2017年10月27日 | カテゴリー:「rabbit on the run」 netherland dwarf,ライターコラム
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本連載では「ミュージシャンの視点からプログレッシブ・ロック作品を捉える」ことに重点を置き、フランスのプログレッシブ・ロックレーベルMusea Recordsからシンフォニック・ロックアルバムでデビューを果たしたnetherland dwarfが、同じ時代を生きる世界中の素晴らしいプログレッシブ・ロックアーティストたちの作品を、幅広くご紹介します。「ミュージシャンの視点」とは言っても、各コラムは平易な文章で構成されていますので、楽器が弾けない、専門用語は分からないという場合でも、心配せずにご覧下さい。
2000年、ギタリストLuis Proanoを中心にペルーの首都リマで結成されたのが、インカ神話に登場する「死の神」をグループ名に冠したSUPAYです。ギター・トリオ編成で活動を開始した彼らは、ケーナやサンポーニャといった伝統楽器を担当するWilliams LeonとAlex Valenzuela、そしてキーボーディストGustavo Valverdeを迎えた体制で、2004年にデビュー・アルバム『Confusion』を製作しました。彼らが幸運だったのは、同デビュー・アルバムがチリの新興プログレッシブ・ロック・レーベルMylodon Recordsに発掘され、2006年に世界配給されたことでしょう。なお、Mylodon RecordsはSUPAYを手がける前年の2005年、FRAGIL以来となる本格的なペルビアン・プログレッシブ・ロック・グループとしてFLOR DE LOTOをデビューさせています。マニアックなプログレッシブ・ロック・ファンたちに認知された彼らは、2007年にEP『El Viaje』と同タイトルのセカンド・アルバムをリリースしました。今回は、そんな彼らのサード・アルバムである2013年作『Senales』を取り上げます。
SUPAYは、グループの結成からセカンド・アルバムのリリースまでにも複数回のメンバー・チェンジを行っていますが、本作『Senales』に関しては、前作からベーシストとドラマーが交代した5人編成(民族楽器を扱う専任奏者は上記のAlex Valenzuelaのみ)となっています。本作は、チリのLOS JAIVASにも通じる瑞々しい「アンデスのフォルクローレ」が印象的な「Un Dia Vuelve A Empezar」で幕を開けます。ケーナやチャランゴの響きからは、SUPAYのアイデンティティーを強く感じ取ることが出来るでしょう。しかし、すぐさまエレキ・ギターを中心としたへヴィー・プログレッシブ・ロックが登場します。この辺りは、南米グループ特有のサウンド・メイクと言えるものでしょう。2曲目の「La Fortaleza De Piedra」は、ブルース・ロックを基調とする楽曲。フルート奏者Ian Andersonを擁するイギリスのJETHLO TULLを思い起こさせるAlex Valenzuelaのケーナが、バンド・アンサンブルの合間を縫って存在感を放ちます。彼はケーナとサンポーニャを巧みに使い分けており、後半部ではアナログ・ライクなシンセサイザー・リードとサンポーニャが楽曲を彩ります。そして、3曲目に収められた「Ancestral」は本作の中で最もアンデス音楽の色濃いナンバーとなっており、ケーナとサンポーニャを楽曲の中心として、恐らくはチャフチャス(木の実や動物の爪を束ねた楽器)やボンボ(動物の皮を張った大太鼓)によるものと思われる音色がリズムを構成します。一般的に知られている「アンデスのフォルクローレ」は、スペインによる植民地支配の影響を受け20世紀中盤に成立したものですが、本楽曲で表現されているのは、先住民時代から継承されてきた伝統音楽としての「アンデスのフォルクローレ」なのでしょう。続く4曲目の「Alma」は、2007年のセカンド・アルバム『El Viaje』2曲目に収録された楽曲のリメイク・バージョンとなっているようです。オリジナル・バージョンと比べて大きな変更点はなく、浮世離れした印象のリード・ギターとエレクトリック・ピアノが主導する前半部、ケーナとサンポーニャのメロディアスな節回しが絡み合う中間部、そして、タイトなバンド・アンサンブルを従え、リード・ギターが咆哮する後半部と、プログレッシブ・ロックらしい構成力を持った1曲に仕上がっています。
さて、5曲目には本作のタイトル・トラックである「Senales」が収められています。本楽曲では、各楽器奏者によるメロウなイントロダクションからエレキ・ギターとサンポーニャがソロ・フレーズを掛け合います。そしてメロトロンを意識したであろうシンセサイザー・ストリングスが登場しますが、リード・ギターは当然として、サンポーニャの音色とメロトロン・サウンドの相性の良さは意外な発見でしょう。へヴィーなバンド・アンサンブルを従えてシンセサイザー・リードが技巧的なソロ・フレーズを奏でる中間部、そしてシンセサイザー・リードとサンポーニャが雄大に響き渡る後半部に至るまで、飽きさせずに聴かせます。本作のタイトル・トラックに恥じないクオリティーの楽曲でしょう。続く6曲目の「Vision De Eternidad」は、ケーナとシンセサイザー・リードによる哀愁のメロディーが物悲しい世界観を描き出すバラードとなっていますが、後半部では重厚なバンド・サウンドへと変容。サンポーニャがパーカッシブなプレイを繰り広げており、例えばイタリアン・ロックにおける「唾飛ばしフルート」にも通じるロック・スピリットを感じさせます。7曲目の「Senales(Parte II)」は、本作で初めて登場するヴォーカル・ナンバーとなっており、ピアノとシンセサイザー・パッドによるシンプルな伴奏と共に、歌心に溢れたメロディーが紡がれていきます。ヴォーカルはキーボーディストGustavo Valverdeが務めているようなので、いわゆる弾き語りのようなスタイルの楽曲ということでしょう。そして、本作の最後を締めくくる「En El Viento」は、2004年のデビュー・アルバム『Confusion』5曲目に収録された楽曲のリメイク・バージョン。ケーナの奏でるメロディーが郷愁を誘う、ペルビアン・プログレッシブ・ロック・グループに相応しい楽曲であり、上記の「Alma」と同様、本楽曲もアレンジなどに大胆な変更はないようです。
SUPAYと同時期にMylodon Recordsからアルバム・デビューを果たしたFLOR DE LOTOは、幻想的なアートワークとメタリックなバンド・サウンドを武器に大きな躍進を遂げましたが、一方のSUPAYには、アートワークから音作り至るまで地味な印象を持つ向きもあることでしょう。しかし、彼らのサウンドにもまた、「アンデスのフォルクローレ」の長い歴史が内包されていることは間違いありません。SUPAYは、FLOR DE LOTO、あるいはボリビアのSIKUS BOLIVIAらと共に新世紀を代表するフォルクローレ・ロック・グループとして、多くのプログレッシブ・ロック・ファンに聴かれるべき存在です。
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