2010年10月21日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
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先日書き下ろした拙著『もうすぐエピタフ:どうしてプログレを好きになってしまったんだろう#9第三印象』に寄せられた感想レスに、「筆者はイエスを現役バンドと見なしてないようだ」と書かれていた。たしかにリック・ウェイクマンの怪作ライナー原稿を再録しただけで、一切触れてなかったよイエスに。
ごめんごめん。
そんな私が言うのもなんだが、実は最も現役らしい活動をいまなお継続してる結成50年以上のバンドは、イエスだけじゃないか。たぶん。だって2021年に2023年と、ライヴ音源ではなくスタジオ録音の新作を出しちゃってるのだ。「ベテランはもうライヴ盤で充分、新曲なんて無理しないで」が持論の私としては、涙で前が見えなくなる。嘘。
特にイエスに関しては、余計なパッケージ商品がのべつまくなしに発売され続けてきたから、実際の活動が埋没してちっとも目立たないのが哀しい。
名盤『イエスソングス』に部分収録された1972年ツアー7公演の音源を完全公開した14CD『プロジェニー』箱(2015年)やら、スティーヴン・ウィルソンによる『サード・アルバム』『こわれもの』『危機』『海洋地形学の物語』『リレイヤー』新規サラウンド・ミックス6LP『THE STEVEN WILSON REMIXES』箱(2018年)は、まだいい。ただし日本のみ紙ジャケで分売され、しかもそのジャケがロジャー・ディーンによる〈よせばいいのに〉新規アートワークだった後者は、何かを見失ってた気がするが。
米A式→英E式に続く日本における三度目の紙ジャケ化――日本盤オリジナルLP復刻仕様全13W(2022年)に関しては、百歩譲って見なかったことにしよう。
しかし《公式ばったもん商品》としか言いようのない、26CD+6DVD『ユニオン30ライヴ』箱(2021年)とかABWH名義だけど6CD+2DVD『イエス・ミュージックの夜』箱(2023年)とかって、どうなのだ。誰かは知らないが許諾すんなよほぼ西新宿じゃん。
「さよならジョン・アンダーソン」後のイエスを想い出してみる。
アンダーソン病欠で中止になった結成40周年記念ツアーが、ベノワ・ディヴィッドを迎え《イン・ザ・プレゼント》ツアーとして敢行されたのは2008年11月。なんと2010年12月までのロングランで計137公演を消化し、ヴォーカル交代は暗黙の了解となった。ラインナップは〈ディヴィッド/ハウ/スクワイア/ホワイト/ウェイクマン長男〉。2010年10月から録音されたスタジオ音源は当時リリースされなかったものの、2011年発表のライヴ盤『イン・ザ・プレゼント~ライヴ・フロム・リヨン(IN THE PRESENT LIVE FROM LYON)』との合体3CD『FROM A PAGE STUDIO TRACKS PLUS IN THE PRESENT LIVE FROM LYON』として、ようやく2019年に陽の目を見た。
そして2001年の『マグニフィケイション』以来十年ぶりの新作が、2011年発表の『フライ・フロム・ヒア』。トレヴァー・ホーン90125イエス以来のプロデュースに、鍵盤はジェフ・ダウンズ復帰ということで名実共に『ドラマ』31年越しのお礼参りだったわけだ。
で同2011年7月から新作ツアーが開幕したものの、今度はディヴィッド故障で年内降板、巷ではアンダーソンの呪詛と噂された。嘘です。それでも翌2012年4月にジョン・デイヴィソンを後釜に据え再開したツアーは、8月まで完走したのである。この時点で〈ディヴィッド/ハウ/スクワイア/ホワイト/ダウンズ〉から〈デイヴィソン/ハウ/スクワイア/ホワイト/ダウンズ〉編成に。
ここからイエスのツアーは数多のベテラン・アーティストと同様に、過去の名盤をアルバム単位で再現する懐古スタイルに特化する。
2013年『サード・アルバム』『危機』『究極』三位一体ツアー~2014年『こわれもの』『危機』『究極』~2016年『海洋地形学の物語』『ドラマ』~2022年『危機』50周年。
すると当然2018年のイエス50周年ツアーや、カール・パーマーやジョン・ロッジのバンドを帯同して鬼籍に入った同僚らを追悼した2019年のロイヤル・アフェア・ツアーも含め、その都度ライヴ盤が量産され続けた。
『“イエス・サード・アルバム”&“究極”完全再現ライヴ(LIKE IT THIS:AT THE BRISTOL HIPPODROME)』に『“危機”&“こわれもの”完全再現ライヴ~ライヴ・イン・アリゾナ2014(LIKE IT THIS:AT THE MESA ARTS CENTER)』に『(海洋地形学の物語/ドラマ ライヴ・アクロス・アメリカ(TOPOGRAPHIC DRAMA:LIVE ACROSS AMERICA)』に、『イエス~50周年記念ライヴ~(YES 50 LIVE)』と『ザ・ロイヤル・アフェア・ツアー・ライヴ・フロム・ラス・ヴェガス(THE ROYAL AFFAIR TOUR:LIVE FROM LAS VEGAS)』も。
いいじゃないベテランにだけ赦される特権だもの。
たとえ新曲を作らずとも、旧譜ごとの完全再現を謳ったツアーを廻り、そのライヴ盤を〈最新現況報告〉という名の新作としてリリースしてるのだから、それで充分じゃないか。これはこれで立派な「現役バンド」として、積極的に認知すべきである。
もちろんキング・クリムゾンのような、〈執拗なアーカイヴ的価値の探求〉とか〈フリップ大先生流後付け論理の詐欺師的正義〉とか〈新規大人数編成によるレパートリー新解釈の小出し攻撃〉といった明確な意志をなーんも持ち合わせてなかったイエスは、アバウトにしか見えなくて当然なのだが。戦略性ゼロだからこのひとたち。
それでも純然たるスタジオ新作『ヘヴン&アース』をロイ・トーマス・ベイカーのプロデュースで2014年にリリースし、しかも平々凡々な内容にもかかわらず英20位米26位と予想外の好セールスを挙げたのは、イエス・ブランド最後の輝きに映った。
だから、2015年6月に骨髄性白血病で急逝したクリス・スクワイアの遺志を汲んで〈超万能便利屋〉ビリー・シャーウッドが加わり、翌2016年夏には背中に病気を抱えるアラン・ホワイトをジェイ・シェレンが補助して二人羽織太鼓が確立するに至り、この先も再現ライヴで愉しく過ごすであろう彼らの余生を黙って見守るつもりでいたのだ。
ただしライヴ盤シリーズ名物のCD+DVD/BD仕様には、やはりせつなくなる。最初の頃は老いてなお達者なメンバーの姿が微笑ましかったが、毎年毎年自動更新されるたびにハウ爺が縮んでたりスクワイアがいなくなったり、映像は無慈悲すぎるよ。
個人的には2018年に発表された『フライ・フロム・ヒア』の新装改訂版、トレヴァー・ホーンが全曲唄う『フライ・フロム・ヒア—リターン・トリップ(FLY FROM HERE—RETURN TRIP)』の素晴らしさに胸がすく想いがしたので、なおさらだった。〈もうひとつのイエス・ミュージック〉の完成形も目撃できたのだから。
ところがどっこいあにはからんや2021年10月に7年ぶりの新作『ザ・クエスト』、2022年5月のホワイト逝去を経て2023年5月に早くも現時点での最新作『ミラー・トゥ・ザ・スカイ』と、たて続けのリリースなのだ。ロジャー・ディーンの装丁で、フル・アルバム+ボーナス・ディスクの実質2枚組仕様も定型化しつつあり、〈デイヴィソン/ハウ/シャーウッド/シェレン/ダウンズ〉と遂にオリジナル・メンバー不在のラインナップながら、イエスは現役バンドとして存在している。無理せずほどほどにお願いします。
ハウ爺76歳・イエス歴39年。ダウンズ71歳・同17年。シェレン63歳・同2年。シャーウッド59歳・同14年。デイヴィソン52歳・同12年。
最年長にしてイエス在籍歴も最長で、結成メンバーじゃなくても1970年代から在籍する唯一のメンバーだからやはり、バンマスはハウ爺に落ち着く。実際どちらのアルバムもプロデュースはハウ爺で、ソングライティングも『ザ・クエスト』が全11曲中6曲(内単独5曲)、『天鏡』は全9曲中6曲(内単独3曲)を数える。そしてハウ爺のギターの音色が、どちらのアルバム全編でも奏であげるのだ。これだけ多彩な音楽性を網羅しながら相変わらずブルース・ギターだけは弾いてないのもまた、ハウ爺らしい。
つまり現在のイエスは、誰がどう聴こうが《スティーヴ・ハウズ・イエス》なのである。
かつてジョン・アンダーソンは自らのイエス観を、手をひらひらさせながら天使の声で唄うようにまくしたててたっけ。いつもいつも。
市川 いつもいつもその絶対的なポジティヴィティーには感服します。
アンダーソン だろ? ジョージ・マイケルは「忠誠」を、プリンスは「神」を唄ってた。とてもセクシーな方法論で描いてたけど。イエスはそれを音楽で表現しようとしてきたんだ。いちばん最初から音楽を、哲学を、想像力を追求し続けることこそイエスの全てさ。そうした価値観を失っちゃって書く曲がどれもこれも……うーん、言葉選ぶのが難しいけど……要するに普通の歌ばっかりになっちゃった日には、イエスはイエスでなくなってしまうね。きっと。
どこまでもわかりやすいひとである。そんなアンダーソンのいちばんの理解者が、ハウ爺だった。あの荒唐無稽妄想巨編『海洋地形学の物語』に最初から最後まで「積極的に」付き合い完成させたのも、彼だけだ。
自伝『オール・マイ・イエスタデイズ』を読むと、あのアルバムを毛嫌いするウェイクマンを「パブに入り浸りの我らが鍵盤弾きの友人」とほぼ名指しで、「自分はその後ソロで6枚ものコンセプト・アルバムをつくったくせに」とか「BBCのTVで『海洋地形学』の歌詞は全部ゴミだと言ってたけど、私たちは唯一無二のあのアルバムに含まれたあらゆる言葉と音に対して絶大な愛情と敬意を抱いてるから、好きじゃないのならとりあえず黙ってろ」と徹底的にディスるほど、あのアルバムが好きなのだ。
そんなハウ爺のイエス観をかつて訊ねたら、「天空を駆けめぐるような音楽的ファンタジー体験」と即答されたわけで、そういう意味ではアンダーソン&ハウは明らかに似た者同士である。
イエス史(失笑)的には、ハウ爺は何度もアンダーソンに裏切られてきた。パリ録音中に何が気に入らなかったのかウェイクマンと突然脱退されたり、全米1位曲をもたらしてくれたトレヴァー・ラビンを「ハウ以上」と大絶賛したり、自分でかけたABWHの看板をいきなり大所帯イエスにかけ替えたり――身勝手にも程がある。それでも、ほとぼりが冷めると里帰りしてくるアンダーソンを毎回赦し続けたのって、ハウ爺の惚れた弱みにしか思えないし。大丈夫かハウ爺。
そういえばジョン・ウェットンの話をそのまま鵜呑みにすれば、エイジア大成功の渦中で「僕をバンドから追放したのはスティーヴで、僕が戻ってからスティーヴを追放したのは僕なのは、至極簡単な事実」となる。しかし他三名によると、「既にアル中が酷くてライヴの演奏ミスが日常茶飯事だったウェットンに、皆が匙を投げた」だけなのだ。とはいえ、全世界中継のエイジア武道館公演に緊急招聘したグレッグ・レイクの態度があまりに不遜すぎたから、「レイクよりウェットンの方がはるかにマシ」とカール・パーマー&ダウンズ&マネジメントが掌返し。その結果、「自分が放逐された」とハウ爺は言う。
自分に都合のいい解釈しかできないのが人間だ。それはいい。でもエイジアに誘ってもらった恩義を忘れ、ハウ爺排除に加担したダウンスはどうよ。そしてそのダウンズと一緒に14年前からイエスを演ってるハウ爺って、どれだけ寛大なのか。さらにはその超鷹揚なハウ爺から唯一、いまなおディスられ続けてきたウェイクマンってどれだけくずなのだろう。
話がそれた。
そんなアンダーソンに近い世界観を誇るハウ爺が仕切るイエス・ミュージックだから、『ザ・クエスト』も『天鏡』もファンタジー性が前面に押し出されたのは必然だった。別件で先日、ハウ爺とスクワイア各々の初ソロ・アルバム『ビギニングス』と『未知への飛翔』を久々に聴いて、結局この二人の〈手癖〉がイエスのサウンドを記名化してたんだってことを想い出したばかりなので、よくわかる。
『ザ・クエスト』に3曲、『天鏡』は5曲と、オーケストラだって客演しまくりだ。
デイヴィソンの〈ジョン・アンダーソン化〉もシャーウッドの〈クリス・スクワイア化〉も、ものまねショーパブに出演しても恥ずかしくない域に達してるし、ふんだんにフィーチュアされるコーラス・ワークは完璧だし、立派なイエスじゃないか。
そりゃ言いたいことは山ほどある。不満がないと言えば嘘になる。ダウンズの鍵盤は相変わらずチープだし、せっかく音色やフレーズはスクワイアなのにベースの音小っちゃいし。
あれ? かつてハウ爺は『90125』を、「ベースやドラムの演奏が複雑さに欠け、曲を引き立てる役割しか果たせてない」と酷評してたんだけどな。「イエスに必要とされるべきクオリティーを充たしていない」と。そういう意味では食い足りない。
また、楽団クリムゾンではあのフリップ大先生ですら寄る年波には勝てず、ジャコ・ジャクジクにギター・パートをまあまあ禅譲してたように、さすがのハウ爺の指さばきだって加齢は隠せない。
それでもいまや通常運転のデジタル・レコーディングにより、緻密で完成度が高いサウンドそのものは実現できる。私は〈人力ロックとしてのプログレ〉至上主義者ではあるけれど、しかたがない。だって生きとし生けるものすべて、齢は食うのだ。ストーンズの新作『ハックニー・ダイアモンズ』は加工され過ぎでさすがに痛々しいだけの代物だったけど、昨年10月の発売記念サプライズ・ギグを観たら「これじゃしかたがないよなあ」と諦めたのは私だけではないはず。慈悲の心でストーンズを聴く日が来ようとは。
なのであの〈人造ストーンズ〉より全然ましではあるのだ、現在のイエスは。
私はハウ爺を昔から信用していた。決してウェイクマン以外は他人を忌み嫌わないし、金銭欲や上昇志向とも縁遠い。ギターを弾いてさえいれば幸せなひとだ。だから『トーマト』あたりからか、楽曲ごとに使用したギターの機種をいちいちクレジットするようになったのが、爺唯一の我儘だった気がする。1998年発表の5thソロ・アルバム『クォンタム・ギター』なんか、33本ものギターを使用して悦に入ってたしなあ。
恥ずかしながら最近ようやく知ったのだ、あの産業ロック未遂事故物件《GTR》がギターの略語からきてたと。しかもGTR唯一無二のこだわりポイントは、鍵盤ではなくギター・シンセを使用することだから、ハケットまでギター曼荼羅地獄に巻き込まれてたのだ。
とにかくラッキョウの皮を永遠に剝き続けるお猿さんのように、嬉々としてきーきーギターを弾きまくるステージ上の姿は、微笑ましかった。もしも金絲猴(キンシコウ)が人間だったら、たぶんハウ爺そっくりに違いない。ちなみに金絲猴は現在日本に一頭しかいない。それほどハウ爺は貴重なのだ、ってどんな比喩だ。
イエスと名乗れない怨念がABWHの原動力だったアンダーソンをよそに、当時のハウは「バンド名がイエスにはならないのが魅力的だった」と語った。「僕とビルを除く関係者全員がイエスと命名したがったけど、僕にしてみればABWHのどっちつかずな感じがよかったから、安心した」とも。言えないよなかなか。
2016年だったかまたぞろアンダーソンの「僕のイエスを返せ」病が再発し、ARW(=アンダーソン・ラビン・ウェイクマン)を名乗り米欧日ツアーを廻ったときは四半世紀ぶりのお家騒動か、と誰もが呆れた。しかし録音中のはずだった新作を断念し、故スクワイア妻の御厚意で呆気なく《イエス feat.アンダーソン、ラビン、ウェイクマン》と改名できたら、憑き物が落ちちゃったのか自然消滅してしまった。つくづく面倒な〈永遠のひとりウイーン中年合唱団〉である。
しかしハウ爺は違う。彼が愛するのは〈イエス〉ではなく、首尾一貫して〈イエス・ミュージック〉だ。バンド名など二の次でほとんど執着してなかったそのハウ爺が、結果的にイエスを背負っちゃったのだから、人生ってなんて皮肉なのかしらと思う。
ちなみにロジャー・ディーンによるアートワークを最も熱烈に支持してきたのは、ハウ爺だ。理由はもちろん、毎回毎回(ハウ爺が想う)イエス・ミュージックを期待以上に視覚化してくれる〈同志〉だから。「♪僕そのものがイエスなのさぁぁぁぁ」のはずのアンダーソンが気まぐれで他のデザイナーに「誤」発注しても、ハウ爺はイエス・ミュージックに世界一相応しい包装紙を一貫して愛し続けてきた。『究極』『トーマト』に対する「こちらが発注先を間違えただけの話で、ヒプノシスを責める気にはならない」という塩対応が、象徴的だった。「一人を除く全員がロジャーに頼みたかったのに」という恨み節も含め。
そんなハウ爺の熱烈なラヴレターに応えて、イエスにABWHにエイジアのみならずソロ・アルバムのみならず、「スティーヴ・ハウ」のロゴまでデザインしてくれたディーン、そしてもちろん現メンバーたちも皆、《スティーヴ・ハウのイエス》にはとにかく〈優しい〉のだ。
並行して昨年末には、『サード・アルバム』の4CD+BDスーパー・デラックス・エディションが商品化された。イエスの場合、『イエスイヤーズ』→『In A Word~ヒストリーBOX』→『ライヴ・イヤーズ』→『プロジェニー:1972ライヴ』の各種コンピ箱のみならず、再発CDに惜しみなく投入されたボートラ群で、未発表音源はほぼ出尽くした感がある。ただその音源提供主は「大半のスタジオ・セッションの1/4インチ・テープをずっと保管してたから、コンピ企画向けの掘り出し物やマスター音源に事欠かない」と豪語するハウ爺、ってこれもまたわかりやすい話だ。
そういう意味では今回の『サード・アルバムDX』、初収録は1971年当時のライヴ音源数曲に過ぎない。既発表音源も集めた「改めて総括しました」企画である。数年前から〈アンダーソン・ハウ・スクワイア・ビルブル・ケイ〉最強説の私はおもいきり愉しめたけれど、世間的にはどうなんだろう。リリース52周年という半端なコンパイル・タイミングも、唐突だし。だけどハウ爺のイエス加入初作品だったことを考えたら、もしかして『こわれものDX』『危機DX』『海洋地形学の物語DX』と、それこそハウ爺イエス・アーカイヴ拡張盤シリーズが今後続いたりするのかもしれない。
どうぞどうぞ。あなたが最古参メンバー兼バンマス兼働き者ですもの、思う存分ご自由にやっちゃってください。
そんな周囲が見せる優しさの最たる例が、シャーウッド&デイヴィソン&シェレンの若手三人組による別動隊バンド《アーク・オブ・ライフ》ではないか。要は〈ハウ&ダウンズ抜きイエス〉だ。平均年齢58歳だけど。
2021年3月、ハウ爺イエス第一作目の『ザ・クエスト』とほぼ同時に『アーク・オブ・ライフ』。翌2022年11月には早くも2ndアルバム『ドント・ルック・ダウン』を出したほど、やる気満々だったりする。ちなみにギターと鍵盤は非正規雇用だが、ギターのジミー・ホーンの名に聴き憶えないか? そう、あの八人イエス世紀の「そんなあほな」アルバム『結晶』で、ハウ爺のギターっぽく聴こえる音の大半を弾いてたジミー・ハーン(←当時の日本語表記)である。おいおい、ハウ爺のお許しはいただいてるのかい。
でこのARCがまた聴けば聴くほど、〈アンダーソン&スクワイア&ハウ&ビルブル&ホワイト&ウェイクマン&モラーツ&ケイ抜き〉イエス・ミュージックなのだ。つまり、現在イエス在籍中のメンバー自身による二次創作みたいなもんで、その妙な仮想現実感が可笑しい。しかも「俺たちだけでこんな最新型イエス・ミュージックができるんだぜ!」的な野心や計算とは一切無縁っぽいから、ますます可笑しい。
まあでもそれを言い出したら、ジョン・デイヴィソンがなぜイエス演ってるのかも不思議じゃないか? 前任のベノワ・デイヴィッドはイエスのトリビュート・バンド《CLOSE TO THE EDGE》やイエス系プログレ・バンド《ミステリー》にも、イエス好きが嵩じて自ら参加したフシがあるが、デイヴィソンの場合は《グラス・ハマー》にせよ同じくトリビュート・バンド《ラウンドアバウト》にせよ、「声質がジョン・アンダーソンじゃん唄ってよ唄ってよ」的な懇願に絆され、他動的に参加してた風にしか見えなかったからだ。イエスへの参加もまた、然り。
たまたま彼のインタヴューを読んだら、ハウ爺を「ドリーミーでロマンチックな音楽の巨匠」と呼ぶ見事なヨイショぶりの一方で、「好きなバンドはラッシュだけど、トム・ウェイツに憧れた」とは、どう考えても時の流れに身を任せた結果じゃないのかデイヴィソン。ただこの男、イエスに参加したおかげでジョン・ロッジの娘と再婚したばかりか、その途端に「ムーディー・ブルースの音楽に心から惚れこんだ」と言えちゃう天性の軽さを、私は嫌いではないよデイヴィソン。
話がそれた。
『天鏡』を聴きながらふと思ったのだ。不謹慎な話だが近い将来的にハウ爺がお隠れになったとしたら、アーク・オブ・ライフが《イエス》を名乗ってもいいのではないかと。いや、むしろ積極的に襲名すべきである。オリジナル・ラインナップのみならず主要メンバーが一人もいなくても、バンドが成立するのはイエスだけだからだ。たぶん。
オリジナル・メンバーの過半数がいるのに、カール・パーマーをコージー・パウエルで、グレッグ・レイクをロバート・ベリーで穴埋めするだけで、《ELパー》やら《3》やらに看板を架け替えねばならなかったELP。
ピンク・フロイドの商標は、ロジャー・ウォーターズとデイヴ・ギルモアの地球規模の確執により、核燃料デブリもしくは原発処理水並みの問題案件と化して久しい。中国ならとっくの昔に地中に埋められて、なかったことになってるね。
ロバート・フリップ不在のキング・クリムゾン、というのも未来永劫ありえない。かつて「自分は脱けるから、バンドは継続したまえ」とフリップから二度ほど譲渡を表明したものの、レーベル&マネジメントが「ありえん」と却下。以降は自分抜きのクリムゾン再現バンドのフランチャイズ化に寛容な姿勢を見せたものの、《21馬鹿バンド》とか《ザ・クリムゾン・プロジェクト》とか《キング・クリムゾンDNA》とかいちいち別の店名で暖簾分けしたがったから、面倒くさい。今年秋に始動するらしいエイドリアン・ブリュー+トニー・レヴィン+スティーヴ・ヴァイ+ダニー・ケアリー(トゥール)による「演目は80年代クリムゾン三部作だよ」バンドに、《ビート》と名付けたのもフリップだし。
だから繰り返す。ロバート・フリップ不在のキング・クリムゾンは絶対にありえない。
思えば1973年3月の初来日公演も翌4月リリースの『イエスソングス』も、「うわレコードと寸分違わぬ演奏じゃーん!」が当時イエスに贈られた最大限の賛辞だった。「インプロ」という名の壮絶な自傷行為合戦でも、ひたすら愉快痛快単純明快な「俺が俺が」祭りでも、圧倒的な物量作戦を誇る内省エンタテインメントでもなく、緻密な構築性を誇るイエス・ミュージックを「いつでもどこでも」再現してみせる圧倒的なアンサンブル力こそ、イエスそのものだ。そういう意味ではクラシックのように、イエスというバンドは不在でも誰であれ、あの楽曲群が完璧に演奏されることで受け継がれていけば、それでいいのではないかとも思えてしまう。
「クリス・スクワイアが逝去したとき、イエスという名前は封印すべきだった」とあのウェイクマンが述懐してたから驚いた。さらには「イエスに在籍した経験がある者なら誰でもイエス・ミュージックを演奏する権利はあるが、〈イエス〉ではない名称で演奏するべきだ」とも。そのスクワイアが生前ふと漏らしたのが、「こんなに長く続けられたんだから、俺たちが消えてもバンドは消えないのかもしれないなあ」という、なんとも言えない述懐だったし。
そんな前代未聞の〈楽譜プログレ〉として存在し続けることこそ、実はイエスに最も相応しいはずだ。クラシック音楽みたいでいいじゃない。
第一回「ジョン・ウェットンはなぜ<いいひと>だったのか?」はコチラ!
第ニ回 「尼崎に<あしたのイエス>を見た、か? ~2017・4・21イエス・フィーチュアリング・ジョン・アンダーソン、トレヴァー・ラビン、リック・ウェイクマン(苦笑)@あましんアルカイックホールのライヴ評みたいなもの」はコチラ!
第三回「ロバート・フリップ卿の“英雄夢語り”」はコチラ!
第四回「第四回 これは我々が本当に望んだロジャー・ウォーターズなのか? -二つのピンク・フロイド、その後【前篇】-」はコチラ!
第五回「ギルモアくんとマンザネラちゃん -二つのピンク・フロイド、その後【後篇】ー」はコチラ!
第六回「お箸で食べるイタリアン・プログレ ―24年前に邂逅していた(らしい)バンコにごめんなさい」はコチラ!
第七回「誰も知らない〈1987年のロジャー・ウォーターズ〉 ーーこのときライヴ・アルバムをリリースしていればなぁぁぁ」はコチラ!
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第十回「禊(みそぎ)のロバート・フリップ ーー噂の27枚組BOX『セイラーズ・テール 1970-1972』の正しい聴き方」はコチラ!
第十一回「ああロキシー・ミュージック(VIVA! ROXY MUSIC)前篇 --BOXを聴く前にブライアン・フェリーをおさらいしよう」 はコチラ!
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第十七回 「クリス・スクワイアとトレヴァー・ホーン -イエスの〈新作〉『FLY FROM HERE -RETURN TRIP』に想うこと- 前篇:スクワイアの巻」はコチラ!
第十八回 「クリス・スクワイアとトレヴァー・ホーン -イエスの〈新作〉『FLY FROM HERE-RETURN TRIP』に想うこと- 後篇:空を飛べたのはホーンの巻」はコチラ!
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第四十二回:「(第41回からの)日曜日のお昼ごはん。【前篇】ロバート・フリップと渡辺明」はコチラ!
第四十三回:「(第41回からの)日曜日のお昼ごはん。【後篇】トーヤと伊奈めぐみ」はコチラ!
第四十四回:「(第41回からの)高齢者にとっての〈二つのPT〉【前篇】ウドーちゃん祭りでポーキュパイン・ツリーを観た。」はコチラ!
第四十五回:「高齢者にとっての〈二つのPT〉 【中篇】スティーヴン・ウィルソン「息苦しさ」の美学」はコチラ!
第四十六回:「高齢者にとっての〈二つのPT〉【後篇】 どうしてこんなに1980年代を想い出すんだろう。」はコチラ!
第四十七回:「産業ロック(笑)。」はコチラ!
第四十八回:「カンタベリーの「わらしべ長者」」はコチラ!
第四十九回:「葛飾にカンタベリーを見た:なぎら健壱じゃないよスチュワート&ガスキンだよ」はコチラ!
4枚組ボックス、ブックレット・帯・解説・紙製収納ボックス付仕様、定価9709+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯無
解説無、帯無、ボックスとブックレット無し、CDの圧痕・ソフトケースの圧痕あり
デジタル・リマスター、ボーナス・トラック4曲
盤質:傷あり
状態:良好
ビニールソフトケースの圧痕あり
その構築的に練り上げられた楽曲と凄まじい演奏技術により、今なお多くのフォロワーを生み出しているイギリスのグループの71年作4th。その内容は次作「危機」と並ぶ、プログレッシブ・ロック史に留まらず70年代ロック史に残る屈指の大名盤であり、STRAWBSからキーボーディストRick Wakemanが加入、文字通り黄金期を迎えた彼らがトップバンドへと一気に飛躍する様が鮮明に残されています。まだ「危機」のような大作主義こそないものの、「ラウンドアバウト」「燃える朝焼け」など彼らの代表曲を収録。また今作から、その驚異的なエンジニアリング技術で彼らの複雑な楽曲製作に貢献することとなるEddie Offord、そしてその後のYESのトレードマークとなる幻想的なジャケット/ロゴを手がけるRoger Deanが参加、名盤の評価をより一層高めることとなります。
デジパック仕様、スリップケース付き仕様、輸入盤国内帯・解説付仕様、デジタル・リマスター、ボーナス・トラック2曲、定価2400+税
盤質:傷あり
状態:並
帯無
帯無
英国プログレを代表するグループ、71年3rd。John Anderson、Bill Bruford、Chris Squireに加えSteve Howeが加入。前作までのPOPさを残しつつクラシック要素が強まり、楽曲構成がより複雑且つドラマティックなものへと変化しています。大作こそ無いもののYESサウンドを確立させたアルバムです。クラシカルなものからフラメンコまで、多様なフレーズを自然に溶け込ませるSteve Howeのギターが圧巻。細かく正確に刻まれるBill Brufordのドラム、メロディアスに高音を響かせるChris Squireのベース、そして天使の歌声John Andersonを加えたアンサンブルは、瑞々しく表情豊かです。本作でバンドを去ることになるTONY KAYEによるハモンド・オルガンも、英国らしいダークな雰囲気を醸し出しており魅力的。『FRAGILE』、『CLOSE TO THE EDGE』に次ぐ人気を誇る代表作。
紙ジャケット仕様、UHQCD、スティーヴン・ウィルソン・リミックス、定価2800+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
軽微なスレあり
その構築的に練り上げられた楽曲と凄まじい演奏技術により、今なお多くのフォロワーを生み出しているイギリスのグループの72年作5th。その内容は前作「こわれもの」と並ぶ、プログレッシブ・ロック史に留まらず70年代ロック史に残る屈指の大名盤であり、20分近い表題曲をメインに据えたコンセプト・アルバムとなっています。Keith Emersonと人気を分かつRick Wakemanによる華麗なキーボード・オーケストレーション、カントリーからフラメンコまでを自在に操る個性派ギタリストSteve Howeの超絶プレイ、難解な哲学詞を伝えるハイトーン・ボーカリストJon Anderson、テクニカルでタイトなBill Brufordのドラム、そしてリッケンバッカーによる硬質なベースさばきを見せるChris Squire、今にも崩れそうな危ういバランスを保ちながら孤高の領域に踏み入れた、まさに「危機」の名に相応しい作品です。
紙ジャケット仕様、HDCD、デジタル・リマスター、インサート封入、定価2000+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
帯中央部分に若干色褪せあり
デジパック仕様、スリップケース付仕様、デジタル・リマスター、ボーナス・トラック4曲
盤質:無傷/小傷
状態:良好
デジパック・スリップケース付き仕様、デジタル・リマスター、ボーナス・トラック4曲
盤質:無傷/小傷
状態:良好
軽微な圧痕あり
その構築的に練り上げられた楽曲と凄まじい演奏技術により、今なお多くのフォロワーを生み出しているイギリスのグループの73年作。「こわれもの」「危機」で大きな成功を収めた彼らですが、本作は彼らが更なる高みを目指した1枚であり、Jon Andersonの宗教的なコンセプトをテーマに神秘的な雰囲気と独特の瞑想感、スペーシーな雰囲気で進行する良作です。全4曲から構成され、うち3曲は20分を超えると言う大作主義の極みのような作風は圧巻であり、Bill Brufordに代わりドラムにはAlan Whiteが初めて参加しているほか、Rick Wakemanは本作を最後に脱退。非常に複雑な構成から賛否両論のある1枚ですが、やはりその完成度に脱帽してしまう傑作です。
2枚組、英文ブックレット付仕様、定価不明
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
盤に指紋跡あり、帯はケースに貼ってある仕様です、帯に折れあり
紙ジャケット仕様、2枚組、HDCD、デジタル・リマスター、定価3619+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
若干スレ・若干汚れあり、解説に軽微な折れあり
その構築的に練り上げられた楽曲と凄まじい演奏技術により、今なお多くのフォロワーを生み出しているイギリスのグループの73年ライブ作。名盤「Close To The Edge」を生み出した彼らの自信が感じられる名ライブ作であり、その内容はある種、スタジオ盤以上にファンを虜にしているほどです。もはやおなじみとなったストラビンスキーの「火の鳥」でその幕を開け、「シべリアン・カートゥル」や「燃える朝焼け」「同志」「危機」と、「ラウンド・アバウト」と彼らの代表曲をたっぷりと収録。スタジオ作のクオリティーを完璧に再現するだけでなく、スタジオ作には無いドライブ感の詰まった超絶技巧、名演の数々は全ロックファン必聴です。
その構築的に練り上げられた楽曲と凄まじい演奏技術により、今なお多くのフォロワーを生み出しているイギリスのグループの74年作7th。「こわれもの」「危機」で大きな成功を収めた彼らですが、前作「海洋地形学の物語」でキーボードのRick Wakemanが脱退、後任にはRefugeeの技巧派Patrick Morazが加入しています。その内容はPatrick Morazの参加によってラテン・ジャズ、そして即興色が加味され、超絶なインタープレイの応酬で畳み掛けるハイテンションな名盤であり、「サウンド・チェイサー」ではインドネシアのケチャも取り入れるなど、深化した彼らの音楽性が伺えます。もちろん彼ららしい構築的なアンサンブルも健在であり、大曲「錯乱の扉」の一糸乱れぬ変拍子の嵐など、バンドのポテンシャルの高さが伺えます。大きな成功を経て円熟期に入った彼らを象徴する1枚です。
98年初回盤紙ジャケット仕様、HDCD、デジタル・リマスター、内袋・リーフレット付仕様、定価2000+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
内袋はついていません
盤質:傷あり
状態:並
軽微なカビあり
デジパック仕様、スリップケース付仕様、デジタル・リマスター、ボーナス・トラック3曲
盤質:傷あり
状態:良好
スリップケースに軽微な圧痕あり
その構築的に練り上げられた楽曲と凄まじい演奏技術により、今なお多くのフォロワーを生み出しているイギリスのグループの77年作。前作「Relayer」でRick Wakemanに代わりテクニカルなプレイを見せたPatrick Morazが脱退しRick Wakemanが再加入した作品となっています。それに伴い、Patrick Morazの即興色やジャズ色が影響した前作に比べてRick Wakeman色がバンドに再び彩りを与え、シンフォニック然としたアプローチが復活。YESらしい個性が再び芽吹いた1枚と言えるでしょう。加えて、非常にポップな印象を与える作風へとサウンドが変化しており、Doger Deanの幻想的なアートワークからHipgnosisの現実的なアートワークへの移行が興味深い作品となっています。
紙ジャケット仕様、MQA-CD×UHQCD(すべてのCDプレイヤー再生可/ハイレゾ品質での再生にはMQA対応機器が必要)、復刻巻帯付き、リーフレット付仕様、定価2800+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
パンク、ニュー・ウェイブ全盛期の中リリースされた78年9作目。大作主義は鳴りを潜め、10分以下の小曲で構成されているほか、音も時代を反映してそれまでよりもかなり煌びやかでポップなものになっています。とはいえ開放感のある瑞々しいメロディや、各楽器が緻密にメロディを奏でていくアンサンブルの構築性は流石のYESと言ったところ。多様な音色を駆使し、生き生きとフレーズを弾きまくるウェイクマンのキーボード。自由奔放かつ繊細さ溢れるハウのギター。地に足のついたスクワイアのベース、タイトかつ柔軟さのあるホワイトのドラム。そこへアンダーソンのヴォーカルが次から次へとメロディを紡ぎ出す、有無を言わせぬ怒涛のプログレッシヴ・ポップ・サウンドは彼らでなければ生み出し得ないものでしょう。「Release Release」など本作を象徴する1stや2ndに入っていそうなスピーディーでストレートなロック・ナンバーも魅力ですが、白眉は「On The Silent Wings of Freedom」。前作『Going For The One』で聴かせた天上を駆けるような夢想的なサウンドと、「ロック」の引き締まったビートが理想的に共存した名曲に仕上がっています。スタイルは変われどもYESらしさは満点と言っていい好盤。
「こわれもの」「危機」を生んだイエス黄金ラインナップからなるABWHと、かつてイエスに在籍した主要メンバー(クリス・スクワイア、アラン・ホワイト、トニー・ケイ、トレヴァー・ラビン)が合体。8人組新生イエスがここに誕生した91年作。
紙ジャケット仕様、K2 24bitマスタリング、ボーナス・トラック1曲、内袋付仕様、定価2000+税
盤質:傷あり
状態:
帯有
透明スリップケースがついています
定価2500+税、36Pブックレット付仕様
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
帯特典部分切り取り有り、帯に若干圧痕あり、クリアケース無し
2枚組、紙ジャケット仕様、SHM-CD、ボーナス・トラック2曲、定価4000+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
元イエス〜エイジアのスティーヴ・ハウと元ジェネシスのスティーヴ・ハケットを中心とするプログレ・バンド。86年の唯一作。プロデュースはジェフ・ダウンズ。言わずと知れた名ギタリストの2人ですが、メロディアスなバンドを経てきた彼ららしく、あくまで歌に比重が置かれていて、2人が紡ぐエレキ、アコギ、ギター・シンセが織りなす重厚かつ伸びやかなギター・オーケストレーションを中心に、アメリカナイズされたタイトなリズム・セクションとハイ・トーンのヴォーカル、フックに富んだメロディが爽快に躍動するプログレ・ハードが印象的です。アルバムの幕を開ける「When The Heart Rules The Mind」は全米14位の大ヒット。
デジパック仕様、直輸入盤(帯付仕様)、2枚組、DISC1はデジタル・リマスター、ボーナス・トラック3曲、解説元から無し、定価2300+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
軽微な圧痕あり
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