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イタリアン・ロック特集

イタリアン・ロック特集

【第一章】イタリアン・ロックを産んだ土壌 〜 イタリアン・バロックのDNA

  • 『皆さん、こんにちは。芹沢聡一郎です。カケレコ2011年最初の特集は、【もう一つのロック・メインストリーム。イタリアン・ロック特集】です。』
  • 『 芹沢さん!とうとう世界第一級の音楽の楽園、イタリアン・ロックの特集ですね!イタリアのロックって、何かもの凄くクセがあって。鬼気迫るほどエネルギッシュだったり、とてつもなく切なかったり。とにかく情熱的でパワフルですよね!でも…。なんか楽曲の構成が難しかったり、コンセプトが哲学的だったり宗教がかったりで複雑で…。何が何だか分からないで、パワーだけに圧倒されてしまってたんですよね〜。』
  • 『うん。イタリアン・ロックの素晴らしさは、ただ耳を傾けるだけでも一聴瞭然だけど。その音楽の素晴らしさの秘密を紐解くために、今回は歴史を遥かにさかのぼり、芸術と文化の中心地、全ヨーロッパの揺りかごとしてのイタリア、という視点から話を初めて行くよ。』
  • 『なるほど!まず僕が知ってるイタリアの歴史って言うと。やっぱり、ローマ帝国ですね!「全ての道はローマに通ず」って言いますもんね! 』
  • 『そうだね。まず古代ローマ帝国は、文化と政治の一大中心地として栄え、キリスト教(ローマ・カトリック)を国教としてからは、宗教と音楽の一大発信地としても、名実ともに西洋文明の震源地だったんだよね。』
  • 『キリスト教の中心地っていうのは分かりましたけど。どうして音楽の分野でも一大発信地って事になったんですか?』
  • 『いい質問だね。現在あるクラシック音楽の源は、元来このキリスト教の宗教音楽に端を発しているんだよ。唯一の絶対神への畏怖と憧憬の念を、「歌とも呪文ともつかない空中を漂う響き」、つまりは「神の言葉」を体現する目的で「聖歌」と言うものに昇華して行くんだ。その最も原初のスタイルとして、上の表にある「グレゴリオ聖歌」が挙げられるよ。』
  • 『う〜ん、なるほど!で、その「神の言葉としての音楽」が、ルネッサンス時代には一気に「人間中心(神からの開放)」って言う方向に向かうんですね!」
  • 『そうなんだ。これは音楽に限らず、当時のイタリアの芸術文化全般に言える流れでもあるんだけど。このルネッサンスを新たな起点として、イタリアの音楽(=西欧音楽)は「響きの調和」から「劇的な抑揚」へと向かうんだ。それが次の章で詳しく紹介する、「バロック音楽」だよ。20世紀に花開いた、イタリアン・ロックの面々も、この「音楽がドラマに!」なった時代の表現精神を脈々と受け継いでいるんだよ。』
  • 『凄い!イタリアのロックって、こんなに長い音楽の歴史と地続きなんですね!連綿と受け継がれたスピリッツの上に成り立っているイタリアン・ロック!それでは、皆さん!いよいよ次の章からは、多彩なイタリアン・ロック達が続々登場です!』

【第二章】代表的なグループに息づくイタリアン・ロックを特徴付ける3つのエッセンス

1. イタリアン・バロックのダイナミズム 〜 歴史ある西洋音楽史の中心

イタリアン・ロックを語る上で、避けては通れないその音楽的基盤の一つに、「バロック音楽」があります。バロック音楽とは、17世紀初頭から18世紀半ばまでヨーロッパを席巻していた音楽の総称。その語源はポルトガル語で「いびつな真珠」を意味する言葉であったとされ、20世紀ドイツの音楽学者、クルト・ザックスの著書によると、バロック音楽とは「彫刻や絵画等と同じように速度や強弱、音色などに対比があり、劇的な感情の表出を特徴とした音楽」とあります。

それまでの声部の模倣や不協和音の使用に強い制限があったルネサンス音楽とは対照的に、バロックはその人間本来のパトス(苦悩をも包含した感情の発露)を表す行為を恥とせず、その内面からわき起こる感情のダイナミズムを、あらゆる「対立項」によって誇張し、力強く表現する方向へ突き進んで行きます。

多数の声部の競い合いによるポリフォニー。コンチェルティーノと呼ばれる独奏群とリピエーノと呼ばれるオーケストラとの対比。緩さと性急さ。テンポの交代によるアクセント。強引に畳み掛ける大胆な転調…。まるでイタリアの強烈な太陽が生み出す光のコントラストにも例えられる、そのような力強い対比こそ、イタリア人の血統とも言うべき壮大なバロック・ドラマの音楽世界であり、イタリアン・ロックの中に脈々と受け継がれている熱き血潮なのです。

イタリアン・バロックのダイナミズム 〜 歴史ある西洋音楽史の中心

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マンティコア・レーベルからの世界デビュー作のオープニング・ナンバー。イタリアの太陽が生み出す『陽』と『陰』のコントラストのようにドラマティック&ダイナミックな名曲。この鮮やかな構成には、綿々たる西洋音楽史の伝統が息づいています。

BANCO

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バロックと言えばオペラ。オペラと言えばバンコのVo、ジャコモ!緩急にダイナミックな構成、大げさなほどの劇的さはバロックのDNA。この爆発的なエネルギーはイタリアならでは!

NEW TROLLS

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ルイス・エンリケ・バカロフがオーケストラ・アレンジした傑作『コンチェルト・グロッソ』より。優雅なストリングスと感情ほとばしる熱いギターとのコントラスト。この鮮やかな対比から生まれる激情こそバロックのDNA。

LATTE E MIELE

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バッハで有名な『受難劇』をモチーフにした組曲形式の壮大な1stより。「緩」から「急」への唐突なスイッチ。アコースティックな美しい前半部とギターが感情を剥き出しにする後半部との鮮やかな対比。全編通してダイナミックな構成が素晴らしいアルバムを是非。

OPUS AVANTRA

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音楽の都ヴェネツィア生まれの名グループ。「クラシック」と「前衛」を融合した格調高くダイナミックなサウンド、オペラチックで感情表現豊かなドネラのヴォーカル。ルネッサンス〜バロックのイタリアの遺伝子とロックとの見事な融合。

LE ORME

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名作『Felona E Serona』収録。荘厳なオルガンと煽るようにエネルギッシュなドラムとの鮮やかな対比。陰鬱に攻め立てるパートとまるで教会に響き渡るように美しくエモーショナルなパートとの対比が生み出すダイナミズム。イタリアらしいドラマに溢れた名曲。

2. 気品と情熱のメロディ – オペラとカンツォーネの国

イタリア音楽のたぎるような熱き歌心は、一体どこからやって来たのでしょうか。その秘密を解く鍵として、「オペラ」と「カンツォーネ」があります。

オペラは、16世紀末のフィレンツェで、古代ギリシャの演劇を復興する目的で作られた、歌うような台詞で進行する歌劇。18世紀にかけて、ナポリを中心にイタリア各地で上演されるようになり隆盛を極めました。オペラ全盛の時代、音楽の中心はイタリアでした。そんな世界の音楽の主導権を握っていた時代への憧憬と自負もまた、イタリアン・ロック・バンドには欠かせない要素なのです。

一方、カンツォーネは、元来イタリア語で「歌」そのものを指す言葉で、我が国では特にナポリのカンツォーネである、「カンツォーネ・ナポレターナ」を指すことが多いようです。そもそもこのカンツォーネを始め、一般的にイタリアのイメージとして定着しているのが、あのナポリ人気質。駅でお爺さんに道を尋ねれば、歌で返事が返って来る(誇張ではなく、ナポリ旅行での経験です)その陽気さもまた、彼らの歌好きという性格と切り離せないものと言えます。いつも歌が溢れている国のロック・ミュージックにこそ、かつてのイタリア音楽への追憶と誇りが満ち満ちているのです。

気品と情熱のメロディ – オペラとカンツォーネの国

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『L’Isola Di Niente』より。英語盤『蘇る世界』にも収録。たおやかで穏やかなメロディが切々と響く美しい名曲。極めつけは後半。メロトロンが溢れ出し、リコーダーが詩情豊かなメロディを奏でると、誰もが胸を締め付けられます。

BANCO

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陽光が目に浮かぶ美しいメロディ、イタリアらしい詩情豊かなアコースティック・アンサンブル。ジャコモの包み込むようなヴォーカルの表現は、さすが歌の国イタリア。

NEW TROLLS

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名作『UT』より。歌の国イタリアならではの切々と胸に迫るメロディ。そして聴き所は後半のギター・ソロ。英国ではありえない詩情が一気に溢れ出し、聴き手を感動の渦へと引き込みます。

I POOH

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代表作『パルシファル』より。「胸に迫るメロディ」と表現されますが、この曲こそその最高峰でしょう。邦題は「限りなきふたり」。センチメンタルですねぇ。イタリアだからこそ紡がれる、感情を爆発させつつも優美なメロディ。ピアノとストリングスも絶品。

FORMULA TRE

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名作『神秘なる館』より。格調高くロマンティックなピアノのイントロ、そしてアコギが爪弾きだし、切々と胸を締め付けるように詩情豊かなメロディが歌われる。イタリアらしい詩情はギターにも宿り、間奏ではメロトロンをバックに、ラディウスが赤裸々にギターを奏でます。

OSANNA

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ルイス・エンリケ・バカロフがオーケストラ・アレンジした2nd『Milano Calibro 9』の最終曲。オザンナと言うと、熱く呪術的なヘヴィ・ロックのイメージですが、こんなに美しい曲も書ける、というのがさすがイタリアの歌力。

3. 地中海民族音楽のエキゾチズム 〜 地中海を巡る歴史から生まれた異文化ハイブリット

最後に、格調とダイナミズム溢れるイタリアン・ロックに、どこかエキゾチックな魅力を与えてきたエッセンスとして、地中海音楽をご紹介しましょう。バロックやオペラ、カンツォーネは、ある意味、彼らイタリア人固有の芸術とも言えますが、彼らはまた、自分たちとは違う様々な異文化を通して、周辺に隣接する国々の民族音楽をも深く探求してきたのです。

その最たる例として、マウロ・パガーニはこのような発言を残しています。

「私はロック・ミュージシャンです。それと共にイタリア人であり、そのような環境で育ちました。私の創造する音楽にアラブ等、他の国の要素が含まれ実って来たものが、私の音楽なのです。」

古代ローマ帝国の崩壊後、イタリアは、北西に西欧世界、東には分裂した東ローマ帝国によるビザンティン文化、そしてその東欧を次第に制圧して行くイスラム勢力という文化の一大集結点として多難な歴史を経験していきます。その中でも、北イタリア都市国家群の、地中海交易によるバルカン地方からの音楽的影響、やがて南イタリアを支配するイスラムからの中東音楽の影響は大きいものでした。AREA〜P.F.M.のパトリック・ジヴァスは、ギリシア系フランス人という出自から、ギリシアの民族音楽のエッセンスをバンドにもたらしています。

地中海民族音楽のエキゾチズム 〜 地中海を巡る歴史から生まれた異文化ハイブリット

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リズムとギターによる躍動感、たおやかなフルートによる高揚感。聴くものすべてをワクワクさせてくれる代表曲。イタリアン・ロックでしか味わえない突き抜けたアンサンブルですね。

AREA

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地中海ジャズ・ロックの代表作。エジプト生まれのギリシア人ヴォーカル、デメトリオ・ストラトスの国籍でも分かる通り、イタリアのみならず、バルカン半島、北アフリカ、ギリシアなど、広く地中海の音楽を取り込んだエキゾチックなサウンドが特徴。

MAURO PAGANI

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P.F.M.で活躍したヴァイオリン&フルート奏者。自らの音楽の源泉を見つめるべくP.F.M.を脱退。地中海の民族音楽を研究し、AREAのメンバーをバックに制作した1stソロ。そのオープニングがこの曲。地中海の歴史あるイタリアだからこそ生み出せた名曲。

【第三章】地域色豊かなイタリアン・ロックへ。

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