2024年3月27日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ新鋭
KARFAGENによる24年作『MESSAGES FROM AFAR: SECOND NATURE』、前作で見せたYES的エッセンスをより消化し、CAMEL、THE FLOWER KINGS、YESの絶妙に配合して、見事にオリジナルなスタイルとして構築した、これまでの歩みの集大成と言えるサウンドを聴かせる傑作でした。
さらには、その24年作とその前編と言える17年作に関連した未発表曲/未発表バージョンを収録したアルバムも同時リリース。アウトテイクですらも圧巻というべきクオリティを誇っていて、その才能には脱帽せざるを得ません。
今回は、そんなウクライナ出身のコンポーザー&ミュージシャンAntony Kaluginと彼が率いるプロジェクト・バンドKARFAGENを特集いたしましょう。
Antony Kaluginは、KARFAGENの他にも、SUNCHILD、HOGGWASHを率いて活動し、一年に一枚以上のハイペースで作品のリリースを続ける多作家であり、現代プログレ・シーン屈指のミュージシャン。1981年にウクライナ第二の都市ハルキウで生まれ、少年時代の1994年に学校の友人達とKARFAGENを結成しました。その後、建築関係の大学に入り、バンドとしての活動は休止しますが、KARFAGENでのデビューを夢見ながら作曲活動を続けます。結成から12年経った2006年、KARFAGENとして待望のデビューを果たすわけですが、若き日の結成からずっと大切に温め続けてきたKARFAGENというプロジェクトは、音楽家としてのAntony Kaluginそのものと言えるでしょう。
そんなAntony Kaluginにとっての大きな転機は2001年にありました。自宅スタジオにてそれまでの活動の集大成と言えるソロ・アルバム『WATER』を完成させるとともに、フラワー・キングス『レトロポリス』を聴き、はじめて「プログレッシヴ・ロック」と出会います。その後は、まさに新生Antony Kaluginとして、ソロワークの軸となっていたニューエイジ的サウンドを起点に、ピンク・フロイドやキャメルやフォーカスなど、往年のプログレッシヴ・ロックからの影響を消化しながら、映像喚起的かつ幻想性溢れるサウンドを指向していきます。
プログレとの出会いから5年。リリースされたKARFAGENとしての念願かなったデビュー作が『CONTINIUM』です。
大地の脈動のように静かに鳴り響くキーボード、リコーダーや打楽器による土着的なフレイヴァーなど、ニューエイジ風のエッセンスを一方に、もう一方には、コロコロとリリカルに奏でられるシンフォニック&ファンタスティックなキーボード、アンディ・ラティマーばりの伸びやかなトーンで流麗に紡がれるエレキ・ギターのリードによるヴィンテージ・プログレのエッセンスを配した雄大で幻想美たっぷりなアンサンブルが印象的。そのサウンドは、まるで「キャメル meets アディエマス」。
ニューエイジ色とシンフォニック・ロック色とを見事に調和させ、ジャケットのイメージ通りの清廉なサウンドへとまとめあげる唯一無比のスタイルがこの時点で見事に完成しています。アディエマスのカール・ジェンキンスやフラワー・キングスのロイネ・ストルや、あとはアラン・パーソンズなど、アレンジャー/プロデューサーとしての視点を持った名手達を彷彿させる素晴らしい才能と言えるでしょう。一音一音にキラキラと光が宿っているようなピアノなど、クラシック音楽の豊かな素養と演奏者としての卓越したテクニックも印象的です。
ウクライナの国旗にある青と黄色は、抜けるような青空と穀倉地帯の色。豊かな大地に育まれた感性がみなぎる鮮烈なデビュー作です。
デビュー作から1年で早くもリリースした2ndが『SPACE BETWEEN US』。
ニューエイジとヴィンテージなシンフォニック・ロックとが見事に融合した1stの音楽性はそのままに、ゲストによるアコーディオンやジャズ・ギターをフィーチャーするなどアレンジの幅が広がり、核にある「透明感」を「幻想性」や「温かみ」が包み込んでいる印象です。しとやかな叙情性は、中期キャメルやアラン・パーソンズ・プロジェクトも彷彿させます。
一部、女性によるコーラスが入りますが、明確なヴォーカルはなく、基本的には前作と同じくオール・インスト。音像の美麗さ、テーマのメロディの美しさ、緻密な構成は相変わらずで、1stからわずか1年というスパンとは思えない、Kaluginのコンポーザー、アレンジャーとしての並外れた創造性が発揮された名作です。
なお、1stと2ndは、未発表曲やデモを加え、新たに2枚組『KEY TO PERCEPTION』としてリリースされています。
2ndリリース後は、SUNCHILDとしての活動もスタートし、08年に1st『GNOMON』、09年に2nd『INVISIBLE LINE』をリリースするなど精力的に活動を続けます。そして、2010年、KARFAGENとしては前作から3年ぶりにリリースした3rdが『SOLITARY SANDPIPER JOURNEY』です。
ジャケの印象がだいぶ変わりましたが、サウンドの方も、ニューエイジ色は薄まり、キャメルやカイパに通じるファンタスティックなシンフォニック・ロックへと一気にシフトしました。
北欧の70年代プログレに通じるコロコロとした音色のキーボードは、箱庭のように愛らしくファンタスティック。本作よりギタリストAlexandr Pavlovが参加していて(ここから2013年作『ALEATORICA』まで3作品に参加)、アンディ・ラティマーやスティーヴ・ハケットのDNAを確かに継いだ歌心溢れるリード・ギターを聴かせています。彼の参加でこのサウンドになったのか、このサウンドを目指して彼を起用したのか、どちらかは分かりませんが、彼のギターは間違いなく本作のファンタスティック・プログレを彩る大切なピースになっています。
キーボードとギターが紡ぎだすリリカルなリードの応酬はシンフォニック・ロック・ファン垂涎で、時に重なり奏でられるツイン・リードなんてもうグッときっぱなしです。
そして、さらに特筆なのが、女性ヴォーカルの起用。1st、2ndではコーラスが一部入る以外は基本的にオール・インストでしたが、本作では3曲でリード・ヴォーカルが入っています(英詩)。ケルティックなフレイヴァーもある凛とした透明感ある美声がKaluginが生む美麗な音世界に見事にマッチしていて印象的です。
前作にあったジャズのエッセンスは本作でも健在で、軸となるファンタスティックなエッセンスにあわさることで、カンタベリーにも通じる流麗なアンサンブルとなっていて、サウンドに奥行きを与えています。Kaluginがフェイヴァリットとして、パット・メセニーやコリン・バスをあげているのも納得。
MOON SAFARI『Lover’s End』をはじめ、2010年にはプログレ新鋭の名作が続々とリリースされましたが、その中でも屈指と言える名作と言えるでしょう。
SUNCHILDとしての活動と平行しながら、経った1年で早くもリリースした4thアルバムが『LOST SYMPHONY』。2010年と2011年は、KARFAGEN、SUNCHILDの両方が作品をリリースしているので、2年で4作品の多作っぷり。恐るべしKaluginのイマジネーション!
ファンタスティックなプログレへと変化した前作の延長線上にあるサウンドで、アコーディオンやナイロン弦ギターやオーボエ(のようなキーボード?)などをフィーチャーし、刻まれた年輪のような深みと温かみとともに幻想性が増している印象です。
アンサンブルのダイナミズムも特筆で、タイトで力強いリズム隊が次々に繰り出す変拍子、そこで小刻みなフレーズで躍動するキーボードやギターやヴァイオリンなど、プログレとしての強度はここまでの作品で一番と言えるでしょう。
キーボードの音色も素晴らしく、オルガンとメロトロンの中間に位置するようなコロコロと愛らしくもツンツンと尖ったトーンはこれ以上ないほどに「ファンタスティック」。
前作では女性ヴォーカルを起用して、ケルティックな「透明感」も印象的でしたが、本作は、バンドによるオール・インストで、これまでの「雄大な大地」を感じさせるような要素は薄まり、ジャケのイメージ通りに、中世の部屋に迷い込んでしまったような、そこで暮らす芸術家の頭の中へとフォーカスするような、そんなサウンドが印象的。
キャメルやカイパのファンには宝物と言える名作です。
2012年は、SUNCHILDとして5th『ISOLATION』をリリースし、翌2013年にリリースした5thが『ALEATORICA』です。
中世ファンタジー小説的だった前作とは打って代わり、多数の管弦楽器奏者や民族楽器奏者を迎え、「エスニック・シンフォニック・ロック」と言えるサウンドへと変化しました。オープニングから、ロシア式アコーディオン「バヤン」による物悲しい旋律が溢れるパートと、シンフォニックなキーボードとエッジの立ったギターが重厚に鳴るパートとが見事に対比させられていて、バヤン、フルート、サックスが躍動感いっぱいに次々とソロを取る展開に痺れます。
ヴィンテージなシンフォニック・ロックのエッセンスと民族フレイヴァーとの二軸が生むダイナミズムがデビューから変わらぬKARFAGENの真骨頂で、シンフォニックに振れた前々作、前作を経て、本作では、エスニックへと再び揺れ戻ったわけですが、そんな振幅を経るたびに、振れ幅が大きくなり、よりスケールが増している印象。民族楽器が生み出す旋律はエスニック&フォーキーそのものなのに、野暮ったさはまるでなく、洗練されたシンフォニック・ロックとして見事にアレンジされています。恐るべしAntony Kaluginのセンス。
ウクライナの原風景は日本人には馴染みがあまりないと思いますが、個人的にはこの音楽を聴いていて、モンゴルの風景を思い出しました。モンゴルの家「ゲル」、そこで暮らす民族衣装と独特の帽子に身を包んだ人々。そんな風景。でも、音はすごくファンタスティックでキラキラしていて、うーむ、最高。KARFAGENにしか生み出せないオリジナリティという点で過去最高で、ウクライナ産シンフォニック・ロックここに極まれり!
「バヤン」は全編でフィーチャーされていて、キーボード・プログレならぬバヤン・プログレとしてもプログレ史上に間違いなく残るべき傑作です。
前作から、ギタリスト、ドラマー、ベースをはじめ、Antony Kalugin以外の主要メンバーを刷新して録音され、2014年にリリースした6thが『MAGICIAN’S THEATER』。
メンバーチェンジでどんなサウンドに変化しているのかワクワク聴いてみると、おぉ、オープニングからキース・エマーソンばりの高らかなキーボードがそそり立ち、リズム隊は実に重くソリッドだし、不穏でテンションみなぎるフレージングで暗黒を描くギターは荘厳だし、これまでにないほどロック的ダイナミズムいっぱいのサウンドにびっくり。
ハイライトは、21分を超える組曲「Magician’s Spell」で、「オルガン meets メロトロン」な音色のキーボードが奏でる幻想美、バヤンによる哀愁、エスニックな音階も駆使しながらエッジの立ったトーンで駆け巡るエレキ・ギターによる荘厳さとヘヴィネス、アコギの静謐なアルペジオによる気品、たなびくシンセによる幽玄さ。それらがめくるめく連なりながら、ラストのサックスによる伸びやかなテーマへと向かい、様々なストーリーを描いていきます。前々作『LOST SYMPHONY』での「中世的」シンフォニック・ロックと前作『ALEATORICA』での民族楽器をフィーチャーした「エスニック」シンフォニック・ロックとを見事に融合させつつ、新機軸のヘヴィなダイナミズム、さらに初期のニューエイジ色もブレンドしたバンドの集大成と言える大曲と言えるでしょう。
世界各国から続々と優れた作品が登場する群雄割拠と言える現代のプログレ・シーンにおいても屈指のイマジネーションと構成を持つ傑作となりました。
『MAGICIAN’S THEATER』では、ナイロン/アコースティック・ギターのクレジット(1曲のみエレキのクレジット)だったMax Velichkoがリード・ギタリストとなり、リズム隊は、旧作へ参加したこともある旧知のメンバーを迎え、ヴォーカリストとして新たに紅一点Olha Rostovskaを加え、5人編成で制作され、2015年にリリースされた7thが『7』。
その他、お馴染みのバヤン奏者Sergii Kovalovをはじめ、オーボエ奏者、フルート奏者がゲスト参加しているのも特筆。
年々ヘヴィさを増した前作とは対照的に、静謐とも言えるサウンドが印象的。
オープニングを飾る28分を超えるタイトル・トラックを聞きながら浮かんだキーワードが「アブストラクトな幻想美」。様々な楽器の色彩豊かな音色が組み合わさりながら、映像喚起的で、幻想性溢れるサウンドを描いていく感じは、フラワー・キングスに近いかも、と感じました。
上下動するミニマルなフレーズなどアブストラクトなシンセを背景に、透明感あるエレピ、幻想的なハモンド、柔らかに伸びるムーグ、優美なメロトロンなどが温かな音色を添えて描き出されるキーボード・アンサンブル。そこに、まるでロイネ・ストルトばりに伸びやかに奏でられるエレキ・ギター、そしてバヤンやフルートによるエスニックなフレーズが合わさったサウンドは、ウクライナ生まれのKARFAGENならではの美麗さ、素朴さ、温かみに満ちています。
ドラムというより打楽器と言った方が良いニュアンスのリズムにバヤンがゆったりと奏でられる民族音楽的なパート、メロトロンとバヤンとがツイン・リードを聴かせるハートフルなパート、ナイロン・ギター、リコーダー、オーボエによる神秘的なパートなどを織り交ぜるアレンジもまた見事。
Kaluginはリード・ヴォーカルも取っていて、囁くように歌われるヴォーカルはメランコリックで美しくてびっくり。3曲目では、女性ヴォーカルとのコンビネーションも光っています
Kaluginならではの、様々な音色を有機的につなげていくセンスが、アルバム全編で溢れています。デビュー作での「シンフォニック・ロック meets ニューエイジ」と言えるサウンドを、抽象化しつつも親しみやすく美麗なサウンドへと仕立てた唯一無比の逸品です。
別プロジェクトSUNCHILDと並行して活動しながらも、年一ペースでアルバム・リリースを続ける驚異的なクリエイティビティは、またもや『SPEKTRA』という渾身の傑作を生みだします。
前作でもその萌芽が見られた、フラワー・キングス的な映像喚起性と視界が大きく開けるようなスケール感をまた一歩押し進めたサウンドが特徴。
透明感のあるピアノや華やかなトーンのシンセたやロトロンによるファンタスティックなキーボード・アンサンブル、まるでロイネ・ストルトばりの伸びやかでメロディアスなリード・ギター、そして、変拍子によるキメを効果的に配置したドラマティックな展開。
ジャケットの雰囲気にビビっときたなら、このハートウォームでいてクリアな広がりを持つシンフォニック・サウンドは間違いなくあなたが求めるものでしょう。
しっとりと爪弾かれるアコギやむせび泣くヴァイオリンによるアコースティックなパートも良いし、壮大な混声合唱をフィーチャーしたクラシカルなパートも素晴らしいし、持ち味の一つとなったバヤンによるエキゾチックな味付けも良いし、多彩なアレンジもまたKaluginの豊かな才能の一端を示しています。
17年にリリースされたこの9thアルバムは、彼の別働プロジェクトSUNCHILDによる18年作『MESSAGES FROM AFAR: THE DIVISION AND ILLUSION OF TIME』とのクロスオーバーを試みた意欲作。
内容は、近作に顕著だったフラワー・キングスを彷彿させる作風を、透明感、熱量、スケールあらゆる点で大きく進歩させた傑作。
冒頭から透明感溢れるシンセが美しく折り重なり桃源郷的サウンドを描き出していく展開に早くも耳を奪われます。
ロイネ・ストルトと比べても遜色ない繊細かつ熱くフレーズを紡ぐギターも素晴らしすぎるし、全体としても演奏の密度と熱量、スケールの大きさは既にTHE FLOWER KINGSに匹敵します。
エレクトロニクスも用いられていますが、バンド・アンサンブルの中に有機的に溶け込ませるセンスが抜群で、往年のプログレを強く意識しながらもスタイリッシュに聴かせるモダンでクリアな音像を構築。
また随所で聴ける東欧出身の彼らしい欧州トラッド的な荘厳な民族色も感動をもたらします。
ギターがエモーショナルなプレイで演奏を盛り上げ、キーボードが疾走感あるプレイで曲進行を牽引する、ユニークなスタイルも揺るぎない個性を生んでいて見事。
もうフラワーキングスに肩を並べてると言って何の問題もなさそうな完成度に達した一枚でしょう!
そして!長らく年一ペースでリリースしてたKARFAGENが久々に2年近いインターバルを経て完成させたのが、記念すべき10thアルバム『ECHOES FROM WITHIN DRAGON ISLAND』です。
本作は、「ジキル博士とハイド氏」「宝島」などで著名なイギリスの作家/詩人R.L.スティーヴンソンが残した詩作品を題材にしたコンセプト・アルバム。
前作でTHE FLOWER KINGSに匹敵する途方もなく壮大でエネルギッシュなサウンドを提示した彼らですが、本作はずばり「THE FLOWER KINGS + GRYPHON」!
前作を引き継いでスケール大きくダイナミックな構成で描かれるシンフォニック・ロックに、これまで以上に民族エッセンスを豊かに含んだ管弦楽器が色彩を加える、この匂い立つように芳醇なサウンドのなんと素晴らしいこと。
特にエッセンスとしての用い方に留まっていた管楽器の活躍度が飛躍的にアップしていて、欧州トラッドの哀愁味に加え英国トラッド的端正さをも感じさせる音色はGRYPHONを彷彿。
従来作にあったゴリゴリとヘヴィなパートはほぼ登場せず、終始優美な音だけで構築された、まるで丹念に作り込まれた手工芸品のように柔らかく優しげな輝きを放つサウンドがとにかく感動的に響きわたります。
そして、繊細なタッチながらも熱い叙情美をまとったプレイが胸に残るギターと、ファンタジックかつスリリングにフレーズを繰り出すシンセが一体となって駆け抜けるスタイルは、初期ジェネシスすら彷彿させる完成度でさすが。ちょっと「Supper’s ready」の前半を思い出しました。
前作が彼らの完成形かと思いきや、また一段上のステージへと歩みを進めたと言える驚きの一枚。
これはシンフォ・ファンにはとりあえず聴いてみていただきたい!凄いですよ♪
驚くべきことに、今度は1年を待たずして届けられた19年作その2がこの『BIRDS OF PASSAGE』です!
まるで2年を要した前作との帳尻を合わせるようにリリースされた本作ですが、そのクオリティは文句なしに素晴らしいものでした。
米詩人H.W.ロングフェローと英詩人ウィリアム・ブレイクの詩をテーマにした組曲2つからなるこのアルバム、THE FLOWER KINGS影響下のサウンドをベースとする前作の作風を引き継ぎながらも、若干スケールを抑え、より細部まで丹念に神経を行き渡らせたような優美なシンフォ・サウンドを展開します。
フェードインして勇壮に立ち上がるシンセサイザーが物語の幕開けを告げると、ハケットばりに繊細なギターとつややかなトーンのシンセがユニゾンで走り出す、これでもかファンタスティックな導入からもうシンフォ・ファンはハートを奪われること必至です。
歌声を重ねながら語り部のように丹念に歌い上げる男女ヴォーカルもグッとくるし、ハケット調のデリケートなギターはソロでは一転エモーショナルで伸びやかに飛翔するロイネ・ストルトばりの入魂プレイで魅了します。
A.Kaluginのキーボードも負けじと幻想のカーテンをなびかせるように雄大なシンセで包み込んだかと思うと、妖精の浮遊音のごとき美麗なシンセSEを散りばめて個性を発揮。
温かみ溢れるジャケット通り、瑞々しいファンタジー世界を丁寧に描き出した珠玉の一枚となっています♪
2020年には12年ぶりのソロ名義となるこの作品をリリース。
ドラム・プログラミングも含めすべて彼自身のみで演奏した20年ソロ作。
20分の大作2曲という構成で、つややかなシンセサイザー・サウンドを主体とする色彩感あふれるシンフォニック・ロックを描き出します。
シンセが幾重にも折り重なってスケール大きく盛り上がり、そこに甘くメロディアスな歌心あるギターが絡むファンタジー度100%のシンフォニック・サウンドは、彼が率いるSUNCHILDやKARFAGENを彷彿させるもの。
印象的なのが、そうした雄大なシンフォニック・パートの合間に現れるニューエイジ的なパート。美しく少し無機的でもあるニューエイジ調のシンセを温かみあるシンフォ・パートとごく自然に調和させていて、そのセンスに唸らされます。
最初にもご紹介したようにキャリア初期にはニューエイジ系ミュージシャンでもあった彼らしいスタイルと言えるでしょう。
そんな『MARSHMALLOW MOONDUST』がリリースされた2020年、さすがに新作は来ないかなと思わせておいて、やって来たのがこの12thアルバム!
今回も一聴して浮かぶのが「ファンタスティック度を高めたTHE FLOWER KINGS」という表現。
オルガン、シンセ、ギターがこれでもかとスケールの大きく交差するTFKに通じるサウンドを展開しつつ、TFKの硬質感やエッジの立ったアンサンブルは、柔和でファンタジックな芳醇さを纏っているのが特徴です。
リリカルにさえずるフルートの調べもそんな浮遊感ある聴き心地を見事に演出しています。
注目は元FLAMBOROUGH HEADのギタリストEddie Mulderがアコギで参加した3曲目。Antony Kaluginの七色に輝くように艶のあるシンセとA.フィリップス直系と言える一音一音が気品に満ちたアコギの音色が美しく寄り添います。
Eddieの20年ソロ作でAntonyがゲスト参加した返礼と思われ、やはりこの2人のアンサンブルは息をのむほど素晴らしいです。
高密度なペースでリリースを続けながらも、少しも瑞々しさを失わないシンフォニック・ロックに心から感動してしまう一枚!
そして2021年には、驚くべきことにソロ・アルバム2枚をリリース~!!
フラワー・キングスからエッジを取り去って優美に仕立て、そこにニューエイジ的な神秘性を加えた感じ?
KARFAGENやSUNCHILDでコンスタントにリリースしながらこの完成度のソロを出してくるとは…。
クリエイティヴィティが溢れんばかりなんだろうなぁ。
自身が率いるKARFAGENでも毎年のようにハイクオリティな作品を発表しながら、なんとソロでも21年2枚目となる作品をリリースだと!?
KARFAGENのメンバーとのバンド編成で、シンフォニックな厚みを増したCAMELと言えそうな音世界を紡ぎ出す会心作!
そして、まだ22年も初頭にKARFAGENからも新作が届けられましたね!
怒涛のソロ・リリースに驚かされたかと思うと、すかさずKARFAGENとして13作目となるアルバムをリリース。
本作でも比類なき出来栄えのシンフォニック・ロックを提示しています。
CAMEL直系のリリカルな幻想性と憧れのバンドであるTHE FLOWER KINGS的なダイナミズムを合体させたようなスケール大きなサウンドは、相変わらず文句のつけどころのない完成度。
美しく躍動するシンセ&キラキラと眩い装飾を施すピアノ&ヴィンテージ・テイストなオルガンを駆使するキーボードと、Andy LatimerとRoine Stoltを足し合わせたようなエモーションを放つ極上ギターのコンビネーションはやはり至高です。
そこにアコーディオン系の楽器が軽快に踊り込む展開も素晴らしく、彼の東欧ルーツを感じさせる民族音楽エッセンスにも注目です。
改めて、とんでもない才能ですなぁ。
さすがに22年はKARFAGENの新作のみかと思いきや、ちゃんとソロ・アルバムもリリースしてくれました。
前作ではKARFAGENのメンバーを従えたバンドでの制作でしたが、本作ではギターを除く全パートを自身で演奏する以前のスタイルに回帰。
それもあって、彼の原点であるニューエイジに由来する神秘的な幻想美が再び強く反映されています。
そのサウンド、まるでCAMELをニューエイジに寄せて、ほんのり民族フレイヴァーを纏わせたような印象。
つねに進化を続けながらも、アマチュア時代より培ってきた自身の核となる音楽性を大事にしているのが伝わるサウンドに思わずジ~ンと来てしまいます。
もちろん次に来るのはKARFAGENの新作。ここに来て新たな要素を加えてきます。
ここ最近はCAMELとTHE FLOWER KINGSを融合させたようなスケール大きくメロディアスな作風を追求していましたが、本作ではかつてなくテクニックを駆使したスリリングなバンド・アンサンブルが随所で聴けるのが印象的。
旧来のデリケートなCAMEL的ファンタジーとの間に絶妙な緩急を生み出しています。そのスタイルはさながら「CAMEL+YES」と言うべきもの。
中でも、どこかYES「Awaken」を思わせる浮遊感と緊張感が拮抗する2-3曲目の組曲が特筆。
天上へ誘なうかのように高らかに鳴るシンセととめどなく美旋律を紡ぐギターのコンビに感動していると、急転直下、リズム隊が疾走し始め、ギターはヘヴィさを増し、シンセは荘厳に鳴り響く、KARFAGEN史上最もスリリングなサウンドが展開されます。
この落差にはきっと旧来のKARFAGENファンも驚かされることでしょう。
Antony Kaluginというミュージシャンの底知れぬ才覚には脱帽するしかない会心作!
そして同年末には、ANTONY KALUGIN PROJECT名義で戦禍にある故郷ウクライナの平和を願い行われた22年ツアーを収録したライヴ・アルバムもリリース。
自身が率いるSUNCHILD・KARFAGEN・HOGGWASHのナンバーをプレイした感動のパフォーマンスを聴かせてくれました。
こうして作品を順に追っていくと、初期には、彼の根っこにあるニューエイジ色が強く出たサウンドが特徴で、3rd以降、北欧プログレにも通じるファンタスティックなキーボードやギターをフィーチャーしてシンフォニック・ロック色を強め、その後、ウクライナの地に息づく民族楽器も取り入れながらエスニックな色合いも強め、古今東西の音色がモザイク模様のように編み上げられたKARFAGENにしか生み出し得ない多彩なプログレ・サウンドをものにしていったことが分かります。またここ数作はプログレ・バンドとしてのKARFAGENを導いたバンド、フラワー・キングスからの影響も大きく取り入れ、更なる進化を図っている点にも注目ですね。
それにしてもこのAntony Kalugin、KARFAGENと平行して、SUNCHILD、HOGGWASH、ANTONY KALUGIN BANDなど複数グループでクオリティの高い作品を連発しており、その尽きないイマジネーションとクリエイティビティにはただただ驚くばかり。
毎年必ず何かしらの作品をリリースしてくれるので、今後もニューリリースを楽しみにしながら、その動向に注目したいアーティストです!
英国を拠点にKARFAGENやSUNCHILDなどの人気グループを率いて活動するウクライナ出身のキーボーディスト/コンポーザー。自身の名を冠したプロジェクト・バンド名義で行われたツアーより、22年9月23日のオランダ公演を収録。「A Message of Peace Tour」と銘打たれた本ツアーは、戦禍にある故郷ウクライナの平和を願って開催されており、内ジャケのウクライナ国旗を掲げるAntonyの写真が象徴的です。SUNCHILDのナンバーを中心にKARFAGEN、HOGGWASHのナンバーも織り交ぜた計12曲をプレイ。叙情的でメロディアスなSUNCHILDナンバーが、ライヴならではのダイナミックで肉感ある演奏によって力強く鳴らされるパフォーマンスに感動させられます。母国の安寧を祈るように高らかに響くAntonyのシンセサイザーが一際印象的です。
KARFAGEN〜SUNCHILD〜HOGGWASHなど数々のプロジェクトを率いて優れた作品を続々とリリースしている、90年代以降のウクライナを代表するミュージシャンAntony Kaluginの中心に位置づけられるプロジェクト。2013年作5th。多数の管弦楽器奏者や民族楽器奏者を迎え、「エスニック・シンフォニック・ロック」と言える壮大なサウンドが印象的。オープニングから、ロシア式アコーディオン「バヤン」による物悲しい旋律が溢れるパートと、シンフォニックなキーボードとエッジの立ったギターが重厚に鳴るパートとが見事に対比させられていて、バヤン、フルート、サックスが躍動感いっぱいに次々とソロを取る展開に痺れます。ヴィンテージなシンフォニック・ロックのエッセンスと民族フレイヴァーとの二軸が生むダイナミズムはデビューから変わらぬこのバンドの真骨頂ですが、そのスケールは一段と増している印象。民族楽器が生み出す旋律はエスニック&フォーキーそのものなのに、野暮ったさはまるでなく、洗練されたシンフォニック・ロックとして見事にアレンジされています。恐るべしAntony Kaluginのセンス。KARFAGENにしか生み出せないオリジナリティという点で過去最高で、ウクライナ産シンフォニック・ロックここに極まれり!「バヤン」は全編でフィーチャーされていて、キーボード・プログレならぬバヤン・プログレとしてもプログレ史上に残る傑作と言えるでしょう。
ウクライナ北東部の工業都市ハルキウ出身で、1981年生まれのAntony Kaluginによるプロジェクトで、HOGGWASHやSUNCHILDやGNOMONなど数多くのサイド・プロジェクトをこなす多作家のKaluginが、学生時代の97年から続ける彼の中核となるソロ・プロジェクト。2014年リリースの6枚目で、2部構成のコンセプト作。キース・エマーソンを彷彿させるファンファーレのように高らかに鳴るリードから幻想的にたなびくバッキングまで奔放にイマジネーションを紡ぐムーグ・シンセ、そして、エッジの立ったヘヴィなトーンで流麗なフレーズを伸びやかに奏でるギター。ピンク・フロイド、キャメル、フォーカス、フラワー・キングスをフェイヴァリットに挙げるとおり、映像喚起的なキーボードを中心に、ギターが力づよいダイナミズムを生む壮大なシンフォニック・ロックが特徴です。フルートやエレピやアコギがそっと叙情を奏でるファンタスティックなパート、近現代クラシック直系の瑞々しく艶やかなパート、ワールド・ミュージック的なエッセンスやニューエイジ的フレイヴァーがにじむ雄大なパートなども織り交ぜながら、鮮やかにサウンドが描かれていきます。これは素晴らしい作品です。名作!
ウクライナ北東部の工業都市ハルキウ出身で、1981年生まれのAntony Kaluginによるプロジェクトで、HOGGWASHやSUNCHILDやGNOMONなど数多くのサイド・プロジェクトをこなす多作家のKaluginが、学生時代の97年から続ける彼の中核となるソロ・プロジェクト。2015年作7thアルバム。ヘヴィさを増した前作とは対照的に、静謐とも言えるサウンドが印象的で、オープニングを飾る28分を超えるタイトル・トラックを聞きながら浮かんだキーワードが「アブストラクトな幻想美」。様々な楽器の色彩豊かな音色が組み合わさりながら、映像喚起的で、幻想性溢れるサウンドを描いていく感じは、フラワー・キングスも彷彿させます。上下動するミニマルなフレーズなどアブストラクトなシンセを背景に、透明感あるエレピ、幻想的なハモンド、柔らかに伸びるムーグ、優美なメロトロンなどが温かな音色を添えて描き出されるキーボード・アンサンブル。そこに、まるでロイネ・ストルトばりに伸びやかに奏でられるエレキ・ギター、そしてバヤンやフルートによるエスニックなフレーズが合わさったサウンドは、ウクライナ生まれのKARFAGENならではの美麗さ、素朴さ、温かみに満ちています。ドラムというより打楽器と言った方が良いニュアンスのリズムにバヤンがゆったりと奏でられる民族音楽的なパート、メロトロンとバヤンとがツイン・リードを聴かせるハートフルなパート、ナイロン・ギター、リコーダー、オーボエによる神秘的なパートなどを織り交ぜるアレンジもまた見事。3曲目でのKaluginのメランコリックなヴォーカルと女性ヴォーカルとのコンビネーションもまた印象的です。デビュー以来のKaluginの音を有機的につなげるセンスがこれでもかと発揮された傑作。
ウクライナ出身、英国を拠点に活動する1981年生まれのキーボーディストAntony Kaluginによるソロ・プロジェクト。2017年作9thアルバム。冒頭から透明感溢れるシンセが美しく折り重なり桃源郷的サウンドを描き出していく展開に早くも耳を奪われます。ロイネ・ストルトと比べても遜色ない繊細かつ熱くフレーズを紡ぐギターも素晴らしすぎる。演奏の密度と熱量、スケールの大きさは間違いなくTHE FLOWER KINGSに匹敵します。エレクトロニクスも用いられていますが、バンド・アンサンブルの中に有機的に溶け込ませるセンスが抜群で、往年のプログレを意識しながらもスタイリッシュに聴かせるモダン・シンフォニックな音像を構築。また随所で聴ける東欧出身の彼らしい欧州トラッド的な荘厳な民族色を添えるプレイも感動的に響きます。ギターがエモーショナルなプレイで演奏を盛り上げ、キーボードが疾走感あるプレイで曲進行を牽引する、ユニークなスタイルも揺るぎない個性を生んでいて見事。前作までもリリースされるたびに完成度を上げてきましたが、9作目にしてかつてないステージへと進んだ感のある、シンフォファン必聴作に仕上がっています!
ウクライナ出身、英国を拠点に活動する1981年生まれのキーボーディストAntony Kaluginによるプロジェクト。2019年10th。「ジキル博士とハイド氏」「宝島」などで知られる英作家R.L.スティーブンソンの詩を題材にしたコンセプト・アルバム。前作でTHE FLOWER KINGSに匹敵する途方もなく壮大でエネルギッシュなサウンドを提示した彼らですが、本作はずばり「THE FLOWER KINGS + GRYPHON」!前作を引き継いでスケール大きくダイナミックな構成で描かれるシンフォニック・ロックに、民族エッセンス豊かな管弦楽器が色彩を加える、匂い立つように芳醇な演奏のなんと素晴らしいこと。従来作にあったゴリゴリとヘヴィなパートはほぼ登場せず、終始優美な音だけで構築された、まるで丹念に作り込まれた手工芸品のように柔らかく優しい輝きを放つサウンドがただただ感動的に響きます。繊細なタッチながらも熱い叙情美をまとったプレイが胸に残るギターと、ファンタジックかつスリリングにフレーズを繰り出すシンセが一体となって駆け抜けるスタイルは、初期ジェネシスすら彷彿させる完成度。前作が彼らの完成形かと思いきや、また一段上のステージへと歩みを進めたと言える驚きの一枚。これはシンフォ・ファンにはとにかく聴いていただきたい!
【カケレコ国内盤】直輸入盤(帯・解説付仕様)、デジパック仕様、1CDエディション、定価2990+税
ウクライナ出身の鬼才コンポーザー/key奏者Antony Kalugin率いる人気シンフォ・グループ、14作目となる23年作がリリース!別働プロジェクトSUNCHILDやソロとしても並行して活動するKaluginですが、そんな中で制作された本作も、分かってはいましたが現行シンフォニック・ロック・シーンの最高峰に位置する素晴らしい出来栄え。ここ最近はCAMELとTHE FLOWER KINGSを融合させたようなスケール大きくメロディアスな作風を追求していましたが、本作ではかつてなくテクニックを駆使したスリリングなバンド・アンサンブルが随所で聴けるのが印象的で、旧来のデリケートなCAMEL的ファンタジーとの間に絶妙な緩急を生み出しています。そのスタイルはさながら「CAMEL+YES」と言うべきもの。温かい響きのアコギが彩るAnthony Phillips彷彿の序曲を経て、どこかYES「Awaken」を思わせる浮遊感と緊張感が拮抗する2-3曲目の組曲へ。天上へ誘なうかのように高らかに鳴るシンセととめどなく美旋律を紡ぐギターのコンビに感動していると、急転直下、リズム隊が疾走し始め、ギターはヘヴィさを増し、シンセは荘厳に鳴り響く、KARFAGEN史上最もスリリングなサウンドに突入!この落差にはきっと旧来のKARFAGENファンも驚かされることでしょう。合間に挟まるA.Phillips的なアコギメインの小曲も、途方もないスケールを誇る大曲との間に良い流れを作り出しています。これまでの作品ではさほど感じられなかったYES的な疾走感・飛翔感が加わり、これまで以上にメリハリの効いたシンフォニック・サウンドを完成させた一枚となっています!
デジパック仕様、2枚組、Disc2には19年作「BIRDS OF PASSAGE」の新アレンジ・インストVer.を収録、ボーナス・トラック3曲
レーベル管理上、デジパックに小さい角つぶれがある場合がございます。ご了承ください。
ウクライナ出身、英国を拠点に活動するコンポーザー/key奏者Antony Kalugin率いる人気シンフォ・グループ、2024年作15thアルバム。前作で見せたYES的なエッセンスをより消化し、CAMELのメロディアスな優美さ、THE FLOWER KINGSのハードさやスケールの大きさ、YESの疾走感・飛翔感を絶妙に配合して、見事にKARFAGENの音へと再構築しています。ダイナミックかつ安定感抜群のプレイでアンサンブルを支えるリズム・セクション、アンディ・ラティマーとロイネ・ストルトを宿すあまりにメロディアスで雄弁なギター、まさに七色に輝くという表現が相応しい色彩溢れるシンセサイザー。そこにジャジーなテイストで演奏を引き締めるサックスも加わって、これ以上はないというほどに完成されたメロディアス・シンフォニック・ロックを紡いでいきます。ニューエイジを原点とするA.KaluginらしいSEを散りばめた神秘的な音空間作り、Anthony Phillips彷彿の格調高いアコースティック・パートなども生かされていて、デビューからの18年間を集大成したサウンドと言っていいかも知れません。シンフォ・ファンの方には、この圧倒的なまでにメロディアスで幻想的でスケール大きな音世界を是非味わってほしいところです。傑作!
ウクライナ出身、英国を拠点に活動するコンポーザー/key奏者Antony Kalugin率いる人気シンフォ・グループ。「Messages From Afar」シリーズの第1弾『First Contact』(2017)と、第2弾『Second Nature』(2024)に関連した、未発表ナンバー/未発表バージョンを収録した24年リリース作。アルバム収録曲や収録バージョンと比べても一切見劣りしないハイクオリティな楽曲のオンパレードとなっており、音源集というポジションに留まらず独立したアルバムとして楽しめる質・量ともに大充実の内容です!
ウクライナ出身、英国で活動するキーボーディスト/コンポーザーAntony Kalugin主宰のシンフォニック・ロック・バンド、2022年作。20年に前作にあたる『PRINCIPLES AND THEORY OF SPEKTRA』とKaluginのソロ『MARSHMALLOW MOONDUST』を、そして21年にはソロ2作品『STELLAR GARDENER』『CHAMELEON SHAPESHIFTER』を発表するという怒涛のリリースを続ける鬼才ですが、KARFAGENとして13作目となる本作も比類なき出来栄えのシンフォニック・ロックを提示します。CAMEL直系のリリカルな幻想性と憧れのバンドと語るTHE FLOWER KINGS的なダイナミズムを合体させたようなスケール大きなサウンドは、相変わらず文句のつけどころのない完成度。美しく躍動するシンセ&キラキラと眩い装飾を施すピアノ&ヴィンテージ・テイストなオルガンを駆使するキーボードと、Andy LatimerとRoine Stoltを足し合わせたようなエモーションを放つ極上ギターのコンビネーションはやはり至高です。そこにアコーディオン系の楽器が軽快に踊り込む展開も素晴らしく、彼の東欧ルーツを感じさせる民族音楽エッセンスにも注目です。改めて、とんでもない才能だなぁ・・・。ずばりシンフォ・ファン必聴作!
デジパック仕様、19年作『ECHOES FROM WITHIN DRAGON ISLAND』のインストver『DRAGON ISLAND』のCDが付属!
レーベル管理上、盤にキズ多めもあります、デジパックに小さい角つぶれや若干の圧痕がある場合がございます。ご了承ください。
デジパック仕様、19年作『ECHOES FROM WITHIN DRAGON ISLAND』のインストver『DRAGON ISLAND』のCDが付属!
デジパックに角つぶれがあるため、値引きセール品になります。
ウクライナ出身の才人Antony Kalugin率いるシンフォ・グループ。彼らの作品中でも屈指の人気を誇る2作品、10年作『SOLITARY SANDPIPER JOURNEY』と11年作『LOST SYMPHONY』に、09〜17年までのデモやスタジオ・ライヴなど未発表音源収録のボーナスCDがついた3CDセット!
英国を拠点にKARFAGENやSUNCHILDなどのグループを率いて活動するウクライナ出身の才人キーボーディスト/コンポーザー。ドラム・プログラミングも含めすべて彼自身のみで演奏した20年ソロ作。20分の大作2曲という構成で、つややかなシンセサイザー・サウンドを主体とする色彩感あふれるシンフォニック・ロックを描き出します。シンセが幾重にも折り重なってスケール大きく盛り上がり、そこに甘くメロディアスな歌心あるギターが絡むファンタジー度100%のシンフォニック・サウンドは、彼が率いるSUNCHILDやKARFAGENを彷彿させるもの。印象的なのが、そうした雄大なシンフォニック・パートの合間に現れるニューエイジ的なパート。美しく少し無機的でもあるニューエイジ調のシンセを温かみあるシンフォ・パートとごく自然に調和させていて、そのセンスに唸らされます。キャリア初期にはニューエイジ系ミュージシャンでもあった彼らしいスタイルと言えるでしょう。KARFAGENやSUNCHILDのファンはもちろんの事、CAMELタイプのシンフォがお好きな方にも文句なしにオススメの名品です。
英国を拠点にKARFAGENやSUNCHILDなどのグループを率いて活動するウクライナ出身の才人キーボーディスト/コンポーザー。前21年作『STELLAR GARDENER』に続く21年リリース第2弾!20年作『MARSHMALLOW AND MOONDUST』、21年作『STELLAR GARDENER』、そして本作の3部作となっており、前2作では自身での多重録音でしたが、今回はKARFAGENのメンバーを中心とするバンド編成で制作されています。バンド・アンサンブルならではの各楽器が呼吸を合わせ飛翔感いっぱいに広がっていくシンフォニック・サウンドはやはり極上。豊かに色彩を変化させながら気品高いフレーズを奏でるシンセと、Andy Latimerばりのエモーションを乗せたあまりにメロディアスなギター。両者が時に優雅にユニゾンし、時にイマジネーション溢れる美麗なソロを繋ぐ、夢の世界にいるような幻想サウンドに息をのみます。そこに繊細に音を重ねるフルート、ジャジーなカラーを添えるサックスも見事です。シンフォニックな厚みを増したCAMELと言えそうな音世界に包まれる珠玉の一枚!
英国を拠点にKARFAGENやSUNCHILDなどのグループを率いて活動するウクライナ出身の才人キーボーディスト/コンポーザー。前20年作と同様に、すべて彼自身のみで演奏した21年ソロ作。約20分の曲が2つという大作主義も前作を踏襲しています。夢見るようなトーンのシンセサイザー・サウンドを主体とするファンタスティックな世界観のシンフォニック・ロックは相変わらず珠玉の出来栄え。彼が敬愛するTHE FLOWER KINGSからエッジを取り去って優美に仕立て、そこにニューエイジ的な神秘性を加えたようなサウンドが印象的です。前年のソロ作『MARSHMALLOW MOONDUST』や彼のプロジェクトSUNCHILDの作品が気に入っているならマストな一枚!
英国を拠点にKARFAGENやSUNCHILDなどのグループを率いて活動するウクライナ出身の才人キーボーディスト/コンポーザーによる2022年ソロ作。前作ではKARFAGENのメンバーを従えたバンドでの制作でしたが、本作ではギターを除く全パートを自身で演奏する以前のスタイルに回帰。それもあって、彼の原点であるニューエイジに由来する神秘的な幻想美が再び強く反映されています。そのサウンドは80-90sのCAMELをニューエイジに寄せて民族フレイヴァーを纏わせたような印象。美しくも慈愛に満ちた優しいトーンでゆったり広がるシンセをバックに、ギターがAndy Latimerばりにメロディアスに旋律を歌い、パーカッションがほのかに異国情緒を添えるサウンドのなんとロマンティックなこと。愛らしい音色でフワフワと鳴るシンセと煌びやかな音色のアコースティックが織りなす牧歌的で落ち着いたナンバーも素敵です。KALUGINはシンセによる空間的な音作りに徹し、主役はギターに譲りますが、KARFAGENのMax Velychkoによるまさにラティマー譲りの天を駆けるように壮大で美麗なギタープレイはCAMELファン必聴のパフォーマンスとなっています。従来通り、CAMELファンにはとにかく体験して欲しい音世界!
CM220272/22028(CAERLLYSI MUSIC)
デジパック仕様、2枚組、DISC2にはKARFAGENの22年作『LAND OF GREEN AND GOLD』関連の音源をまとめたフルアルバム『LAND OF GREEN』を収録!
レーベル管理上、デジパックに若干角つぶれがある場合がございます。ご了承ください。
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