2022年5月13日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ佐藤です。
北欧シンフォニック・ロックの原点に位置するバンドと言えばカイパですよね。
先日出たばかりの22年作『URSKOG』の出来栄えには、いつもながら感動してしまいました。
そんなスウェーデンが誇る名バンドKAIPAのファンに是非聴いてみていただきたい北欧プログレ作品が、70年代から現代にいたるまで数多くありますので、一挙ご紹介できればと思います♪
まずは会心の一枚となったKAIPAの22年作からスタート!!
北欧シンフォのレジェンド、5年ぶりとなる22年作!
Hans Lundinの幽玄なるシンセをバックに、Patrick Lundstromがフレディ・マーキュリーを思わせる力強くも厳かなヴォーカルを響かせるオープニング。次第にシンセが艶やかな色彩を帯び躍動し始めると、それにPer Nilssonが優美で滑らかなギタープレイで応じ、一転リズムを得てダイナミックに演奏が動き出します。
この開始3分でKAIPAの揺らぐことのないイマジネーション溢れ出す音世界に惹きこまれること必至。
特にギタリストPer Nilssonによる偉大な前任者Roine Stoltとは全く異なるアプローチながら、これぞKAIPAと言うしかないプレイが圧巻!
そんなKAIPAの歴史における最重要人物の一人がRoine Stolt。彼が率いるこのバンドも22年作をリリースしましたね☆
前作に続き2枚組の力作となった22年作。
どこまでもファンタジックでスケール大きなTFKサウンドに、ジャケの雰囲気からも読み取れるパーカスやアコーディオンが織りなす異国情緒が豊かな色彩を付与しています。
揺るぎないTFK節と飽くなき探求心が一体となった雄姿に敬服するしかない22年作!
TFKのフロントマンによる別働バンドの新作も、実はKAIPAファンに聴いて欲しい作品だったりします。
キーボードが担うTFKばりのスケール大きな音作りの中で、熱く歌い込むハッセのハスキー・ヴォーカルとメロディアスなギターがドラマチックに絡み合う、高品質なハード・ポップを繰り広げます。
TFKファンは勿論、KAIPAやKAYAKがお好きなプログレ・ファンにもオススメ!
さて、KAIPAファンへのオススメ盤として一押ししているのが、彼らと同郷スウェーデンのこのマイナー・シンフォ名品☆
スウェーデン出身のキーボード・シンフォ・トリオが79年に残した唯一の作品。
決して技巧派というわけじゃないけれど、オランダのTRACEと同郷KAIPAを溶け合わせたような、クラシカルな美麗さと北欧然とした透明感&温かみが融合したサウンドが至上。
こりゃ秘宝感満点のジャケット通りのサウンドだなぁ。
基本ジャズ・ロックなのですが、KAIPA味が感じられるこの作品も大変良いです!
聴いて頭に浮かんだコピーは「カイパ meets イル・ヴォーロ」。
キレ味と流麗さが同居したデンマーク産インスト・ジャズ・ロックの隠れ名作!
北欧と言っておきながら、オランダのこのグループも引っ張り出しちゃいましょう☆
イエスやフォーカスや北欧のカイパが好きなら、このオランダのマイナー・グループには「おおっ」と前のめりになっちゃうはず!
エネルギッシュなリズム隊&ギターと、涼やかなトーンのキーボード&流麗なフルートやサックスによる、緩急しなやかな演奏に惹き込まれます。
地味なジャケットが何とも惜しい…。
新鋭にもKAIPAへのリスペクトが感じられる北欧シンフォ良作がございますよ~。
まるで初期GENESISとSPOCK’S BEARDを合体させたみたい!?
英プログレ譲りの奥ゆかしいファンタジックさと突き抜けるようなキャッチ―なメロディメイクが素晴らしき調和を果たした北欧新鋭19年作!
ラストは北欧ではなく日本から、KAIPAのあの方がゲスト参加した一枚をご紹介。
うさぎのジャケがファンタスティック~。音も70年代プログレへのオマージュや北欧新鋭とのリンクも感じさせるシンフォニック・ロック。
なに?日本の新鋭による11年作で、KAIPAのHans Lundinがゲスト参加してるって?
いかがでしたか?よろしければこちらの記事もどうぞ。
【関連記事】
新作リリース&来日決定を記念して、スウェーデンの大御所バンドTHE FLOWER KINGSを率いる才人ロイネ・ストルトに迫ってまいりたいと思います!
70年代プログレへのオマージュに溢れた日本のミュージシャン。2011年のデビュー作。北欧の神秘的な森が目に浮かぶような静謐なイントロから、メロトロンを想わせるキーボードが荘厳に広がり、ミニマルな繰り返しの中にKAIPAなどに通じる叙情美が浮かびあがります。クラシックのスピード感溢れるカバー、鉄琴や木琴がダンサンブルに躍動する中をキーボードが流麗なフレーズを奏でる楽曲、スピーディーな変拍子とコロコロと優美なキーボードがジャケット通りのファンタスティックなサウンドを描く楽曲、ちょっぴりELOを彷彿とさせるスペーシーかつリリカルなテーマが胸を打つ楽曲など、全曲インストながら、印象的なメロディに富んだ楽曲が続きます。70年代プログレの遺伝子とポスト・ロック以降の音響センスとを併せ持つ感覚は、HOSTSONATENなどでお馴染みのイタリアの奇才Fabio Zuffantiをも彷彿とさせます。ファンタスティックなジャケットに「おっ!」となったリスナーは気に入るでしょう。KAIPAのKey奏者Hans Lundinが1曲でゲスト参加。
デンマークのインスト・ジャズ・ロック・バンド、ポリドールから76年にリリースされたデビュー作。聴いて頭に浮かんだコピーは「カイパ meets イル・ヴォーロ」。カイパに通じる北欧らしい幻想性やリリシズムに加え、イル・ヴォーロを彷彿させる清涼感あるフュージョン・ロック風味があって、このバンドはいいなぁ。シャープかつ手数多く引き締まったリズム・セクションをはじめ、テクニックも特筆だし、キレ味と流麗さが同居したアンサンブルも見事。これは名作です。
女性Key奏者&ヴォーカル、サックス&フルート奏者を擁するオランダの5人組プログレ・バンド、76年唯一作。太くもエッジの立ったトーンのリズムと粒立ちの良いキャッチーなリードがフォーカスを彷彿させるエレキ・ギター、ゴリゴリと疾走するベース、手数多くスピーディーに畳み掛けるドラム、そして、エネルギッシュなリズム隊&ギターと対照的に、涼やかなトーンのキーボード、流麗なフルートやサックス。そんな各パートが押しては引いてのせめぎあいを続ける「緩」「急」いっぱいのアンサンブルが持ち味です。イエスやフォーカスや北欧のカイパが好きなら「おおっ」となることでしょう。インスト中心ながら、時にハイ・トーンの女性ヴォーカルも入るのも特筆。ちょっとバタバタ感はいなめませんが、そのB級感がまた愛すべきところであり、リード・ギターをはじめ、リードはハッとするメロディに溢れています。
07年にデビューした現北欧屈指の実力派シンフォ・バンド、19年作。英国的な奥ゆかしさを感じさせるファンタジーとキャッチ―に突き抜けたメロディで綴られる、爽快感いっぱいのテクニカル・シンフォニック・ロックは、まるで初期GENESISとSPOCK’S BEARDを合体させたかのよう!七色に輝くようなシンセとヴィンテージで味わい深いオルガン、Roine Stoltばりの歌うようにメロウなフレーズで躍動するギター、そして少し鼻にかかった温かみあるヴォーカルと一糸乱れず舞い上がるコーラスワーク。変拍子満載で音数多く技巧的ながらもヘヴィな音はほとんどなく、終始瑞々しく優美なサウンドで駆け抜けるアンサンブルに感動がこみ上げます。KAIPAを思わせるクリアな広がりを持ったサウンドメイクに北欧らしさもたっぷり感じられる傑作です。
スウェーデン出身のキーボード・シンフォ・トリオが79年に残した唯一の作品。これは、オランダのTRACEと同郷のKAIPAを合わせたようなサウンド!気品高く美旋律を紡ぐクラシカルなオルガン、北欧然とした透明度高くデリケートな音色のシンセ、そしてどこか人懐っこく温かみあるスウェーデン語ヴォーカルが織りなすシンフォニック・サウンドは、技巧的ではありませんが、両バンドに通じる味わいを持っています。気高く飛翔するヴァイオリンやトランペットもアンサンブルを劇的に彩っていて至上。秘宝感満点のジャケット通り、これは北欧シンフォ・ファンならマストな一枚!
名実ともに北欧を代表するシンフォニック・ロック・グループ、5年ぶりに届けられた22年14thアルバム。19分、15分という2つの大作を収録した気合いの入った内容となっています。冒頭の19分のナンバーから早くも感動。Hans Lundinの幽玄なるシンセをバックに、Patrick Lundstromがフレディ・マーキュリーを思わせる力強くも厳かなヴォーカルを響かせるオープニング。次第にシンセが艶やかな色彩を帯び躍動し始めると、それにPer Nilssonが優美で滑らかなギタープレイで応じ、一転リズムを得てダイナミックに演奏が動き出します。この開始3分でKAIPAの揺らぐことのないイマジネーション溢れ出す音世界に惹きこまれること必至。TFKでも活躍するJonas Reingold&新加入でMartin BarreやFROST*の作品に参加するドラマーDarby Toddによる重量感あるタイトなリズム・セクションが、キーボードやギターの天上に浮遊するような幻想的な演奏をしっかり地上に繋ぎとめているのも特筆です。Patrickとの熱いデュエットを中心としつつ、時には持ち前の美声を生かしソロでも歌うAleena Gibsonのパフォーマンスにも注目。そして前作でも感じましたが、Roine Stoltという偉大なる前任者とは全く異なるアプローチで北欧プログレ然としたギターサウンドを確立したPer Nilssonのプレイは特に圧巻の一言で、随所にメタル出自を感じるテクニカルな速弾きを交えつつも決してヘヴィにならず一貫して幻想感たっぷりのデリケートなタッチを保ち続ける演奏は必聴です。もう一つの大作である15分の最終曲はTFKファンに聴いて欲しいスケールいっぱいでエッジも効いた快作。アルバムを出すたびに再結成後の最高作かと思ってしまうクオリティを誇っている2010年代以降のKAIPAですが、今作もそう言ってしまいたい出来栄えの傑作です!
元KAIPAのレジェンド・ギタリストRoine Stolt率いる人気グループ、前作に続き2枚組でのリリースとなった22年作。内容的にも前作を引き継ぐ、ハードさよりは北欧プログレ然としたクリアに広がるファンタジックな音楽性を前面に出した、スケール大きく色彩にも富んだサウンドが魅力です。サウンドのカラーを担うのは前々作より加入のキーボーディストZach Kamins。柔らかく広がるシンセ、時にクラシックの素養も感じる流麗なピアノ、劇的に湧き上がるオルガンを自在に駆使するめくるめくキーボードワークは、若手でありながらHans Lundinにも迫ります。そんなファンタスティックなサウンドに触発されるように、Roineもいつもに増して歌うように滑らかに紡ぐクールさとエモーションが入り混じった至上のギタープレイを聴かせてくれており素晴らしい。Hasseは相変わらず「TFKの声」として揺るぎなく歌い上げているし、Jonas ReingoldとMirkko DeMaioによるリズム・セクションながら「雄弁」と表現したいプレイも絶好調です。印象的なのが、ジャケットにも象徴されるパーカッションやアコーディオンによる異国情緒が散りばめられている点で、TFKの持つ色彩感をより豊かに引き出しており本作ならではの魅力となっています。デビューから27年、TFK節とも言える揺るぎない音楽性とまだまだ貪欲に変化を続けようとする探求心が一体となったサウンドに敬服するしかありません。勿論オススメ!
THE FLOWER KINGSのリード・ヴォーカル&2ndギタリストとして知られるHasse Frobergが、TFKが長期休養中だった2008年に結成したグループ。21年リリースの5thアルバム。キーボード群が担うTFKに迫るスケール大きな音作りの中で、持ち前のハスキーな声で熱く歌い込むハッセのヴォーカルとひたすらメロディアスなギターがドラマチックに絡み合う、キャッチーかつ情感豊かなハード・ポップを繰り広げます。一聴して北欧産と分かる神秘的で透明度の高い音使いも魅力的。アコースティックなパートでのリリカルでメランコリックな表情のヴォーカルは、TFKにはあまり出てこない味わいで聴き所です。これはTFKファンは勿論ですが、90s以降のハード・ポップ好きの方や、KAIPAやKAYAKなどがお好きなプログレ・ファンにも響きまくるサウンド!
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