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「音楽歳時記」第七回: 8月 夏休みの音楽? 文・深民淳

現在、MR. BIGのエリック・マーティンのアコースティック・ツアー、ERIC MARTIN OVER JAPANでツアー中です。今回の原稿は、福岡で書いています。石巻からスタートしたツアーは、札幌、東京を経て九州ラウンドに入っています。この原稿がアップされる17日金曜日には熊本で公演を行い、その後、19日(日曜)は大阪サンケイホールブリーゼ(17:00スタート)、20日(月曜)名古屋ダイアモンド・ホール公演となっています。同じくMR. BIGのドラマー、パット・トーピー、オーストラリア人のブルース・ギタリスト兼シンガーのジョン・マクナマラからなるトリオ編成で、MR. BIGとはひと味違った良い感じのショウになっておりますので、この手のサウンドが好物という方は、ぜひ遊びにきてください。大阪、名古屋共に当日券あります。

MR. BIGのショウではポール・ギルバートがいるので、アコースティック・セットでも軽く流した感じのギターを弾いているエリックですが、今回は主役ということもあり、アコースティック・ギターをかなりいい感じでかき鳴らしているのですが、いやぁ、力が入りすぎて、弦が切れること切れること・・・。10月発売予定の作品のために、僕はビデオ撮影をしているのですが、弦が切れると突然、ギター・テクにならなければならないため、ビデオ撮影を中断して、弦の交換に走るという、最小人数で回るライブハウス・ツアーならではのてんてこ舞い状態が続いています。(写真は7月14日の東京・赤坂BLITZ公演のものです)

さて、いよいよ夏本番。8月といえば、夏休み。今回は夏休みにちなんだ作品をピックアップしてまいりましょう!

まずは、夏を代表する果物(だよね、野菜じゃないよね)スイカです。個人的にはあの食感がいやで絶対食べないのですが、夏の暑さを乗り切る上で高い効果が期待される、カリウムが果肉や種に多く含まれ疲労回復、利尿作用があり、夏バテに効果がある食材と言われており、天然のポカリスエットとも言われておりますが、天ぷらと食べ合わせが悪かったように記憶しています。アニメ『けいおん!!』(『けいおん!!』は!マークの数で第一シーズンか第二シーズンかわかるようになってます。どうでも良い話ですが・・・)で唯ちゃんが残り物の天ぷらの後スイカを食べてしまうエピソードがあったと記憶していますが、すいません、旅先故確認ができておりません。

さて、スイカで僕が真っ先に思い出すのが、TEN YEARS AFTERの「I’m Going Home」。みなさん、???って感じですよね。故アルヴィン・リー率いるTEN YEARS AFTERの代表曲であり、当時のライヴでは必ず演奏された超有名曲です。初出は彼らの2ndアルバムで初のライヴ・アルバムとなった『Undead』に収録されている他、1973年発表のバンドにとって2作目のライヴ・アルバムとなった『Recorded Live』にも収録されています。

最初の『Undead』はライヴ=生きている、なのでUndeadというほとんど親父ギャグに近いタイトルのつけ方がちょっと寒い感じですが、’60年代末のブルース・ロックの流れの中で登場し、あまたのライバル・バンドとの差別化をはかるため、アルヴィン・リーの当時としてはかなり高速だった速弾きを全面に打ち出し、ジャジィなエッセンスも取り込んだそのサウンドの質は高く、小さなクラブを吹き飛ばさんばかりのエネルギーの放射は、エリック・クラプトン時代のYARDBIRDSの『Five Live Yardbirds』と共に当時のブルース・ロック・シーンの盛り上がりを記録した貴重なドキュメンタリーと言っても過言ではないと思います。

一方、’73年の『Recorded Live』のほうは、大きな成功を収め、アリーナ・バンドへと成長した彼らの姿を収めた作品ですが、発売当時はあまり評判がよろしくなく、輸入盤店などでダンピング価格で売られていた記憶がありますが、『Undead』と比べるとぐっと重たく重心が低く、ハードロック然とした演奏に変化しています。僕は中学生だった当時、PROCOL HARUMとのクリサリス・レーベル発足ジョイント・ツアー(アルバム『Space In Time』の頃)も『Rock & Roll Music To The World』(みんなから「エ〜?」って言われるんですが僕はこのアルバムがTYAで一番好きですね)発表後の1973年5月の単独公演、どちらも観ているせいか、こちらのライヴ・アルバムの方に親しみを覚えます。

さて、なぜこれがスイカつながりかと言いますと、ほら映画「Woodstock」の中で、アルヴィン・リーがスイカ抱えて帰っていくシーンがあったでしょ。

続いてのスイカつながりはエルヴィン・ビショップのキャプリコーン・レーベル移籍第一弾アルバム『Let It Flow』(1974年)です。ポール・バターフィールドのバンドを脱退後、ビル・グラハムのフィルモア・レーベルから1969年にエルヴィン・ビショップ・グループとしてデビューし、翌’70年に2nd『Feel It』を発表しますが、ソロとしてのキャリアの花が開くのはこのキャプリコーン時代と言って良いでしょう。日本でもサザン・ロックとレイド・バック・サウンドの波に乗り、結構注目を集めた作品でした。で、このアルバムの収録曲の中に「Stealin’ Watermelons」という曲があります。要するにスイカ泥棒ですね。(Watermelonsってなっていますから、おっぱいと引っ掛けているのかもしれませんね)サザン・ロック・テイストを強く打ち出し、ファンク、C&W、ゴスペルのおいしいところを随所にちりばめたコシのあるサウンドとエルヴィンのちょっと鼻にかかったすっとぼけたヴォーカルが実に良い味を醸し出しています。この『Let It Flow』も良いアルバムですが、この人で一枚と言われたら、僕は翌’75年発表の『Juke Joint Jump』をお薦めします。サザン・ファンク・ロックの大名盤!冒頭のタイトル曲のローリングとピッチングが同時に押し寄せる至福のドライヴ感で一気に持っていかれ、最後までツルッと楽しめます。ビールのお供にいかがでしょうか?

スイカ編の最後は先頃惜しまれつつ亡くなった、ブルース界の巨人B.B.キングが1970年にABCから発表した『Indianola Mississippi Seeds』。ずばりアートワークがスイカ・ギターです。マディ・ウォーターズらブルース界の大御所が次々とロック色の強いアルバムを発表していた時代の作品だけあって、このアルバムもかなりロック寄りのサウンドになっています。

スイカと言えば浜辺のスイカ割り・・・というわけで次は海水浴、水泳にまいりましょう。まずはアメリカン・ハード・ロックを語る上で絶対にはずせないCACTUSのデビュー・アルバム『Cactus』(1970年)。夕日をバックにピンと屹立するサボテンとその根元には丸いものが・・・。完全におちんちんと玉ですね。確信犯です。アメリカン・ハードが好きにも関わらずこれを聴いたことがないとしたら、今すぐ買ってください。マストアイテムです。で、海水浴つながりですが、収録曲に「Let Me Swim」という曲があります。直訳すれば「泳がせてちょ」ってことなんですが、まぁ、大人の皆さんならお判りのように、「Honey、君の海で泳がせてくれ」っていうのは、要は「一発やらせて」という、エロ歌詞なわけです。ハイスピードのブギー・サウンドの上を縦横無尽に飛び回るティム・ボガートのベース、ハード・ロックのための声質はこれしかないだろうといわんばかりの故ラスティ・デイの驚異のヴォーカル。暑い夏が益々暑苦しくなること必至の灼熱のハード・ロックが堪能できます。

この「Let Me Swim」、タイトルが「Swim」に変わっていますが、ライヴ・ヴァージョンもあります。ラスティ・デイとオリジナル・ギタリストのジム・マッカーティが脱退し、ラスティの代わりに元LEAF HOUND、ATOMIC ROOSTERのピーター・フレンチが加入した第二期CACTUSの唯一作で4thアルバムにあたるライヴとスタジオ録音が半分ずつ収録された『’Ot ‘N’ Sweaty/ 汗と熱気』にも収録されています。

夏休みといえば、僕の子供の頃は昆虫採集に明け暮れたものですが、昆虫採集といえばやはり王道はクワガタとカブトムシ。クワガタムシといえば、やはり黒人ブルース・ピアニスト、オーティス・スパンの『The Biggest Thing Since Colossus』(1969年)でしょう。マイク・ヴァーノンのブルー・ホライズン・レーベルから発表された作品で、FLEETWOOD MACがシカゴのチェス・スタジオで黒人ブルースメンとの共演を果たした『Blues Jam At Chess』にも参加したスパンのレコーディングにお返しとしてピーター・グリーン、ダニー・カーワン、ジョン・マクビーがサポートした作品で、ブリティッシュ・ロック・ファンから高い人気を得ているブルース・アルバムです。ただ、これってCD化されていないかもしれません。

王道を行く昆虫採集に対し、2学期が始まり夏休みの自由研究提出でこれを出した日には、担任の女性教師の教室中に響き渡る絶叫が聞こえてきそうな邪道な昆虫標本というのもあります。ハエとか蜂とか蟻とかばかりの標本・・・ちょっと不気味ですよね。はい、そうです。故シド・バレットの2ndアルバム『Barrett』(1970年)です。まぁ、このアートワークは絵なんですが、ちょっと不気味です。アルバムとしての人気、評価という点では1st『The Madcap Laughs』(1970年)に軍配が上がりますが、全英TOP40に入るヒット作となった1stから間髪置かずにPINK FLOYDの後任ギタリスト、デイヴ・ギルモアをプロデューサーに起用し、同じくPINK FLOYDのキーボード奏者故リック・ライトらの協力のもと制作されたこの2ndの静かにぶっ壊れていく精神のスケッチも捨てがたいものがあります。夏の日差しに思わずクラっとする感覚に近いものを感じます。

昆虫採集ではありませんが、夏の風物詩して、ホタル狩りなんていうのもありますね。ホタルというと最初に思い浮かぶのはそのものズバリ、URIAH HEEPの『Firefly』。アメリカでは1976年暮れ、本国イギリスでは1977年に発表された、オリジナル・ヴォーカリスト、デイヴィッド・バイロンが脱退し、LUCIFER’S FRIENDのジョン・ロートンが後任として参加した最初の作品です。当時は、妙に湿り気を帯びたメロディラインがあまり好きではなかったのですが、最近聴き直しアルバム全体の整合感は曲の出来にバラツキがあるバイロン時代後期の『Return To Fantasy』、『High & Mighty』あたりよりもしっかりとしており、個人的にはよく聴くアルバムになっています。ただ、鉄板の名作『Look At Yourself』の頃のような怒濤の勢いはなく粒は小さいのですが・・・。

クワガタ、ホタルとくると次はトンボでしょうか。トンボに関してはアートワークの表を見ただけでは判らないのですが、WARのハーモニカ奏者リー・オスカーのソロ・デビュー作『Lee Oscar』(1976年)なんていうのもあります。’70年代のファンク・ロックのパイオニア的存在だったWARの中にメローな感覚を持ち込んでいたオスカーのハーモニカをフィーチュアした哀愁を帯びたメローなフュージョン・アルバムで3パートからなる「I Remember Home (A Peasant’s Symphony)」は夏の夕暮れ、夕立が過ぎた後に吹く涼風のような音楽といったイメージでしょうか、時々無性に聴きたくなる作品です。ただ、CDはずっと廃盤になったままで、中古もあまり出回らないのが痛いんですけどね。

トンボで忘れてはならないのがTHE STRAWBS名義の2ndアルバム『Dragonfly』(1970年)です。次作のライヴ・アルバム『Just A Collection Of Antiques And Curios』(1970年)、『From The Witchwood』(1971年)でリック・ウェイクマンが参加したことでロック度、プログレ度が高くなり、プログレ・フォーク路線を突き進む前夜といった雰囲気を持つ作品でサイケデリック色を残しながらもストリング・セクションを導入したクラシカルなナンバーも点在する愛すべき小品といった雰囲気が魅力の一枚です。

さて、恒例、今月の1枚ですが、今回はせっかくツアー中なので、エリック・マーティン御一行様にも、夏休みで思い浮かぶ曲を挙げてもらいました。まずエリック・マーティンはブライアン・アダムスの「Summer Of ‘69」。アルバム『Reckless』収録のナンバーです。エリックはこの曲が本当に好きですね。2014年のMR. BIGのジャパン・ツアーでもこの曲がショウの開始のキューになっていました。「夏休みねぇ・・・あ、LOVIN’ SPOONFULLのSummer In The Cityなんていうのも思い浮かぶなぁ、あとは・・・MUNGO JERRYのIn The Summertime(この曲は同行しているギタリストのジョンも挙げていました。またジョンはオーストラリアの人なので「僕らはクリスマス時期が夏なんだよね」とのことでした)」。パット・トーピーは「Sly & The Family StoneのHot Fun In The Summertimeだね」とのこと。あと意外だったのはエリックもパットもCHICAGOの『Chicago V』収録の「Saturday In The Park」を挙げていたこと。僕らの感覚からすると夏休みの曲という感じはしないのですが、7月4日の独立記念日の風景を歌ったこの曲、アメリカ人にとってはそういうイメージらしいです。

その時のエリックとパットとジョンの会話はこちら!


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