その表現に揺れがあることが逆に面白くもある。
デヴュー・アルバムはそのジャケット・デザインに問題があって早々に変更されたが、今では変更前のデザインも簡単に見ることが出来るので、文字通り隔世の感がある。当時の輸入盤バーゲン(わたしの住んでいる札幌ではデパートの催事として年に何度かあった)で、ジャケット・デザインのことは知らずに入手したカット盤は変更前のオリジナル仕様だった。彼らの音楽は20歳そこそこの若者ばかりがメンバーだったことから、若々しく明るい曲調が特徴で、メロディーがよく、ハーモニーも素晴らしいのでずいぶん聞いた。
ファーストはCD化され、カケレコでもまだ入手できるはず。セカンドは(確か)未だCDになっていないがこちらも内容が面白いので早く出てほしいものだ。
◎音源資料H Mom’s Apple Pie 「Dawn Of A New Day」
★画像10 Jeff Sturges And Universe + Symphonic Metamorphosis
続いてキング・レコード。ジェフ・スタージェス&ユニバース(Jeff Sturges And Universe)の『白熱のビッグ・バンド・ロック』というアルバムが、72年に出ている。これはブラスが18人も参加したビッグ・バンド・ジャズ・プロジェクトなのだが、ハード・ロックをアレンジしてライヴで演奏したもの。収録されている曲はGFRの「グッドマンズ・ブラザー」、ジェフ・ベックの「ライス・プディング」、マウンテンは2曲(!)「ネヴァー・イン・マイ・ライフ」と「ミシシッピ・クイーン」、そして驚きはザ・フロックの「クラウン」まで取り上げていること。特筆はギタリストのディーン・パークスが巧みな演奏を聞かせているところ。このアルバムの主人公であるジェフ・スタージェスはアレンジャー、コンダクターとしてプロジェクトの仕掛け人ということになる。(1曲のみ自作曲も含まれている) レコードの録音状態がもうひとつのように思えるのだが、ブラス・サウンドはもちろんのこと、ロックとして結構楽しめる作品ではある。
ここで用意した音源資料もアルバム1枚なので、聞きたい曲を選んで聞いていただけたらと思う。
(22分過ぎに画面にジャケット裏が出て、アルバムの曲順が分かるようになっています。)
70年代初頭には、日本のジャズ・ミュージシャンが洋楽のロックとヒット・ポップスを一緒に取り上げたアルバムが多数出ていた。選曲がその時代を象徴していて魅力的で面白かった。
◎音源資料I Jeff Sturges And Universe 「Jeff Sturges And Universe」(1971)
もうひとつ、完全にブラス・ロックを意識したシンフォニック・メタモーフォシス(Symphonic Metamorphosis)というバンドがいた。70年に米Londonレーベルから発売されたアルバムが、日本で翌71年に『交響ロックの誕生(The Birth Of Fusion Rock)/Symphonic Metamorphosis』として紹介された。
8人のメンバーはデトロイト・シンフォニー・オーケストラで演奏していたクラシック畑の出身。その中の6人がホーンを担当しながら、持ち替えでギター、ベース、オルガンも演奏している。しかし、ヴォーカル、コーラスが稚拙に感じられ、演奏の持ち味を台無しにしているような印象があった。ホーンが醸し出すクラシカルなフレーズを含めアレンジはさすがなのだが、ロックとしての意識に思い違いがあるようで残念だ。
キングでは、68年にムーディー・ブルースが『Days of Future Passed』を発売したときに、『サテンの夜』の邦題の元、日本で独自に夕景の風景写真をジャケットにしていた。この『交響ロックの誕生』も米盤とは違った「誕生=夜明け」をモチーフにした国内仕様のジャケットになっていただけに期待を受けたリリースだったと思われるのではあるが・・・。
バンド名をシンプルにメタモーフォシスと改め、米国では72年に2枚目のアルバム『Dynamic Arena』を出しているので、それなりに人気はあったのだろうか。
◎音源資料J Symphonic Metamorphosis 「Sarabande」
キングからのブラス・ロックではサムライ(Samurai)、ウェッブ(The Web)、ウォールラス(Walrus)、そしてキーフ・ハートレイ・バンド(Keef Hartley Band)といった英国のバンドが浮かんでくるのだが、一番の驚きのリリースは仏Barclayからズー(Zoo)の3作目が出たことかもしれない。
(このあたりは次回、英国編・ヨーロッパ編としてとして取り上げたい。)
余談になるが、キング・レコードではA&Mレーベルを抱えていたこともあり、60年代後半の日本ではハーブ・アルパート&ティファナ・ブラスが人気だった。ラジオでも「蜜の味(Taste Of Honey)」「ティファナ・タクシー」等、曲目を知らなくとも軽音楽としてよく流れ、彼の軽快なトランペットを中心としたブラス・サウンドに馴染みが深かった。決定的なのは深夜放送「オールナイト・ニッポン」のテーマに「ビター・スウィート・サンバ」が使用されたことだった。そして私の世代では「マルタ島の砂(The Maltese Melody)」が70年に日本で大ヒット。直接的な影響ではないが、この頃のブラス・ロックの浸透に働きかけたものは間違いなくあったように思う。(少なくとも私自身がそうだ。)
前回「イラストレーション」を紹介した日本コロンビア・レコードだが、今回はコロンビアの中でもブッダ(BUDDAH)レーベルから出されたものについて触れてみたい。本来はカーマ・ストラ(Kama-Sutra)レコードの傘下にあったが、ポップスからロックまで何でもありのレーベルだ。妙に派手だったり、逆に地味だったりとつかみ所がなさそうで、しかしそれゆえ何が出てくるかわくわくしながら探索したレーベルのひとつだ。一番有名なのは女性SSWのメラニーだったかもしれない。似たようなレーベルには、モータウン(Motown)系のレア・アース(Rare Earth)が挙げられる。中古レコード店で見つけると必ずチェックしてきたものだ。
★画像11 Elephants Memory
まずはエレファンツ・メモリー(Elephants Memory)が69年にリリースしたファースト・アルバム。その後ジョン・レノンとヨーコ・オノとの共演はもとよりAppleレコードからもアルバムを発表している有名バンドだ。しかし、そのデヴュー盤は69年にBUDDAHレーベルから出ていたことはあまり意識されていない気がする。ジャケットのインパクトは強いので有名な作品だ。7人のメンバーが全裸にボディ・ペインティングを施し、背景の像の姿に重なるようにポーズを取っている。いかにもサイケデリックという時代を象徴している。
7人のメンバーのうち2人がホーンでサックスとトロンボーン、1人女性ヴォーカルも含まれている。
ファンキー、へヴィ、グルーヴィーといった形容がつく「なんでもあり」的な世界観を持った音楽なのだが、ひとつの作品として魅力的だ。彼らの演奏力・曲の構成力も高い。この作品の収録曲が映画『真夜中のカウボーイ』のサントラとして利用されていることも重要なことだ。
7分を超える「Old Man Willow」の夢見るような気持ちのよい曲もあるが、ここではイントロのブラス・アンサンブルの勢いの良さを感じるアルバム冒頭を聴いていただこう。
◎音源資料K Elephants Memory 「Don’t Put Me On Trial No More」
エレファンツ・メモリーは、BUDDAHには1枚のみでMetromediaに移籍し、もう1枚『Take It To The Street』を70年に出すのだが、日本ではジャケットもタイトルも替えて『謎の摩天楼/Skyscraper Command』として独自にリリースされていた。ジョンとヨーコと関わって72年のAppleからの3作目『Elephant’s Memory』のラストに収録され、日本のみでシングル・カットされた「Local Plastic Ono Band」も忘れられない。冗談なのか本気なのか分からない妙な脱力感を感じる迷曲だった。(こちらは東芝からのリリースだったが、短い曲なので聴いていただきたい。この時には既にほとんどのメンバーが入れ替わり、サックスのスタン・ブロンスタインとドラムスのリック・フランクの2人がオリジナル・メンバーとして残ったことになる。
◎音源資料L Elephant’s Memory 「Local Plastic Ono Band」
次は、米国では70年、日本では71年6月にリリースされたアンセム(ANTHEM)の『アンセムの讃歌(ANTHEM)』だ。簡単に言ってしまえばハード・ロック・トリオなのだが、ただ単にハード・サウンドを聴かせるのではなく、じつに多彩で凝った曲が多い。プロデューサーのスタン・ヴィンセント(Stan Vincent)がアレンジ面に大々的に関わってブラスも加え、壮大な作品に仕上げたという印象の作品だ。この作品のジャケットも原盤とは違い、日本独自のデザインに変更されていて、期待を込められていたことが分かる。
★画像12 ANTHEM
BUDDAHというレーベル・カラーが持つ幾分ポップに感じられる部分もあるが、これもハード・プログレの初期形態として取り上げられると思われる。トリオはギターのバーソロミュー(Bartholomew)、ベースのグレッグ・ホリスター(Gregg Hollister)、ボビー・ハウ(Bobby Howe)の3人。この作品以外では聞くことのない名前ばかりだが、演奏は堂に入っている。
ブラスの導入に関してはクレジットがない。これはその頃のレコード、特に軽音楽、ポップス系では当然のこととして、了解されていたような節がある。BUDDHAの作品でもクレジットが明確でないことはよくあった。
◎音源資料M ANTHEM 「Ibis」(1970)
ここでBUDDAHのバブルガム・ポップの代表格の1910フルーツガム・カンパニーをひとつ例に出したい。「えっ」と思われそうだが、確かに67年の「サイモン・セッズ」から69年初頭の「インディアン・ギヴァー」までは、懐かしいが今また改めて聞くほどのものではない。しかし、69年の半ばに彼らは変わった。
★画像13 1910 Fruitgum Company/Hard Ride
「恋はかくれんぼ(Don’t Have To Run And Hide)」、「トレイン(The Train)」では、分厚いブラスを加えることで曲自体に緊張感を持つようになって、それまでとの違いを大きく感じるヒット曲だった。
そして発表された69年12月に日本で発売されたアルバム「トレイン/1910フルーツガム・カンパニーの世界(Hard Ride)」は、ポップ・グループから脱皮してニュー・ロック的展開を見せるようになった。ブラス・ロックの手法を取り入れ、曲の構成は組曲形式にし、やはりプログレ的なニュアンスを見せている。
その時代の売れる音楽は何かを分析してとらえ、その変化に敏感に対応するのがBUDDAHのスタッフである。そう思うと、この1910フルーツガム・カンパニーも、先のアンセムのアルバムも同様に当時の音楽状況を踏まえた結果であろう。
そこにブラス・ロックの手法が加わっていたことはとても興味深い。さらに、ブラスも含めてメンバーのクレジットが掲載されていた!
ここで、1910フルーツガム・カンパニーのアルバム「Hard Ride」の中の1曲「サイモンの創造(Creation Of Simon)」を聞いていただきたい。
◎音源資料N 1910 Fruitgum Company 「Creation Of Simon」
この曲を知ったのは、中2の時、『ジューシー・フルーツガム』という彼らのベスト・アルバムだった。「トレイン」が大好きで買った。当然「サイモン・セッズ」も入っていて、ラジオで聞くのと違って、ステレオに向かって聞く自分が何か恥ずかしかった覚えがある。そんなヒット曲に混じって、「サイモンの創造」のような曲が入っていることが意外だった。レコードの解説には、この曲に関しては「シャレと思って聞いて欲しい。」なんて書いてあったのだが、私はアルバムの中で一番気に入ってしまった。
当時シカゴを夢中になっていたので同じ雰囲気を感じ取ったと思う。肝心の「トレイン」のほうは、LPヴァージョンで、ラジオで聞き馴染んでいたシングルとは違っていてちょっと残念だった。
後日、シングルも聞いたのだが、B面の「永遠の光(Eternal Light)」がチープなオルガンの音ではあるが、雰囲気がプロコル・ハルム的でびっくりした。以来、友人には「1910フルーツガム・カンパニーも大好きだ。」と言い続けてきた。当時、そう伝えることは地雷を踏むような危険なことだった・・・
今年、ピンク・フロイドの『原子心母~箱根アフロディーテ50周年記念盤』が発売された。71年8月6日~7日に行われた一大音楽イベントであった「’71 Hakone アフロディーテ」にピンク・フロイドがやってきた。その時バフィ・セント・メリーと1910フルーツガム・カンパニーも海外組として参加したわけだが、当時からフロイド以外は全く話題にも上らなかった。正直なところ、何故彼らが海外組として選ばれたのかも分からないし、日本でどんな演奏を披露したのかも知らない。ただ、バンド自体今紹介した『Hard Ride』のニュー・ロック期を超えてプロダクションを新しくしたところなので、また音楽性が変わってしまっていたはずだ。私は来日記念盤のシングル「さよならローディー(Lawdy Lawdy)」はいち早く手にしたが、ロックというよりもヒットを狙うポップスだった。個人的には来日は気になる事実だったのだが、それだけに、フロイドと同じステージに立ってもブーイングが出たのでは・・・と妙に心配になったことを思い出す。
で、ピンク・フロイドの『原子心母』を改めて聞いて、68年にブラスとストリングスを大々的に使用したことは、さすがにBeatlesと並んで革新的な立場にいたことを再認識した。『サマー’68』なんて完全にブラス・ロックだ。
そう考えるとドアーズの68年の『タッチ・ミー(Touch Me)』も彼らにしては過剰なくらいブラスを使ってキャッチーな味を出している。それゆえにドアーズらしくないとも言えるが、やはり時代が求めたブラス・ロックという方法論だった。当時、日本ではドアーズのシングルとしては一番売れたらしい。
前回と今回で、60年代から70年代初頭において、日本ではブラス・ロックがどうとらえられ、どんな盤が発売されていたのかを振り返ってきた。思いつくものを並べたので、落としたものも数多くあるだろうと思う(ポリドール系・・・Mandrillあたりもまた改めて・・)。
しかし、こうして眺めてくると実際のところBS&Tとシカゴが強力すぎて、彼らをフォローしていくバンドはなかなか見つからなかったということが本当のところだろうか。レコード会社の苦慮が見え隠れしているような気がする。
歌謡曲の世界ではその時期、西城秀樹、沢田研二、尾崎紀世彦、山本リンダ、欧陽菲菲・・・等の歌手のヒット曲はブラス・ロックを意識したものが多かった。多分に当時の作曲・編曲・プロデューサーといった担当者の采配によるものがあるのだが、「ブラス・ロック歌謡」も一時代を画すほどになったと言っても過言ではないだろう。
さて、次回は「ブラス・ロックの英国編、ユーロ編」、その次は「米国のグループでCD化されている作品と、CD化を期待する作品」へと進んでいきたい。今回名前しか出さなかったものを含めてかなりの数があるので、どう絞りをかけていこうかな・・・。
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後にMAHAVISHNU ORCHESTRAで鮮烈なヴァイオリンを披露する名手Jerry Goodmanが在籍するプログレ・グループ。69年作1stと70年作2ndの全曲に、コンピレーション盤のみに収録されていた楽曲やシングル楽曲など12曲を追加。彼らの公式スタジオ音源をほぼ網羅した内容となっています。
シカゴ出身のアメリカン・プログレ・グループ。69年作の1st。アメリカならではの土臭いロックに、ホーン、ヴァイオリンを大胆に取り入れた個性的なサウンド。ヴァイオリニストは後にマハヴィシュヌ・オーケストラに参加するJERRY GOODMANで、やはりセンス抜群。スワンピーなロックに、ジャズ、クラシックの薫りを違和感なく吹き込んでいます。
米オハイオ出身の10人編成のブラス・ロック・バンド。グランド・ファンク・レイルロードのプロデューサー&マネージャーで、バンドとのゴタゴタで訴訟問題にまで発展し解雇されたテリー・ナイトが設立したBrown Bag Recordの第一弾としてリリースされた72年のデビュー作。ソウル・フレイヴァーたっぷりにシャープにしなるギター、ブイブイとむせぶホーン・セクション、タイトでエネルギッシュなリズム・セクション、淡いトーンのハモンド・オルガン。初期シカゴを彷彿させる熱気ムンムンのブラス・ロックを聴かせています。メンバーは平均20歳にも満たない若手だったようですが、そうは思えないコクのあるアンサンブルが印象的。ホーンはバッキングだけでなく、ソロも取っていて、オープニングの熱いサックスのリードはかなりカッコ良し。ブラス・ロックのファンにはたまらない好盤です。
2枚組、初回特典ステッカー付き仕様、カラーブックレット2種付き仕様、定価3495+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
帯に折れあり、ケースにスレあり
DVD2枚組、デジパック仕様(トールサイズ)、NTSC方式、リージョンフリー、ブックレット付仕様
盤質:傷あり
状態:並
折れあり
2枚組、24bitデジタル・リマスター、スリップケース付き仕様(画像はスリップケースです)、定価3495+税
盤質:傷あり
状態:並
帯無
ケース不良、帯無、スリップケースに軽微なカビあり、トレーツメ折れ1カ所あり
2枚組、24bitデジタル・リマスター、スリップケース付き仕様(画像はスリップケースです)、定価3495+税
盤質:傷あり
状態:並
帯無
帯無、若干カビあり
スリップケース付き仕様(画像はスリップケースです)、2枚組
盤質:傷あり
状態:並
1枚は無傷〜傷少なめ、1枚は傷あり、若干カビあり、ケースにスレあり
スリップケース付き仕様(画像はスリップケースです)、2枚組
盤質:傷あり
状態:良好
スリップケース無し、盤に曇り・若干指紋あり、若干経年変化あり
3CD+2DVD+1Blu-ray discの6枚組ボックス、デジタル・リマスター、DVDはNTSC方式、リージョンフリー、ブックレット・コースター・ガラス玉・クロス付き仕様、ブックレット付仕様、情報記載シート付仕様
盤質:傷あり
状態:良好
2枚は無傷〜傷少なめ、4枚は傷あり、情報記載シートにスレあり
サイケデリック・ロック全盛期に登場しデビュー・アルバム『夜明けの口笛吹き』をリリースするも、中心メンバーのギタリストSyd Barrettが脱退。以降、ベーシストRoger Waters、ギタリストDave Gilmour、キーボーディストRick Wright、ドラマーNick Masonという布陣でブリティッシュ・ロック史に残る傑作を連発し、1996年には「ロックの殿堂」入りも果たした世界的なグループ。奥深いテーマに基づいたコンセプト・アルバムの数々は、現在に至るまで多くのミュージシャンたちに影響を与えて続けています。1967年に発表されたデビュー・アルバム『夜明けの口笛吹き』は、Syd Barrett期のPINK FLOYDサウンドが収められた貴重な作品です。PINK FLOYDと言えば、ベーシストRoger Watersを中心とした体制で大躍進を遂げる70年代の印象がありますが、本作はSyd Barrettを中心とした体制で制作された作品であり、大半の楽曲をSyd Barrett作曲しています。その内容は、強烈な酩酊感と浮遊感を持ったブリティッシュ・サイケデリック・ロックであり、Syd Barrettの個性が発揮されたアルバム。旧邦題が『サイケデリックの新鋭』だったことにも納得のトリップ感覚を持った、60年代らしい作品です。
サイケデリック・ロック全盛期に登場しデビュー・アルバム『夜明けの口笛吹き』をリリースするも、中心メンバーのギタリストSyd Barrettが脱退。以降、ベーシストRoger Waters、ギタリストDave Gilmour、キーボーディストRick Wright、ドラマーNick Masonという布陣でブリティッシュ・ロック史に残る傑作を連発し、1996年には「ロックの殿堂」入りも果たした世界的なグループ。奥深いテーマに基づいたコンセプト・アルバムの数々は、現在に至るまで多くのミュージシャンたちに影響を与えて続けています。1969年に発表された『モア』は、バーベット・シュローダーの監督作品「モア」のサウンドトラック・アルバム。本作の特筆すべき点は、Roger Waters、Rick Wright、Nick Mason、Dave Gilmourという4人編成での初めてのアルバムであるということでしょう。音楽的には、インストゥルメンタル楽曲(5曲)よりもヴォーカル楽曲(8曲)に比重が置かれている点が意外ですが、これはすでにあったストックを流用したことと関係があるのかもしれません。わずか8日間で制作が終了したのも、そのためでしょう。PINK FLOYDが新たなロック・サウンドを創造すべく実験精神に溢れていた時代の必聴作です。ちなみに、旧邦題は『幻想の中に』。
サイケデリック・ロック全盛期に登場しデビュー・アルバム『夜明けの口笛吹き』をリリースするも、中心メンバーのギタリストSyd Barrettが脱退。以降、ベーシストRoger Waters、ギタリストDave Gilmour、キーボーディストRick Wright、ドラマーNick Masonという布陣でブリティッシュ・ロック史に残る傑作を連発し、1996年には「ロックの殿堂」入りも果たした世界的なグループ。奥深いテーマに基づいたコンセプト・アルバムの数々は、現在に至るまで多くのミュージシャンたちに影響を与えて続けています。1970年に発表された4thアルバム『原子心母』は、ヒプノシスによる牛のカバー・アート、英単語の直訳をそのまま並べた個性的な邦題、そして、日本盤帯に書かれた「ピンク・フロイドの道はプログレッシヴ・ロックの道なり!」というキャッチ・コピーが広く知られた名盤です。やはり一番の聴きどころは、スコットランド出身の前衛作曲家Ron Geesinをオーケストラ・アレンジャーに迎えた23分のタイトル曲「Atom Heart Mother」でしょう。ブラス・セクションや混声合唱を贅沢に配置したサウンドが、プログレッシヴ・ロック時代の幕開けを宣言するかのように堂々と響きます。一方、Roger Waters作曲の「もしも」、Rick Wright作曲の「サマー’68」、Dave Gilmour作曲の「デブでよろよろの太陽」は、共通して美しいメロディーが印象的な小品。そして、アルバムの最後にはミュージック・コンクレートの手法を用いた「アランのサイケデリック・ブレックファスト」が控えます。なおグループは、本作で初めて全英初登場1位を獲得しました。
サイケデリック・ロック全盛期に登場しデビュー・アルバム『夜明けの口笛吹き』をリリースするも、中心メンバーのギタリストSyd Barrettが脱退。以降、ベーシストRoger Waters、ギタリストDave Gilmour、キーボーディストRick Wright、ドラマーNick Masonという布陣でブリティッシュ・ロック史に残る傑作を連発し、1996年には「ロックの殿堂」入りも果たした世界的なグループ。奥深いテーマに基づいたコンセプト・アルバムの数々は、現在に至るまで多くのミュージシャンたちに影響を与えて続けています。1971年に発表された5thアルバム『おせっかい』は、ヒプノシスによる耳と波紋を重ね焼きしたアートワークが印象的な作品です。本作の最も大きなポイントは、4人体制のPINK FLOYDが初めて、彼らだけの手で作り上げた純粋なスタジオ・アルバムであるということでしょう。なぜなら『モア』はサウンドトラックであり、『ウマグマ』はライブ・レコーディングとメンバーたちのソロ作品から成る変則的なアルバム、『原子心母』は前衛作曲家Ron Geesinがアルバムの出来栄えに大きく関与していたためです。やはりオープニングに置かれた「吹けよ風、呼べよ嵐」と、エンディングに置かれた「エコーズ」が、本作を名盤に押し上げています。「吹けよ風、呼べよ嵐」は、広がりのあるRoger Watersのベースの反復とフェードイン・フェードアウトを繰り返すRick Wrightのオルガンを核とする前半、そしてDave Gilmourのヘヴィーなギターが加わる中盤から一瞬の静寂を経て、Nick Masonのハード・ロック・ドラムが加わる後半から成る名曲。一方の「エコーズ」は23分を超える大曲であり、現在多くの音楽ファンがPINK FLOYD「らしさ」と受け止める音楽的な振る舞いが確立された重要な楽曲です。
サイケデリック・ロック全盛期に登場しデビュー・アルバム『夜明けの口笛吹き』をリリースするも、中心メンバーのギタリストSyd Barrettが脱退。以降、ベーシストRoger Waters、ギタリストDave Gilmour、キーボーディストRick Wright、ドラマーNick Masonという布陣でブリティッシュ・ロック史に残る傑作を連発し、1996年には「ロックの殿堂」入りも果たした世界的なグループ。奥深いテーマに基づいたコンセプト・アルバムの数々は、現在に至るまで多くのミュージシャンたちに影響を与えて続けています。1972年に発表された『雲の影』は、バーベット・シュローダー監督作品「ラ・ヴァレ」のサウンドトラックとして発表されました。なお、69年作『モア』も、同じくバーベット・シュローダー監督作品「モア」のサウンドトラックでした。『おせっかい』と『狂気』という傑作の間に挟まれ、さらにサウンドトラック・アルバムということで影の薄い印象も持たれがちな作品ですが、大傑作『狂気』と同時期に制作された本作のクオリティーが低いはずがありません。制作はパリのシャトー・ド・デルヴィーユで行われ、わずか2週間ほどで完了。PINK FLOYDのオリジナル・アルバムに見られるような張り詰めた緊張感こそ見られないながらも、初期の彼らを思い起こさせる、サイケデリックな質感を漂わせた耳馴染みの良いヴォーカル曲、インストゥルメンタル曲が収められています。
サイケデリック・ロック全盛期に登場しデビュー・アルバム『夜明けの口笛吹き』をリリースするも、中心メンバーのギタリストSyd Barrettが脱退。以降、ベーシストRoger Waters、ギタリストDave Gilmour、キーボーディストRick Wright、ドラマーNick Masonという布陣でブリティッシュ・ロック史に残る傑作を連発し、1996年には「ロックの殿堂」入りも果たした世界的なグループ。奥深いテーマに基づいたコンセプト・アルバムの数々は、現在に至るまで多くのミュージシャンたちに影響を与えて続けています。1973年に発表された『狂気』は、“人間の内面に潜む狂気”をテーマに制作されたPINK FLOYDの代表作のひとつ。このクラスの名盤ともなれば、もはやプログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルに限定する必要すらありません。本作は、世界で最も売れた音楽アルバム(推定5000万枚以上)のひとつであり、ビルボード・チャートに741週(15年)連続チャート・イン、さらに発売から2年を経過したアルバムのみを扱うカタログ・チャートに至っては1630週(30年)以上チャート・インするというギネス記録を打ち立てた大傑作です。あえてプログレッシヴ・ロックの側面から指摘するならば、本作は「コンセプト・アルバム」という表現方法を象徴するアルバムだということでしょう。本作の成功によって、コンセプトの中核を担ったベーシストRoger Watersのグループ内での発言権が増し、次作以降のPINK FLOYDにも大きな影響をもたらすことになります。ロック・ミュージックの歴史に燦然と輝く名盤であり、当然ながらプログレッシヴ・ロックを語る上で外すことはできない作品です。
廃盤希少、丸角帯仕様(3%税表記)、解説元々なし(対訳付き)、定価3190+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯無
帯無、軽微なケースツメ跡あり、トレーの圧痕あり、側面部に色褪せあり
廃盤、スリップケース付ペーパーケース仕様、2枚組、デラックス・エディション、デジタル・リマスター、定価3524+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
盤に内袋の跡あり
スリップケース付ペーパーケース仕様、デジタル・リマスター、2枚組
盤質:無傷/小傷
状態:良好
1枚は無傷〜傷少なめ、1枚は傷あり
デジタル・リマスター
盤質:無傷/小傷
状態:良好
ケースツメ跡あり、若干スレあり
サイケデリック・ロック全盛期に登場しデビュー・アルバム『夜明けの口笛吹き』をリリースするも、中心メンバーのギタリストSyd Barrettが脱退。以降、ベーシストRoger Waters、ギタリストDave Gilmour、キーボーディストRick Wright、ドラマーNick Masonという布陣でブリティッシュ・ロック史に残る傑作を連発し、1996年には「ロックの殿堂」入りも果たした世界的なグループ。奥深いテーマに基づいたコンセプト・アルバムの数々は、現在に至るまで多くのミュージシャンたちに影響を与えて続けています。1973年発表の『狂気』の大ヒットを経て、PINK FLOYDは日用品を使った前衛音楽「Household Objects」を企画。しかし、これは実際にレコーディングも行われていましたが、途中で頓挫しました。そして、1975年に発表された『炎〜あなたがここにいてほしい』は、全米および全英1位を獲得した前作『狂気』と並ぶPINK FLOYDの代表作のひとつとなりました。最大の聴きどころは、アルバム冒頭と最後に収められた9つのパートから成る「クレイジー・ダイアモンド」でしょう。この大曲は、(Roger Waters自身は否定しているものの)早くにグループを離脱することになってしまったSyd Barrettに捧げられた楽曲だと言われています。さらに、79年にリリースされる傑作『ザ・ウォール』につながるテーマが登場する「ようこそマシーンへ」、プログレ・フォーク・ミュージシャンRoy Harperをゲスト・ヴォーカリストに迎えた「葉巻はいかが」、そしてRoger WatersとDavid Gilmourが揃って「グループの最高の楽曲のひとつ」と胸を張る「あなたがここにいてほしい」が収められています。『狂気』に続き、本作も間違いなく名盤です。
James Guthrieによる新規デジタル・リマスター、Storm Thorgersonがブックレットを監修した2011年再発CD。ペーパーケース仕様
盤質:傷あり
状態:良好
軽微なホチキス錆あり、軽微な汚れあり
サイケデリック・ロック全盛期に登場しデビュー・アルバム『夜明けの口笛吹き』をリリースするも、中心メンバーのギタリストSyd Barrettが脱退。以降、ベーシストRoger Waters、ギタリストDave Gilmour、キーボーディストRick Wright、ドラマーNick Masonという布陣でブリティッシュ・ロック史に残る傑作を連発し、1996年には「ロックの殿堂」入りも果たした世界的なグループ。奥深いテーマに基づいたコンセプト・アルバムの数々は、現在に至るまで多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。1979年に発表された大作『The Wall』は「全世界で最も売れた(3000万枚以上)2枚組のアルバム」であり、『狂気』や『炎〜あなたがここにいてほしい』と並ぶ、グループの代表作のひとつ。その内容は、バンドの実権を掌握したRoger Watersの思想が強く表れたロック・オペラ。Roger WatersとSyd Barrettの姿が投影されていると言われるロック・スター「ピンク」を主人公に、彼が人生の中で経験してきた教育に対する違和感や社会の中での疎外感を「壁」に見立て、各曲が切れ目なく進行していきます。本作を引っ提げて行われたツアーでは、ステージと客席の間に実際に「壁」を構築し、大きな話題となりました。2010年代に入って以降も、例えばRoger Watersによる大規模な再現ツアーが行われていることからも、PINK FLOYDのディスコグラフィーの中での本作の重要度が分かるでしょう。シングル・カットされ全米・全英1位を獲得した「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール (パート2) 」や、コンサートの定番曲「コンフォタブリー・ナム」といった名曲も収められた、ロック・ミュージックの歴史上類を見ない傑作です。
紙ジャケット仕様、2枚組、デジタル・リマスター、年表・歌詞対訳付き仕様、タイトル入りプラ製シート・内袋2枚付仕様、レーベルカード4枚入り、定価3495
盤質:全面に多数傷
状態:並
帯有
プラ製シートなし、レーベルカード1枚に若干折れあり、内袋1枚に若干汚れあり、帯に若干カビあり
James Guthrieによる新規デジタル・リマスター、Storm Thorgersonがブックレットを監修した2011年リイシュー、ペーパーケース仕様、2枚組
盤質:傷あり
状態:良好
若干ホチキス錆あり、若干破れあり
紙ジャケット仕様、復刻ポスター2種・オリジナルLPレーベル面レプリカ2枚付仕様、98年デジタル・リマスター、内袋付仕様、ステッカー付仕様、定価1800+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
解説無、若干スレあり、復刻ポスター2種ついていません
廃盤希少!紙ジャケット仕様、2枚組、88年オリジナル・マスター使用、オリジナルLPレーベル面レプリカ4枚付仕様、内袋付仕様、定価3600+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
94年の「対(TSUI)」ツアーの模様を収めたライヴ・アルバム。アメリカ、ヨーロッパを回る77都市、110回の公演で300万人以上を動員したツアーは「史上最大の光と音のスペクタクルショー」として今や伝説として語り継がれるツアーとなった。荘厳なピンクフロイドの音世界とともに、史上最大のステージセット、複雑怪奇な映像を写し出す大円形スクリーン、目が痛くなるほどの光の洪水(ヴァリライトが生き物のように動き回り、レーザー光線が会場中を照らし出す)、牙の生えたブタが宙を舞い、巨大ミラーボールが光を放ち、これでもかと言わんばかりの花火の嵐・・・。まさに「美」としかいいようのない、それまでのコンサートの定義を大きく変えるものであった。今作の目玉はなんといっても「狂気」全曲再演収録。75年の最後の演奏以来19年振りに94年7月のデトロイト公演で復活。ここに収録されているのは、8月ドイツ、9月イタリア、10月ロンドンのライヴより。1-(2)の「天の支配」はUS公演ではオープニング・ナンバーだったのだが、誰もが度肝を抜かれたシド・バレット在籍時の1stアルバムからの曲。
盤質:傷あり
状態:良好
若干圧痕あり
67年作。歪んだハモンドを筆頭とする衝撃的なヘヴィ・サウンド、文学的で難解な詞世界。60年代後半の米国ロック・シーンを席巻する彼らのデビュー作にして不朽の名作。レイ・マンザレクの独特なオルガン奏法、正真正銘のカリスマ=ジム・モリソンの唯一無比の存在感が最も際立った作品です。ヘヴィ・サイケ/オルガン・サイケのパイオニアとしても数々のフォロワーを生んだ輝かしき金字塔。
ボーナス・トラック3曲、特殊プラケース仕様
盤質:無傷/小傷
状態:良好
軽微な折れあり、ケースにスレあり、ケースにシールが貼ってある仕様です。
カリスマJim Morrison率いる偉大な米ロック・グループ、67年2nd。初期2枚では呪術的な雰囲気を持ったサイケデリックなオルガン・ロックを指向。本作は1stと同路線ながらより内省的で洗練されています。エフェクトが施され禍禍しく浮遊するキーボード、煌びやかな音色を奏でるギター、そして低音で静かに語りかけ不意に絶叫するJim Morrisonのヴォーカルの引力に引き付けられます!幻想的なバンド・サウンドは美しいメロディに彩られており、異次元「まぼろしの世界」へと誘います。いつまでも浸かっていたくなる35分の小旅行!67年のサイケデリック・ロックを知るうえで外すことの出来ない名盤にして、1stと並ぶ代表作。印象的なアルバム・ジャケットに惹かれたあなたも、異次元への旅に誘われてみませんか?
定価1785
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
帯に小さいケースツメ跡あり、帯の下側が5mmほどカットされています
廃盤、2枚組、リーフレット封入
盤質:傷あり
状態:良好
1枚は無傷〜傷少なめ
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