2021年8月27日 | カテゴリー:Column the Reflection 後藤秀樹,ライターコラム
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ブラッド・スウェット&ティアーズ(BS&T)の登場、ファースト・アルバム『子どもは人類の父である』は69年6月に紹介された当時日本でも一部の愛好家に好意的に受け入れられた。セカンド『血と汗と涙』は、日本では翌月69年7月に発売されているのだが、前作の中心だったアル・クーパーが抜け、より迫力のある音楽性を聞かせることでシングル・ヒットも生まれ、その名は浸透した。しかし、当時は「ブラス・ロック」という言葉は定着しておらず、当時の音楽誌でもその紹介の仕方に苦慮している様子がうかがえた。むしろ今では普通に使われている「ジャズ・ロック」という言い方のほうが多かったかもしれない。そこには60年代後半から70年代突入へのロックの多様化におけるジャズやクラシックの要素の導入という新たな試みが生まれた理想的な混乱期の姿が感じられ今となっては興味深い。
考えてみると、「サイケデリック」とか「アート・ロック」といった言葉の使い方も今となっては微妙な使い方だが、「プログレッシヴ・ロック」という言葉が普通に使われるまでも結構な時間がかかったことを思い出す。
そんな中、ほとんどBS&Tと同時期にシカゴ(Chicago)が登場したことで様子が変わってきた。9人編成になったBS&Tに比べシカゴは7人編成。バンドの構成人数がブラス隊を含めることで大型化してきたことで日本では「ブラス・ロック」という呼び方が使われるようになったようにも思える。
もちろん、それ以前にもトランペット、サックス等を正式メンバーに加えたバンドも数多くあったわけだが、「ブラス・ロック」なる言葉を生んだのは間違いなくBS&Tとシカゴの成功によるところが大きい。
★画像1 Chicago
今回はシカゴの初期について話を進めていこうと思う。70年初頭彼らの人気は日本でもとにかく圧倒的だった。紆余曲折を経て現在も活動を続けているのは驚きだが、2016年に彼らの伝記的映画「ザ・ヒストリー・オブ・シカゴ/Now More Than Ever」が公開され、初期の知られざる逸話も明らかになってはいるが、ここではこれまでのコラム同様に私自身がどうシカゴを聞いてきたのかという観点から述べていきたい。
★画像2 Chicago Transit Authority
当初はChicago Transit Authority(シカゴ交通局!) というバンド名も伴ったタイトルで最初のアルバム『シカゴの軌跡』を69年9月にリリースする(米国は69年4月)。これが当時の米国の若者が抱いていた問題意識と、ブラスを入れながらロックとしての勢いを合わせ持ったものすごい作品だった。しかも2枚組。どこか挑戦的な売り方の姿勢が時代感覚にマッチしていたと思われる。初回国内盤の解説で北山幹雄氏が「音楽を現代感覚に集中させる点に於いて、シカゴをしのぐクループはまず見当たらない。」と書いていたがまさにその通りだ。
◎音源1 Introduction Tanglewood Lennox,MA Jul 21 1970
アルバムの幕を開ける「イントロダクション」で聞き手をノックアウト。イントロからテリー・キャスの歌パート、中間部のジャズ展開からエンディングまで一気に聞かせる。最初に聞いた時は完全に圧倒され呆然となった。「現実に対する不満、権威の否定、そしてニュー・フロンティアの探究、それがこの曲の命題である。」と北山氏が指摘していたが、それにも同意してしまった。
そしてピアノの即興にはじまる「いったい現実を把握しているものはいるだろうか?」。2パートに分かれていて後半はシングル・カットもされたバンド演奏。演奏の勢いだけでなくメロディーやコーラス・ハーモニーもカッチリと決めている。シングルでは前半のピアノ・ソロがカットされているのだが、私はその演奏にかなりイマジネーションをふくらませただけに残念。ベスト盤を聞く人にとってこのピアノ・ソロを知らないとすると、じつに勿体ないと思う。「Does Anybody Really Know What Time Is ?」というリフレインを持った原題タイトルは、中学生であった当時の私にとって曲の持つ深い意味合いを含めてあまりにも大きく心に響いた。
A面ラストのアコースティック・ギターに導かれる「ビギニングス」もまた印象的。8分近い曲だがラストのパーカッションのみの部分もどこか心に残る。クリムゾンの『宮殿』の「ムーンチャイルド」の後半部分と印象が重なってくる。(「ビギニングス」はシングルでは編集ヴァージョン、「ムーンチャイルド」も編集盤CDでは後半をカットした短縮ヴァージョンとなっているのは仕方ないことなのか?)
◎音源2 Questions 67&68
そしてB面「クエスチョンズ67&68」。ロバート・ラムの作品ながらヴォーカルはピート・セテラ。これがまた素晴らしいことは今さら言うまでもないことなのだが、ラヴソングなのに現代文学的なタイトルをつけたところ、そして中間部の開放的なブラス・アンサンブルは当時まだ乗ったことのなかったジェット機で飛んでいるような高揚感があってじつに新鮮だった。その後今に至るまで何度聞いても同じ感覚を味わえるというのがすごい。アレンジ自体が普遍的なものを持ち合わせているということなのだろう。
続く「リッスン」も小品ながら印象的だし、「ポエム58」とC面に移っての「フリー・フォーム・ギター」と合わせてテリー・キャスというギタリストのすごさを感じた。ただ、「フリー・フォーム・・・」のインプロビゼーションというそのすごさが自分の中で良さになるまでは少しばかり時間を要したが・・・。
「サウス・カリフォルニア・パープルズ」のブルージーな迫力、スペンサー・デイヴィス・グループの「アイム・ア・マン」も見事なカバーとなっていた。ここではブラスは入らず、ダニー・セラフィンとピート・セテラのリズム・セクションの強力さとロバート・ラムのオルガン、そしてやはりテリー・キャスのギターの鮮やかさもあってロック・バンドとしてのシカゴの強力さが浮かび上がる。
このアルバムのもうひとつのポイントがD面の「1968年8月29日シカゴ、民主党大会」の実況から続く「流血の日(Someday)」。(この曲については、日本でのみ発売されたシングルに関わって本コラム第2回で触れたので参照してほしい)。緊迫した民衆のシュプレヒコールをメロディーにのせる展開も見事だが、そのドラマチックさは他の追従を許さないほどに衝撃的だった。
そして最後の「解放(Liberation)」は15分に及ぶ基本的には即興曲。私は正直言って他のメロディアスな曲の良さばかりに耳が奪われていたが、その楽曲構成力、演奏力は完全に新人バンドの域を超えているということに気がついたのは、やはりややしばらくしてからのことになる。
プロデュースはジェームス・ウィリアム・ガルシオ。バッキンガムスに関わることでブラスの導入を試み、そこに手応えを感じてBS&Tの2枚目を担当し、シカゴにたどり着いたことになる。アルバムを2枚組でデヴューさせるのもジャケットの秘密も彼の戦略だったという。ジャケットは同じバンド・ロゴが大・小、表裏に配置されているが、じつは小さい方が表だったということに私がはじめて気づいた時に、改めてこの作品が持つ挑戦的な姿が浮かび上がったものだ。
今回改めてアルバム全曲を通して聞いたが、52年前の作品なのにやはりその素晴らしさ、偉大さに圧倒されてしまった。
(何度もCD化されている『軌跡』ですが、Rhinoから2019年に出た『50th Anniversary Rimix』はなぜか驚きの劣悪の音質なので、これから買おうと考えている方はお気をつけ下さい。私は楽しみにして発売と同時に注文したのですが落胆しました。)
2枚目は70年に出された『Chicago』だが、ここで「シカゴ交通局」というバンド名を改めシンプルに「シカゴ」となった。ファースト・アルバムを出した直後に当局からクレームがついたためで、アルバム後に出たシングルは「シカゴ」と既に記載されていた。その経緯もあり日本ではファースト・アルバムも最初から「シカゴ」名義で発売された。
★画像3 Chicago2
ここに収録された「長い夜(25 or 6 to 4)」が大ヒットしたこともあり、一気に彼らは人気グループとなった。じつは私も70年の夏、ラジオでオンエアされたこの曲でシカゴをはじめて聞いた。しかし当時自分のノートには曲名を「シカゴの長い夜」と記録し、バンド名が分からなかった。当時のラジオ・パーソナリティーは、わざわざ「シカゴ」というグループの「長い夜」なんて紹介しないわけで、どうでもいいことではあるが、洋楽初心者だった私のエピソードのひとつである。原題のタイトルの意味が「4時25~6分前」ということが分かった時には素直に勉強になった。
国内盤は『シカゴと23の誓い』という独自の邦題がついた。今回も2枚組、全23曲という収録曲数から取ったタイトルなのだが、『誓い』という言葉はともかく、数をそのまま受け取るとこのアルバムの真意を見失っていくような気がする。その理由は、組曲が2つ、交響楽的な構成が1つあるからだ。『バレー・フォー・ガール・イン・ブキャノン』が「ぼくらに微笑みを(Make Me Smile)」を含む7曲。『愛の記憶(メモリーズ・オブ・ラブ)』が「プレリュード」「朝の祈り」「午後の祈り」「メモリーズ・オブ・ラブ」の4曲。『栄光への旅路(It Better End Soon)』は4楽章(4曲)とまとめられると考える。
この中では『バレー・フォー・ガール・イン・ブキャノン』を一番夢中になって聞いた。
◎音源3 Ballet For A Girl In Buchannon Live Tanglewood 1970
シングルでもヒットした「僕らに微笑みを」に始まるその組曲はトロンボーン担当のジェイムス・パンコウの作曲したものだが、緩急のついたキャッチーなメロディーに彩られた素晴らしい作品だ。
この2作目では若者の日常風景というか幾分ソフトな曲が多い気がするが、本領発揮はD面のロバート・ラムのペンによる4楽章構成の『栄光への旅路』で、そこではベトナム戦争へのやりきれぬ若者の心情が綴られる。そして、ラストに収められたピート・セテラの「約束の地へ(Where Do We Go From Here)」は若者たちのアンセム(賛歌)にもレクイエム(鎮魂歌)にも聞こえて心に残る。
前作の勢い以上に、このアルバムも「長い夜」と「ぼくらに微笑みを」の2大ヒットも手伝って大いに売れた。
「長い夜」でシカゴに目覚めて以来、ラジオでかかる音源と、友人から借りたレコードを録音し、朝学校に出かける前、帰ってきてすぐ、夕食前後、勉強中、寝る前とカセット・テープでシカゴを聞きまくった。また、彼らのバンド・ロゴがカッコ良くて、ノートや下敷き、ファイルにペンで真似をして描いた。クラスで洋楽を聴く連中は皆同じだった。
◎音源4 Free
そんな中で「III」が出るのだが、まず「自由になりたい(Free)」(日本では71年4月に発売)を聞いて、そのヘヴィ&ハードなサウンドに驚いた。イントロの強力なリフから歌メロに自然に流れる展開が決まっているし、リズムの間を縫ってブラスが被り、その流れでブラス・パートになだれ込み、最後はコーラスをハードに決めて潔く曲が終る。聞き終えて唖然としてしまうほどにすごかった。「やはりシカゴは素晴らしい」と確信した。何より演奏時間が2分強。あまりに圧倒されて、そんなに短いとは思えなかった。今でも濃密な充実感を持ったシングル盤として認識している。
★画像4 Chicago III
「III」はまたも2枚組で71年1月に米国で発売されていたが、発売前に40万組の予約を記録したことが伝えられた。日本でも3月に発売されたが、その直後に6月に日本公演(東京・大阪)が決定したこともあり、これは完全な追い風になった。
届いたジャケットは一見すると何なのか様子が分からなかったが、「血染めの星条旗」がモチーフになっていた。そして、国内盤にも付属されたポスターは、「十字架が延々と並ぶ中にメンバーが様々な軍服を着ている」というもの。まさに反戦のメッセージが視覚的に訴えられていた。
収録曲数は前作同様、今回も23曲。そしてこれも同じく3つの組曲が含まれていて、①「Travel Suite」は「自由になりたい」を含むB面全体の6曲からなり、②「シャワーの時間(An Hour In The Shower)」は短い5曲、③「エレジー」はD面全体を使った6曲で構成されている。
中でも驚いたのは、A面で分厚いブラス・アンサンブルを聞いた後のB面の組曲①「Travel Suite」だった。まず「フライト・ナンバー602」は意表を突いてのアコースティック・ナンバー。CSN&Yのようなハーモニーを聞かせる。そして続く「火星へのモーターボート」はダニー・セラフィンのドラム・ソロ。そこに「自由になりたい」が続いてくるのだからたまらない。シングルとは違ったスリルを味わうことが出来る。さらに「自由の祖国」はロバート・ラムのピアノ・ソロに導かれ、ウォルター・パラザイダーのフルート、パーカッションを伴った静謐なインスト。現代クラシックの趣がある。メロディアスな「僕らの夜明け」。ラストは「ハッピー・コーズ・アイム・ゴーイング・ホーム」。組曲の各タイトルから考えると兵役をひとつの旅となぞらえて、戦地を火星のようにとらえ、最後は故郷に帰還出来る喜びにつながる物語となっていたのだろう。当時は思いもよらなかったが、今回改めて聞いて考え至ったことだ。
その後、C面に入ってファンキーな「母なる大地」、シングル・カットされた「ロウダウン」が続く。
◎音源5 Lowdown
後半は②「シャワーの時間(An Hour In The Shower)」は完全なメドレー形式で5曲、これはテリー・キャスのアコースティックでブルージーな作品だが、内容は重い。
D面は③「エレジー」。「哀歌」「挽歌」「悲歌」と訳されることでも分かる通りこれも重いテーマを持っている。冒頭の「すべての笑い声が悲しみに消される時」は詩の朗読だが、これはケンドリュー・ラッセルズ(kendrew Lascelles)という俳優、作家がつくった詩。彼自身TV等の出演で有名だったという。彼は南アフリカ出身の英国人でベトナム戦争やアパルトヘイト等に対する社会的良心についてアピールし、自らもこの詩をレコード化している。その詩が歌い上げられた後に曲は「聖典」「むかし、むかし」「遍歴」「進歩」「近づく嵐」「人間対人間:終局」と続く。これはジェイムス・パンコウの作品で、荘厳だが皮肉も合せ持った組曲だ。すべてインストで叙情的な部分もあるが、「進歩」前衛的な趣で少々異色。プログレ的な展開を持った組曲とみることも出来るだろう。
ここまでの3作品はすべて2枚組。圧倒的な分量を短期間(実質2年間)で見事に創り上げ、先駆のBS&Tの実績も人気も上回ってしまったように見える。しかし、若さ溢れるシカゴのすごさを認めた上で職人的な技量を見せるBS&Tを贔屓とするファンも多数いて、理想的な「ブラス・ロック」という分野の土台が出来たように思われた。日本でもレコード会社各社からブラスを導入したバンドが紹介され出した。この辺りの事情については次回取り上げてみたい。
★画像5 栄光のシカゴ
シカゴの攻勢はさらに続く。『III』の日本発売の3ヶ月後に来日記念盤として『栄光のシカゴ(The Great Chicago)』という日本独自のベストアルバムが発売され、多くのファンにとって福音となった。
この時、CBS/Sonyレコードは宣材として『栄光のシカゴ』のジャケットをモチーフにした布で出来た旗を作成した。いつも行くレコード店に飾ってあって、それがカッコ良くて欲しくてたまらなかった。アルバムを買うともらえるのだが、当然買うお金は持ち合わせていなかった。その店で毎月1枚のシングルを買っていたので、勇気を出して「今回もシングル1枚を買うのだけど、シカゴの旗をもらえませんか?」と訪ねたところ(何と)見事すぐにOKだった。私がいつも店に顔を出していることを覚えていてくれていたのだ。本当に嬉しかった。その店では、もちろんその後も通い月に1枚のシングルと年に数枚のアルバムを買い続けたことはいうまでもない。その旗は今でも大切に持っている。
シカゴの来日公演は大成功。来日の前後には歌詞を日本語に置き換えたシングルも発表され、シカゴは完全に日本贔屓というイメージも形作られた。71年8月号のMusic Life(ML)では来日した彼らの姿を、グラビアで24ページ、記事で13ページという破格の扱いで追っていた。日本での人気はさらに高まっていく。
彼らの71年のシングル盤の発売状況を見ていこう。
1月に『III』から「自由になりたい」 *アルバム『III』は3月に発売。
4月に『III』からの第2弾「ロウダウン」、5月には日本語版の「ロウダウン」。
来日月の6月には『軌跡』から「ビギニングス」、
9月には「クエスチョンズ67&68」、10月にこれまた日本語版の「クエスチョンズ67&68」
今考えると異常なリリース状況だ。
ラジオのヒット・パレードでも「ロウダウン」「クエスチョンズ67&68」の2ヴァージョンをどうカウントするかで苦慮していたことが伝わってきた。
★ 画像6 Chicago IV Live At The Carnegie Hall 広告
さらに年末が近づいて、シカゴ『IV』はカーネギー・ホールでのライブ・アルバムになり米国では10月に発売されたという告知が打たれた。それもなんと4枚組だ。日本で発売された12月発売のML(1972年1月号)のCBS/Sonyの広告にはご丁寧に「¥7800-キミはどうする!?」、翌月の広告には「¥7800―キミはどうした!?」のキャプションがつけられていた。誰もが気になりながら、自分も含めて周りで買えた仲間はひとりもいなかった。
断片的ではあるが当時このライブを聞いて、シカゴのグルーヴ感は基本的にギタリストのテリー・キャスが醸し出しているということに気づいた。当時の映像で確かめると明らかなのだが、彼のエモーショナルな動きがその時の演奏を決めていた。さらに知的でクールに見えるロバート・ラム、典型的なアメリカンのピート・セテラ、いつもヘッドフォンをつけてテリーの合図を待ちリズムをしっかりとたたき出すダニー・セラフィン、それがあってジェイムス・パンコウ、ウォルター・パラザイダー、リー・ローナンの3人のブラス・セクションが、ライブに於いても見事なアンサンブルを聴かせ、各人のソロも魅力的に広がっていく。
4枚組とは言え、聞き所の多い必然性に満ちた分量だったことが理解できた。その後のプログレのイエスの『イエス・ソングス』も、EL&Pの『レディース&ジェントルマン』も各3枚組のアルバムだったことを考えると、ロックの新たな姿をライブの形で伝えていく方法論の先駆けだったと考えられる。
冷静になって考えてみると若者をターゲットにしているシカゴなのに、高額なアルバムばかりが続いて発売されるのはどこか納得がいかない部分もあった。せいぜい月に1枚のシングルを買うだけの私のような学生にとってはジレンマだったが、そんな中でも、シングルや雑誌に掲載されている歌詞をノートに写し書きをして辞書を片手に訳してみたり、相変わらずロゴを写したりという日々が続いた。
その後、レコード会社(CBS/Sony)もさすがに4枚組ではきついだろうと考えたらしく、次のような形でリリースすることになった。
①4枚組を2枚ずつ『Vol.1』『Vol.2』に分け、分売。当然4枚組に付けられていたポスターやブックレットはなかった。 (72年3月発売)
②『栄光のシカゴ』に準じた形で『栄光のシカゴ・ライブ・アット・カーネギー・ホール』として1枚ものに凝縮した形での発売。 (72年6月発売)・・・2度目の来日記念盤として
まあ、それまでの2枚組のアルバムも、今記したシングル群も、さらにはこの4枚組LPもずっと後になってからではあるが手に入れたことを改めて考えると驚きではある。
そして、今は新たに編集された16枚組のCDの超拡大版(完全版)を待っているところだ。あの頃の中学生がもう60代半ばになってきた・・・そんな変化を実感している。
★画像7 Chicago V
72年に入って3月に予定されていた二度目の来日公演がロバート・ラムの急病のため6月に延期となったが、無事に来日を果たし、その際には新作からの曲も披露された。その新作『V』は7月に米国で、日本では8月にリリースされた。それまでの2枚組攻勢から離れ、はじめて1枚もののLPとなった。そこから「サタデイ・イン・ザ・パーク」がアルバムと同時にシングルがリリースされ、そして「ダイアログ」が10月に発売されている。
何といっても、各メンバー写真のアコーディオン・ポスターとバンド・ポスターというオマケの充実ぶりに驚いた。そして各曲の出来も素晴らしいと思った。全9曲で組曲的な構成はないが、「ダイアログ」のみ2パートに分かれ、シングル化の際には編集されていた。
◎音源6 A Hit By Varese(2002 Remaster)
1曲目の「バレーズに捧げる歌」がまず気に入った。イントロの不穏さは、エドガー・バレーズが現代音楽家であることに由来する。はじめて聞く名前で、BS&Tのエリック・サティーの時のように興味があってレコードを探したが当時は見つからなかった。他のどの曲もよく出来ていて安心して聞くことが出来る。不思議なのは、これまでの社会的な部分が歌詞には描かれているが、曲自体の激しさが感じられなかったこと。この辺りについては、解説の磯田秀人氏(CBS・ソニー シカゴ担当ディレクター)の解説の中でJ.W.ガルシオのインタヴューが紹介されていた。引用すると
「彼らはミュージシャンだから、現実にデモに参加したり、革命を起こしたりはしないさ。自分の言いたいことは、音楽で表現するからね。ラジカルという面で見れば、僕の方が激しいんだ。だから、彼らとのギャップが深くならないように、なるべく皆でディスカッションする時間を持って、お互いをわかり合おうと努力しているよ。」
これを読んですごく腑に落ちた。これまでのアルバムでの彼らの歌詞も思い返してみると過激と言うよりは、やりきれない怒りや思いが中心だった。それをプロデューサーのガルシオがデフォルメした形で体制批判のように戦略的に売り出したことになる。そして、彼らも年齢と共に大人になっていく。このアルバム以降に見られる変化も当たり前のことと肯定的に見ていく必要があるわけだ。
最初にシングル・カットした「サタデイ・イン・ザ・パーク」に関しては、これは7月4日の米国開国記念日の公園の情景を歌ったもの。ずいぶん寛いだ雰囲気の歌詞に、「シカゴもナショナリズムに走った!!」といった声も聞こえたものの、彼らの名を一般に広める効果は絶大だった。
当時はクラス内で洋楽派と、邦楽フォーク(吉田拓郎や泉谷しげる、等)派が混在し、それぞれの良さを話し合ったものだが、それまで私たちが「シカゴ! シカゴ!」と騒いでいたのを横目で見ていたクラスの仲間が驚くことに「これいいよね。シングル買っちゃった。」と、言ってきたことを思い出す。
この「サタディ」は72年8月にシングルとして出たが、6月には「来日記念盤」として「僕らに微笑みを(ライブ)」が発売されていた。(もちろん、カーネギーホールでのライブ盤からのカット)
そして10月に「ロウダウン」に似た感じの「ダイアログ」の発売、さらに「俺達の見たアメリカ」が73年に入ってからと、シングルが相変わらず続いている。面白いことに「サタディ」はロバート・ラム、「ダイアログ」はテリー・キャスとピート・セテラが会話形式で交互に、「俺達の見たアメリカ」はピート・セテラと、ヴォーカルを分け合って担当した形になっている。しかし、それまでのインストも十分に聴かせたシングルとは明らかに違ってきており、バンドの姿がどこか変わってきていることがうかがえる形になったことが特徴的だった。
そうした変化は、73年の6枚目で決定的になっていくのだ。そう考えるとこの『V』というアルバムはその後のファンの方向性を決める試金石ともなった。(皆さんはどうだっただろうか? 私は『6』と『セヴン』には少し抵抗を感じたものの、その後は現在に至るまで聞き続けている。)
★画像8 Chicago/Live in Japan
なお、この年の暮れには6月の来日公演の大阪公演からの2枚組ライブ『Chicago Live In Japan』が
発売されている。
★画像9 Blood Sweat & Tears/ New Blood
ここでもう1枚 BS&Tの大きなメンバーチェンジ後1年半ぶりの5作目、72年12月発売となった『ニュー・ブラッド』についても触れておきたいと思う。
新たに参加したメンバーだが、リード・ヴォーカルにジェリー・フィッシャー、テナー・サックスにルー・マリニ・JR、キーボードにラリー・ウィリス、リード・ギターにゲオルグ・ワドニウスと4人が加わっている。驚いたのはゲオルグ・ワドニウスの加入で彼はスウェーデンのギタリストで、当時日本でもアルバムが出されていたメイド・イン・スウェーデンのメンバーだった。
結論を先に言うと、よくプロデュース、コントロールされたアルバムだが、これまでと同じBS&Tと呼ぶにはちょっと・・・と思ってしまった。まずはヴォーカリストのジェリー・フィッシャー。確かに前任者のD.C.トーマスと比べるとタイプが違うので比較するのは本意ではないのだが、バックにブラスを従えるにしては物足りなかった。それでも彼は本作を含めてこの後3作品に参加するのだが、その後D.C.トーマスがバンドに戻ることになってそこで脱退することになる。
逆にワドニウスは、それまでのスティーヴ・カッツがギタリストとして在籍している中で、リード・ギターとして加わったわけだ。ジャジーな部分では存分に力を発揮していてアルバム・タイトル通りに『ニュー・ブラッド』を体現したと言える。
アルバムはブラスのアレンジも慎ましやかな雰囲気が強く、A面では私が思い描いていた「ブラス・ロック」というよりも「純アメリカン・ロック」と呼んだ方がいいのではないかと思った。
しかし、その中でもバンドの底力のような素晴らしさを感じたのは、キャロル・キングの「スノー・クイーン」からハービー・ハンコックの「処女航海」へと続くB面後半のメドレーだ。ジム・フィルダーのベースとボビー・コロンビーのドラムスのリズム隊はこれまで同様に見事な演奏を聞かせていることが印象に残る。
◎音源7 Snow Queen ~ Maiden Voyage
シカゴもBS&Tも同じ1972年に5作目を発表しているのでここでまとめて紹介した。
じつはその時期を境に、ロック音楽も変化を見せていくと感じている。その時期を超えて、シカゴもBS&Tも活動を継続していくのはすごいことだ。特に、シカゴは今も一線にいて大活躍していることは驚きでもある。そんな中、メンバーも替わっていくのだが、78年にテリー・キャスが不慮の事故で亡くなったショックは今も忘れられない。
一方で、BS&Tもボビー・コロンビーを中心にコンサート活動を続けているようだが、新作が出たという情報を聞かなくなって久しい。是非、元気なところを見せて欲しいものだ。
結局、当時の流れを追ってくると「シカゴというバンドのブラスを伴ったロックに魅了された」という自分の姿が浮かび上がってくることには間違いがないわけで、前回取り上げたBS&Tと今回のシカゴをあわせて聞くことで「ブラス・ロック」の魅力について自分なりに改めて考えてみた。
私にとって、シンプルなロックン・ロールやビート・サウンドはメロディーがよければ聞くが、ノリだけでいくものは興味の対象外だった。しかし、基本のトリオ編成にキーボードが加わると化学反応が起きることに気づいた。そうしたバリエイションとしてブラスが加わったダイナミックなサウンドは、ジャンルを超えた複合音楽とも呼べるような気がして本当に新鮮だった。シカゴもBS&Tもロック・バンドでありながら、それ以外の音楽的要素が随所に感じられることに面白さを感じた。ポップス愛好者だった私をロックに導いたのが「ブラス・ロック」だったと言える。
BS&Tはそのスタイルと編曲の面白さから落ち着いた純度の高い大人を感じさせる音楽性。シカゴの方は時代性を意識した若者の思いがストレートに反映された音楽性。それぞれに独自性があり、それゆえ、今もリスペクトの対象となっている。
それは、ちょうど1970年から72年までの自分の中学時代と見事に重なっている。
よく考えると、その頃から「プログレ」の面白さにも惹かれ、クリムゾンやイエス、ピンク・フロイド、EL&Pにもその興味が移っていくことになるのだが、「ブラス・ロック」ものに関してもずっと自分の中で触手を伸ばして新たなものを探し求めていった。
毎日ラジオの音楽番組を聞き、その後同じカテゴリーに含まれるチェイス(Chase)やライトハウス(Lighthouse)のヒット曲を中心にその範囲も広がり、高校に入ってからは徐々にレコードを買い集めるようになっていく。大学以降はレコード店めぐりが生活の中心のようになっていた。
それも青春と呼べるなら、同じような青春を送った方もきっとたくさんいるだろう。
そんなレコード店めぐりの中で見つけた「ブラス・ロック」作品を次回以降取り上げていこうと思うが、次回はまずBS&T、シカゴと同時期に日本でリリースされていたグループを中心に取り上げたいと考えている。皆さんならどんなバンドが思い浮かぶだろうか。
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