2020年5月5日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ佐藤です。
今回は、フォーク由来の繊細さの中に一筋縄ではいかないプログレッシヴ要素が光るプログレッシヴ・フォーク作品を、各国からご紹介してまいります!
まずは、プログレッシヴ・フォークと言えばこの作品!と言える孤高の名作からスタート!
70sブリティッシュ・シーンに産み落とされた孤高のプログレッシヴ・フォーク名盤。狂気じみた緊張感と英フォーク本来の瑞々しさが同居するこのサウンド。聴いていて思わず戦慄が走るほどの凄みがあります…。
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KAKERECO DISC GUIDE、今回取り上げるのは2018年に新規リマスター再発され注目が再び集まる英国プログレッシヴ・フォークの怪盤、COMUSのデビュー作『First Utterance』!
各種古楽器をふんだんに取り入れた、フォークと言うにはあまりに重厚かつ重層的な奥行あるアンサンブル。愁い溢れるメロディも絶品だし、リック・ウェイクマンが奏でるハープシコードもいい味出してます。
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世間ではあまり知られていないが、聴いたら思わず涙がホロリ、もしくは嗚咽をあげて泣きむせぶ、そんなロックの隠れた「泣ける名曲」を紹介。お相手は、叙情メロディとネコをこよなく愛する音楽ライターの舩曳将仁。
湿り気を帯びた気品あるフォークを軸に、荘厳なクラシカル要素、ハード・ロッキンなギターなども織り交ぜた一筋縄ではいかぬサウンドが特徴。幻想的なロジャー・ディーンジャケも含めて、「英国らしさ」に満ちあふれた作品ですよね。
クラシックやジャズの要素をふんだんに取り入れた格調高い英プログレッシヴ・フォークの名品。PENTANGLEが好きな人には是非オススメです。
基本的にはメロキャンとチューダーロッジの中間ややチューダー寄りという長閑なフォーク・ロックなんですが、一曲目がメロトロンの洪水が流れ込むキラーチューンで仰天!哀愁滲むウェールズ語ヴォーカルもいいなぁ。
ニック・メイスンがプロデュースで、リック・ライトがゲスト参加していて、メロウ・キャンドルを彷彿させる女性ヴォーカル英フォークだって!?メンバー的にも内容的にも、これほどの作品がお蔵入りになってしまったなんて…。
トラッドな香りが幻想性たっぷりの英国プログレッシヴ・フォークだけど、なんだか切羽詰まっているような緊張感漂う演奏が独特だなあ。神秘的なコーラスやちょっぴり呪術的な雰囲気はCOMUSっぽいかも…。
只者ではなさそうなジャケ写真通り、一筋縄ではいかないプログレッシヴ・フォークを聴かせる唯一作。フォーキーなサウンドを基本としながらも、ベースが唸る強烈なヘヴィ・プログレが炸裂したりと強烈なインパクト!
米国からは、こちらのアヴァンギャルドなフォーク作品をセレクト。
カントリー、ジャズ、サイケをごった煮にしたようなアンサンブルに妖艶な女性ヴォーカルが響き、アヴァンギャルドな実験色も炸裂。「時代を先取りしすぎた」という言葉が相応しい69年の逸品。
ここからは、ユーロ産プログレッシヴ・フォークもご紹介!
アシュ・ラ・テンペルのメンバーを中心に結成されたジャーマンサイケプロジェクト=COSMIC JOKERS。あの極上の音響を作り上げたエンジニアが手掛けた【スペース・フォーク】をご存知?
77年フランスに産み落とされた、あまりにも美しいプログレッシブ・フォーク!古楽器やダルシマーの調べにのせて、夢幻世界が広がります。
幽玄なフルートやチェロ、虚ろな女性ヴォーカル、エキゾチックなパーカッション。でも、混沌とすることはなくて、もうそれはそれは美しいんですよね。これぞバスキッシュ・プログレ・フォーク。
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バスク語フィメール・ヴォーカルを擁する名グループHAIZEAの76年2nd『HONTZ GAUA』をピックアップいたしました。
アシッド・フォークのファン? でもってオリエンタル・サイケやクラウト・ロックなんかも好き? そんなあなたにオススメなのが、このイタリアのミュージシャン!
こちらはオランダのバンド。内容はズバリ、フェアポート・コンヴェンションが初期アシュ・ラ・テンペルとセッションした感じ!?
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オランダならではの端正でいて素朴な人情味にも溢れたメロディアスなプログレッシヴ・ロック名作をセレクトいたしましょう。フォーカスの他にも愛すべきグループがたくさん居ますね。
ジャーマン・プログレッシヴ・フォークの名作。Annie Haslamを想起させるソプラノボーカルを擁し、ドイツロマン派を強く意識した深みのある音像と気だるげなデカダンスを感じさせるサウンドは唯一無二。
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本日はドイツのプログレッシブ・フォーク、CAROL OF HARVESTの78年作をピックアップ。
なんと、南米にもプログレッシヴ・フォークが!?
トラッドをベースに、東洋的エキゾチズムや透明感ある神秘性などを加えたプログレッシヴ・フォーク。渋みある男性ヴォーカル、高音が美しい女性ヴォーカルという対照的な2人が楽曲に彩りを与える楽曲の数々は、得も言われぬ美しさを湛えます。
ケーナ、ロンダドール、タルカ…。アンデス地方の笛楽器が彩る、魅惑のフォルクローレ・ロックを聴かせます。と思ったら管弦が優美に交差する格調高いチェンバー・ロック展開も挿入されて、これは一筋縄ではいかない好バンド!
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表情豊かなフルートもいいけれど、素朴な音色が帰って奥深さを感じさせる、そんなリコーダーならではの味わいを堪能できるプログレ作品をご紹介!
最後は新鋭グループに注目。70年代の名作にも負けない英&伊の3タイトルをピックアップ。
CELESTEや初期マイク・オールドフィールドが好きならこの作品、オススメですよ~。ヴァイオリンやフルート、グロッケンが繊細かつ優美に織り重なってゆくチェンバー・アンサンブルは、息をのむ美しさ。
THE WATCHで活動したギタリストValerio Vadoを中心とするシンフォニック・フォーク・プロジェクト。Mike Oldfield影響下の幻想的なギターサウンド+Annie Haslamに似る慈愛の伊語女性vo。この世とは思えない幽玄の世界が広がります。
煌びやかなアコギを基調に、浮遊感あるシンセや格調高いヴァイオリン&チェロ、たおやかなフルートらが丹念に紡ぐチェンバー・フォークは、同郷の名グループCELESTEを引き合いに出したい神秘的な美しさ。
いかがでしたか?
気になる作品を見つけていただければ幸いです!
ドイツ人Maik Hirschhfeldtとカナダ人女性ボーカルDolly Holmesの2人から成るジャーマン・サイケデリック・フォーク・グループの72年作。ドイツロマン派を強く意識した深みのあるフォークを基本に、Pilzレーベルらしい独特のサイケデリック感覚を加味した作品であり、ジャケット通りの夢想的な音像は唯一無二のものです。COSMIC JOKERSでもその浮遊感溢れるスペーシーなサウンドを構築したエンジニアDieter Dierksの手腕が発揮されており、フォーク・ミュージックを母体にしながら、白昼夢を見せられるような酩酊感に溢れた名盤となっています。
ウェールズ出身のフォーク・グループ。69年にHARVESTよりリリースされた1st。アコースティック・ギターのバッキングとルーズなヴォーカルというスタイルに、管楽器やハーモニカ、ハープシコードが幻想的な彩りを添えるサウンド。一般的な英国フォークものとは異なり、あまり穏やかな雰囲気はなく、どこか緊張感を感じさせるところが特徴的。ちょっと呪術的な雰囲気もあり、そのあたりはCOMUSにも近い印象です。
紙ジャケット仕様、アビイ・ロード・スタジオでの24ビット・デジタル・リマスタリング、定価2476+税
盤質:全面に多数傷
状態:良好
帯無
帯無、若干スレあり
Annie Haslamを想起させるソプラノボーカルBeate Krauseを擁し、ドイツロマン派を強く意識した深みのある音像と気だるげなデカダンスを感じさせるフォーク・ロックグループの78年作。バンド名が表すとおり、牧歌的で飾り気のないフォーク・ロックサウンドが根底にはあるものの、そこにジャーマン・ロックならではの奥深さと内省的な表情、そして適度なサイケデリアが絶妙に内包されており、隠し味で使われているシンセサイザーもジャーマン・エレクトロ的なメディテーショナルなサウンド。同郷EMTIDIにも通じる、牧歌的でありながらも決して生命的にならない、どこか浮世離れした味のあるサウンドを作り上げています。
ウェールズ出身のフォーク・ロック・バンド、原盤は激レアとして知られる75年の1st。何と言っても1曲目が必殺。軽快に刻むリズムとキンキンと響くサイケギター、そして分厚いメロトロンが洪水のごとく流れ込む大変素晴らしい一曲。かすかな哀愁を含んだウェールズ語のヴォーカルがまた堪りません。2曲目以降は女性キーボーディストによる清楚なフィメール・ヴォーカルをフィーチャーした、英国の片田舎をイメージさせる長閑なフォーク・ロック・ナンバーが中心で、メロウ・キャンドルとチューダー・ロッジの中間(ややチューダー寄り)といった印象で実に良い味わいです。綺羅びやかなアコースティックギター、哀愁たっぷりのサイケがかったエレキギターが楽曲を彩っていて、彼らならではの味を出しています。英フォーク本来の格調高さと、どこか感じられる「いなたさ」がいい塩梅で共存する好盤です。
フランスの女性アシッド・トラッドフォークミュージシャンによる、Ballon Noirレーベルからリリースされた77年作。つぶやくような品のあるボーカル・ナンバーを中心に収録されたそのサウンドは、ハーディー・ガーディーやダルシマーなどのトラディショナルな楽器や、サイケデリックな質感ただようパーカッション類、そして浮遊感溢れる音像処理などのアヴァンギャルドな実験色も織り交ぜた個性的なものであり、クラシカルで崇高な音楽性とどこか浮世離れした不思議な酩酊感の対比が素晴らしい名盤となっています。
イタリアの新鋭シンフォニック・フォーク・グループによる21年作。LETHE、THE WATCHで活動したギタリストValerio Vadoを中心とするプロジェクトで、オーストリアの詩人リルケの作品「オルフォイスへのソネット」を題材にしたコンセプト作です。ディレイやリヴァーブを深くかけたギターサウンドを繊細に折り重ねた夢想的かつ物悲しい音空間と、イタリア語による慈愛に満ちた女性ヴォーカルの調和が息をのむほど素晴らしいシンフォニック・フォークを奏でます。ギターはおそらくMike Oldfieldの影響下にありそうですが、Steve Hillageがプログレ・フォークをやったら…なんてフレーズも頭に浮かんできました。どこかAnnie Haslamの声質に似る女性ヴォーカルもスッと耳になじむ心地よさがあります。終始この世とは思えない幽玄の世界を描写するようなサウンドに圧倒される、ただならぬ一枚です。
73年にUKヴァーティゴからリリースされたChris Simpson率いる英国フォーク・ロック・バンド4thアルバム。主要メンバーは、ヴォーカル・ギターのChris Simpson、スポークン・ワードにGlen Stuart、同じくヴォーカル・ギターのStan Gordonのトリオ編成。そしてスリーヴ・デザインは、ロジャー・ディーン。楽曲のプログレッシヴなアプローチも相まって、作品の雰囲気を良く捉えています。湿り気のある英国のフォーク・サウンドが粒ぞろいの楽曲に乗って心地よく風に吹かれるかのような作品。
南米チリ出身プログレ/フォーク・ロック・グループの76年リリース3rd。ケーナ、ロンダドール、タルカといったアンデス地域の笛楽器が活躍する豊かなフォルクローレ色が特徴の民族フォーク・ロック。フルートやリコーダーの軽やかで流麗な音色と尺八に近い味わいがあるアンデス笛楽器の音色が美しく絡み合い、弦楽器チャランゴが賑々しくかき鳴らされる、祝祭感いっぱいの演奏は、民族音楽×ロックの醍醐味を存分に味わわせてくれる極上のサウンドです。そんな演奏にこれ以上ないほどにマッチする、いかにも南米のバンドらしい繊細な叙情が滲む歌声とコーラスも堪りません。一方で10分超の最終曲は、フルート/オーボエなどの管楽器、チェロ/ヴァイオリン/ヴィオラなどの弦楽器が陰影豊かに交差する格調高いチェンバー・ロック調のサウンドを聴かせる孤高の一曲。途中どこか緊張感を持ったフォルクローレ・タッチも挿入されて、かなりプログレッシヴなサウンドを展開しています。デビュー時からの哀愁溢れるアンデス調フォーク・ミュージックにチェンバー色を配した独自のアプローチが完成形に至った名作です。
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