2020年5月2日 | カテゴリー:どうしてプログレを好きになってしまったんだろう@カケハシ 市川哲史,ライターコラム
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世界規模の新型コロナウイルス禍の悪影響は、想像以上に及んでいた。
教鞭を執っている神戸の女子大は当然、新年度が開幕しても学生の登校は叶わず。オンライン授業って何だこの野郎。まあ仕事や生活に支障を来たしてるのは人類全員だから、こんな愚痴をこぼした私は非国民。
とはいえプログレ・シーンへの禍も、実は意外に多いのだ。4月リリース予定だった〈サイケデリック・ピンク・フロイド再び〉バンド【ニック・メイソンズ・ソーサーフル・オブ・シークレッツ】の初ライヴ・アルバムは、ツアー延期に合わせて発売も9月まで延びてしまう。既に日本国内仕様盤は完成し、倉庫で冬眠してると聞いた。
ありゃりゃ。
我らがキング・クリムゾン楽団もビル・リーフリン亡きいまは七人編成で、6月から《WE PAINT ELECTRIC RHYTHM COLOUR》北米ツアーを廻るはずだった。しかもマイク・ケネリーにレイ・ホワイトといった、〈当事者〉参加のフランク・ザッパ・トリビュート・バンド【ザ・ザッパ・バンド】を前座にして。
しかしというかやはりというか、来年に延期となった。それはいい。仕方ない。
それより私が危惧するのは、フリップ&レヴィンの74歳ご高齢コンビが来年も技術力をこのままキープできるのか、この空白の一年が結果的彼らの現役生活を縮めてしまわないか、ということ。72歳になるメルコリの来年の肺活量だって、心配だ。
東京五輪期間中は国外逃亡を予定している私には、単細胞のナショナリズム祭が一年延期しようが知ったこっちゃない。ただし、競技者としての黄昏どきを迎えつつあるベテラン・アスリートだけには、フリップ&レヴィンがだぶって憐憫の情を禁じ得なかったりするのであった。
どうか来年、クリムゾン楽団がツアーに無事出られますように。
さて前回のコラムで新作執筆中に癒された【ネタプログレCD】の数々を紹介するはずが、藤波辰巳の入場曲シングル“ドラゴン・スープレックス”一枚で終わってしまった、我が体たらく。というわけで続篇、いきます。
あ、一曲、不覚にもプロレスラー入場プログレ曲を見落としてた。新日に電撃移籍したブルーザー・ブロディの後釜として、スタン・ハンセンとタッグを結成したテッド・デビアス――地味だなおい。そんな彼はイエス『90125』収録曲の、よりにもよって“アワ・ソング”。〈無敵の我田引水妖精もどき〉ジョン・アンダーソンが「♪音楽にはマジックが起こるのさぁぁぁぁぁ」と世迷言を高らかに唄うものの、デジタルシンセがきらきら過ぎて80年代B級青春映画のサウンドトラックみたいな、あんな唇寒い曲を選ぶか?
さすが全日本プロレス、やはり国宝級のいなたさだったな。
いろいろ聴いた。
まず〈以前からすごく気になっていたけど、聴かなくても大勢に影響はないはずの一枚〉が、ポール・アンカと並ぶ米国民的歌手のニール・セダカ(!)が1974年にリリースした『ニール・セダカ・ライヴ(LIVE AT THE ROYAL FESTIVAL HALL with THE ROYAL PHILHARMONIC ORCHESTRA)』。同年2月2日の英ロイヤル・フェスティヴァル・ホール公演のライヴ盤だ。21年前に海外で一瞬CD化されたらしいがまったく見かけないので、米国から中古LPを取り寄せてしまった。わざわざ。
しかし言うまでもなく、私はセダカ師匠に詳しくない。収録曲の原題を見てもちんぷんかんぷん(←死語)だ。例えばB➁“メドレー”は――“Oh!Carol”~“Stairway To Heaven”~“Little Devil”~“Happy Birthday Sweet Sixteen”~“Breaking Up Is Hant To Do”~“Next Door To An Angel”~“Calender Girl”。うーん。
針を落とす。ん? 全曲知ってるぞなぜだか。“おお!キャロル”全米9位~“星へのきざはし”同9位~“小さい悪魔”同11位~“すてきな16才”同6位~“悲しき慕情”同1位~“かわいいあの娘”同5位~“カレンダー・ガール”同4位。うひょー目も眩むほどの全米ヒット・シングル・メドレーっっっ。
さらによく聴いたらA➂“Solitaire”は、のちにカーペンターズがカヴァーした“ソリテアー”だし。初めて聴いたけどA⑥“雨に微笑みを”は全米1位曲にして、第一次ブリティッシュ・インベイジョンの直撃にセールスがどん底まで落ちた我が身を唄ったという、なかなかの自己憐憫歌でぐっときた。うっかり。
バンドとロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団をバックに、ピアノを弾きながら唄うスタイルも新鮮でこれもまたぐっときた。すっかり。
と初心者なりにセダカ師匠の世界を愉しんでしまったが、そもそもはこのコンサート・バンドが物騒な面子だからずっと気になってたのだ。ポリス結成を3年半後に控えたアンディ・サマーズがギター、マクドナルド&ジャイルズ解散後ずっとセッション仕事に明け暮れてたマイケル・ジャイルズがドラムだもの。
ドーセット万歳。
はい。言われなければ、そこにサマーズがいることにもジャイルズが叩いてることにも、世界中の誰も気づかないほどオーソドックスでスタンダードな音だった。
しかしスクエアな演奏に徹した二人は、正しい。だってあくまでも師匠のヴォーカルが主役の〈ひとり芝居〉だから、唄声の輪郭が際立つようスクエアな演奏に徹するのが正解だ。それでこそプロの黒子である。
セッション仕事に各方面から引く手あまたのクリムゾン在籍者といえば、メル・コリンズとトニー・レヴィンが双璧だろう。だが1970年代のマイケル・ジャイルズも、膨大な数のレコーディング仕事をこなしていた。
クリムゾン関係のディスコグラフィー本で紹介される彼の70年代仕事といえば、マクドナルド&ジャイルズ、ジャクソン・ハイツ一式、グリムス、イヴォンヌ・エリマン、ケヴィン・エアーズ、ジョン・G・ペリー、ブリジット・セント・ジョン、レオ・セイヤーあれこれ、そしてアンソニー・フィリップスが通り相場だ。ところが実際はそんなもんじゃ済まない。
実はそれ以外の、SSW系――特に〈クリスチャン・ミュージック〉という日本人には理解しづらい類のジャンル界隈で、ジャイルズの太鼓は重宝されまくりだったのだ。なんか聞いたことのない名のSSWの普通でどってことないアルバムに、ジャイルズの名前がクレジットされてるのなんのって。
クリスチャン・ミュージックとは具体的な音楽スタイルがあるわけではなく、〈キリスト教信仰に深く関わる歌詞を重視する音楽〉を広義に指すようだ。だからC&Wだったりロックだったりフォークだったりと、その音楽的特徴に枠組みはない。ジャイルズのみならず、ジョン・ウェットンもエドワーズ・ハンズやらマルコム&アルウィンの作品で弾くなど、クリスチャン・ミュージックにお仕事として関わってたはずだ。
日本人で無神マンの私に語る知識も素養もないが、要はキリスト教的な大らかな価値観と世界観で唄われる〈毒にも得にもならないからこその、圧倒的な普遍性を誇る歌〉と解釈する。そして当時の世界情勢を反映してか、私が知らなかっただけで1970年代前半の英米には、どうもクリスチャン・ミュージックが蔓延してたに違いない。
1974年9月に日本初放映された『刑事コロンボ#24白鳥の歌』は、当時小学6年生の私には奇異に映った。グラミー受賞11度で140曲以上のヒット曲を誇る、C&W界の現役スーパースターであるジョニー・キャッシュが犯人役で、しかも役柄も「C&Wの人気歌手」そのまま。ストーリーもえぐい。
キャッシュ(苦笑)はまだ売れる前、刑務所でくすぶってた自分を救ってくれた宗教団体《魂の十字軍》の信者と結婚する。その後彼はスターの座を摑んだもののつい魔が差し、未成年の少女信者と不純異性交遊を持ったばかりか、それをネタに妻から歌手活動の全収益の《十字軍》への寄付を強要され続けたのだ。そりゃ殺意も湧く。
ライヴ終了後、いまやすっかり妻の手先と化した少女と妻を乗せた自分のセスナで、キャッシュは次の公演地に向け飛び立った。この夜が悪天候になると踏んだ上で。
で嵐の中、睡眠薬入りのコーヒーで眠らせた二人を機内に残し、小型パラシュートで間一髪脱出。脚を骨折はしたものの、二人を墜落機と共に葬ったキャッシュの完全犯罪は成立したかに思われたーーってどんだけ大胆なトリックなのよ。
というかキャッシュは実在のアーティストで、実際にも敬虔なクリスチャンだ。メジャー・デビューしてすぐに商業的成功を摑んだものの、長期にわたり薬物中毒になるわ森林火災を起こして206haも焼くわ短期間ながら服役もするわ。目茶目茶破天荒ではあるけども、囚人に対する彼の慈悲の心は海よりも深く、全米の刑務所を慰問コンサートで廻ったばかりか、米大統領のニクソンに監獄法の改正を直接訴えるほど。特に後期は、贖罪や道徳的試練ばかり唄ってたりなんかして、〈脛に傷持つアナーキーな聖職者〉というのが私のイメージだったりする。
このエピソード、一般の米国市民にはすごく説得力あるんだろうなぁ。我々日本人にはうかがい知れないものが。
で劇中流れるキャッシュのコンサート・シーンを観たら、それこそ説教師が登場したり聖歌隊のようなコーラス・グループがフィーチュアされてたりと、そのやたら宗教っぽい空気感が全く理解できなかったのだ。いま思えば、あれがまさしくクリスチャン・ミュージックの風景だったのかもしれない。
でこの二年ほど、さすがにCD化物件限定だけどLARRY NORMANとかNUTSHELLとかKENNY YOUNGとかGARTH HEWITTとか、ジャイルズが叩いてるクリスチャン・ミュージックをいろいろ聴き込んでみた結果、まずわかったのは私には全っ然必要のない音楽だということ。要らない。
そしてもう一つは、「♪何でもないような曲が幸せだったと思う」クリスチャン・ミュージックに難なく適応できてたジャイルズは、すごいーーとても感心した私なのだ。だってあの地雷也のような〈どたんばたんドラム〉はひとまず心に棚を作って置いといて、あえて〈何でもないようなドラム〉で素朴過ぎるクリスチャン・ミュージックにすっと交わっちゃえるのだから、やはりクリムゾンの初代ドラマーは超人だった。
あれだけ手脚が長いのに、ドラム叩いてて持て余さないのかジャイルズ。
というか、2m08cmの長身がスリー・クォーターから投げ込む最速164kmの剛速球と高速スライダーで、メジャー歴代2位の通算4875奪三振を記録した超絶左腕ランディ・ジョンソンに、顔も髭も背もよく似てるぞジャイルズ。
しかし偶然とは恐ろしいもので、ジョンソンの趣味はドラム。ニール・パートからシグネチャー・モデルのセットを貰ってるし、加藤茶にドラム合戦を挑んだこともあるのだ。なんだかわからないけどすごいだろ。ついで言えば私は、西新宿でツェッペリンのブートCDを大量に買い漁るジョンソンの長躯を目撃している。なんだかわからないけどすごいだろ。
セダカ師匠のライヴ盤の裏ジャケに2カット、ピアノを弾く師匠の向こう側に写り込んだタキシード姿の彼を確認できる。あんなにドラムは伴奏に溶け込んでるのに、容姿はものすごく浮いていると思う。
と国民的歌手の米国代表がニール・セダカなら、英国代表はクリフ・リチャードでどうだ。ちなみに1982年リリースの全英4位アルバム『NOW YOU SEE ME, NOW YOU DON’T』にメルコリ先生が既にゲスト参加しており、目っ茶目茶クールで恰好いいサックス・ソロを2曲も聴かせていた。
あ、このアルバムの邦題すごいよ『僕はミュージック』だもん。
で今回の執筆中は、以前から気にはなってたクリフ師匠2006年のクリスマス・シングルを入手して聴いたら、さすがのモダンなブリティッシュ・ポップで、いい。比喩として正しいのかどうか判断を憚るが、〈売れ線のXTC〉である。リチャード師匠をナメてはいけない。
そのタイトルは“21st Century Christmas”で、ギャヴィン・ハリソン&ジャコ・ジャクスジクの両名がゲスト参加だ。クリムゾン楽団員が2名いて“21馬鹿”みたいなタイトルの曲とくりゃ、せっかちなプログレッシャーは反射的にカートに入れる。
しかし一度落ち着いて考えれば、2006年時点ではまだ二人共クリムゾンに加入していない。しかもハリソンは彼らしい金属的な音色のドラムを聴かせるが、ジャクジクの担当は〈バッキング・ヴォーカル〉のみ。そう、この楽曲は企画物でも何でもない単なる偶然の産物だったのである。でもよくできた冗談だと思う。
なお収録されてるもう一曲“Move It”は、ブライアン・メイとモ・フォスターが共演する〈21世紀のバッド・カンパニー〉みたいな楽曲だから、リリース当時はきっとこっちの方が話題になっただろうと容易に推測できる。ちっ。
さて原稿が煮詰まったときは、衝動的に購入してはみたが開封する機会を逸して冬眠したまんまのCDを、部屋の藻屑から発掘して聴くには適した時間帯だ。私の場合は、冒険タイムに充てることが多い。
なにせ今回は【藤波辰巳meetsメル・コリンズ】で端緒を切ったので、気分は当然【日本人ミュージシャンmeets本場プログレ】路線に向かってしまう。無謀だ。
まず、当該演奏者のタイプがそのまま発注者の傾向に表れるから、可笑しい。
ビルブルなら、渡辺香津美『The Spice of Love』『同2』に杏里『Trouble In Paradise』、久石譲『地上の楽園』で、まったく魂は籠もってないが普通に達者な太鼓を披露する。
〈性根が腐ってないビルブル〉ハリソンも、1990年前後の駆け出しの頃はゴスペル・ピアニスト吉弘千鶴子、お馴染みサックス奏者の清水靖晃、映画音楽作曲家の清水三恵子とアカデミック村で重宝されていた。
求められてるのがもはや〈産業ロック歌手〉的資質だったジョン・ウェットンは、聖飢魔Ⅱからの派生ユニット⦅RX⦆参加やVOWWOWのシングル“Don’t Leave Me Now”共作/プロデュース/コーラス――なんだろう、この出がらし感は淋しい。
そして名実ともに〈スタジオ・ミュージシャンの鑑〉といえば、やはりトニー・レヴィンおじさんに尽きる。目立つ日本仕事が中島みゆきの『夜を往け』ぐらいのメルコリとは異なり、とにかく商売繁盛のベースおじさんだった。
というかニューヨークに定住した1970年以来、ロチェスター・スクール・オブ・ミュージックの同窓であるスティーヴ・ガッドと組んだタッグは、70年代に勃興したフュージョン・ムーヴメントの草創期をレコーディング・スタジオから支えた名リズム隊だ。
実はここ数年、レヴィンのスタジオ・ワークスをイージーリスニング代わりに愛聴してるが、門外漢の私が聴く度に惚れ惚れするほど、二人が紡ぐリズム・トラックはとにかく美しかった。もちろん万能レヴィン単独でも。
フリューゲルホルン奏者チャック・マンジョーネのライヴ盤『ALIVE!』で闊歩する、ファンキー・レヴィンのソロ。
全編通してタイトなベースがクールな、技巧派ヴィブラフォン奏者ゲイリー・バートンの1971年6月の来日公演盤『ライヴ・イン・トーキョウ』。ちなみにこの時点で、既にレヴィンのヘアスタイルは磯野波平だった。余計なお世話だよ。
ブレッカー兄弟の強烈なインプロ・ホーンズに臆すことなく、ヴォーカルやピアノ以上にうたごころを聴かせるベースは、ボズ・スキャッグスの盟友ベン・シドランのソロ・ライヴ盤『ライヴ・アット・モントルー』。
また、『ファースト・ライト』『ディスコティック』『ウォーターベッド』『サプライズ』『ブラジル・ワンス・アゲイン』と、旺盛な好奇心と貪欲な音楽性で何でも吹いてしまう〈フュージョン界のファンキー・フルート鬼〉ハービー・マンのあらゆるアルバムに平然と対応しながらも、自己顕示欲とは縁遠いベース力はすごい。まだ若かりしレヴィン+ガッドのファンキー&タイトなリズム隊ぶりも、潔くていい。
個人的には、《マイク・マイニエリ&フレンズ》名義で1972年にリリースされた一大セッション・アルバム『ホワイト・エレファント』が、いまなお愛聴盤だ。私が書くと嘘くさいので、ジャズ評論家・原田和典氏のライナーから引用すると――。
だそうだ。成り立ち的には、メルコリも在籍していた《ココモ》に近いのかもしれない。アレはスタジオ仕事で売れっ子の腕利きミュージシャンたちが、大好きなファンキー・ミュージックを「自分たち」が愉しむために、パブに集合して演奏してたら大所帯ファンク・バンドが出来上がってたわけだし。
20名以上の同好の士が集ったこの《白象》バンドの音は、私が思春期の頃から聴き慣れてた英国産ジャズ・ロックとは明らかに異なる、米国産ジャズ・ロック――ここがファンキーでグルーヴィーなクロスオーヴァーの夜明けだったんだな、きっと(←適当)。
とレヴィンおじさんの足跡をたどるだけで、かつて積極的に聴いてこなかった音楽群を学習できるわけだ。その後のカーリー・サイモン、ポール・サイモン、ピーター・ポール&マリー、アート・ガーファンクル、ジョン・レノン、ヨーコ・オノ、ブライアン・フェリー、ジェームス・テイラー、シェール、マリア・マッキー、スティーヴィー・ニックス、ジョン・アーマトレディングなど、〈主役のヴォーカルを徹底的に引き立てる演奏〉シリーズも毎度毎度上品で見事だったし。にしてもすごいぞこのポピュラー音楽史そのままの、クライアント名簿。
なのだが、今回聴き込んだレヴィンおじさんは、〈コンテンポラリー・ジャズ・レヴィン〉でも〈輝け!米国レコード大賞レヴィン〉でもない。はいやっと話が戻りました、【日本人ミュージシャンmeetsレヴィンおじさん】の数々である。
とにかくこのひとは、博愛すぎるのか無頓着なだけなのか割り切ってるのか心は明鏡止水なのかわからないけれど、日本人との仕事がたぶん他の誰よりも多い。
渡辺香津美『To Chi Ka』とか大貫妙子『Drawing』はありがちというか、違和感はない。松たか子の旦那ユニット《山弦》の『High Life』、洋楽に意識的だった〈渋谷系〉系人気グループのL⇔R出身・黒沢健一『First』、そして1980年代ポップ・カルチャーにおけるモード系アイコンだった、『an・an』超人気モデル・甲田美也子のdip in the pool『7』も、レヴィンおじさんを起用することが商品性として成立するカテゴリーの人々だった。
しかし日本のロックのまだまだ黎明期(←まだJ-POPなんてラベリングがなかった頃)にも、人知れずレヴィンおじさんは弾いていた。
山下久美子の1983年『Sophia』に、大沢誉志幸の1984年『CONFUSION』かぁ。
『ロッキング・オン・ジャパン』~『音楽と人』で20世紀のラスト20年、膨大な邦楽仕事をこなしてた身としてはなかなか感慨深いアイテムではある。
両者とも80年代前半だから、実はまだバンド・ブーム前夜。それでも時代は、〈歌謡曲でもニューミュージックでもない〉大衆音楽を模索し始めていた頃だ。しかもこの2作品、どちらもNYのパワー・ステーションで海外レコーディングされてるという〈偶然〉がまた、なんともあの時代らしい。当時の最先端だもの。
まず山下久美子は“赤道小町ドキッ”の大ヒットと超能動的なライヴ力で、全国津々浦々の大学学園祭を総なめにした、人呼んで「総立ちの久美子」とは懐かしい。ちなみに酒癖も悪かった。わはは。このアルバムからは“こっちをお向きよソフィア”がシングル・ヒットしたが、レヴィンがベースを弾いてると思うとなんか感慨深い。
ただし当時の日本のロック業界はまだまだ未成熟だったから、このレコーディングはかなり妙なのだ。同じパワステでちょうどレコーディングしてた縁からか、あのカーリー・サイモンが1曲コーラスで参加している。海外録音らしい素敵なトピックじゃないか。
がしかし、彼女が録音したアルバム『ハロー・ビッグ・マン』とこっちの『Sophia』の録音メンバーを較べたら、なんと――ベース:レヴィンおじさん、ギター:ヒュー・マクラッケン、ドラムス:リック・マロッタ、鍵盤:ドン・グロルニックの四人は両方で演奏してるではないか。まさかパワステが一石二鳥ポイントだったとは。
普通に考えれば、日本の山下のレーベルからこのNY録音のコーディネイションを依頼された者が、カーリー・サイモンの新作レコーディング・セッション@パワステに上手く乗っけちゃったのではないかと。もしかしたら場所とメンツを一石二鳥でブッキングすることで、総制作費が若干リーズナブルになるパッケージ商品だったかもしれない。いまや真相は藪の中だけど、足元を見られたわけではない、と思いたい。
ちなみに『ハロー・ビッグ・マン』のプロデューサーは、さっきの『白象』主宰者のヴィブラフォン奏者、マイク・マイニエリであった。おお。
で“こっちをお向きよソフィア”を作曲したのが、大沢誉志幸とくる。おお。
よくできた話だ。
さてその大沢は1981年にバンド・デビューしたものの箸にも棒にも掛からず、まず楽曲提供に活路を見い出した。すると沢田研二に“おまえにチェックイン”と“晴れのちBLUE BOY”、中森明菜に“1/2の神話”、吉川晃司に“ラヴィアン・ローズ”、山下久美子に“こっちをお向きよソフィア”と提供曲が連続ヒットで商業的実績を積み、1983年6月に今度はソロ・アーティストとして再デビューを果たす。
そういえば“晴れのちBLUE BOY”はアダム&ジ・アンツみたいなアレンジで、しかも“エレファント・トーク”ばりの雄叫びギターがイントロにフィーチュアされてて、当時「フリップ卿に見つからねばよいが」と心配したものだ。嘘です。
一応音楽評論家的に言えば『CONFUSION』は、それこそ〈歌謡曲でもニューミュージックでもない可能性〉が見えた一枚である。彼のメルクマール的楽曲“そして僕は途方に暮れる”が誕生したからだ。当時としては大ヒットの30万枚シングルで、そのセールス以上に日清カップヌードルのTVCFで国民的知名度を誇ったはずである。
まあ全英全米共に1位を獲得した前年1983年のヒット曲、「ポリスの“見つめていたい”を下敷にシンセを増量したらこうなった、的な楽曲」と実は言えなくもない。ばはは。
しかし我々は洋楽を好きになってロックを好きになった、「ああなりたい」「あんな音楽を演りたい」と思って楽器を持った世代である。日本のロックやJ-POPに憧れて始めた二世代下の連中とは、価値観と世界観が根本的に異なるのだ。まるっきり。
いい意味でも悪い意味でも我々の原動力だった〈洋楽コンプレックス〉。だからこその好奇心や探求心、創意工夫力が表現を豊かにしたと思う。
たとえお手本があろうともとりあえず、〈ここではないどこか〉の音楽を形にしたいという志とリビドーが、世間に示されたことが大きかったはずだ。
そしてこの記念すべき楽曲でも、レヴィンおじさんがベースを弾いていた。そうなのだ。我が国のJ-POP発展に縁起のいい妖怪だったのかもしれない。あのひとは。
あ、つい忘れてたけれど、エイドリアン・ブリューも『CONFUSION』でギターを弾いていたっけ。以上。
とこれだけ書いておきながら、大沢誉志幸も山下久美子も執筆中は聴いてなかった(←きっぱり)。
原稿に煮詰まったときの私としては、とことん自虐的に己れを追い込みたい。そんな、聴いてる自分を嫌になるようなCDなんてそうそうないはずだ。どう考えても。
……ありゃあった。
【野口五郎meetsトニー・レヴィン他】。うひょー。
すいません。ここまで中身のない話がさらにもう一回、続いてしまいます。リハビリだリハビリ。
第一回「ジョン・ウェットンはなぜ<いいひと>だったのか?」はコチラ!
第ニ回 「尼崎に<あしたのイエス>を見た、か? ~2017・4・21イエス・フィーチュアリング・ジョン・アンダーソン、トレヴァー・ラビン、リック・ウェイクマン(苦笑)@あましんアルカイックホールのライヴ評みたいなもの」はコチラ!
第三回「ロバート・フリップ卿の“英雄夢語り”」はコチラ!
第四回「第四回 これは我々が本当に望んだロジャー・ウォーターズなのか? -二つのピンク・フロイド、その後【前篇】-」はコチラ!
第五回「ギルモアくんとマンザネラちゃん -二つのピンク・フロイド、その後【後篇】ー」はコチラ!
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第二十一回「どうしてゴードン・ハスケルは不当評価されたのだろう -後篇:幻の1995年インタヴューを発掘したら、めぐる因果は糸車の〈酒の肴ロック〉」はコチラ!
第二十二回「鍵盤は気楽な稼業ときたもんだ--あるTKの一生、に50周年イエス来日公演評を添えて」はコチラ!
第二十三回「どうしてプログレを好きになってしまったんだろう(by ビリー・シャーウッド)」はコチラ!
第二十四回「荒野の三詩人-誰かリチャード・パーマー=ジェイムズを知らないか-」はコチラ!
第二十五回「会議は踊る、プログレも踊る-リチャード・パーマー=ジェイムズを探して-」はコチラ!
第二十六回「我が心のキース・エマーソン & THE BEST ~1990年の追憶~」はコチラ!
第二十七回:「『ザ・リコンストラクション・オブ・ライト』は、キング・クリムゾンの立派な「新作」である。 プログレ「箱男」通信【KC『ヘヴン&アース』箱】号①」はコチラ!
第二十八回:「《The ProjeKcts》の大食いはいとおかし。 プログレ「箱男」通信【KC『ヘヴン&アース』箱】号②」はコチラ!
第二十九回:「ロバート・フリップの〈夢破れて山河あり〉物語 プログレ「箱男」通信【KC『ヘヴン&アース』箱】号➌」はコチラ!
第三十回:「封印された〈車道楽プログレ〉ー『レイター・イヤーズ 1987-2019』箱から漏れた、ピンク・フロイドVHS『道(MICHI)』」はコチラ!
第三十一回:「どうしてプロレスを好きになってしまったんだろう。へ?」はコチラ!
紙ジャケット仕様、初回プレス限定ステッカー・ブックレット付仕様、デジタル・リマスター、定価2415
盤質:傷あり
状態:良好
帯無
帯無、若干スレ・軽微な汚れあり
CLUB47(KING CRIMSON COLLECTORS CLUB)
デジパック仕様、DVDオーディオ2枚組、NTSC方式、リージョンフリー、スリップケース・ブックレット付仕様(画像はスリップケースです)
盤質:傷あり
状態:並
1枚は無傷〜傷少なめ、1枚は傷あり、スリップケースに圧痕あり
ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。1969年に発表されたデビュー・アルバム『クリムゾン・キングの宮殿』は、プログレッシヴ・ロックのスタート地点となった大名盤であり、プログレッシヴ・ロックを聴くならまずはこのアルバムからと断言できる作品です。メンバーはギタリストRobert Fripp、ベース・ヴォーカリストGreg Lake、ドラマーMichael Giles、管楽器に加えて鍵盤楽器(メロトロン)も担当するIan McDonald、そして作詞家Peter Sinfieldという布陣。「21世紀のスキッツォイド・マン」のオープニングから緊張感のある変拍子アンサンブルやユニゾン・フレーズが畳み掛け、「風に語りて」では牧歌的でありながら浮世離れした音世界を構築。“混沌こそ我が墓碑銘”の一節があまりに有名な「エピタフ (墓碑銘)」と、同じくリリックの幻想美に酔いしれる「ムーンチャイルド」を経て、メロトロンの洪水に溺れるシンフォニックな最終曲「クリムゾン・キングの宮殿」へ。“THE BEATLESの『Abbey Road』をチャート・トップから陥落させた”というエピソードの真偽はともかくとして、プログレッシヴ・ロック時代の幕開けを告げる衝撃的な作品であることは間違いありません。『クリムゾン・キングの宮殿』に触れずにプログレッシヴ・ロックを語ることは、まず不可能でしょう。
紙ジャケット仕様、HDCD、デジタル・リマスター、ブックレット・ステッカー付仕様、定価2500+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
若干圧痕あり
ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。1970年に発表されたセカンド・アルバム『ポセイドンのめざめ』は、デビュー・アルバム『クリムゾン・キングの宮殿』の延長上に位置する作品となっています。『クリムゾン・キングの宮殿』発表後、ギタリストRobert Frippと作詞家Peter Sinfieldを除く3名が脱退を表明するも、諸事情によりGreg LakeとMichael Gilesは引き続き本作のレコーディングに参加。新たにKING CRIMSONに参加したのは、ピアニストKeith Tippett、管楽器奏者Mel Collins、ベーシストPeter Giles(Michael Gilesの実弟)、そしてヴォーカリストGorden Haskell。その結果、本作には8名ものミュージシャンの名前がクレジットされることになりました。音楽的にはデビュー・アルバムと同一線上で捉えることも可能ではありますが、例えばKeith Tippettのジャズ・ピアノをフィーチャーした「キャット・フード」、あるいは、ホルスト作曲の組曲「惑星(火星、戦争をもたらす者)」を思わせるリズムとカオティックなメロトロンが凄まじい相乗効果を生む「デヴィルズ・トライアングル」など、新たな試みも行われています。なお本作の後、Greg LakeはEMERSON, LAKE & PALMERとして再デビュー、そしてMichael GilesとPeter Gilesの兄弟はすでにKING CRIMSONを脱退していたIan McDonaldと共にMcDONALD AND GILESを結成します。
ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。セカンド・アルバム『ポセイドンのめざめ』を最後に、Greg Lake、Michael Giles、Peter Gilesが脱退。1970年に発表されたサード・アルバム『リザード』は、『ポセイドンのめざめ』に参加していたベース・ヴォーカリストGorden Haskellと管楽器奏者Mel Collinsが正式加入、さらにドラマーAndy McCullochを迎え入れ制作されました。ゲスト・ミュージシャンは、過去作にも参加のジャズ・ピアニストKeith Tippettがバンドメイト(コルネット奏者Mark Charigとトロンボーン奏者Nick Evens)を引き連れ参加している他、オーボエ奏者Robin Miller、さらにYESのヴォーカリストJon Andersonが、表題組曲「リザード」の「ルーパート王子のめざめ」で歌声を響かせています。本作は、Keith Tippettが持ち込んだフリー・ジャズのエッセンスがグループに新たな息吹を注ぎ込んだ作品であり、特に「インドア・ゲイムズ」や「ハッピー・ファミリー」におけるインプロヴィゼーションなどで、その影響をはっきりと聴き取ることができるでしょう。一方で、フルートが舞う「水の精」ではこれまでのKING CRIMSONらしい牧歌性も披露。ラストには20分を超える表題組曲「リザード」が控えます。フリー・ジャズへの接近を通じて、後のKING CRIMSONサウンドの重要なポイントとなる即興色を拡張した傑作です。
30TH ANNIVERSARY EDITION、デジタル・リマスター
盤質:傷あり
状態:並
カビあり
ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。4thアルバム『アイランズ』を発表後に解散したKING CRIMSONですが、Robert Frippは新たなメンバーを探しKING CRIMSONを再始動。グループの最高傑作と名高い1972年の5thアルバム『太陽と戦慄』を世に送り出しました。メンバーはギタリストRobert Frippに加えて、ベース・ヴォーカリストJohn Wetton、ドラマーBill Bruford、パーカッション奏者Jamie Muir、ヴァイオリン奏者David Crossという布陣。本作は、確かな技巧を持ったミュージシャンたちによる最高品質の実験音楽作品であり、1曲目の「太陽と戦慄 パートI」と最終曲「太陽と戦慄 パートII」に象徴される、即興演奏を重視したメタリックなプログレッシヴ・ロックの大傑作となっています。また、2つの先鋭的な楽曲に挟まれた中盤の楽曲たちも素晴らしく、John Wettonのヴォーカルが冴えわたる「土曜日の本」や、最初期のKING CRIMSONサウンドが頭をよぎる「放浪者」、 ヘヴィーなギターとスキャットから始まる「イージー・マネー」 、Jamie Muirの話し太鼓(西アフリカの伝統的な太鼓の奏法)を曲名に冠した「トーキング・ドラム」と、どの楽曲も強烈な個性を持っています。ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロックを聴くうえで、避けて通れない名盤です。
紙ジャケット仕様、40周年記念エディション、HQCD+DVD-AUDIOの2枚組、K2HDマスタリング、ブックレット・内袋・復刻巻帯付仕様、DVD-AUDIOはNTSC方式・リージョンフリー、定価4500+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
盤に内袋の跡あり
ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。6thアルバム『暗黒の世界』後にヴァイオリン奏者David Crossが脱退。3人体制となったKING CRIMSONは、1974年に7thアルバム『レッド』をリリースしました。メンバーは、ギタリストRobert Fripp、ベース・ヴォーカリストJohn Wetton、ドラマーBill Brufordという布陣。ゲストには、ソプラノ・サックス奏者Mel Collins、アルト・サックス奏者Ian Mcdonald、ヴァイオリン奏者David Cross、コルネット奏者Mark Charig、オーボエ奏者Robin Millerという旧メンバーあるいは過去作にもゲスト参加の経験を持つミュージシャンたちが迎えられています。その内容は、アルバムのオープニングを飾る「Red」から破壊的なギター・サウンドとアグレッシヴなリズム・セクションに驚愕する傑作。KING CRIMSON作品の中で最も素晴らしいバラード曲との呼び声も高い「堕落天使」、初期のKING CRIMSONサウンドをヘヴィーに再構築したような「再び赤い悪夢」、インプロヴィゼーションのライブ録音楽曲「神の導き」、抒情的なヴォーカルが印象的な前半部とギターやサックスが暴れまわる後半部から成る長尺曲「スターレス」と、全曲がプログレッシブ・ロック史に残る名曲です。本作のリリースをもって、KING CRIMSONは再び解散することとなりました。裏ジャケットに使われている、レッド・ゾーンに振り切れた音量メーターが、本作の狂暴な音楽性と当時のグループの状況を示唆しています。
ロバート・フリップによる89年リマスター、ファミリーツリー付き仕様、定価2233+税
盤質:傷あり
状態:
帯有
若干スレあり、カビあり
ロバート・フリップによる89年リマスター、ファミリーツリー付き仕様、定価2233+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
若干折れ・側面部に若干色褪せあり、ケースに若干スレあり
40TH ANNIVERSARY SERIES、デジパック仕様、スリップケース・ブックレット付仕様、CD+DVDの2枚組、ボーナストラック3曲、DVDはNTSC方式・リージョンフリー
盤質:無傷/小傷
状態:良好
スリップケースに若干圧痕あり
ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。5thアルバム『太陽と戦慄』に続いて1974年にリリースされた6thアルバム『暗黒の世界』は、スタジオ・レコーディングとライブ・レコーディング(73年録音)が混在する変則的な作品となっています。収録曲順に見ていくと、「偉大なる詐欺師」と「人々の嘆き」は完全なスタジオ・レコーディング。「隠し事」はライヴ・レコーディングで、「夜を支配する人」はライヴ・レコーディングの冒頭から途中でスタジオ・レコーディングに切り替わります。「トリオ」はライブ・レコーディングで、「詭弁家」はライブ・レコーディングに後からスタジオ・ヴォーカルをかぶせた楽曲。「暗黒の世界」と「突破口」はライブ・レコーディングとなっています。前作『太陽と戦慄』でパーカッション奏者Jamie Muirが脱退したため、本作のメンバーはギタリストRobert Fripp、ベース・ヴォーカリストJohn Wetton、ドラマーBill Bruford、ヴァイオリン奏者David Crossという布陣。内容的には、初期の強烈なKING CRIMSONサウンドに回帰したようなスタジオ楽曲と、インプロヴィゼーションで聴かせるライブ楽曲に分かれています。本作を発表後にDavid Crossが脱退し3人体制となったKING CRIMSONは、次作『レッド』の制作に取り掛かります。
30TH ANNIVERSARY EDITION、デジタル・リマスター
盤質:無傷/小傷
状態:良好
廃盤希少、2枚組、ファミリーツリー付き仕様、定価3786+税
盤質:傷あり
状態:並
帯無
帯無、若干カビあり
75年発表のライブ・アルバム。「RED」発表前の74年に録音されており、当時のラインナップはRobert Fripp(g)、John Wetton(b、vo)、 Bill Bruford(ds)、David Cross(vln、key)の4人編成。アルバム中3曲でEddie Jobson(vln、key)のパートがダビングされています。鮮やかなヴァイオリンの旋律を切り刻むメタリックなギター・リフ、グイグイとウネリを生み出して暴走するリズム隊。この時期ならではのパワフル且つ緊迫感溢れる即興演奏に終始圧倒されっぱなし。代表的名曲「21st Century Schizoid Man」では原曲のサックス部分をヴァイオリンで再現しており、よりヒステリックな爆発力を楽しむことが出来ます。沸点目掛けて上り詰めるRED期クリムゾンの凄さを体験出来る名ライブ盤。
紙ジャケット仕様、24bitリマスター、HDCD、3曲追加収録、ブックレット・歌詞対訳付仕様、定価2200+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
スレあり
ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。1984年に発表された10thアルバム『スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー』は、8thアルバム『ディシプリン』と9thアルバム『ビート』と同一メンバーにて制作されました。メンバーは、ギタリストRobert Fripp、ギター・ヴォーカリストAdrian Brew、ベーシストTony Levin、そしてドラマーBill Brufordという布陣。本作は、KING CRIMSONのスタジオ・アルバムの中ではあまり目立たない存在かもしれません。その理由は、契約履行のために作ったアルバムという印象が強いことや、Adrian Brewのポップ・センスに寄せた出来になっていることなどが挙げられるでしょう。確かにアルバム前半には分かりやすいヴォーカル・ナンバーが収録され聴き手を困惑させるかもしれませんが、後半ではKING CRIMSON版インダストリアル・ロックとでも名付けたくなるようなインストゥルメンタルが配置されています。もちろんインプロヴィゼーションもフィーチャーされており、最終楽曲のタイトルは、なんと「太陽と戦慄 パートIII」。Robert Fripp本人も本作に対してはポジティブな感想を持っていないようですが、8thアルバム『ディシプリン』からの一連の流れを知る意味で、チェックしておきたいアルバムでしょう。
紙ジャケット仕様、デジタル・リマスター、ボーナス・トラック5曲、ブックレット・ステッカー・内袋付仕様、定価2625
盤質:傷あり
状態:良好
帯無
帯無、若干汚れ・若干圧痕・軽微な色褪せあり
ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。1980年代に『ディシプリン』『ビート』『スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー』を発表し活動を休止したKING CRIMSONの次なるリリースは、94年のミニアルバム『ヴルーム』。この時期のKING CRIMSONは
ギタリストRobert FrippとAdrian Brew、ベーシストTrey GunnとTony Levin、ドラマーPat MastelottoとBill Brufordという布陣から「ダブルトリオ期」と呼ばれています。本作は、95年のフル・アルバム『スラック』へのウォーミング・アップのような意味合いの作品であり、事実6曲中4曲がアルバム用にリミックスされ『スラック』にも収録されています。内容は、7thアルバム『レッド』に通じるヘヴィーな楽曲を中心としており、KING CRIMSONの進化はまだまだ続くと確信させられる出来栄えです。
紙ジャケット仕様、初回プレス限定ステッカー付仕様、デジタル・リマスター、定価2300+税
盤質:無傷/小傷
状態:並
帯無
帯無、軽微なカビあり
ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。1980年代に『ディシプリン』『ビート』『スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー』を発表し活動を休止したKING CRIMSONは、94年に久々の新作となるミニアルバム『ヴルーム』を送り出し、翌95年には『ヴルーム』の楽曲を含むフル・アルバム『スラック』を発表しました。この時期のKING CRIMSONはギタリストRobert FrippとAdrian Brew、ベーシストTrey GunnとTony Levin、ドラマーPat MastelottoとBill Brufordという布陣から「ダブルトリオ期」と呼ばれています。内容は、冒頭の「ヴルーム」を聴いただけで7thアルバム『レッド』の衝撃がよみがえるような、強烈なヘヴィー・プログレッシヴ・ロックとなっています。Robert Frippは、新たなKING CRIMSONの音楽性を「ヌーヴォ・メタル (Nuovo Metal)」と標榜しました。
紙ジャケット仕様、HDCD、デジタル・リマスター、定価2345
盤質:傷あり
状態:良好
帯無
帯無、側面部に色褪せあり
盤質:傷あり
状態:良好
スリップケースに角潰れあり
DGM96042(DISCIPLINE GLOBAL MOBILE)
デジパック仕様、ブックレット・ポスター付き仕様
盤質:全面に多数傷
状態:
盤に曇りあり、小さい破れあり
紙ジャケット仕様、2枚組、デジタル・リマスター、定価3675
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
帯中央部分に軽微な色褪せあり、初回プレス限定の「THE COLLECTORS KING CRIMSON SAMPLER VOL.3」(5曲入り)付属
紙ジャケット仕様、2枚組、デジタル・リマスター、定価3500+税
盤質:傷あり
状態:並
帯有
帯中央部分に色褪せあり、カビあり、盤に軽微な曇りあり
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