2017年3月10日 | カテゴリー:そしてロックで泣け! 舩曳将仁,ライターコラム
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物事には終わりがある。わかっちゃいるけど、終わりというのは寂しいもの。ライヴでもそうだけど、一番ワクワクするのって、客電が落ちて、アーティストが登場して演奏が始まる瞬間じゃないかと思う。もちろんショウも楽しいけど、後半に行くにつれて、「もうすぐ本編が終了して、アンコールやって、それで終わっちゃうんだな」という寂しさの方が強まってくるのは僕だけか?
命にも終わりがある。先日、わが家にいる三匹の猫のうち、一番年寄りの猫、ヤンが亡くなった。十七年生きたから大往生だし、まだほかに2匹いるんだけど、やはり寂しいもの。動物霊園で焼いてもらって、骨になって帰ってきたら、位牌に「愛猫ヤンちゃんの霊」と書いてあって思わず笑ってしまったけど。
それ以降、動物霊園から初七日供養、四十九日の法要とかのお知らせと振込用紙が送られてくるが、チラッと読んで捨てている。僕は、大切なのは生きている時にどうしてあげるかであって、死んでから何をしても、何を言っても仕方がないと思っている。それでも心残りは絶対にあるし、また感謝の思いもあるから、墓参りとか手を合わせるとか、そんなことぐらいはしてもいいけど、まあ生き返るわけじゃないし、派手な供養は必要ないかな、と。
同じような理由で、アーティストの追悼記事も乗り気になれないことが多い。そのアーティストが残した作品を伝えていくことには意味があるだろうけど、生きているうちに評価してあげるのが一番いいのであって、それができなかったというモヤモヤが残る。
3月に発売される『レコード・コレクターズ』で、今年1月に他界したジョン・ウェットンのディスコグラフィー原稿を書いた。追悼記事である。当初はモヤモヤとしたけど、参考作品を含め30枚以上のウェットン参加作を聴き、改めて彼の声とアーティストとしての魅力に打たれ、彼の業績を伝えたいという思いが勝った。
ということで、当連載でもジョン・ウェットンがらみの曲を紹介したい。彼は叙情性豊かなメロディを生み出す才能もずば抜けていて、キング・クリムゾンやエイジア、ソロ作でその才能を遺憾なく発揮してきた。どの曲にしようか迷ったけど、ちょっとレアなという当連載の趣旨にしたがって、アイコンの「イン・ジ・エンド」を紹介したい。
アイコンって何?という人がそろそろ出てきそうなので説明しておこう。アイコンは、ジョン・ウェットンとジェフ・ダウンズの二人によるプロジェクトである。二人の出会いはエイジアにまでさかのぼる。二人がソングライティングの中心となったエイジアは、『エイジア』(82年)、『アルファ』(83年)と、叙情メロディ愛好家なら思わず抱きしめて寝たくなるぐらいの名作を発表する。3作目の『アストラ』(85年)も良作ながら、当時は商業的に失敗して86年に解散。90年に復活するものの、ウェットンは91年に脱退。以降ジョン・ウェットンとジェフ・ダウンズは別々の道を歩むようになる。
二人が再び共作体制を復活させたのが、ジョン・ウェットンのソロ作『ロック・オブ・フェイス』(03年)だった。同作に収録された二人の共作曲のクオリティは、このコンビに特別なものを感じさせるに十分だった。
当時のジェフ・ダウンズは唯一のオリジナル・メンバーとしてエイジアを牽引していて、04年には『サイレント・ネイション』を発表している。だが周りからもウェットンとのコラボレイトを望む声は高く、エイジアとは別にウェットンとダウンズのプロジェクトとしてアイコンをスタートさせる。
05年のデビュー作『アイコン』は、ウェットンとダウンズのほかに、現イット・バイツのジョン・ミッチェル(g)、スティーヴ・クリスティ(ds)、チェロで元ELOのヒュー・マクドウェルが参加している。当然のことながら、楽曲はエイジア風。正直なところ、当時のエイジア本体よりもエイジア風という内容だった。ヒュー・マクドウェルのチェロがクラシカルな雰囲気をたたえていて、そこにエイジアとの違いも見いだせるが、これこそがエイジアの核だ!といえるメロディアスな曲を満載していた。
アイコンならではの試みとして行なわれていたのが、女性シンガーとのデュエット。アイコンは『ルビコン』(06年)、『アイコン3』(09年)と発表するが、いずれにも女性シンガーとのデュエット曲が収録されている。今回紹介する「イン・ジ・エンド」は、『アイコン』に収録されたデュエット曲である。ウェットンの相手を務めたのはルネッサンスのアニー・ハズラムだった。
と聞いて、ジョン・ウェットンとの因果関係にピンと来た人は、かなりのファンだろう。そう、ウェットンは、アニー・ハズラムがルネッサンスに参加したばかりの71年に、同バンドに数か月間だけ在籍していたことがあるのだ。レディング・フェスティバルを含む数回のライヴのみで脱退してしまうのだが……。かつて同じバンドにいた英プログレ界を代表する男女シンガーの共演が、30数年の時を経て、この「イン・ジ・エンド」で実現したのである。それだけでも胸に迫るものがある。ちなみに同曲でフルートを吹いているのはイアン・マクドナルドだ。
歌詞はジョンが歌うパートと、アニーが歌うパートに分かれている。アニーは「そして最後には、あなたはここで再び私を見つけるでしょう。もしあなたが私を必要としているなら合図を送って。あなたが一人なら、あなたは私の心の中に家を見つけるでしょう。最後には、あなたの道のすべてが、あなたのふさわしい場所へと繋がっていくのよ」みたいなことを歌っている。
日常の生活や仕事の中で、「ほんまに、こんなことして意味あるんかいな!」と思うことが多いけど、最後には自分にとってふさわしい場所へ至ると、そういうことを歌っているように感じる。かつて数か月間だけでもルネッサンスで共に活動した経験があってこそ、「イン・ジ・エンド」が生まれたことを思うと、それもまたしかりと感じる。ちょっと心が弱ってる時に聴いたらジーンとくる。
アイコンでアニー・ハズラムを起用しようと考えた時の気持ちとか、この曲を作った時の心境とか、ジョン・ウェットンに聴いてみたかったなぁ。それはやっぱり心残り。13年には、ルネッサンス『消ゆる風』(14年に『シンフォニー・オブ・ライト』というタイトルで新装再発)の「ブラッド・シルヴァー・ライク・ムーンライト」で、再びジョン・ウェットンとアニー・ハズラムが共演。こちらも良曲なので、機会があれば聴いてみてほしい。
さて、当連載も30回目の今回でおしまいです。今までありがとうございました。まだまだ泣ける曲は他にもたくさんありますので、ぜひ自分の好みに合うものを探してみてくださいね!
それではこれからも、ロックで泣け!
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キング・クリムゾン、ファミリー、ユーライア・ヒープ、ウィッシュボーン・アッシュ、UK、そしてエイジアとまるでブリティッシュ・ロックの歴史そのもののような輝かしいキャリアを持つジョン・ウェットンのソロ時代に焦点をあてたアンソロジー。(国内盤:帯より)
キング・クリムゾン〜エイジア〜U.K.で活躍したレジェンド、ジョン・ウェットンのアコースティック・ツアー音源を収録したライヴ盤。2枚組で、CD1は、98年6月2日スウェーデンはストックホルムでのライヴ(未発表!)、CD2は、02年12月5日のワシントンDCでのラジオ・スタジオ・ライヴ(オフィシャル・サイト限定でリリース済)。どちらもラジオ放送用の音源で、音質はクリアです。
8枚組ボックス、アウターケース付き仕様、ボーナス・トラック11曲
盤質:無傷/小傷
状態:良好
5枚は無傷〜傷少なめ、3枚は傷あり、若干スレあり
8枚組ボックス、アウターケース付き仕様、ボーナス・トラック11曲
盤質:未開封
状態:良好
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