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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第3回 GRENDEL / The Helpless (Poland / 2008)

本連載では「ミュージシャンの視点からプログレッシブ・ロック作品を捉える」ことに重点を置き、フランスのプログレッシブ・ロックレーベルMusea Recordsからシンフォニック・ロックアルバムでデビューを果たしたnetherland dwarfが、同じ時代を生きる世界中の素晴らしいプログレッシブ・ロックアーティストたちの作品を、幅広くご紹介します。「ミュージシャンの視点」とは言っても、各コラムは平易な文章で構成されていますので、楽器が弾けない、専門用語は分からないという場合でも、心配せずにご覧下さい。

第3回 GRENDEL / The Helpless (Poland / 2008)

1990年代以降の東欧、特にポーランドのプログレッシブ・ロックシーンに言及する場合、避けて通ることの出来ないふたつのグループであるCOLLAGEとQUIDAMは、多くの後進たちに影響を与えながら、また自身も東欧プログレッシブ・ロックの代表として、現在に至るまで素晴らしい作品をリリースしています。

COLLAGEは、80年代に落ち込んだプログレッシブ・ロックシーンをポンプ・ロックと呼ばれる音楽性で支えたイギリスの名グループMARILLIONなどからの流れをネオ・プログレッシブ・ロック世代として受け継ぎ、90年代のプログレッシブ・ロックシーンを駆け抜け活動を休止、2000年代に入ると直系グループSATELLITEとして復活を遂げ、メロディアスなネオ・プログレッシブ・ロックのサウンド・メイクに加えてPINK FLOYDにも通じる気だるさと澄んだ精神性という、ポーランドのプログレッシブ・ロックを象徴するスタイルを提示しました。

一方のQUIDAMは、女性ヴォーカルEmila Derkowskをフロントに据えたシンフォニック・ロックグループとして90年代中盤のシーンに登場し、COLLAGEと共にポーランドのプログレッシブ・ロックの可能性を広くアピール。フルート奏者を擁した叙情派の音楽性で脚光を浴び、3枚目のアルバムにして名盤の呼び声高い2002年作『Pod niebem czas (The Time Beneath The Sky)』に到達しますが、Emila Derkowskが脱退し男性ヴォーカルを主体としたグループに変革を迫られると大幅にグループを再編させ、ダイナミズムを押し出したソリッドな音楽性と、同時に深い翳りも兼ね備えた作風へと変化し、やはりポーランドのプログレッシブ・ロックのスタンダードとしてその威厳を保ち続けています。

さて、2000年代後半のポーリッシュ・プログレッシブ・ロックシーンを見渡してみると、COLLAGEを率いていた重要人物Mirek Gilによる新グループBELIEVEのデビュー・アルバム『Hope To See Another Day』のリリースが2006年、QUIDAMの5枚目のアルバム『Alone Together』とSATELLITEの3枚目のアルバム『Into the Night』が2007年、といった具合に重要グループたちがコンスタントに活動を展開し話題を提供していた状況で、OSADA VIDAが4枚目のアルバムとなる2008年作『The Body Parts Party』を出世作に大きく注目され、そこにALBIONやRIVERSIDE、MILLENIUMといったグループのリリースが重なるという、土台となるグループの安定した活動に支えられた盛り上がりを見せるシーンの様子が伺えます。

また、SATELLITEのドラマーが立ち上げたPETER PAN(2007年)、女性ヴォーカリストを擁するLOONYPARK(2008年)といったグループたちの登場が歓迎されたことを踏まえると、ポーランドのプログレッシブ・ロックシーンを取り巻く状況は決して悪いものではなかったと言えますが、そういった中で、同国の中堅プログレッシブ・ロックグループが集結するLYNXレーベルに所属しているわりに、他のグループよりも「ひっそりと」リリースされた印象が強いのがGRENDELの2008年デビュー・アルバム『The Helpless』です。

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アーティストや作品が、その登場するタイミングによって不遇な扱いを受けてしまうということがプログレッシブ・ロックの歴史には数多く存在しており、例えばENGLANDによるブリティッシュ・プログレッシブ・ロックの名作『Garden Shed』やイタリアン・シンフォニック・ロックの名盤に必ずその名前が挙がるLOCANDA DELLE FATEの『Force Le Lucciole Non Si Amano Piu』は共に77年リリースですが、彼らはたった1枚の傑作を残して長い沈黙を余儀なくされたほか、ドイツを代表するシンフォニック・ロックグループANYONE’S DAUGHTERのデビュー・アルバム『Adonis』は79年、そして80年代はほぼ全てのプログレッシブ・ロックグループにとって不遇だったとも言えます。

GRENDELのケースをそう呼ぶのは大袈裟にしろ、同時期にリリースされたPETER PANのように有名グループのファミリー・プロジェクトでもなく、LOONYPARKのように短いスパンでその後のリリースを重ねるといったこともなかったため、なんとなく代表バンドや話題性に富んだ新人の陰に隠れてしまっていたと言えるのではないでしょうか。

GRENDELは、COLLAGEとSATELLITEが作り上げたネオ・プログレッシブ・ロックに象徴される、エモーショナル且つマイルドな音楽性と、QUIDAMのシンフォニック・ロックに象徴される、デリケート且つハートフルな叙情美を程よく混ぜ合わせ、両グループに共通するどこか醒めた質感とメランコリーを正当に継承した、非常にポーリッシュ・プログレッシブ・ロックらしいサウンドを放つグループであり、「人生の中に点在する、どうすることもできない無力感に苛まれる出来事」にスポットを当てたコンセプト・アルバムである本作は、全体的に哀調を帯びたカラーで統一されていることから派手さや急激な楽曲展開こそほとんど持たないものの、苦しみ抜いた後に残る諦めにも似た落ち着きを見せるヴォーカルと、胸に迫るようなロング・トーンのギターの節回しを中心に深い心象風景を描写しており、音楽的に同国の新世代グループたちに引けを取ることはありません。

また、他国のグループがメロトロンやオルガンをはじめとしたレトロな楽器を操り70年代プログレッシブ・ロックの継承を目指す一方で、現代的でデジタリーな音色を隠さないこともポーランドのメロディック・ロックの大きな特徴と言えますが、本作もアトモスフェリックに飽和するシンセサイザーによる音色などにその傾向が見られるものの、SATELLITEらに比べるとアコースティックな味わいがより強調されており、そのバランス感覚に彼らの個性を見出すことも出来るでしょう。

本作は、そのアートワークなども含めて多少地味な印象を否めないものの、その音作りにフィットするコンセプトに基づいた深遠なメロディック・ロック作となっており、またそのサウンドはCOLLAGEやQUIDAMからのポーリッシュ・プログレッシブ・ロックのベーシックな潮流を確実に感じさせる、しみじみとした味わいを持っています。


netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第1回 netherland dwarf / tortoise walks forever (Japan / 2014)

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第2回 CHRIS / Snow Stories (Holland / 2012)

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現代ポーランド・シンフォを代表するグループであるMILLENIUMのキーボード兼リーダー、RYSZARD KRAMARSKIによって2002年に設立されたレーベルLYNXを特集。

GRENDEL他、関連作在庫

  • MILLENIUM / VOCANDA

    00年代以降のポーランドを代表するシンフォニック・ロック・バンド、00年作2nd

    99年結成のポーランド屈指のプログレ新鋭バンド。コンセプト・アルバムとなった00年作の2nd。デビュー作で印象的だった、ネオ・プログレの叙情性とともにピンク・フロイドのDNAを継ぎ、メランコリックかつ映像喚起的なサウンドの延長線上に、「静」と「動」の対比鮮やかに、よりスケールを増した印象。『アニマルス』『ウォール』あたりのフロイドを彷彿させるアコースティックなオープニング・ナンバーからはじまり、無機的な音色のストリングス・シンセをバックにヘヴィなギターが炸裂し、ジェネシスばりのドラマティックなリズムのアクセントとともに、サックスが乱入して荘厳に盛り上がる展開にノックアウト。前作以上にエモーショナルに泣きのフレーズを奏でるギターも素晴らしいし、気品あるタッチのピアノやワルツ曲などポーランド生まれのショパンのエッセンスを感じるし、前作以上にメロディアスさが際立っています。なお、前作はポーランド語でしたが、本作は英語で歌われています。曲間なく繰り広げられる壮大な音のドラマに感動すること間違いなしな傑作。

  • SATELLITE / EVENING GAMES

    COLLAGEを継承するポーランド産シンフォ、スケール感溢れる04年作

  • ALBION / WABIAC CIENIE

    女性ヴォーカルを擁するポーランド産シンフォ、05年作

    ポーランド出身のシンフォニック・ロックバンドALBIONの95年作以来、実に10年ぶりとなる05年作3rd。基本的には前作までの音楽性と大きく変わることはなく、シンフォニックに鳴り渡る壮麗なシンセと耳に心地よいナチュラルな音色のギターが紡ぐ極上のメロディが一体となった相変わらず完成度の高いシンフォニック・サウンドを聴かせてくれます。しかしただ前作と同じというわけではなく、荘厳な演奏では限界まで研ぎ澄まされた緊張が生々しいまでに伝わってくるところなど、表現力に確実な進化を感じさせます。本作より新しく迎えられた女性ヴォーカルは透明感に満ちた美声を持った本格派で、このグループの雄大な中にもどこか憂いを秘めたアンサンブルと見事に溶け合っており、楽曲のドラマ性をより高めています。闇の中で奏でられるかのような張りつめた音使いのクラシカルなピアノも素晴らしく、新たな魅力として大きな聴きどころです。独特の暗さを纏ったサウンドが儚く美しく響き渡る、東欧シンフォの醍醐味を堪能できる逸品です。

  • QUIDAM / FIFTH SEASON: LIVE IN CONCERT(映像)

    RENAISSANCEやGENESIS、CAMELを受け継ぐポーランドの女性Voシンフォ・グループ、母国での05年ライヴの映像を収録!

  • OSADA VIDA / THREE SEATS BEHIND A TRIANGLE

    ポーランド、プログレッシヴ・メタル、06年作

  • QUIDAM / ALONE TOGETHER

    ポーランドの実力派グループ、07年作、ヘヴィかつ透明感溢れるシンフォニック・ロックの傑作

    ポーランドを代表するシンフォ・グループ。07年作。繊細かつ優美なメロディ、しっとりと伸びやかな男性ヴォーカル、幻想性溢れる柔らかなキーボード&フルート、リリカルに歌い上げるギター。1音1音を丁寧に紡いだ民芸品のようなアンサンブルは絶品の一言。前作の延長線上のモダンなヘヴィネスもありますが、ヘヴィなパートでも、全体が流麗なメロウネスに包み込まれているのが本作の聴き所。これは素晴らしいです。傑作。

  • ALBION / BROKEN HOPES

    ポーランド、壮麗なキーボードとダイナミズム溢れるギターが織りなすドラマティック・シンフォ、07年作4th

    ポーランド産シンフォニック・ロックバンドALBIONの、前作『WABIACCIENIE』に続く復活第2弾となる07年作。前作で印象的だった厳粛なシンセやピアノのセンチメンタルな響きはそのままにギターが表現力を増しており、メロウに揺らぐようなフレーズから、ギルモア風のエモーショナルかつ鬼気迫るソロまでを自在に弾きこなすダイナミズムに満ちた演奏を聴かせてくれます。瑞々しさと透明感いっぱいに歌い上げる女性ヴォーカルも、もはや言うに及ばぬ素晴らしさ。自然の情景を切り取ったようなSEを各所に配し空間演出的な効果を多用しているのも本作の特徴で、アンサンブルのドラマ性をより際立たせています。過剰にならず耳に心地よい柔らかな叙情を聴かせるところに円熟味すら感じさせる充実作です。

  • MILLENIUM / EXIST

    ポーランド屈指のプログレ新鋭バンド、一気に洗練され、ピンク・フロイドばりのスタイリッシュなサウンドを聴かせる08年作の傑作7th

    99年結成のポーランド屈指のプログレ新鋭バンド。前作6thの後、ベスト盤、シングル盤をリリースしてからの08年作7th。これまでも『ウォール』期のフロイドを彷彿させる映像喚起的なサウンドを聴かせてきましたが、本作のオープニング・トラックの曲目はなんと「EMBRYO」で、大地の脈動のように雄大なリズムをバックに、ギターがギルモアばりに伸びやかなリードを奏で、ヴォーカルが憂いたっぷりなメロディをエモーショナルに歌い上げるフロイドのDNAを正統的に受け継いだサウンドを聴かせています。かなり洗練された印象で、「ヴォーカル&メロディ」とそれを彩る「空間的なアレンジ」という彼らの2つの大きな魅力にサウンドを凝縮させた感じ。ピンク・フロイドと同じく、「プログレ」という枠を超えて、ワールド・ワイドに評価されるべきスタイリッシュでスケールの大きな「ロック」を聴かせる大傑作です。

  • MILLENIUM / PUZZLES

    現代ポーランドを代表するシンフォ・グループ、11年発表の2枚組コンセプト・アルバム傑作

    99年結成のポーランド屈指のプログレ新鋭バンド。前作から3年ぶりとなった2011年作の8thアルバムで初の2枚組。憂いあるメロディと空間的で映像喚起的なアレンジとが完璧に融合したスタイリッシュなプログレを前作で極めた彼らが挑んだのが、アルバム2枚に渡って描く壮大なるストーリー。アダムとイブを主人公に、男女間の複雑な関係性をパズルのピースに見立てて描いたコンセプト・アルバムに仕上がっています。ジャケット・イメージからも分かる通り、彼らが敬愛するピンク・フロイド『ウォール』へのオマージュであり、挑戦でもある力作。これは傑作です。

  • LOONYPARK / STRAW ANDY

    ポーランド、圧倒的な叙情美を放つメランコリックかつドリーミーなシンフォニック・ロック、11年作2nd

    ポーランド出身、女性ヴォーカルを擁するシンフォニック・ロック・グループ、08年のデビュー作に続く11年作2nd。前作からドラムが変わったからか、沈み込みように荘厳だったデビュー作と比べて、ロック的な躍動感が出ている印象。デビュー作では、ゲスト参加してロング・トーンのリードを聴かせていたギタリストのクレジットも無くなっていて、ギターのトーン&フレーズともに煌びやかでファンタスティックになっているのも特筆です。全体として、前作で特徴だった東欧ならではのメランコリーは女性ヴォーカルとメロディに残しつつも、光が差し込んだようにアンサンブルの質感は優美さ、流麗さ、明瞭さが増し、起伏も増してドリーミーさ、ドラマティックさが際立っています。女性ヴォーカルがしっとりと歌い上げる陰影に富んだメロディは相変わらず絶品ですし、ファンタスティックに綴られていくドラマにただただ圧倒される、メロディアス・ロックとして完璧と言える傑作です。

  • MILLENIUM / EGO

    ポーランド・プログレ・シーンを代表するシンフォ・バンド、ずばり最高傑作と言える13年作9th

    99年結成のポーランド屈指のプログレ新鋭バンド。ネオ・プログレとピンク・フロイドの影響の元に、メランコリックで映像喚起的なサウンドでデビューし、徐々に洗練させながら、前々作、前作で到達した、「プログレ」の枠を超えた、ピンク・フロイド『ウォール』ばりのスタイリッシュな「ロック」サウンド。2013年作9thである本作では、スタイリッシュさはそのままに、叙情性を増し、シンフォニック・ロックとして孤高のサウンドを聴かせています。映像喚起的なSEから入り、中欧の森を思わせるアコギのリードが静かに鳴るイントロ。その静寂を打ち破って轟くヘヴィなギターとキーボードによる音の壁とギルモアばりに伸びやかに泣くリード・ギター。そして、何より素晴らしいのがメロディーとヴォーカル。ピンク・フロイドの内省感とネオ・プログレの叙情美とが出会ったような美旋律、そして伸びやかさの中に翳りを感じさせるハイトーンが魅力のヴォーカルは、もう絶品の一言。99年のデビュー作での「空間的な音響センスに溢れたシンフォニック・ロック」を、これまでの作品で培ったテクニックとサウンド・メイキングのセンスにより圧倒的な強度で聴かせた一大傑作。熱くも透徹としたロマンティシズム。これはずばり最高傑作!

  • MILLENIUM / IN SEARCH OF THE PERFECT MELODY

    ポーランド屈指のプログレ新鋭バンド、前作に負けず劣らずの傑作に仕上がった2014年作10th

    99年結成のポーランド屈指のプログレ新鋭バンド。最高傑作と言える圧倒的な強度のシンフォニック・ロックを聴かせた前作からわずか1年でリリースされた2014年作10thアルバム。「完璧なメロディを探して」というタイトル通り、アルバム冒頭から伸びやかなハイ・トーンのヴォーカルがアカペラで高らかに歌い上げ、鳥肌もの。間髪いれず、彼らの持ち味である、ピンク・フロイドゆずりのディレイ音による空間的なアンサンブルの中、ギター、続いてサックスがリードを取る展開もスケール大きいです。このタイトル・トラックは、ベートーヴェンやバッハやワーグナーなど偉大なる作曲家へのオマージュであるとともに、偉大なるプログレ大曲、ジェネシス「サパーズ・レディ」やピンク・フロイド「エコーズ」やイエス「危機」へのオマージュとして作られた19分を超える大曲。メランコリックでいてスタイリッシュな彼らならではのプログレッシヴ・ロックを極めた名曲です。ロング・トーンでまるで歌うように優美に奏でられるギターと夢想的なサックスが柔らかにメロディを紡ぎ合うインストあり、ストリングスが艶やかに彩る、愛とともに裏切りを描いた渾身のバラードあり、ピンク・フロイドゆずりの洗練を極めたアンサンブルとともに突き抜けたメロディ・センスで聴き手を壮大な音のストーリーへと導き感動を誘うサウンドは彼らの真骨頂。前作に負けず劣らずの傑作です。

    • LM90CDDGLYNX

      デジパック仕様 ※1曲目00:15にブツッという雑音、2曲目05:03以降に一部の音が奥に引っ込んだような感じになります。制作段階での問題と思われますので、何卒ご了承ください

    • LM90CDDGLYNX

      デジパック仕様 ※1曲目00:15にブツッという雑音、2曲目05:03以降に一部の音が奥に引っ込んだような感じになります。制作段階での問題と思われますので、何卒ご了承ください

      盤質:無傷/小傷

      状態:良好

    • LM90CDDGLYNX

      デジパック仕様 ※1曲目00:15にブツッという雑音、2曲目05:03以降に一部の音が奥に引っ込んだような感じになります。制作段階での問題と思われますので、何卒ご了承ください

      盤質:傷あり

      状態:並

      カビあり

  • LOONYPARK / UNBROKEN SPIRIT LIVES IN US

    女性ヴォーカルを擁するポーランドのシンフォ・グループ、東欧らしいメランコリーとともにロック的躍動感にも溢れたドラマティックすぎる14年傑作3rd

    ポーランド出身、女性ヴォーカルを擁するシンフォニック・ロック・グループ。前作『STRAW ANDY』からメンバー変わらずに制作された14年作3rd。エッジの立ったトーンで刻まれるギター、肉感的なドラムをまばゆい光で包み込むようなシンセによるデジタル・ビート、緩急をつけて時にスピーディーに突っ走る展開など、デビュー作からロック的躍動感を増した2ndからさらにダイナミズムが増した印象。アンサンブルや展開は鋭くなっているものの、このバンドの持ち味である東欧的なメランコリーはそのままで、常に叙情がたなびいています。陰影からくっきりと情景が目に浮かびあがるサウンドは並のバンドには出せないでしょう。しっとりと伸びやかに歌い上げる女性ヴォーカルとドラマティックなメロディは相変わらず絶品。前作で覚醒したバンドがさらに堂々と、自信に満ち溢れて鳴らしたメロディアス・ロックの傑作です。

  • LOONYPARK / PERPETUAL

    女性ヴォーカルを擁するポーランドのシンフォ・グループ、2016年作の4thで「美麗」というキーワードがぴったりの傑作

    ポーランド出身、女性ヴォーカルを擁するシンフォニック・ロック・グループ。2016年作の4thアルバム。温かで荘厳なハモンド・オルガン、しっとりと艶やかなピアノ、壮麗なオーケストラなどによるクラシカルなエッセンスを軸に、ウクライナの新鋭バンドKARFAGENにも通じるニューエイジ色を織り交ぜたサウンドは「美麗」という言葉がぴったり。伸びやかな歌声とエモーショナルな歌唱が素晴らしい女性ヴォーカルが見事に映えています。ゲスト参加したヴァイオリン奏者による艶やかなリードも聴きどころ。ここぞでは、中域寄りのハード&マイルドなトーンのエレキ・ギターがアグレッシヴにリズムを刻んでダイナミズムを注入。メリハリの効いたドラマティックな展開も見事です。00年代以降のポーランドを代表するシンフォニック・ロック・バンドによる、ジャケットのイメージどおりの美しい傑作です。

  • MILLENIUM / 44 MINUTES

    現在のポーランド・シンフォ・シーンの中核を担うグループによる17年作、サックスを大きくフィーチャーし、アーバンな香り漂うメロディアス・プログレを聴かせる意欲作!

    現在のポーランド・シンフォ・シーンの中核を担うグループによる17年作。今作よりゲストプレイヤーだったサックス奏者が正式メンバーとして参加。ピンク・フロイド憧憬のメランコリックかつ劇的なサウンドにジェネシス的な叙情溢れるキーボードプレイを加えた音楽性を持っていた彼らですが、今作ではアーバンな香り漂うサックスのプレイも大きくフィーチャーし、従来作に比べ格段に洗練されたメロディアス・プログレを聴かせてくれます。全体的に見るとキーボードが担っていたシンフォ色は後退したものの、ここぞという場面ではシンセがスケール大きくうねり、存在感を発揮。サックスに活躍に加え、ギルモアのブルース色を抑えたようなエモーション溢れるギターや映画のワンシーンを思わせる話し声のSE、一部楽曲での女性ヴォーカルの起用など、『狂気』のフロイドを現代的な音像で再構成したような印象も強く受けます。さらに特筆なのがメロディの素晴らしさ。従来に増してシンプルゆえの力強さを宿す選び抜かれた美しいメロディが、聴き手の胸を強く揺さぶってきます。そのメロディを歌い上げる少し憂いのある男性ヴォーカルも相変わらずいい声です。シンフォニック・ロックという従来の立ち位置から大きく前進し、独自のサウンドを練り上げた意欲作!

  • MILLENIUM / SIN

    現ポーランド・シンフォ・シーンの中核を成すバンド、2020年作14thアルバム!

    現在のポーランド・シンフォ・シーンの中核を担うグループ、14作目となる2020年作。タイトルが示すとおり、現代社会における「七つの大罪」を描く7曲によって構成されたコンセプト・アルバムとなっています。重厚なテーマですが、本作でもPINK FLOYDと90s以降のMARILLIONから影響を受けた深淵かつエモーショナルなシンフォニック・ロックは健在。ビシッビシッと重くタイトに刻むリズムに乗って、オルガンが叙情的にたなびき、リック・ライト彷彿のシンセがダークに広がり、そしてギルモアの泣きとS.ロザリーのメロディアスな音運びを兼ね備えたギターが飛翔するサウンドは、「ドラマチック」という言葉をそのまま音にしたような素晴らしさ!英語で歌う、スタイリッシュな歌い回しの中に切ない哀愁を秘めた男性ヴォーカルも、劇的なサウンドを一層盛り立てます。エレクトロニクスやSEを効果的に用いた演出力の高さにも注目。今回も貫禄のMILLENIUMサウンドを繰り広げる力作です。

  • LOONYPARK / 7TH DEW

    ポーランド屈指の人気シンフォ・グループ、初代女性voが復帰、ハードかつキャッチーな力強いサウンドへと舵を切った21年作6th

    実力派がひしめく現ポーランドでも屈指の人気シンフォ・グループによる、2年ぶりとなった21年6thアルバム。本作、何より前々作まで不動の女性ヴォーカルだったSabina Godulaが復帰し、あの低音寄りで朗々と歌う個性的な歌唱を再び聴かせているのが嬉しいところ。プログレ・ハード的な疾走感でパワフルに畳みかける新境地の1曲目から、このヴォーカルが抜群に映えます。性急なリズムを刻むドラム&ベースに乗ってギター&オルガンがスリリングなユニゾンを決めるアンサンブルに、姉御系の力強い女性ヴォーカルがエモーショナルに歌い上げるスタイルがとにかくカッコいいです。このハードなサウンドにトニー・バンクス風の華麗なシンセソロを合わせるセンスも見事。2曲目以降も、リズム隊とギターが従来以上にハードに迫りつつ、メロディはよりキャッチーになった印象があります。キーボードが担うシンフォニックな美麗さは随所に残しながらも、重量感たっぷりの鋭角的なサウンドとキャッチーなメロディラインを押し出した新たなスタイルを提示する意欲作です。

  • MILLENIUM / VOCANDA (VOCAND 2000 + VOCANDA 2013)

    00年代以降のポーランドを代表するシンフォニック・ロック・バンド、00年作2nd『VOCANDA』と同作を再録した『VOCANDA 2013 LIVE IN STUDIO』を収録

    現ポーランド・プログレの中核を成す人気グループ、00年リリースの2nd『VOCANDA』と、同作を13年にスタジオ・ライヴで再録した『VOCANDA 2013 LIVE IN STUDIO』を収録した2枚組。オリジナル・アルバムは、デビュー作で印象的だった、ネオ・プログレの叙情性とともにピンク・フロイドのDNAを継ぎ、メランコリックかつ映像喚起的なサウンドの延長線上に、「静」と「動」の対比鮮やかに、よりスケールを増した力作。『アニマルス』『ウォール』あたりのフロイドを彷彿させるアコースティックなオープニング・ナンバーからはじまり、無機的な音色のストリングス・シンセをバックにヘヴィなギターが炸裂し、ジェネシスばりのドラマティックなリズムのアクセントとともに、サックスが乱入して荘厳に盛り上がる展開にノックアウト。前作以上にエモーショナルに泣きのフレーズを奏でるギターも素晴らしいし、気品あるタッチのピアノやワルツ曲などポーランド生まれのショパンのエッセンスを感じるし、前作以上にメロディアスさが際立った一枚です。一方13年の再録は、オリジナル・ヴァージョンでのドラマティックさはそのままに、よりダイナミックでスケール感に満ちた演奏に生まれ変わっています。中でもギターとキーボードの演奏技術/表現力は大きくレベルアップしているのがわかり、作品本来の魅力を引き出すような素晴らしいパフォーマンスに思わず感動。ヴォーカルのLUKASZ GALLの切々としたハイトーン・ヴォーカルもやはり絶品です。LYNXレーベルの15周年を記念した企画アルバムですが、力の入った充実の演奏を披露してくれていて素晴らしいです。

  • MILLENIUM / BEST OF…SOMETHING ENDS SOMETHING BEGINS

    ポーランド・シンフォ・シーンの人気グループ、22年のベスト・アルバム

    現在のポーランド・シンフォ・シーンの中核を担う人気グループ、00年作2nd『Vocanda』から20年作『The Sin』までの20年間から選ばれた全20曲を収めた22年編集ベスト・アルバム。ピンク・フロイド、ジェネシス、キャメルから影響をスタイリッシュに練り上げた独自のスタイルで00年代ポーランド・プログレを牽引してきた、彼らの歴史を俯瞰するのにこれ以上ない決定版ベストです!

  • COLLAGE / OVER AND OUT

    ご存知90sポーランドの代表的シンフォ・バンド、前作『SAFE』から27年を経てついにリリースされた6thアルバム!

    90年代のポーランド・シンフォ・シーンを代表するバンドとして活躍し、03年に解散。13年に再結成して活動を続けていた彼らが、前作『SAFE』から27年を経てついにリリースした6thアルバム!現メンバーはキーボードのKrzysztof Palczewski、ベーシストPiotr Witkowski、ドラマーWojtek Szadkowskiという往年からのメンバーに、QUIDAMでも活躍したヴォーカリストBartek Kossowicz、ドラマー/パーカッショニストとしても活動する才人ギタリストMichal Kirmucの5人です。いきなりバンド史上最長21分の大曲からスタート。エレクトロニクスと虚ろなヴォーカルが漂う薄暗い展開から、ハケット調のファンタジックかつ気品あるギター&輝かしいシンセが溢れ出しGENESIS/MARILLION憧憬の音世界が広がる冒頭部で、COLLAGEの健在ぶりに嬉しくなります。ヴォーカルはガブリエル・リスペクトを示しつつも熱く歌い上げるFISHに近いスタイルで、FISH期MARILLION彷彿のシンフォにエレクトロ要素と絢爛なストリングス・キーボードを加えたようなサウンドでひたすらドラマティックに盛り上がっていきます。ラストの1曲ではゲスト参加のSteve Rotheryが入魂のソロをたっぷりと聴かせていてこれがまた大変に感動的。MILLENIUMを中心に活況を見せるポーランド・シンフォ・シーンに堂々帰還したベテランによる必聴傑作!

  • MILLENIUM / TALES FROM IMAGINARY MOVIES

    ポーランド・シンフォ・シーンの人気グループ、22年作、80s〜キャメルやフロイドを受け継ぐこれでもかとドラマティックなサウンドが溢れ出す会心作!

    現在のポーランド・シンフォ・シーンの中核を担う人気グループ、スタジオ・アルバム15作目となる2022年作。本作より新ヴォーカルにキーボーディストRyszard KramarskiのバンドTRKPROJECTのDawid Lewandowskiが加入。80年代以降のキャメルを想起させる、どこか物悲しくもエモーションいっぱいに広がる雄大かつ重厚なインスト・パートと、従来のピンク・フロイドからの影響をモダンに昇華させたスタイリッシュでメロディアスなヴォーカル・パートがこれでもかとドラマチックに対比されるスタイルは、これぞMILLENIUM節としてさらに極まっています。タイトに刻む安定感抜群のリズム・セクションを土台に、まさにラティマーばりに泣きまくる哀愁ほとばしるギターと、シンセを軸にフロイド譲りの深遠な音空間を作り上げるキーボードによる、激情とメランコリーを揺れ動くアンサンブルはかつてない素晴らしさ。そんな演奏に渾身の歌を乗せる新ヴォーカルも特筆で、ハートフルな温かみも滲む、歴代でも屈指の情緒に富んだ歌唱がMILLENIUMサウンドの説得力をグッと引き上げます。どこを切り取ってもグッと来てしまうドラマ性に満ち満ちた、15作目にしてキャリア屈指の会心作!

  • LOONYPARK / STRANGE THOUGHTS

    天才コンポーザー/key奏者Krzysztof Lepiarczyk率いる、ポーランドの人気女性voシンフォ・バンド、23年作7th!

    天才コンポーザー/key奏者Krzysztof Lepiarczyk率いる、現ポーランド屈指の人気を誇る女性voシンフォ・バンド、23年作7th!前作にて初代ヴォーカルが復帰、今作ではギタリストが交代しています。前21年作『7TH DEW』で聴かせたプログレ・ハード的な疾走感あるサウンドを更に押し進めており、新ギタリストによるメタリックなギターワークも相まって、LOONYPARK史上最高の迫力で押し寄せるアンサンブルに冒頭から圧倒されます。もちろん従来の彼らが持つスタイリッシュなシンフォ要素も健在。トーンを巧みに変化しながら生き物のように躍動するシンセ、ここぞで劇的に鳴らされるピアノ、未来的な世界観を演出するプログラミングと、ハイセンスの一言に尽きるキーボードワーク、そしてしなやかさと厳かさが絶妙な塩梅の女性ヴォーカルの魅力は、ハードさを強めたサウンドにおいても変わらぬ輝きを放ちます。一聴ヘヴィなプレイが印象的に思えたギターも、アルバム中〜終盤では前任者に匹敵するメロディアスなソロを連発していてこれまた見事。さらにラスト・ナンバーは、叙情的なピアノをバックに切々と歌うヴォーカル、やがて神秘的な音響が散りばめられ幻想のベールに包まれて幕を閉じる、初期を思い出させる名曲となっており感動的です。やはり現ポーランド・シンフォ最高峰、今回も文句なしの傑作!

  • COLLAGE / BASNIE

    90年代のポーランドを代表するシンフォニック・ロック・グループ、89年作1st

    ポーランドを代表するグループ。89年作の1st。フワーっと広がる神秘的で優美なキーボード、流麗かつスリリングなギターを中心とする、荘厳かつ幻想性溢れるシンフォニック・ロック。シアトリカルなヴォーカル、キャッチーながらも翳りのあるメロディも魅力的。

  • COLLAGE / MOONSHINE

    90年代ポーランドを代表するシンフォ・グループ、94年リリースの傑作

    ポーランドを代表するグループ。94年作の2nd。基本的なサウンドは1stと同傾向ですが、表現力が増し、持ち味の「幻想的な優美さ」には磨きが掛かっています。キーボード、ギター、ピアノは、すべてのフレーズが伸びやかで流麗。包み込むようにしっとり歌い上げるヴォーカルも格段に魅力が増しています。全体的に柔らかい音色で、深めにエコーを掛けたサウンド・プロダクションも印象的で、バンドの持つ神秘性を最大限に引き出しています。アートワークは「終焉の画家」と呼ばれるZdzislaw Beksinski。

  • QUIDAM / QUIDAM

    RENAISSANCEやGENESIS、CAMELを受け継ぐポーランドの女性Voシンフォ・グループ、96年の大傑作1st!

    ポーランドを代表するシンフォ・グループ。96年作の1st。ほの暗い叙情性を帯びたロマンティシズム溢れるキーボード、丁寧にメロディを紡ぐギター、優美なフルート、憂いある美しいメロディ、透明感溢れる女性ヴォーカル。東欧シンフォを代表する大傑作。

  • QUIDAM / SNY ANIOLOW

    ポーランドを代表するシンフォニック・ロック・グループ、98年の2ndアルバム

  • QUIDAM / BAJA PROG: LIVE IN MEXICO 99

    ポーランド産フィメールVoシンフォの代表格、99年メキシコでのライヴを収録

  • LOONYPARK / DEEP SPACE EIGHT

    ポーランド屈指の人気シンフォ・グループ、力強くエモーショナルな新女性ヴォーカルが素晴らしい19年作5th!

    実力派がひしめく現ポーランドでも屈指の人気シンフォ・グループによる、3年ぶりとなった19年5thアルバム。前作からの大きな変化として女性ヴォーカルの交代が挙げられます。前任者はどこか緊張感のある厳かな歌唱が印象的でしたが、後任はより感情を強く出すエモーショナルな歌唱が素晴らしく、これまでになくドラマ性を高めており特筆です。演奏陣はさすがで、耳を引くユニークなリズムパターンを織り交ぜて存在感を示すリズム・セクション、ポーランドらしい陰影と哀感を乗せひたすら美麗フレーズを繰り出すギター、バックを気品高く流れゆくストリング・シンセらが、呼吸をぴったり合わせ紡ぎ上げていく宝石のように美しいアンサンブルに聴き惚れます。また出番は多くないものの、物悲しいリリシズムと柔らかなファンタジーを併せ持つピアノのタッチも絶品で、LOONYPARKらしい角のないしなやかな音色使いを象徴しているかのよう。従来どおりの端正で美しいアンサンブルと新ヴォーカルが担うアグレッシヴな表情が見事に調和した傑作!

  • LOONYPARK / EGOIST

    女性ヴォーカルを擁するポーランドのシンフォ・グループ、荘厳かつメランコリックな08年傑作デビュー作!

    ポーランド出身、女性ヴォーカルを擁するシンフォニック・ロック・グループ、08年のデビュー作。深く沈み込むように鳴らされるキーボード、ロング・トーンでゆったりと紡がれるメロディアスなギターを中心とする静謐でいて荘厳なアンサンブル。時に風のように柔らかに鳴らされるアコースティック・ギターのバッキング、ここぞで嵐のように轟くヘヴィなギター・リフ、オーケストラのように目の覚めるようなキーボードなど、映像喚起的なアレンジも特筆です。そして、しっとりと翳りのあるヴォーカルとメランコリックなメロディが静かにドラマを描いていきます。ポーランドらしいウェットな質感と流麗さで終始メロディアスに綴られる雄大な傑作。

  • ALBION / INDEFINITE STATE OF MATTER

    ポーランド産シンフォ・バンド、現代最高峰のドラマティックな構成美で聴かせる傑作シンフォ!12年作

    現代のポーランド・シンフォを代表するバンドALBIONの12年作。路線こそ前作までと同様のものですが、アンサンブルの構成がより洗練され、静謐な場面から劇的に盛り上がりを見せる場面へと至る部分により必然性が生まれているように感じられます。そのため、楽曲ごとに聴くという感覚よりは、作品全体が一つの楽曲であるかのようなまるで大河の流れを思わす「うねり」が感じられる点が新境地。過剰なシンセを抑え、たおやかに粛々と展開するアンサンブルには、東欧シンフォが元来持つ翳りやウェットな質感が以前よりはるかに感じられます。この世界観に合わせて美声の女性ヴォーカルも味わい深い歌唱を披露しており、これまでに増して聴きどころと言えるでしょう。ポイントを抑えてドラマティックに綴られてく物語にいつまでも酔いしれていたくなる絶品シンフォニック・ロックに仕上がっています。傑作。

  • MILLENIUM / WEB

    ポーランド・シンフォ・シーンの中核を担うグループによる19年作、オリジナル・ヴォーカリストが復帰した13th!

    現在のポーランド・シンフォ・シーンの中核を担うグループ、13作目となる2019年作。オリジナル・メンバーのヴォーカリストLukasz Gallが復帰して制作された本作。その内容は、PINK FLOYDやGENESIS〜MALLIRIONへのリスペクトに溢れたシンフォニック・ロックに、ポーランドらしい深いリリシズムと翳りある叙情美を加えた、揺るぎなきMILLENIUMサウンド。虚空に切なく響くようなピアノ、アンサンブルに奥行きをもたらす深遠なシンセ、ギルモアとS.ロザリーをミックスしたようなエモーションたっぷりに泣くギター、そしてスタイリッシュな中に哀愁を秘めた変わらぬ素晴らしい歌声…。シリアスでメランコリックに紡がれる演奏が、サビに向けて気高く飛翔していくあまりにドラマチックな展開は毎度ながら見事の一言です。始動から20年目となる彼らですが、ただただ実直に自らの音楽を深化させ続けていく姿勢に胸打たれる一枚です。

  • ALBION / YOU’LL BE MINE

    ポーランドの新鋭シンフォ・バンド、これでもかと泣きのフレーズを紡ぎ続けるギター、復帰したオリジナル女性ヴォーカルによるエモーション溢れる歌唱が素晴らしい18年作!

    ポーランドの新鋭シンフォ・グループ、18年作。前作までのキーボーディストらが別グループNOIBLAとして独立し、残ったギタリストJerzy Georgius Antczakを中心に前作や過去作にも参加していたベーシストとドラマー、そして復帰した初期の女性ヴォーカリストAnna Batkoという再編された4人編成となっています。以前までの広がりある幻想的でメランコリックな作風は残しつつも、プログラミングも散りばめたモダンでスタイリッシュなサウンドへと変化を遂げているのが特徴。キーボードはギタリストが兼任しているものの、やはりギターの存在感がアップしており、これでもかとドラマチックな泣きのフレーズを延々紡ぎ続けるギターが圧巻です。さらに復帰したオリジナル・ヴォーカリストがまた素晴らしい!前々作まで在籍した女性ヴォーカルのしっとりめの歌唱も良かったですが、時にシアトリカルとも言える表現力でエモーショナルに歌いこむ、コケットな魅力を秘めた歌唱に心奪われます。プログラミングによる装飾音も絡めつつ安定感抜群のプレイで2人を支えるリズム隊の仕事も特筆です。大きな再編を経たとは思えない完成度の高い音世界で聴かせる傑作!

関連カテゴリー

プログレッシブ・ロック不遇の名グループ在庫

  • ENGLAND / GARDEN SHED

    77年リリースの唯一作にしてブリティッシュ・シンフォの大傑作、ファンタスティックで英国叙情匂い立つアンサンブルは素晴らしすぎます!

    古くからプログレッシブ・ロックの隠れた名盤として認知されてきたイギリスのシンフォニック・ロックバンドの77年デビュー作。当時プログレッシブ・ロックは衰退、時代はパンク・ロックが台頭し移ろう中、ひっそりとリリースされた本格的なプログレッシブ・ロック作品です。YES、GENESISの影響が色濃い音楽性を持ちながらも、飛び抜けたメロディー・メイクの上手さ、メロトロンをはじめ楽曲を彩るドラマ性、そしてタイトな演奏の中にも英国然とした湿り気と叙情美を感じる音作りでファンの心を揺さぶり続ける、知る人ぞ知る傑作です。

    • GTR153

      2枚組の特別エディションで、CD1にはアルバム音源、CD2には未発表曲や新曲など8曲を収録。オリジナル・マスター・テープからのデジタル・リマスター、28ページのブックレット入り。デジパック仕様CD2の収録曲は、

      1. Nanagram >Live< 2006 5:09
      2. Carmina Burana 4:00
      3. Fags, Booze & Lottery 4:47
      4. The Ladie’s Valley 7:42
      5. Masters Of War 4:27
      6. Three Piece Suite (1976 Olympic Version) 11:44
      7. Heebeegeebee 5:37
      8. Nanagram 4:15

    • BVCP20014

      廃盤希少、Blu-spec CD、05年デジタル・リマスター、ボーナス・トラック1曲(「ナナグラム」)、定価2381+税

      盤質:無傷/小傷

      状態:良好

      帯有

    • ERC32004

      プラケース仕様、EDISON旧規格、定価3200

      盤質:全面に多数傷

      状態:並

      帯無

      帯無、全面複数キズあり、ケースツメ跡あり、カビあり

    • ERC32004

      プラケース仕様、EDISON旧規格、定価3200

      盤質:無傷/小傷

      状態:良好

      帯有

    • SRMC1042SI-WAN

      プラケース仕様

      盤質:無傷/小傷

      状態:良好

      小さいケースツメ跡あり

  • LOCANDA DELLE FATE / FORSE LE LUCCIOLE NON SI AMANO PIU

    イタリアン・シンフォニック・ロックの頂点に君臨する名盤中の名盤、77年作

    単発ながらイタリアン・シンフォニック・プログレッシブ・ロックの頂点に君臨する名盤を生み出したグループによる77年作。テクニカルでタイトなリズム・セクションをボトムに、アコースティック・ピアノやアナログ・シンセサイザー、チェンバロ、ギター、フルートといった楽器がふくよかなサウンドを彩る作風であり、ツイン・キーボード、ツイン・ギター編成で聴かせるその叙情性とファンタジアはイタリアン・シンフォニック・ロックの中でも飛びぬけたクオリティーを誇ります。PREMIATA FORNERIA MARCONIやMAXOPHONEといった叙情性と牧歌的な雰囲気を持ったグループにも全く引けを取らない奇跡の1枚であり、且つスリリングな技巧に裏打ちされた名盤となっています。

    • UICY9117

      紙ジャケット仕様、デジタル・リマスター、ボーナス・トラック2曲、内袋付仕様、定価2039+税

      盤質:傷あり

      状態:良好

      帯有

      帯中央部分に色褪せあり、紙ジャケに若干汚れあり

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