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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第11回 QUATERNA REQUIEM / O Arquiteto (Brazil / 2012)

本連載では「ミュージシャンの視点からプログレッシブ・ロック作品を捉える」ことに重点を置き、フランスのプログレッシブ・ロックレーベルMusea Recordsからシンフォニック・ロックアルバムでデビューを果たしたnetherland dwarfが、同じ時代を生きる世界中の素晴らしいプログレッシブ・ロックアーティストたちの作品を、幅広くご紹介します。「ミュージシャンの視点」とは言っても、各コラムは平易な文章で構成されていますので、楽器が弾けない、専門用語は分からないという場合でも、心配せずにご覧下さい。

第11回 QUATERNA REQUIEM / O Arquiteto (Brazil / 2012)

ヨーロッパ諸国から登場する素晴らしいグループたちの活躍に目を奪われがちなプログレッシブ・ロックシーンではありますが、同じように注意深くチェックしておきたいのが南米諸国で活動するグループたちの動向でしょう。イタリアン・シンフォニック・ロックが引き合いに出されるような熱気を帯びたサウンド、清涼感とメランコリー、そして歌心に溢れたメロディーを併せ持つ南米のプログレッシブ・ロックシーンからは、ヨーロッパのグループたちに引けを取らない個性豊かなアーティストたちが数多く誕生し、1970年代にはブラジルやアルゼンチンを主軸に、加えて新世紀以降になるとメキシコやチリといった国々も大きく注目を集めてきました。さらに、上記の国々とは対照的にプログレッシブ・ロックが存在しないと考えられていたペルーやコロンビアなどからも、新たな世代の本格的なプログレッシブ・ロックグループが現れる動きがあり、南米シーン全体の盛り上がりを感じることが出来ます。

さて、前述のように新世紀以降の南米プログレッシブ・ロックシーンでは、その代表としての地位をメキシコのCASTを筆頭に、アルゼンチンのNEXUSやチリのENTRANCEといった他国のグループに譲っている印象を受けるブラジルですが、70年代から90年代においては非常に重要な役割を担い、それぞれの時代ごとに南米を代表するグループを輩出してきました。サンバやボサノヴァといった音楽が一般に広く知られているブラジルのプログレッシブ・ロックシーンでは、70年代にはラテン・スピリットに溢れる瑞々しいシンフォニック・ロックを作り上げたBACAMARTE、90年代にはネオ・プログレッシブ・ロック世代のドラマティックな音作りで個性を放ったTEMPUS FUGITといった名グループが傑作をリリースしていますが、ブラジリアン・プログレッシブ・ロックの素晴らしさを広くファンに知らしめたという意味において、80年代中盤のシーンに名乗りを上げたSAGRADO CORACAO DA TERRAの存在は別格であると言えるでしょう。



試聴 Click!

ヴァイオリン奏者Marcus Vianaを中心にミナス・ジュライスで結成されたSAGRADO CORACAO DA TERRAは、80年代のプログレッシブ・ロック史を語る上で非常に重要なグループのひとつであると考えられます。当時のイギリスでは、衰退したプログレッシブ・ロックがポンプ・ロックと称される作風に置き換えられ、MARILLIONやPENDRAGONといった新たな世代がデビューを飾っていたわけですが、イギリスから遠く離れたブラジルで、そういった潮流の影響を感じさせない「70年代プログレッシブ・ロックらしい振る舞いを感じさせるグループ」が出現したことは、非常に強いインパクトをシーンに与えたことでしょう。ダイナミック且つハートフルな南米叙情を有し、テクニカルなパッセージの躍動とシンフォニックなバラードの艶やかさを織り交ぜながら、雄大な大地を思い起こさせるシネマティックな世界観を描き出した彼らの作品群は、現在でも多くのファンを魅了し続けています。今回は、そんなSAGRADO CORACAO DA TERRAのデビューと同じ80年代にリオ・デ・ジャネイロで結成されたグループを取り上げていきます。

試聴 Click!

女性キーボード奏者Elisa Wiermannを中心に結成され、90年にアルバム・デビューを果たしたQUATERNA REQUIEMは、専任ヴァイオリン奏者Kleber Vogelを含むクラシカルな編成の強みを生かしたシンフォニック・ロックを提示し、息の長い活動を展開してきました。別ユニットWIERMANN & VOGEL名義による前作からは9年ぶり、グループ名義のスタジオ・アルバムとしては18年ぶりにリリースされたサード・アルバムである本2012年作『O Arquiteto』は「建築家」をコンセプトに置いて製作された力作であり、50分にも及ぶタイトル曲を構成する複数のパート曲にはそれぞれドナト・ブラマンテ、フランソワ・マンサール、フランク・ロイド・ライト、アントニ・ガウディ、オスカー・ニーマイヤーといった世界各国の有名建築家の名前が並びますが、優雅なクラシカル・ロックの様式美をグループの個性として活動してきた彼らだけに、その音楽性にフィットした独創的なテーマを選択した印象を受けます。彼らの作り出す楽曲の構成は、シンフォニック・ロックの様々なスタイルの中でも難易度の高いルネサンスもしくはバロックのテイストを多く含んだものであり、そのバンド・アレンジの過程で高度な技術やセンスを問われる局面がいくつも存在する表現方法であることから、過去には多くのグループが人知れず敗れ去っていきました。そういった意味で本作がユニークなのは、ロックへの変換に「甘さ」が目立ちやすいというクラシカル・ロック特有の不安要素を隠さずに、Elisa Wiermannの表現センスとKleber Vogelのヴァイオリンを中心に、(男性ミュージシャン的な無骨さを欠く代わりに)女性ミュージシャン的な色艶を押し出したクラシカル・ロックを徹底させた点にあると言えるでしょう。彼らもまたデビュー当時から、クラシカルなエレガンスとロックのダイナミズムのバランスについて、試行錯誤を繰り返してきたことを伺わせます。

本作には、クラシカル・ロックにおけるサウンド・メイクの難しさと、その高みへと果敢に挑み続けるミュージシャンの姿が克明に記録されています。どんなジャンルのどんなミュージシャンたちにも得手不得手は必ず存在し、それは技巧色が強いと言われるプログレッシブ・ロックですら例外ではありません。QUATERNA REQUIEMの場合には、主にリズム・セクションにウィーク・ポイントを見出す向きもあることでしょう。その際に、欠点を改善することはもちろん望ましいことですが、グループの強みをさらに推し進めることでその欠点を補うということもまた、有効な解決策であると言えます。


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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第3回 GRENDEL / The Helpless (Poland / 2008)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第4回 ANUBIS / Hitchhiking To Byzantium (Australia / 2014)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第6回 SANHEDRIN / Ever After (Israel / 2011)

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QUATERNA REQUIEMの在庫

  • QUATERNA REQUIEM / O ARQUITETO

    ブラジル産新鋭シンフォ12年作、SAGRADOをアグレッシヴにしたかのような傑作!

    ブラジル産新鋭シンフォ・バンドによる12年作。タイトかつテクニカルに走るリズム・セクションの上を、へヴィーに唸るギターと力強いオルガン、シンセが駆け抜ける骨太なシンフォニック・ロック。そして何より素晴らしいのが天空を舞うかのように鳴らされるヴァイオリンで、ギター、キーボードと絡み合いながら高みへと登りつめていくアンサンブルは、もう見事と言うほかありません。まるで同郷のシンフォ・バンドであるSAGRADOをよりアグレッシヴに仕立て上げたかのようなハイクオリティの楽曲の数々にノックアウト間違いなしの傑作に仕上がっています。これはシンフォ・ファンには是非ともおすすめな一枚です。

  • QUATERNA REQUIEM / QUASIMODO

    ブラジル、女性key奏者を中心とするスケール感溢れるクラシカル・シンフォニック・ロック・グループ、94年リリース2nd

    作曲も手がける女性キーボード奏者Elisa WiermannとドラマーClaudio Dantasの2人を中心とするブラジルのシンフォニック・ロック・グループ、94年リリースの2nd。デビュー作では5人編成だったバンドからギター、ベース、ヴァイオリン奏者が抜け2人ユニットに。本作ではギタリスト、ベーシスト、リコーダー/クラムホルン奏者がゲスト参加しています。そんな変則的なバンド編成を一切感じさせない演奏の一体感とファンタジックな躍動感に満たされているのが本作。クラシックの高い素養が滲むオルガンに、バロック音楽の風格を漂わせるハープシコード、ファンファーレのように輝かしいシンセサイザーと作品のクラシカルで壮麗なカラーを一手に担うキーボードと、メロディアスなフレーズを流麗に弾きこなすギターを中心に、格調高いクラシカル・シンフォニック・ロックを織り上げていきます。中でも注目は、Elisa Wiermannの高度な音楽性と作曲能力を示す40分弱に及ぶ組曲「QUASIMODO」。リコーダーとクラムホルンが活躍する典雅な味わいの古楽アンサンブルパートから、重厚なオルガンとグレゴリアン・チャントの厳粛な歌声が印象深いパートへ。そして一転ゴリゴリとリズムセクションが躍動し始めアグレッシブなヘヴィ・シンフォへと突入していくパートと、シンフォファンならばこのイマジネーション豊かに展開するめくるめくシンフォ絵巻にきっと息をのむはず。チャント以外は全編インストゥルメンタルですが、描写力に長けた雄弁な演奏がそれを全く気にさせません。ロシアのLITTLE TRAGEDIESやハンガリーのRUMBLIN’ ORCHESTRAのファンには是非オススメしたい一枚!

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文・市川哲史

文・深民淳

文・舩曳将仁

文・netherland dwarf

文・後藤秀樹

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