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「音楽歳時記」 第四十六回 現実逃避してしまいました 文・深民淳

 7月の下旬くらいからだったと思うのですが、今日に至るまで実はKing Crimson以外、ほとんど何も聴いていません。移動中、iPhoneに適当に入れてあるアルバムを聴くことはあっても、今日に至るまでクリムソ、がっつり聴いています。

 なんでこんなことになったかと言えば、今年、The King Crimson Collectors’ Clubのアーカイヴにアップされている膨大な数のライヴ音源からジャパン・ツアー音源をピックアップしてコレクターズ・クラブCDとして発売したのです。1995年のダブル・トリオと呼ばれた6人編成時代、そして2003年のフリップ、ブリューに加え、トレイ・ガン、パット・マステロットの4人編成となったダブル・デュオと呼ばれた時代の来日公演音源を4回に分けて発売。総タイトル数は22作品(だったと思う)という結構大きなシリーズ・リリースとなりまして・・・。

 かようなものをまるで当たり前のように大人買いしてくださるありがたいお客様に対し、何かお出しせねばなるまいということで、特典企画をやろうということになり、今考えれば、なんでそんなこと軽く言ってしまったかなぁ、と激しく後悔しております。「よし、コレクターズ・クラブ音源の総カタログ、全音源レビュー付きで作ろう」これに対し、そっちの方が良いんじゃない?という企画も出なかったもので、すんなり決まってしまったのですが、忘れていたんだよね、The King Crimson Collectors’ Clubのアーカイヴって1969年、ロンドン、ハイドパークにおけるRolling Stonesのブライアン・ジョーンズ追悼、ミック・テイラーお披露目コンサートのサポートでステージに立った、クリムゾン伝説のスタート地点となったライヴ音源から今日に至るまで、まぁ、とてつもない数の音源があるわけですよ。その総数はうちの部のK嬢が把握しているらしいのですが、その数聴いた瞬間、萎えて作業を続ける気がしなくなるから絶対に教えてくれるな、ということで、総数は正確に知りませんが、とりあえず今、気が遠くなっております。

 本日までの進行状況をお知らせすれば、まず、データ・ブックという俗称で呼ばれているカタログ・レビュー本の第1集「1994-2017」は既に完成。当初の発送予定日から大幅に遅れましたが、作業は終了。発送も既に済んでいます。現在は、第2集「1969-1984」時代の音源をひたすら聴いています。

 細かく書いちゃうと、今、1974年に入ったところ。アルバム『Starless And Bible Black /暗黒の世界』あたりのライヴ音源を時間軸を追って聴いています。

 聴いて書くだけの作業なんですが、これが辛い。第1集の時は、元々、この時代のライヴ音源は正規発売やコレクターズ・クラブCDで発売されているものくらいしか聴いていなかったこともあり、ほぼ初体験に近い音源ばかりだったことで時間をとられたのですが、第2集のほうのデビュー時からディシプリン・クリムソまでの音源はコレクターズ・クラブCD国内・輸入盤、その元になったブートレグ等相当数聴いていたにも関わらず、いざ、時間軸を追って聴いていくと、これまでの思い込みや、世間一般で言われていることとは明らかに違う印象を受ける場面があちらこちらにあっったり、見方を変えるとその時のラインナップのライヴ音源の持つ意味合いが大きく変わってきたりと悩みどころが次々と出てくるのです。


 例を挙げれば、アルバム『Islands』を制作した、1971年から1972年4月1日まで存在したフリップ、メル・コリンズ、ボズ・バレル、イアン・ウォーレスからなるラインナップ。2017年に40thアニヴァーサリー・シリーズの一環として発売された『In The Wake Of Poseidon』から『Earthbound』までを網羅した『Sailors Tales』ボックスの時に、自社のウェブ販売の特典として制作したコレクターズ・クラブ音源のレビュー・ブックが今制作中のデータ・ブックの元ネタになっているのですが、この時代だけにフォーカスを当てると、フリップにとってのクリムソとしては評価が低くても、十分意味のあった活動に思えるし、このラインナップ固有のムードというのも十分魅力的に感じたのですが、今回のデータ・ブックのように1969年から時間を追って聴いていくと、やはりこの時期は停滞感が強い印象を受けてしまうわけです。
 
どこに視点を置くかで評価が随分変わってしまうのです。これがまず悩みどころ。


 もうひとつの問題は、第1集で扱った1994年以降のライヴ音源はサウンドボード音源で音質にバラつきはあるものの、ほぼストレス無く聴ける音源だったのですが、第2集の大昔音源はサウンドボード音源も含まれていますが、基本はオーディエンス録音。音質面で厳しいものが次々に登場するわけです。これを続けていてストレスが溜まり、作業を先に進めなくていけないと分かっていても、すぐに放心状態になってしまう日々が続き、この締め切りに至るのでした。


 先月までは、このデータ・ブック作業があるのを見越し、ある程度テーマの選択を行い、なんとなくアイデアをストックしていたのですが、作業遅れで遂にすっからかん状態になりました。自分の中ではこのデータ・ブック作業、9月末でアップする予定だったのですが、はい、すいません、まだ続いております。というわけで、今月はKing Crimsonのコレクターズ・クラブ音源に関して書かせていただきます。

 まず、DGMホームページにおけるThe King Crimson collectors’ Clubのダウンロード・サービスがどこまで行っているかですが、2016年ツアーからスタートした1公演1曲(今日の1曲、って感じです)サービスが2018年も継続中。2017年ツアー分までは第1集で扱いましたが、2018年音源もやはり今日の1曲として配信が始まってしまい、この扱いをどうするのか、今、かなり悩んでおります。因みにこの今日の1曲は全公演ではなく、公演はあっても配信されていない日もあります。現メンバーのビル・リーフリンのインタビューで彼は「すべての公演が素晴らしいってわけでもない。日によってはその公演の内容の記憶はまったくないけど、会場で出された食事に関しては覚えている、っていう日もあるしね」と発言しており、あのほとんど無敵状態となったクリムソでもそういう日があるというのは結構面白かったのですが、配信に欠落がある日って、そういう日だったのかなぁ?と邪推してしまいます。


 さて、今回のデータ・ブックで最も難関だったというか、この1年間超えるのに3週間もかかってしまったのが1972年。この年は2月から4月1日までのアイランズ・クリムソのUSツアー、通称アースバウンド・ツアーと10月13日フランクフルト、ZOOMクラブからスタートし、11月10日ハルから12月15日ポーツマスに至る太陽と戦慄クリムゾンのUKツアーの音源が存在するのですが、これが厳しい音質のものが多く、かなりぐったりしました。

 アースバウンド・ツアーは、クリムソ最初のライヴ・アルバムである『Earthbound』の構成音源となったライヴ会場のサウンドボードから直接カセットテープ・デッキに録音したものと、オーディエンス録音のものが混在。サウンドボード録音と言っても『Earthbound』の音質を聴いてわかると思いますが、当時の録音設定がマニュアル操作だったこともあり、マスター・カセットテープ自体に音割れ・歪みがあり、しかも会場アンビエントを拾うマイクを立てるチャンネル数もなかったのでしょう、PAで拾う楽器用のマイクからほんのり会場の雰囲気が伝わる程度。録音されたものはほとんど乾き物に近い状態のライヴ・サウンド。1969年のオリジナル・クリムゾンのコレクターズ・クラブで配信しているオーディエンス録音音源の持つ、音質には問題はあるが、かなり壮大なライヴ・サウンドだったことが伝わるタイプに比べると、ドライすぎてスケール感がほとんど感じられないものがほとんど。こうなると、会場の出音を録音したオーディエンス録音に期待してしまうのですが、この時期残されたアーディエンス録音見事に劣悪音源品評会なわけです。


 『Sailors Tales』ボックスの時は、そこだけにフォーカスを当てて聴いていたので、あまり気にならなかったのですが、今回はひっかかりました。そもそも『Earthbound』自体、フリップがポスト・プロダクション作業に関わっていますが、やっつけ仕事にしか思えないわけです。マネージメントの意向が大きかったのでしょうが、それにしても音も酷いし、収録曲にも問題が多い。雑だしスケール感もほとんど感じられない。

 でも実際はこのアイランズ・クリムソもオリジナル・クリムゾンに近い壮大な音を出していたんです。実際、1969年から順を追って聴いていくと、このアイランズ・クリムソはオリジナル・クリムゾンを完全になぞっているのが判ります。フリップ以外の各演奏者のスキルの違いというのはあっても、ライヴ・サウンドはオリジナル・クリムゾンをかなり忠実になぞっていたのです。

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