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「音楽歳時記」 第四十五回 10月23日 電信電話記念日 文・深民淳

 さて、去年は何をやったかな?とあやふやな記憶を辿ると、多分、鉄道の日だったと思い出しました。それ以外で探すと・・・。10月23日電信電話記念日というのがありました。1869年(明治2年)10月23日(これは新暦の日付で当時使用されていた旧暦では9月19日)東京・横浜間に電信線の架設工事に着手したことを記念して1950年(昭和25年)5月に当時の電気通信省が制定した記念日です。工事は翌年1月に終了したそうです。


 スマホ全盛の今となっては個人との連絡は電話ばかりでなく様々な選択肢があります。個人がスマホ等を持つのはほとんど当たり前の世の中になった今から見ると過去に作られた電話やそれによる会話をモチーフにした曲の歌詞の中には、子供の時から携帯を使っていた若い世代の人には意味不明なものも多数あるのではないでしょうか?

 僕がそれを感じたのが、ある日昼食を取っている店の有線で流れたいたこの曲でした。ルパート・ホルムズが1979年に発表した『Partner In Crime』収録の「Answering Machine」。固定電話の時代に使われていた留守番電話でのカップルのすれ違いを歌ったものなのですが、まぁ、今の人には「???」な歌でしょう。
 今でも固定電話はありますし、留守番電話機能は標準装備と言ってもよく、現在も使われているのですが、今は個人と個人がダイレクトでコミュニケーション取れる時代ですから、スマホや携帯などなかった時代のゆったりとした恋愛事情など、「何それ?」といった感じになってしまいそうです。


 歌詞の内容はこんな感じです。ガールフレンドと結婚したい男が、夜寝る前に気分が高揚し、今すぐ求婚したいと彼女に電話すると、留守番電話。メッセージを30秒以内にどうぞというアナウンスの後、思いの丈を留守番電話に吹き込む。言うだけ言ったらすっきりしたのか、男は飼い猫の餌のドッグ・フードを切らしているのを思い出し、買い物のため外出。3分後、彼からのメッセージを聞いた女が彼に電話するも買い物に出ているのでこちらも留守電。突然の求婚に動転した女もメッセージを残すが動転しているので、要領を得ず、ようやく私の答えはと言った瞬間に録音終了のピーという信号音がなり結局、彼女の答えは分からずというコメディ仕立てになっています。
 当然英語で歌われていますが、繰り返されるコーラス部分が、留守番電話の固定メッセージなっており、世界中どこでも、この留守電の固定メッセージって同じなんだなぁ、と当たり前のことに妙に感心したりしました。どこかニール・サイモンの戯曲にでもでてきそうな話ですね。

 この曲が入った『Partner In Crime』からは全米No.1ヒットとなった「Escape (The Pina Colada Song)」、そしてその後を受けシングル・カットされこれも大ヒットとなった「Him」を収録していることからAOR名作選にもよく選ばれるヒット・アルバムとなりました。

Answering Machine

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 ホルムズはアーティストとしてAOR系ヒット・アルバムを連発する一方、プロデューサーとしてもいくつかのアーティストを手がけています。ずいぶん前に書いた英国の女性シンガー、リンジー・ディ・ポールが1979年に発表した『Tigers And Fireflies』は彼女の全アルバム中、キラキラ・ポップ度は一番高く、このサウンドの陰にはホルムズの貢献が欠かせなかったと思いますし、ヒットはしなかったもののSparksの『Big Beat』もホルムズとSparksメイル兄弟の角度の違うポップ感覚が妙な化学反応起こし忘れられない作品となりました。

 そんな彼のプロデュース作で最もハマったと思われるのが、彼のサウンド作りのパートナーとして活躍していたジェフリー・レッサーと組んでプロデュースしたSailorの2ndアルバム『Trouble』でしょう。「Girls, Girls, Girls」(全英シングル・チャート7位)、「A Glass Of Champagne」(全英シングル・チャート2位)という彼らの最大のヒット曲2曲を含む出世作となりました。UKレーベル時代の初期10CCに端を発する、UKポップ・ロックの流れ組んだ音楽性にバンド名通り、世界の海を股に掛ける船乗りに扮し、エキゾチックな異国情緒や哀感を盛り込み、他の同型バンドとの差別化を図っていた、コンセプトのしっかりしたバンドでした。
 デビューした時のプレス・リリースには元水夫あがりのバンドでパリのカフェ、La Matelot(船乗り)最後のハウスバンドとして活動していたという、フェイク・プロフィールを掲載し、インタビュー等でもなりきりで答え、サウンドもそれをしっかりと反映したものでした。

 レッサー&ホルムズ・コンビがプロデュースしたこの『Trouble』は2曲のビッグ・ヒット効果もあり、彼らのもっとも成功した作品となりました。民族楽器の使用による南米系音楽のテイストの導入、マリンバやアコーディオンまで取り入れ、まさに世界中の港町を旅してきた船乗りが作った音楽のコンセプト通りの音楽性を確立。

 また、このバンド、ニッケルオデオンなる聞きなれない楽器を使っていたのですが、これ、メンバー手作りのトンデモ楽器だったそうで、なんでも2台のアップライト・ピアノを背中合わせに合体し、ピアノの鍵盤操作とARPシンセサイザーやオルガンをメカニカル的に連動させユニゾン演奏を可能にしていたと言います。実際彼らのライヴでは使用されていたそうですが、よく考えれば、ピアノとシンセ等を鍵盤操作でユニゾンさせるなら他にも方法はあるわけで、この点でもSailorは思い切りハッタリをかましていたわけです。

 ケレン味たっぷりでエキゾチックなハッタリ・サウンドに時折顔を出す哀愁のメロディが魅力の彼らのサウンドをより煌びやかなものにし、一方で黄昏感漂うメランコリー・ムードも実現できた背景にはレッサー&ホルムズのプロデュースも大きく貢献していたことは間違いないでしょう。

A Glass Of Champagne

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 電話にまつわる曲はさすがに多く、おぢさんは正直に白状すると電話にまつわると括った瞬間に真っ先に頭に浮かんでしまったのは、フィンガー・ファイヴだった。カッコつけずに言っておこう。いきなり出てきたのはこれだった。思いっきり年代物ではあるが、流行ったもんなぁ、あれ。

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