2024年9月21日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
寄稿:ひろきさんさん
“Oysterband”と聞いて、カケレコを利用しているどれくらいの方が彼らの存在を知っているでしょうか。私自身これまで、British musicをだいぶ聞きこんできましたし、その関連書物等にも目を通してきましたのでself-released (自主制作盤)以外はほぼ驚きはしないのですが、このOysterbandには驚かされました。カケレコさんの7月バーゲンセールで出会うまで全く彼らの存在を知らなかったのですから。最近、ジャケットデザインだけでその音を推測することが大きな楽しみの一つになっています。今回はその予測が的中した感がありました。対象になったbandは”Horslips”と”Tempest(U.S.A)”です。Oysterbandの2022年の作品”Read The Sky”は5 starsに値する素晴らしい内容です。しかもカケレコさんの扱うCDの多くが状態がよく、このCDも新品と見間違うほどのbest conditionでした。
そのデザインについて少しここで触れますと、「夜空に輝く多くの星に照らされている一艘の小舟が砂上で佇んでいる」と表現すれば良いのでしょうか。とてもロマンティックなイメージあふれるジャケットに仕上がっています。もうこの段階で彼らの虜になってしまいました。人の心理の不思議なところは視覚的に支配されると「このバンドが作り出す音は絶対に悪いはずがない」という暗示にかかった状態で音に接することになるわけですからどうしても客観性がだいぶ薄まってきます。当然、評価は高くなります。
Roll Away
さて彼らの結成は1978年頃になります。wiki pediaによればfolk rock bandとかfolk punk bandという紹介をされています。このころはpunk rockが下火になりかけ、NWOBHM movementが起こりつつあった時期なので彼らのような音楽は当時の社会が受け入れがたかったことが容易に想像がつきます。基本はtradな明るいメロディに乗りの良いリズムを加え、様々な楽器を駆使して聞き手を挑発する音楽と形容すれば良いかもしれません。このalbumにもその流れが継承され、いわゆる一切駄作は含まれていません。先にも述べましたがjacket designがシンプルで美しいのでこれをずっと長めながら最後まで聞くことも(私は)可能です。彼らはこれまでliveを含めると30作以上を発表しているのですが、とくに注目すべきalbumは「英国の歌姫」と呼ばれているJume Taborとのコラボ作品です。June Tabor and The Oyster Band”として、1990年と2019年にそれぞれ発表されています。まだこれらのalbumは聞いていませんが最近、YouTubeで彼らの25 th Anniversary Concertをたまたま見ることができました。俗な言葉で表現しますと、「ぶっ飛びました!」openerの”Native Son”からパワー全開で、cello, fiddle, bagpipe等のacousticな楽器を次から次に駆使して、まさに音の壁が聞き手に襲いかかる感覚に陥ります。途中でJune Taborも現れ、数曲、彼らと共演しています。以前、Gentle Giantがコンサートの途中でelectricから巧みに中世の楽器に持ち変え演奏をするのにも驚きましたが、Oysterbandはどの楽器もrockしているのが特徴です。しかしかれらのlive活動をしばらく停止するとのことがwebsite上に知らされていました。まだ30枚以上の未聴盤があるのでカケレコさんに入荷すれば必ず購入しようと考えています。
Native Son (Live)
*関連書物について:私がBritish folkのbibleとして一番参考にしているのは白夜書房から発刊されたロック・ダイヴィング・マガジン編著、”Labyrinth Of Folk Rock from England, Wales, Scotland & Ireland”(ラビリンス/英国フォーク・ロックの迷宮)です。このなかにOysterbandが全く掲載されてなかったことも追加しておきます。
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