2023年7月26日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ佐藤です。
一筋縄ではいかない、ひねたメロディセンスやアレンジメントがお好きな人にはたまらない、70年代英国のモダン・ポップ/ニッチ・ポップ。
10cc、SPARKS、ROXY MUSIC、SAILOR、PILOT、CAPABILITY BROWNあたりがその代表格と言えますが、魅力的なモダン・ポップ/ニッチ・ポップを聴かせるのは何も英国のバンドばかりではありません。
英国勢を手本として時にその国ならではのエッセンスも組み入れた、世界各国のモダン・ポップ/ニッチ・ポップを見てまいりたいと思います♪
最初にフランスから届いた、23年初CD化のこの素晴らしきマイナー盤からご紹介♪
60-70年代のフランスで国民的人気を誇ったSSW、Christopheのバックを務めていたメンバー達が結成したバンド。
こちらは76年に残された唯一作ですが、これが「ATOLL+10CC」って感じのサウンドでびっくり!
ピアノが華麗にリードするクラシカルなモダン・ポップ的スタイルと、耽美でどこか薄暗い仏プログレらしい質感が素晴らしく調和した1曲目「Jimmy」から名曲です!
それでは改めて、まずは本場英国発のとりわけニッチなアルバムを厳選ピックアップ☆
リリカルな英ロック名盤を残したパーラー・バンドの後身グループと言えば?ファンク・テイストを大胆に導入した、グルーヴィ―かつゴキゲンなロック・チューンが満載の好盤74年作!
ヒプノシスの唇ジャケで有名なCAPABILITY BROWNのメンバーによる後継グループなだけあって、美メロ&ハーモニー満載の極上モダン・ポップ!PILOTや10ccやBADFINGERやQUEENのファンには是非聴いてほしいっ!
けたたましく鳴らされるファズギターのリフ、エネルギッシュなリズム隊、はじけるピアノ、バブルガムなメロディとガッツあるハイトーンのヴォーカル&ハーモニー。プレ・グラムのパワーポップから、ホリーズばりに胸キュンメロのハード・ポップまでキャッチーすぎる佳曲満載の70唯一年作!
心が弾むメロディにポップ&メロウなコーラスやストリングス!ついついリピートしてしまいます。
70年ワイト島フェスでは栄えある一番手を務めた、Andy Bown率いるグループ。恐~い金ピカ顔ジャケからは想像がつかないけど、これがとっても愛すべき名品なのです!MOVEファンからFACESファンまで、一聴の価値ありですよ~♪
これはビートリッシュな英ニッチ・ポップの極めつけですね。なぜかフランスでしかリリースされなかった幻の作品。田舎のバッドフィンガーって感じで胸キュン必至!
グリーンスレイドやイアン・ハンターのバンドで活動した人物なのですが、この81年ソロ、クリス・レインボウやロイ・ウッドなど米憧憬の英ポップSSW好きならきっと気に入るはずのキャッチーかつ気品あるモダン・ポップ/パワー・ポップ好盤!
ビートルズ~ELO~10ccの流れを受け継ぐ英国はバーミンガム出身のポップ・バンド。75年のデビュー作!10ccやコーギスやパイロットやアラン・パーソンズ・パイロットあたりが好物な方には間違いなくオススメ!ジャケもいいなぁ。
DickenことJeff Pain率いる、英国の隠れた名ポップ・ロック・バンド、77年2nd!ひねくれたメロディ・センス、グラム/ハード/カントリーまで取り込む貪欲さ、おまけに何故かツインドラム編成だったりと(その上ジム・ケルトナーとサイモン・フィリップスが参加!)、一筋縄では行かなすぎる堪らんグループ!
これぞ「プログレ・ポップ博覧会」!?ビートルズから後期ジェネシスにSTYXにスーパートランプ、そして90年代のジェリーフィッシュまでを混ぜ合わせた珠玉の米国パワー・ポップ!
SUPERTRAMPやSTYXやELOやPILOTが好きなら、このバンドも要チェック!ビートリッシュなエッセンスも感じる気品たっぷりの管弦楽器アレンジを施した、瑞々しすぎるサウンドに胸キュン必至の米パワー・ポップ18年作!
ビートルズの覆面バンドと噂になったことで知られるカナダのグループと言えば!?なるほど、ポール・マッカートニー直系の人懐こいメロディが堪らないなぁ。あのカーペンターズも取り上げた名曲「Calling Occupants」収録。
元々は変態的ジャーマン・プログレ・バンドだったんですが…本作で聴けるのはキャッチーで洗練されたパワー・ポップ的サウンド。でもクオリティは申し分なし!?デヴィッド・ボウイや英ニッチ・ポップのファンは騙されたと思って聴いてみて!
ドイツを代表するELPタイプのキーボード・プログレ・バンドとして名を馳せる彼らですが、この最終作はむしろニッチ・ポップ/ハード・ポップとして聴いたほうが楽しめるキャッチーさが前面に押し出された作品!ジャケもいかにもそっち系な感じですし。
ジャケットが渋すぎですが、SAILORや初期SAD CAFE、Roy Woodあたりが好きならこのオランダのバンド、気に入ると思います♪
トラフィック(特にデイヴ・メイスン)やフェアフィールド・パーラーやピンク・フロイドのフォーク・ロックな楽曲あたりが好きなら、このオランダのマイナー盤は掘り出し物間違いなし!
最近のアーティストで、往年のニッチ・ポップに影響されたサウンドをお探しならコチラ。オランダの天才マルチ・ミュージシャンが2010年作2nd。ジェネシスが好きで、ニッチ・ポップ(特にクラトゥ!)も好きならド直球ですよ!
ほんのりユーモラスな牧歌性、人懐こいキャッチーなメロディ、時折疾走を始めるジャジーで精緻なアンサンブル。カンタベリーや英ニッチポップに通じるフィンランド・ロックの代表格で、VIRGINよりワールドワイドにリリースされた名作ですね。
上記作品が気に入ったなら、翌年に同じくVIRGINよりリリースされた本作も是非。英国人らしいひねりあるポップ・センスを持ったJim Pembrokeのメロディ・センスと、プログレ~ジャズ~フュージョンのセンスが効いたエスプリに富んだアンサンブル。前作と合わせて北欧が世界に誇るニッチ・ポップの逸品ですね。
ジェスロ・タルばりにフルートが吹き荒れたり、イ・プーもびっくりの美メロバラードを聴かせたり、キャパビリティ・ブラウンばりのニッチ・ポップがあったり、このルーマニアのグループ、良い!
もしポール・マッカートニーがカンタベリー出身で、ジョン・レノンじゃなくロバート・ワイアットと出会っていたら?って感じのマジカルすぎるこの作品、もう聴きました?
極上のメロディとイギリスのSTACKRIDGEや北欧のWIGWAMに通ずる牧歌性やユーモアの効いたアンサンブル。辺境ニッチ・ポップの秘宝ここにあり!ジャケも辺境臭ぷんぷん☆
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親しみやすくキャッチーなメロディと実験精神炸裂する捻くれたアレンジが共存した、”実験ポップ・マエストロ”たちの作品をピックアップ!
フランスが誇る名SSW、Christopheを支えたスタジオ・ミュージシャン達によって結成されたプログレ・バンドの76年唯一作。一聴して思い浮かんだフレーズが「ATOLL+10cc」。ピアノが華麗にリードするクラシカルなモダン・ポップ的スタイルと、仏語ヴォーカルも映える耽美でどこか薄暗いフレンチ・プログレ的質感とが素晴らしく調和した1曲目「Jimmy」から相当な名曲です。スリリングかつ妖艶なギターが快走する曲後半は10cc「Blackmail」を思い出させて、影響はかなり受けていそうに思います。以降はカラフルなシンセも活躍しだし、ATOLLの『TERTIO』『ROCK PAZZLE』あたりのナンバーをモダン・ポップ風に鳴らすとこんな感じになりそう、というナンバーが多数。フランスらしいアーティスティックで幻想的な雰囲気を纏いつつもあくまでキャッチーに進行する、プログレとモダン・ポップが見事な融合したサウンドに終始唸らされます。ただただセンス抜群、一作品を残すにとどまったのがあまりに惜しまれる傑作!
イギリスはジャージー島で結成され陰影溢れるブリティッシュ・ロック名盤の72年唯一作を残したPARLOUR BAND。彼らがドラマー変更に伴いバンド名を”A BAND CALLED O”と改め制作した74年作。英国叙情が匂い立つようなリリカルな作風だったPARLOUR BANDから一転、ファンク・テイストを大胆に取り入れたグルーヴィ―かつゴキゲンなロック・チューンが並びます。前任者よりソリッドで勢いのあるドラミングを土台に、ワウを効果的に用いたエッジの立ったカッティングが印象的なギターと、その合間を縫うようにエレピ&クラヴィネットでクールに音を刻むキーボード、そしてS.マリオット彷彿のR&Bなコクを含んだヴォーカルらがタイトにアンサンブルを組上げており、職人的ともいえる隙のない演奏は見事です。マリオットっぽいヴォーカルが映えるHUMBLE PIEカバー「RED LIGHT MAMA RED HOT!」を皮切りにファンキーなアレンジが中心ですが、華やかなコーラスワークが彩るCAPABILITY BROWNの後進KRAZY KATやROCOCOあたりに通じるモダン・ポップ、終盤に現れる前身PARLOUR BAND直系の憂いを帯びたブリティッシュ・ロックなども大いに聴き所となっています。R&B/ファンク・テイストあるロック・サウンドがお好みの方はもちろん、上記モダン・ポップ・ファンにもオススメしたい、高品質なブリティッシュ・ロックの逸品!
イギリス領ジャージー島にて結成され陰影溢れるブリティッシュ・ロック名盤の72年唯一作を残したPARLOUR BANDが、ドラマー変更に伴いバンド名を”A Band Called O”と変更。74年デビュー作に続く75年の2ndアルバム。基本的には前作と路線を同じくするファンク・テイスト濃厚なサウンドを楽しませてくれます。緩急に富んだプレイをタイトに決めるリズム隊を土台に、キレのあるカッティングが持ち味のギター、洒脱なエレピ、芳醇に湧き上がるオルガン、S.マリオットを低音寄りに聴き易くしたようなヴォーカルらが、一糸乱れぬアンサンブルで駆け抜けるスタイルは揺るぎなし。また前作でも発揮されていたモダン・ポップ〜AOR的な洗練されたセンスも随所で顔を出していて、SMOKIEあたりの渋いところを意識したような哀愁モダン・ポップ、SAD CAFE風のスリリングな演奏が聴きもののプログレ風AORナンバー、さらに終盤にはGREASE BANDばりの旨味たっぷりなブリティッシュ・スワンプも飛び出して、その多彩さには舌を巻くこと必至。前作が気に入ったなら、本作もまず間違いなし!
コックニー・レベルや10ccへの参加で知られるキーボード奏者。74年に南アフリカで録音された1stソロ。プログレッシヴかつ叙情性溢れるキーボード・プログレの大傑作。変拍子の中、クラシカルで端正なピアノや、スリリングかつキャッチーなキーボードがこれでもかと洪水のように鳴らされています。シャープなリズム隊も見事で、一体感のあるアンサンブルには心躍ります。哀愁溢れるヴォーカル&メロディも素晴らしい。すべての音が計算されているような精緻なアンサンブルは圧倒的な完成度です。本当に素晴らしいです。キーボード・プログレのファンは必聴
イギリスのグループながら、フランスでしかリリースされなかった幻の作品。仏EMI COLUMBIAからの73年の唯一作。ジョージ・ハリスンを彷彿させる柔らかなアコギとスライド・ギター。そこに絡む、ハード・エッジなグッとくるエレキ。そして、ハートウォーム&スウィートなヴォーカル、憂いいっぱいのキャッチーなメロディ、豊かなハーモニー。バッドフィンガーあたりのビートリッシュなバンドが好きなら、間違いなく胸キュンしてしまうでしょう。ストリングスのように鳴らされるメロトロン、リリカルなリコーダー、格調高いハープシコードによる気品あるバラード、バッドフィンガーばりのパワー・ポップもまた魅力。ビートリッシュなバンドのファンから、フェアフィールド・パーラーやムーディー・ブルースあたりのポップな英ロック/プログレのファンまで、これはかなり掘り出し物の好グループ。いいです!
BEATLESの覆面バンドと噂されたカナダのグループ。雑誌などのビートリッシュなポップ・アルバム企画では常連中の常連と言える76年作の名作1stと、よりプログレッシヴなサウンドを聴かせる77年作2ndをカップリングした2in1CD。やはり1stが出色の出来で、PILOTなどにも通ずるパワー・ポップなバンド・アンサンブルと、メロトロンやストリングスをフィーチャーした優美なアレンジとが絶妙にブレンドしたサウンドは絶品。
盤質:無傷/小傷
状態:良好
小さいケースツメ跡あり
後にGNIDROLOGに参加するSAX奏者が在籍したジャーマン・プログレ・グループ、73年作2nd。リーダーでありヴォーカルのWalter Seyffer以外のメンバーが一新され、前作以上につかみどころのない拡散的な内容に仕上がっています。VDGGやGONGを彷彿とさせる演劇的ヴォーカルをフィーチャーした変則的なジャズ・ロックかと思いきや、パープル風の様式美ハード・ロックが始まったり、民族風のパーカッションや荘厳なメロトロンが突如鳴り響いたり…。流れるように展開やリズムが変化していく奇抜な作風ですが、キレのあるサックスをはじめとする丁寧かつテクニカルな演奏で違和感なく聴かせてくれます。個性豊かな好グループです。
69年発表のデビュー作。ジャズ、サイケデリック、ビートルズの実験性とポップ風味が複雑に交じり合い、何度聴いても飽きのこない、不思議な魅力に満ちた好作品。
20年アンコールプレス、紙ジャケット仕様、SHM-CD、09年デジタル・リマスター、ボーナス・トラック2曲、ブックレット付仕様、定価3143+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
フィンランドのグループ、71年作の3rdアルバム。ジャズ・ロック、クラシック・ロック、ハード・ロックを巧みに織り交ぜた起伏に富んだアンサンブルと、ビートルズ的とも言えるポップなメロディーが絡んだサウンドが持ち味。メロディーをフィーチャーしつつも、決して軽くならず、終始テンションを保ったサウンドは、ハットフィールドの1stあたりに通ずるものがあります。名作。
20年アンコールプレス、紙ジャケット仕様、2枚組、SHM-CD、09年デジタル・リマスター、ボーナス・トラック2曲収録、定価4000+税
盤質:傷あり
状態:並
ケースツメ跡あり、ホチキス跡あり、背ジャケにヨレあり
北欧を代表するグループ。Pekka PohjolaとJukka Gustavsonが脱退し、Jim Pembrokeを中心とする新生WIGWAMとなり制作。75年に英VIRGINよりワールド・ワイドにリリースされた作品。「北欧のビートルズ」と異名を取るように、メロディ・センスは10ccなど英ニッチ・ポップを彷彿とさせます。ジャケットのイメージ通りのほの暗いファンタジーも印象的で、北欧ならではのサウンドを描いた名作。
ベルギーを代表するシンフォニック・ロック・グループ、MACHIAVELの記念すべき1stアルバム。76年発表。オルガン、キーボード、弦楽器による叙情的でファンタスティックなアンサンブル、溢れ出るメロディーが美しすぎる好盤。あまり激しさは無く、一音一音丁寧に紡がれたサウンドが印象的。
78年作3rd。メロトロンやシンセによる荘厳なキーボード・ワーク、Steve Hackett譲りの切迫感とリリシズムのあるギター、手数多くロールする魅力的なドラム、劇的なハイトーン・ヴォーカル、時に英ニッチ・ポップばりにキャッチーになるメロディ。宗教的な荘厳さと大衆受けするポップさ、プログレッシヴなダイナミズムや構築美とポップな明快さや牧歌性とが同居したサウンドはたいへん魅力的。GENESIS meets PILOTと表現したくなるような愛すべき逸品。GENESISも好きで英ニッチ・ポップも好きなら是非、聴いてみてください!素晴らしいです!
Yoni Rechterなど、後々もイスラエルの音楽シーンで活躍を続ける名ミュージシャンが複数在籍した70年代イスラエル・ロックを代表するグループ。73年作の1st。ずばり好グループです!有名なグループで例えると、WIGWAMに近い印象。60年代ブリティッシュ・ポップのDNAを受け継ぐ優美でキャッチーなメロディ、卓越したコーラス・ワーク、カンタベリーを彷彿とさせるエレピや流麗なギターなどジャズ・ロックのエッセンス、そしてシリアスになり過ぎないユーモアや遊び心。これだけのグループがほとんど知られていないということに驚くほどの完成度。カンタベリー・ミュージックや北欧プログレが好きな方は是非、聴いてみてください!本当に素晴らしいです。あまりのワクワク感に笑みがこぼれます。
Yoni Rechterなど、後々もイスラエルの音楽シーンで活躍を続ける名ミュージシャンが複数在籍した70年代イスラエル・ロックを代表するグループ。74年作の2nd。1stのレビューで大絶賛しましたが、この2ndも文句なしの傑作!STACKRIDGEがカンタベリー生まれだったら!親しみやすい抜群のメロディ・センスと卓越したコーラス・ワーク、エレピやギターが流麗に舞うジャジーなエッセンス、そして聴いていてワクワクしてくるユーモアや遊び心。あまりの良さに笑いがこみあげてくる傑作!ハイリー・レコメンド!
Yoni Rechterなど、後々もイスラエルの音楽シーンで活躍を続ける名ミュージシャンが複数在籍した70年代イスラエル・ロックを代表するグループ。75年作3rd。1st&2ndもブリティッシュ・ポップの遺伝子とカンタベリーに通ずるジャジーなエッセンス、そして愛すべきユーモアや牧歌性いっぱいの名作でしたが、本作もまたやってくれました!前作までと比べて、ジャケットのように陽光が目に浮かぶ、リラックスした優美な楽曲が印象的。メロディの素晴らしさには磨きがかかっています。英ニッチ・ポップのファンには是非とも聴いてもらいたいグループ!このグループは、本当にワールド・ワイドな実力があります!1st〜3rdまで超オススメです!
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