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「音楽歳時記」 第二十四回 1月 番外編:追悼グレッグ・レイク 文・深民淳


本来ならば、実際にはクリスマス・シーズン、コラム的には正月と大変におめでたい季節なのですが、すいませんが、今月は番外編とさせてください。

12月7日にグレッグ・レイク氏がお亡くなりになったことは既にみなさんご存知だと思います。癌闘病中だったそうですが、そうとは知らず・・・。その訃報はかなり衝撃でした。1947年生まれだそうですから、享年69歳。まだまだ現役で活動できたと思いますしして欲しかったなぁ。自分でもベースを弾きますので、YESのクリス・スクワイアの時も大きな喪失感にとらわれましたが、今回も残念でなりません。

人は誰しも必ずいつかはいなってしまうわけですし、その時はほとんどが突然やってくることが多いのですが、また割り切れない気持ちが大きくなって、ため息がねぇ・・・。

レイクとスクワイアはプログレッシヴ・ロックのベースのイノベーターであり、このふたりがいなかったら、1970年代前半に全盛を迎え、今もなお多くのファン、フォロワーと言えるバンドを輩出しているプログレッシヴ・ロック・シーンは、大げさな話ではなく存在していなかったかもね、と僕は思います。

いや〜、レイクやスクワイアだったら、あいつのほうがうまいとかあいつのほうが凄いとかっていう話は簡単にできると思います。僕が言いたいのはそうした上手い下手とか凄い凄くないという話ではなく、そのインパクトという点です。ふたりのプレイは世界を驚かせた、あ!こんなやり方があったか、と世界中の音楽ファン、ミュージシャンに衝撃を与えた。この点においてふたりは傑出していたと思うのです。

グレッグ・レイクがその存在を世に知らしめたのは1969年末に発表されたKING CRIMSONのデビュー作『In The Court Of The Crimson King』でした。CRIMSONの母体となったGILES,GILES & FRIPPにはCRIMSONの初代ドラマー、マイケル・ジャイルスの兄弟であるピーター・ジャイルスというベーシストがいたわけですが、ヴォーカル強化兼ライヴ時の見た目(平たく言えば女性ファン対策およびおねぇちゃん確保=ナンパ担当)でレイクを加入させ、ピーター・ジャイルスが身を引く形で、レイクがヴォーカル、ベースを担当することになります。

ピーター・ジャイルスというベーシストの力量はGILES,GILES & FRIPPのアルバムではいまひとつわかりにくいのですが、後の21 CENTURY SCHIZOID BANDでのプレイを聴けば、プログレッシヴ・ロック・バンドのベーシストとしては間違いなくトップ・クラスに入る力量を持っていたことが分かります。そのピーター・ジャイルスが身を引くくらいだったのですから、当時のレベルとしてレイクの完成度がどれだけ高かったのかわかるのではないでしょうか?

クラブ・シーンからコンサート・ホール、アリーナ・クラスの会場へとどんどんスケールが大きくなっていった1960年代末のブリティッシュ・ロック・シーン。バンドの音も大音量化していき、ブルースやR&Bをベースにしたハード・ロック・バンドの楽曲はどんどん長尺になっていきインプロビゼーション・パートが拡張されていく。ベーシストは単にルート、三度、五度の単純なパターンだけではなく、ギタリスト並みの複雑なプレイを要求されるようになり、大音量の中でも埋もれないベース音を確立するため、トーン・コントロールや打弦の強靭さも要求されるようになっていった時代にあって、当時のレイクのプレイの完成度は相当高かったと思います。

「21Century Schizoid Man」の中間部インプビゼーション・パートおける芯の太い低音が暴れ回る様は、以降のジャズ・ロックってほとんどこれとジャック・ブルースの影響下じゃん、ってくらいの衝撃だったわけです。でも、僕がレイクが凄かったと思うのは、ベースによるメロディ・ラインの作り方です。発想としてはほとんどリード・ギターみたいなメロディを主旋律に当てている「Epitaph」や「In The Court Of Crimson King」といった曲でのレイクのプレイです。メロディの重層化とでも言えばいいのでしょうか? この手法、以降のプログレ・バンドにしっかり継承されていき、シンフォニック・ロックと言われる分野においては、ベースはある種、リード楽器という位置付けの基盤を確立していると思うのです。勿論、レイクのこの当時のプレイにもオリジンはあるのですが、先に挙げた曲でのベースラインの完成度の高さ、『In The Court Of The Crimson King』という作品が世界に与えた衝撃の大きさを考えるとすべてはレイクから始まったと言っても過言ではないと思います。

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CRIMSONでデビューし、アメリカ・ツアーで知り合ったキース・エマーソンの猛烈なアプローチを受けレイクはCRIMSONを脱退し、EMERSON,LAKE & PALMER(以下EL&P)結成へと向かいます。あくまでキーボード・トリオに拘ったキース・エマーソンが当時在籍していたTHE NICEを越えるキーボード・トリオを実現させる上ではレイクは必須のピースだったのです。それとここでも’70年代はバンドのビジュアルも重要なファクターになるというエマーソンの計算も確実にありましたね。

その昔、ブライアン・オーガーのインタビューの中で、当時、発売前だったEL&Pのデビュー・アルバムを聴いて、時代が動いているのだという実感と衝撃を受け、彼自身もOBILIVION EXPRESS結成へ動いた、という発言がありましたが、同じキーボード・トリオであってもTHE NICEとEL&Pの間にあった違いはなんだったのかと言えば、それこそレイクの存在でしょう。あの柔軟な発想によるサブ・メロディとも言えるベースラインがトリオ演奏の限界を打ち破っていたと思うのです。

キース・エマーソンは「レイクはインプロビゼーションにあまり向いていなかった」といった主旨の発言を残しているようです。これだけ切り取ってしまうと、なんかエマーソンはレイクを評価していなかったのではという感じなりますが、よく考えてみれば、EL&Pってライヴでもアルバムでもフリーなインプビゼーションだらけのバンドだったわけもなく、きちんとしたアレンジが施され、構築された楽曲がほとんどだったわけで、その点において、レイクは適任だったという本音が見えているように思います。

さて、レイクの残したどの作品をあげれば良いのでしょうか? EL&Pは優れた作品を数多く残しています。真っ当にいけば『Brain Salad Surgery』や『Tarkus』ってことになるのでしょうが、僕は敢えてあの超がつく雑なライヴ・アルバム『Welcome Back My Friends To The Show That Never Ends』を挙げさせてもらいます。

優れた作品を残した反面、雑というか市場やファンの動向をマーケティングした上で制作していないだろう、あんたら、といった「ここでそれかよ!」といったものあり、僕なんかはその雑な面も含めて好きだったわけです。この『Welcome Back My Friends To The Show That Never Ends』もリリースの背景としては、『Brain Salad Surgery』を出しました、大ヒットしました、ツアーも大儲け!でも前々からあったメンバー間の確執が本格化。せっかくの上げ潮ムードにあっても次のスタジオ・アルバムはすぐには作れない。(ここからはあくまでも推測です。個人の意見です)じゃぁ、ライヴ・アルバムいってみようか!って話になったのだと思います。ほら、去年、YESが『Yessongs』出したじゃない。3枚組にもかかわらずバカ売れしたやつ。うちだって、コンサートの尺では負けてないでしょ!3枚組のライヴ・アルバム行っちゃおう!って話になったかと。でも、ある種思いつきなので、YESみたいに枚数が多く見開きが増えるからそこにロジャー・ディーンの書き下ろしイラスト配したり、写真集もつけようという準備ができない。それより何より、最初から計画されていなかったから、音源どうするのよ、というそもそもな話になってしまったわけです。幸い、FM放送用の音源があるということになり、聴いてみたら、まぁ、OKということになり発売にこぎつけたわけです。

アナログのオリジナルのアートワークはもう、世界3大がっかりに匹敵する雑な作りでしたねぇ。三つ折りの内側にでっかくE・L・Pのダイカットで描かれ、そこにレコードを差し込むタイプ。『Yessongs』の後だけにかなりがっかりだったわけです。音だって元々がFM用ですから、今の基準で言えば、音の良いブートレグ。でも、演奏はやはり凄いんだ、この時期。メンバー間、仲が悪かろうが、音楽誌や評論家から壮大なゴミ扱いされていようがこの時期だけの威風堂々ぶりに圧倒される凄さが全編から滲み出てくるわけです。

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結果的に初期EL&Pの集大成となった作品で、ライヴ盤『Pictures At An Exhibition』以外の4作からの代表曲を網羅した形になっています。(まぁ、『Trilogy』からはオープニングの「Hoedown」と「Take A Pebble」に挿入された「Still…You Turn Me On」という小品が2曲だけなんですが・・・)。プログレ界屈指の体力勝負ライヴをトリオという少人数編成で展開してきたEL&Pが体力的にも充実していた時期だけにテンションの高さ、スピード感、音圧といった観点から見ても圧倒的なポテンシャルを誇るライヴ・アルバムだと思います。なんか、結構このライヴ・アルバム、辛い評価を受けているのですが、どうなんですかねぇ? 実際、1972年に後楽園球場で観たEL&Pはこういうバンドでしたよ。元がFM用音源ゆえ、ポスト・プロダクションもへったくれもないわけですから、現実に沿った大変実直なライヴ・アルバムであったと思います。

ただ、アルバムも前作『Brain Salad Surgery』も本来はCD向きの作品なわけです。長尺曲の多いプログレッシヴ・ロックの作品のCD化の際には、再編集等を行い、元々はA面B面に分断されていたマスターをつなぎ合わせる作業が行われることがありますが、残念ながらこのライヴ・アルバムはそういった作業なしでCDにトランスファーされています。アナログ時代はこの『Welcome Back My Friends To The Show That Never Ends』にもフル収録されている「Karn Evil 9」が30分を超える組曲だったこともあり、アナログ盤はその片面の収録時間の限界から、表裏に分割されざるをえなかったのですが、CDはその点解消できるわけで、「Tarkus」、「Karn Evil 9」の歓声部分でのフェイド・アウトは直して欲しかったところですが・・・。元はFM用だったとすれば、わざわざLPの基準に合わせ編集してあるわけはなかったでしょうし、結局、LP制作時の2chマスターしかなかったのでしょうね。

今年は前半にキース・エマーソンがいなくなり、そしてレイクもいなくなり、淋しい限りです。闘病中にエマーソンの訃報を聞いたレイクの心中を察するといたたまれない気持ちになってしまいます。今月の1枚もやはりEL&Pにしておきたいです。時期が時期なので、グレッグ・レイクのオリジナル・クリスマス・ソング「I Believe In Father Christmas」を収録した1977年発表の『Works Vol. II』です。僕にとってはあまりに当然のことなので、本文中ではほとんど言及しませんでしたが、本当に良い声を持ったアーティストでした。こうして作品は残っていますが、その声は生ではもう聴くことができなくなったという事実はやはり、とても重いですね。心よりご冥福をお祈りいたします。少年時代から今日に至るまで何度も何度も繰り返し聴いた多くの作品を授けていただいたことに心から感謝しています。ま、この先も聴きますけどね。

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  • KING CRIMSON / IN THE COURT OF THE CRIMSON KING

    69年発表、ロック・シーンの流れを変えた歴史的デビュー作!

    ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。1969年に発表されたデビュー・アルバム『クリムゾン・キングの宮殿』は、プログレッシヴ・ロックのスタート地点となった大名盤であり、プログレッシヴ・ロックを聴くならまずはこのアルバムからと断言できる作品です。メンバーはギタリストRobert Fripp、ベース・ヴォーカリストGreg Lake、ドラマーMichael Giles、管楽器に加えて鍵盤楽器(メロトロン)も担当するIan McDonald、そして作詞家Peter Sinfieldという布陣。「21世紀のスキッツォイド・マン」のオープニングから緊張感のある変拍子アンサンブルやユニゾン・フレーズが畳み掛け、「風に語りて」では牧歌的でありながら浮世離れした音世界を構築。“混沌こそ我が墓碑銘”の一節があまりに有名な「エピタフ (墓碑銘)」と、同じくリリックの幻想美に酔いしれる「ムーンチャイルド」を経て、メロトロンの洪水に溺れるシンフォニックな最終曲「クリムゾン・キングの宮殿」へ。“THE BEATLESの『Abbey Road』をチャート・トップから陥落させた”というエピソードの真偽はともかくとして、プログレッシヴ・ロック時代の幕開けを告げる衝撃的な作品であることは間違いありません。『クリムゾン・キングの宮殿』に触れずにプログレッシヴ・ロックを語ることは、まず不可能でしょう。

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