プログレッシヴ・ロックの中古CD豊富!プログレ、世界のニッチ&ディープな60s/70sロック専門ネットCDショップ!

プログレ、60s/70sロックCDのネット通販/買取

24時間以内発送(土・日・祝は翌営業日)、6,000円以上送料無料

「音楽歳時記」第五回: 6月 ブラス・ロック選集 文・深民淳

先月のコラムのWebマガ掲載時に使われていた写真の話から。ABBAの写真、今見ると結構凄いことになっていますね。このセンスに対抗できるのはこの時代だと、SLADEのデイヴ・ヒルくらいでしょう。(さぁ、デイヴ・ヒルのナイスな写真は掲載されるでしょうか?)

本日は5月12日(火)。まだ5月だというのに台風6号が日本列島を北上中で、湿った風が徐々に強まってきました。さて、6月といえばやはり入梅。全国的に湿度が急上昇し、夏の気配が強くなってくる時期。

毎年、ちょうどこの時期になると南から暖性で湿った空気を持つ太平洋高気圧が張り出してきて、北からは寒性のオホーツク高気圧が日本列島の上でぶつかり湿った暖かい空気が急激に冷やされることで梅雨前線が発生し停滞することにより日本列島に雨をもたらすということは、TVなどで気象予報士が毎度解説しているので今更説明するまでもないかと思います。

アナログ・コレクターは湿度を極端に嫌う傾向がありますが、CD、DVD等も例外ではなく、高温多湿の部屋等で保管されているメディアは、まず、紙素材のものから始まり、最後はCD、DVD本体までカビの被害を受けます。嫌な季節ですね。まったく。

今回はそんな梅雨時をさらにうっとおしくする、ブラス・ロック選集でいきましょう。

さて、アメリカのブラス・ロックといえば、最初に頭に浮かぶのがCHICAGOとBLOOD, SWEAT & TEARS(以下BST)。特に後者は本国アメリカのみならず、ヨーロッパ、日本のロック・バンドにも多大なる影響を与えました。BSTの出発点はアル・クーパーが白人も黒人もなくアメリカの大衆音楽の歴史を俯瞰し、その要素を取り入れ新たな音楽創造に挑んだところにあり、音楽監督クーパーが高い演奏技術をもったミュージシャンを集めて結成したバンドだったわけですが、当の本人が1stアルバム『Child Is Father To The Man』を作っただけでランディ・ブレッカーらとともに脱退。残されたメンバーはローラ・ニーロをヴォーカリストとして迎え再出発をしようとするも、これはうまく行かず、カナダ人のデイヴィッド・クレイトン・トーマス(以下DCトーマス)が加入。重厚なブラス・セクションすら凌駕する驚異的なパワフル・シャウターを迎えた1969年の2ndアルバム『Blood, Sweat & Tears』は大ヒットを記録します。元々、演奏能力、音楽理論共にトップクラスの音大卒のプレイヤーを集めたバンド故、今聴いても十分尖ったアレンジが堪能できるくらいですから、発売当時のインパクトは相当強かったのでしょう。この作品が特にミュージシャンに与えた影響は計り知れないものがあったのです。ブラス・ロックという括りから離れてもこの時代を代表するロック・アルバムとして認知されていますので、ほとんどの人が聴いたことがあるとは思いますが、未聴の方にはこの時代のブラス・ロックの基本形としてお薦めします。

一方、BSTと違い、CHICAGOは同じブラス・ロックでもメンバー個人のキャラクターに負うところが多かったバンドだったと思います。ロバート・ラム、テリー・キャス、ピーター・セテラのキャラクターは個性的かつ圧倒的で、BSTと違いメンバー集めれば、というものではなかったように思います。同じ大学コミューンの中から生まれたバンドを前身としているため、政治的なメッセージも強く打ち出したこと、テリー・キャスというロック度の異常に高いギタリストを擁したことでBSTよりも遥かにロックよりのサウンドでした。BSTに比べなりきりバンドが少なかったCHICAGOですが、解放感のあるコード進行等は後に出てくるブラス・ロック・バンドにも大きな影響を与えています。

日本においては、BSTを聴いても「なんか、ジャズっぽいよねぇ」とか言っていたロック一辺倒だった少年たちを一発で改心させた偉大なバンドでもありました。ブラス・ロック然としたCHICAGOは1stから『Chicago V』(よくIVがないじゃん、という人がいますが、IVは『Chicago Live At Carnegie Hall』ですから・・・)までどこを聴いても堪能できますが、個人的には1stを押します。1曲目の「Introduction」から4曲目の「Question 67 and 68」までの流れはまさに黄金の時と呼ぶにふさわしい輝きを今も放っていますし、筆者はこのアルバムに収められた7分近くにもなるギター・ソロ「Free Form Guitar」でテリー・キャスに対する強いシンパシーを抱き今日に至っています。

ブラス・ロックの暑苦しいイメージというのは、管楽器がどうのこうのではなく、実は、DCトーマスの野太くパワフルなヴォーカルに起因するところが大きいのではないかと思います。それだけBSTのセカンド・アルバムが世界中のミュージシャンに大きな影響を与えたということなのでしょうし、DCトーマスと重厚なブラス・セクションというセールス・ポイントが明確でかつミュージシャンから普通の音楽ファンまでこの両者が鉄板の取り合わせであると納得させてしまった、というのが大きかったと思います。また、ミュージシャンにとってみれば、ミュージシャンのキャラに負うところの大きいCHICAGOに比べ、BSTは手本にして自分たちの手で再現、アレンジがし易かったという点が大きく影響しているのではないでしょうか。ただ、BSTの取り合わせの妙はこれ以上ないはまり具合を見せていたため、世界中のホーン・プレイヤーに「これやってみたい!」と思わせたが故に、ほとんどの人が男性的な太い声のヴォーカリストを探してしまった、というところにブラス・ロックの発展性を妨げた要因があるように感じます。つまり、木に例えるなら幹の部分は太く立派に育ったものの、枝葉の発育はそうでもなかった、というイメージです。結局、フォークにしろブルース・ベースのロックにしろ、差別化を求め枝葉がどんどん生まれ成長していったから、音楽を聴く冒険が楽しくなり、そこを探求しようとする音楽ファンが生まれ、僕なんかがこうしてコラムを書かせてもらっているわけですが、ブラス・ロックは枝葉の部分という選択肢はちょっと少ないようにも思います。実際、BSTもDCトーマス脱退後はフュージョン色が強くなっていきますし、時代的にもファンクやフュージョンに吸収されていく宿命にあったこともブームが短命に終わった原因となったように思います。

BST、CHICAGO以降に登場したバンドで印象に残っているバンドとしては、CHASEがあります。CHASEはウディ・ハーマンのバンドに在籍していたビル・チェイスが結成したブラス・セクションがトランペット4管(最大時5管)という、ブラス・ロックに於いてもかなり特異な編成のバンドでした。高音に特化し、かなりトリッキーなプレイも可能なトランペットの特性を活かし、シングル・ヒットとなった「Get it On/ 黒い炎」が日本でも大ヒットした経緯もあり、同曲が収録された1stアルバムは今も人気が高いですが、ここでは3rdアルバム『Pure Music/ 復活』(1974年)を取り上げます。

最近、歳を取ったせいか、CDやレコードをボ〜っと聴いているとよく「今、何を聴いているんだっけ?」と自分でかけておきながら、何を聴いているかわかなくなって必死で思い出すということが頻繁にあるのですが、このCHASEの3rdを聴いている時も「何をかけているんだっけ? なんか後期NUCLEUSみたいな音なんだけど、これ、イギリス人がやった音楽じゃないなぁ?」とジャケットを見てようやく「あぁ、CHASEの3rdアルバムだったか・・・」ということがあったわけです。(バカだねぇ・・・)

歌入りの曲は従来のCHASEのイメージを引きずっているのですが、インスト・パートになるとかなり緻密なジャズ・ロック・サウンドを展開しており、明らかに前2作とは異なるアプローチを見せています。残念なことに本作発表後、ビル・チェイスはツアー中に飛行機事故で他界してしまい、この後の発展を体験することはできなくなるのですが、久々にこの3rdアルバムを聴いて、聴き直しの楽しさや、昔聴いたときとは異なる印象を受ける面白さを痛感しました。NUCLEUSもトランペットのイアン・カーがリーダーのバンドですが、カーはマイルス・デイヴィス研究でも知られるプレイヤー。大衆に売れるビッグ・バンドを目指したウディ・ハーマンの楽団で修行を積み、高音部を活かしたトリッキーなプレイがメイナード・ファーガソンらと比較されることもあったビル・チェイスのキャラクターとは異なりますが、両者のサウンドに意外な共通項を見つけてしまったことは興味深い体験でした。

一方、海の向こうのイギリスでもブラス・ロックの影響を受けちゃったミュージシャンが多数いて、多くのブラス・ロック・バンドが登場しました。そんな中でも暑苦しさピカイチなのがCBSからデビューしたHEAVENの『Brass Rock 1』でしょう。サウンド的にもBSTの影響を強く受けていることが見て取れますし、DCトーマス並みのパワフルなヴォーカルもしっかり見つけてきました。ただ、本家と比べると妙に重たい雰囲気と、アメリカのブラス・ロックほどアレンジをガチガチにせず、どこかセッションのりのユルさが逆にブリティッシュっぽさを醸し出しています。CBSはBSTやCHICAGOが当時所属していた米COLUMBIA系列のレーベルだったため、アメリカで売れ筋のブラス・ロックを英国にも定着させようとしたのでしょう、当時のカタログの中には目先を変えてヴォーカルをジャニス・ジョプリン並みのパワフルな女性ヴォーカルに置き換えたGOLIATH、英ジャズ界を代表するギタリスト、レイ・ラッセルとアレックス・ハーヴェイが組んだROCK WORKSHOPなどもありました。



ジャズ・ロック流れというよりヘヴィなブルース・ロックの上にブラスが乗っかるDERAMのWALRUSなんていうのもあります。裏ジャケットのメンバー写真があんまりかっこ良くないのですが、ドライヴ感があるサウンドに分厚いホーン・セクションが絡み付く様は結構、耳に残ります。ただ、ヘヴィなブルース・ロックにホーンが絡むというのは、グラハム・ボンド時代から英国にいくらでもあったこともあり、新鮮味には欠けるという点はありますが・・・。

WALRUSと同じDERAMレーベルからも多くのブラス・ロック・バンドが世に出ました。ロバート・パーマーが在籍していた頃のALAN BOWN、あまりアメリカからの影響を受けず、どこかフォークやプログレのテイストが見て取れるGALLIARDはDERAM NOVAとDERAMに2枚のアルバムを残しており、どちらもCD化済みです。(因にDERAMレーベルの作品を英オリジナルで集める上で彼らの『New Dawn』は難関のひとつになっています。ドイツ盤はよく見かけますが英原盤はかなりレアですね)。また個人的にはブラス・ロックと思っていないのですが、DERAMからはKEEF HARTLEY BANDも出ていました。ブラスをキーワードとして見るとライヴ録音のためホーン・セクションを増員した1971年発表の『Little Big Band』。ホーンの活躍度は一段落ちますが、アルバムとしての完成度の高い『Time Is Near』(1970年)を挙げておきます。どちらも今なお高い人気を誇るミラー・アンダーソン在籍時の作品ですので内容は折り紙付きです。



今回の原稿を書くにあたり、家にあったCD化済みの英国産ブラス・ロックまとめ聴きで印象に残ったのが、DAWNレーベルからデビューしたTRIFLEの『First Meeting』(1971年)です。バンド全体の演奏能力も高く、アレンジもしっかりしており抜群の安定感を誇ります。特にキーボードが実に英国然としたプレイを全編で披露しており、DCトーマスの流れではなく実に英国的な突き抜けないタイプのヴォーカルを擁した点もポイントが高いのですが、ちょっと小粒なのが難点といえば難点でしょうか。

CBSやDECCA/DERAMと比べると作品数は少ないものの、70年代英国ロックを追求していく上では記憶に残るアルバムを多くリリースした英A&Mのカタログの中でもヴィジュアル的なインパクトが強いフクロウの足が人間の手に変えられたアートワークでおなじみのBRAINCHILDの『Healing Of The Lunatic Owl』も人気のアイテムです。バンド名、タイトル、アートワークから受けるイメージはモロにプログレですが、メロディの作り方が結構ポップでアメリカからの影響を感じます。スタジオ・ワークに馴れていないせいもあるのでしょう、スケール感は小さめですが、コード進行が垢抜けているし、ブラス・セクションよりフルートが活躍する場面が多く、差別化という点では成功していると思います。

鳥と人間のパーツのコラージュといえばWEBの3rdアルバム『I Spider』が続いて想起されます。このアルバムから参加した後にGREENSLADEに参加するデイヴ・ローソンがバンドを引っ張るダイナミックでダークなブラス・ロック・サウンドはアメリカからのブラス・ロックの影響をほとんど感じないオリジナリティ溢れるサウンドで、ここに挙げたバンド群の中では圧倒的にプログレ・テイストが高い1枚です。バンド名をSAMURAIに変えた実質的な4作目にあたる『Samurai』も同傾向の作品ですが、ジャズ度が若干後退し、ロック・グルーヴが全面に出た作品となっており、甲乙付け難い完成度の高いサウンドを堪能できる作品です。(って、どっちも人気盤だから説明するまでもないですね)


英国産ブラス・ロックを語る上で忘れてはならないのがIFでしょう。イギリスのブラス・ロックというキーワードからこのバンドを真っ先に思い浮かべる方も多いかと思います。英国ジャズ・シーンで活躍してきた名プレイヤー、ディック・モリシーとデイヴ・クインシーがロック時代を見据え結成したIFは男性的でファンキーなJ.W.ハドキンソンをヴォーカルに据えたことからも判るように、BSTからの影響は否定できません。ただプログレの時代であった影響、元々ソロ・アーティストとしてアルバムを出してきた名プレイヤーが在籍したバンドだけあり、インプロヴィゼイション・パートになると鬼気迫るインター・プレイの応酬が堪能できます。数多くの作品を残した人気バンドですが、やはりISLAND、UA時代の初期4作が聴き所ですが、特に4作目のライヴ・アルバム『IF 4』は演奏力の高さ、インター・プレイの質の高さに聴いていて思わず居住まいを正す至福の1枚と言えるでしょう。英国編として紹介したバンドの中では演奏力もピカイチであることを書き添えておきます。

最後に今月の一押しを。(先月は何だったかなどとバックナンバー見ないでね。今月から始めたんで・・・)今月は、ブラス・ロック英国編からMANFRED MANN CHAPTER III。アルバムは2枚残していますが、強いて挙げるなら2nd『Volume Two』。押す理由はこれぞイギリス人ならではのブラス・ロック!となります。先に挙げたWEBやSAMURAIの暗いダイナミズム、WALRUSのヘヴィなブルース・ロックにホーン・セクションを加えるというのも耳に残りますが、前者はGREENSLADEで活躍するデイヴ・ローソン在籍の人気盤。今更紹介しなくても良いだろうと。後者はこの手のバンドは昔からいたわけです。その他の概出ブリティッシュ・バンドもそれぞれ英国的な面白さはあるのですが、そのオリジンを見るとBSTに代表されるアメリカのブラス・ロックなのは明確。MANFRED MANN CHAPTER IIIは違います。KEEFが手がけた人形地獄アートワークは有名ですが、アメリカ人に同じ編成でアルバム作らせても絶対にこのサウンドは出せません。見事なまでの曇天ブラス・ロック。曇天の上に時間帯は夕暮れ、重苦しい雲がどんどん広がり、湿った風まで吹き始め、何か禍々しい気配すら感じるようなサウンドです。管の編成はオーソドックスなサックス&トランペットですが、アメリカのブラス・ロックと比べるとぐっと重心の低く重たいサウンドはかなり魅力的。ついでにマンフレッド・マン自身がアフリカのトライバル・リズムに入れ込んでいた時期なもんですから、アフリカ大陸ノリのパーカッションまで大量投入。MANFRED MANN時代はドラムだったがCHAPTER IIIではヴォーカルとピアノにコンバートしたマイク・ハグの軽く虚ろでサイケデリックの残滓を残したヴォーカルもはまっているのか、浮いているのか判断付きかねる絶妙なポジション取りも相まって、一筋縄ではいかないサウンドに仕上がっております。アメリカのブラス・ロックの影響、アフリカのトライバル・リズムの影響と、海外の影響を受ければ受けるほど、マンフレッド・マンの英国人気質が色濃く出てしまった、そんな作品です。

最後にもうひとつ。このアルバムにアフリカン・パーカッションが導入されているのを聴いて思ったのですが、URIAH HEEPの『Look At Yourself/ 対自核』収録の「July Morning/ 7月の朝」でマンフレッド・マンはモーグ・シンセのソロで参加しています。昔、何かで読んだのですが、当時ミニ・モーグを持っている人が少なく、マンフレッド・マンが持っていると言うことで、バンドはシンセだけ借りようと思ったら本人も一緒に来て弾いて帰ったらしいのですが、このアルバム、冒頭の「Look At Yourself/ 対自核」の後半部分ではOSIBISAのメンバーがパーカッションで参加しています。OSIBISAはHEEPと一緒のBRONZEレーベルからアルバムを出していたこともあるし、レーベル・オーナーでありこのアルバムのプロデューサーでもあったジェリー・ブロンが引っ張ってきたのだろうと思っていたのですが、よく考えればOSIBISAがBRONZEに移籍するのはずっと後のこと。この時期のマンフレッド・マンの嗜好を考えると、OSIBISAのゲスト参加にもマンフレッド・マンは関係しているのか?とふと考えてしまったわけです。実際はどうなんでしょうかね?

文・深民淳

あれ、僕のこと呼んだ?


「音楽歳時記」第四回: 5月 ユーロビジョン・ソング・コンテストとFOCUS 文・深民淳

【関連記事】

「音楽歳時記」第四回: 5月 ユーロビジョン・ソング・コンテストとFOCUS 文・深民淳

深民淳によるコラム「音楽歳時記」。季節の移り変わりに合わせて作品をセレクト。毎月更新です。


「音楽歳時記」第三回: 4月 花まつりとQUINTESSENCE 文・深民淳

【関連記事】

「音楽歳時記」第三回: 4月 花まつりとQUINTESSENCE 文・深民淳

深民淳によるコラム「音楽歳時記」。季節の移り変わりに合わせて作品をセレクト。毎月更新です。


「音楽歳時記」第ニ回: 3月 イースターとリンジー・ディ・ポール? 文・深民淳

【関連記事】

「音楽歳時記」第ニ回: 3月 イースターとリンジー・ディ・ポール? 文・深民淳

深民淳によるコラム「音楽歳時記」。季節の移り変わりに合わせて作品をセレクト。毎月更新です。


「音楽歳時記」第一回: 2月 ヴァレンタイン・デイとドノヴァン 文・深民淳

【関連記事】

「音楽歳時記」第一回: 2月 ヴァレンタイン・デイとドノヴァン 文・深民淳

深民淳によるコラム「音楽歳時記」。季節の移り変わりに合わせて作品をセレクト。毎月更新です。

関連カテゴリー

ブラス・ロック選集

  • SAMURAI / SAMURAI

    グリーンスレイドでお馴染みのデイヴ・ローソン率いるグループ、幻想的なジャズ・ロックを聴かせる71年の唯一作

    グリーンスレイドでお馴染みのKey/Voのデイヴ・ローソンが加入して70年に3rd『I SPIDER』を発表したバンドWEBがそのまま発展したバンドがSAMURAI。彼らの71年唯一作が本作です。管楽器奏者を含む7人編成で、淡いトーンのオルガン、角の取れたマイルドなファズギター、叙情的にむせぶサックスやたゆたうビブラフォンが織りなす幻想美溢れるサイケデリック&ジャジーなブリティッシュ・ロックが印象的です。引き締まったドラムやゴリゴリとアグレッシヴなベースなどタイトなリズム、そしてデイヴ・ローソンによる英国的な優美な歌声も特筆。KHANあたりと並ぶR&Bからサイケを通過したジャズ・ロックへとたどり着いた英国ロックの逸品です。

  • GOLIATH / GOLIATH

    唾吐きフルートとアグレッシヴな女性Voが特徴的なブリティッシュ・ロック、70年唯一作

    70年リリースの唯一作。唾吐きフルートを中心に終始畳み掛けるアンサンブルと、紅一点LINDA ROTHWELLによる線は細くもアグレッシヴなヴォーカルが印象的なブリティッシュ・ロック。スピーディーな楽曲でも、どこか気だるさが感じられるところはいかにも70年英国ロック。

  • KEEF HARTLEY BAND / TIME IS NEAR

    ジョン・メイオール率いるブルースブレイカーズを経て、キーフ・ハートレイが結成したグループ、70年作3rd

    ジョン・メイオール率いるブルースブレイカーズを経て、キーフ・ハートレイが結成したグループ。70年にデラムよりリリースされた3rd。前作からヘンリー・ローザーが正式メンバーとなり、彼を中心とするホーン・セクションをフィーチャーした淡いブラス/ブルース・ロックへと方向を移しましたが、本作もその延長線上にあるサウンドを聴かせています。特筆なのは、ミラー・アンダーソンがほとんどの作曲をしていること。彼がつむぐ英国叙情に溢れた流麗なメロディに、淡くブラスがからむ落ち着いたトーンの楽曲がじんわりと胸に染みます。シンガー&ギタリストとしていぶし銀の才能をみせていたミラーがソングライターとしても覚醒。彼の才能と、バックの英ロック・シーンきっての猛者たちによる味わい深いアンサンブルとがからみ合った極上の一枚。英ロック屈指の傑作です。

  • GALLIARD / NEW DAWN

    英国的な叙情性溢れるブラス・ロックの名盤、70年作

    70年にDERAMレーベルよりリリースされた2ndアルバム。基本的には前作の延長線上にあるサウンドですが、ブラス・ロック的な楽曲ではよりタイトに、アコースティックな楽曲ではよりメロウに、各楽曲毎の色が明確になった印象です。シタール、フルート、アコーディオンなどの使用で、アレンジも多彩になっています。シタールとフルートがメロウな旋律を奏でる2曲目は、英国フォーク・ロック・ファン必聴の名曲!

コメントをシェアしよう!

あわせて読みたい記事

中古CD買取案内

カケレコ洋楽ロック支店

新着記事

もっと見る

プロのライター&ミュージシャンによるコラム好評連載中!

文・市川哲史

文・深民淳

文・舩曳将仁

文・netherland dwarf

人気記事ランキング

* RSS FEED

ロック探求特集

図表や代表作品のジュークボックスなどを織り交ぜ、ジャンル毎の魅力に迫ります。