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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』第56回 SYRINX CALL / The Moon On A Stick – Featuring Isgaard (Germany / 2018)

本連載では「ミュージシャンの視点からプログレッシブ・ロック作品を捉える」ことに重点を置き、フランスのプログレッシブ・ロックレーベルMusea Recordsからシンフォニック・ロックアルバムでデビューを果たしたnetherland dwarfが、同じ時代を生きる世界中の素晴らしいプログレッシブ・ロックアーティストたちの作品を、幅広くご紹介します。「ミュージシャンの視点」とは言っても、各コラムは平易な文章で構成されていますので、楽器が弾けない、専門用語は分からないという場合でも、心配せずにご覧下さい。

第56回 SYRINX CALL / The Moon On A Stick – Featuring Isgaard (Germany / 2018)

イギリスの小説家H・G・ウェルズによるサイエンス・フィクション小説「タイム・マシン」に登場する、紀元802701年の世界を生きる人種「イーロイ(Eloi)」をグループ名に冠したのがジャーマン・プログレッシブ・ロック・グループELOYです。ハノーファー出身のギタリストFrank Bornemannを中心として1969年に結成されたELOYは、名レコーディング・エンジニアConny Plankを迎えた71年作『Eloy』でPhilips Recordsからアルバム・デビューを飾りました。その後、Harvest Recordsからリリースされた73年作『Inside』や74年作『Floating』までの彼らは、メンバーをマイナー・チェンジしながら、DEEP PURPLEのハード・ロック・テイストとPINK FLOYDのサイケデリック・スペース・ロック・テイストを混ぜ合わせたような音作りを提示。そして、75年作『Power And The Passion』において、彼らの音楽的な基盤が確立されました。同作は「科学者を父に持つ主人公ジェイミーが1358年の世界にタイム・トラベルする」物語を描いた、ELOYにとって初めてのコンセプト・アルバムとなっており、キーボーディストManfred Wieczorkeがハモンド・オルガン一辺倒のサウンドから脱却。エレクトリック・ピアノやメロトロン、モーグ・シンセサイザーなどが使用されたことによって、グループはスペーシーな作風はそのままにシンフォニック・ロックへと接近しました。

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76年作『Dawn』は、「命を落とした男が幽霊となり、愛する人にメッセージを伝えるために戻って来る」物語を描いたコンセプト・アルバムとなっており、Frank Bornemann以外のメンバーを一新。前作で築き上げたスペーシーなシンフォニック・ロックの音楽性は同作でも継承されており、さらにドラマティックなストリングス・サウンドも導入されました。そして、ELOYの代表作と評される77年作『Ocean』は、伝説の古代文明「アトランティス」をテーマに掲げたコンセプト・アルバム。10分を超えるふたつの楽曲を含めた4曲構成でハイ・レベルなプログレッシブ・ロックを聴かせました。同作は20万枚を超える売り上げを記録し、国内チャートではQUEENやGENESISを抜き去るほどの勢いを見せていたようです。78年には、『Ocean』の収録楽曲を中心としたライブ・アルバム『Live』を発表。さらに、79年作『Silent Cries And Mighty Echoes』では、プログレッシブ・ロックらしい15分に迫る組曲が収められる一方で、新たな時代の到来を感じさせるストレート且つメロディアスな音楽性へと移行していきました。今日のプログレッシブ・ロック・リスナーに最も広く聴かれているELOYの作品は、恐らくこの辺りまででしょう。グループは、80年代を迎えても活動を続けましたが、押し寄せる時代の波には逆らえずレコード・セールスが減少。また、メンバー間にも対立が起こるなど、グループを取り巻く状況は厳しいものとなっていきました。イギリスのHeavy Metal Worldwideと契約を結んだことによる新たな聴衆の獲得や、ロンドンのMarquee Club公演の成功など次なる展開も期待されたものの、ELOY は12枚目のスタジオ・アルバムとなった84年作『Metromania』を最後に解散を選びました。

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今回はELOYと深い関わりを持つリコーダー奏者Volker Kuinkeが率いるプログレッシブ・ロック・グループSYRINX CALLを取り上げます。ELOYは88年、ギタリストFrank BornemannとキーボーディストMichael Gerlachのデュオ編成で『Ra』を発表し活動を再開しましたが、Volker KuinkeはELOYの98年作『Ocean 2 – The Answer』や2009年作『Visionary』などにゲスト・プレイヤーとして参加した経験を持つミュージシャンであり、2010年に発売されたELOYのヒストリー映像作品『The Legacy Box』では、ELOYのファン・クラブ代表者としてインタビューに応えていました。また、70年代から80年代にかけてのELOY作品が再発された際には、ライナーノーツも担当しています。

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ヴァイオリン奏者やフルート奏者ならばともかく、リコーダー奏者がプロジェクトを束ねるという事例は、変則的な楽器編成が珍しくないプログレッシブ・ロック・シーンにおいてもレア・ケースでしょう。SYRINX CALLは2015年に『Wind In The Woods』でアルバム・デビューを果たし、続いてセカンド・アルバムとなる本2018年作『The Moon On A Stick – Featuring Isgaard』を発表しました。SYRINX CALLの音楽性は、トラディショナル・フォークからワールド・ミュージック、あるいはサウンドトラックの要素まで兼ね備えたシンフォニック・ロックであり、Volker Kuinkeはソプラノ、アルト、テナー、バス、グレート・バスの各種リコーダーを使い分けます。格調高いクラシック・テイストから素朴なトラディショナル・フォーク・テイストまで、ゆったりとしたテンポで作曲された楽曲に寄り添うプレイは、聴き手に深い印象を残すことでしょう。バンド・アンサンブルについては、前作から参加のマルチ・プレイヤーJens Lueckが手腕を発揮。プログレッシブ・ロック・グループSINGLE CELLED ORGANISMでも活動する彼は、キーボードやドラム、パーカッションやプログラミング、一部のヴォーカル・パートを一手に引き受け、さらにゲスト・プレイヤーたち(プログレッシブ・ロック・グループSYLVANでの活動が知られるギタリストJan Petersenを含む)の舵取りも担います。そして、アルバム・タイトルでもフィーチャーされている、ドイツの音楽賞である「エコー賞」を受賞した経歴を持つ女性ヴォーカリストIsgaard Markeが、同じく女性ヴォーカリストDoris Packbiersと共に、幻想的な歌声を披露。ヴォーカル・ナンバーは言うまでもありませんが、インストゥルメンタル・ナンバーでの幽玄なスキャットもまた、特筆に値する出来栄えとなっています。70年代のジャーマン・プログレッシブ・ロック(特にシンフォニック・ロックやプログレッシブ・フォーク)のサウンドに言及する場合には、しばしば「ゲルマンの深い森から聴こえてくる」というような表現が用いられてきましたが、それはまさに本作のアートワークが示す通りのイメージでしょう。SYRINX CALLには、古き良きジャーマン・プログレッシブ・ロックの国民的特色が受け継がれています。




netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第1回 netherland dwarf / tortoise walks forever (Japan / 2014)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第2回 CHRIS / Snow Stories (Holland / 2012)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第3回 GRENDEL / The Helpless (Poland / 2008)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第4回 ANUBIS / Hitchhiking To Byzantium (Australia / 2014)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第5回 AGUSA / Hogtid (Sweden / 2014)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第6回 SANHEDRIN / Ever After (Israel / 2011)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第7回 AMOEBA SPLIT / Dance Of The Goodbyes (Spain / 2010)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第8回 MAGENTA / The Twenty Seven Club (UK / 2013)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第9回 TOHPATI ETHNOMISSION / Save The Planet (Indonesia / 2010)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第10回 HIDRIA SPACEFOLK / Astronautica (Finland / 2012)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第11回 QUATERNA REQUIEM / O Arquiteto (Brazil / 2012)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第12回 SETNA / Guerison (France / 2013)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第13回 FLOR DE LOTO / Nuevo Mesias (Peru / 2014)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第14回 TRANSATLANTIC / The Whirlwind (Multi-National / 2009)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第15回 KARFAGEN / Lost Symphony (Ukraine / 2011)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第16回 SENSE / Going Home (Canada / 2007)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第17回 ARANIS / Roqueforte (Belgium / 2010)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第18回  SIKUS BOLIVIA / E.C.L.I.P.S.E. (Bolivia / 2011)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第19回  LITTLE TRAGEDIES / At Nights (Russia / 2014)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第20回  NUCLEUS TORN / Neon Light Eternal (Switzerland / 2015)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第21回  MERRY GO ROUND / Merry Go Round (Italy / 2015)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第22回  WOBBLER / Afterglow (Norway / 2009)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第23回  MEDIABANDA / Siendo Perro (Chile / 2010)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第24回  FIVE-STOREY ENSEMBLE / Not That City (Belarus / 2013)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第25回  GLASS HAMMER / If (USA / 2010)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第26回  SEIN / La Flor Y La Mierda (Argentina / 2010)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第27回  CICCADA / A Child In The Mirror (Greece / 2010)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第28回  CAST / Originallis (Mexico / 2008)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第29回  AFTER CRYING / Creatura (Hungary / 2011)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第30回  MARTIGAN / Vision (Germany / 2009)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第31回  ROBERT REED / Sanctuary (UK / 2014)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第32回 DEWA BUDJANA / Zentuary (Indonesia / 2016)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第33回 HOSTSONATEN / Summereve (Italy / 2011)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第34回  PAMPA TRASH / Ya Fue (Argentina / 2014)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第35回  ANIMA MORTE / The Nightmare Becomes Reality (Sweden / 2011)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第36回  LOST WORLD BAND / Solar Power (Russia / 2013)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第37回  SUPAY / Senales (Peru / 2013)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第38回  THE PROG WORLD ORCHESTRA / A Proggy Christmas (USA / 2012)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第39回  NOSTRADAMUS / Testament (Hungary / 2008)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第40回  TEMPUS FUGIT / Chessboard (Brazil / 2008)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第41回  DRUCKFARBEN / Druckfarben (Canada / 2011)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第44回  KOTEBEL / Concerto For Piano And Electric Ensemble (Spain / 2012)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第45回  HONOKA SAKAI / On The Way Home (Japan / 2013)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第46回 QUANTUM FANTAY / Dancing In Limbo (Belgium / 2015)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第47回  SETI / Bold Travels (Chile / 2016)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第48回 ONE SHOT / Live In Tokyo (France / 2011)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第49回 HJALTALIN / Terminal (Iceland / 2009)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第50回 RAIMUNDO RODULFO / Mare Et Terra (Venezuela / 2008)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第52回 APERCO / The Battle (Israel / 2016)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』第54回 SILHOUETTE / Beyond The Seventh Wave (Holland / 2014)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』第55回 JUHA KUJANPAA / Kivenpyorittaja - Tales And Travels (Finland / 2013)

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    ドイツ出身のリコーダー奏者Volker Kuinkeを中心に結成されたシンフォ・グループの18年2nd、ゲルマンの深き森から響く美しく物悲しいリコーダーの旋律が感動的な一枚

    ドイツ出身のリコーダー奏者Volker Kuinkeを中心に結成されたシンフォニック・ロック・グループの18年2ndアルバム。気品高いピアノやシンセ、きらびやかな音色のアコースティックギター、そしてメロディアスに宙を駆けるエレキギターなどが織りなす、幻想度100%の繊細なアンサンブルがまず素晴らしいのですが、特筆は主役であるリコーダー。ゲルマンの深き森から響いてくるような、美しくも物悲しい旋律をとめどなく紡ぎ出すリコーダーのプレイに息を呑みます。アルトとソプラノのリコーダーを駆使して陰影あるドラマチックな世界観を作り上げるこのリコーダー奏者、まさに名手。さらにドイツの実力派女性シンガーISGAARDをフィーチャーしたナンバーが出色で、切々とエモーショナルに歌うヴォーカルと哀感を湛えたリコーダーの調べ、相性は抜群です。ギターやシンセが目がさめるようなエネルギッシュな演奏を聴かせるシンフォニックなナンバーも収録されており、リコーダーが担う「静」のパートとの劇的な対比が聴きものです。終始幻想的かつドラマチックに織り上げられていくサウンドに感動を禁じ得ない一枚。

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