プログレッシヴ・ロックの中古CD豊富!プログレ、世界のニッチ&ディープな60s/70sロック専門ネットCDショップ!

プログレ、60s/70sロックCDのネット通販/買取

24時間以内発送(土・日・祝は翌営業日)、6,000円以上送料無料

「そしてロックで泣け!」第十四回 ジューシー・ルーシーの「オール・マイ・ライフ」

去年のこと。仕事の帰りに大阪のJR環状線に乗ったら、前の席にビリケン様が! いや、違う、元憂歌団の木村充揮さんだ! こんな機会はめったにないし、サインをもらって、握手して、写真撮ってもらお~!

と思ったけど、大阪の人間のみんながみんな「なあ、木村はん、写真撮って~な~」みたいに、土足で人の心に踏み込む性格と思ったら大間違い。僕なんて、シャイでさ。もう緊張して、どう話しかけよう…と思っている間に、木村さんは某駅で降りてしまった。ああ、千載一遇のチャンスだったのに。

それから数か月後、仕事の帰りに私鉄電車に乗って席に座ったら、隣に大空テントさんが! といっても誰も知らないと思うけど、人間パチンコなどの芸で知られるカルト芸人。僕もファンではないけど、座った瞬間に「テントさんですよね?」と声をかける。だって、木村充揮さんとはオーラが全然違うんだもん。テントさんは、トボケタ顔で「そやけど?」と。

「やっぱりテントさんですか! 人間パチンコ大好きなんです!」
「でもワシな、60こえて、首が痛くて、人間パチンコ辛いんや」

いきなり真っ裸のグチ! 僕はさらに続ける。

「クモの決闘も至芸やと思います!」
「自分、よう知ってるな~? 嬉しいなぁ~」
「テントさんのCD『わらびもち』も持ってます!」
「すごいなあ、自分。そのあとに『デカメロン』いうのも出してるんやで?」

で、デカメロン? それは知らんかった。でも、『わらびもち』を持ってるなら、僕もファンと言っていいレベルかもな。ちなみに、『わらびもち』はボアダムスの山本精一氏がプロデュースしています。

テントさんは、おもむろにカバンの中に手を突っ込む。
「ワシのオリジナルのポストカードとプリクラあげるわ。自分、どこで降りるん?」
「鶴橋駅で乗り換えです」
「あ、ワシも鶴橋で乗り換えやから、駅でサイン書いたるわ」
「あ、ありがとうございます!」
 サービス精神が旺盛過ぎ!

で、駅のベンチに座って、2枚のポストカードにサインを書いてくれました。見えるかな? 2014年なのに、「2004年」と間違えて書くテントさん。しかも2枚とも間違えたテントさん。さらにカニの絵を描いて、「ワシ、最近カニが好きやねん」という謎のメッセージをくれたテントさん、最高です!

調べたら、木村充揮さんと大空テントさん、ほぼ同年代。醸し出すオーラは雲泥の差だったけど、長年にわたり芸を追求してきたからこそにじみ出る哀愁、その「いぶし銀の哀愁」は、どちらからも強烈に感じられた。

いぶし銀の哀愁。それって若い頃はなかなかわからないんだけど、大人になると、だんだん染みてくる。

ということで、今回はいぶし銀の哀愁を感じさせるシンガー、ポール・ウィリアムズがシンガーを務めたジューシー・ルーシーの「オール・マイ・ライフ」を紹介したい。

ジューシー・ルーシーは、ミスアンダーストゥッドというバンドのメンバーだったレイ・オーウェン(vo)、クリス・メルサー(sax、keyboards)、グレン・キャンベル(g)を中心として、1969年のイギリスで結成された。同年にヴァーティゴから『ジューシー・ルーシー』をリリース。裸の女性に果物を乗せた女体盛りジャケットでも有名で、英41位を記録。

ところがシンガーのレイ・オーウェンとギターのニール・フバードが脱退。そこで加入したのがポール・ウィリアムズで、ギターには後にホワイトスネイクで活躍するミッキー・ムーディーが加入する。1970年に2作目『ライ・バック・アンド・エンジョイ・イット』、1971年に3作目『ゲット・ア・ウィフ・オブ・ディス』と発表するが、メンバーは次々と交代し、ついに最後のオリジナル・メンバーだったグレン・キャンベルも脱退する。

完全にポールとミッキー中心のバンドに生まれ変わった新生ジューシー・ルーシーが、1972年に発表した4作目が『ピーシズ』で、「オール・マイ・ライフ」は同作に収録されている。

ポール・ウィリアムズは友人の作詞家ジョン・エドワーズとソングライティング・コンビを組み、本作ではブルージーなハード・ロックから郷愁ただようスワンプ・ロック曲までを提供。チャック・ベリーのカヴァーなども枯れた味わいでじっくり聴かせる良作で、古風な女性のポートレートを配したジャケットも美しいが、チャート的には振るわなかった。

「オール・マイ・ライフ」は、『ピーシズ』の3曲目に収録されている。ポールとジョンの共作曲で、主役はポールの哀愁漂う声。当時ポールは30代前半なんだけど、「いぶし銀の哀愁」が、その声からビンビン伝わってくる。

正確な歌詞はわからないが、「俺が朝目覚めたら、君の目から愛が離れていた」と歌い出し、サビでは「俺の人生をかけて、君を待ち続ける」と歌っているから、悲恋ものなんだろう。アバウトですんません。

いや、でも、この曲の大切なところは、ポールの声そのもの。ピアノとストリングスをバックに、「オール・マイ・ライフ……」と歌うポールのダミ声を聞いていると、「お前には、人生をかけるほどの何かがあるかい?」って問いかけられているような気がしてくる。

そういう深いテーマは、友達とワイワイ語り合うんじゃなくて、ウイスキーでも傾けながら、夜中にひとりで考えるのがいい。すると、「オール・マイ・ライフ」が、ヒシヒシと心に響いてくる。ホロリ泣けちゃったりもして。それで思うんだ、「オレ、ちょっと大人の哀愁出てきたんじゃないの~?」なんてね。

そんな軽いと、木村充揮さんや大空テントさんのような「いぶし銀の哀愁」はまだまだかな? 精進いたします。
それでは、来月もロックで泣け!

Juicy Lucy / All My Life(7:40~)

試聴 Click!


「そしてロックで泣け!」第十三回 トリリオンの「ラヴ・ミー・エニイタイム」

【関連記事】

「そしてロックで泣け!」第十三回 トリリオンの「ラヴ・ミー・エニイタイム」

世間ではあまり知られていないが、聴いたら思わず涙がホロリ、もしくは嗚咽をあげて泣きむせぶ、そんなロックの隠れた「泣ける名曲」を紹介。お相手は、叙情メロディとネコをこよなく愛する音楽ライターの舩曳将仁。


「そしてロックで泣け!」第十二回 トム・ニューマンの「サッド・シング」

【関連記事】

「そしてロックで泣け!」第十二回 トム・ニューマンの「サッド・シング」

世間ではあまり知られていないが、聴いたら思わず涙がホロリ、もしくは嗚咽をあげて泣きむせぶ、そんなロックの隠れた「泣ける名曲」を紹介。お相手は、叙情メロディとネコをこよなく愛する音楽ライターの舩曳将仁。


「そしてロックで泣け!」第十ー回 レイクの「ドゥ・アイ・ラヴ・ユー」

【関連記事】

「そしてロックで泣け!」第十ー回 レイクの「ドゥ・アイ・ラヴ・ユー」

世間ではあまり知られていないが、聴いたら思わず涙がホロリ、もしくは嗚咽をあげて泣きむせぶ、そんなロックの隠れた「泣ける名曲」を紹介。お相手は、叙情メロディとネコをこよなく愛する音楽ライターの舩曳将仁。


「そしてロックで泣け!」第十回 ナルニア「アガペー」

【関連記事】

「そしてロックで泣け!」第十回 ナルニア「アガペー」

世間ではあまり知られていないが、聴いたら思わず涙がホロリ、もしくは嗚咽をあげて泣きむせぶ、そんなロックの隠れた「泣ける名曲」を紹介。お相手は、叙情メロディとネコをこよなく愛する音楽ライターの舩曳将仁。


「そしてロックで泣け!」第九回 スパイロジャイラ「ブリング・ミー・バック」

【関連記事】

「そしてロックで泣け!」第九回 スパイロジャイラ「ブリング・ミー・バック」

世間ではあまり知られていないが、聴いたら思わず涙がホロリ、もしくは嗚咽をあげて泣きむせぶ、そんなロックの隠れた「泣ける名曲」を紹介。お相手は、叙情メロディとネコをこよなく愛する音楽ライターの舩曳将仁。


「そしてロックで泣け!」第八回 バークレイ・ジェイムズ・ハーヴェスト「サン・ウィル・ネヴァー・シャイン」

【関連記事】

「そしてロックで泣け!」第八回 バークレイ・ジェイムズ・ハーヴェスト「サン・ウィル・ネヴァー・シャイン」

世間ではあまり知られていないが、聴いたら思わず涙がホロリ、もしくは嗚咽をあげて泣きむせぶ、そんなロックの隠れた「泣ける名曲」を紹介。お相手は、叙情メロディとネコをこよなく愛する音楽ライターの舩曳将仁。


「そしてロックで泣け!」第七回 スコーピオンズ「フライ・ピープル・フライ」

【関連記事】

「そしてロックで泣け!」第七回 スコーピオンズ「フライ・ピープル・フライ」

世間ではあまり知られていないが、聴いたら思わず涙がホロリ、もしくは嗚咽をあげて泣きむせぶ、そんなロックの隠れた「泣ける名曲」を紹介。お相手は、叙情メロディとネコをこよなく愛する音楽ライターの舩曳将仁。


「そしてロックで泣け!」第六回 インクレディブル・ストリング・バンド「ザ・サークル・イズ・アンブロークン」

【関連記事】

「そしてロックで泣け!」第六回 インクレディブル・ストリング・バンド「ザ・サークル・イズ・アンブロークン」

世間ではあまり知られていないが、聴いたら思わず涙がホロリ、もしくは嗚咽をあげて泣きむせぶ、そんなロックの隠れた「泣ける名曲」を紹介。お相手は、叙情メロディとネコをこよなく愛する音楽ライターの舩曳将仁。


「そしてロックで泣け!」第五回 カヤック「アンディサイデッド」

【関連記事】

「そしてロックで泣け!」第五回 カヤック「アンディサイデッド」

世間ではあまり知られていないが、聴いたら思わず涙がホロリ、もしくは嗚咽をあげて泣きむせぶ、そんなロックの隠れた「泣ける名曲」を紹介。お相手は、叙情メロディとネコをこよなく愛する音楽ライターの舩曳将仁。


「そしてロックで泣け!」第四回 マグナム「ステイン・アライヴ」

【関連記事】

「そしてロックで泣け!」第四回 マグナム「ステイン・アライヴ」

世間ではあまり知られていないが、聴いたら思わず涙がホロリ、もしくは嗚咽をあげて泣きむせぶ、そんなロックの隠れた「泣ける名曲」を紹介。お相手は、叙情メロディとネコをこよなく愛する音楽ライターの舩曳将仁。


「そしてロックで泣け!」第三回 マディ・プライア「ディープ・イン・ザ・ダーケスト・ナイト」

【関連記事】

「そしてロックで泣け!」第三回 マディ・プライア「ディープ・イン・ザ・ダーケスト・ナイト」

世間ではあまり知られていないが、聴いたら思わず涙がホロリ、もしくは嗚咽をあげて泣きむせぶ、そんなロックの隠れた「泣ける名曲」を紹介。お相手は、叙情メロディとネコをこよなく愛する音楽ライターの舩曳将仁。


「そしてロックで泣け!」第二回 グレイヴィ・トレイン「アローン・イン・ジョージア」

【関連記事】

「そしてロックで泣け!」第二回 グレイヴィ・トレイン「アローン・イン・ジョージア」

世間ではあまり知られていないが、聴いたら思わず涙がホロリ、もしくは嗚咽をあげて泣きむせぶ、そんなロックの隠れた「泣ける名曲」を紹介。お相手は、叙情メロディとネコをこよなく愛する音楽ライターの舩曳将仁。


「そしてロックで泣け!」第一回 ルネッサンス「ラヴ・イズ・オール」

【関連記事】

「そしてロックで泣け!」第一回 ルネッサンス「ラヴ・イズ・オール」

世間ではあまり知られていないが、聴いたら思わず涙がホロリ、もしくは嗚咽をあげて泣きむせぶ、そんなロックの隠れた「泣ける名曲」を紹介。お相手は、叙情メロディとネコをこよなく愛する音楽ライターの舩曳将仁。

JUICY LUCYの在庫

  • JUICY LUCY / JUICY LUCY

    69年にVertigoレーベルよりリリースされたデビュー作、エグみたっぷりのアンダーグラウンド・ブリティッシュ・ロック名作!

    英サイケ/ガレージ・グループMISUNDERSTOODの残党が結成したグループ。69年にVERTIGOレーベルよりリリースされたデビュー作。アメリカ人ギタリストGlenn Ross Campbellによるブルージー&スワンピー&ハードなギター、そして黒人ヴォーカリストRay Owenの強烈なアクを放つフリーキーなヴォーカル。そこにサックスが地を這うように絡みつく!Vertigoのレーベル・マークのごとくにサウンドがグルグルと渦巻きます。ジャケットの雰囲気通りのオリジナリティいっぱい、エネルギーいっぱい、エグさいっぱいのサウンド!アンダーグラウンド・ブリティッシュ・ロックの名作!ボーナス・トラック1曲収録。

  • JUICY LUCY / JUICY LUCY and LIE BACK AND ENJOY IT

    VERTIGOからデビューした英スワンプ/ハード・ロック・グループ、69年作&70年作

  • JUICY LUCY / LIE BACK AND ENJOY IT

    70年にVertigoレーベルよりリリースされた2nd、ブルージー&アーシー&スワンピーな逸品!

    Vertigoレーベルから70年に発表された2ndアルバム。黒人ヴォーカリストのRay Owenに代わり、元ZOOT MONEYのPaul Willimasが加入。アクの強さは薄まり、ソウルフル&ブルージーに幾分洗練された印象(と言っても、まだまだ濃いですが・・・)。グルーヴィーなR&Bロック、ブルージーなハード・ロック、アーシーなスワンプ・ロックまで、一筋縄ではいかないVertigoらしいくせ者グループ。確かな技術に支えられた迫力ある演奏もインパクト大。

  • JUICY LUCY / GET A WHIFF A THIS

    ミッキー・ムーディー/ポール・ウィリアムス在籍の英スワンプ/ハード・ロック・グループ、濃厚グルーヴィーな71年作3rd!

    後にホワイトスネイクに加入するギタリストのミッキー・ムーディー、後にテンペストに加入するヴォーカルのポール・ウィリアムズ在籍の英スワンプ/ハード・ロック・グループ。英Vertigoから英Bronzeへと渡り、71年にリリースされた3rd。粘っこいワウ・ギターのカッティング、ブルージーなリード、ブイブイとグルーヴィーでいて地を這うようにヘヴィなベース、いかにも英国的な淡くむせぶオルガンによる土臭くも叙情に溢れたアンサンブル。そこにソウルフルに炸裂するポール・ウィリアムスのアクの強いシャウト!ブルージーなハード・ロックを軸にスワンピーなアクを注入した、ジャケのイメージ通りの濃厚グルーヴィーなサウンドが魅力の名作。

「JUICY LUCYの在庫」をもっと見る

コメントをシェアしよう!

あわせて読みたい記事

中古CD買取案内

カケレコ洋楽ロック支店

新着記事

もっと見る

プロのライター&ミュージシャンによるコラム好評連載中!

文・市川哲史

文・深民淳

文・舩曳将仁

文・netherland dwarf

人気記事ランキング

* RSS FEED

ロック探求特集

図表や代表作品のジュークボックスなどを織り交ぜ、ジャンル毎の魅力に迫ります。