2023年12月29日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
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スタッフ佐藤です。
当店カケハシ・レコードは、約15年にわたり世界のプログレを中心とする新品CDを販売してまいりました。
その中で、数年、長いものでは10年以上にわたって現在も売れ続けているロングセラー・タイトルがいくつかあります。
先日公開した2023年ベストセラーでは、14年前から販売しているフランスのL’OEIL DU SOURDが第18位にランクインし、衰えぬ人気の高さを見せてくれました。
今回は、長年カケレコを支えてくれているロングセラー盤の数々を改めてご紹介できればと思います!
その実績からも内容の素晴らしさは折り紙付きですので、気になる作品がありましたら是非チェックしてみてください☆
まずは往年のロック/プログレを見てまいりましょう~。
カケレコで1,2を争うロングセラー・アイテム!
人呼んで「カナダのブルース・ロック番長」Neil Merryweather率いるバンドなのですが、とにかく女性ヴォーカルLynn Careyが必殺!
まるでアンプで増幅しているかのようなエキセントリックなシャウトは存在感抜群。
本当凄いです!
北米ロックで上記MAMA LIONに次ぐロングセラータイトルがこのマイナ・ハード・ロック盤です!
ツェッペリンのスピード感のみを抽出したようなスピーディー&アグレッシヴ&切れ味抜群のアンサンブルは、元祖HR/HMの有力候補!
北米プログレ部門ではこのアルバムが一番のロングセラー盤となります。
70年代のアメリカで、硬質さとしなやかさが調和したこれ程のジャズ・ロックが生まれていたとは!
ヨーロッパ的なアンニュイな女性ヴォーカルと、リリカルなマリンバの響きが印象的。こりゃカンタベリーのファンは悶絶モノですよ。
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英国ロックではこのアルバムが根強い人気を誇る一枚。
聴いてみるとなるほど、「ポスト・ディープ・パープル」としてプロモーションされたのも納得なスピード感と切れ味。
このオープニング・ナンバー「Down To You」は70s英ロックでも上位に挙げたい名曲!
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マイナー・プログレの発掘リイシュー・レーベルPAISLEY PRESSで最も人気を集める一枚!
アルティ・エ・メスティエリ彷彿のスピードとテクニック、そしてカンタベリー・ロックに通じる柔らかくしなやかな音色使い…。
両者が完璧に調和したこんな凄いジャズ・ロックがイギリスに存在したなんて。
ずばり全ジャズ・ロック・ファン必聴作。
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この作品もリリース以来コンスタントに売れ続けている人気作品です。
ご存じANDWELLAを率いた才能あふれるSSWによる78年作3rd。
洗練されたAORタッチの中に土の香りがするスワンプ/フォークロックをブレンドした極上メロウ・スワンプ盤。
英国らしい憂いをたっぷり含んだメロディと歌声が堪らないなぁ…。
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フックに富んだソングライティング能力と独特の味わい深い歌声を特徴とするDave Lewisの魅力を存分に堪能できる2作品のCD化を祝して、天才Dave Lewisの歩みを辿ってみたいと思います!
往年のイタリアン・プログレの中では、この定番名作が一番のカケレコ・ロングセラーとなっています。
イタリアン・ロックの大きな魅力と言えば、バロック音楽の遺伝子を継ぐ構築美と叙情美。
その金字塔として君臨するのがこの作品ですね。
格調高さの中に息づく芳醇なポップ・センスにも唸らされます。
「週刊ギリシャ」の影響もあって一層注目を集めるギリシャ・シーンですが、本作は並み居るユーロ・プログレの中でもカケレコで最も販売数の多い作品の一つ。
クリムゾン『リザード』に通じる静謐な気品、『太陽と戦慄』ばりのテンションみなぎる変拍子、そしてヘンリー・カウばりの狂気の室内楽的アンサンブル。
極めつけは全面に出て主旋律を奏でるメロトロン!
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ここからは新鋭作品を見てまいりましょう!
新鋭で一番のロングセラー作品と言ったら冒頭でも話題に上ったコチラ!
「太陽と戦慄」期クリムゾンやヘンリー・カウ的な攻撃性を軸に、HF&Nに通ずる繊細さと緻密さ、そして女性ヴォーカルが映えるフランスらしい芸術性や演劇性を融合させたサウンドは、とにかく素晴らしき完成度!
こちらのロングセラー盤も女性ヴォーカルを特徴とするシンフォ作品です。
このグループ、イタリアの新鋭なのですが、ずばりルネッサンス直系の気品を漂わせる逸品。
波打つようなピアノを基調とするクラシカルで繊細な演奏と透明感ある凛とした女性ヴォーカルのなんと美しいこと。
心洗われる名作です。
さらに女性ヴォーカルをフィーチャーしたロングセラー作品をご紹介。
ギリシャはアテネ出身のプログレ新鋭、その女性ヴォーカルの名はエヴァンゲリア。
美しい響きの名前どおりの澄み切ったハイトーンに心奪われます。
ゲスト参加した伊チェンバーの注目グループYUGENのメンバーもさすがの好演を披露!
女性ヴォーカルと言えば、今もっとも注目すべきエリアがポーランドです。
その中でも最高峰と言って間違いないグループがこのLOONYPARK。
多くの作品がロングセラー入りしていますが、近作に繋がるLOONYPARKサウンドを確立した4thをピックアップ。
クラシカルなエッセンスを軸にニューエイジ色を織り交ぜたサウンドは「美麗」という言葉がぴったりですね。
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ポーランドなら、こちらも10年以上にわたってシンフォ・ファンから評価され続けている一枚。
このあまりにも情感豊かなサックスと雄大に広がるシンセとの絡み・・・。
シンフォ・ファンならこの導入部で早くもノックアウトでしょう。ポーランドらしい深い陰影もたっぷり。
ずばりファンタスティック・シンフォの大傑作!
イギリス新鋭のロングセラーはこれ。
レーベルインフォには、参考バンドとしてブリティッシュ・ロックの名グループFANTASYとアイスランドのポスト・ロック・バンドSIGUR ROSが挙げられていますが、聴いてみると「なるほど!」と唸ってしまいます。
牧歌的でいて崇高な名作!
今や飛ぶ鳥を落とす勢いの才人キーボーディスト/コンポーザーAntony Kalugin。
膨大な数がリリースされている彼の関連作品でもっともカケレコ人気が高かったのがKARFAGENのこの作品でした。
この透明感、熱量、スケール。もうフラワーキングスに肩を並べてると言って何の問題もないでしょう。
この10作目、ずばり全シンフォ・ファン必聴作!!
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フランスから颯爽と現れたこのシンフォ・ユニットも全3作がカケレコ屈指のロングセラーとなっています。
まるでナショナルヘルスとクリムゾンを融合させたような、エレガントかつテンションみなぎるアヴァンプログレ!
フランスらしい先の読めないアーティスティックな展開の連続に、とにかく聴いていてワクワクが止まりません。何というアイデアの豊富さ!
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16作品をピックアップしてまいりましたが、気になる作品がありましたでしょうか?
各アーティストの関連特集記事からも探求を広げていただければ嬉しく思います!
単発ながらイタリアン・シンフォニック・プログレッシブ・ロックの頂点に君臨する名盤を生み出したグループによる75年作。非常にポピュラリティーに富んだ名作であり、バンド・アンサンブルに加えてヴァイオリン、チェロ、サックス、フルートといった管弦セクションを充実させ、ロックのダイナミズムとクラシカルな彩り、そしてアコースティックな音像が醸し出すイタリア叙情と言う点で、まさしくイタリアン・プログレッシブ・ロックの最高峰に位置する作品です。同郷PREMIATA FORNERIA MARCONIや、やはり単発ながら叙情的な名盤を作り上げたLOCANDA DELLE FATEの牧歌性にも共通する質感を有しており、また、メロディアスなボーカルはイタリアン・カンタトゥーレとしても絶品です。
女性ヴォーカル、ヴァイオリン、サックスをフィーチャーしたフランスの新鋭プログレ・グループ。09年デビュー作。クリムゾンやカンタベリー・ミュージックを中心に70年代プログレやジャズ・ロックからの影響を強く感じますが、懐古趣味的な印象はまったくありません。往年の名グループの遺伝子を受け継いだ、文字通りに「プログレッシヴ」なサウンドがここにあります。「太陽と戦慄」期のクリムゾンやHENRY COWあたりの攻撃性を軸に、HATFIELDS & THE NORTHに通ずる繊細さと緻密さ、フランス的な芸術性や演劇性を融合させたサウンドは、かなりの完成度!時にミニマルなフレーズを奏で、時にささくれだったリズムギターで牙をむくギター、シャープ&タイトな強靱なリズム隊、フリーキーに暴れ回るヴァイオリン&サックス、時に荘厳なメロトロン、時にアヴァンギャルドなシンセで楽曲を飛躍させるキーボード、フランス語で歌う存在感抜群のシアトリカルな女性ヴォーカル。各パートの演奏力、アンサンブルの強度ともに抜群です。14分を越える「ODS」など、構成も文句無し。これは強力なグループが登場しました!圧巻の名作。かなりおすすめです!
ギリシャ出身で主にフランスで活動したグループ。ピアノ/オルガン/メロトロンを操る鍵盤奏者が中心で、デビュー作からギタリストが抜け、ギターレスのキーボード・プログレ4人組となって制作された73年の2nd。ベーシストも代わり、一気にプログレ/アヴァンギャルド色が増しました。キング・クリムゾン『リザード』に通じる静謐な気品を漂わせるパート、鋭利に尖ったトーンのキーボードのミニマルな反復に『太陽と戦慄』ばりに狂気の変拍子が炸裂するパート、ヘンリー・カウばりのフリー・ジャズ/チャンバー・ロックなパートなど、一瞬たりとも気の抜けないテンションみなぎるアンサンブルが続きます。特筆なのがメロトロンで、持続音で荘厳にたなびく感じの使い方が一般的ですが、このグループは、全面に出てまるでピアノばりに主旋律を奏でます。アヴァンギャルドかつクラシカルな気品に満ちたギリシャ屈指・・・なのは言わずもがな、ユーロ・ロック屈指と言っても過言ではない傑作アルバム。必聴です!
ヴォーカル&ギターのRoss Staggが出した募集に、元QUATERMASSのドラマーMick Underwoodが応募したことがきっかけに結成されたブリティッシュ・ハード・ロック・バンド。グラム・ロック色の強かった76年デビュー作からサウンドをすっきりさせ、エッジの立ったハード・ロックを聴かせる77年作2nd。アルバムは名曲「Down To You」で幕開け。英国的な気品と幻想性に満ちたオルガンと多声コーラスのイントロ、そこに切り込むシャープなギター・リフと飛翔するムーグ・シンセ!そして、疾走するタイトなリズム隊、絞りだすようにシャウトするエネルギッシュなハイ・トーンのヴォーカル!その他の曲も、「ポスト・ディープ・パープル」としてプロモーションされたのも納得なスピード感と切れ味で畳み掛けるハード・ロックの佳曲ぞろい。英ハード・ファン必聴の名作です。
イタリアの新鋭シンフォ・バンドによる12年作。美声女性ヴォーカルをフィーチャーしたフォーク・タッチのシンフォニック・ロックを展開。特徴的なのが何と言ってもその物悲しくもひたすら美しいメロディで、女性ヴォーカルの高い表現力によって神秘的な作品世界が眼前に広がります。さらに演奏面でも繊細に爪弾かれるアコギ、クラシカルな素養が滲むピアノ、演奏をゆったりと支える気品高いストリングスなど、クラシカルなシンフォニック・ロックとしては近年で最高レベルの完成度。RENAISSANCEなどの格調高い英国シンフォから気品漂うメロディアスさを抽出し、より繊細に情感豊かに蘇らせたかのような名作。まさに珠玉の一枚という表現がふさわしい作品です。
ギリシャはアテネ出身、女性ヴォーカル、男性フルート/Key奏者、男声ギタリストによるトリオ、2010年デビュー作。グリフォンやジェントル・ジャイアントから影響を受けているようで、艶やかなヴァイオリン、ミスティックでいて気品に満ちたフルートやリコーダーが彩る、クラシカルかつトラディショナルな優雅さに、ゲスト参加した現代イタリアが誇るチェンバー・ロック・バンドYUGENのKey奏者やD.F.A.のドラマーによるチェンバー・ロック/プログレのエッセンスが加わったサウンドは、圧倒的に瑞々しく幽玄。紅一点エヴァンゲリアの澄み切ったハイ・トーンのヴォーカルも絶品です。これは至高の一枚!
1974年に英ブリストルで結成、2人の管楽器奏者を擁する7人組ジャズ・ロック・バンドによる77年の唯一作。このサウンド、ずばり「アルティ・エ・メスティエリ meets カンタベリー・ロック」!手数多くも精密に刻む技巧的なドラミング&ベースが作り出すタイトかつスピーディなリズムに乗って、流れるように快速フレーズを繰り出すギター、ふわりとファンタジックな音色を紡ぐエレピ&シンセ、そして艶のあるしなやかな音色で駆け抜けるフルート&サックスが躍動。アルティばりのスピードとテクニックでひた走るテクニカル・ジャズ・ロックに、カンタベリー風の優雅で芳醇な管楽器群を重ねたこのアンサンブル、ジャズ・ロック然とした強度と、柔らかく軽やかなタッチが見事に一体となっていて、もうとにかく素晴らしすぎます。アルバム後半で聴けるアコースティック・ギターをメインとする地中海的エキゾチズム薫るアンサンブルも極上。こんな大変な傑作がまだイギリスにあったなんて!と驚かずにはいられない逸品です。
サンフランシスコ出身のジャズ・ロック・バンド、74年に録音されつつお蔵入りとなっていた幻の作品。ヨーロッパ的なアンニュイな女性ヴォーカルと、エレピの代わりにマリンバ奏者が在籍しているのが特筆。かなりスピーディーに牙をむくリズム隊、フュージョン・タッチの流麗でテクニカルなギター、そしてカンタベリーを彷彿とさせる洗練されていて浮遊感とリリシズムに溢れたマリンバの響き。国名を聴かなければアメリカとは思わないでしょう。ベルギーのCOSあたりが好みであれば、かなり気に入るはずです。デジパック仕様。
カリフォルニアのハード・ロック・グループ、ツイン・ギター編成の4人組。70年のデビュー作。リフ&リードともにスピード感いっぱいのギター、手数多く前のめりなリズム隊、ハイ・トーンのシャウト・ヴォーカルが一体となり、アグレッシヴに疾走するハード・ロック。LED ZEPPELINのスピード感のみを抽出したようなスピーディー&アグレッシヴ&切れ味抜群のアンサンブルは元祖HR/HM!
イギリス南東部のブライトン出身で、ヴォーカル、ギター、トランペット、オルガンを操るマルチ奏者ロビー・ウィルソンを中心に07年に結成された4人組。現代イタリア・プログレ・シーンの注目のレーベルAltrockと契約し、その傘下のFADING RECORDSより2012年にリリースされたデビュー作。アルバムの幕を静かに開けるのが鉄琴の一種であるグロッケンシュピール。まるでオルゴールのように静謐でいてファンタスティックなイントロではじまり、ドラムが入ると、オルガンが幻想的にたなびき、トランペットやストリングスなど管弦楽器が艶やかな音色を奏でるなど、クラシック・ミュージック由来の格調高さと温かみとともに、ポスト・ロック的な浮遊感が絶妙にブレンドされたイマジネーション溢れる音世界が次々と描かれていきます。ささやくように歌うハイ・トーンの繊細でメランコリックな美声男性ヴォーカル、聖歌隊のように厳粛なコーラス・ワークも絶品。レーベルからのインフォには、参考バンドとして英国70sプログレの名グループFANTASYとアイスランドのポスト・ロック・バンドSIGUR ROSが挙げられていますが、なるほどその通り!ジャケットのイメージ通りのいかにも英国的な牧歌性や幻想性と、宗教的とも言える崇高さとが完璧に融合したサウンドにただただ言葉を失います。全ての楽器と声とが信じられないほどに繊細に紡がれた、凛とした音の透明感。デビュー作とは思えない孤高の逸品です。これは名作でしょう!
ポーランドのマルチ奏者Kamil Konieczniakによるメロディアス・シンフォ・プロジェクト・バンド、12年作。前作、前々作ではどこまでも雄大に広がるファンタジックなシンフォニック・ロックを聴かせてくれましたが、本作、ただひたすらにロマンティックに吹き鳴らされるサックスに導かれ、煌めくギターと憂いを秘めたヴォーカルが歌い始める導入部で、もうすでに心奪われること必至。幻想性溢れる静謐な場面から、力強くも夢見るようにロマンティックなシンセソロが飛び出す展開などは、お約束的ながらもやはりグッと来ずにはいられない美しさ。東欧らしいメランコリーよりは北欧プログレなどを思わせるファンタジックで透徹な印象をあたえるサウンドメイクも他のポーランド勢とは一線を画する部分です。このひたすらエモーショナルで優美に広がる世界観に、いつまでも浸っていたいと思わせるような傑作に仕上がっています。これは素晴らしい!
英サイケ・フォーク・ロックの至宝ANDWELLAS DREAM〜ANDWELLAを率いたSSWによる、78年リリースの3rdソロにして最終作。ソウルフルな女声コーラスやメロディアスに躍動するスライドギターをフィーチャーした軽快なAORナンバーの1曲目に始まり、持ち味のハスキーな憂いあるヴォーカルにグッとくるドラマチックなバラードの2曲目、そしてハモンドの音色もたまらないANDWELLA時代を彷彿させるスワンプ・チューンの3曲目!前作『FROM TIME TO TIME』でも聴かせた、洗練されたAORタッチの中に、土の香りがするスワンプ/フォーク・ロックを絶妙にブレンドしたサウンドを、本作でもたっぷりと楽しませてくれます。そんな中でも、5曲目「Whole Lotta Something」は特筆で、英国らしい影のあるメロディと切々としたヴォーカル、そして劇的な構成で聴かせる極上メロウ・スワンプに思わず涙が出そうになります。本作リリース後はライヴ活動やソングライターとしての活動にシフトしていく彼ですが、最終作というのが惜しまれる紛れもない大名盤。スワンプファンにもAORファンにも、これは自信を持ってオススメしたい逸品!
2015年のデビュー作で、完成度の高いアヴァン・プログレを披露した注目のフランス新鋭による、待望の18年作2nd!まるでナショナル・ヘルスとキング・クリムゾンを融合させたような、エレガントかつテンションみなぎるアヴァン・プログレは本作でも健在!緩急自在のシャープで俊敏なリズム・セクションを土台に、ナショナル・ヘルスにおけるデイヴ・スチュワートを思わせるメロディアスで理知的な音運びのオルガンと大胆に主旋律を奏でるメロトロンを中心とするキーボード、そしてナイフのような鋭いトーンで空間を切り開くフリップ直系のギターが、緻密にフレーズを重ね合い織り上げていくサウンドは、芳醇にしてどこまでもスリリング。緊張感あるギターとオルガンの掛け合いの中でメロトロンが不穏に浮き沈みする切迫感あるパートから、ピアノとコルネットが妖しく舞い踊るパート、そしてメロトロンが堰を切ったように溢れ出すパートへ。次々と場面が移り変わっていく、フランスらしい先の読めないアーティスティックな展開の連続に、とにかく聴いていてワクワクが止まりません。何というアイデアの豊富さ。これはクリムゾン・ファン、カンタベリー・ロック・ファンなら是非ともお試しいただきたいサウンド。カケレコメンド!
ウクライナ出身、英国を拠点に活動する1981年生まれのキーボーディストAntony Kaluginによるソロ・プロジェクト。2017年作9thアルバム。冒頭から透明感溢れるシンセが美しく折り重なり桃源郷的サウンドを描き出していく展開に早くも耳を奪われます。ロイネ・ストルトと比べても遜色ない繊細かつ熱くフレーズを紡ぐギターも素晴らしすぎる。演奏の密度と熱量、スケールの大きさは間違いなくTHE FLOWER KINGSに匹敵します。エレクトロニクスも用いられていますが、バンド・アンサンブルの中に有機的に溶け込ませるセンスが抜群で、往年のプログレを意識しながらもスタイリッシュに聴かせるモダン・シンフォニックな音像を構築。また随所で聴ける東欧出身の彼らしい欧州トラッド的な荘厳な民族色を添えるプレイも感動的に響きます。ギターがエモーショナルなプレイで演奏を盛り上げ、キーボードが疾走感あるプレイで曲進行を牽引する、ユニークなスタイルも揺るぎない個性を生んでいて見事。前作までもリリースされるたびに完成度を上げてきましたが、9作目にしてかつてないステージへと進んだ感のある、シンフォファン必聴作に仕上がっています!
ポーランド出身、女性ヴォーカルを擁するシンフォニック・ロック・グループ。2016年作の4thアルバム。温かで荘厳なハモンド・オルガン、しっとりと艶やかなピアノ、壮麗なオーケストラなどによるクラシカルなエッセンスを軸に、ウクライナの新鋭バンドKARFAGENにも通じるニューエイジ色を織り交ぜたサウンドは「美麗」という言葉がぴったり。伸びやかな歌声とエモーショナルな歌唱が素晴らしい女性ヴォーカルが見事に映えています。ゲスト参加したヴァイオリン奏者による艶やかなリードも聴きどころ。ここぞでは、中域寄りのハード&マイルドなトーンのエレキ・ギターがアグレッシヴにリズムを刻んでダイナミズムを注入。メリハリの効いたドラマティックな展開も見事です。00年代以降のポーランドを代表するシンフォニック・ロック・バンドによる、ジャケットのイメージどおりの美しい傑作です。
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