2022年11月16日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ新鋭
スタッフ佐藤です。
おおむね70年代のプログレに影響を受けたサウンドを聴かせる新世代のプログレ・シーンですが、
一方で先人をリスペクトしつつも現代のアーティストらしいモダンなスタイリッシュさや音響にこだわった音作りで、現代だからこそ鳴らすことが出来るプログレを練り上げている作品も数多く存在します。
今回注目したいのが、その中でもポスト・ロック好きの方に響きそうなサウンドを持ったプログレ新鋭たち。
各国からチョイスしましたのでお楽しみください☆
まずは、ポスト・ロック色を持つプログレの宝庫であるポーランドを探求!
2020年にデビュー・アルバムをリリースし、その完成度の高さに注目が集まったのがこのグループ。
ずばり、ポスト・ロック的洗練性と音響感覚+フロイドをバックボーンに持つメランコリーと深い陰影。
残響が木霊する幻想のギターとひたすら切なく美しいピアノが織り上げる、暗闇の中から浮かび上がるように劇的なサウンドが素晴らしい待望2ndアルバム!
こちらも22年に届いたナイスな一枚。
ポスト・ロック的スタイリッシュさの中にフロイド彷彿のメランコリーが漂う幻想的な音響空間と、揺蕩うように歌う女性voが印象的なポーランド産メロディック・ロック。
現代ポーランドらしいモダンさと薄暗い質感が溶けあった世界観が何とも言えず良いなぁ。
ジャケットはいかにもHR/HMっぽいですが、騙されてはいけません。
中身はアコギとピアノとサックスを主体にジャジーかつリズミカルに進行する知的なプログレ。
前作まで「ヘヴィ・プログレ」と紹介していたバンドとは思えぬ意表を突くサウンドにびっくり!
オルガンやトランペットを軸とするカンタベリー・ロックの面影が滲む淡く芳醇なアンサンブルと、ポスト・ロック的鋭角さでスリリングに切り込むギターがハイセンスに調和するモダン・ジャズ・ロックは素晴らしい完成度!
ポーランドはジャズ・ロック・シーンも侮りがたし…!
イギリスからはこのロングセラー人気盤をご紹介。
レーベルインフォには、参考バンドとしてブリティッシュ・ロックの名グループFANTASYとアイスランドのポスト・ロック・バンドSIGUR ROSが挙げられていますが、聴いてみると「なるほど!」と唸ってしまいます。
牧歌的でいて崇高な名作!
現イギリスでも屈指の実力派プログレ・グループですよね。
このヴィンテージとモダンの絶妙すぎる調和、例えて言えば、ナショナル・ヘルスのデイヴ・スチュワートやアラン・ガウエンがポスト・ロックを演った感じ!?
「英国のMARS VOLTA」、22年作!
ポスト・ロック、オルタナ、ハード・ロック、プログレ・メタル、エレクトロニクスを混ぜ合わせたようなサウンドをハードコア的衝動で突っ切っていくようなこのパフォーマンス、問答無用でカッコ良いです。
カンタベリー系やレコメン系からの影響を軸に、ポスト・ロックの浮遊感やヌケの良さを加えたサウンドは実に痛快!
最高にワクワクするサウンドを繰り広げるカリフォルニア発プログレ・ポップ・グループ!
70年代のジャズ、フュージョン、プログレを土台にしつつ、ワールドミュージックやポストロックも飲み込んだイマジネーション豊かなサウンドは、とてもデビュー作とは思えない完成度。
カンタベリー・ロックからの影響も絶妙に織り込んだ伊ジャズ・ロック傑作!
ポストロック的洗練味を帯びた技巧的でタイトな演奏に、初期スポックス・ビアードっぽいポップ・エッセンスを加えたようなサウンド!?
そんでもって時折ネオアコ風のハートフルさまで漂ってきて…このイタリアのバンド、実に知的かつ変幻自在!
カンタベリーに通じる柔らかで優美なジャズ・ロック・フィーリングを軸に、浮遊感や緻密さを加えるポスト・ロック&アヴァン・ロック・フィーリング。美声女性ヴォーカルにもうっとり。
キング・クリムゾンの『レッド』と、轟音&美メロが溢れるシューゲーザーの金字塔『ラヴレス』とが融合したら、こんな音になるかも?
70年代のイタリアン・ロックとともに、オルタナティヴ・ロック、エレクトロニカ、ポスト・ロックなどを折衷したスタイルが個性的な伊新鋭!
仏ボルドー出身の新鋭バンド。
クラシックの下地を感じる繊細なタッチのピアノとメロディアスにたゆたうギターによるポスト・ロック/マス・ロック的なモダンに洗練されたアンサンブルをベースに、フランスらしい陰影ある幻想性を加えたメロディアス・ロックが素敵です。
カンタベリー・エッセンスまで漂ってきて、この理知的にしてどこまでも芳醇なサウンドはセンス抜群!
流麗でテクニカルなジャズ・テイストに洗練されたポスト・ロック、ポップかつスペーシーなサイケデリック・ロックを混ぜ合わせた、瑞々しく洒脱なジャズ・ロック・アンサンブルは前作に引き続き見事な完成度。
このノルウェー新鋭はナイスですよ~!
13年にデビューしたスイスの技巧派ジャズ・ロック/フュージョン・バンドによる20年作2ndアルバム。
ポスト・ロック的スタイリッシュさをセンス良く織り込んだテクニカル・フュージョン・スタイルで駆け抜ける逸品!
ギリシャにも注目すべきプログレ新鋭がいます!
ヘヴィに畳み掛けるギターを中心とするプログレ・メタル的サウンド+ポスト・ロック/マス・ロック的なスタイリッシュで浮遊感あるサウンド+オルガン、メロトロンなどによる70年代的サウンド。
流れるようなタッチの美しいピアノも絶品!
管弦楽器奏者を擁するこちらのアルゼンチンのグループも、ポスト・ロック好きの方に聴いて欲しい一枚。
チェンバー・ミュージック×ポスト・ロックなアンサンブル、そして、南米らしい詩情豊かな「歌」。
静謐かつ温かで実に美しいなぁ。
マルチ・プレイヤーJorge Eduardo Martinezを中心とするアルゼンチンのグループ、22年作。
ポスト・ロック調の洗練された音響処理、ハード・ロック/メタル由来の硬質な疾走感、そしてシンフォニックなスケールの大きさが一体となったイマジネーション溢れるサウンドが素晴らしい、これは期待のアルゼンチン新鋭!
このサウンド、まるで「音響にこだわったSERU GIRAN」って感じ!?
70年代アルゼンチン・ロック憧憬に満ちたサウンドを聴かせたVADE RETROのKey奏者&コンポーザーが結成したバンドなのですが、往年のアルゼンチン・ロックと現代的なスタイルを理想的に融合させた素晴らしい逸品なんです!
いかがでしたか?
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イギリス南東部のブライトン出身で、ヴォーカル、ギター、トランペット、オルガンを操るマルチ奏者ロビー・ウィルソンを中心に07年に結成された4人組。現代イタリア・プログレ・シーンの注目のレーベルAltrockと契約し、その傘下のFADING RECORDSより2012年にリリースされたデビュー作。アルバムの幕を静かに開けるのが鉄琴の一種であるグロッケンシュピール。まるでオルゴールのように静謐でいてファンタスティックなイントロではじまり、ドラムが入ると、オルガンが幻想的にたなびき、トランペットやストリングスなど管弦楽器が艶やかな音色を奏でるなど、クラシック・ミュージック由来の格調高さと温かみとともに、ポスト・ロック的な浮遊感が絶妙にブレンドされたイマジネーション溢れる音世界が次々と描かれていきます。ささやくように歌うハイ・トーンの繊細でメランコリックな美声男性ヴォーカル、聖歌隊のように厳粛なコーラス・ワークも絶品。レーベルからのインフォには、参考バンドとして英国70sプログレの名グループFANTASYとアイスランドのポスト・ロック・バンドSIGUR ROSが挙げられていますが、なるほどその通り!ジャケットのイメージ通りのいかにも英国的な牧歌性や幻想性と、宗教的とも言える崇高さとが完璧に融合したサウンドにただただ言葉を失います。全ての楽器と声とが信じられないほどに繊細に紡がれた、凛とした音の透明感。デビュー作とは思えない孤高の逸品です。これは名作でしょう!
カリフォルニアの新鋭ジャズ・ロック/プログレ・グループ、2012年作。オープニング・ナンバーの気持ちよさときたら!たゆたうようなカンタベリー・フレイヴァーな女性ヴォーカル、そのバックで軽快にリズムを刻むエレクトリック・ギター、ダンサンブルと言えるようなリズム隊。そんな気持ち良いサウンドにサックスが強烈なブローをお見舞いし、ゴングばりの変態ジャズ・ロックへと突入。カンタベリーやレコメンを軸に、ポスト・ロックの浮遊感やヌケの良さを加えたサウンドは実に痛快!小山田圭吾がギターで参加した最近のYMOに、70年代当時のハットフィールドのメンバーが飛び入り参加!と言えば、この素晴らしさが伝わるでしょうか。これは、名作!
ポーランドのクラクフを拠点に活動する新鋭プログレ・グループ、22年リリースの2ndアルバム。ポスト・ロックを通過した洗練性&音響感覚+ピンク・フロイドをバックボーンとするポーランドらしいメランコリー&深い陰影、と言える叙情派メロディアス・インスト・プログレは、20年の1stアルバムより変わらず健在。残響が木霊する幻想的なギターとひたすら切なく美しいピアノが織り上げる、暗闇の中から浮かび上がるような劇的なサウンドに惹きこまれます。ラストには24分を超える大作が待っており、前作でも印象的だったメロトロンも随所に散りばめながら気品高くもダイナミックに進行していく、ストーリー性に富んだ幻想シンフォ絵巻に圧倒されます。リズム隊+ギター+ピアノを基本とするシンプルなサウンドにもかかわらず、このイマジネーションが溢れんばかりのサウンドを創り上げる実力は本当に見事という一言です。傑作!
22年にデビューした注目のポーランド産ジャズ・ロック新鋭WHITE MOLYAのギタリストMichal Szmidtが参加したグループによる08年作。オルガンやトランペットを中心とするカンタベリー・ロックの影響を感じる淡く芳醇なアンサンブルと、ポスト・ロック的鋭角さでスリリングに切り込むギターが違和感なく調和するモダン・ジャズ・ロックは、WHITE MOLYAが気に入った方なら間違いなし!同傾向のアプローチを聴かせるイタリアのFONDERIAがお好きな方にもオススメできます。エレクトロニクスも随所に散りばめながら哀愁に富んだ美しいサウンドで聴かせ切る、17分の大作も素晴らしい出来栄え。現代のジャズ・ロックとしてかなり完成度の高いサウンドを楽しませてくれる好盤です!
99年結成、2010年デビューのギリシャ出身プログレ・グループ、16年作3rd。ヘヴィに畳み掛けるギターを中心とするプログレ・メタル的サウンドと、ポスト・ロック/マス・ロック的なスタイリッシュで浮遊感あるサウンドを巧みに融合させた、オリジナリティに富む音楽性が特徴。そこにオルガン、メロトロンなどによる70年代の質感も取り入れ、ヴィンテージな音色をセンスよく配したサウンドメイクが光ります。随所で現れる流れるようなタッチのピアノも素晴らしいし、ドラマチックに歌い上げる耽美な男性ヴォーカルもかなりいいです。これは完成度の高いモダン・プログレの逸品!
2020年結成、女性ヴォーカルを擁するトリオ編成のポーランド新鋭による22年デビュー作。ポスト・ロック調のスタイリッシュさの中にフロイド彷彿のメランコリーが漂う幻想的な音響空間の中を、揺蕩うように歌うヴォーカルが印象的なメロディック・ロック。ゴシック・ロック的な激しさ・厳かさも加味しつつ、現代ポーランドらしいモダンさと薄暗い雰囲気が溶けあった世界観が味わえる一枚です。
06年にデビュー作をリリースした英国の新鋭プログレ・グループによる22年作。初期より「英国のMARS VOLTA」とも呼ばれてきたバンドですが、本作でもミクスチャー感覚豊かで緩急激しく展開するスタイルは健在。ポスト・ロック、オルタナ、ハード・ロック、プログレ・メタル、エレクトロニクスを混ぜ合わせたようなサウンドをハードコア的衝動で突っ切っていくようなパフォーマンスには問答無用のカッコ良さがあります。MARS VOLTAと比べると何が飛び出すか分からないスリリングさや音の密度では譲りますが、その分壮大でドラマチックなサウンドメイクが味わえるのが魅力の快作!
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