2023年11月2日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
プログレッシヴ・ロックのサブ・ジャンルの中でも、クセの強いエレクトロ・ミュージック系のアーティストたち。
KRAFTWERKを始祖として、特にドイツから個性的なアーティストたちが登場したことで知られていますよね。
そのあまりに先進的な音楽性に、なんとなく敬遠していたカケレコ・ユーザーのみなさんも少なくないのではないでしょうか。
今回はカケレコの在庫から、世界各国の電子音楽の名盤を取り上げ、新鋭アーティストたちへとカケハしていきましょう!
TANGERINE DREAMといえば『PHAEDRA』や『RUBYCON』といったアルバムが知られていますが、あえて76年の『STRATOSFEAR』をご紹介。
アナログ・シンセサイザーの無機質なシーケンスフレーズに加えて、生楽器の使用が相乗効果をもたらしている作品ですね。
TANGERINE DREAMやASH RA TEMPLEに関わったドラマーであり、ジャーマン・エレクトロの超重要人物。
あまり見かけない珍しい作品が入荷しています。
2010年の東京公演の模様を収めたライブ・アルバム!
3枚目は、CLUSTERのHans Joachim RoedeliusとDieter Moebius、そしてNEU!を経たMichael Rotherによって結成されたHARMONIAの傑作。
浮遊感とポップセンスを感じさせるミニマル・ミュージックが、とても魅力的です。
KRAFTWERKのメンバーKlaus DingerとMichael Rotherによって結成されたNEU!ですね。
ハンマー・ビートと呼ばれる無機質なビート感は、のちのダンス・ミュージックにも大きな影響を与えました。
ASH RA TEMPELは、デビュー後ジャーマン・エレクトロの名作を次々にドロップし、ASHRAに改名。
『NEW AGE OF EARTH』は現代のアンビエント・テクノに通じるサウンドが素晴らしい傑作です。
エストニアのプログレッシヴ・ロック・グループMESSで活動したシンセサイザー奏者による88年作。
電子楽器の響きが、西欧諸国とはまた違った味わいを持っています。
イタリアのキーボード奏者による78年作。
シンセサイザーを中心に、ピアノ、メロトロンを駆使したキーボード・プログレを展開しています。
シンフォニックなサウンドなので、エレクトロ系プログレの入門盤にも最適!
JEAN-MICHEL JARREは、ギネス記録級の観客動員でコンサートを行う、フランスを代表するシンセサイザー奏者です。
76年にリリースされた『OXYGENE』は、スペーシーな電子音楽の傑作です。
『炎のランナー』のサウンドトラックで知られる、ギリシャのアーティスト、VANGELIS。
フレデリック・ロシフ監督によるドキュメンタリーのサウンドトラックとしてリリースされた作品です。
カケレコにはレアな国内盤が入荷しています!
オーストリア出身のマルチインストゥルメンタル奏者Heinz Stroblによるプロジェクト・バンド。
GANDALFは、シンフォニックなサウンドがプログレ・ファンからも高く評価されていますね。
2020年代の南米から、まさかこんなレトロなエレクトロ・プログレを奏でるアーティストが登場するなんて!
ジャーマン・エレクトロの、70年代アイテムの初CD化作品と言われたら信じてしまいそうな音楽性ですね!
メキシコからは、シンフォニック・プログレ・バンドNIRGAL VALLISのキーボーディストJOSE LUIS FERNANDEZ LEDESMAの作品をピックアップ!
本作は、女性ミュージシャンMargarita Botelloとのコラボ・アルバムとなっています。
シンセサイザーのアプペジオにエキゾチックなパーカッションを絡めたアプローチなど、生の音色を大切にしていることが伝わってきます。
もう1枚、メキシコからご紹介。
ALEJANDRO VILLALON RENAUDは、TANGERINE DREAMの流れを汲むメディテーショナルで神秘的なエレクトロニック・ミュージックを聴かせます。
ひんやりした質感のシーケンスフレーズと、ファンタジックで温かみのある音使いが折り重なり、美しくも心地よい音空間が広がります。
CELESTEのリーダーとしても知られるイタリアのキーボーディスト、完全自作自演の22年ソロ作。
12分~14分台の全6曲で構成された作品で、どこかCELESTEにも通じる柔らかく神秘的な音世界が広がる情感豊かなアンビエント・ミュージック。
いかがだったでしょうか。
気になる作品が見つかりましたら幸いです!
イタリアのキーボード奏者、78年作。シンセサイザーを中心に、ピアノ、メロトロンを駆使したシンフォニックなキーボード・プログレ。シンセサイザーが中心ながら無機質さはなく、クラシックの確かな素養を土台にした、荘厳でエモーショナルなサウンドが印象的。バロック様式の教会で、クラシック音楽をシンセサイザーで演奏したようなイメージ。イタリアらしくアーティスティックな感性がほとばしる傑作。
70年代にはシンフォ・グループMESSを率い活動したエストニア出身のシンセサイザー奏者による88年2ndソロ。スペーシーなトーンのシンセサイザーを幾層にも重ねて作り上げられる音空間は、とにかく息をのむほどに壮大。無限に広がる宇宙空間を想起させる音像にただただ圧倒されます。TANGERINE DREAMやKlaus Schulzeらジャーマン・エレクトロに通じるスタイルですが、シンセの音に無機質な感触はなく、美しく繊細な出音が魅力的。どこか和のテイストを感じさせるパーカッションや弦楽器も自身で演奏、スペーシーなシンセサイザーと見事な調和を聴かせており、恐るべきセンスを発揮しています。IN SPEなど他のエストニア・プログレでも感じられた、時に宇宙すら通り越して異世界の景色が見えてきそうな途方もない映像喚起力を有した傑作です。
メキシコ出身のコンポーザー/キーボーディストによる23年作。TANGERINE DREAMの流れを汲むメディテーショナルで神秘的なエレクトロニック・ミュージックを聴かせます。ひんやりした質感のシーケンスフレーズと、ファンタジックで温かみのある音使いが折り重なり、美しくも心地よい音空間が広がります。TDファンなら一聴の価値ありの一枚です。
CELESTEのリーダーとしても知られるイタリアのキーボーディスト、完全自作自演の22年ソロ作。12分〜14分台の全6曲で構成された作品で、どこかCELESTEにも通じる柔らかく神秘的な音世界が広がる情感豊かなアンビエント・ミュージック。ゆったりと敷き詰められていくシンセを主体に、川のせせらぎや雨音のSEも交えてほんのりファンタジックにたゆたうサウンドは、まるで桃源郷にいるのような最高の心地よさをもたらしてくれます。明確なメロディはほとんど提示されないのですが、どこか「歌心」を感じさせる音作りはさすがイタリアで、他国の同系統作品とは一味違う温もりがこもっているような印象。イーノなどのアンビエント本流がお好きな方、またTANGERINE DREAMのエレクトロ感が強くないドリーミーな楽曲がお好きな方にも一度味わってみて欲しい作品です。
84年デビューのメキシカン・プログレ・フォーク・グループNIRGAL VALLISのリーダーで、21年に2ndをリリースしたSAENAでも中核を担うキーボーディスト/マルチ・プレイヤー、SAENAの女性ヴォーカルとの連名による22年作。細やかに鳴らされる緻密な打楽器群、浮遊感あるエレクトロニクス、ミニマルなピアノやアコーディオンらが融合した、たおやかで芳醇な音空間。そこに女性ヴォーカルが神秘的なスキャットを乗せると、ワールド・ミュージック的なエキゾチズムを放出する世にも美しきアンビエント・プログレが広がります。最高に心地よい音楽体験を提供してくれる一枚!
ブラジルのマルチ奏者、Daniel Klimekによるソロ・プロジェクト、MAGNUM OPUSの2023年作。内容は、TANGERINE DREAM周辺らドイツのシンセサイザー・アーティストたちを彷彿とさせるヴィンテージ・エレクトロ・ミュージックとなっています。Daniel Klimekはゲスト・プレイヤーを招くことなく自らの多重録音のみで本作を作り切っており、シンセサイザーはもちろんのこと、ギターやベース、サックスなどの楽器もプレイ。シンセサイザー音楽というと最先端の機材を用いるアーティストが多い中、アナログ・シンセサイザーの無機質なアルペジオ、ノイズなどの装飾音によるスペーシーな印象、シンセサイザーとギターのコンビネーションによるサイケデリックな酩酊感などを楽しめます。70年代のシンセサイザー・ミュージックを振り返る珍しい作風の1枚です。
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