2023年12月22日 | カテゴリー:Column the Reflection 後藤秀樹,ライターコラム
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第68回 今年も過ぎ行き冬の到来、そして新たな年に向かう今
~ 「マイ・プレイ・リスト~冬の歌~」セレクション ~
今年もまた冬がやってきた。記録的に暑かった夏の記憶が残りながらも、やはり時は経ち冬が到来する。そして今年も暮れていく。そんな中で、最近になって懐かしく思い出すのが、カセットに気に入った曲を入れて良く聞いた昔のこと。年代別、アーティスト別、ジャンル別とたくさんの「セレクション・テープ」を作った。選曲しているうちに自分でテーマを決めるようになり、そのテーマに合う曲を思い浮かべながら探し出すことが面白くなり、次々と作って友人にも聴かせた。テーマに合う曲を決めるまでの過程がまた楽しかったものだ。
その後、録音媒体がある時期からMDになり、そこからCD-Rに焼いた時代を経たことも思い出す。
しばらく、そんな感覚を忘れていたのだが、じつは毎月のこの「コラム」も同じ気分でやっていたことになる。もう6年も続けてきた「コラム」を担当させていただいていることがありがたい。ただ、月1回の更新と自分で決めてきたのだが、何となく追われている感じがして余裕のない時もあっただけに、もっと楽しんでやってもいいかと思い始めた。
現在の私の環境はPCに2TのHDをつなげ、そこに手持ちの音源を入れ、「プレイ・リスト」を作っている。
よく考えてみると、この「コラム」も途中に曲を入れて聞いていただけるものになっているという点では、過去に書いていた原稿とは違い今日的でかなり便利なものになっているのかなと改めて思った。
そんなわけで、今回は、昔の「お気に入りテープ」を作る感覚でやってみようかなと考えた。(似たようなことは、既に『ブラス・ロック』や『キーボード・ロック』としてやってきてはいたのだが・・・)
今年は、夏の暑さを引きずるような形でまだ気温の高い地域も多数あるようだが、1年の締め括りに「マイ・プレイリスト」として私の好きな「冬の歌」を選んでみた。
◎画像1 Freetwood Mac /Bare trees (LP Front; Back)
まず「冬の入口」として、秋の木々の葉が落ち、寒々とした光景から始めたい。1曲目はフリートウッド・マック(Fleetwood Mac)の「枯れ木(Bare Trees)」。
彼らのリプリーズ(Reprise)からの4枚目(通算6枚目)。『Then Play On』(‘69)、『Kiln House』(’70)、『Future Days』(‘71)に続く『Bare Trees』(’72)のタイトル曲だ。
何よりもアルバム・タイトル通り「枯木」の写真をそのままジャケット・デザインにしたことが素晴らしい。因みに裏の夕暮れ写真もまた見事だ。この2枚の写真はメンバーのベーシスト、ジョン・マクヴィー(John McVie)の手によるものだ。
ギターのダニー・カーワン(Danny Kirwan)の曲なのだが、一聴すると地味なポップ・ソングに聞こえてしまうのだが、カーワンのギターとヴォーカルのユニゾンのメロディーと、スキャットが独特の味わいを聴かせる。
★Song 1 Fleetwood Mac / Bare Trees
Blue Horizonレーベルからのブルース・ロックに始まった彼らの歴史だが、ピーター・グリーン(PeterGreen)を最初として、その後在籍するギタリストの交替劇も重なって徐々に音楽性の変遷を見せることになる。歴代メンバーのギタリストの顔ぶれも凄いのだが、何といってもリンジー・バッキンガム(Lindsay Buckingham)とスティーヴィー・ニックス(Stevie Nicks)が加わってからの75年からの快進撃は圧倒的だった。しかし、バンドの歴史を振り返ると当初から様々なスキャンダルもつきまとっていたことも忘れられない。
この『枯木』発表時のギターはダニー・カーワンとボブ・ウェルチ(Bob Welch)。今となっては、その後パリスを結成し2枚のアルバムを出した後、ソロとして大成功したウェルチが有名で、この『枯木』にも代表作「悲しい女(Sentimental Lady)が収録されていて、そちらに人気が集まりがち。しかし、カーワンのソングライティングもじつは負けていないことを再評価したいところ。彼はバンド内のトラブルからマックを解雇される格好で脱退。その後、75年にソロ・アルバム『Second Chapter』(DJM)を出し、その後も2枚のアルバムを出している。マック時代でも基本的にポップ・センスを活かしていたが、それが前面に出た好作品になっていると思われるので、彼の魅力を感じ取って欲しい。
◎画像2 Bruce Cockburn / High Winds, White Sky(LP)
続いては雪の情景を想起させるアルバムから選んだ曲。ブルース・コバーン(Bruce Cockburn)の「雪の世界(High Winds, White Sky)」。凍てついた雪の朝、空気が凜とした中で静かに聴いていると、時間が止まったように感じる。若い頃、雪の中に大の字で寝転んで、降ってくる雪をずっと眺めたことを思い出す。この曲が収められた同名のアルバムのジャケットも北の地に住む者には冬の日常の風景だ。ブルース・コバーンはカナダ人だが、全く同じ風景の中で過ごしているのだなあ・・・とその境遇を共有している親近感が湧いてくる。
★Song 2 Bruce Cockburn / High Winds, White Sky
75年に彼の3作品、5作目『塩と太陽と時(Salt,Sun & Time)』(‘75)、4作目『夜の幻想(Night Vision)』(’73)そして、この2作目『雪の世界』(‘71)が日本でオリジナルの逆順に矢継ぎ早に出され、その素晴らしさに当時の私が通っていた高校の放送局員内で盛り上がった思い出多いコバーン。シンガーとしても味わいがあったが、彼のアコースティック・ギター・プレイもさらに凄かった。後にギター・インストのみを集めた『Speechless』(2005)というCD編集盤も出されたほどだ。
ただ、日本で出されたLPはすべてシングル・ジャケットになり、さらに5作目は全く違うジャケットになっていて、後追いで原盤のLPを追いかけたことも懐かしい。残りのアルバムはCDで発売されてようやく聞くことができた。
◎画像3 Eddie Mottau / Not Turning Around(LP)
もう一曲SSWを、アメリカのエディ・モトゥ(Eddie Mottau)の「Waitin’ Out The Winter」。こちらのアルバム・ジャケットも雪の情景だ。ただし、雪の中親子で一緒に向こうに歩いて行く微笑ましさが感じられる。よく見ると靴の足裏が見える。ここにあるように積もった雪の中では普通に歩くことができていいのだが、街の中の凍った路面ではそんな歩き方では絶対に転んでしまうので危ない。足裏を地面に交互に擦り付けるようにするのが正しい歩き方です。
★Song 3 Eddie Mottau / Waitin’ Out The Winter
この曲が収録されたアルバム『No Turning Around』は73年の作品。以前からジャケットが気に入っていたのだが、私が入手できたのは2001年の『名盤の殿堂』シリーズの1枚として発売された時のCDが最初。スワンプ系の名盤としてその名は知っていたが、これも間違いなく素晴らしい作品だった。彼はソロとして2作品しか出していないが、ジョン・レノンの『Walls And Bridges』にアコースティック・ギターで参加している。
◎画像4 Kayak/Kayak(LP) + Kayak/Wintertime (Single)
SSW系を二つ紹介したが、続いてはカケレコ常連の皆さんにはお馴染みのオランダのカヤック(Kayak)。74年のセカンド・アルバム『Kayak』からシングル・カットもされていた曲。日本でもアルバムの方は本国とほぼ同時期に発売されていた。彼らの面白さは、プログレ系の姿勢を見せながらも基本的にはポップな味わいを持っているところ。この「ウィンター・タイム」では、メロトロンと同時にアコーディオンが使われているのも面白いが、個人的にはパパパ・コーラスが飛び出すところが興味深かった。アコーディオンの響きはどこか年末の街の雑踏を思わせる。
★Song 4 Kayak / Wintertime
カヤックにまつわる思い出はたくさんあるのだが、同じジャケットでもタイトル違いがあってややこしかったことが一番かもしれない。4作目の『The Last Encore』(‘76)のつもりで米Janus盤を買ってきたのだが、家に帰ってきてよく見ると同じジャケット・デザインなのにじつは5作目『Starlight Dancer』(’77)だったこと。(ジャケットの下にちゃんとStarlight Dancerとは書かれているのだが、絶対にわかりにくい。)
3作目『Royal Bed Bouncer』(‘75)(これは大傑作!)と6作目『Phantom Of The Night』(’78)も、やはり米Janus盤は完全に独自のジャケットになっていた。もっと言えば、『Phantom Of The Night』のジャケットを使用した2009年の米Renaissance盤『Phantom Of The Night』もじつは(The Very Best Of)という副題がついて、その副題どおりベスト盤になっている。さすがに、その時代には迷うことなくベスト盤だろうと予想はついたのだが・・・。
気を取り直して、今度は「冬の公園の様子」から2曲。
◎画像5 Simon Dupree & The Big Sound / Kites (single)
最初はその昔の冬遊びの定番の「凧(たこ)」。私の年代までくらいだろうか。子どもの頃に凧揚げをしたのは。今は、そんな光景も目にしなくなったような気がするが・・・。今思い返してみると、皆でコマも回していたし、普段の一番の遊びはメンコ(パッチ)だった。
で、紹介するのは英国のサイモン・デュプリー&ザ・ビッグ・サウンズ(Simon Dupree & The Big Sound)の67年の「Kites」。やはり凧揚げは風が重要ということで、効果音として風の音がメロトロンと一緒に使われている。テーマ・メロディはどこか東洋風で、なぜか女性のナレーションも入るのも不思議。この女性はジャッキー・チャン(Jacqui Chan)(!) という名のモデル、女優だそうだ。
この曲は「凧」と言っても、「愛している」の言葉を金の文字で書いて伝える・・・という内容で、子どもの遊びではなかった。でも、広いところで風に乗せて浮かべるあの「凧」であることは間違いない。
★Song 5 Simon Dupree & The Big Sound / Kites
皆さんお気づきだろうが、このバンドはジェントル・ジャイアント(Gentle Giant)の前身である。私も80年代にSee For Milesから出たベスト盤レコードでその音を初めて聞くことが出来た。その中でも一番印象に残ったのがこの「Kites」だった。間違いなく、ヴォーカルはデレク・シャルマン(Derek Shulman)の声だった。
驚くのは、この曲は日本でもシングル盤として『想い出の北風』のタイトルでリリースされていたこと。メンバーはシャルマン3兄弟が中心で、「Simon Dupreeとは誰か?」というと、そのデレクを指していることは後にわかった。
彼らは、かなりのシングルを出したのだが、「Kites」以降のヒットもなく、かなり悩んだあげく、敢えてアンチ・コマーシャルな態度でジェントル・ジャイアントの結成に至るわけだ。その変貌が大成功だったことは多くが認めるところだろう。
◎画像6 Steely Dan /Pretzel Logic (LP)
「これは意外な選曲!」と思われそうだが、スティーリー・ダン(Steely Dan)からも1曲。彼らの3作目『Pretzel Logic』(‘74)の中の「Charlie Freak」を選んだ。このアルバムのジャケットもブルース・コバーンと同様にモノクロ。冬の道ばたでプレッツェル屋台を出している親父さんの姿をとらえているのだが、よく考えるとかなり地味だ。
収録された各曲の歌詞を見ると、冬のLA、その寒さの中、屋台で並んだ知り合いとのちょっとした会話だったり、公園のベンチに座って白い息を吐きながら世間話をしたりしているような内容が多いように思えた。そう想像してみると楽しい。
そんな中でこの「Charlie Freak」の歌詞も「3つの指輪を巡る世間話」なのだが、ピアノを中心とした軽快なテンポもいいし、後半には鈴の音が聞こえて、クリスマス時期の街の様子が想像してしまう。
★Song 6 Steely Dan / Charlie Freak
私は彼らの作品の中で一番良く聴くのがこのアルバムなのだが、自分自身のプレイ・リストには1曲前の「銃さえあればね(With Gun)」とこの「Charlie Freak」をメドレーにして流している。コンパクトにまとまって、なかなかいい気分になれる。
Steely Danに関しては何も説明は必要ないと思うのだが、デヴュー・アルバム『Can’t Buy A Thrill』とシングル「Do It Again」が出たばかりの72年、ラジオ局主催のフィルム・コンサートに出かけて同曲のプロモーション映像を見た。曲は気に入ったのだが、今考えてみるとウォルター・ベッカー(Walter Becker)もドナルド・フェイゲン(Donald Fagen)も全く目立っていなかった。その時会場で配られた東芝の資料にはラズベリーズ(Raspberries)とフラッシュ(Flash)のデビューのことも載っていて、そちらの方が気になって仕方がなかった。新人のラズベリーズは「Go All The Way」をラジオで聴いて気に入っていたし、フラッシュは元イエスのピーター・バンクス(Peter Banks)の新たなバンドということで興味津々だった。そんな時期の話だ。
◎画像7 Steve Miller Band / Book Of Dreams (LP) + 冬将軍(single)
もう一つ、超有名なスティーヴ・ミラー・バンド(Steve Miller Band)の「冬将軍(Winter Time)」(‘77)を持ってきた。木枯らしの風景を連想させるエフェクトと悲しげなハーモニカがじつに味わい深い。米国では「Swing Town」のB面としてのシングルだったが、日本では逆にこの「冬将軍」(この邦題は見事だった)をA面にして発売したことで結構売れたようだ。日本人には受けそうなメロディーを持っていたことは間違いない。
★Song 7 Steve Miller Band / Winter Time
68年のアルバム・デビュー以来、現在に至るまで活動を続ける米国を代表するロック・バンドのひとつ。私が彼らを初めて聴いたのは72年、ラジオでかかった「真夜中のタンゴ(Steve Miller’s Midnight Tango)」だった。70年のアルバム『Number.5』からカットされたシングルで、気だるい曲調が幻想的でそれが魅力的だった。その後聴いた72年の『エデンからの旅(Recall The Beginning~Journey From Eden)』のラスト・ナンバーも似たような曲調だったこともあり、SMBは幻想的なロック・バンドと認識してしまった。それは、誤解であったわけだが、正解でもあったと今でも思っている。
翌73年の『ジョーカー(The Joker)』が米国で大ヒットしたことで、その後の『鷲の爪(Flying Like An Eagle)』(‘76)、「冬将軍」を収録した『ペガサスの祈り(Book Of Dreams)』(’77)は日本でも大いに売れた。さらに82年の『アブラカダブラ(Abracadabra)』ではタイトル通り魔法のようなヒットになった。何とディスコでも人気が高くなったというし、その冬私が行ったスキー場でもゲレンデで一日中流れていたことが今も忘れられない。
◎画像8 Sting / If On A Winter’s Night… (CD)
クリスマス関係の曲も1曲。数ある中から今回はスティング(Sting)のイギリス伝統のクリスマス音楽集、2009年の『If On A Winter’s Night…』からの1曲「Soul Cake」を取り上げる。このアルバムのジャケットも雪景色の中のStingの姿。彼はメジャーな存在であり続けてはいるものの、より深い純音楽的な世界で活動を続けている印象があって頼もしい。
本作には「Stingにとって冬は一番好きな季節」と記されている。皆さんにとって「冬」とはどういう季節なのだろうか。私にとっては、子どもの頃は楽しい行事がいろいろあって好きな季節だった。しかし、「寒さ」もそうだが何よりも北の地に住んでいては「雪」の厄介さが生活に大きな影響を及ぼすことで今では「早く過ぎて欲しい季節」になってしまった。
でも、夜中街灯に照らされた中で静かに「雪」が降る様子を見るのは今も大好きだ。
★Song 8 Sting / Soul Cake
78年、ポリス(The Police)がデビューした。その頃はニュー・ウェイヴ、パンク系の音楽が洋楽の中心だっただけに、ポリスも同様のバンドという先入観が働き、大きな期待も持たずにいた。しかし、翌年レコード店で流れていた曲に釘付けとなった。それが、2枚目『白いレガッタ(Regatta de Blanc)』だった。流れていたのはアルバムのA面。「孤独のメッセージ(Message In A Bottle)」からタイトル曲を聞いただけでその凄さを感じ取ってしまった。その後の彼らの人気ぶりも凄かったが、83年には一度活動を停止してしまった。
アンディ・サマーズとスチュワート・コープランドの名は知っていたが、スティングは初めて聞く名前。しかし、80年代半ばからの彼の作品は「Russians」「English Man In New York」「Shape Of My Heart」等印象に残るような名曲揃いで、一気にその魅力にとりつかれた。
決定的だったのが2006年に『Songs From The Labyrinth』がリリースされたことだった。ベテランのリュート・プレイヤーのEdin Karamazovとの共演盤で、何とすべて16~17世紀のイングランドの作曲家、ジョン・ダウランドの作品をリュート演奏とスティングの歌と語りのコラボレーションという形のクラシック作品。(フォーカスのヤン・アッカーマンのソロにもダウランドのリュート作品があった。)
私は大学時代にドイツのクラシック・レコード・レーベルHarmonia Mundiから出されていた古楽曲に凝ったことがあり(国内盤がドイツ・ロックやDawnレーベルを抱えたテイチクから出されていた)、その中のダウランドの作品群、中でも「涙のパヴァーヌ」が忘れられない1曲だった。それだけにこのアルバムは驚くと同時に、とても嬉しかった。
さらに、その流れを受けたような作品が今回取り上げた「Soul Cake」を含む『If On A Winter’s Night…』というわけだ。どちらも「今の世の中に平穏を・・・・」といったメッセージを感じる作品に思える。
◎画像9 Mary Laforet / Il a Neige Sur Yesterday
続いてもクリスマス気分を漂わせた曲で「雪降る宵」。歌は女優で歌手のマリー・ラフォレ(Mary Laforet)で77年にフランスでシングルとしてリリースされた。ラフォレといえば、代表的な出演映画が60年の『太陽がいっぱい』でアラン・ドロンと共演している。監督は『禁じられた遊び』で知られるルネ・クレマン。日本でも何度も吹き替え入りでTV放映されていて、私もずいぶん昔に見た覚えがある。マルジュ役のラフォレの最後の叫びが印象的だった。
日本ではシングルになっていないこの曲を初めて知ったのは、レイモン・ルフェーヴル・オーケストラ(以下RLO)の演奏。「何て冬らしい素敵なメロディー」なのだろうと思い、当時のオーケストラ作品はヒット曲をインスト演奏しているのがほとんどなので、元歌が誰なのかが知りたくてジリジリした。RLOのアルバムを探し、解説を読むと「マリー・ラフォレの歌で、フランスではかなりヒットした」ことまで分かったが、日本で当時レコード発売された形跡がなかった。結局80年になって『ハーモニー』という日本盤に収録されたことが分かったのだが、私がそのレコードで入手できたのはほんの数年前。その前に既にCDの『Gold』というベスト盤に入っていることで手に入れたことも思い出の1曲。
RLO盤は当時『冬の歌(Winter Song)セレクション』として、レコードからRLOの演奏盤の方をカセット・テープに録音したのだが、周囲に聞かせると特に評判がよかった1曲となった。
★Song 9 Mary Laforet / Il a Neige Sur Yesterday
この曲は曲そのものの良さとは別にちょっと違った楽しみがあって、タイトルにある『Yesterday』がそのヒントになる。勘のいい方はお分かりかと思うが、ビートルズの曲のタイトルが幾つも歌詞の中に散りばめられているのだ。何曲気づくだろうか? よく耳を澄ませて聞いていただきたい。
ビートルズとしては、今年2023年「ナウ・アンド・ゼン(Now And Then)」が新曲としてリリースされたことが話題になった。輸入盤のシングルで買おうと思ったのだが、結構高いし・・・と迷っているうちにあっという間に売り切れ。結局、国内盤でアルバム青盤(1967-70)を、赤盤(1962-66)と一緒に買ってしまった。一体これまで何セット買ったことになるだろうか。肝心の新曲の内容は・・・これから年末にかけて聞く方もいると思うので、また改めて触れたいと思う。
◎画像10 Gypsy/Gypsy (LP)
クリスマスが過ぎ、いよいよ年末。こんな題名の歌もあるというので米Metromediaから70年に2枚組でデビューしたジプシー(Gypsy)の同名LPからの1曲。日本でもデビュー・シングル「ジプシー・クイーン(Gypsy Queen Part1)」が結構ヒットしたアメリカ・ミネソタ出身の5人組オルガン・ロック・バンド。チェコ出身のアール・ヌーヴォー様式の有名な画家、ミューシャ(Mucha)の絵画をジャケットにそのまま使っている。彼の絵はすぐにそれと分かるので、おそらく皆見たことがあるだろうと思う。その一方でジプシーというバンドは他にいくつも存在するので、迷う方もいるかも知れない。
★Song 10 Gypsy / Late December
オルガンを使ったアメリカのバンドはサイケデリック・ロック系のヴァニラ・ファッジ(Vanilla Fudge)が代表格と言えるが、このジプシーはサンタナ(Santana)のラテン風味に少しプログレッシヴに近づけたような音楽性を持っている。この曲のタイトルは「Late December」で「12月の下旬」ということになる。今年は久しぶりに忘年会もあるだろうが、飲み過ぎや気をつけたいものだ。と、自分に言い聞かせている。
彼らはオルガン、ギターを中心にコーラスも見事にこなすという、当時としては新しい感覚を持った面白いバンドだった。翌年にはセカンド・アルバム『In The Garden』が出され、これもなかなかよかった。このジプシーをはじめ、ブラッドロック(Bloodrock)、レア・アース(Rare Earth)といったバンドに関しては近いうちに本コラムでも取り上げてみたい。
◎画像11 Association / Waterbed in Trindadad !(LP)
「スノー・クイーン」は、キャロル・キングの名曲(もちろんGoffin-King作)として有名で、自身のバンドThe Cityで68年の唯一のアルバム『Now That Everything’s Been Said』の1曲目に収録。同年Roger Nichols & The Small Circle Of Friendsのソフト・ロック名盤にも収録されている超有名曲だ。
さらに、72年ソフト・ロックの王者アソシエイション(The Association)の最終作『アソシエイションの新しい世界(Waterbeds In Trinidad)』で取り上げていたのだが、こちらは意外と知られていない。このアルバムのジャケットは、凍った海の上で撮った寒々とした光景になっているので、今回はアソシエイション・バージョンで聞いてみたい。
★Song 11 The Association / Snow Queen
クールな曲調が魅力的な作品だが、私が初めて聞いたのはBS&T(Blood Sweat & Tears)の72年のアルバム『New Blood』でのカバーだった。ハービー・ハンコック(Herbie Hancock)の「処女航海」につなげてのメドレーになっていて、そちらも素晴らしい演奏だった。
◎画像12 Hunter Muskett / Every Time You Move(LP)
伝説話の「Snow Queen」の次は、本物の雪の歌「Snow」。英国Deram/Novaから70年にリリースされたハンター・マスケット(Hunter Muskett)のファースト・アルバム『Every Time You Move』のラストにひっそりと収録されていた曲。3人組のフォーク・ロック・グループでもう1枚英Bradley’sからセカンド・アルバムをリリースしていて、そちらの方がよく見かけるかもしれない。音楽的には英国の正統的なフォーク・ロックなのだが、時にオーケストラも導入して繊細でドラマチックな展開を見せる素敵な曲が多い。同傾向のマグナ・カルタ(Magna Carta)よりは荘厳な雰囲気を感じ取れると言えるかも知れない。
★Song 12 Hunter Muskett / Snow
この『Every Time You Move』も原盤はレアだが、CD化されていて、新たにレコードとしても出されている。私もCDで初めて聞くことが出来、この曲に出会えたわけだ。それにしても、未知の眠っている素晴らしい音源がまだたくさんあるのだろうと思うと気が遠くなってくる・・・が楽しみでもある。
◎画像13 Fotheringay / Fotheringay (LP)
ここまで「冬の歌」を並べてくると、やはり続けて聞きたくなるのがサンディ・デニー(Sandy Denny)の歌声になる。フェアポート・コンベンション(Fairport Convention)(以下FC)も彼女のソロもいいが、ここでは英Islandから70年にリリースされたフォザリンゲイ(Fotheringay)の「Winter Winds」を聞いてみたい。
トラッド系の英国フォークは少々敷居が高いという感が強かったが、エレクトリックを導入した時期から一般的な人気を得るようになったと言える。私はサンディのヴォーカルに接して英国フォークに近づいたようなものだ。彼女が唄うFCの「Matty Groves」とアンソロジーのタイトルにもなった「Who Knows Where The Time Goes」がその入口になった。78年の彼女の訃報を聞いたときには本当にショックだった。
★Song 13 Fotheringay / Winter Winds
私にとってブリティッシュ・フォークは、バート・ヤンシュ(Bert Jansch)とジョン・レンバーン(John Renbourn)、そしてリチャード・トンプソン(Richard Thompson)といったギタリストは別格として、サンディ・デニー、そしてペンタングル(Pentangle)のジャッキー・マクシー(Jaqui McShee)、スティーライ・スパン(Steeleye Span)のマディ・プライアー(Maddy Prior)という女性ヴォーカリストがいたからこそ聞き続けてきたように思える。こうしたバンドの存在も英国の宝だ。
◎画像14 Miguel Rios / A Song Of Joy (single)
最後に用意したのは、スペインのミゲル・リオス(Miguel Rios)の70年の大ヒット曲。日本でも発売された「よろこびのシンフォニー<第9>」だ。「ベートーベンの交響曲第9番の第4楽章」をアレンジしたフル・オーケストラ、合唱団付の壮大な曲だ。曲そのものについては、知らない人はいないだろう。合唱の部分、原曲はドイツ語なのだが、アルバムでは英語とスペイン語の2バージョンが収録されているのだが、シングル盤として米盤では「A Song Of Joy」として英語で、日本盤も英語で70年7月に発売されている。
まずは、オリジナルにあたる70年バージョンを聞いていただこう。口パクのモノクロ画面だが、当時のこの曲のウリであったフル・オーケストラをバックに従えた豪華な映像だ。因みに、映っているオーケストラはレコーディングに参加したワルデ・ロス・リオス・オーケストラというクラシックを得意とするイージー・リスニング系の楽団だ。(合唱団は参加していないのが残念。)
★Song 14 Miguel Rios / Himno A La Alegria
日本では全国各所で『第9音楽会』が年末に開催される恒例行事になっているが、ベートーベンの音楽がそれだけ愛され続けているということは凄いことだと素直に思う。
ミゲル・リオスは、63年から歌手活動を続ける大ベテラン歌手。日本ではこの曲がヒットしたこともあって、続けてもう1枚シングルを出しているが、その後は忘れられてしまった。アメリカでもヒットしたが、やはりこの曲のみだった。この当時、スペインからはトニー・ロナルド(Tony Ronald)の「恋のヘルプ」のヒットがあったし、何といっても「マミー・ブルー」で大当たりしたポップ・トップスもスペインのバンドだった。みんな一発屋になってしまった。
じつはミゲル・リオスの方は、日本でも95年になって76年のアルバムがCDとしてマーキーから発売されたていた。タイトルは「原子の果樹園(予弁法の物語)~La Huerta Atomica」と、何とも難しい名前がついてしまった。確かにシンフォニック・ロック的な作品なのだが、そのリリースがあまりに唐突に思えてしまった。
ミゲルは本国ではベテラン・シンガーとして、それこそスペインのロック・アイコンになるほどの活躍をみせていた。1982年にバルセロナで行われた彼のコンサートは歴史に残るものとなり、その40周年を記念した2022年のコンサートの模様が今年になって発売されている。そのコンサートの様子がネットでも見ることができ、そこに「よろこびのシンフォニー」が当然のこと含まれていた。その映像はとにかく驚きの内容だったので、是非見ていただきたい。
★Song15.Miguel Rios – Homenaje a Miguel / Himno a la Alegria (Rock&Rios and Cia.40 Anos Despues)
冒頭の2本のギター演奏の途中、あのフォーカスのタイス・ファン・レアが登場してビックリ。彼はこのコンサートにゲスト参加していたのだ。そして唄うミゲル・リオスはさすがに年齢を重ねていたものの、歌声は健在。そして完全にロック・バージョンになった「よろこびのシンフォニー」はオリジナルとはまた違った面白さを見せてくれた。本当に素晴らしい。これで、1年を締め括ることができる。
いかがだったでしょうか。いつもと違う雰囲気の今回の「コラム・ザ・リフレクション」のNo.68。やはり、仕上げる作業量としてはこれまでとほぼ同様でしたが、自分の好きな曲を、ジャンルも飛び越してあれこれ選ぶ作業はやはり楽しいものです。
じつは、今回の元は2017年にカケレコさんのミニコミに寄稿した「冬の歌」です。実際には作業を始めてからそのことを思いだし、その拡大バージョンとして作成したものなのですが、選ぶ基準は「0」からにしました。ただ、やはりどうしてもこだわりがあってどうしても取り上げたかった曲が3曲重なっています。ただ、曲解説はすべて今回新規に作成したものです。
10曲を基準に選ぼうと思ったのですが、候補曲として選んだものがその4倍強。そこからのセレクトです。昔のレコードを考えるとポップスならば片面6曲くらいまで入っていたと考え絞っていきました。
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『第9』に関しては思い出があります。私が通っていた小学校では卒業式の全校合唱が「よろこびの歌」でした。「晴れたる青空、漂う雲よ。小鳥は歌えリ、林に森に・・・」と歌うのですが、最初に聞いた時「何ていい歌なのだろう。」と素直に思ったものでした。在校生の立場で何度か歌い、「自分が卒業する時も歌うのだ・・」と思っていたら、6年間通った小学校最後の2学期を終えた冬休みに、家の転居のため転校することになったのです。転校先の小学校の卒業式では全校合唱は別の歌でした。「あれだけ好きだった歌を自分の卒業式には歌えないし、聞けないのだ」と思ったら少し寂しくなりました。
そして中学に入り、もうそんなことも忘れていた夏、このミゲル・リオスの「よろこびのシンフォニー」がラジオから新曲としてかかった時に、私は当時の中坊なりに急に感傷的になりました。年末が近づくと、さらにラジオでのオン・エアが多くなり嬉しかったものです。
TVでも『第9』の演奏が放送されていることを知り、見たのですが、あのメロディーはいつ出てくるのかとずいぶんと待たされました。しかし、高校に入る頃にようやく『ベートーベンの交響曲第9番』として全体が認知できるようになり、今では、地元のオーケストラ(札幌交響楽団)の『第9』年末コンサートには必ず出かけることで1年を締め括るようにしています。もう、どれだけ通ったでしょうか。
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何か慌ただしく、不穏さが世界を覆う中でこの1年が過ぎていきます。皆さんにとってはどのような1年だったでしょうか。私は例年より少し忙しい1年になってしまったのですが、「3月の大谷のWBCでの大活躍からエンゼルスでの一挙一動、そして12月に入ってからのドジャース入りのニュースに至るまで」といった話題が一番の元気の素になったような気がします。
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前回の私の「ジャズ・ロック」の記事中、ヘンリー・カウのファースト・アルバムのメンバーに関して「リンゼイ・クーパー」と入れましたが、正しくは「ジェフ・レイ」でした。ご指摘いただいたこと、ありがたく思います。記事の方は既に訂正済みです。ご了承下さい。
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何とか、今年も毎月「コラム」に向かい、12ヶ月を終えることができました。読んで下さった皆様、ありがとうございます。 それでは、皆さん、よいお年をお迎え下さい。 H.G
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69年作3rd。英アルバム・チャート最高18位。デビュー・シングル「アイ・ビリーヴ・マイ・タイム・エイント・ロング」をはじめ、ビートルズの「サンキング」にも影響を与えたとされる美しいインスト曲「あほうどり(アルバトロス)」(初の全英No.1シングル)、ここ日本ではサンタナのカヴァーで有名な「ブラック・マッジク・ウーマン」などを収録。極めてベスト盤的な内容に仕上げられている。なお、この時期からダニー・カーワンが参加、ピーター・グリーン、ジェレミー・スペンサーとのトリプル・ギター編成となる。
英ブルース・ロックの名グループ、ダニー・カーワンが参加して初、ピーター・グリーンの最後の参加作となる69年の3rd。初期のR&B色は薄まり、アーシー&サイケデリックな色彩が増しています。その中で深淵なる精神性を音で聴かせる天才ピーター・グリーンのギターが特筆。繊細でいて芳醇。枯れていつつもメランコリック。派手さはないものの、円熟の境地に達した味わい深すぎる名作。
EXPANDED EDITION、デジタル・リマスター、ボーナス・トラック5曲、定価1800+税
盤質:傷あり
状態:並
帯無
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盤質:無傷/小傷
状態:
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スリップケース付き、デジタル・リマスター、ボーナス・トラック1曲
盤質:無傷/小傷
状態:良好
ページ一部に汚れあり、スリップケースに若干圧痕・若干折れあり
60年代より活動、ジョン・レノンに重用されツアー帯同や『Walls & Bridges』、『Rock’n’Roll』などの作品で演奏したボストン出身SSW/ギタリスト、76年の2ndアルバム。上品さすら感じる優しげな響きのアコースティック・ギターと、心地よい涼風のように軽やかな歌声で、爽やかさ100%のフォーク・ロック&カントリー・ブルースを奏でます。伸びやかなプレイでアコギに寄り添う芳醇なベースも絶品。次々と紡ぎ出される切ないメロディにもグッと来っぱなしです。傑作と誉れ高い前作『No Moulding』にも負けない情感豊かなフォーク・ロック名品。
オランダの名プログレ・グループ、73年のデビュー作。コロコロとクラシカルでリリカルなピアノ、透明感のあるトーンの伸びやかなキーボードを軸に、性急なギターやゴリゴリとアグレッシヴなベースなどイエス譲りのダイナミズムを盛り込んだサウンドが印象的。ELOやPILOTあたりの英ポップに通ずるキャッチーなメロディも魅力的で、イエス『危機』ばりのハイ・トーンのコーラス・ワークも見事。1曲目からイングランドやドゥルイドあたりの英プログレ・ファンにはたまらないサウンドで、中間部では、ジェネシスばりの幻想的なギター・ソロまで飛び出して、胸が熱くなります。2曲目以降もジェントル・ジャイアントばりに変拍子でキメまくるスリリングなアンサンブルやP.F.M.ばりに格調高いアンサンブルなど、めくるめくドラマティックかつメロディアスな展開で畳みかけます。イエスやジェントル・ジャイアントやグリーンスレイドあたりのファンは必聴!
オランダの名プログレ・グループ、74年作の2nd。前年リリースのデビュー作の延長線上にあるサウンドで、イエスやジェネシス meets ELOやパイロットと言えるキャッチーかつドラマティックなプログレが印象的。オープニング・ナンバーから超絶キャッチーな名曲で、イエス譲りのゴリゴリ・ベース、鋭角に切れ込むメロディアスなギターが疾走する中、ハイ・トーンのヴォーカルが美しいメロディを歌い、コーラスがどこまでもクリアに広がります。ジェントル・ジャイアントばりの器楽的アンサンブルからXTCもびっくりなビートリッシュな楽曲まで、とにかくメロディ、アンサンブルともにキレ味抜群。イエスやグリーンスレイドあたりのファンは間違いなくグッときっぱなしでしょう。名作です。
精緻な作曲能力で、唯一無二のドラマチック・ソングを作らせたら右に出る者はいないとまで言える、STEELY DANの文句なしの大傑作。CDをセットして再生するだけで、そこはもう黄昏から夜の帳へと向かうニューヨークの夜景が一面に広がるかのよう。「我々は、最初のテレビ世代で、テレビの映像とともに流れている音楽、また映画のサウンドトラックとして使われているチープなジャズやジャズまがいのものに、とても影響を受けているんだ」と後にDonald Fagenが語ったように、ここにあるのは、日常の生活空間の中で奏でられるとある架空のサウンドトラックと言っても良いのでしょう。後に隆盛を誇るAORとは一線を画した、真に新しい音楽を創造しようとした彼らの気迫とセンスが溢れる、限りなく瀟洒な一枚です。
デジパック仕様、SACD/CDハイブリッド、DSDリマスタリング
盤質:全面に多数傷
状態:並
ケース不良、盤に研磨跡・若干汚れあり、トレーツメ折れあり、スレあり
SHM-CD+DVDの2枚組、ボーナス・トラック3曲、NTSC方式、リージョンフリー、日本語字幕あり、定価3048+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
帯に若干折れあり
紙ジャケット仕様、SHM-CD、エンハンスドCD仕様、デジタル・リマスター、シリアルナンバー入りレーベルカード封入、定価2667+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
ジャケ・側面の規格番号はUICY25089です、エンハンスドCD、定価1380+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
若干ケースツメ跡あり、帯に軽微な汚れあり
Sandy DennyとTrevor Lucasを中心に結成されたグループ。71年の唯一作。トラッド色は無く、フェアポートで言えば、2ndや3rdあたりに近い雰囲気。「時の流れを〜」にも似た、もの悲しくも力強い「THE SEA」など、名曲多数の名作。
アレンジをアルフレッド・カリオンが担当。シンフォニック・ロックの名作。
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