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「どうしてプログレを好きになってしまったんだろう@カケハシ」 第二十六回: 我が心のキース・エマーソン & THE BEST ~1990年の追憶~  文・市川哲史

第二十六回: 我が心のキース・エマーソン & THE BEST ~1990年の追憶~


油断してたら賞味期限切れしちゃった、かもしれないネタで始める。

先日、クイーン表紙の英《MOJO》誌最新7月号を買ったら、もれなく付録CDが付いてきた。見覚えがある紅色のジャケの中央に、見覚えがある銀色の結び目文様。ん? ディシプリンじゃーん。そう、ロバート・フリップ卿完全監修のキング・クリムゾン公式非売品サンプラーなのだ。タイトルは『A MOJO Anthology―Rare, classic, unusual and live 1969-2019』で、要は記念すべき令和元年、もといキング・クリムゾン50周年記念の2019年下半期リリース商品の〈耳で聴くカタログ〉である。聡いなあ。

その全12曲はこんな感じ。

➀21馬鹿 (radio edit)
➁Cadence And Cascade (feat. Greg Lake, Gordon Haskell, Adrian Belew and Jakko
Jakszyk)
➂Starless (edit)
➃Red
➄Requiem (extended edit)
➅Eyes Wide Open (acoustic version)
➆Frakctured (from THE RECONSTRUKCTION OF LIGHT)
➇Easy Money (from LIVE IN CHICAGO)
➈Epitaph (from LIVE IN VIENNA)
➉Meltdown (from RADICAL ACTION TO UNSEAT THE HOLD OF MONKEY MIND)
⑪Radical ActionⅡ (from MELTDOWN: LIVE IN MEXICO CITY)
⑫Level Five (from MELTDOWN: LIVE IN MEXICO CITY)


毎年作品化されてきた現行クリムゾン楽団のライヴ・アルバム盤4Wで既発表の➇➈➉⑪⑫はともかく、➀➁➂➃➄⑥➆の前半7曲の布陣が嫌らしいというか、微妙なのだ。

今年2019年はキング・クリムゾン50周年ということで、1月13日から50週間連続で、レア音源や別テイクが公式サイト《KING CRIMSON 50》で毎週1曲ずつ、景気よく無料ストリーミング・サービスしている。ちなみにこれを書いている7月26日時点での最新第28弾は
“Matte Kudasai (Alternative Introduction)”だったりする。

で実は今回の➀➁➂➃➄➅➆のすべてが、その《KC50》シリーズ音源まんまなのだ。たしかに初フィジカル化ではあるが、なんか損した気分になる。しかも。

➀KC50❶(1月13日DL)だがその正体は、7曲入りサンプラーCD『The Abbreviated King Crimson : Heartbeat』収録の短縮ヴァージョン、および、全曲21馬鹿EP『Schizoid Man』収録の編集ヴァージョンと同一音源。要は、最初の4CDアンソロジー箱『紅伝説 1969-1984』のラジオ・プロモーション用に編集された〈幻のラジオ・エディット・ヴァージョン〉だけど、なんとあのフリップのギター・ソロが削られている、歴代最高に物足りない21馬鹿なのだ。

➁KC50❸(1月28日DL)だがその正体は、グレッグ・レイクとゴードン・ハスケルとエイドリアン・ブリューとジャコ・ジャクスジクが四人メドレーで唄う、“ケイデンスとカスケイド”ときた。21CD+2DVD+4BD『セイラーズ・テールズ 1970-1972』箱で各ヴォーカル・ヴァージョンが披露されていただけに、時間の問題だとは思っていた。言うまでもなくDGMが誇る、自称「リリースの主役にはなれない発掘物担当」の〈陽気な発掘&編集おたく〉アレックス・ムンディによる、バチ当たりな一品である。

でもなんだろうこの馬鹿馬鹿しさと清々しさは。

➂➃は“Starless/Red (edit)”として、KC50⓬(4月1日DL)で配信済み。『紅伝説』でも三代目ベスト盤『スリープレス~ザ・コンサイス・キング・クリムゾン』でも四代目ベスト盤『濃縮キング・クリムゾン』でもそうであったように、各種編集盤にこの2曲を収録する際は必ずこの【短縮スターレス~完全レッド】形でなければならないようだ。謎の不文律。

➄KC50⓫(3月25日DL)だがその正体は、11CD+5DVD+3BD『オン(アンド・オフ)ザ・ロード』箱収録の、今度はエクステンデッド・ヴァージョン。

➅KC50❾(3月11日DL)だがその正体は、ミニ・アルバム『しょうがない~ハッピー・ウィズ・ホワット・ユー・ハフ・トゥ・ビー・ハッピー・ウィズ』に収録されていたアコースティック・ヴァージョン。

➆KC50⓮(4月15日DL)だがその正体は、今回7月に日本でもリリースされるKC巨大箱シリーズ最新作『ヘヴン&アース 1997-2008』17CD+2DVD+4BD箱で聴ける、21世紀初KCアルバム『ザ・コンストラクション・オブ・ライト』をパット・マステロットが生ドラムで叩き直した、『ザ・リコンストラクション・オブ・ライト』収録のニュー・ヴァージョン。

残念ながらこの編集盤でしか聴けない音源はない。当たり前だ付録だもの贅沢言うな。とはいえ50周年ツアーの集客プロモーション・アイテムとしては、充分なのではないか。なんたっておやじロックの英国総本山《MOJO》誌だし。

で直後にリリースされたのが、例の〈耳で聴くツアー・パンフ〉シリーズ『ジ・エレメンツ』の最新2019年版ときた。クリムゾン楽団がスタートした2014年以来ずっと、毎年毎年制作されているレア音源満載の〈ツアー&新作アーカイヴ箱有料予告編アイテム〉である。よって今回の内容も抜かりない。

さっきの《mojo》付録盤唯一の〈新鮮テイク〉だった➁“四人羽織版ケイデンスとカスケイド”が、既に何のためらいもなく収録されている。他にも、新作箱『ヘヴン&アース』から5曲+どうも年内にリリースされるらしい新作ライヴ盤『ライヴ・イン・ローマ』から3曲の、あからさまな販促曲群が並ぶ。

それどころか、〈Previously released on 2017 Royal Package CD set Only〉と情け容赦なくクレジットされたライヴ録音が4曲も……。全110公演中46公演から各1曲収録したまさにクリムゾン楽団のライヴ日誌で、昨年の日本ツアーでもロイヤル・パッケージ限定会場販売された超コレクターズ・アイテムーー超稀少4CDライヴ・コンピ盤『AUDIO DIARY 2014-2017』を無我夢中で購入してしまった、ATMプログレッシャーズの嗚咽が聴こえるよ?

ただしよーく観察すると、2015年11月26日バンクーバーの“ザ・コンストラクション・オブ・ライト”と2017年7月7日ケベックの“ザ・レターズ”の2曲は、その4CDには未収録の正真正銘初出曲だったりするから、よくわからない。

トータル的には、《Lizard Suite》に《Radical Action Suite》に《ProjeKcts Suite》に《Sus-Tayn-Z Suite》という、【KC納涼組曲祭り】がお題目のようだが。

相も変わらず見事な、オフィシャル・ツアー・マーチャンダイズ攻撃だと思う。

この完璧なツアー&フィジカル・プロモーション作戦を支えているのは、言うまでもなく圧倒的な音源だ。90年代半ばに《ディシプリン・グローバル・モービル(DGM)》を設立以来、会員制オフィシャル・ブートレッグCD頒布ビジネスの《キング・クリムゾン・コレクターズ・クラブ(KCCC)》と、究極のクリムゾン関連音源配信サイト《DGM Live》を通じて、20年以上にわたり発掘修復再構成してきたアーカイヴ音源たちの膨大な数のストックがあってこそ案み出された、画期的な広報戦略である。

『ジ・エレメンツ』2015年版には《The Seven Principles Of King Crimson >2014》、つまり【キング・クリムゾン七つの掟】なる物騒なものが掲載されていた。

⓵キング・クリムゾンが人びとにも己れにも悦びをもたらさんことを。
⓶もしも演奏したくないパートがあったら、誰かに任せろ。それだけの人材はいる。
⓷いつ作った曲であれ、どの曲も新曲である。
⓸どの音を出せばいいかわからなければ、とりあえずC#だ。
⓹何拍子で演奏すればいいかわからなければ、とりあえず5拍子もしくは7拍子だ。
⓺どの楽器を使えばいいかわからなければ、とりあえず機材を増やせ。
⓻それでも何を演奏すればいいかわからなければ、何もするな。



ああ、どうしてロバート・フリップは幾つになってもこうなのか。

気合いが入るとこのひとは、こんな箇条書きスタイルの強弁スローガンをまず立てる性癖がある。【キング・クリムゾン7年周期説】とか【Drive To 1981】とか【MOR三部作】とか【エネルギーと情熱と折衷主義が揃ったとき、紅の王は現れる】とか、卿のご託宣をいちいちありがたがって無理矢理納得するのが、生真面目な日本のメディアと評論家とプログレッシャーズに課された修行だったのだ。

「よけいな來雑物を省いて純粋に論理のみの思考形態になった状態を、〈狂気〉と呼ぶ」というチェスタトン理論まんまの、私とフリップ卿の永年に及んだ屁理屈問答もまた、その産物だったに違いない。たぶん。

しかし50年間分の音源が自ら、よってたかって〈キング・クリムゾンというもの〉を雄弁に語りまくるようになった現在となっては、あの屁理屈無限地獄が懐かしい。だってロバート・フリップ本人が50年間積み重ねてきた雄弁すぎる理屈ですら、音源の前ではもはや無用の長物と化したからだ。売文屋歴40年の私としてはやはり、言葉の圧倒的な敗北は虚しい。

などとつい、あのフリップ卿に感傷的になっちゃった自分に驚くが、そこで武器を〈言葉〉から〈音源〉に持ち替えられたからこそ、フリップ&クリムゾンはこの半世紀一の隆盛をこうして迎えられたはずだ。我々の血税とともに。

ふ。そしてこんなときにつくづく思う。

フリップ卿の〈世界一アナーキーな完全主義with商魂〉が、小指の先ほどELPにあったらばと。いや、あの三人にそりゃ無理だ。もう遅いかもしれないが、DGMが、ELPのアーカイヴ音源も全部面倒見てくれないだろうか。というかこの際、会社定款にプログレ代理店業務を堂々書き加えて、ピンク・フロイドもイエスもジェネシスもビジネスとして管理しちゃったらどうだーー《PFCC》とか《YCC》とか《GCC》とか名乗って配信したり。偶然にもスティーヴン・ウィルソンは既にELPとイエスのニュー・ミックスを手掛けてるし、デヴィッド・シングルトンやアレックス・ムンディにいまの四倍働いてもらえば、いよいよ天下布武だぜロバート・フリップ。

ATMプログレッシャーズは一人残らず、確実に死に絶えるけれど。



おもえばキース・エマーソンというひとは、とことん無頓着で無防備だった。

プログレ界最強の〈太く短く〉ELPであれだけ一世風靡しながら、その後の印象がやたら薄い。イタリアン・ホラーや日本のSFアニメ映画のサントラ→エマーソン・レイク&パウエル→3(スリー)→ELP再結成……21世紀に至ってはせいぜい『ゴジラ・ファイナル・ウォーズ』で打ち止めなのではないか。あんまりだ。

とはいえ『ラスゴジ』は誰もまともに聴いてないと想像に難くないが、意外にもまるでプロディジーみたいな(失笑)〈輩なデジ・ロック〉曲をかましてたエマーソンが、実は素敵だったのだが。

『ホンキー』『CHANGING STATES』とわずか2枚だけど、ソロ・アルバムだってちゃんと出した。キース・エマーソン・バンドは3枚も出した。クリスマス・アルバムもピアノ・アルバムも出した。サントラ盤は沢山出した。各種コンピ盤は好き勝手に出された。しかもどのアルバムもリイシューの度に、収録曲や曲順が変更される目にも遭った。そして、メジャー契約にもなかなか恵まれず発売レーベルが固定化しなかったことも、〈昔の名前で出ています〉感を助長してしまった気がする。

まあそれ以前にエマーソンらしい、ノー・プランでノー・ガードな姿勢が悪いのだ。

クラシックやらジャズやらロックやらスキッフルやら教会音楽やらでてんこ盛りなのは、そういう人だから別にいい。しかし、たとえばカヴァーの選曲の基準はどこなのか。

スペンサー・デイヴィス・グループ“アイム・ザ・マン”、エルヴィス・プレスリー“ドント・ビー・クルーエル”、フランク・ザッパ“ランピー・グレイヴィー”ときて、イアン・デューリー&ザ・ブロックヘッズ“セックス&ドラッグス&ロックンロール”ってちょっと、あなた。

結果的にこういうところが、ELP後の彼の居場所を狭小にしてしまった。しかしこれはこれで私は愉しませてもらったし、1981年発表の1stソロ・アルバム『ホンキー』なんか、35年以上経ったいまでも毎年最低3回は聴いてるが、未だに飽きないもの。

黒人ミュージシャンらが大挙したファンキーでカリプソな〈新機軸〉には驚かされたものの、超バッハあり躍るホンキートンク・ピアノありと、やたら愉しい〈夏のプログレ〉アルバムだ。ポリフォニック・シンセも意外に気にならないし。しかも因縁のバハマ・ナッソー録音――そう、『ラヴ・ビーチ』じゃなくてこの『ホンキー』がELPのラスト・アルバムだったら、我々も気持ちよく成仏できたのに。

しかしこのアルバム、誰が聴いても世界唯一の〈鍵盤の上の鍵盤弾き〉の面目躍如というか、とにかく本人がいちばん愉しんでいるのが伝わるはずだ。こっちだって嬉しくなる。と同時に、第二第三の『ホンキー』を作る機会と環境と状況に恵まれなかったのが、エマーソンの不幸だったと思うのだ。

私が初めてキース・エマーソンのライヴを目撃したのは、1972年7月の台風直下ELP初来日公演ではない。岡山の片田舎に住む小学5年生が観に行けるはずもなく。といって1992年9月の、再結成ELP来日公演でもない。実は《THE BEST》なる身も蓋もない名前の臨時バンドの、1990年9月26日横浜アリーナ公演だったりする。しかも、日本衛星放送株式会社――要はWOWOW開局記念番組の一つとして後日録画放送されたのだけれど、スタンド席はガラガラだった憶えがある。

とことんせつないな。

なんたってエマーソン以外のメンツが、ジョー・ウォルシュ+ジェフ・バクスター+ジョン・エントウィッスル+サイモン・フィリップス+チリチリロングの金髪も声も衣裳もいかにもの名も知らない若手ヴォーカルという、見事に統一感が欠落したバンドだ。

LAのチャイナ・シアターで音合わせしたら盛り上がったバクスター&「“リキの電話番号”のベースラインを弾きたかったエントウィッスルに、ウォルシュも合流。すると「これまでの人生で演奏する機会がなかったタイプの“アメリカ”を弾きたい」バクスター&エントウィッスルの熱望が、エマーソンまで招聘してしまった。

そして手応えを感じた彼らは六人バンドとなり、ハワイ公演をゲネプロ代わりに代々木オリンピック・ホール&横アリの2公演を披露するために来日。帰国後には映画のサウンドトラックで肩慣らしして、デビュー・アルバムを制作する――なんて与太話を誰が信じる。現在も当時も。

言うまでもなくハワイ公演の事実もなければ、当然レコーディングなど一切行われなかったわけで、バブル景気に浮かれた日本人が金に物をぶいぶい言わせた〈二夜限りの超豪華ロック・アーティスト夢のスーパー・バンド祭り〉なのであった。ただ私には初エマーソン&初バクスターで充分豪華だが、一般の人々にはかなり地味な顔触れだったのではないか。もしかしたら。いや、もしかしなくても。

そしてなんといっても29年前(!)の出来事だ。翌日行なったインタヴューはしっかり記憶してるが、ライヴは巨大仏壇モーグ基地で暴れるエマーソン師匠の姿以外、ほとんど憶えていない。なんだろうこの罪悪感。なのでオンエア映像を入手して、しみじみすることにした。

発売したばかりのクリムゾン24枚組『ヘヴン&アース 1997-2008』箱に、全34公演が完全収録されちゃったプロジェクト2の膨大なライヴ音源の5本目で、聴くのに飽きた我が身が欲したともいえる。するとーー。

➀Seven Bridges Road セヴン・ブリッジズ・ロード
➁Life In The Fast Lane 駆け足の人生
➂My Wife マイ・ワイフ
➃Bodisativa 菩薩
➄Fanfare For The Common Man 庶民のファンファーレ
➅Rikki Don’t Lose That Number リキの電話番号
➆SIMON PHILLIPS’s Drum Solo
➇Rocky Mountain Way ロッキー・マウンテン・ハイ
➈Too Late The Hero トゥー・レイト・ザ・ヒーロー
➉KEITH EMERSON’s Piano Solo
⑪America~Rondo~Look At Us Know~Rondo(Reprise) アメリカ~ロンド
⑫Boris The Spider ボリスのくも野郎
⑬Reelin’ In The Years リーリング・イン・ジ・イヤーズ
⑭Takin’ It To The Streets ドゥービー・ストリート


①➁がイーグルスで➃➅⑬がスティーリー・ダンで⑭がドゥービーズで➇がウォルシュのソロ曲――当時は気づかなかったが、ソロを除いた全12曲中7曲が米国産とは、なんとアメリカンな一夜だったことか。すると英国産は、ザ・フー➂⑫、エントウィッスルのソロ曲➈、ELP➄にザ・ナイス⑪だけかぁぁぁ。

ただし、なぜか『ジョーズ』のテーマ→『はげ山の一夜』→『春の祭典』と移行したあげく、サイフィリの三連ティンパニーでシメられる⑫“くも野郎”の底抜けのおめでたさも、立派なアメリカン・オプティミズムだと思う。

さて当時のエマーソンは45歳で、のちに我々を襲った悲劇の銃爪(ひきがね)となる右手の手術をまだ受けてはいない。あれは1993年10月5日に執刀された〈ロスの悪夢〉である。右手小指を骨折したのも、このTHE BEST日本公演から帰国後だ。多少の神経変性疾患には悩まされながらも、自分の指を制御できないフォーカル・ジストニアはまだ発症していなかっただろう。そういう意味では、【オリジナル・キース・エマーソン】の最近似値を目撃できた貴重な機会だったのだ。いま思えば。

洋楽懐メロ・バブリー・セッションの夕べにはさすがに似合わないであろう、〈ナイフを刺す〉および〈オルガンの下敷きになりながら弾く〉の二大人気ギミック以外の得意技は、フルコースで披露。ジェフバクのギターとユニゾったり、ギターよりも雄弁でメロディアスなエントウィッスルのベースと複雑に絡み合う、お馴染みのハモンドやモーグがとことん堪能できた。まあ、元々ライヴ好きの〈アームチェア・ギタリスト〉バクスターや、1972年にはもうシンセ・ベースを弾いてた〈新しもの好き〉エントウィッスルとの相性がいいのは、開演前から想像がついたはずだ。

に較べ、吸ってんだか呑んでんだかとにかくご機嫌さんなのに、徹頭徹尾エマーソンに近づかなかったウォルシュの防衛本能は可笑しすぎた。さすが最もプログレが似合わない男、ジョー・ウォルシュ。するとアメリカン・バンドだった頃のスティーリー・ダンやドゥービーズの楽曲でも、まったく違和感なくピアノで駆け回るエマーソンはやはりとても偉いと思う私なのである。

おや、完全に想い出したぞ。全然落ち着きなく弾きまくっていた、あの姿がなつかしいんだよ。

いかん、哀しくなってきた。

〈ロスの悪夢〉以降日に日に失われていった右手が、第二第三の『ホンキー』を彼に作らせなかったのは周知の事実だろう。私もそう思う。人生の結末に拳銃自殺を選んでも仕方がない。だけどその以前からエマーソンは、自由にならない我が身とずっと付き合ってきたのだ。

ELP黄金時代はソロ活動しようとすると、L&Pが「ELPの枠組みから外れることはするな」と散々反対したあげく、「ELPとして演るなら許す」と便乗された。ELP解散後は解散後で、ソロ名義で何を作ろうとレーベルというレーベルが口を揃えて「GLとCPを呼んでELPにすればもっと売れる」と圧力かけてきた。実際に彼がソロ用に書いた楽曲群が、結局ELP(ピー)やELP(パー)や3に転用されたケースは少なくない。
 これだけ創作活動を不当に制限され続けてきたのだから、まさに「第二第三の『ホンキー』よいずこへ」ではないか。

しかしエマーソンは、そんな不当介入を甘んじて受けてきた。というか、いつも苦笑まじりで「しょうがないなぁ」と周りの縛りを定番ギャグ化して話す姿は、私にはとても逞しく映っていた。

だからこそ、それでも撃たざるをえなかった2016年3月11日の彼の心中を、私にはとても慮ることなんてできないのである。














第一回「ジョン・ウェットンはなぜ<いいひと>だったのか?」はコチラ!

第ニ回 「尼崎に<あしたのイエス>を見た、か? ~2017・4・21イエス・フィーチュアリング・ジョン・アンダーソン、トレヴァー・ラビン、リック・ウェイクマン(苦笑)@あましんアルカイックホールのライヴ評みたいなもの」はコチラ!

第三回「ロバート・フリップ卿の“英雄夢語り”」はコチラ!

第四回「第四回 これは我々が本当に望んだロジャー・ウォーターズなのか? -二つのピンク・フロイド、その後【前篇】-」はコチラ!

第五回「ギルモアくんとマンザネラちゃん -二つのピンク・フロイド、その後【後篇】ー」はコチラ!

第六回「お箸で食べるイタリアン・プログレ ―24年前に邂逅していた(らしい)バンコにごめんなさい」はコチラ!

第七回「誰も知らない〈1987年のロジャー・ウォーターズ〉 ーーこのときライヴ・アルバムをリリースしていればなぁぁぁ」はコチラ!

第八回「瓢箪からジャッコ -『ライヴ・イン・ウィーン』と『LIVE IN CHICAGO』から見えた〈キング・クリムゾンの新風景〉」はコチラ!

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第十一回「ああロキシー・ミュージック(VIVA! ROXY MUSIC)前篇 --BOXを聴く前にブライアン・フェリーをおさらいしよう」 はコチラ!

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第十三回 「今日もどこかでヒプノシス」はコチラ!

第十四回 「ピーター・バンクスはなぜ、再評価されないのか --〈星を旅する予言者〉の六回忌にあたって」はコチラ!

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    イギリスを代表するキーボード・プログレバンドEmerson Lake & Palmerのキーボーディストによるソロ作。当時のEmerson Lake & Palmerの最終作となった「Love Beach」をバハマで製作、発表した後、1人バハマに残り製作されたアルバムとなっており、格調高いクラシカルな音楽性は鳴りを潜め、のんびりとした明るいキーボード・ロック作品となっています。また、ハモンドオルガンやピアノのほかに、時代を反映したポリフォニック・シンセも多用されており、より華やかな音像を構築。ジャズ・フレーバーを感じる楽曲からゴスペル・ミュージック、彼らしいブギウギなサウンドやホンキートンクまで非常にバラエティに富んだ作品となっています。

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    71年7月19日、『タルカス』リリース後のツアーよりハリウッド・ボウルでのライヴを収録

  • EL&P(EMERSON LAKE & PALMER) / LIVE IN ZURICH 1970

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  • EL&P(EMERSON LAKE & PALMER) / ORIGINAL ALBUMS

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    THE NICEのKeith Emerson、KING CRIMSONのGreg Lake、ATOMIC ROOSTERのCarl Palmerによって結成されたスーパー・グループ、記念すべき70年デビュー・アルバム!

    THE NICEのKeith Emerson、KING CRIMSONのGreg Lake、ATOMIC ROOSTERのCarl Palmerによって結成されたスーパー・グループであり、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロックのトップに位置するバンドのひとつ。ロックではハンディキャップとなるキーボード・トリオ(ギターレス)編成ながら、強烈に歪ませたハモンド・オルガンをドライブさせ、ギター・ロックに匹敵するダイナミックなサウンドを生み出しました。また、クラシック音楽のロック・アレンジや、シンセサイザーを導入した先駆的なスタイルが特徴であり、「電気と才能の無駄遣い」という批判をもろともせず世界的な成功を収めました。1970年にリリースされたデビュー・アルバム『エマーソン・レイク・アンド・パーマー』は、バルトーク作曲のピアノ独奏曲「アレグロ・バルバロ」にパワフルなロック・アレンジを施した「未開人」で幕を開ける傑作。他にも、Greg Lakeのヴォーカルとクラシカルなピアノ、そしてジャジーなアンサンブルが美しく展開する「石をとれ」、ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」とバッハの「フランス組曲 第1番 ニ短調 BWV812 第1曲 アルマンド」が合体した「ナイフ・エッジ」、Keith Emersonの才能にスポットが当たる組曲「運命の3人の女神」、Carl Palmerのダイナミックなドラミングを聴くことができる「タンク」、そしてモーグ・シンセサイザーの咆哮が鮮烈な印象を残すバラード「ラッキー・マン」と、デビュー・アルバムにして高い完成度を誇る傑作となっています。

  • EL&P(EMERSON LAKE & PALMER) / PICTURES AT AN EXHIBITION

    ムソルグスキー「展覧会の絵」をモチーフとした完全未発表楽曲によるライヴ録音、痛快極まる72年作!

    THE NICEのKeith Emerson、KING CRIMSONのGreg Lake、ATOMIC ROOSTERのCarl Palmerによって結成されたスーパー・グループであり、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロックのトップに位置するバンドのひとつ。ロックではハンディキャップとなるキーボード・トリオ(ギターレス)編成ながら、強烈に歪ませたハモンド・オルガンをドライブさせ、ギター・ロックに匹敵するダイナミックなサウンドを生み出しました。また、クラシック音楽のロック・アレンジや、モーグ・シンセサイザーを導入した先駆的なスタイルが特徴であり、「電気と才能の無駄遣い」という批判をもろともせず世界的な成功を収めました。セカンド・アルバム『タルカス』と同じ1971年にリリースされた『展覧会の絵』は、ムソルグスキー作曲、ラヴェル編曲で知られる組曲「展覧会の絵」にロック・アレンジを施したライブ・アルバム(ニューキャッスル・シティー・ホールでの録音)となっています。スタジオ・アルバムでも彼らのダイナミックな音楽性は十分に伝わりますが、やはりライブ・アルバムはヴォルテージの高さが凄まじく、当時の彼らの勢いを感じさせます。組曲「展覧会の絵」は16曲で構成された作品ですが、EMERSON, LAKE & PALMERは8曲を抜粋し、グループのオリジナル曲を3曲(「賢人」「ブルーズ・ヴァリエイション」「バーバ・ヤーガの呪い」)加えた11曲で再構成しています。また、組曲とは別に、B.BUMBLE & THE STINGERSの「ナットロッカー」のカバーも収録。当時は海賊盤対策を目的にリリースされたという本作ですが、結果的にプログレッシヴ・ロック史に残る名ライブ・アルバムとなりました。

  • EL&P(EMERSON LAKE & PALMER) / TARKUS

    ELPというバンドを象徴する大作「Tarkus」収録、71年発表の大名盤2nd!

    THE NICEのKeith Emerson、KING CRIMSONのGreg Lake、ATOMIC ROOSTERのCarl Palmerによって結成されたスーパー・グループであり、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロックのトップに位置するバンドのひとつ。ロックではハンディキャップとなるキーボード・トリオ(ギターレス)編成ながら、強烈に歪ませたハモンド・オルガンをドライブさせ、ギター・ロックに匹敵するダイナミックなサウンドを生み出しました。また、クラシック音楽のロック・アレンジや、モーグ・シンセサイザーを導入した先駆的なスタイルが特徴であり、「電気と才能の無駄遣い」という批判をもろともせず世界的な成功を収めました。1971年にリリースされたセカンド・アルバム『タルカス』は、個性的なアートワークが示すとおり、アルマジロと戦車が合体した架空の生物「タルカス」をテーマにした20分の組曲が収められた名盤。特に組曲冒頭の「噴火」セクションはあまりにも有名で、キーボード・プログレッシヴ・ロックの代表的な楽曲となっています。また、日本ではオーケストラ・バージョンに編曲されたものが大河ドラマのサウンドトラックとして使われたこともありました。火山の中から現れた「タルカス」は地上を破壊、そこにコウモリ(羽)とサソリ(尾)とライオン(体)が合体した「マンティコア」という生物が現れ、「マンティコア」に敗れた「タルカス」は海へと帰っていくというストーリーであり、ジャケット内にはそれぞれのシーンのイラストも描かれています。

  • EL&P(EMERSON LAKE & PALMER) / TRILOGY

    壮大な傑作組曲「ENDLESS ENIGMA」、コープランドをアレンジした華やかでキャッチーな「HOEDOWN」、ファンタジックな表題曲などバラエティに富んだサウンドを披露する72年作4th

    THE NICEのKeith Emerson、KING CRIMSONのGreg Lake、ATOMIC ROOSTERのCarl Palmerによって結成されたスーパー・グループであり、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロックのトップに位置するバンドのひとつ。ロックではハンディキャップとなるキーボード・トリオ(ギターレス)編成ながら、強烈に歪ませたハモンド・オルガンをドライブさせ、ギター・ロックに匹敵するダイナミックなサウンドを生み出しました。また、クラシック音楽のロック・アレンジや、モーグ・シンセサイザーを導入した先駆的なスタイルが特徴であり、「電気と才能の無駄遣い」という批判をもろともせず世界的な成功を収めました。伝説の初来日公演(後楽園球場&甲子園球場)1ヶ月前にリリースされた72年のサード・アルバム『トリロジー』は、コンサート序盤に演奏される定番のナンバーとなっていくアーロン・コープランド作曲の「ホウダウン」や、Greg Lakeの美しいバラード「フロム・ザ・ビギニング」を収録した名盤。もちろん他にも、2つのパートに分かれた組曲「永遠の謎」、ロマンティックなピアノから怒涛の変拍子になだれ込む表題曲「トリロジー」、シンセサイザー・オーケストレーションによる「奈落のボレロ」など、とても個性的な楽曲が並びます。まさにトリロジー=三位一体というタイトルに相応しい名盤です。

  • EL&P(EMERSON LAKE & PALMER) / BRAIN SALAD SURGERY

    73年5th、70年代英国ロック屈指の名盤であり、それまでの彼らの集大成を最高の形で結実させた一枚!

    THE NICEのKeith Emerson、KING CRIMSONのGreg Lake、ATOMIC ROOSTERのCarl Palmerによって結成されたスーパー・グループであり、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロックのトップに位置するバンドのひとつ。ロックではハンディキャップとなるキーボード・トリオ(ギターレス)編成ながら、強烈に歪ませたハモンド・オルガンをドライブさせ、ギター・ロックに匹敵するダイナミックなサウンドを生み出しました。また、クラシック音楽のロック・アレンジや、モーグ・シンセサイザーを導入した先駆的なスタイルが特徴であり、「電気と才能の無駄遣い」という批判をもろともせず世界的な成功を収めました。後に映画「エイリアン」のデザイナーとして知られることになるスイス出身の画家、H・R・ギーガーが手掛けたアートワークをまとい、1973年にリリースされた4thアルバム『恐怖の頭脳改革』は、間違いなく彼らの代表作のひとつでしょう。詩人ウィリアム・ブレイクの詩にチャールズ・ヒューバート・パリーが楽曲をつけた「聖地エルサレム」のロック・アレンジで幕を開け、アルゼンチンの作曲家ヒナステラの「ピアノ協奏曲第1番第4楽章」に超絶技巧で挑む「トッカータ」へ。そして、Greg Lakeの美しいバラード『スティル…ユー・ターン・ミー・オン』とホンキートンクな遊び心がある『用心棒ベニー』で緊張が和らぐも、その後に待ち構えているのは3楽章から成る、30分を超える組曲「悪の教典#9」の衝撃。ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロックを語る上で、避けて通ることは許されない傑作です。

  • EL&P(EMERSON LAKE & PALMER) / WELCOME BACK MY FRIENDS TO THE SHOW THAT NEVER ENDS- LADIES AND GENTLEMEN

    74年ライヴ作

    THE NICEのKeith Emerson、KING CRIMSONのGreg Lake、ATOMIC ROOSTERのCarl Palmerによって結成されたスーパー・グループであり、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロックのトップに位置するバンドのひとつ。ロックではハンディキャップとなるキーボード・トリオ(ギターレス)編成ながら、強烈に歪ませたハモンド・オルガンをドライブさせ、ギター・ロックに匹敵するダイナミックなサウンドを生み出しました。また、クラシック音楽のロック・アレンジや、モーグ・シンセサイザーを導入した先駆的なスタイルが特徴であり、「電気と才能の無駄遣い」という批判をもろともせず世界的な成功を収めました。1974年、EMERSON, LAKE & PALMERは2万人以上の聴衆を相手にパフォーマンスを行った、同年2月のアナハイム・コンベンション・センター公演を収録したライブ・アルバム『レディース・アンド・ジェントルメン』を発表しました。4thアルバム『恐怖の頭脳改革』までの楽曲から、この時点でベストと言える選曲がなされており、「タルカス」や「悪の教典#9」といった大曲はもちろん、「聖地エルサレム」や「トッカータ」、あるいはデビュー・アルバム収録の「石をとれ」やコンサート・オープニングの定番となった「ホウダウン」なども収録。また、Keith Emersonのピアノ・テクニックとメンバーのジャズ・セッションを堪能できる「ピアノ・インプロヴィゼイション」など、ライブ・アルバムならではの内容となっています。

  • EL&P(EMERSON LAKE & PALMER) / WORKS LIVE

    77年発表、オーケストラを動員したEL&Pの総括的ライヴ作!

    THE NICEのKeith Emerson、KING CRIMSONのGreg Lake、ATOMIC ROOSTERのCarl Palmerによって結成されたスーパー・グループであり、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロックのトップに位置するバンドのひとつ。ロックではハンディキャップとなるキーボード・トリオ(ギターレス)編成ながら、強烈に歪ませたハモンド・オルガンをドライブさせ、ギター・ロックに匹敵するダイナミックなサウンドを生み出しました。また、クラシック音楽のロック・アレンジや、モーグ・シンセサイザーを導入した先駆的なスタイルが特徴であり、「電気と才能の無駄遣い」という批判をもろともせず世界的な成功を収めました。1977年、EMERSON, LAKE & PALMERは、オーケストラと合唱隊が帯同する大規模なツアーを敢行。あまりにも大規模な編成のツアーになったため結果的に大赤字が出てしまい、途中からオーケストラを雇い続けることができなくなったというエピソードが広く知られています。そんなアクシデントに見舞われたツアーから、モントリオール・オリンピック・スタジアム公演の模様を主に収録したのが『In Concert』ですが、93年、『In Concert』に7曲(「庶民のファンファーレ」「君を見つめて」「メイプル・リーフ・ラグ」「迷える旅人」「奈落のボレロ」「クローサー・トゥ・ビリーヴィング」「タンク」)を追加収録した『Works Live』が発表されました。

  • EL&P(EMERSON LAKE & PALMER) / WORKS VOLUME 1

    メンバーのソロ・ワークをフィーチャーした77年リリース作

    THE NICEのKeith Emerson、KING CRIMSONのGreg Lake、ATOMIC ROOSTERのCarl Palmerによって結成されたスーパー・グループであり、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロックのトップに位置するバンドのひとつ。ロックではハンディキャップとなるキーボード・トリオ(ギターレス)編成ながら、強烈に歪ませたハモンド・オルガンをドライブさせ、ギター・ロックに匹敵するダイナミックなサウンドを生み出しました。また、クラシック音楽のロック・アレンジや、モーグ・シンセサイザーを導入した先駆的なスタイルが特徴であり、「電気と才能の無駄遣い」という批判をもろともせず世界的な成功を収めました。1977年にリリースされた5thアルバム『ELP四部作』は、2枚組レコードの4面を各メンバーとグループで分け合った、4組のアーティスㇳたちによるセパレート・アルバムのような印象の作品となっています。共通するのは、メンバー、グループ共にオーケストラをフィーチャーしたアレンジに仕上げていることでしょう。Keith Emersonは3楽章からなる「ピアノ協奏曲第1番」を、Greg Lakeは「セ・ラ・ヴィ」などのバラード・チューンを、そしてCarl Palmerは70年のデビュー・アルバムに収録された「タンク」のセルフ・カバーなどをそれぞれ持ちより、最終面にはEMERSON LAKE & PALMER名義の「庶民のファンファーレ」と「海賊」が収録されています。

  • EL&P(EMERSON LAKE & PALMER) / WORKS VOLUME 2

    3人のソロワークをフィーチャーした77年作、レイクによるクリスマス・ソングの傑作「I Believe In Father Christmas」収録

    THE NICEのKeith Emerson、KING CRIMSONのGreg Lake、ATOMIC ROOSTERのCarl Palmerによって結成されたスーパー・グループであり、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロックのトップに位置するバンドのひとつ。ロックではハンディキャップとなるキーボード・トリオ(ギターレス)編成ながら、強烈に歪ませたハモンド・オルガンをドライブさせ、ギター・ロックに匹敵するダイナミックなサウンドを生み出しました。また、クラシック音楽のロック・アレンジや、モーグ・シンセサイザーを導入した先駆的なスタイルが特徴であり、「電気と才能の無駄遣い」という批判をもろともせず世界的な成功を収めました。1977年、EMERSON, LAKE & PALMERは5thアルバム『ELP四部作』に加えて、その続編と言える『作品第2番』を発表しました。その内容は、既発曲と未発表曲を中心とした作品となっており、グループの純粋な新曲は「ソー・ファー・トゥ・フォール」と「迷える旅人」のみとなっています。ただし、既発とは言ってもグループやソロ名義のシングルで既にリリースされた曲ということであり、後の世代にとっては全て新曲のように聴くことができるでしょう。本作には、Keith Emersonのソロ作品「ホンキー・トンク・トレイン・ブルース」やGreg Lakeのソロ作品「夢みるクリスマス」が収録されているほか、傑作4thアルバム『恐怖の頭脳改革』制作時に録音された未発表曲「孤独なタイガー」「あなたのバレンタイン」「恐怖の頭脳改革」も収められています。

  • EL&P(EMERSON LAKE & PALMER) / LOVE BEACH

    78年作、ジャケットで敬遠するのは勿体無い秀作!

    THE NICEのKeith Emerson、KING CRIMSONのGreg Lake、ATOMIC ROOSTERのCarl Palmerによって結成されたスーパー・グループであり、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロックのトップに位置するバンドのひとつ。ロックではハンディキャップとなるキーボード・トリオ(ギターレス)編成ながら、強烈に歪ませたハモンド・オルガンをドライブさせ、ギター・ロックに匹敵するダイナミックなサウンドを生み出しました。また、クラシック音楽のロック・アレンジや、モーグ・シンセサイザーを導入した先駆的なスタイルが特徴であり、「電気と才能の無駄遣い」という批判をもろともせず世界的な成功を収めました。1978年に発表されたスタジオ・アルバム『Love Beach』は、ある意味でプログレッシヴ・ロック史上最大の問題作と捉えられています。それもそのはず、数年前までヒプノシスやH・R・ギーガーの作品をまとい名盤を生み出していたEMERSON, LAKE & PALMERと、バハマの海辺で笑顔を振りまくジャケットのEMERSON, LAKE & PALMERを同じ3人と認識することは、後の世代から見ても難しいと言わざるを得ません。ただ、各楽曲を改めて聴いていくと、ホアキン・ロドリーゴ作曲「ある貴紳のための幻想曲」第四楽章「カナリオ」のロック・アレンジや、20分を超える組曲「将校と紳士の回顧録」など、これまでのEMERSON, LAKE & PALMERらしいアプローチが魅力的な楽曲も収録されています。

  • EL&P(EMERSON LAKE & PALMER) / LIVE AT THE ROYAL ALBERT HALL

    92年のライヴ音源を収録

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EMERSON LAKE & POWELLの在庫

  • EMERSON LAKE & POWELL / LIVE IN USA 1986

    『エマーソン・レイク&パウエル』リリース後のツアーより86年10月4日フロリダ公演を収録

  • EMERSON LAKE & POWELL / EMERSON LAKE AND POWELL

    ドラマーにコージー・パウエルを迎えた「ELP」、85年の唯一作

    NICEのKeith Emerson、KING CRIMSONのGreg Lake、ATOMIC ROOSTERのCarl Palmerによって結成され、ギターレスのトリオという変則的な編成ながらそのハンディを全く感じさせない音楽性でプログレッシブ・ロックの1つのスタイルを築いたイギリスのグループ。Emerson Lake & Palmer解散後、ASIAへ参加したCarl Palmerに代わりドラムにCozy Powellを迎えて製作された作品であり、Carl Palmerは認めていないものの事実上EL&Pの再結成作と言える作品。その内容は80年代らしく、最先端ポリフォニック・シンセサイザーを駆使した音の厚みで聴かせる明瞭なシンフォニック・ロックであり、Carl Palmerとは全くタイプの違うCozy Powellのパワフルなドラミングが素晴らしい1枚。ホルストの「火星」のプログレアレンジ含め、クラシカルなアプローチも彼らならではの風格漂うものです。

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