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「どうしてプログレを好きになってしまったんだろう@カケハシ」 第二十回: どうしてゴードン・ハスケルは不当評価されたのだろう ー前篇:幻の1995年インタヴュー発掘、ついでに8人クリムゾン来日公演評も。 文・市川哲史

第二十回: どうしてゴードン・ハスケルは不当評価されたのだろう ー前篇:幻の1995年インタヴュー発掘、ついでに8人クリムゾン来日公演評も。


昨年暮れのキング・クリムゾン大楽団《KING CRIMSON UNCERTAIN TIMES JAPAN TOUR 2018》全18本中、私が目撃したのは2018年12月14日@広島文化学園HBGホール公演。

前回の《THE ELEMENTS OF KING CRIMSON TOUR IN JAPAN 2015》全10本のときは、讃岐うどん遍路のついでに観た2015年12月19日@サンポート高松公演がどういうわけか大当たりで、翌年秋にリリースされた3CD+BD『ラディカル・アクション~ライヴ・イン・ジャパン+モア』はほぼ、〈ライヴ・イン・タカマツ〉音源&映像だったから心底驚いた。だから広島風つけ麺のハシゴで旨辛地獄に溺れた今回も、無欲の大当たりを摑めるかもと思ったが連日日替わりセトリだったので、どの日が当たりでどの日が外れなのか判別できないのであった。だはは。

さてその広島のセトリは以下の通り――。

■1st HALF
 ❶Neurotica ニューロティカ
 ➋The ConstruKction of Light ザ・コンストラクション・オブ・ライト
 ➌Suitable Grounds for the Blues ブルースに適した環境
 ➍Cadence and Cascades ケイデンスとカスケイド
 ❺Red レッド
 ❻One More Red Nightmare 再び赤い悪夢
 ❼Epitaph エピタフ~墓碑銘
 ❽Larks’ Tongues In Aspic PartⅡ 太陽と戦慄パートⅡ
 ❾Islands アイランズ
 ❿Indiscipline インディシプリン

■2nd HALF
 ⓫Discipline ディシプリン
 ⓬Easy Money イージー・マネー
 ⓭Moonchild ムーンチャイルド
 ⓮Cadenzas カデンツァ
 ⓯The Court of the Crimson King クリムゾン・キングの宮殿
 ⓰Radical ActionⅡ(To Unseat the Hold of Monkey Mind) ラディカル・アクション
 ⓱Meltdown メルトダウン
 ⓲Radical ActionⅡ ラディカル・アクション2
 ⓳Larks’ Tongues In Aspic PartⅤ(Level Five) 太陽と戦慄パートⅤ(レヴェル・ファ
  イヴ)
 ⓴Starless スターレス

□ENCORE
 ㉑21st Century Schizoid Man 21馬鹿


あらら。“太陽と戦慄パートⅠ”も“冷たい街の情景”も“平和/テーマ”も“船乗りの話”も“突破口”も“堕落天使”もフリップ・ソロの“ブレスレス”も『リザード組曲』パート2“ピーコック物語のボレロ”もパート3“戦場のガラスの涙”3曲連作も、私は聴けなかったんだ可哀相に。うーん可もなく不可もなくかぁ?

皆さまの街ではいかがでしたでしょう。

現在の【クリムゾン大楽団】を、【1969年宮殿クリムゾン】【1974年赤クリムゾン】【1981年鍛錬クリムゾン】に匹敵する第4の頂点と捉えるフリップ卿に、特に異論はない。お世辞にも統一性と脈絡が明確とは言えない〈50年分のキング・クリムゾン・クラシックス〉を、わずか8名の固定メンバーですべて演奏するという試みは画期的だ。

考えてみてほしい。グレッグ・レイクもイアン・マクドナルドもマイケル・ジャイルズもアンディ・マカロックもキース・ティペットもボズもイアン・ウォーレスもジョン・ウェットンもビル・ブルフォードもエイドリアン・ブリューもいないのに、『宮殿』と『ポセイドン』と『リザード』と『アイランズ』と『太陽』と『暗黒』と『レッド』と『ディシプリン』と『スラック』と『ザ・コンストラクション・オブ・ライト』の楽曲を、同じステージで演奏しようとしたのだ。

つまり、どんなキング・クリムゾンでも演奏できる《万能キング・クリムゾン》の実現という極めて高いハードルをクリアできたのだから、フリップ卿の達成感も理解できる。

ではなぜクリムゾン大楽団は、いつの時代のキング・クリムゾンにも対応できたのか。

 
平凡なヴォーカルだからこそ、逆に何を唄っても違和感を最小限に抑えられるジャッコ・ジャクスジクを発見したことはもちろん、大きい。

また、かつてブリューがいみじくも漏らしていたが、クリムゾンの音楽性の変革を常にリードしてきたのは実はドラムだ。だから歴代ドラマーは揃って超個性的だし、ジェイミー・ミューアみたいな人間凶器が参戦したあげく、ミューアが憑依したビルブルが二人羽織にもなったし、Wドラム制に移行したことだってある。

となれば、質・量ともに過去最高の三人太鼓で有無をも言わせぬ以外に、万能クリムゾンの選択肢はなかったはずだ。ビル・リーフリンが2016年ツアーにバンドを離脱した際も、代役にジェレミー・ステイシーを立ててまでして三人太鼓隊フォーマットを堅持した経緯が、それを物語っている。

しかもパット・マステロット&ギャヴィン・ハリスン&ステイシーの現・三人太鼓隊は、〈バンド内バンド〉として独自に切磋琢磨を繰り返してドラム・アンサンブルを研ぎ澄ますのだから、万能クリムゾン独自の新兵器たりえた。

今回の来日公演、各会場とも第1部/第2部の入りは三人太鼓隊による出囃子インスト曲で、その都度(たぶん)適当なタイトルが冠せられていた。“DRUMSONS Go East”やら“DRUMSONS Set the Earth Shaking”やら“DRUMSONS Go Fishing”やら“DRUMSONS Go Skiing”やら“DRUMSONS Return to Edo”やら“DRUMSONS Scale Fuji”やら“DRUMSONS: Six Hands Clapping”やら“DRUMSONS Meet the Buddha on the Road”やら、きっと開演前の楽屋でその日のセトリを見て皆で笑っていたのだろう。とてもクリムゾンっぽい洒落だ。

加えて三人太鼓隊のチーム名は、《KING DRUMSON》のようである。力づくだな。


過去のクリムゾンとクリムゾン大楽団が決定的に異なるのは、(フリップはどうか定かではないが)7人には利己的なアーティスト・エゴが希薄だということ。大楽団以前からのメンバーがトニー・レヴィンとマステロットという、そもそもエゴレスな2名ではないか。メル・コリンズも5ディケイズにわたり膨大なセッション仕事をこなしてきたから、無用なエゴなどとっくの昔に消滅しているはずだ。

1969年以来、キング・クリムゾンに在籍する者は卓越した演奏力を備えてなければならなかった。そしてその融合と衝突により生まれる衝撃的なバンド・アンサンブルが、クリムゾンの音楽的土台なのは皆知っている。しかし演奏スキルが強力であればあるほど、自己顕示欲とプライドが天より高くなっても仕方あるまい。

だって人間だもの。

そしてこの必要悪が、クリムゾンを何度も何度も〈解散〉させてきたのも事実だ。

リズム隊の強烈過ぎるエゴに耐えきれなくなったフリップがバンドから逃亡したから、『レッド』クリムゾンは自爆した。いまや《メタリック・クリムゾン》と並ぶもう一つの個性である《ポリリズミック・クリムゾン》が実現したのは、『ディシプリン』だった。しかし、そのために自らのエゴを抹殺して禁欲的な演奏に徹することを強いられたビルブルのクリムゾン熱は以降、殺伐としたものに変容した。

だけど時代は移り、従順な愛弟子だったはずのトレイ・ガンが2003年自我に目醒めて独立し、2009年には「フリップ卿の片腕は自分」と己れを過大評価し過ぎたブリューが実質放逐されたのを最後に、キング・クリムゾンから個人のエゴは見事に一掃された気がするのだ。というか、そういうことに興味なさそうなひとたち揃いになったように映る。

今年の年齢で並べると――フリップ&レヴィン73歳(!)→メルコリ71歳→マステロット64歳→ジャクスジク61歳→リーフリン59歳→ハリスン&ステイシー56歳。そりゃ大人だもの皆、エゴ剥き出しにして和を乱すような奴はもういない。

そんな、キング・クリムゾン以外の記名性に一切執着しないエゴレス大楽団だからこそ、《万能キング・クリムゾン》が実現したのである。

だって考えてみてほしい。2017年9月にフリップはブリューと復縁したことを明かしたうえで、彼を〈KC9人目のメンバー〉として認定してしまった。もし今年2019年のツアーにブリューが参加して“エレファント・トーク”でも唄われようもんなら、その瞬間に興醒めしてしまうはずだ。〈本物〉が唄わないからこそ成立してきた、独特の粋(いき)さが台無しになるからだ。

するとレイクとボズとウェットンの不在も、結果的にクリムゾン大楽団を成功に導いてくれたとも言えるわけか。なんてことをずっと考えながらライヴを観てたら、21馬鹿が終わると同時にステージに合掌する自分がいた。南無。


で2014年に始まったキング・クリムゾン大楽団の数ある功績のひとつが、『ポセイドンのめざめ』および『リザード』再評価の機運を高めたことだった。2017年12月に登場した、『ポセイドン』『リザード』『アイランズ』期を網羅する21CD+2DVD+4BD箱『セイラーズ・テール1970-1972』と相まって、ようやく陽の目を見た感がある。

言い換えれば、〈キング・クリムゾンに入ったばっかりに、最も酷い目に遭ったひと〉がやっと復権したわけだ。いや、違う。2001年にシングル“ハウ・ワンダフル・ユー・アー”、翌2002年にはアルバム『ハリーズ・バー』が各々全英チャート最高2位を獲得したことで、本人は既にアーティストとしての成功を摑んでいるのだから、大きなお世話だろう。要は、自分たちの都合で勝手に過小評価していた我々プログレッシャーズが、言われなき長年の無礼を詫びる機会に恵まれただけの話なのである。

しかも私は、そんな不憫な彼にかつてインタヴューしたことすらちっとも憶えてないときたもんだ。酷い。なので〈ゴードン・ハスケル〉に捧げる今回なのだ。

とはいえ1991年12月にクリムゾン初の4CDアンソロジー箱『紅伝説1969-1984』をコンパイルした際に、“ケイデンスとカスケイド”の彼のヴォーカルと“ボレロ”のベースをわざわざブリューとレヴィンに差し替えたフリップが、いちばん酷い。

ねえ?

ハスケル1990年発表の3rdアルバム『ハンブルドン・ヒル(HAMBLEDON HILL)』と1992年の4thアルバム『ドライヴ・ユー・クレイジー(IT’S JUST A PLOT TO DRIVE YOU CRAZY)』が、1995年盛夏にMSIから日本発売されることとなり、どうもライナーノーツの依頼を受けたようだ。とおもいきり失念してる私が、フリップの次に酷い。

その際、原稿執筆用に電話インタヴューが実現したらしく、今回実家からそのテープ起こし原稿が発掘されるに至った。この自家製アーカイヴ――当時のハスケルのインタヴューなんてきっと貴重だろうから、慎んで24年ぶりに原稿化してみる。南無阿弥陀仏。おいおい勝手にレクイエムにするんじゃない。

市川 そもそもあなたとフリップはドーセットの同郷で、かつ同級生のなかよしだったんですよね?

ハスケル なかよしかどうかは――ロバートに訊いてくれ。けれど学生時代のロバートはすごく面白い奴で、校長が受け持ってる授業に片っ端から出席しては彼をいびってたよ(苦笑)。たとえば英語学の授業中に突然ランチを食べ始めて、その授業がどれだけ退屈かアピールしたり。

市川 うえ、嫌なガキだわ。

ハスケル とにかく他人をやりこめるのが、得意中の得意なんだよ。14歳のときの彼の至言を教えようか? 「If you had half the intelligence of a pea, you’d be twice what you are now(豆粒大でも脳みそがあれば、あなたでもいまの2倍は賢くなれる)」さ。

市川 三つ子の魂百までもですか。ただのヤング・ロバート・フリップじゃないですか。

ハスケル ああ(失笑)。でもちょうどその頃、僕がベースを買ったら一緒にバンドを演る約束していたし。実際、僕にジャズ・コードの理論とか手ほどきしてくれたのもロバートなのさ。とはいえそれが、僕がロバートに何かを教えてもらった最初で最後の出来事だったんだけどね。はは。

市川 はは。



学生時代は友だち――だったのは一応、真実のようだ。というかフリップを相当慕っていたようだ。そしてハスケル&フリップがお互いの人生初バンド【レイヴン】を組んだのが1961年6月、15歳のとき。しかしそこはアマチュア学生バンドで翌62年8月には解散したものの、二人は1964年3月に新バンドを再び結成する。その【ザ・リーグ・オブ・ジェントルメン(LoG)】がプロ・デビュー叶わず翌65年11月に解散すると、二人は袂を分かち別々に活動し始めた。

ハスケル LoGが解散したときの僕は16歳だったから、ひとまず就職することを考えた。で警察で働き始めたんだが、とても性に合いそうになくて一日で辞めた(愉笑)。もう考えを即座に改め、【ダウランズ】でベースを弾いてクラブを廻ってたときに【レ・フルール・ド・リス(FDL)】のオーディションに合格して、デビューできたわけなんだ。



アイリスを様式化したフランスらしさの象徴的な紋章と同名のFDLは、モータウンとモッズという当時の最新流行モード同士が出逢ったようなグループだけに、具体的な商業的成功には恵まれなかったが、いまなお好事家から重宝される。それだけにハスケルもクリムゾンにさえ参加していなければ、〈exFDL〉として別の村ではもっと早い時期から、しかも正当に認知されていたかもしれない。

1965年12月から68年4月までハスケル在籍時のFDLシングルは、➋ピート・タウンゼント曲の“Circles(Instant Play)”(1966年3月)”➌“Mud in Your Eye”(同年)➍“I Can See A Light”(67年)❺“The Gong With The Luminous Nose”(68年)の4枚で、現在では1997年編纂のコンピ盤『REFLECTIONS』で全AB面曲聴くことができる。

とはいえFDLのマネージャーがスタックスの欧州担当を兼ねていた縁で、ハスケルたちは本場米国からやってくる黒人シンガーたちのハウス・バンドを務める機会に多く恵まれた。さらにはハスケルが書いた楽曲“Lazy Life”をビル・キンパー(ビリー・フォレスト)が唄い南アフリカで大ヒットした実績も、大きいだろう。同じくハスケル曲の“Hold On”も、ハウス・バンドがFDLだったソウル歌手シャロン・タンディが唄って売れたのだからして、そりゃハスケルの、のちのクリムゾンとは真逆の音楽性がさらに深く醸成されたのもわかる気がする。確信も持てたはずだ。

なのに、なのに人生一寸先は闇だ。ハスケルの母親からその成功話を聞いたフリップからの「FDLを辞めて別のバンドでまた一緒に演ろう」的な悪魔の誘いに、ハスケルは乗ってしまうのだから。当時はまだ、そんなにフリップのことを好きだった彼が不憫すぎるではないか。

で、当時そこそこ売れていたグループ【ザ・フラワーポット・マン】に、ハスケルはFDL脱退即加入したものの、彼を誘った当のフリップはジャイルズ・ジャイルズ&フリップのメジャー契約が獲れそうになったから、合流しなかった。そりゃえげつない。

業を煮やしたハスケルは同年10月、“Yesterday Has Gone”英4位と“My World”同33位のヒット曲を飛ばした【キューピッズ・インスピレーション】に移籍した。このバンド、実はブライアン・エプスタインに見い出されてヒットしたものの彼の没後は低迷。それでもあのロバート・スティッグウッドに拾われるという、異常なまでの強運に恵まれてるのに結局鳴かず飛ばずなのだから、つくづく数奇な連中であったことよ。

そしてキューピッドたちは一週間4晩のスコット・ウォーカーのバックバンド仕事をこなしたものの、3ヶ月待っても約束の週給10ポンドはマネジメントから支払われなかったため、翌1969年1月に脱退した。忙しない。それでも時を同じくしてリリースされたキューピッズ唯一のアルバム『YESTERDAY HAS GONE』のジャケにはハスケルがしっかり映ってるし、いかしたフリーキー・ビートが印象的なハスケル曲の“I Want to Give It All to You”も収録されてはいた。

市川 あのーあなたの話を訊いてて気づいてたんですけど、フリップのせいでいろいろ損してませんか。

ハスケル まあ……FDLで満足していた僕からその仕事を取り上げたのがロバートだった、ということだね(微笑)。

市川 笑えませんわ。でもそんなどん底の状況下でよく初のソロ・アルバム『セイル・イン・マイ・ボート』をリリースに漕ぎつけられましたよね、しかも天下のCBSから。

ハスケル 僕はずっと書き溜めてた曲が50曲以上あったから、自分で売り込んだんだよ。

市川 単身ひとりで乗り込んだんですか?

ハスケル 無理無理無理無理。マネージャーと一緒にさ。でもできれば、あのアルバムのことは忘れてしまいたいよ。だってあまりにも大袈裟なサウンドだからなぁ……。

市川 へ? あなた自身があのブロードウェイ的な「これでもか」の過剰に劇的なストリングス・アレンジを欲しくて、わざわざジョン・キャメロンをアレンジャーに起用したのかと思ってました。やたらドリーミーで甘々な空気感とか。

ハスケル まさか! もう全部レーベルにおまかせというか、僕に発言権なんてなかったね。だから参加ミュージシャンの人選も、ジミー・ダンカンのおっしゃる通りに。

市川 あらら。でも暮れゆく湿原を静かにたゆたむ河を小舟で揺られ、そのまま涅槃の海の果てまで流されて逝きそうなあなたのシルエットが虚しいジャケといい、最初にシングルカットされた、さざ波のSEで始まっちゃう1曲目の“ボート・トリップ”といい、なんかやたら甘くてジェントルなポップスなのに違和感あるんですよねぇ。

ハスケル だからもう忘れてくれって(醒笑)。

市川 でもリ・レコーディングされてたセカンド・シングルの“オー・ラ・ディ・ドゥー・ダー・デイ”は、アルバム・ヴァージョンとは別人のように快活なバンド・サウンドでしたよね。もしもこっちの路線でアルバム全編作ってたら、違ってたかもなと。

ハスケル 忘れろって(失笑)。もっとも僕が唯一関わった部分――あんなアルバムでも僕のソング・ライティング面に関しては、見込みあったと思うけどな。いま思えば当時は、成功しようと焦るがあまり肝心のクリエイティヴィティーを軽んじてしまい、くだらない人間たちの言いなりになってしまってた……これは僕が子供時代に受けた教育に原因があると思うんだけどね。

市川 そういう問題ではないと思います。

ハスケル はははは。まあ、な。



レズリー・ダンカンの兄ジミー・ダンカンがプロデュースしたこの『セイル・イン・マイ・ボート』は、バート・バカラック風のオーケストラ・アレンジが全編で漂う極めてオーソドックスなポップス・アルバムで、日本的に言えば、歌謡曲っぽさは否めない。そこらへん本人も納得できなかったのかもしれない。

でクリムゾンが初の全米ツアーを終えて帰英した直後の1970年1月、イアン・マクドナルド&マイケル・ジャイルズの脱退が公式発表されると、4月にはグレッグ・レイクも脱退してしまった。それでもフリップ&ピート・シンフィールドは『宮殿』に続く2ndアルバム制作に入るが、辞めたレイクに頭を下げて“ケイデンスとカスケード”以外の楽曲を唄っていただくこと自体、異例の事態だったわけだ。そしてマネジメントがセッション・シンガーとして採用しようとしたエルトン・ジョンを気に入らなかったフリップは、ハスケルに声をかけるという厚顔っぷりをまた発揮するから、おそろしい。

ハスケル クリムゾンが米国を体験して分裂しかけたあのとき、ロバートから頼まれたよ。「セッション・シンガーとして“ケイデンスとカスケイド”を唄ってくれないか」って。でも僕は乗り気じゃなかったし、ロバートもそれは察していたはずなんだ。

市川 わはは。はっきりしてますな。

ハスケル 『ポセイドンのめざめ』のときはたしか――マネジメントのEGがロバートに、「せっかく1枚目が売れたんだから音楽ビジネスを上手く運ぶために、2ndアルバムをすぐ発売しないと駄目だ」と厳命したんだと思う。だけど僕は、たまたま立ち寄って50ポンドをもらった旅行者みたいなものだったんだから。

市川 あ、50ポンドで“ケイデンス”一曲だけ唄った話って、都市伝説じゃなかったんですねぇ。

ハスケル うん、なんだかんだ言ってもロバートは幼なじみだし、小遣い稼ぎのつもりだった(失笑)。だって僕は、オーティス・レディングやブッカーT&ザ・MG’sが在籍しているアトランティック・レコードで、愉しく過ごしてたんだからその頃は。

市川 にもかかわらずそのままクリムゾンに正式加入しちゃったのは、奥さんから「定収入が欲しい」と言われたから――なんですか本当に。

ハスケル ……まあ(醒笑)。



古今東西どうして男は嫁さんから、特に収入に関して責められると無抵抗で屈辱に甘んじるのだろう。わかるぞハスケル、30数年前の私もそうだった。

1970年の夏から秋にレコーディングした3rdアルバム『リザード』がリリースされたのが、同年12月11日。我々は作品への不満をずっと〈ハスケルの力不足〉のせいにしてきたが、それが現実と異なることに『セイラーズ・テール1970-1972』箱を聴いてやっと気づいた。力量云々ではなく、単にキング・クリムゾンとゴードン・ハスケルが〈水と油〉だったことが実証された結果に過ぎないのだ。

表題曲の“リザード組曲”の核的楽曲“ルーパート王子のめざめ”はゲストのジョン・アンダーソンに唄われ、キース・ティペット軍団のフリー・ジャズ的潮流に翻弄され――リリース3日後の12月13日に即脱退したのは、無理からぬ話だと思う。

ハスケル FDLは大好きだったけど、キング・クリムゾンを好きだと思ったことは一度もない(←きっぱり)。

市川 だははは。お気持ちは察しますけど。

ハスケル ビートルズは愛を生み出していたし、FDLもそうだった。だけどクリムゾンは新しいタイプの音楽を試みていてーー僕はまるでレイプされてるような気分だったけど、それはロバートが考えてる進行中の方向性の証明でもあった。愛はどこかに消え去ってヴァイオレンスだけの世界に向かっていくという。

市川 『宮殿』は“21馬鹿”も“エピタフ”も“風に語りて”も、まったく身も蓋もないお先真っ暗ソングばかりですからね。

ハスケル うん、冷た過ぎる音楽だと思った。だけどロバートは車を何度も走らせ僕の家まで説得に来て、「モータウン的な資質を持ったベーシストが必要なんだよ、ゴート」と唱えたよ。とてもそうは思えなかったが、参加してしまったんだな。そんなわけで僕は『リザード』の録音中ずっと、クリムゾンの一部でいるのが苦痛だった。ロバートと僕の意見が一致したのは――彼は大成功して僕はささやかな成功しか得られなかった、その一点だけさ。彼のほうが僕より上手(うわて)だったってこと。

市川 あなたにとってキング・クリムゾンに在籍したことは、ヘヴィーなトラウマ以外の何物でもなかったんですかねぇ。

ハスケル いま思えば……僕は純真であり過ぎた。音楽ビジネスに不慣れで……ナイーヴで……お上品な世間知らずで……情緒不安定で……自信が希薄で……自分自身を把握できてなくて、ベーシストとしてはそこそこ優秀だったとしても、シンガーとしてはお粗末だったし。まだ準備ができてないうちから人目に晒されるというのは、恥ずかしいものさ。

市川 クリムゾン時代、〈ヴォーカリスト=ゴードン・ハスケル〉としてのスキルはまだまだであったと。

ハスケル というかクリムゾン云々ではなく、僕の〈準備〉が整ったのは44歳になってから――つまりまだ5年前の話なのさ。

市川 へ。1990年とはまた最近の話ですね。

ハスケル ああ。僕にはそれだけの時間が懸かってしまった。少年時代の束縛から逃れ、毎晩5時間ずつ300日間ぶっ通しで唄えるようになるまでは、ね。そんなのビートルズは10代の頃には既にやってたことだろうけど、僕にとっては1990年が初めてだったのさ(苦笑)。

市川 ちょいちょい出てくるあなたのやたら内向的なコンプレックスは、「私生児という身の上に起因していた」とフリップは私に明かしてくれましたけど、相当尾を引いたんですなぁ。

ハスケル 本当に大きなお世話だ(醒笑)。

市川 すいません。だってフリップがフリップが。

ハスケル ふ。気にするな。でもそんなコンプレックス解消なんて、ちっとも重要ではない。最も重要なのは〈いま〉であり、名声を追い求めるのを止めて、自分が心地好い場所にやっと落ち着けたという満足感なんだよ。だからいまの僕は、文字通りの〈アーティスト〉になれたんだと思う。以前はそうじゃなかったから、僕の過去はもう修羅場そのものだったのさ。

市川 そこまで言い切りますか。

ハスケル だからクリムゾンに一時期在籍してはいたけれど、僕自身としては残念ながら何の印象も感銘も受けなかったというのが、現実なんだ。クリムゾンを崇拝する評論家たちが何と言おうと、僕の人生の中では何の転機にもならなかったのさ。



24年ぶりに原稿化してみたら、記憶以上にえぐい内容だからせつなくなる。しかし別の観点から見れば、現在のメンツも含むキング・クリムゾン在籍経験者総勢23名中唯一の、クリムゾン体験全否定男がゴードン・ハスケルだ。発表の場がライナーノーツだったのでインタヴュー本来の生々しさを編集せざるを得なかったが、逆方向からの《キング・クリムゾンおよびロバート・フリップ論》として、かなり有効な気がする。

実はまだまだ終わらないので、後篇に続きます。ひとが抱えるトラウマは、そう簡単に解消されないのであった。







第一回「ジョン・ウェットンはなぜ<いいひと>だったのか?」はコチラ!

第ニ回 「尼崎に<あしたのイエス>を見た、か? ~2017・4・21イエス・フィーチュアリング・ジョン・アンダーソン、トレヴァー・ラビン、リック・ウェイクマン(苦笑)@あましんアルカイックホールのライヴ評みたいなもの」はコチラ!

第三回「ロバート・フリップ卿の“英雄夢語り”」はコチラ!

第四回「第四回 これは我々が本当に望んだロジャー・ウォーターズなのか? -二つのピンク・フロイド、その後【前篇】-」はコチラ!

第五回「ギルモアくんとマンザネラちゃん -二つのピンク・フロイド、その後【後篇】ー」はコチラ!

第六回「お箸で食べるイタリアン・プログレ ―24年前に邂逅していた(らしい)バンコにごめんなさい」はコチラ!

第七回「誰も知らない〈1987年のロジャー・ウォーターズ〉 ーーこのときライヴ・アルバムをリリースしていればなぁぁぁ」はコチラ!

第八回「瓢箪からジャッコ -『ライヴ・イン・ウィーン』と『LIVE IN CHICAGO』から見えた〈キング・クリムゾンの新風景〉」はコチラ!

第九回「坂上忍になれなかったフィル・コリンズ。」はコチラ!

第十回「禊(みそぎ)のロバート・フリップ ーー噂の27枚組BOX『セイラーズ・テール 1970-1972』の正しい聴き方」はコチラ!

第十一回「ああロキシー・ミュージック(VIVA! ROXY MUSIC)前篇 --BOXを聴く前にブライアン・フェリーをおさらいしよう」 はコチラ!

第十二回 「ああロキシー・ミュージック(VIVA! ROXY MUSIC)後篇 --BOXを聴いて再認識する〈ポップ・アートとしてのロキシー・ミュージック〉」はコチラ!

第十三回 「今日もどこかでヒプノシス」はコチラ!

第十四回 「ピーター・バンクスはなぜ、再評価されないのか --〈星を旅する予言者〉の六回忌にあたって」はコチラ!

第十五回 「悪いひとじゃないんだけどねぇ……(遠い目)  ―― ビル・ブルフォードへのラブレターを『シームズ・ライク・ア・ライフタイム・アゴー 1977-1980』BOXに添えて」はコチラ!

第十六回 「グレッグ・レイク哀歌(エレジー)」はコチラ!

第十七回 「クリス・スクワイアとトレヴァー・ホーン -イエスの〈新作〉『FLY FROM HERE -RETURN TRIP』に想うこと- 前篇:スクワイアの巻」はコチラ!

第十八回 「クリス・スクワイアとトレヴァー・ホーン -イエスの〈新作〉『FLY FROM HERE-RETURN TRIP』に想うこと- 後篇:空を飛べたのはホーンの巻」はコチラ!

第十九回「どうしてジョン・ウェットンを好きになってしまったんだろう(三回忌カケレコスペシャルversion)」はコチラ!

KING CRIMSONの在庫

  • KING CRIMSON / CONSTRUKCTION OF LIGHT

    よりヘヴィにより理知的に深化を遂げた00sクリムゾン第一弾、2000年リリース

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    • IECP10046

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  • KING CRIMSON / HAPPY WITH WHAT YOU HAVE TO BE HAPPY WITH

    02年リリース、「The Power To Believe」の予告編的ミニアルバム、全10曲

  • KING CRIMSON / LADIES OF THE ROAD: LIVE 1971-1972

    『アースバウンド』と対を成す、71-72年の壮絶なライヴ音源集

  • KING CRIMSON / LEVEL FIVE

    01年夏の北米公演を収録

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  • KING CRIMSON / ELEKTRIK: LIVE IN APAN 2003

    ロバート・フリップ/エイドリアン・ブリュー/トレイ・ガン/パット・マステロットによる03年東京公演を収録、全12曲

  • KING CRIMSON / POWER TO BELIEVE

    「ヌーヴォ・メタル」を標榜した03年作

  • KING CRIMSON / CIRKUS

    ライヴ音源集、NEON HEAT DISEASE(84〜98年)、FRACTURED(69〜96年)

  • KING CRIMSON / LIVE IN ARGENTINA 1994

    全35曲、ダブル・トリオ時代の歴史的パフォーマンスを捉えた映像作品

    • CLUB47KING CRIMSON COLLECTORS CLUB

      デジパック仕様、DVDオーディオ2枚組、NTSC方式、リージョンフリー、スリップケース・ブックレット付仕様(画像はスリップケースです)

      盤質:傷あり

      状態:並

      1枚は無傷〜傷少なめ、1枚は傷あり、スリップケースに圧痕あり

  • KING CRIMSON / IN THE COURT OF THE CRIMSON KING

    69年発表、ロック・シーンの流れを変えた歴史的デビュー作!

    ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。1969年に発表されたデビュー・アルバム『クリムゾン・キングの宮殿』は、プログレッシヴ・ロックのスタート地点となった大名盤であり、プログレッシヴ・ロックを聴くならまずはこのアルバムからと断言できる作品です。メンバーはギタリストRobert Fripp、ベース・ヴォーカリストGreg Lake、ドラマーMichael Giles、管楽器に加えて鍵盤楽器(メロトロン)も担当するIan McDonald、そして作詞家Peter Sinfieldという布陣。「21世紀のスキッツォイド・マン」のオープニングから緊張感のある変拍子アンサンブルやユニゾン・フレーズが畳み掛け、「風に語りて」では牧歌的でありながら浮世離れした音世界を構築。“混沌こそ我が墓碑銘”の一節があまりに有名な「エピタフ (墓碑銘)」と、同じくリリックの幻想美に酔いしれる「ムーンチャイルド」を経て、メロトロンの洪水に溺れるシンフォニックな最終曲「クリムゾン・キングの宮殿」へ。“THE BEATLESの『Abbey Road』をチャート・トップから陥落させた”というエピソードの真偽はともかくとして、プログレッシヴ・ロック時代の幕開けを告げる衝撃的な作品であることは間違いありません。『クリムゾン・キングの宮殿』に触れずにプログレッシヴ・ロックを語ることは、まず不可能でしょう。

    • IECP10003

      紙ジャケット仕様、HDCD、デジタル・リマスター、ブックレット・ステッカー付仕様、定価2500+税

      盤質:傷あり

      状態:良好

      帯有

      若干圧痕あり

  • KING CRIMSON / IN THE WAKE OF POSEIDON

    衝撃的デビュー作「クリムゾン・キングの宮殿」の構成を踏襲した70年2nd、前作に匹敵する重厚さドラマ性に加えジャズ系ミュージシャンを起用し新機軸も打ち出した一枚

    ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。1970年に発表されたセカンド・アルバム『ポセイドンのめざめ』は、デビュー・アルバム『クリムゾン・キングの宮殿』の延長上に位置する作品となっています。『クリムゾン・キングの宮殿』発表後、ギタリストRobert Frippと作詞家Peter Sinfieldを除く3名が脱退を表明するも、諸事情によりGreg LakeとMichael Gilesは引き続き本作のレコーディングに参加。新たにKING CRIMSONに参加したのは、ピアニストKeith Tippett、管楽器奏者Mel Collins、ベーシストPeter Giles(Michael Gilesの実弟)、そしてヴォーカリストGorden Haskell。その結果、本作には8名ものミュージシャンの名前がクレジットされることになりました。音楽的にはデビュー・アルバムと同一線上で捉えることも可能ではありますが、例えばKeith Tippettのジャズ・ピアノをフィーチャーした「キャット・フード」、あるいは、ホルスト作曲の組曲「惑星(火星、戦争をもたらす者)」を思わせるリズムとカオティックなメロトロンが凄まじい相乗効果を生む「デヴィルズ・トライアングル」など、新たな試みも行われています。なお本作の後、Greg LakeはEMERSON, LAKE & PALMERとして再デビュー、そしてMichael GilesとPeter Gilesの兄弟はすでにKING CRIMSONを脱退していたIan McDonaldと共にMcDONALD AND GILESを結成します。

  • KING CRIMSON / LIZARD

    70年3rd、表題曲にはYESのジョン・アンダーソンが参加

    ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。セカンド・アルバム『ポセイドンのめざめ』を最後に、Greg Lake、Michael Giles、Peter Gilesが脱退。1970年に発表されたサード・アルバム『リザード』は、『ポセイドンのめざめ』に参加していたベース・ヴォーカリストGorden Haskellと管楽器奏者Mel Collinsが正式加入、さらにドラマーAndy McCullochを迎え入れ制作されました。ゲスト・ミュージシャンは、過去作にも参加のジャズ・ピアニストKeith Tippettがバンドメイト(コルネット奏者Mark Charigとトロンボーン奏者Nick Evens)を引き連れ参加している他、オーボエ奏者Robin Miller、さらにYESのヴォーカリストJon Andersonが、表題組曲「リザード」の「ルーパート王子のめざめ」で歌声を響かせています。本作は、Keith Tippettが持ち込んだフリー・ジャズのエッセンスがグループに新たな息吹を注ぎ込んだ作品であり、特に「インドア・ゲイムズ」や「ハッピー・ファミリー」におけるインプロヴィゼーションなどで、その影響をはっきりと聴き取ることができるでしょう。一方で、フルートが舞う「水の精」ではこれまでのKING CRIMSONらしい牧歌性も披露。ラストには20分を超える表題組曲「リザード」が控えます。フリー・ジャズへの接近を通じて、後のKING CRIMSONサウンドの重要なポイントとなる即興色を拡張した傑作です。

  • KING CRIMSON / LARKS’ TONGUES IN ASPIC

    フリップ以外のメンバーを一新して制作された73年作5th、圧倒的な緊張感とダイナミズムが支配する大傑作!

    ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。4thアルバム『アイランズ』を発表後に解散したKING CRIMSONですが、Robert Frippは新たなメンバーを探しKING CRIMSONを再始動。グループの最高傑作と名高い1972年の5thアルバム『太陽と戦慄』を世に送り出しました。メンバーはギタリストRobert Frippに加えて、ベース・ヴォーカリストJohn Wetton、ドラマーBill Bruford、パーカッション奏者Jamie Muir、ヴァイオリン奏者David Crossという布陣。本作は、確かな技巧を持ったミュージシャンたちによる最高品質の実験音楽作品であり、1曲目の「太陽と戦慄 パートI」と最終曲「太陽と戦慄 パートII」に象徴される、即興演奏を重視したメタリックなプログレッシヴ・ロックの大傑作となっています。また、2つの先鋭的な楽曲に挟まれた中盤の楽曲たちも素晴らしく、John Wettonのヴォーカルが冴えわたる「土曜日の本」や、最初期のKING CRIMSONサウンドが頭をよぎる「放浪者」、 ヘヴィーなギターとスキャットから始まる「イージー・マネー」 、Jamie Muirの話し太鼓(西アフリカの伝統的な太鼓の奏法)を曲名に冠した「トーキング・ドラム」と、どの楽曲も強烈な個性を持っています。ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロックを聴くうえで、避けて通れない名盤です。

    • IEZP38

      紙ジャケット仕様、40周年記念エディション、HQCD+DVD-AUDIOの2枚組、K2HDマスタリング、ブックレット・内袋・復刻巻帯付仕様、DVD-AUDIOはNTSC方式・リージョンフリー、定価4500+税

      盤質:傷あり

      状態:良好

      帯有

      盤に内袋の跡あり

      2290円

      1832円
      (税込2015円)

      504円お得!


      CD詳細ページへ

  • KING CRIMSON / RED

    フリップ、ウェットン、ブルーフォードの三人が尋常ならざる緊張感の中で生み出したクリムゾンを代表する傑作、74年作7th

    ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。6thアルバム『暗黒の世界』後にヴァイオリン奏者David Crossが脱退。3人体制となったKING CRIMSONは、1974年に7thアルバム『レッド』をリリースしました。メンバーは、ギタリストRobert Fripp、ベース・ヴォーカリストJohn Wetton、ドラマーBill Brufordという布陣。ゲストには、ソプラノ・サックス奏者Mel Collins、アルト・サックス奏者Ian Mcdonald、ヴァイオリン奏者David Cross、コルネット奏者Mark Charig、オーボエ奏者Robin Millerという旧メンバーあるいは過去作にもゲスト参加の経験を持つミュージシャンたちが迎えられています。その内容は、アルバムのオープニングを飾る「Red」から破壊的なギター・サウンドとアグレッシヴなリズム・セクションに驚愕する傑作。KING CRIMSON作品の中で最も素晴らしいバラード曲との呼び声も高い「堕落天使」、初期のKING CRIMSONサウンドをヘヴィーに再構築したような「再び赤い悪夢」、インプロヴィゼーションのライブ録音楽曲「神の導き」、抒情的なヴォーカルが印象的な前半部とギターやサックスが暴れまわる後半部から成る長尺曲「スターレス」と、全曲がプログレッシブ・ロック史に残る名曲です。本作のリリースをもって、KING CRIMSONは再び解散することとなりました。裏ジャケットに使われている、レッド・ゾーンに振り切れた音量メーターが、本作の狂暴な音楽性と当時のグループの状況を示唆しています。

    • VJCP2307

      ロバート・フリップによる89年リマスター、ファミリーツリー付き仕様、定価2233+税

      盤質:傷あり

      状態:

      帯有

      若干スレあり、カビあり

    • VJCP2307

      ロバート・フリップによる89年リマスター、ファミリーツリー付き仕様、定価2233+税

      盤質:傷あり

      状態:良好

      帯有

      若干折れ・側面部に若干色褪せあり、ケースに若干スレあり

    • IECP10010

      紙ジャケット仕様、HDCD、デジタル・リマスター、内袋付き、定価2500+税

      盤質:傷あり

      状態:良好

      帯有

    • KCSP7PANEGYRIC

      40TH ANNIVERSARY SERIES、デジパック仕様、スリップケース・ブックレット付仕様、CD+DVDの2枚組、ボーナストラック3曲、DVDはNTSC方式・リージョンフリー

      盤質:無傷/小傷

      状態:良好

      スリップケースに若干圧痕あり

  • KING CRIMSON / STARLESS AND BIBLE BLACK

    精緻にしてヴァイオレンス!ライヴ音源とスタジオ音源に巧みな編集を施した74年作7th、クリムゾン史上の難曲「FRACTURE」収録

    ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。5thアルバム『太陽と戦慄』に続いて1974年にリリースされた6thアルバム『暗黒の世界』は、スタジオ・レコーディングとライブ・レコーディング(73年録音)が混在する変則的な作品となっています。収録曲順に見ていくと、「偉大なる詐欺師」と「人々の嘆き」は完全なスタジオ・レコーディング。「隠し事」はライヴ・レコーディングで、「夜を支配する人」はライヴ・レコーディングの冒頭から途中でスタジオ・レコーディングに切り替わります。「トリオ」はライブ・レコーディングで、「詭弁家」はライブ・レコーディングに後からスタジオ・ヴォーカルをかぶせた楽曲。「暗黒の世界」と「突破口」はライブ・レコーディングとなっています。前作『太陽と戦慄』でパーカッション奏者Jamie Muirが脱退したため、本作のメンバーはギタリストRobert Fripp、ベース・ヴォーカリストJohn Wetton、ドラマーBill Bruford、ヴァイオリン奏者David Crossという布陣。内容的には、初期の強烈なKING CRIMSONサウンドに回帰したようなスタジオ楽曲と、インプロヴィゼーションで聴かせるライブ楽曲に分かれています。本作を発表後にDavid Crossが脱退し3人体制となったKING CRIMSONは、次作『レッド』の制作に取り掛かります。

  • KING CRIMSON / A YOUNG PERSON’S GUIDE TO KING CRIMSON

    75年発表、のちに日本のみで期間限定CD化された幻のベスト・アルバム、全15曲

  • KING CRIMSON / USA

    75年リリース、『RED』発表前の爆発的パフォーマンスを収録した名ライブ盤!

    75年発表のライブ・アルバム。「RED」発表前の74年に録音されており、当時のラインナップはRobert Fripp(g)、John Wetton(b、vo)、 Bill Bruford(ds)、David Cross(vln、key)の4人編成。アルバム中3曲でEddie Jobson(vln、key)のパートがダビングされています。鮮やかなヴァイオリンの旋律を切り刻むメタリックなギター・リフ、グイグイとウネリを生み出して暴走するリズム隊。この時期ならではのパワフル且つ緊迫感溢れる即興演奏に終始圧倒されっぱなし。代表的名曲「21st Century Schizoid Man」では原曲のサックス部分をヴァイオリンで再現しており、よりヒステリックな爆発力を楽しむことが出来ます。沸点目掛けて上り詰めるRED期クリムゾンの凄さを体験出来る名ライブ盤。

    • PCCY01616

      紙ジャケット仕様、24bitリマスター、HDCD、3曲追加収録、ブックレット・歌詞対訳付仕様、定価2200+税

      盤質:傷あり

      状態:良好

      帯有

      スレあり

  • KING CRIMSON / THREE OF A PERFECT PAIR

    フリップ/ブリュー/レヴィン/ブルーフォードによる80sクリムゾンの最終幕を飾る84年作

    ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。1984年に発表された10thアルバム『スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー』は、8thアルバム『ディシプリン』と9thアルバム『ビート』と同一メンバーにて制作されました。メンバーは、ギタリストRobert Fripp、ギター・ヴォーカリストAdrian Brew、ベーシストTony Levin、そしてドラマーBill Brufordという布陣。本作は、KING CRIMSONのスタジオ・アルバムの中ではあまり目立たない存在かもしれません。その理由は、契約履行のために作ったアルバムという印象が強いことや、Adrian Brewのポップ・センスに寄せた出来になっていることなどが挙げられるでしょう。確かにアルバム前半には分かりやすいヴォーカル・ナンバーが収録され聴き手を困惑させるかもしれませんが、後半ではKING CRIMSON版インダストリアル・ロックとでも名付けたくなるようなインストゥルメンタルが配置されています。もちろんインプロヴィゼーションもフィーチャーされており、最終楽曲のタイトルは、なんと「太陽と戦慄 パートIII」。Robert Fripp本人も本作に対してはポジティブな感想を持っていないようですが、8thアルバム『ディシプリン』からの一連の流れを知る意味で、チェックしておきたいアルバムでしょう。

    • IECP10043

      紙ジャケット仕様、デジタル・リマスター、ボーナス・トラック5曲、ブックレット・ステッカー・内袋付仕様、定価2625

      盤質:傷あり

      状態:良好

      帯無

      帯無、若干汚れ・若干圧痕・軽微な色褪せあり

  • KING CRIMSON / VROOOM

    90sクリムゾンの第1弾アルバム、94年作

    ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。1980年代に『ディシプリン』『ビート』『スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー』を発表し活動を休止したKING CRIMSONの次なるリリースは、94年のミニアルバム『ヴルーム』。この時期のKING CRIMSONは
    ギタリストRobert FrippとAdrian Brew、ベーシストTrey GunnとTony Levin、ドラマーPat MastelottoとBill Brufordという布陣から「ダブルトリオ期」と呼ばれています。本作は、95年のフル・アルバム『スラック』へのウォーミング・アップのような意味合いの作品であり、事実6曲中4曲がアルバム用にリミックスされ『スラック』にも収録されています。内容は、7thアルバム『レッド』に通じるヘヴィーな楽曲を中心としており、KING CRIMSONの進化はまだまだ続くと確信させられる出来栄えです。

    • IECP10044

      紙ジャケット仕様、初回プレス限定ステッカー付仕様、デジタル・リマスター、定価2300+税

      盤質:無傷/小傷

      状態:並

      帯無

      帯無、軽微なカビあり

  • KING CRIMSON / THRAK

    10年の沈黙を破り再始動したクリムゾンが放った95年作!

    ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。1980年代に『ディシプリン』『ビート』『スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー』を発表し活動を休止したKING CRIMSONは、94年に久々の新作となるミニアルバム『ヴルーム』を送り出し、翌95年には『ヴルーム』の楽曲を含むフル・アルバム『スラック』を発表しました。この時期のKING CRIMSONはギタリストRobert FrippとAdrian Brew、ベーシストTrey GunnとTony Levin、ドラマーPat MastelottoとBill Brufordという布陣から「ダブルトリオ期」と呼ばれています。内容は、冒頭の「ヴルーム」を聴いただけで7thアルバム『レッド』の衝撃がよみがえるような、強烈なヘヴィー・プログレッシヴ・ロックとなっています。Robert Frippは、新たなKING CRIMSONの音楽性を「ヌーヴォ・メタル (Nuovo Metal)」と標榜しました。

    • IECP10045

      紙ジャケット仕様、デジタル・リマスター、定価2625

      盤質:無傷/小傷

      状態:良好

      帯有

      帯に小さい折れあり

    • UICE9064

      紙ジャケット仕様、HDCD、デジタル・リマスター、定価2345

      盤質:傷あり

      状態:良好

      帯無

      帯無、側面部に色褪せあり

      1010円

      808円
      (税込889円)

      222円お得!


      CD詳細ページへ

    • KCSP13DGM

      デジパック仕様、スリップケース付き(画像はスリップケースです)、CD+DVDオーディオの2枚組、NTSC方式、リージョンフリー

      盤質:傷あり

      状態:良好

      スリップケースに角潰れあり

      1290円

      1032円
      (税込1135円)

      284円お得!


      CD詳細ページへ

  • KING CRIMSON / THRAKATTAK

    95年ツアーのライヴ音源より、インプロヴィゼーション・パートのみを編集した96年作

  • KING CRIMSON / ABSENT LOVERS

    84年7月モントリオールで行なわれた第4期のラスト・ライヴを収録。

    • IECP20031/2

      紙ジャケット仕様、2枚組、デジタル・リマスター、定価3675

      盤質:傷あり

      状態:良好

      帯有

      帯中央部分に軽微な色褪せあり、初回プレス限定の「THE COLLECTORS KING CRIMSON SAMPLER VOL.3」(5曲入り)付属

  • KING CRIMSON / GREAT DECEIVER 1 LIVE 1973-1974

    73-74年期のライヴ音源、全24曲

  • KING CRIMSON / GREAT DECEIVER 2 LIVE 1973-1974

    73-74年期のライヴ音源集

    • IECP20106/7

      紙ジャケット仕様、2枚組、デジタル・リマスター、定価3500+税

      盤質:傷あり

      状態:並

      帯有

      帯中央部分に色褪せあり、カビあり、盤に軽微な曇りあり

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GORDON HASKELLの在庫

  • GORDON HASKELL / SAIL IN MY BOAT

    初期キング・クリムゾンに在籍した英フォーク・シンガー、クリムゾン加入以前にリリースした69年作

    69年発表の1stソロ。キング・クリムゾン「リザード」への参加で有名ですが、本作で聴けるのはクリムゾンの面影など微塵も感じない英SSW然としたサウンド。決してうまくはないが味のあるヴォーカルと和やかなメロディーに心温まります。弦楽器、ピアノ、フルートによる洗練されたアレンジが印象的。

  • GORDON HASKELL / HAMBLEDON HILL

    クリムゾンの『LIZARD』にてヴォーカルを務めたことでプログレ・ファンにも知られるSSW、90年ソロ作

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