2015年11月13日 | カテゴリー:そしてロックで泣け! 舩曳将仁,ライターコラム
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去年のこと。仕事の帰りに大阪のJR環状線に乗ったら、前の席にビリケン様が! いや、違う、元憂歌団の木村充揮さんだ! こんな機会はめったにないし、サインをもらって、握手して、写真撮ってもらお~!
と思ったけど、大阪の人間のみんながみんな「なあ、木村はん、写真撮って~な~」みたいに、土足で人の心に踏み込む性格と思ったら大間違い。僕なんて、シャイでさ。もう緊張して、どう話しかけよう…と思っている間に、木村さんは某駅で降りてしまった。ああ、千載一遇のチャンスだったのに。
それから数か月後、仕事の帰りに私鉄電車に乗って席に座ったら、隣に大空テントさんが! といっても誰も知らないと思うけど、人間パチンコなどの芸で知られるカルト芸人。僕もファンではないけど、座った瞬間に「テントさんですよね?」と声をかける。だって、木村充揮さんとはオーラが全然違うんだもん。テントさんは、トボケタ顔で「そやけど?」と。
「やっぱりテントさんですか! 人間パチンコ大好きなんです!」
「でもワシな、60こえて、首が痛くて、人間パチンコ辛いんや」
いきなり真っ裸のグチ! 僕はさらに続ける。
「クモの決闘も至芸やと思います!」
「自分、よう知ってるな~? 嬉しいなぁ~」
「テントさんのCD『わらびもち』も持ってます!」
「すごいなあ、自分。そのあとに『デカメロン』いうのも出してるんやで?」
で、デカメロン? それは知らんかった。でも、『わらびもち』を持ってるなら、僕もファンと言っていいレベルかもな。ちなみに、『わらびもち』はボアダムスの山本精一氏がプロデュースしています。
テントさんは、おもむろにカバンの中に手を突っ込む。
「ワシのオリジナルのポストカードとプリクラあげるわ。自分、どこで降りるん?」
「鶴橋駅で乗り換えです」
「あ、ワシも鶴橋で乗り換えやから、駅でサイン書いたるわ」
「あ、ありがとうございます!」
サービス精神が旺盛過ぎ!
で、駅のベンチに座って、2枚のポストカードにサインを書いてくれました。見えるかな? 2014年なのに、「2004年」と間違えて書くテントさん。しかも2枚とも間違えたテントさん。さらにカニの絵を描いて、「ワシ、最近カニが好きやねん」という謎のメッセージをくれたテントさん、最高です!
調べたら、木村充揮さんと大空テントさん、ほぼ同年代。醸し出すオーラは雲泥の差だったけど、長年にわたり芸を追求してきたからこそにじみ出る哀愁、その「いぶし銀の哀愁」は、どちらからも強烈に感じられた。
いぶし銀の哀愁。それって若い頃はなかなかわからないんだけど、大人になると、だんだん染みてくる。
ということで、今回はいぶし銀の哀愁を感じさせるシンガー、ポール・ウィリアムズがシンガーを務めたジューシー・ルーシーの「オール・マイ・ライフ」を紹介したい。
ジューシー・ルーシーは、ミスアンダーストゥッドというバンドのメンバーだったレイ・オーウェン(vo)、クリス・メルサー(sax、keyboards)、グレン・キャンベル(g)を中心として、1969年のイギリスで結成された。同年にヴァーティゴから『ジューシー・ルーシー』をリリース。裸の女性に果物を乗せた女体盛りジャケットでも有名で、英41位を記録。
ところがシンガーのレイ・オーウェンとギターのニール・フバードが脱退。そこで加入したのがポール・ウィリアムズで、ギターには後にホワイトスネイクで活躍するミッキー・ムーディーが加入する。1970年に2作目『ライ・バック・アンド・エンジョイ・イット』、1971年に3作目『ゲット・ア・ウィフ・オブ・ディス』と発表するが、メンバーは次々と交代し、ついに最後のオリジナル・メンバーだったグレン・キャンベルも脱退する。
完全にポールとミッキー中心のバンドに生まれ変わった新生ジューシー・ルーシーが、1972年に発表した4作目が『ピーシズ』で、「オール・マイ・ライフ」は同作に収録されている。
ポール・ウィリアムズは友人の作詞家ジョン・エドワーズとソングライティング・コンビを組み、本作ではブルージーなハード・ロックから郷愁ただようスワンプ・ロック曲までを提供。チャック・ベリーのカヴァーなども枯れた味わいでじっくり聴かせる良作で、古風な女性のポートレートを配したジャケットも美しいが、チャート的には振るわなかった。
「オール・マイ・ライフ」は、『ピーシズ』の3曲目に収録されている。ポールとジョンの共作曲で、主役はポールの哀愁漂う声。当時ポールは30代前半なんだけど、「いぶし銀の哀愁」が、その声からビンビン伝わってくる。
正確な歌詞はわからないが、「俺が朝目覚めたら、君の目から愛が離れていた」と歌い出し、サビでは「俺の人生をかけて、君を待ち続ける」と歌っているから、悲恋ものなんだろう。アバウトですんません。
いや、でも、この曲の大切なところは、ポールの声そのもの。ピアノとストリングスをバックに、「オール・マイ・ライフ……」と歌うポールのダミ声を聞いていると、「お前には、人生をかけるほどの何かがあるかい?」って問いかけられているような気がしてくる。
そういう深いテーマは、友達とワイワイ語り合うんじゃなくて、ウイスキーでも傾けながら、夜中にひとりで考えるのがいい。すると、「オール・マイ・ライフ」が、ヒシヒシと心に響いてくる。ホロリ泣けちゃったりもして。それで思うんだ、「オレ、ちょっと大人の哀愁出てきたんじゃないの~?」なんてね。
そんな軽いと、木村充揮さんや大空テントさんのような「いぶし銀の哀愁」はまだまだかな? 精進いたします。
それでは、来月もロックで泣け!
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