2017年8月25日 | カテゴリー:「rabbit on the run」 netherland dwarf,ライターコラム
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本連載では「ミュージシャンの視点からプログレッシブ・ロック作品を捉える」ことに重点を置き、フランスのプログレッシブ・ロックレーベルMusea Recordsからシンフォニック・ロックアルバムでデビューを果たしたnetherland dwarfが、同じ時代を生きる世界中の素晴らしいプログレッシブ・ロックアーティストたちの作品を、幅広くご紹介します。「ミュージシャンの視点」とは言っても、各コラムは平易な文章で構成されていますので、楽器が弾けない、専門用語は分からないという場合でも、心配せずにご覧下さい。
インストゥルメンタルに主軸を置きスケールの大きな世界を描くプログレッシブ・ロックのサウンドが、映像作品と高い親和性を持つのは至って自然なことでしょう。1970年代に活躍したプログレッシブ・ロック・アーティストたちはサウンドトラックの分野にも数多くの足跡を残していますが、そんな中でも真っ先に思い浮かぶのは「ホラー映画」というキーワードです。ブリティッシュ・プログレッシブ・ロックにおける代表格ミュージシャンでは、EMERSON, LAKE & PALMERのキーボーディストKeith Emersonが、後述するDario Argento監督作品である80年作『Inferno』や、やはり後述するLucio Fulci監督作品である84年作『Murder Rock』のサウンドトラックを手がけ、また、YESのキーボーディストRick Wakemanが、アメリカのホラー映画である81年作『The Burning』や87年作『Creepshow 2』のサウンドトラックを担当しました。なお、最も有名な例として、アメリカのホラー映画である「The Exorcist」に使用された、Mike Oldfieldによる73年作『Tubular Bells』も思い浮かびますが、これはオリジナル・アルバムの楽曲が(冒頭部分が抜粋され)ホラー映画に使用されたものであり、サウンドトラックとして製作された作品ではないという点に違いがあるでしょう。
プログレッシブ・ロックとホラー映画の関係性を語る上で、Mike Oldfieldの『Tubular Bells』と共に必ず名前が挙がるのが、イタリアのGOBLINです。GOBLINは、75年にCHERRY FIVE名義でアルバム・デビューを果たすと間もなくグループ名を改め、76年作『Profondo Rosso』を皮切りにDario Argento監督作品に携わりました。中でも、「決して、ひとりでは見ないでください」というキャッチフレーズで知られる77年作『Suspiria』のサウンドトラックは、プログレッシブ・ロック・ファンに限らず広く聴かれていることでしょう。また、彼らはサウンドトラックと並行して76年作『Roller』や78年作『Il Fantastico Viaggio Del Bagarozzo Mark』といったオリジナル・アルバムもリリースし、こちらもイタリアン・プログレッシブ・ロックの必聴作として高い評価を獲得しています。新世紀以降のGOBLINは、同監督による2001年作『Non Ho Sonno』のサウンドトラックを担当し、その後、メンバーがGOBLINの名称を分け合い離合集散を繰り返しているため本体を捉えにくいものの、2011年にはベーシストとドラマーによるGOBLIN REBIRTH、あるいは2014年には中心メンバーであったキーボーディストによるCLAUDIO SIMONETTI’S GOBLINが結成され、それぞれ精力的な活動を展開しています。
プログレッシブ・ロック・シーンにおいては知名度こそGOBLINに譲るものの、やはりホラー映画のサウンドトラックで知られるミュージシャンFabio Frizziの名前も挙げておきたいところです。GOBLINは76年作『Perche Si Uccidono』を製作するに当たり、Fabio Frizziを迎えた体制でIL REALE IMPERO BRITANNICOという変名を用いたことがありました。GOBLINがDario Argento監督作品によって高い評価を獲得したように、Fabio FrizziはLucio Fulci監督作品に多く関わり、79年作『Zombi 2』や80年作『City Of The Living Dead』、そして81年作『The Beyond』といった同監督の代表作に儚くも美しい楽曲を提供していったのです。ジャンルがジャンルということもあって、あまりにグロテスクな描写に溢れていることから作品自体は視聴者を選ぶものの、その音楽は広くプログレッシブ・ロック・ファンに聴かれるべきものです。
さて、スウェーデンのストックホルムで2004年に結成された4人編成のANIMA MORTEは、2007年にデビュー・アルバム『Face The Sea Of Darkness』をリリースし、プログレッシブ・ロック・シーンに登場しました。彼らは一貫して、GOBLINやFabio Frizziから影響を受けたサウンドを追求しており、その作風は「映像なきホラー映画」と呼ぶに相応しいものです。2011年にリリースされた彼らのセカンド・アルバムとなる本作『The Nightmare Becomes Reality』は、女性のすすり泣きと叫び声が切迫感を演出する、ホラー映画のサウンドトラックに影響を受けた彼ららしいオープニングが印象的な注目作となりました。本作には、90年代前半のプログレッシブ・ロック復興期に重要な役割を担ったANGLAGARDのメンバーであり、2012年のグループ脱退後もWHITE WILLOWやTHE OPIUM CARTEL、あるいはNECROMONKEYやKAUKASUSなど数多くのプロジェクトを掛け持ってきたドラマーMattias Olssonが参加しており、作品の完成度に貢献しています。念頭に置いておきたいのは、本作がサウンドトラックではなくオリジナル・アルバムであるということでしょう。サウンドトラックの場合には、映像から得たインスピレーションを元に楽曲製作を行うことが出来ますが、それは逆に言えば、あくまで映像を優先した楽曲製作が求められるということです。そういった制約に縛られることがない彼らのスタイルには、同じく映像の制約から解き放たれたGOBLINのオリジナル・アルバム『Roller』との共通点が伺えます。
ANIMA MORTEのようなタイプのグループがスウェーデンから登場するのは今回が初めてではありません。と言うのも、ANGLAGARDと共にプログレッシブ・ロック復興期を象徴するグループであるANEKDOTENとLANDBERKのメンバーが98年、MORTE MACABREというプロジェクトを結成しており、彼らがホラー・ミュージックのカバー楽曲を中心とした『Symphonic Holocaust』を発表しているためです。寒々とした大地を描き出すような空気感を持つスウェーデンのプログレッシブ・ロック・グループだからこそ、背筋が凍るようなホラー・ミュージックと相性の良さを示すのでしょう。
netherland dwarfによるカバー
IL REALE IMPERO BRITANNICOの76年作『Perche Si Uccidono』
「netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』連動 ANGLAGARDを始点とするMattias Olsson関連作」 を読む
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