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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第15回 KARFAGEN / Lost Symphony (Ukraine / 2011)

本連載では「ミュージシャンの視点からプログレッシブ・ロック作品を捉える」ことに重点を置き、フランスのプログレッシブ・ロックレーベルMusea Recordsからシンフォニック・ロックアルバムでデビューを果たしたnetherland dwarfが、同じ時代を生きる世界中の素晴らしいプログレッシブ・ロックアーティストたちの作品を、幅広くご紹介します。「ミュージシャンの視点」とは言っても、各コラムは平易な文章で構成されていますので、楽器が弾けない、専門用語は分からないという場合でも、心配せずにご覧下さい。

第15回 KARFAGEN / Lost Symphony (Ukraine / 2011)


音楽シーンの中にはそのジャンルを問わず、自身のリーダー・グループに加え、複数のサイド・プロジェクトを同時進行で動かしながら柔軟な活動を展開する才能を持ったミュージシャンが存在しますが、そこには以下のような動機があると考えられます。ひとつは、社交性と好奇心の強さから様々なミュージシャンと交流を持ち、メインのプロジェクトとは全く別なものとしてサイド・プロジェクトを捉え、自身とは異なる個性を持ったミュージシャンとの関わりによって音楽性に新鮮な化学変化を起こさせようとするケースであり、もうひとつは、あくまでも自身の中に複数の方向性が分裂して存在しており、その音楽的な多様性を収める受け皿として別なアーティスト・ネームや、それに応じたミュージシャン人脈がそれぞれ必要になるというケースです。あるいは、自身がリーダー格でない場合には、メイン・グループでは主導権を持たず堅実に役割をこなし、サイド・プロジェクトで自身の音楽を追求するというケースもあるかもしれません。

プログレッシブ・ロック・シーンにおいて、関連プロジェクトの数を基準に考察した場合いくつかのミュージシャンの名前を挙げることが出来ますが、その最も象徴的な例は1970年代からスウェーデンのシーンを牽引し続けてきたRoine Stoltでしょう。70年代にKAIPAのメンバーとして登場し、90年代にはTHE FLOWER KINGSを結成しプログレッシブ・ロック・リヴァイヴァルの一翼を担い、新世紀以降においても様々なプロジェクト(TRANSATLANTIC / TANGENT / AGENTS OF MERCY / 3RD WORLD ELECTRICなど)を成功させてきた彼の存在は、THE FLOWER KINGSのファミリー・グループたちと併せて、ユーロ・プログレッシブ・ロック史を語る上で非常に重要なものです。またその他には、例えばイタリアから90年代にFINISTERREのメンバーとしてデビューし、現在ではイタリアン・プログレッシブ・ロックの最重要人物との評価を獲得しているFabio Zuffanti(HOSTSONATEN / LA MASCHERA DI CERA / LAZONA / ARIES / ROHMERなど)などのミュージシャンたちが、多くのプロジェクトを抱えながらワーカホリックな活動を展開し、多くの話題を提供し続けてきました。

前述のように、現在のプログレッシブ・ロック・シーンではひとつふたつのサイド・プロジェクトを掛け持つミュージシャンの存在が珍しくありませんが、そういったミュージシャンたちは比較的プログレッシブ・ロックの優良生産国に多い印象があります。これは、同じジャンルで活動するグループの数が多い国であるほど、ミュージシャン同士の人脈が広がる可能性があることを考えれば自然なことですが、そういった意味では、ウクライナ出身であるAntony Kaluginの活躍は多くのプログレッシブ・ロック・ファンにとって予想外の出来事だったのではないでしょうか。個人名義による2001年のソロ作を経て、2006年にシンフォニック・ロック・グループKARFAGENのリーダーとしてシーンに登場したAntony Kaluginは、プログレッシブ・ロック専門レーベルCaerllysi MusicのオーナーであるWill Mackieと結成したHOGGWASH(2007年)、多くのウクライナ人ミュージシャンを迎えたSUNCHILD(2008年)、そしてニューエイジ・ミュージックの方向性を強く感じさせるANTONY KALUGINS KINEMATICS ORCHESTRA(2013年)といったサイド・プロジェクトを次々に立ち上げ素晴らしい活躍を見せています。

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大きく3つのパートから構成された大作主義的な楽曲を従え2011年にリリースされたKARFAGEN名義の4作目である『Lost Symphony』は、ウクライナというロック後進国出身ミュージシャンによって編み上げられた高水準なシンフォニック・ロック・アルバムとして、世界中のファンから高く評価されました。Antony Kaluginがプロデュースする作品群に耳を傾ける際の重要なポイントは、彼が個人名義のデビュー・アルバムである2001年作『The Water』から一貫して、オーストリアのGANDALFが引き合いに出されるようなニューエイジ・ミュージックの音楽性を追求してきたということでしょう。その方向性は初期のKARFAGEN作品からも感じ取ることが出来ます。しかし、HOGGWASHやSUNCHILDでの活動を通して積み重ねた経験とミュージシャン人脈(ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、フルート、オーボエ、バスーン奏者ら)を積極的にメイン・グループであるKARFAGENに投入した本作では、彼の源流と言える、繊細な美意識に彩られた瑞々しいシンフォニック・ロックの色合いはそのままに、ダイナミズムに溢れた重厚なバンド・アンサンブルが覚醒し、両者が理想的な調和を見せるサウンド・スタイルを構築しているのです。もちろん初期作から個性を放ち続けてきたバヤン(ロシアのボタン式アコーディオン)によるノスタルジックな響きや、ニューエイジ・ミュージック直系のシネマティックなシンセサイザー・サウンドといった象徴的な音色も健在であり、まさにAntony Kaluginの集大成と言える魅力的な内容に仕上げられています。

サイド・プロジェクトを持ち、そこで培った経験をメイン・グループに反映させるという方法論はグループの成長を促すために効果的ですが、それぞれのプロジェクトが密接に関わり合う相互作用という点はもちろん、プロジェクト同士に優劣を感じさせないという点においてもAntony Kaluginのプロジェクト群は非常にユニークに映ります。彼自身は音楽面だけでなくジャケット・アートも製作するなどマルチな才能を持っており、その多才ぶりに驚きを隠せませんが、それと同時に、彼の作り出す音楽からは創造における「他者の存在」の重要性が伝わってくるのです。


netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第1回 netherland dwarf / tortoise walks forever (Japan / 2014)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第2回 CHRIS / Snow Stories (Holland / 2012)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第3回 GRENDEL / The Helpless (Poland / 2008)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第4回 ANUBIS / Hitchhiking To Byzantium (Australia / 2014)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第5回 AGUSA / Hogtid (Sweden / 2014)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第6回 SANHEDRIN / Ever After (Israel / 2011)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第7回 AMOEBA SPLIT / Dance Of The Goodbyes (Spain / 2010)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第9回 TOHPATI ETHNOMISSION / Save The Planet (Indonesia / 2010)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第10回 HIDRIA SPACEFOLK / Astronautica (Finland / 2012)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第11回 QUATERNA REQUIEM / O Arquiteto (Brazil / 2012)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第12回 SETNA / Guerison (France / 2013)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第13回 FLOR DE LOTO / Nuevo Mesias (Peru / 2014)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第14回 TRANSATLANTIC / The Whirlwind (Multi-National / 2009)

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KARFAGENの在庫

  • KARFAGEN / SPACE BETWEEN US

    KARFAGEN〜SUNCHILD〜HOGGWASHなどを率いるウクライナの名コンポーザーAntony Kaluginによるプロジェクト・グループ、07年作2nd

    KARFAGEN〜SUNCHILD〜HOGGWASHなど数々のプロジェクトを率いて優れた作品を続々とリリースしている、90年代以降のウクライナを代表するミュージシャンAntony Kaluginの中心に位置づけられるプロジェクト。プログレファンから高く評価された06年デビュー作に続く07年作の2nd。1stでのニューエイジ色は薄まり、その分、中期キャメルとアラン・パーソンズ・プロジェクトとが出会ったような、しとやかな叙情性が際立っている印象。1stにはなかった要素として、アコーディオンがフィーチャーされていて、フルートとともに土着的なフレーズでウクライナならではの音像を描き出しています。シンフォニック・ロックにエスニックなエッセンスを加えつつも、透明感溢れる洗練されたサウンドに仕立てるカルゲンのセンスは相変わらずで魅力的。本作は多数の演奏者を迎えて制作されていて、曲によってはジャズ・ギターも入るなど、1stより表現の幅が広がっているのも特筆です。一部、女性によるコーラスが入りますが、明確なヴォーカルはなく、基本的には前作と同じくオール・インスト。1stからわずか1年というスパンとは思えない、カルゲンのコンポーザー、アレンジャーとしての並外れた創造性が発揮された名作です。

  • KARFAGEN / SOLITARY SANDPIPER JOURNEY

    ウクライナ産シンフォ、どこか温かい雰囲気を感じさせるファンタスティックで優美な逸品、2010年作

    KARFAGEN〜SUNCHILD〜HOGGWASHなど数々のプロジェクトを率いて優れた作品を続々とリリースしている、90年代以降のウクライナを代表するミュージシャンAntony Kaluginの中心に位置づけられるプロジェクト。2010年作3rd。1st、2ndからジャケの印象がずいぶん変わりましたが、サウンドの方も、ニューエイジ色がなくなり、キャメルやカイパに通じるファンタスティックなシンフォニック・ロックへと一気にチェンジしました。北欧の70年代プログレに通じるコロコロとした音色のキーボードは、箱庭のように愛らしくファンタスティック。本作よりギタリストAlexandr Pavlovが参加していて(本作より2013年作『ALEATORICA』まで3作品に参加)、アンディ・ラティマーやスティーヴ・ハケットのDNAを確かに継いだ歌心溢れるリード・ギターを聴かせています。さらに特筆なのが、女性ヴォーカルの起用。1st、2ndではコーラスが一部入る以外は基本的にオール・インストでしたが、本作では3曲でリード・ヴォーカルが入っています(英詩)。ケルティックなフレイヴァーもある凛とした透明感ある美声が印象的です。前作にあったジャズのエッセンスは本作でも健在で、軸となるファンタスティックなエッセンスにあわさることで、カンタベリーにも通じる流麗なアンサンブルとなっていて、サウンドに奥行きを与えています。カルギンがフェイヴァリットとして、パット・メセニーやコリン・バスをあげているのも納得。キャメルのDNAを継いだ温かなプログレとして一級と言える名作。これはオススメです。

  • KARFAGEN / LOST SYMPHONY

    ウクライナ出身で、SUNCHILDでも活動するKey奏者Antony Kalugin率いるバンド、ファンタスティックなサウンドに満ちた2011年の傑作4th

    KARFAGEN〜SUNCHILD〜HOGGWASHなど数々のプロジェクトを率いて優れた作品を続々とリリースしている、90年代以降のウクライナを代表するミュージシャンAntony Kaluginの中心に位置づけられるプロジェクト。2011年作4th。アコーディオンやナイロン弦ギターやオーボエ(のようなキーボード?)などをフィーチャーした、刻まれた年輪のような深みと温かみに満ちたファンタスティックなサウンドが印象的。それとともに、タイトで力強いリズム隊が次々に繰り出す変拍子、そこで小刻みなフレーズで躍動するキーボードやギターやヴァイオリンなど、アンサンブルのダイナミズムも特筆です。キーボードの音色も素晴らしく、オルガンとメロトロンの中間に位置するようなコロコロと愛らしくもツンツンと尖ったトーンはただただ「ファンタスティック」。ジャケのイメージ通りに、中世の部屋に迷い込んでしまったような、そこで暮らす芸術家の頭の中へとフォーカスするような、そんなサウンドが印象的です。キャメルやカイパのファンには宝物と言える名作。

  • KARFAGEN / SPEKTRA

    ウクライナ出身のコンポーザーによるソロ・プロジェクト、圧巻の幻想絵巻を聴かせる2016年の名作

    ウクライナ北東部の工業都市ハルキウ出身で、1981年生まれのAntony Kaluginによるソロ・プロジェクト。2016年作8thアルバム。透明感のあるピアノや華やかなトーンのシンセ(時にメロトロン風あり!)によるファンタスティックなキーボード・アンサンブル、まるでロイネ・ストルトばりの伸びやかでメロディアスなリード・ギター、そして、変拍子によるキメを効果的に配置したドラマティックな展開。ジャケットの雰囲気にビビっときたリスナーなら、このハートウォームでいて明瞭なシンフォニック・サウンドは間違いなく気に入るでしょう。しっとりと爪弾かれるアコギやむせび泣くヴァイオリンによるアコースティックなパートも良いし、壮大な混声合唱をフィーチャーしたクラシカルなパートも素晴らしいし、バヤン(アコーディオン風の民族楽器)によるエキゾチックな味付けも良いし、多彩なアレンジも出色。圧巻の幻想絵巻を聴かせる名作です。

  • KARFAGEN / 7

    ウクライナ出身のコンポーザーAntony Kaluginによるソロ・プロジェクト、様々な楽器の多彩な音色が有機的につながり描き出された2015年のシンフォ傑作

    ウクライナ北東部の工業都市ハルキウ出身で、1981年生まれのAntony Kaluginによるプロジェクトで、HOGGWASHやSUNCHILDやGNOMONなど数多くのサイド・プロジェクトをこなす多作家のKaluginが、学生時代の97年から続ける彼の中核となるソロ・プロジェクト。2015年作7thアルバム。ヘヴィさを増した前作とは対照的に、静謐とも言えるサウンドが印象的で、オープニングを飾る28分を超えるタイトル・トラックを聞きながら浮かんだキーワードが「アブストラクトな幻想美」。様々な楽器の色彩豊かな音色が組み合わさりながら、映像喚起的で、幻想性溢れるサウンドを描いていく感じは、フラワー・キングスも彷彿させます。上下動するミニマルなフレーズなどアブストラクトなシンセを背景に、透明感あるエレピ、幻想的なハモンド、柔らかに伸びるムーグ、優美なメロトロンなどが温かな音色を添えて描き出されるキーボード・アンサンブル。そこに、まるでロイネ・ストルトばりに伸びやかに奏でられるエレキ・ギター、そしてバヤンやフルートによるエスニックなフレーズが合わさったサウンドは、ウクライナ生まれのKARFAGENならではの美麗さ、素朴さ、温かみに満ちています。ドラムというより打楽器と言った方が良いニュアンスのリズムにバヤンがゆったりと奏でられる民族音楽的なパート、メロトロンとバヤンとがツイン・リードを聴かせるハートフルなパート、ナイロン・ギター、リコーダー、オーボエによる神秘的なパートなどを織り交ぜるアレンジもまた見事。3曲目でのKaluginのメランコリックなヴォーカルと女性ヴォーカルとのコンビネーションもまた印象的です。デビュー以来のKaluginの音を有機的につなげるセンスがこれでもかと発揮された傑作。

  • KARFAGEN / ALEATORICA

    ウクライナ出身で、SUNCHILDでも活動するKey奏者Antony Kalugin率いるバンド、「ウクライナ」ならではのサウンドを極めた2013年の傑作5th

    KARFAGEN〜SUNCHILD〜HOGGWASHなど数々のプロジェクトを率いて優れた作品を続々とリリースしている、90年代以降のウクライナを代表するミュージシャンAntony Kaluginの中心に位置づけられるプロジェクト。2013年作5th。多数の管弦楽器奏者や民族楽器奏者を迎え、「エスニック・シンフォニック・ロック」と言える壮大なサウンドが印象的。オープニングから、ロシア式アコーディオン「バヤン」による物悲しい旋律が溢れるパートと、シンフォニックなキーボードとエッジの立ったギターが重厚に鳴るパートとが見事に対比させられていて、バヤン、フルート、サックスが躍動感いっぱいに次々とソロを取る展開に痺れます。ヴィンテージなシンフォニック・ロックのエッセンスと民族フレイヴァーとの二軸が生むダイナミズムはデビューから変わらぬこのバンドの真骨頂ですが、そのスケールは一段と増している印象。民族楽器が生み出す旋律はエスニック&フォーキーそのものなのに、野暮ったさはまるでなく、洗練されたシンフォニック・ロックとして見事にアレンジされています。恐るべしAntony Kaluginのセンス。KARFAGENにしか生み出せないオリジナリティという点で過去最高で、ウクライナ産シンフォニック・ロックここに極まれり!「バヤン」は全編でフィーチャーされていて、キーボード・プログレならぬバヤン・プログレとしてもプログレ史上に残る傑作と言えるでしょう。

  • KARFAGEN / ECHOES FROM WITHIN DRAGON ISLAND

    [カケレコ国内盤リリース中] ウクライナ出身キーボーディストAntony Kaluginによるプロジェクト、「THE FLOWER KINGS + GRYPHON」と言えちゃう驚異の19年作10th!

    ウクライナ出身、英国を拠点に活動する1981年生まれのキーボーディストAntony Kaluginによるプロジェクト。2019年10th。「ジキル博士とハイド氏」「宝島」などで知られる英作家R.L.スティーブンソンの詩を題材にしたコンセプト・アルバム。前作でTHE FLOWER KINGSに匹敵する途方もなく壮大でエネルギッシュなサウンドを提示した彼らですが、本作はずばり「THE FLOWER KINGS + GRYPHON」!前作を引き継いでスケール大きくダイナミックな構成で描かれるシンフォニック・ロックに、民族エッセンス豊かな管弦楽器が色彩を加える、匂い立つように芳醇な演奏のなんと素晴らしいこと。従来作にあったゴリゴリとヘヴィなパートはほぼ登場せず、終始優美な音だけで構築された、まるで丹念に作り込まれた手工芸品のように柔らかく優しい輝きを放つサウンドがただただ感動的に響きます。繊細なタッチながらも熱い叙情美をまとったプレイが胸に残るギターと、ファンタジックかつスリリングにフレーズを繰り出すシンセが一体となって駆け抜けるスタイルは、初期ジェネシスすら彷彿させる完成度。前作が彼らの完成形かと思いきや、また一段上のステージへと歩みを進めたと言える驚きの一枚。これはシンフォ・ファンにはとにかく聴いていただきたい!

  • KARFAGEN / KEY TO PERCEPTION: DELUXE EDITION

    ウクライナ出身のキーボーディスト/コンポーザー、KARFAGENの06年1stと07年2nd、ソロ名義の02年1stと04年2ndを収録!

    KARFAGEN〜SUNCHILD〜HOGGWASHなど数々のプロジェクトを率いて優れた作品を続々とリリースしている、90年代以降のウクライナを代表するミュージシャンAntony Kaluginの中心に位置づけられるプロジェクト。06年デビュー作『CONTINIUM』と07年作2nd『SPACE BETWEEN US』のカップリング作『KEY TO PERCEPTION』に、Kaluginの01年ソロ『WATER』、AKKOの04年2ndソロを追加した19年リリース作。大地の脈動のように静かに鳴り響くキーボード、リコーダーや打楽器による土着的なフレイヴァーなど、ニューエイジ風のエッセンスを一方に、もう一方には、コロコロとリリカルに奏でられるシンフォニック&ファンタスティックなキーボード、アンディ・ラティマーばりの伸びやかなトーンで流麗に紡がれるエレキ・ギターのリードによるヴィンテージ・プログレのエッセンスを配した雄大で幻想美たっぷりなアンサンブルが印象的。まるで「キャメル meets アディエマス」と言えるイマジネーション溢れる1st。アコーディオンやジャズ・ギターをフィーチャーするなどより表現の幅を広げた2nd。彼の原点であるニューエイジ色を反映したイマジネーション豊かなソロ2作と、Kaluginのコンポーザー、アレンジャーとしての並外れた創造性が発揮された4作品です!

  • KARFAGEN / MAGICIANS THEATER

    ウクライナ出身のコンポーザーAntony Kalugin率いるソロ・プロジェクト、映像喚起的でイマジネーション溢れる2014年のシンフォ傑作

    ウクライナ北東部の工業都市ハルキウ出身で、1981年生まれのAntony Kaluginによるプロジェクトで、HOGGWASHやSUNCHILDやGNOMONなど数多くのサイド・プロジェクトをこなす多作家のKaluginが、学生時代の97年から続ける彼の中核となるソロ・プロジェクト。2014年リリースの6枚目で、2部構成のコンセプト作。キース・エマーソンを彷彿させるファンファーレのように高らかに鳴るリードから幻想的にたなびくバッキングまで奔放にイマジネーションを紡ぐムーグ・シンセ、そして、エッジの立ったヘヴィなトーンで流麗なフレーズを伸びやかに奏でるギター。ピンク・フロイド、キャメル、フォーカス、フラワー・キングスをフェイヴァリットに挙げるとおり、映像喚起的なキーボードを中心に、ギターが力づよいダイナミズムを生む壮大なシンフォニック・ロックが特徴です。フルートやエレピやアコギがそっと叙情を奏でるファンタスティックなパート、近現代クラシック直系の瑞々しく艶やかなパート、ワールド・ミュージック的なエッセンスやニューエイジ的フレイヴァーがにじむ雄大なパートなども織り交ぜながら、鮮やかにサウンドが描かれていきます。これは素晴らしい作品です。名作!

  • KARFAGEN / MESSAGES FROM AFAR: FIRST CONTACT

    ウクライナ出身キーボーディストAntony Kalugin率いるプロジェクト、2017年作9thアルバム、ずばりTHE FLOWER KINGSにも肩を並べる完成度に達したシンフォ・ファン必聴作!

    ウクライナ出身、英国を拠点に活動する1981年生まれのキーボーディストAntony Kaluginによるソロ・プロジェクト。2017年作9thアルバム。冒頭から透明感溢れるシンセが美しく折り重なり桃源郷的サウンドを描き出していく展開に早くも耳を奪われます。ロイネ・ストルトと比べても遜色ない繊細かつ熱くフレーズを紡ぐギターも素晴らしすぎる。演奏の密度と熱量、スケールの大きさは間違いなくTHE FLOWER KINGSに匹敵します。エレクトロニクスも用いられていますが、バンド・アンサンブルの中に有機的に溶け込ませるセンスが抜群で、往年のプログレを意識しながらもスタイリッシュに聴かせるモダン・シンフォニックな音像を構築。また随所で聴ける東欧出身の彼らしい欧州トラッド的な荘厳な民族色を添えるプレイも感動的に響きます。ギターがエモーショナルなプレイで演奏を盛り上げ、キーボードが疾走感あるプレイで曲進行を牽引する、ユニークなスタイルも揺るぎない個性を生んでいて見事。前作までもリリースされるたびに完成度を上げてきましたが、9作目にしてかつてないステージへと進んだ感のある、シンフォファン必聴作に仕上がっています!

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文・市川哲史

文・深民淳

文・舩曳将仁

文・netherland dwarf

文・後藤秀樹

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