2022年6月3日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
2015年に運営を開始したドイツの注目リイシュー・レーベルPAISLEY PRESSをご存知でしょうか。
ある程度のマニアの方ですら存在を知らないのではないかという欧米各国の「ど」マイナープログレを発掘してきてはせっせとリイシューしてくれているありがたい注目レーベルなのです。
とは言え決して玉石混交というわけではなく、どの作品もクオリティは大変高いのがまた素晴らしいところ。
担当者のプログレ審美眼の確かさが窺えるラインナップとなっております。
それでは、ディープな探求をお楽しみください☆
元QUATERMASSのジョン・グスタフソン&ピート・ロビンソンが北欧の凄腕たちと組んだ超絶ジャズ・ロック作!
このテンションMAXで畳みかける凄まじい演奏、MAHAVISHNU ORCHESTRAファンなら「おおっ!」となるはず。
奇才B.J.Lindhの速吹きフルートも聴きモノ!
R&R、ジャズ、ハードロック、フォークなどを突っ切ってドタバタ忙しない演奏で聴かせ切る痛快プログレ!
聴いていて思い浮かんだのが同郷スウェーデンのPANTA REIやSAMLA MAMAS MANNA。
SAMLAほどぶっ飛んではないけど、SAMLA好きもビビッと来そうな「狂騒感」を持ったバンドなんだよなぁ。
重いリフを次々と繰り出すギター、奔放に吹きまくるトランペット、英ロックに通じる哀愁を孕んだジェントルな英語vo。
曲者感ぷんぷんのジャケの通り、一筋縄ではいかぬジャジー&ブルージー&ファンキーなプログレが炸裂するスウェーデン産72年作!
米&デンマーク混成で、デンマークとドイツを中心に活動を展開したサイケ・ハード・グループ。
タイトでキレのあるリズム、サイケな熱量を含みハードエッジに弾きまくるギター、そしてグラム・ロック・シンガーのようなカリスマ性を持つヴォーカル!
熱くもスタイリッシュでテクニックも抜群な痺れる名盤です!
この土の匂いが舞い上がるような「いなたい」フォーキー・ブルース・ロック、JETHRO TULLがお好きなら気に入ってもらえそうです。
少し癖のあるドイツ語ヴォーカルも楽しいスイス・ロックの逸品!
スペイシーなトーンで押し寄せる豪快なシンセ、アコギのフォーキーな手触り、そしてソウル色も感じる爽快な英語voを特徴とする、キャッチーかつ哀愁に富んだ絶品プログレ。
オーストリアのプログレと言えばEELA CRAIGですが、ずばり彼らに匹敵する内容を持っていますね。
ベルギー北部の公用語フラマン語で饒舌に歌い上げるヴォーカルと、オルガンとギターをメインに据えたハートフルかつ哀愁に富んだアンサンブルの組み合わせが魅力的。
この巻き舌も交え歌うヴォーカル、イタリアのカンタゥトーレ作品にも通じる味わいが滲みます。
ギターとフルートが哀愁いっぱいに交差し、シンセがうっすら幻想のカーテンを引き、甘い声質のヴォーカルが少しシアトリカルに歌うポップ・ロックは仏ロック彷彿のロマンティシズムたっぷり。
でもダークな雰囲気はなく、明るさとノリの良さが魅力的なベルギー・ポップ・ロックの逸品!
緻密すぎるドラム、スティーヴ・ハウばりに疾走するギター、流麗に舞うエレピ、オリエンタルなフレーズをギターとユニゾンするサックスらが一斉に飛び出す1曲目から、来た来た来たー!って感じです。
こんな最高のジャズ・ロックがオーストラリアの地に眠っていたとは!と感動しちゃうかなりの傑作!
アルティ・エ・メスティエリ彷彿のスピードとテクニック、そしてカンタベリー・ロックに通じる柔らかくしなやかな音色使い…。両者が完璧に調和したこんな凄いジャズ・ロックがイギリスに存在したなんて。ずばり全ジャズ・ロック・ファン必聴作。
このアイルランド産グループ、無名も無名だけど、カンタベリー・ロックやジェントル・ジャイアントを彷彿させる捻りあるセンスと圧倒的なテクニックで展開する極上ジャズ・ロック盤。どの曲も緻密に組み上げられた手工芸品のような完成度を誇っており、こりゃ素晴らし~!
ヒプノシス中屈指のインパクトを誇るホラーチックなジャケデザインでお馴染み、GREATEST SHOW ON EARTHのギタリストによる変名プロジェクトなんです。
ワイルドに歪んだトーンとタメの効いたフレージングがたまらないエレキと厚く鳴り響くハモンド・オルガンが痛快。
ソリッドに畳みかけるブリティッシュ・ハード・ロック必殺盤!
50年代あたりのレトロSF映画のパッケージを思わせるダサジャケットがかえってマイナー・プログレ・ファンの心をくすぐる英ジャズ・ロック作。
ほう、マンダラバンドの2ndに参加するサックス奏者によるバンドなのかぁ。
クールなサックスのプレイを軸に繰り広げられるイギリスらしい幻想感と憂いを帯びたサウンドにやられます!
ジム・モリソン在籍バンドTHEMの一員として活躍し、後にアメリカに渡って活動もしたギタリストJim Armstrongを中心に結成されたアイルランドはベルファスト出身のグループ。
78年の唯一作。
タメの効いたメロウかつスリリングなオブリガードとリードプレイ、哀愁たっぷりのギターがさすがです。
オーストラリアの超マイナーなミュージシャンですが、これがなかなか完成度の高いプログレ・ポップなのです。
シンセやチェンバロが折り重なるクラシカルな鍵盤と、生き生きしたポップなメロディの組み合わせが魅力的だなぁ。
そしてそれらをゆったりと覆っていくメロトロンがまた絶品!
なんと南半球のオーストラリアに、オランダのTRACEやチェコのCOLLEGIUM MUSICUMばりのクラシカルなキーボード・プログレ・バンドが居たとは!
ツイン・キーボード編成のオーストラリア産プログレ・グループによる75年の唯一作ですが、マイナーながら、クラシカルなキーボード・プログレとしてかなり完成度高いです。
オススメ!
なんとオーストラリアにもマハビシュヌやウェザーリポートばりのフュージョン系ロック・バンドが居たとは・・・。
たおやかさもあって、気持ちいい~。
イングランドが『ガーデンシェッド』をリリースしたのと同じ77年に、南半球のニュージーランドにて、ジェネシスとイエスのエッセンスを同じく継いだこんな名盤というか迷盤が生まれていたとは・・・。
これは名づけて「大道芸プログレ」!
痛快!
オランダのジャズ・ロック・バンドが残した唯一の作品で、これぞ「職人的アンサンブル」と呼ぶべき鮮やかな技巧の応酬が最高に心地よい好盤。ジャズ・ロック好きなら一聴の価値ありですよ~。
「渋めのFOCUS」と言えるかもしれないメロディアスで技巧的なダッチ・ジャズ・ロックの逸品。
ジャズ/フュージョン/ハードロックを織り交ぜた自在なギタープレイもヤン・アッカーマンばりだし、舞うようなタッチでクールに音を刻むエレピのプレイも特筆。
内容は申し分ないんだけど、ジャケの酷さだけが惜しいんだよなぁ…。
トラフィック(特にデイヴ・メイスン)やフェアフィールド・パーラーやピンク・フロイドのフォーク・ロックな楽曲あたりが好きなら、このオランダのマイナー盤は掘り出し物間違いなし!
マルチ奏者の2人によるデュオ・グループ。72年の唯一作。
イエスやフォーカスや北欧のカイパが好きなら、このオランダのマイナー・グループには「おおっ」と前のめりになっちゃうはず!
女性Key奏者&ヴォーカル、サックス&フルート奏者を擁するオランダの5人組プログレ・バンド、76年唯一作。
ジャケからプンプン臭ってくるプログレ秘宝臭。
さぁ、音の方はどうかと言うと・・・瑞々しい響きの管弦楽器、シャープに躍動するリズム隊、クラシックとジャズの両方の素養を感じさせるキーボード。
溢れるイマジネーション、たまらん・・・。
76年にイエスやフォーカスに通じるプログレ・ハードの名作『DAYBREAK』を残したMIRRORのギタリスト、ベーシスト、管楽器奏者が結成した、MIRRORの後継と言えるオランダのプログレ・バンド。81年の唯一作。
なんとマイルド&メロウなんだろう。
木霊のような男女ヴォーカルのハーモニー、幻想的にたゆたうサックス、エモーション溢れるギターなど、すべてのパートが味わい深いです。
これはロマン溢れるシンフォニック・ロック秘宝だ・・・。
もしもムーディー・ブルースに、スティーヴ・ハケットとピート・バーデンスが加入したら、って感じ!?
これはブリティッシュ・プログレ・ファンにはたまらん過ぎるダッチ・プログレ・マイナー盤!
演歌調と言ってもいいほどの哀切極まるフレーズを奏でるギターに、アルトサックスが叙情たっぷりに絡み、シンセサイザーが幻想のカーテンをなびかせる冒頭で、叙情派シンフォ・ファンならノックアウト必至!フレンチ・プログレに通じる儚さと浮遊感で包まれたオランダの秘宝盤がこちら。
当時たった500枚のみが限定プレスされた幻のフレンチ・シンフォ逸品!
イエス影響下の明るく開放的なシンフォにエレピやオルガンが醸し出す甘い幻想性が加わったメロディアスで聴きやすいサウンドが◎!
こ、これは「MAGMA+GG」と言っても過言じゃない、暗黒エネルギーと意表を突くアレンジセンスが融合した個性派ジャズ・ロック!
おっと、あの変態チェンバー・シンフォ・バンドTIEMKOを結成するドラマーだったのね!それならこの超絶ぶりも納得。
仏ジャズ・ロック・シーン、まだまだ奥深しだなぁ…。
こちらも無名ながらとんでもない一枚。
ザッパへのリスペクト溢れまくりのこの1曲目なんて、『シーク・ヤブーティ』がお好きなら絶対ニヤリとしちゃうはず!
他の曲ではカンタベリーな芳醇さも匂い立ってくるし、こんな素晴らしいバンドが一枚しかアルバムを残さなかったとは…。
フランスからの極めつけはこの作品!
淀みなく紡がれるアコギアルペジオに、少し緊張感あるエレキが被さるギター・サウンドを、ストリング・シンセや浮遊感あるSEが幻想的に彩るプログレは、さながらMIKE OLDFIELD+CARPE DIEMって感じ!?
フレンチ・ジャズ・ロック、82年の唯一作。
ギターとサックスが時にエネルギッシュなプレイを応酬させ、時に一糸乱れぬユニゾンで快走する、硬質なテクニカル・ジャズ・ロックはもう抜群のカッコよさ!
反復フレーズで煽るようなサックスのプレイからはZEUHL色も垣間見えます。
遊び少なめの武骨で硬派なジャズ・ロックの逸品。
key奏者とドラマーからなる仏シンフォ・ユニットが残した79年作。ストリングス・シンセやハモンドが丁寧に織り上げていく、実にフランスらしいエレガントなシンフォニック・ロックが絶品です。パーカッションを交えた表情豊かなドラムも聴き所!
アコギ、エレピ、サックスらが紡ぐこのどこかミステリアスで浮遊感ある音使い、どうしようもなくフランスだなぁ。枯れた哀愁もたっぷりと含んだメランコリックかつ浪漫あるジャズ・ロックの逸品です。
R.フリップとJ.マクラフリンを合わせたような攻撃的なギターと、ふくよかなダブルベースの響きが対比する、フランス発個性派インプロ・ジャズ・ロック!硬質さと芳醇さの絶妙な均衡が見事!
アトールと同じEURODISCよりデビューしたもうひとつのフレンチ・シンフォ・グループによる76年デビュー作。
マイナーな作品ですが、ずばりアトール、アンジェ、モナ・リザあたりのフレンチ・ロックの名バンドにも一歩も引けをとらないと言って過言ではありません。
70年代末に残されたフレンチ・シンフォの秘宝。
ジャケには秘宝感ないですが、奥ゆかしく叙情的なシンフォニック・サウンドはいかにもフランスならではで秘宝感ぷんぷん。
30名を超えるミュージシャンが演奏に参加した、フランス産ジャズ・オーケストラの傑作!
注目はのちにSANDROSEの一員として名作を残すギタリストJean-Pierre Alarcenの存在で、一聴して彼と分かるアーティスティックな感性を伴った緊張感あるプレーを披露していて必聴。
フランスらしい格調高さも垣間見れるものの、基本は技巧的に畳み掛けるアグレッシヴな攻めのサウンドが続いていく内容で、プログレ・ファンなら興奮しっぱなしのサウンドのはず!
サックスとキーボードの感じは『4th』『5th』あたりのソフト・マシーンですが、そこにぶつかっていく硬質なギターとリズムが実に強烈。
サックス奏者を擁するフランスのジャズ・ロック/アヴァン・ロック・バンド。77年の唯一作。
マイナーながら、ずばり傑作。
こんな作品まで存在したとは…。
タイ・フォンのキーボード奏者が結成したフレンチ・シンフォニック・ロック・バンド、77年の唯一作。
イマジネーションがめくるめくアンサンブルが持ち味で、独特な音の色彩感覚はいかにもフランス。
ゲスト・ヴォーカルとして、タイ・フォンのKhanh Mai、Tai Sinh、Jean-Jacques Goldmanが参加しているのも特筆。
フランスらしい魅力に溢れたシンフォニック・ロック傑作!
MONA LISAやANGEが好き?
ならこの超絶マイナーなフレンチ・シンフォ作品も聴いてほしいです。
霧の中から響くようなミステリアスで奥ゆかしい演奏に、これでもかとエモーショナルなシアトリカル・ヴォーカルが映える!
夢想的なキーボードワークとジャジーで緊張感あるギターが対比する、実にフランス然としたサウンドが堪らぬマイナー・プログレ82年作。
70年代に出ていれば名を残していたであろう完成度の高い好盤!
ヴィブラフォンやエレピが静謐に鳴るアート・ロックに、ジミヘン彷彿の奔放かつスリルあるギターが豪快に乗っかる1曲目、ずばり名曲!
MAGMAで知られるローラン・チボーも参加した、フランスの奇才ギタリスト71年作。
COSのメンバーだったKey奏者とベース奏者によるグループの77年唯一作。
爽やかに柔らかにたゆたうフルートを中心に、優美なエレピ、フィル・ミラー彷彿の繊細なギターが織りなすサウンドは、カンタベリーのナショナル・ヘルスやギルガメッシュに通じている印象。
カンタベリー・ミュージックをはじめ、COSやPAZOPなどベルギー・ジャズ・ロックのファンは必聴と言える名品。
近年素晴らしい作品が数多く発掘リイシューされているスイスのプログレ。
その中でも特に再発が待たれていた作品の一つでしょう。
それにしても78年のスイスで、よもやCRESSIDAファンにオススメできるオルガン・プログレ作品が誕生していたとは。
でも夢想的に漂うシンセのトーンなんかはいかにもユーロ・ロック的で、これまた味わい深いんだよなぁ。
ジャケは何とも言えないセンスですが、この2ndもさすがの内容です。
キーボード&ギターがクラシカルでエレガントなフレーズを次々と紡ぎ出すファンタジックな演奏が素晴らしい。
キャッチーなメロディメイクにも注目の、前作に劣らぬスイス産クラシカル・ロック秀作!
管弦楽器が中心となって紡いでいく、ただひたすらに優美でリリカルで歌心に溢れたアンサンブルは、聴いていて涙が出そうなほど。スイスにこんな感動的なシンフォが眠っていたなんて。
ブルース・ロックに荘厳なメロトロンって…合うの!?これが合っちゃうんですよね~。
さらにはエネルギッシュなフルートやサックスまで絡んできて、このスイスのグループ、かなり個性的っす!
スイスのプログレと言ったらISLAND、DRAGONFLY、CIRCUSなどが有名ですが、こんなにも素晴らしいバンドが埋もれていたとは。
ずばりトレースmeetsキャメルと言えちゃう、クラシックの引用を巧みに織り込んだ優美かつキャッチーな音作りと、時に情熱的に畳みかけるツイン・キーボード主体のアンサンブルが特徴。
キーボード・シンフォ好きなら一聴の価値ありと言える逸品です☆
まるで初期シカゴとウィッシュボーン・アッシュとクレシダが合体したような感じ!?
ベルギー出身、ツイン・ギターに加え、ブラス&フルート奏者、キーボード奏者を含む7人組グループ、EMIより75年にリリースされた唯一作。
ずばりユーロ・ロック名作。
70年代後半のスペイン頭部のバレンシアでこんなにも美しくセンチメンタルなシンフォニック・ロックが生まれていたとは。
特にギターの表現力、まるでギターを震わせているような感じで『ブロウ・バイ・ブロウ』でのジェフ・ベックを彷彿させるヴァイオリン奏法が見事です。
軽快なジャズ/フュージョン展開も抜群に決まってるし、これはグレイト!
クリムゾンの『ポセイドンのめざめ』をジェスロ・タルがカヴァーして、そこにマイルス・バンドの面々が乱入したらこんな感じになるかも!
スペインのアンダルシアにこんな強烈なプログレ作品が生まれていたなんて…。。
2020年のリイシューの中では一番の目玉かもしれないのがこの北欧シンフォ名品。
決して技巧的じゃないけれど、まるでオランダのTRACEと同郷KAIPAを合わせたような、クラシカルな美麗さと北欧然とした透明感&温かみが融合したサウンドが至上です。
秘宝感満点のジャケット通りのサウンドだなぁ。
北欧らしい透明感のあるクールなジャズ・ロックを聴かせていたかと思ったら、突如マハヴィシュヌばりのスリリングなバカテク・アンサンブルが炸裂して仰天~!
特にギターはマクラフリンに通じる知的な凶暴さを持っており、ハード・ロックすれすれの所で切れ味鋭くヘヴィにのたうつプレイが圧巻です。
時おり挿入されるオリエンタルな旋律もセンス抜群な北欧ジャズ・ロックの秘宝盤!
イエスやジェネシスやグリーンスレイドやベガーズ・オペラあたりのファンは聴いていて、思わず笑みがこぼれてくること間違いなし。
このスウェーデンのバンド、マイナーだけど驚きのクオリティ!
このヴォーカル、ジム・モリソンとスティーヴ・ウィンウッドの中間に位置するような感じで良いなぁ。
演奏は、フロイドや初期タンジェリン・ドリームみたいだし、ぬぬ、スウェーデンのグループによる69年作とは!
ハード・ロック前夜の煙のような空気が充満する中で、鳴り響くハモンド・オルガンとファズ・ギター。
でも、スウェーデンらしく、ヘヴィさの向こうには透明なリリシズムも感じさせてグレイト。
デンマークのジャズ・ロック・グループによる、「人の一生」をテーマにしたと思われる79年作。
ベースとなるのはゴリゴリ疾走する熱くハードなジャズ・ロックですが、フュージョン~フォーク~中世風味のクラシカル・タッチまで、
一曲の中でジャンルレスに展開していく変幻自在さも持ち合わせた実力派。
スタイルの多彩さとユニークさでは北欧のみならず、ユーロ・ジャズ・ロックでも屈指と言っていいかも!
デンマークにこんな心躍るクラシカル・キーボード・ロック・バンドが居たなんて!
トレースやコレギウム・ムジカムあたりのファンはウキウキしちゃうはず。
77年の2ndアルバム。
サウンドの印象は、グリーンスレイドとオランダのトレースを足して2で割り、EL&Pのエッセンスをスパイスで加えたような感じ!
やはりトレースやチェコのコレギウム・ムジカムなど、クラシカルなキーボード・プログレのファンは必聴でしょう。愛すべき逸品です。
聴いて頭に浮かんだコピーは「カイパ meets イル・ヴォーロ」。
高い演奏力に裏打たれたアンサンブルのキレ味と北欧産らしい流麗さ&透明感が味わえる、デンマーク発インスト・ジャズ・ロック!
ザッパばりの諧謔精神炸裂しつつ、切れ味鋭く駆け抜けていくジャズ・ロック・アンサンブルがカッコ良すぎ!
こんな凄いバンドがデンマークに眠っていたとは…。視聴是非!
ダウナーなサイケ感と洗練されたジャズ/フュージョン、北欧らしい幻想性が一つになったサウンドは実に個性的。
カンタベリー界隈にもちょっぴり通ずる、淡く幽玄なデンマーク産プログレ秘宝。
いかがでしたか?
これは一枚でも知っている作品があれば相当なプログレ・マニアと言えるレベルのディープさではないでしょうか。
気になる作品を見つけていただけたなら幸いです☆
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1974年に英ブリストルで結成、2人の管楽器奏者を擁する7人組ジャズ・ロック・バンドによる77年の唯一作。このサウンド、ずばり「アルティ・エ・メスティエリ meets カンタベリー・ロック」!手数多くも精密に刻む技巧的なドラミング&ベースが作り出すタイトかつスピーディなリズムに乗って、流れるように快速フレーズを繰り出すギター、ふわりとファンタジックな音色を紡ぐエレピ&シンセ、そして艶のあるしなやかな音色で駆け抜けるフルート&サックスが躍動。アルティばりのスピードとテクニックでひた走るテクニカル・ジャズ・ロックに、カンタベリー風の優雅で芳醇な管楽器群を重ねたこのアンサンブル、ジャズ・ロック然とした強度と、柔らかく軽やかなタッチが見事に一体となっていて、もうとにかく素晴らしすぎます。アルバム後半で聴けるアコースティック・ギターをメインとする地中海的エキゾチズム薫るアンサンブルも極上。こんな大変な傑作がまだイギリスにあったなんて!と驚かずにはいられない逸品です。
オランダのプログレ・グループによる78年のデビュー作。冒頭からとにかく哀愁が迸りまくり!!演歌調と言ってもいいほどの哀切極まるギターフレーズに、アルト・サックスが叙情たっぷりに絡み、そこにシンセサイザーが幻想のカーテンをなびかせる冒頭で叙情派シンフォ・ファンなら即ノックアウトでしょう。やや頼りない歌声の英語ヴォーカルも、かえって叙情味を際立たせていてこれしかないといった風情を漂わせます。比較的端正で歯切れのいいバンドが多いオランダにあって、まるでフレンチ・プログレのように儚げで浮遊感あるシンフォを聴かせる一枚。
COSのメンバーだったKey奏者とベース奏者を中心に、WATERLOOやPAZOPやPLACEBOで活動していたフルート奏者、ギタリスト、ドラムにより結成されたベルギーの5人組ジャズ・ロック・バンド。77年の唯一作。爽やかに柔らかにたゆたうフルートを中心に、優美なエレピ、フィル・ミラー彷彿の繊細なギターが織りなすサウンドは、カンタベリーのナショナル・ヘルスやギルガメッシュに通じている印象。シャープでいてファンキーなグルーヴ感もあるリズム隊も特筆ものです。精緻かつダイナミズムもあるサウンドは、カンタベリー・ミュージックをはじめ、COSやPAZOPなどベルギー・ジャズ・ロックのファンは必聴でしょう。名品です。
オランダ出身のジャズ・ロック・バンドが74年にリリースした唯一のアルバム。寸分も狂いなく刻む鋭い打音のドラムス、メロディアスな音運びのベース、ヤン・ハマーを思わせるピッチベンドを多用した躍動感あるプレイのシンセとエレピ、スリリングで緊張感あるフレーズで切り込むギター。緊密なテンションが支配するテクニカル・ジャズ・ロックを聴かせる、挨拶代わりの一曲目でその実力がわかります。以降はファンキーな跳ねるリズムも入ったフュージョン風ジャズ・ロックとなり、一曲目に比べてリラックスしているようでいて、どこか緊張感を持続させた油断ならない演奏がまた堪りません。基本的にインストですが、ムーディーなフュージョン曲で突如歌い出すリチャード・シンクレアみたいなヴォーカルも印象的。これぞ「職人的アンサンブル」と呼ぶべき鮮やかな技巧の応酬がただただ心地よい好盤。ジャズ・ロック好きなら一聴の価値あり!
ジェネシスやキャメル影響下のメロディアスなサウンドが人気のフランスのシンフォニック・ロック・バンド。76年のデビュー作と甲乙つけがたく人気の79年作2ndで、フランスの作家ボリス・ヴィアンによるSF青春小説『日々の泡』をモチーフにしたコンセプト・アルバム。前作から、ドラムが代わり、キーボーディストが加わってツイン・キーボード編成となって録音されています。ラインナップの変化はプラスとなった印象で、シャープに引き締まったドラム、左右チャンネルから鳴らされてシンフォニックに広がりドラマ性を高めるキーボード・アンサンブルは特筆。スティーヴ・ハケットやアンディ・ラティマーを彷彿させる繊細なタッチのリリシズム溢れるギターは相変わらず絶品だし、奥ゆかしさがフランスらしいヴォーカルもまた魅力的だし、ジェネシスやキャメルのファンにはたまらない「詩情」と「ドラマ」に満ちています。マイナーながら叙情的なシンフォニック・ロックの名作です。
デンマーク出身のキーボード・プログレ・バンド、77年作の2nd。デビュー作からキーボード奏者2人が代わり、新たなツイン・キーボード編成で録音されています。サウンドの印象は、グリーンスレイドとオランダのトレースを足して2で割り、EL&Pのエッセンスをスパイスで加えたような感じ!?キース・エマーソンを彷彿させるスペーシーかつ攻撃的なフレーズあり、天へと真っ直ぐに登っていくようなクラシカルなフレーズあり、温かでファンタスティックなトーンのフォーキーなフレーズあり、ムーグやハモンドがこれでもかと躍動する、キーボード・プログレのファン歓喜の音が溢れています。引き締まったタイトなリズムから、R&Bなグルーヴで躍動するリズムまで、リズム・セクションの充実も特筆。ここぞでは、エレキ・ギターや激しいフルートをフィーチャーするなど、プログレッシヴなアレンジも見事です。ほぼインストながら、デンマークらしい朗らかなメロディ・ラインが散りばめられていて、最後まで一気に聴き通すことができます。デビュー作と並び、トレースやチェコのコレギウム・ムジカムなど、クラシカルなキーボード・プログレのファンは必聴でしょう。愛すべき逸品です。
フランス出身、80年代末〜90年代にチェンバー/シンフォ・バンドTIEMKOで活躍するドラマー/コンポーザーが80年に残したソロ唯一作。マイナーながら、これはジャズ・ロック・ファン要チェック!息つく暇も与えず畳みかける緊張感みなぎるドラミングと手数多く躍動するベースが牽引し、ギターとオルガンが切れ味鋭いフレーズを応酬させ、その周囲をシンセが不気味に浮遊する、タイトな疾走感と不穏さを併せ持つアンサンブルはかなり個性的。1曲目や5曲目の執拗な反復で熱気たっぷりにまくしたてる展開は間違いなくMAGMAを受け継ぐZEUHLの系譜だし、かと思うと不気味なトーンのシンセがクラシックを独奏したりと変幻自在。この摩訶不思議なセンスはさすが孤高のバンドTIEMKOのコンポーザーなだけあります。まるでMAGMAの暗黒エネルギーとGENTLE GIANTの意表を突く楽曲展開を合体させたと言っても過言ではない、アヴァン・ジャズ・ロックの傑作!
タイ・フォンのキーボード奏者が結成したフレンチ・シンフォニック・ロック・バンド、77年の唯一作。ジャケットのイメージ通りのほの暗いスペーシーなトーンで鳴るシンセ。繊細なタッチとサステインの効いた幻想的なトーンが魅力のメロディアスなリード・ギター。そんなシンセとギターを中心とするスペーシーかつ幻想的なパートを軸に、アコギの軽やかなバッキングとパーカッションをフィーチャーしたP.F.M.「セレブレーション」ばりに躍動するパート、クラシカルなアコギの爪弾きと格調高いピアノによる「春」を想わせるパート、マリンバをフィーチャーしたドリーミーなパートをはさむなど、イマジネーションがめくるめくアンサンブルが持ち味です。独特な音の色彩感覚はいかにもフランス。ゲスト・ヴォーカルとして、タイ・フォンのKhanh Mai、Tai Sinh、Jean-Jacques Goldmanが参加しているのも特筆で、壮麗な多声コーラスも聴きどころ。フランスらしい魅力に溢れたシンフォニック・ロック傑作です。
デンマーク出身のキーボード・プログレ・バンド、74年のデビュー作。明るく華やかなトーンで広がるハモンド・オルガンとクラシカルなリードを奏でるムーグ・シンセを中心に、粒立ちの良いトーンの明瞭でメロディアスなギター、高音が際立ったゴリゴリとしたトーンでアグレッシヴにランニングするベースがめくるめく心躍るサウンドが印象的。ジェントルなヴォーカル、気品のある美しいメロディもグッときます。エドヴァルド・グリーグによる組曲「ペール・ギュント」をモチーフにした15分を超える大曲も聴きどころ。オランダのトレースやチェコのコレギウム・ムジカムあたりが好きなら間違いなく気にいるでしょう。クラシカルなキーボード・プログレの名作です。
アイルランド出身、ギター、キーボード、ベース、ドラムの4人からなるプログレ/ジャズ・ロック・グループ、76年の唯一作。安定感あるリズムと流れるようなタッチのギター&エレピが紡ぐ端正なジャズ・ロックがベースとなっていますが、その音楽性は実に多彩。77年に唯一作を残した美声女性SSW、Rosemarie Taylorをフィーチャーしたカンタベリー・ロックに通じる柔らかくロマンチックな3曲目、GGのケリー・ミネアの作風を思わせる浮遊感あるプログレ・ナンバー、バグパイプ風のキーボードのプレイがカッコいいアイリッシュ風味香るテクニカル・ジャズ・ロックなど、バラエティに富みつつもどの曲も緻密に組み上げられた手工芸品のような完成度を誇っており実に素晴らしいです。ラストは初期GGのアルバムに入っていてもおかしくないほどの凝りに凝った展開とコーラスに彩られたナンバーでハイライトの一つ。底知れぬ技巧と捻りあるユニークな音楽センスを備えたグループによる名盤です。
スウェーデンを代表するKey/管弦楽器奏者Bjorn J:son LindhやQUATERMASS〜HARD STUFFのJohn Gustavsonらによるプロジェクトで73年に唯一作を残したBALTIK。そのメンバーだったB.J.Lindh、John Gustafson、Jan Schaffer(g)らに、Gustafsonの盟友Peter Robinsonが合流して結成されたジャズ・ロック/フュージョン・グループ、74年唯一作。全楽器が圧倒的なテンションと音数でスリリングに疾走するド派手なジャズ・ロックは、かなり明白にMAHAVISHNU ORCHESTRAへの対抗心を感じさせるもの。ガンビア出身ドラマーMalando Gassamaがパーカションも多用し猛烈な手数で捲し立てると、Gustafsonも負けじとキレのあるベースで応じ、その上でSchafferの熱量高いテクニカル・ギターとRobinsonの目にもとまらぬエレピが火花を散らします。凄いのがそこに割って入るLindhのフルート。ギターの速弾きと難なくユニゾンするスーパープレイはさすがの一言です。Ian Andersonばりの唾吐きフルートも決まってます。数あるMAHAVISHNU ORCHESTRA直系ジャズ・ロックの中でも、このテンションMAXの畳みかけは屈指の凄まじさでしょう。英国とスウェーデンの凄腕たちが持ち前のテクニックを存分に披露したジャズ・ロック痛快作!
76年にイエスやフォーカスに通じるプログレ・ハードの名作『DAYBREAK』を残したMIRRORのギタリスト、ベーシスト、管楽器奏者が結成した、MIRRORの後継と言えるオランダのプログレ・バンド。81年の唯一作。小刻みなハイハットワークで軽やかに疾駆するドラム、ハイ・ポジションで動き回るベースによる躍動感いっぱいのリズムを土台に、クラシカル&ジャジーで洗練されたピアノのリード、粒立ちがよくハード・エッジでメロディアス&エモーショナルなギターのリードがめくるめくインスト・プログレが持ち味。優しくメロディを奏でるオーボエと格調高くリリカルなピアノによる穏やかな情景が浮かんでくるようなパートなど、溢れるイマジネーションも魅力です。フォーカスやフィンチのファンは必聴と言える逸品です。
オランダのシンフォニック・ロック・バンド、79年の唯一作。サウンドはずばり「もしもムーディー・ブルースに、スティーヴ・ハケットとピート・バーデンスが加入したら!?」って感じ。フォーキーなメロディ、朗らかでジェントルなヴォーカル、陰影を描くメロトロンなどはムーディー・ブルースを彷彿させながら、アンサンブルにはジェネシスやキャメルに通じるドラマティックさがあります。ハモンド・オルガンのクラシカルなキメとシャープなリズム・チェンジで緊張感を生むリズム隊との組み合わせはまるでジェネシスだし、ギターの繊細なアルペジオにムーグの柔らかなリードが乗るパートはキャメルを思い出します。ローカルなレーベルからのリリースで原盤は激レアのようですが、クオリティの高さは特筆もの。これはユーロ・ロックの秘宝と言える名作です。
81年に自主制作リリースされた、スイス産シンフォニック・ロックの逸品。TRACEとCAMELを合わせたような、クラシックの引用も多用し凛とした気品を保ちつつも情熱的に展開される、ツイン・キーボードを主体とするアンサンブルが絶品です。スイスと言えばISLANDやDRAGONFLY、CIRCUS当たりが知られますが、こんな素晴らしいバンドが存在したとはっ!
17年初CD化、デジタル・リマスター。最終曲終了後約10秒にわたって雑音が入りますが、CD化の際のミスと思われます
ツイン・キーボード編成のオーストラリア産プログレ・グループ、75年の唯一作。手数多く切れ味の鋭いドラム、ゴリゴリのトーンで疾走するリッケンバッカー(←おそらく)ベースによるスピード感あるリズム隊、そして、クラシカルかつR&B〜ジャズ的なグルーヴ感もあるピアノと透明感あるトーンの幻想的なキーボード・ワークが印象的で、端正かつジェントルなキーボード・プログレ・サウンドは、EL&PというよりオランダのトレースやチェコのCOLLEGIUM MUSICUMあたりを彷彿させます。気品のある伸びやかな男性ヴォーカル、フックに富んだ流麗なメロディもまた魅力的。マイナーながら、クラシカルなキーボード・プログレとしてこれはかなり完成度高いです。これはオススメ!
デンマーク産ジャズ・ロック・バンド、77年作1st。こ、これは凄いです…。北欧トラッド感漂うフレーズを吹き鳴らすサックスとアヴァンギャルドなギターが変拍子織り交ぜつつ疾走、かと思えば突如洒脱でムーディーなジャズ・ロック・パートに突入し、ヴォーカルが入れば人を食ったようにファンキーなサウンドに変貌し…。本格的なジャズの素養を感じさせるしなやかな技巧性と、ザッパやSAMLA MAMAS MANNAを思わせる諧謔精神が交わった変幻自在のアンサンブルは、とても無名とは信じられぬほどの完成度。とにかくキレのあるサックスが出色で、幻想的なエレピや強靭に歪んだギターと絡み合うナンバーはクリムゾンやHENRY COW好きにもグッと来ること間違いなしでしょう。COMPANYIA ELECTRICA DHARMAのファンにもオススメです!視聴是非。
フルート、サックス、リコーダー、ヴァイオリン(ヴィオラ)、チェロなどをフィーチャーしたスイスはクール出身のグループによる74年リリースの唯一作。これは絶品です!ゆったりと刻まれるリズムに乗って、クラシカルで柔らかなタッチのエレピとオルガン、切ない泣きのフレーズを主とするギター、ひたすら気品高く優美に鳴らされるフルートやリコーダー、奥ゆかしくも伸びやかなフレーズを紡ぐヴァイオリンやチェロ、それらが美しく交わり合いながらデリケートに織り上げていくシンフォニック・ロックは、とにかく息を呑むほどに感動的。テクニカルではないのですが、どの楽器のプレイにも「歌心」が溢れんばかりで、アルプスの雄大な山々を臨むスイスの自然情景をそのまま音に置き換えたような映像喚起力に満ちた演奏を聴かせてくれます。英語とドイツ語で歌う厳かでロマンチックな表情の低音男性ヴォーカルも見事にサウンドとマッチ。CAMELやケベックのシンフォ・バンドOPUS 5あたりがお好きならきっと間違いない、まさしくユーロ・シンフォの隠れ傑作です!
デンマークのインスト・ジャズ・ロック・バンド、ポリドールから76年にリリースされたデビュー作。聴いて頭に浮かんだコピーは「カイパ meets イル・ヴォーロ」。カイパに通じる北欧らしい幻想性やリリシズムに加え、イル・ヴォーロを彷彿させる清涼感あるフュージョン・ロック風味があって、このバンドはいいなぁ。シャープかつ手数多く引き締まったリズム・セクションをはじめ、テクニックも特筆だし、キレ味と流麗さが同居したアンサンブルも見事。これは名作です。
スペイン南部はアンダルシア地方の地中海に面する都市マラガ出身のプログレ・バンド。80年の1stで、RCAからのリリースながらわずか600枚ほどがプレスされたのみの激レア盤。海外のレビュー・サイトでは、ゴング、ソフト・マシーン、チック・コリア、マイルス、ザッパ、そして、フラメンコの融合、と評されていましたが、なるほど言い得て妙。クリムゾンの『ポセイドンのめざめ』をジェスロ・タルがカヴァーして、そこにマイルス・バンドの面々が乱入したらこんな感じになるかも。バタバタと手数多くシャープ&タイトなジャズ・ロック・スタイルのドラム、動きまくるアグレッシヴなベースによるリズム隊を土台に、ギターが、猥雑なファズ・ギターからロバート・フリップ風の緊張感あるアルペジオまでダイナミズムをつけ、フルートが時にミスティックに、時に軽やかなフレーズで駆け抜け、ここぞではサックスがブイブイと炸裂する。熱情のアンダルシア・スタイルのヴォーカルも特筆で、オペラ・スタイルを持つバンコのジャコモへの、フラメンコ・スタイルからの回答といった感じ。雰囲気抜群のジャケのイメージ通りのプログレ/ジャズ・ロックの秘宝です。
スペイン東部は地中海に面するバレンシアで結成されたスパニッシュ・シンフォニック・ロック・バンド、78年のデビュー作。一曲目のタイトル・トラックの何と物悲しく美しいこと!寄せては返す波のようにしっとりと奏でられるピアノ、一音一音をゆったりと紡ぐメロディアスなギター、そこにユニゾンであわせる陰影たっぷりのキーボード。ギターの表現力は特筆もので、まるでギターを震わせているような感じ。『ブロウ・バイ・ブロウ』でのジェフ・ベックを彷彿させるヴァイオリン奏法も見事です。ハイ・トーンのセンチメンタルな男性ヴォーカルも胸に迫るし、これは名曲だなぁ。柔らかなトーンのエレピや軽やかに奏でられるギターのアルペジオなど、フュージョン・タッチの歌ものなんか、イスラエルあたりのジャジー&ポップなバンドも彷彿させて素晴らしいし、12分を超えるラストでは、シャープなジャズ/フュージョン・ロックを軽快に聴かせるし、このバンドはグレイト!
女性Key奏者&ヴォーカル、サックス&フルート奏者を擁するオランダの5人組プログレ・バンド、76年唯一作。太くもエッジの立ったトーンのリズムと粒立ちの良いキャッチーなリードがフォーカスを彷彿させるエレキ・ギター、ゴリゴリと疾走するベース、手数多くスピーディーに畳み掛けるドラム、そして、エネルギッシュなリズム隊&ギターと対照的に、涼やかなトーンのキーボード、流麗なフルートやサックス。そんな各パートが押しては引いてのせめぎあいを続ける「緩」「急」いっぱいのアンサンブルが持ち味です。イエスやフォーカスや北欧のカイパが好きなら「おおっ」となることでしょう。インスト中心ながら、時にハイ・トーンの女性ヴォーカルも入るのも特筆。ちょっとバタバタ感はいなめませんが、そのB級感がまた愛すべきところであり、リード・ギターをはじめ、リードはハッとするメロディに溢れています。
マンダラバンドの2ndに参加するサックス奏者Phil Chapmanや、後にセッション・ミュージシャンとして数多くの名ジャズ・プレイヤーと共演するドラム/パーカッション奏者のDave Hassellが在籍したイギリスのプログレ・バンド。76年唯一作。時にパーカッションをフリーフォームに叩いては空間を埋め、時にタイト&シャープなドラミングでアンサンブルを引き締めるリズムを土台に、スペーシーかつメロディアスなエレピのバッキングが色彩を放ち、その上でサックスが流麗なリードを次々にキメていくスタイルのジャズ・ロックが持ち味。サックスとキーボードがミニマルなキメのフレーズを炸裂するところは、ソフト・マシーン『6th』あたりのサウンドも彷彿させます。
ベルギー出身、ツイン・ギターに加え、ブラス&フルート奏者、キーボード奏者を含む7人組グループ、EMIより75年にリリースされた唯一作。ブラス・ロックを彷彿させる逞しくもシャープなリズム・セクション、クラシックな気品もあるドラマティックに盛り上がるツイン・リード・ギター、英VERTIGOの作品群を彷彿させる流麗なフルートや淡いオルガン、そして、多声コーラスを交えて荘厳に盛り上がっていくヴォーカル&ハーモニー。まるで初期シカゴとウィッシュボーン・アッシュとクレシダが合体したような何とも魅惑的なサウンドが全編で繰り広げられていてビックリ。演奏は安定感抜群だし、変拍子のキメを織り交ぜながら忙しなく畳み掛ける展開もプログレッシヴだし、メロディもフックたっぷりだし、これは素晴らしい作品。ユーロ・ロック名作!
GREATEST SHOW ON EARTHのギタリストGarth Watt-Royの変名プロジェクト。72年の唯一作。ワイルドに歪んだトーンとタメの効いたフレージングがたまらないエレキ・ギター、キレのあるリズム・チェンジで攻撃的なダイナミズムを生むリズム隊、厚く鳴り響くハモンド・オルガン。ソリッドなブリティッシュ・ハード・ロックの快作です。オール・インストで爆走!ソロ・パートはディープ・パープルばりにスピーディー!
70年代前半に活動したオランダのジャズ・ロック・グループによる74年作2nd。俊敏なリズムに乗って、派手に弾きまくるオルガンとスリリングで技巧的なギター、渋くむせぶブラスらが丁々発止で繰り広げるスタイリッシュなジャズ・ロック・アンサンブルが炸裂!のっけからかなりカッコいいです。2曲目からはややジャズ要素が強めですが同郷FOCUSへの意識を感じさせるメロディアスなナンバーが続きます。ジャズ・ロックと言うと無骨で硬質な印象を持ちがちですが、このバンドはフュージョン的な軽やかさとどこかお洒落な感覚が備わっていて、伸びやかで洗練されたサウンドがとても心地いいです。ギターはジャジーに抑えたプレイを主としますが、ここぞという場面ではハードに切り込む熱いプレイで圧倒し振れ幅自在。このへんは少しヤン・アッカーマンを彷彿させるかも知れません。舞うようなタッチでクールに音を刻むエレピのプレイも特筆です。これほどのバンドが埋もれていたとは驚き!ジャケの酷さが勿体無いですが、中身は絶品ジャズ・ロック。これは名品です。
76年〜78年に活動したニュージーランド出身のプログレ・ハード・バンド、77年の唯一作。ピーター・ガブリエルにちんどん屋&サーカス風味を加えたような演劇的かつ素っ頓狂なヴォーカルがいきなり強烈。演奏もテープを早回ししてるようにえらく焦燥感たっぷりで、切れこむ変拍子のキメはジェントル・ジャイアントばりだし、エッジの立ったトーンで忙しなく動きまわるベースはイエスを土台にしつつも何だか違う方向に突き抜けちゃってるし、子供の声みたいなコーラスも奇天烈感たっぷりだし、イングランドが『ガーデンシェッド』をリリースしたのと同じ77年に、南半球にて、ジェネシスとイエスのエッセンスを同じく継いだこんな名盤というか迷盤が生まれていたとは・・・。これは名づけて「大道芸プログレ」!痛快なるプログレ・ファン必聴の一枚です。
スイス出身のブルース・ロック/フォーク・ロック・グループによる74年デビュー作。アコースティック・ギターが瑞々しく奏でるトラッド・フォーキーなプレイとエレキギターによるブルージーなプレイが交差するアンサンブルと、少し癖のあるアクセントが楽しいドイツ語ヴォ―カルが織りなす「いなたさ」全開のサウンドがとても味わい深いです。陰影をたっぷり帯びたオルガンの響きもそんないなたさをググっと引き立てています。フルートはありませんが、この土の匂いが舞い上がるようなフォーキー・ブルース・ロックはJETHRO TULL好きの方にストライクではないでしょうか。愛すべきスイス・ロックの逸品です。
スウェーデン出身のキーボード・シンフォ・トリオが79年に残した唯一の作品。これは、オランダのTRACEと同郷のKAIPAを合わせたようなサウンド!気品高く美旋律を紡ぐクラシカルなオルガン、北欧然とした透明度高くデリケートな音色のシンセ、そしてどこか人懐っこく温かみあるスウェーデン語ヴォーカルが織りなすシンフォニック・サウンドは、技巧的ではありませんが、両バンドに通じる味わいを持っています。気高く飛翔するヴァイオリンやトランペットもアンサンブルを劇的に彩っていて至上。秘宝感満点のジャケット通り、これは北欧シンフォ・ファンならマストな一枚!
78年から80年までの活動期間に3枚のアルバムを残したスイスのグループ、80年作の最終作。ALLMAN BROTHERSの曲から拝借したであろうグループ名の通り、ギターにはブルース・ロックの残り香を感じますが、このバンドが面白いのは、ユーロ・ロックらしい幻想性や寂寥感に満ち溢れているところ。ひっそりとたなびくように鳴るキーボード(メロトロン?)、初期クリムゾンを彷彿させるアヴァンギャルドなサックスやフルート、マイケル・ジャイルスからの影響を強く感じるタイト&メロウなドラム、そして、物悲しいヴォーカルとリリカルなメロディ。まるでクリムゾンの『ポセイドンのめざめ』『リザード』 meets ウィッシュボーン・アッシュって感じ!?辺境プログレらしい奥ゆかしさもたっぷりなユーロ・ロック&プログレの隠れた名品です。
スイス出身のプログレ・グループによる、78年作1stアルバム。気品漂う叙情的なメロディとオルガンがこれでもかと哀愁のフレーズで畳みかける演奏を聴かせる1曲目は、70年代初頭のブリティッシュ・ロックと言われても信じてしまいそうです。派手に泣くハードロック色を帯びたギターも印象的。でもシンセのフワフワと夢想的なトーンや、クラシックの引用を軽やかでエレガントに聴かせるセンスなどは、やはり英国とは異なる欧州ロックならではの味わいを感じさせます。CRESSIDAあたりのオルガン・ロック・ファンにもオススメですし、同郷ならWELCOMEあたりがお好きであればきっと気に入るはず。
スウェーデン出身、トランペット奏者、リズムギター兼フルート奏者を擁する5人組プログレ・グループの72年唯一作。この一筋縄ではいかないジャジー&ブルージー&ファンキーなプログレはかなり個性的。重いギターリフを主体とする反復にキレのあるトランペットが絡みつくサウンドが妙にカッコいい1曲目から他に例えようのない印象。続く2曲目は、北欧プログレ作品の多くに1曲は入っている民謡的ないなたさをベースにした民族色溢れるナンバー。1曲目の続きのようなヴォーカル入りの3曲目を経ると、4曲目はギターがドライヴ感満点に弾きまくる痺れるハード・ロック。この影響元が容易にはつかめない作風はとにかく孤高。随所に現れる硬質なトランペットと軽やかなフルートがユニゾンするパートは独特で面白いし、英語で歌うヴォーカルは英ロックに通じる哀愁を孕んだジェントルな歌声が堪りません。曲者感ぷんぷんのジャケット通りの内容と言えそうな北欧プログレの超ニッチ盤!
スイス出身のプログレ・グループによる、80年リリースの2ndアルバム。キーボードとギターがクラシカルな気品をたっぷり含んだエレガントなフレーズを次々と紡ぎ出す、たおやかでファンタジックなアンサンブルが素晴らしい。ヴォーカルが歌うメロディは前作よりもポップでキャッチーな聴き心地を持っていますが、クラシカルな演奏と見事にマッチしておりこのへんのセンスはやはり抜群です。若干80sエレポップ的なノリも見え隠れしますが、全編クラシカルなキーボードが色調をまとめていて他にはない味わいとなっているのも面白いです。前作同様、同郷スイスのWELCOME(特に2nd)に通じるクラシカルでポップなプログレの好盤です。
サックス奏者を擁するフランスのジャズ・ロック/アヴァン・ロック・バンド。77年の唯一作。サックスとキーボードの感じは『4th』『5th』あたりのソフト・マシーンですが、ギターとリズム・セクションが実に強烈で、その組み合わせが個性的。硬質なトーンで音を叩きつけるように鳴らされるリズム・ギター、重くタイトで力感たっぷりなリズム隊、そして、ダダイズム感たっぷりに無意味な叫びを続けるヴォーカル。何というテンション。ソフト・マシーンをはじめ、クリムゾン『太陽と戦慄』のファンはまず驚くはず。これはずばり傑作。
サックス/フルート奏者やメロトロンを操るドラマーら5人編成のオーストラリア産ジャズ・ロック/ジャズ・ファンク・バンドによる78年唯一作。緻密に刻みまくるドラミング、スティーヴ・ハウばりに前のめりで疾走するギター、流麗に舞うエレピ、オリエンタルなフレーズをギターとユニゾンするサックスらが一斉に飛び出す1曲目から、来た来た来たー!という感じです。ひたすらテクニカルに畳みかける前半はもちろん、浮遊感あるシンセを得て爽やかでファンタジックな演奏へと色合いを変えていく後半も素晴らしく、ARTI E MESTIERIを明るくしたようなサウンドは全ジャズ・ロック・ファン必聴レベルでしょう。1曲目後半のファンタジックさを引き継ぐ美しいフュージョンを聴かせる2曲目も最高で、クラシカルなピアノとソリーナに切なく歌うヴァイオリン奏法のギターによるリリカルな演奏が感動的。サックスが添える哀愁味もいい味です。この冒頭2曲だけでもジャズ・ロック・ファンならガッツポーズ必至ですが、後半にはヴォーカルをフィーチャーしたお洒落なフュージョン曲、ラストには芳醇なクラシック・ギター独奏曲も収録されており、多彩さでは数あるジャズ・ロック・バンドでも有数ではないでしょうか。こんな素敵すぎるジャズ・ロックがオーストラリアの地に眠っていたとは。文句なしの大傑作!
2人のギタリストとサックス/フルート奏者を擁するフレンチ・ジャズ・ロック・グループが、79年に残した唯一のアルバム。まるでザッパの同年作『SHEIK YERBOUTI』のあの猥雑さ/おふざけセンスを1曲に詰め込んでしまったかのような凄まじい1曲目で幕を開けます。変拍子まみれの突っかかりまくりのリズムを難なく刻む技ありリズム隊を土台に、ギターとサックスがスリリングなフレーズを応酬させ、怪しいコーラスともはや奇声に近いヴォーカルが素っ頓狂に歌い上げる、狂乱のジャズ・ロックは濃厚すぎて眩暈がするほどです。2曲目以降、ザッパ色が薄れると、テンションみなぎるギター&サックスを軸とするキレのあるジャズ・ロック・アンサンブルが一層冴え渡ってくるのも素晴らしい。サックスとフルートがリードするパートでは、カンタベリー・ロック色も芳醇に匂い立ってきて、その変幻自在なセンスに終始驚かされます。とりあえずザッパ・ファンにはこのオープニング・ナンバーだけでも聴いて欲しいなぁ。フレンチ・マイナー・プログレ屈指の衝撃作!
ヘヴィ・ロック・バンドLIGHT FIREなどで活動したベルギーのSSWによる75年のソロ唯一作。4人組バンド編成での制作ですが、本人はヴォーカル/ギター/キーボード/フルート/ベルなどを演奏するマルチ・プレイヤーぶりを発揮しています。ギターとフルートが哀愁いっぱいに交差し、浮遊感あるシンセがうっすら幻想的にアンサンブルを覆い、甘い声質のヴォーカルが少しシアトリカルに歌うポップ・ロックは、さすがフレンチ・ロックに通じるロマンティシズムがたっぷり。でもフレンチもののような憂鬱でダークな雰囲気はなく、総じて明るくノリも良いのが特徴です。ハンガリーのOMEGAなんかを想起する「いなたさ」も、かえって愛すべき度を高めています。ロマンあふれるポップな歌もの秀作!
アメリカとデンマーク出身のミュージシャン達によって71年に結成され、デンマークとドイツを中心に活動したサイケ・ハード・バンドの74年デビュー作。ビシビシとタイトに刻むキレのあるリズム、サイケな熱量をたっぷり含みハードエッジに弾きまくるスリリングなギター、そしてグラム・ロック・シンガーのようなカリスマ性を感じさせるハスキーなヴォーカルらによる熱くもスタイリッシュなサイケデリック・ハード・ロックは猛烈なカッコ良さ!各メンバーのテクニックは相当なもので、ソリッドかつダイナミックに畳みかける密度の高いアンサンブルは、プログレ・ファンにもおすすめできそうな聴き応えがあります。米サイケ・ハードのファンは勿論ですが、SILVERHEADやBE BOP DELUXEなどグラム・ロックのファンにも聴いてみていただきたい隠れた名盤。
スウェーデンのプログレ・バンドが71年にリリースした1stアルバム。サックス/フルート奏者を擁する5人組で、ロックン・ロール、ジャズ、ハード・ロック、フォークなどを突っ切ってドタバタと忙しない演奏で聴かせ切る痛快プログレを楽しませてくれます。演奏は鋭角的に突っ込むギターと滑らかで音数多い技巧派サックスがユニゾンしたりソロを応酬させたりする目まぐるしいアンサンブルが魅力。スウェーデン語の朗々と歌うヴォーカルも良い味出してます。聴いていて思い浮かんだのが同郷のニッチ・バンドPANTA REI。SAMLAほどぶっ飛んではいませんが、SAMLA好きにも聴いて欲しい「狂操感」を持ったバンドです。
72年に結成され2枚のアルバムを残したベルギーのポップ・ロック・バンド、74年の1stアルバム。ベルギー北部の公用語であるフラマン語(低地フランク語から分かれたオランダ語と系統を同じくする言語)で饒舌に歌い上げるヴォーカルと、オルガンとギターをメインに据えたハートフルかつ哀愁に富んだアンサンブルの組み合わせが魅力的。クラシカルに鳴り響く存在感あるオルガン、叙情的なタッチの憂いあるギター、素朴なアコギらが織りなす実直なアンサンブルに乗り、巻き舌も交えて歌うヴォーカルが見事で、イタリアのカンタゥトーレ作品にも通じる味わいがあります。「歌」をメインに聴かせる作風ですが、オルガン・ポップ作品としても素晴らしい出来栄えを誇る逸品です。
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