2022年3月26日 | カテゴリー:どうしてプログレを好きになってしまったんだろう@カケハシ 市川哲史,ライターコラム
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昨年末のキング・クリムゾン《MUSIC IS OUR FRIEND》来日公演は、実際に目撃するまでいまいち乗り切れない私だった。直前の北米ツアー公演の複数音源を聴くかぎり、なんか「置きにいってる」感じが物足りなかったのだ。
2013年の起動以来の、三人太鼓システム導入&メルコリ復帰による〈オール・タイム・クリムゾンの実現〉路線は、やはり画期的だった。懐メロ大会とは思えない攻めの姿勢が、やはりフリップ卿らしかったからだ。特に毎年毎年守備範囲が確実に拡がり続けたセトリに、その姿勢が象徴されていたように思う。
クリムゾン楽団としてのライヴ初披露曲を、時系列で追ってみる。収録オリジナル・アルバムごとに「▶」でマーキング。()内は楽団制以降の「新曲」。
このキング・クリムゾン楽団が過去最長の7年も続いた最大の要因は、ものすごく端的に言えば、1981年からいつも常にずーっと当たり前のように四半世紀にわたり「そこ」にいた、エイドリアン・ブリューがいないことに尽きる。
いやいや、彼をディスってるわけではないーーとりあえず今日のところは。だけど我々は1981年12月の初来日以来、〈エイドリアン・ブリューがいるキング・クリムゾン〉しか観たことがなかったのだ。
だからライヴで実体験できた『ディシプリン』以前のクリムゾン・クラシックスは、“レッド”と“太陽と戦慄パートⅡ”と“トーキング・ドラム”と“21馬鹿”のわずか4曲のみ。しかも、極めて短期間だけ披露された“21馬鹿”を除くとどれもインスト曲というのが、わかりやすい。その一方で、21世紀クリムゾンが“太陽と戦慄パートⅣ”“レヴェル・ファイヴ”“フラクチャード”といった〈続篇〉曲で過去との接点を演出はしたものの、あくまでもそれはそれ。
とにもかくにも我々は、【とことんメタリックなキング・クリムゾン】と対峙し続けてきた。〈クリムゾンのブリュー〉とは28年も付き合ったのだから、もういいだろ。
それだけにクリムゾン楽団によるセトリの刷新は、歓迎すべき青天の霹靂だった。
特に『クリムゾン・キングの宮殿』『ポセイドンのめざめ』『リザード』『アイランズ』という、フリップ卿がかつて切り捨てたもう一つの選択肢――【実はジャズ・ロックとしてのキング・クリムゾン】の予期せぬ復権は、下手なニュー・アルバムよりはるかに魅力的な〈新作〉だったわけだ。
しかし2年ぶりのライヴとなった2021年の米国および来日公演のセトリに初登場の楽曲はなく、“レヴェル・ファイヴ”が新タイトル“太陽と戦慄パートⅤ”を襲名しただけにとどまった。
『アイランズ』以前の楽曲だけでも、楽団が演ってないのは“風に語りて”“ポセイドンのめざめ”“デヴィルス・トライアングル”“インドア・ゲーム”“ハッピー・ファミリー”“フォーメンテラ・レディ”“レディーズ・オブ・ザ・ロード”、そして“プレリュード”。またウェットン&ビルブルの殺人リズム隊時代だと、『太陽と戦慄』は“土曜日の本”、『レッド』は“神の響き”の各1曲を残すのみなのに、『暗黒の世界』からは全8曲中“突破口”しか披露されずじまいときた。
という物足りなさは正直、否めなかった私だ。
ジャコ・ジャクジクのいい意味で「非個性的」な声質と「断われない」性格に、ブリュー以外のクリムゾン歴代ヴォーカリストたちとの互換性を見い出せたこと。
トリプル・ドラム隊を率いるギャヴィン・ハリスンが描く、空間デザインが新鮮だったこと。
メル・コリンズの復帰が、かつてクリムゾンの主役だった非電気系リード楽器を復権させたこと。
すると必然的に、メロトロンも屋根裏部屋からカムバックしてきたこと。
そして、モダンもインダストリアルも堪能しあげたビル・リーフリンならではのサウンド・コーティングが、「これしかない」耳触りを実現させたこと。
これだけの偶然が重なった結果、数多のクリムゾン・クラシックスは見事に蘇生し、楽団クリムゾンは〈現存する最古にして最新のロック・バンド〉として、成立してしまった。
楽団を始めたばかりのころ、おそらくフリップは、凡百の「昔の名前で出ています」的な懐メロ熟年バンドたちとの明確な差別化に執着していたはずだ。だから、楽団スタイルがキング・クリムゾン究極のアップデート版であると、ことさらアピールしていたように思う。
かつてノン・グルーヴのドラマーと野趣溢れる即興パーカッショニストを組ませ、かつて完全二人ドラマー制を敷いたことで、音楽的にも話題的にもどんぴしゃだった成功体験が忘れられず、「一人より二人、二人より三人!」とばかりに思いついた〈衝撃〉のトリプル・ドラム構想。
ピート・シンフィールドに発注した“21馬鹿”の2014年版歌詞。
ジャクジクには、“イージー・マネー”と“インディシプリン”の歌詞変更の提案。ただし後者はジャクジクの逆提案により、結果的には唄メロだけ変えることで収まったが、どれもこれも「新しさ」の演出に他ならない。短絡的だけど。
たぶんフリップ卿は内心、不安だったのだ。まだまだその証拠は挙がってる。
楽団を始めた時点では、「スタジオ録音の新作をリリースしてこそ現役バンド」的なイズムに苛まれていたに違いない。だから楽団3枚目にして最初の本格的〈新作〉『ラディカル・アクション~ライヴ・イン・ジャパン+モア』は、3CD+2DVD(もしくは3CD+1BD)という猛烈な熱量もさることながら、ライヴ音源から観客の拍手や歓声を全て除去した演奏部分だけを、《Mainly Metal》《Easy Money Shots》《Crimson Classics》の3つのセクションに、曲順を変え再構成した。わざわざこんな〈疑似スタジオ・アルバム〉にしなくても、我々はちっとも構わないのに。
ここまで人から見られることを過剰に意識したロバート・フリップ、少なくとも私は見たことがない。
ところがほどなくして、意図的なアップデイト施策が講じられることはなくなる。いつの間にか“21馬鹿”の歌詞もオリジナルに戻っていた。何事もなかったかのように。
その理由は簡単、フリップ翁が楽団クリムゾンのポテンシャルに確信を持てたからだ。2017年発表の『ライヴ・イン・シカゴ』のブックレットにおいて、楽団クリムゾンは【宮殿クリムゾン】【赤クリムゾン】【修行クリムゾン】に匹敵する「問答無用のラインアップ」と宣言されるに至ったのは、まさに必然でしょ。ねえ?
毎年のようにライヴ音源が新作として発表されるたびに、精度と説得力が増すばかりの圧倒的な人力アンサンブルは、最高到達点の自己ベストを更新し続けてきた。だから現時点での最高記録保持作品は、言うまでもなく2018年リリースの「最新」ライヴ盤『メルトダウン』になる。世界一美しい錆色を、私はこのアルバムで知った。
ちなみにその最高到達点をさらに更新するはずだった、『エレメンツ』2019年版で音源2曲と一緒に近日リリースが予告済みの2018年ツアーのライヴ盤『ライヴ・イン・ローマ』は、未だ陽の目を見ない。リーフリンの遺作なんだからぜひ、商品化していただきたいと切に願う。
それほど彼らの楽団力の向上っぷりは飛躍的で、本来なら単なる懐メロ大会のはずが超高性能人力バンドによる現役最先端ライヴになったのだから、まさに史上最強の結果オーライ。そして我々は幸運にもその恩恵を享受できた、ということになる。
しかし未曾有のコロナ禍が、この幸福な〈キング・クリムゾンのおそらく最終形〉に水を差してしまった。ただでさえリーフリン逝去で多大なる損失を被った上に、その穴を埋めるべくフリップが期待したセオ・トラヴィスが「使えない」ことが判明。やむなく2020年も、不測の2019年ツアーと同じ七人編成で米国ツアーに出撃するはずが、言わずもがなのツアーそのものが中止となったのだから痛い。
そもそも2021年11月来日時点の換算で、フリップ&レヴィン75歳。メルコリ73歳。マステロ66歳。ジャクジク63歳。ハリスン&ステイシー58歳。日本人にあてはめれば7人中4人が高齢者で、しかも後期高齢者が2人もいる。前にも書いたが、残り少ない演奏家寿命を考えたら、この活動休止の一年はあまりに残酷で無為だ。もったいない。失礼なこと書いてるけど、許せ。皆大好きSDGsはどこいった。
それもあり、前述した目新しくないセトリ問題もあり、リーフリン不在もありーー2015年と2018年に続く楽団クリムゾン三度目の来日公演に、いまひとつ乗り切れない自分が淋しかったのだ。
というわけで最終日の2021年12月8日《MUSIC IS OUR FRIEND JAPAN 2021》東京BUNKAMURAオーチャード・ホール公演のセトリを挙げてみる。
今回の来日公演披露曲のうち、“太陽と戦慄パート1”“ディシプリン”“平和/序章”“ムーンチャイルド”“デヴィル・ドッグス・オブ・テセレーション・ロウ”が漏れたものの、充分すぎるほどベスト盤的なセトリだ。年齢や2年ぶりの米日ツアー生活を考慮してか、トータル演奏時間が前回来日2018年の180分から140分に短縮したように楽団史上最もコンパクトにはなったけれど、よその海外アーティストらに較べれば、これはこれで充分過ぎるヴォリュームだと思う。年長者をいたわれよ。
詳しくは書かないが、今回のアンサンブルは総じて、楽団制を敷いて「拡げる」一方だったキング・クリムゾン印の〈稀代の大風呂敷〉を、いかに見事に「たたみきる」かに徹した観がある。より音楽的精度を高めることだけが、唯一の目的のようなライヴ。
だから、アレンジや展開がシンプルになった楽曲も目立った。
私はトリプル・ドラムに対して未だに懐疑的だったりする。楽団化後の「新曲」たちに三人太鼓が似合うのは当たり前として、実は上手く機能しなかった「旧曲」も決して少なくない。
その筆頭が“レッド”で、六本の腕と六本の脚を持つ太鼓超人《ドラムソン》がどんなに全集中して複雑怪奇に叩きまくろうと、オリジナルのビルブル無双ドラムをついぞ一度も超えられなかった。残念だけど。その鬼門の“レッド”が今回は、〈二人太鼓+ステイシー鍵盤〉のフォーメイションを採用し、同時に手数を簡略化したことで却って重量感が増したのだから、面白い。ハリスンの超絶ドラム・ソロ・パート以外はすっきりした“21馬鹿”もまた、同様だった。
そういえば大阪公演で観た、今宵は披露されなかった“LTIA 1”もコンパクト化が著しくーーしかもジェイミー・ミューアに寄せたマステロの健闘により、原曲のアレンジに回帰していたように思う。
ただし、それでもやはり【原曲>三人太鼓】の状況は打開できなかった。残念ながら。それだけあのウェットン&ビルブルの轟音リズム隊が、いまなお最恐であることの証明に他ならないのだが。
その一方で、『ディシプリン』三部作の楽曲は、精巧を極めた寄木細工のようなポリリズムを誇るオリジナルとは「まるで別物」として、きっちり成立しているから面白い。
1982年にアーバンな(←死語)雑踏を鮮やかに対象化してみせた“ニューロティカ”は、三人太鼓とベースの息詰まるデッドヒートにメルコリのハード・バップなサックスが挑みかかる、超スリリングなジャズ・ファンク・ナンバーに新装された。
フリップの思し召しーーいかにも米国人的なビートニクス系歌詞を〈より英国的〉に改変するのは躊躇われたジャクジクが、かつてBBC仕事で演説を採譜した経験を活かし、ブリューの歌詞を音楽として捉えることでメロディだけ改変した“インディシプリン”に至っては、〈似て非なる〉奇妙なアヴァン・ジャズ・ロック歌謡に変貌したほどだ。最後の最後の歌詞「♪I like it!」が、まさか横山の剣さんばりの「♪イーネ!」に変換されるとは思わなかったが。
なので四人がおもいきり躍動しまくる“トニーのカデンツァ”→“ニュー・ロティカ”→“インディシプリン”と続くくだりこそ、楽団クリムゾンの真骨頂だったりする。
そして何より『宮殿』『ポセイドン』『リザード』『アイランズ』という、他の追随を許さなかったジャズ・ロック・クリムゾンな楽曲たちの復権は、この楽団クリムゾンでしか成し得なかったと改めて実感した次第だ。高度な演奏と斬新な構成に裏打ちされた〈誰も聴いたことがないジャズ・ロック〉にして圧倒的な情緒性が支配する、能天気とは無縁の音楽的世界観が、最後の最後で蘇ってくれるなんて誰が予想できた。
これって、最強の〈ふりだしに戻る〉じゃないか。
思えば〈ヘヴィ・メタル・クリムゾン復古〉路線をひた走りに走ったのが、Wトリオ制以降の殺伐クリムゾンである。皆大好き『レッド』に特化した選択は当然正しく、グランジ全盛の90年代とハイパー・オルタナ天国な00年代初頭という時代性とも合致して、その臨場感は若い現役世代からも大歓迎されたはずだ。
素晴らしい。でも飽きた。
だからこその、ありがとうクリムゾン王の宮殿リノベーション。しかも、〈情緒性の最終兵器〉メルコリの威力は当然ながら、レヴィン&三人太鼓という超絶技巧派複合リズム隊による厚みが初期の楽曲群におそろしくよく似合ったのだから、幸福の結果オーライだ。古典は楽団クリムゾンの「新曲」として蘇った。
正直な話、さすがのフリップ翁も寄る年波に勝てないのか、前回2019年のツアーではこれまで弾いてたギター・パートをジャクジクに弾かせるケースが見受けられたが、今回はさらに移譲が進んでいた。なんか象徴的な光景なのだ。ただその分、8人楽団ではリーフリンが担ってたメロトロンを積極的に操る姿が目立つようになってきた。今回“宮殿”に追加されたコーダ部では、まるでトニー・ケイばりに肘でメロトロンの鍵盤を肘でサーフしまくるフリップ卿を目撃してしまった。愉しそうだからいいと思います。
メルコリおじさんが笛を吹いたら古谷一行主演の『横溝正史シリーズ』の劇伴と化した“レッド”も、これはこれでいいと思えてしまった。にしてもサックス奏者って、年季が入ると情緒性がおどろおどろしくなるのはなぜなのかしら。
結局、《音楽は我らが友》来日公演は決して革新的ではなかったけれど、まるで塗りを重ねに重ね、蒔絵や沈金など渾身の加飾を施した木地にかける、最後の研ぎと磨きのようなライヴだと思った。「楽団クリムゾン7年間の総決算だぁぁぁぁ!」的な気負いも衒いもない、当たり前の帰結点。ただしその、〈当たり前でないこと〉を〈当たり前〉のように演奏するのがキング・クリムゾンだったじゃないか。いままでもずっと。
ところが今回の来日公演は、始まる前から〈当たり前なもの〉ではなくなっていた。
来日直前に緊急リリースされた、米国ツアー全30本の最終公演――2021年9月11日ワシントンのライヴを収録した2CD『音楽は我らが友』で公開された、当日終演後のフリップの日記にはこう記してあった。
「アメリカにおける52年間の活動が終わる。終わりは始まりを意味するが、もしこの場所で二度と仕事しないとしても、私はハッピーだ」。
実際このワシントンの終演後の楽屋でシャンパンの乾杯を捧げたのは、〈クリムゾン52年にわたる北米でのツアー活動完遂〉だったと聞く。
ジャクジクはマネージャーのデヴィッド・シングルトン(←彼はいつから社長とプロデューサーとマネを兼任しちゃったのかしら)から、「バンドが米国に帰ってくる可能性は極めて低い」と言われ、フェアウェル米ツアーと認識したようだ。
実は物理的にも、2020年も2021年もコロナ禍で休業を余儀なくされたバンドが皆、2022年は一斉にツアーに出るから、どこもかしかも会場は予約でいっぱい。次に米国ツアーに出られるのは、早くて来年だったりする。
「だけど2023年にはロバートもメルも77歳。僕たちでも辛い何時間ものツアー・バス移動を、また強いるのも、ねえ?」。ごもっとも。
こんな前情報を受けての、8回目の来日公演だ。するといつのまにか、今回が最後の日本公演であるとアナウンスされてしまい、もはや誰もがクリムゾン楽団そのものが終わることを覚悟したはずなのだ。当のバンドには「仕上げ」感が漂い、観る我々は我々で圧倒的な「惜別」感に苛まれるのは当然だろう。
いよいよラスト・キング・クリムゾンなんだな。と
だから今回ばかりは、おもいきり色眼鏡で観た。するとたしかに完成度は高いけれど、毎回自己記録を更新し続けたこれまでほどは血沸き肉躍れなかった今回のライヴが、感動巨編に二階級特進してしまうのが人情だろう。
しかもこの高齢者バンドが、期せずしてコロナ蔓延以降初めて米国ツアーを敢行した「海外」アーティストになっただけでなく、パンデミック下で来日公演した初めての海外バンドにもなっちゃったのだから、数奇な運命だとつくづく思う。
だからこそ、楽団一の筆マメもといSNSマメの、レヴィンおじさんの来日ツイートにもぐっときた。
彼の発信によれば、ツアー開幕のおよそ10日前の11月18日に羽田着。「さまざまな列に並び、各種検査を受け膨大な量の書類を提出し指定のアプリをダウンロード」すること3時間を経て、ようやく入国に「成功」。7人の楽団員が7台のバンに分乗してホテルに護送されると、今度は6日間のロックダウン生活に。「いかなる理由があっても部屋から出られず、食事はドアの外に配達」され、「毎日アプリを介して健康状態をデータ入力」する上に「ときどき部屋で抗体検査」という日々を過ごした、とある。「とても素敵なホテルだけど、〈隠れ家〉と〈刑務所〉の中間だ(笑)」というつぶやきは、きっと本音だと思う。
すいません本当に。
とりあえずレヴィンおじさんは、ストレッチ・バンドとスティックを持ち込んで「沢山の運動と練習」をこなし、「長編シリーズだから」という理由だけで『デューン』を再読して時間を潰したようだ。それだけに彼に限らず楽団員全員がリハを心から待ち望み、6日後に実現したリハは「人生最高のリハーサル」だったらしい。そりゃそうだ。
それだけに今回は本当に、楽団員の皆さまへの感謝の想いしかない。
しかも、国内のオミクロン種による急激な感染拡大から、ツアー三本目の名古屋公演当日の11月30日午前0時をもって、日本政府はビジネス目的の外国人の新規入国を原則禁止する処置を執るに至った。「ツアー日程があと10日遅かったら、来日は不可能だった」とシングルトンも述懐したが、このめぐり合わせを〈奇蹟の来日〉と悦んだプログレッシャーズは少なくなかったはずだ。しかし、そういうやたらポジティヴな思い込みを鼻で笑うのが身上だった私が、「ま、今回はいっか」と大目に見るほど、ファイナル感はひとを情緒的にするのである。やはり。
そして今回の来日最終公演を終え、あの正直者のレヴィンおじさんが「今回のツアーはバンドの最後の日本公演と発表されてますが、すなわちキング・クリムゾンの最期のツアーである可能性が高いと思います」とツイートしたのだから、そうなのだったらそうなのだ。了解しました。
というわけで、今回ばっかりは人生の先輩バンドのご苦労に敬意を表し、フリップ卿十八番の〈思わせぶり〉アプローチの数々も大目に見る。いや、見た。
まずこのツアー・タイトル《MUSIC IS OUR FRIEND》。コロナ後を見据えたなかなか感動的な文言だと誰もが思ったが、実は今回が初出ではない。例のアレックス・ムンディ責任整理探索修復編集監修のレア音源集第一弾『MISTER STORMY’S MONDAY SELLECTION VOL.1』で、2003年録音音源として“Music Is Our Friend”なる楽曲が既に公開されていた。フリップ2005年のソロ・アルバム『ラヴ・キャンノット・ベアー(ライヴ・インUSA)』のタイトル曲と同時期のサウンドスケープ楽曲だ。つまり「使い回し」と言えばそれまでだが、珍しく的を得たフリップ流レトリックとして積極的に目をつぶる。
米最終公演昨年9月11日のフリップ日記で、シングルトンからの指摘として「52年前の1969年10月29日初めて米国で演奏した楽曲と、今日を終えた楽曲は、同じ“21馬鹿”」をわざわざ紹介する、相変わらずの〈思わせぶり〉癖も見逃そう。
基本的にクリムゾン楽団のライヴは、第1部・第2部とも“ザ・ヘル・ハウンズ・オブ・クリム”“ドラムジリア”“デヴィル・ドッグス・オブ・テセレーション・ロウ”などの三人太鼓曲でスタートする。楽団員が当日会場で目にするセトリでは、その太鼓曲には楽屋オチっぽい曲名が冠せられるのが日常だった。さて、12月8日渋谷オーチャード・ホール日本最終公演のセトリに書かれてたタイトルはーー第1部❶が“Drumsons Bish! The Way To Completion”、第2部❿は“Drumsons Bish! The Way To Beginning”。「完成」させといて「新たな始まり」を示唆するとこなんか、慣れちゃいるけど面倒くさい。まさにフリップ式レトリックの真髄だから、これも許す。
それこそさっきの最終公演のオーチャード・ホールでのみ販売した、日本ツアー・ファイナル記念の縦長イラスト・ポスター。前述のライヴCD『音楽は我らが友』のブックレットに見開きで商品写真が掲載されてたあの、〈宇宙の一つ目ディシプリン男〉の絵柄だ。昔サンフランシスコのヘイト・アシュベリー界隈で「つい」買っちゃう、1960年代後期まだ雑紙の頃の『ローリング・ストーン』広告掲載ページにありがちな、手描き系のアレである。そんな代物が、正直死ぬほど下手くそでださいのに限定100枚、全楽団員の直筆サインとナンバリング入りで1万円ときた。米国ツアーでも最終アルバニー公演限定で売られたようだから、ファイナル景気狙いが見え見えのスーベニア作戦に違いないが、気づかなかったことにする。
ロバート・フリップ51年のキング・クリムゾン人生において、この米国~日本ツアー閉幕は〈終わること〉を初めて観客と共有できた、幸福な機会だったと思うのだ。
大成功の米国ツアー閉幕と同時に二人脱走したり、一人孤立したままツアー廻ったり、リズム隊の轟音に耐えられなくて解散したり、ネタ切れで大所帯を維持できなかったり、愛弟子に愛想つかされ相棒に図に乗られたり、よく考えてみるとクリムゾンはどのラインナップも、フリップにとって後味悪い結末を繰り返してきた。あっけなく。
だけど今回ばかりは違う。最後の最後でフリップ卿は皆に見守られつつ、大風呂敷をたたむことができたのだから。そして、いつも突然のカットアウトで消息を絶っては忘れた頃にあっけらかんと蘇えるクリムゾンに、性懲りもなく付き合い続けてきた我々も、やっと成仏できる機会を得られたのである。たぶん。
だから今回ばかりはひとまず音楽至上主義は置いといて、51年目の大団円を見届ければいい。既にトレーラーが公開中のドキュメント映画『IN THE COURT OF CRIMSON KING : KING CRIMSON AT 50』はやはり公開が待ち遠しいし、ハリスンが言い出しっぺの「新作」レコーディングがやがてカタチになるーーかもしれない。膨大なアーカイヴ音源のコンパイル&リリースだって、たぶんこれまで以上に頻発するだろう。
そういう意味での〈後始末〉は無限に続くけれど、まずはキング・クリムゾン完結を素直に祝福したい私なのだ。
すべては美しい想い出に。とりあえず。
あれ。クリムゾン楽団に関しては軽く400頁は書き下ろせるだけのネタとリビドーを抱えてはいるが、今回は落語における話の枕で、本編は二つの別ネタを書くつもりだったのだ。なのについこんなに書いてしまった。
というわけで、【第41回からの、第42回】と【第41回からの、第43回】という2パターンの演目に続きます。なんだそれ。
ちなみに、ネット上で拡散している《今回2021年12月8日の最終公演と、ちょうど40年前の1981年12月9日初来日初日公演は、本編ラス曲が“インディシプリン”でアンコール1曲目は“太陽と戦慄パートⅡ”と、実は一致するのだぁぁぁ!!》話は、せっかくの運命論高揚に水を差すようだが、間違ってますそれ。たしかにツアー後半戦のセトリはそうだったが、初日と翌日のアンコール1曲目は“サートリ・イン・タンジール”ですから。残念っ(←死語)。
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第三十八回:「「妄想」は荒野をめざす 『キング・クリムゾンー至高の音宇宙を求めて』40年目の読書感想文」はコチラ!
第三十九回:「ニーナ・ハーゲンは最強の〈ジャーマン・プログレ〉である。」はコチラ!
第四十回:「とあるキャメルの「不幸」」はコチラ!
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1枚は無傷〜傷少なめ、1枚は傷あり、スリップケースに圧痕あり
ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。1969年に発表されたデビュー・アルバム『クリムゾン・キングの宮殿』は、プログレッシヴ・ロックのスタート地点となった大名盤であり、プログレッシヴ・ロックを聴くならまずはこのアルバムからと断言できる作品です。メンバーはギタリストRobert Fripp、ベース・ヴォーカリストGreg Lake、ドラマーMichael Giles、管楽器に加えて鍵盤楽器(メロトロン)も担当するIan McDonald、そして作詞家Peter Sinfieldという布陣。「21世紀のスキッツォイド・マン」のオープニングから緊張感のある変拍子アンサンブルやユニゾン・フレーズが畳み掛け、「風に語りて」では牧歌的でありながら浮世離れした音世界を構築。“混沌こそ我が墓碑銘”の一節があまりに有名な「エピタフ (墓碑銘)」と、同じくリリックの幻想美に酔いしれる「ムーンチャイルド」を経て、メロトロンの洪水に溺れるシンフォニックな最終曲「クリムゾン・キングの宮殿」へ。“THE BEATLESの『Abbey Road』をチャート・トップから陥落させた”というエピソードの真偽はともかくとして、プログレッシヴ・ロック時代の幕開けを告げる衝撃的な作品であることは間違いありません。『クリムゾン・キングの宮殿』に触れずにプログレッシヴ・ロックを語ることは、まず不可能でしょう。
紙ジャケット仕様、HDCD、デジタル・リマスター、ブックレット・ステッカー付仕様、定価2500+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
若干圧痕あり
ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。1970年に発表されたセカンド・アルバム『ポセイドンのめざめ』は、デビュー・アルバム『クリムゾン・キングの宮殿』の延長上に位置する作品となっています。『クリムゾン・キングの宮殿』発表後、ギタリストRobert Frippと作詞家Peter Sinfieldを除く3名が脱退を表明するも、諸事情によりGreg LakeとMichael Gilesは引き続き本作のレコーディングに参加。新たにKING CRIMSONに参加したのは、ピアニストKeith Tippett、管楽器奏者Mel Collins、ベーシストPeter Giles(Michael Gilesの実弟)、そしてヴォーカリストGorden Haskell。その結果、本作には8名ものミュージシャンの名前がクレジットされることになりました。音楽的にはデビュー・アルバムと同一線上で捉えることも可能ではありますが、例えばKeith Tippettのジャズ・ピアノをフィーチャーした「キャット・フード」、あるいは、ホルスト作曲の組曲「惑星(火星、戦争をもたらす者)」を思わせるリズムとカオティックなメロトロンが凄まじい相乗効果を生む「デヴィルズ・トライアングル」など、新たな試みも行われています。なお本作の後、Greg LakeはEMERSON, LAKE & PALMERとして再デビュー、そしてMichael GilesとPeter Gilesの兄弟はすでにKING CRIMSONを脱退していたIan McDonaldと共にMcDONALD AND GILESを結成します。
ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。セカンド・アルバム『ポセイドンのめざめ』を最後に、Greg Lake、Michael Giles、Peter Gilesが脱退。1970年に発表されたサード・アルバム『リザード』は、『ポセイドンのめざめ』に参加していたベース・ヴォーカリストGorden Haskellと管楽器奏者Mel Collinsが正式加入、さらにドラマーAndy McCullochを迎え入れ制作されました。ゲスト・ミュージシャンは、過去作にも参加のジャズ・ピアニストKeith Tippettがバンドメイト(コルネット奏者Mark Charigとトロンボーン奏者Nick Evens)を引き連れ参加している他、オーボエ奏者Robin Miller、さらにYESのヴォーカリストJon Andersonが、表題組曲「リザード」の「ルーパート王子のめざめ」で歌声を響かせています。本作は、Keith Tippettが持ち込んだフリー・ジャズのエッセンスがグループに新たな息吹を注ぎ込んだ作品であり、特に「インドア・ゲイムズ」や「ハッピー・ファミリー」におけるインプロヴィゼーションなどで、その影響をはっきりと聴き取ることができるでしょう。一方で、フルートが舞う「水の精」ではこれまでのKING CRIMSONらしい牧歌性も披露。ラストには20分を超える表題組曲「リザード」が控えます。フリー・ジャズへの接近を通じて、後のKING CRIMSONサウンドの重要なポイントとなる即興色を拡張した傑作です。
30TH ANNIVERSARY EDITION、デジタル・リマスター
盤質:傷あり
状態:並
カビあり
ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。4thアルバム『アイランズ』を発表後に解散したKING CRIMSONですが、Robert Frippは新たなメンバーを探しKING CRIMSONを再始動。グループの最高傑作と名高い1972年の5thアルバム『太陽と戦慄』を世に送り出しました。メンバーはギタリストRobert Frippに加えて、ベース・ヴォーカリストJohn Wetton、ドラマーBill Bruford、パーカッション奏者Jamie Muir、ヴァイオリン奏者David Crossという布陣。本作は、確かな技巧を持ったミュージシャンたちによる最高品質の実験音楽作品であり、1曲目の「太陽と戦慄 パートI」と最終曲「太陽と戦慄 パートII」に象徴される、即興演奏を重視したメタリックなプログレッシヴ・ロックの大傑作となっています。また、2つの先鋭的な楽曲に挟まれた中盤の楽曲たちも素晴らしく、John Wettonのヴォーカルが冴えわたる「土曜日の本」や、最初期のKING CRIMSONサウンドが頭をよぎる「放浪者」、 ヘヴィーなギターとスキャットから始まる「イージー・マネー」 、Jamie Muirの話し太鼓(西アフリカの伝統的な太鼓の奏法)を曲名に冠した「トーキング・ドラム」と、どの楽曲も強烈な個性を持っています。ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロックを聴くうえで、避けて通れない名盤です。
紙ジャケット仕様、40周年記念エディション、HQCD+DVD-AUDIOの2枚組、K2HDマスタリング、ブックレット・内袋・復刻巻帯付仕様、DVD-AUDIOはNTSC方式・リージョンフリー、定価4500+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
盤に内袋の跡あり
ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。6thアルバム『暗黒の世界』後にヴァイオリン奏者David Crossが脱退。3人体制となったKING CRIMSONは、1974年に7thアルバム『レッド』をリリースしました。メンバーは、ギタリストRobert Fripp、ベース・ヴォーカリストJohn Wetton、ドラマーBill Brufordという布陣。ゲストには、ソプラノ・サックス奏者Mel Collins、アルト・サックス奏者Ian Mcdonald、ヴァイオリン奏者David Cross、コルネット奏者Mark Charig、オーボエ奏者Robin Millerという旧メンバーあるいは過去作にもゲスト参加の経験を持つミュージシャンたちが迎えられています。その内容は、アルバムのオープニングを飾る「Red」から破壊的なギター・サウンドとアグレッシヴなリズム・セクションに驚愕する傑作。KING CRIMSON作品の中で最も素晴らしいバラード曲との呼び声も高い「堕落天使」、初期のKING CRIMSONサウンドをヘヴィーに再構築したような「再び赤い悪夢」、インプロヴィゼーションのライブ録音楽曲「神の導き」、抒情的なヴォーカルが印象的な前半部とギターやサックスが暴れまわる後半部から成る長尺曲「スターレス」と、全曲がプログレッシブ・ロック史に残る名曲です。本作のリリースをもって、KING CRIMSONは再び解散することとなりました。裏ジャケットに使われている、レッド・ゾーンに振り切れた音量メーターが、本作の狂暴な音楽性と当時のグループの状況を示唆しています。
ロバート・フリップによる89年リマスター、ファミリーツリー付き仕様、定価2233+税
盤質:傷あり
状態:
帯有
若干スレあり、カビあり
ロバート・フリップによる89年リマスター、ファミリーツリー付き仕様、定価2233+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
若干折れ・側面部に若干色褪せあり、ケースに若干スレあり
40TH ANNIVERSARY SERIES、デジパック仕様、スリップケース・ブックレット付仕様、CD+DVDの2枚組、ボーナストラック3曲、DVDはNTSC方式・リージョンフリー
盤質:無傷/小傷
状態:良好
スリップケースに若干圧痕あり
ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。5thアルバム『太陽と戦慄』に続いて1974年にリリースされた6thアルバム『暗黒の世界』は、スタジオ・レコーディングとライブ・レコーディング(73年録音)が混在する変則的な作品となっています。収録曲順に見ていくと、「偉大なる詐欺師」と「人々の嘆き」は完全なスタジオ・レコーディング。「隠し事」はライヴ・レコーディングで、「夜を支配する人」はライヴ・レコーディングの冒頭から途中でスタジオ・レコーディングに切り替わります。「トリオ」はライブ・レコーディングで、「詭弁家」はライブ・レコーディングに後からスタジオ・ヴォーカルをかぶせた楽曲。「暗黒の世界」と「突破口」はライブ・レコーディングとなっています。前作『太陽と戦慄』でパーカッション奏者Jamie Muirが脱退したため、本作のメンバーはギタリストRobert Fripp、ベース・ヴォーカリストJohn Wetton、ドラマーBill Bruford、ヴァイオリン奏者David Crossという布陣。内容的には、初期の強烈なKING CRIMSONサウンドに回帰したようなスタジオ楽曲と、インプロヴィゼーションで聴かせるライブ楽曲に分かれています。本作を発表後にDavid Crossが脱退し3人体制となったKING CRIMSONは、次作『レッド』の制作に取り掛かります。
30TH ANNIVERSARY EDITION、デジタル・リマスター
盤質:無傷/小傷
状態:良好
廃盤希少、2枚組、ファミリーツリー付き仕様、定価3786+税
盤質:傷あり
状態:並
帯無
帯無、若干カビあり
75年発表のライブ・アルバム。「RED」発表前の74年に録音されており、当時のラインナップはRobert Fripp(g)、John Wetton(b、vo)、 Bill Bruford(ds)、David Cross(vln、key)の4人編成。アルバム中3曲でEddie Jobson(vln、key)のパートがダビングされています。鮮やかなヴァイオリンの旋律を切り刻むメタリックなギター・リフ、グイグイとウネリを生み出して暴走するリズム隊。この時期ならではのパワフル且つ緊迫感溢れる即興演奏に終始圧倒されっぱなし。代表的名曲「21st Century Schizoid Man」では原曲のサックス部分をヴァイオリンで再現しており、よりヒステリックな爆発力を楽しむことが出来ます。沸点目掛けて上り詰めるRED期クリムゾンの凄さを体験出来る名ライブ盤。
紙ジャケット仕様、24bitリマスター、HDCD、3曲追加収録、ブックレット・歌詞対訳付仕様、定価2200+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
スレあり
ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。1984年に発表された10thアルバム『スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー』は、8thアルバム『ディシプリン』と9thアルバム『ビート』と同一メンバーにて制作されました。メンバーは、ギタリストRobert Fripp、ギター・ヴォーカリストAdrian Brew、ベーシストTony Levin、そしてドラマーBill Brufordという布陣。本作は、KING CRIMSONのスタジオ・アルバムの中ではあまり目立たない存在かもしれません。その理由は、契約履行のために作ったアルバムという印象が強いことや、Adrian Brewのポップ・センスに寄せた出来になっていることなどが挙げられるでしょう。確かにアルバム前半には分かりやすいヴォーカル・ナンバーが収録され聴き手を困惑させるかもしれませんが、後半ではKING CRIMSON版インダストリアル・ロックとでも名付けたくなるようなインストゥルメンタルが配置されています。もちろんインプロヴィゼーションもフィーチャーされており、最終楽曲のタイトルは、なんと「太陽と戦慄 パートIII」。Robert Fripp本人も本作に対してはポジティブな感想を持っていないようですが、8thアルバム『ディシプリン』からの一連の流れを知る意味で、チェックしておきたいアルバムでしょう。
紙ジャケット仕様、デジタル・リマスター、ボーナス・トラック5曲、ブックレット・ステッカー・内袋付仕様、定価2625
盤質:傷あり
状態:良好
帯無
帯無、若干汚れ・若干圧痕・軽微な色褪せあり
ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。1980年代に『ディシプリン』『ビート』『スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー』を発表し活動を休止したKING CRIMSONの次なるリリースは、94年のミニアルバム『ヴルーム』。この時期のKING CRIMSONは
ギタリストRobert FrippとAdrian Brew、ベーシストTrey GunnとTony Levin、ドラマーPat MastelottoとBill Brufordという布陣から「ダブルトリオ期」と呼ばれています。本作は、95年のフル・アルバム『スラック』へのウォーミング・アップのような意味合いの作品であり、事実6曲中4曲がアルバム用にリミックスされ『スラック』にも収録されています。内容は、7thアルバム『レッド』に通じるヘヴィーな楽曲を中心としており、KING CRIMSONの進化はまだまだ続くと確信させられる出来栄えです。
紙ジャケット仕様、初回プレス限定ステッカー付仕様、デジタル・リマスター、定価2300+税
盤質:無傷/小傷
状態:並
帯無
帯無、軽微なカビあり
ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。1980年代に『ディシプリン』『ビート』『スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー』を発表し活動を休止したKING CRIMSONは、94年に久々の新作となるミニアルバム『ヴルーム』を送り出し、翌95年には『ヴルーム』の楽曲を含むフル・アルバム『スラック』を発表しました。この時期のKING CRIMSONはギタリストRobert FrippとAdrian Brew、ベーシストTrey GunnとTony Levin、ドラマーPat MastelottoとBill Brufordという布陣から「ダブルトリオ期」と呼ばれています。内容は、冒頭の「ヴルーム」を聴いただけで7thアルバム『レッド』の衝撃がよみがえるような、強烈なヘヴィー・プログレッシヴ・ロックとなっています。Robert Frippは、新たなKING CRIMSONの音楽性を「ヌーヴォ・メタル (Nuovo Metal)」と標榜しました。
紙ジャケット仕様、HDCD、デジタル・リマスター、定価2345
盤質:傷あり
状態:良好
帯無
帯無、側面部に色褪せあり
盤質:傷あり
状態:良好
スリップケースに角潰れあり
DGM96042(DISCIPLINE GLOBAL MOBILE)
デジパック仕様、ブックレット・ポスター付き仕様
盤質:全面に多数傷
状態:
盤に曇りあり、小さい破れあり
紙ジャケット仕様、2枚組、デジタル・リマスター、定価3675
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
帯中央部分に軽微な色褪せあり、初回プレス限定の「THE COLLECTORS KING CRIMSON SAMPLER VOL.3」(5曲入り)付属
紙ジャケット仕様、2枚組、デジタル・リマスター、定価3500+税
盤質:傷あり
状態:並
帯有
帯中央部分に色褪せあり、カビあり、盤に軽微な曇りあり
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