2013年12月25日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ,日々是ロック
タグ: 日々是ロック
こんにちは、カケレコ店長の田中です。
最近わがままに拍車がかかっている小学4年の息子にも無事にサンタさんがやってきました。
もらったのはガンダムのプラモで、今日は4時半に起きて制作していたようです。
僕は『プラモ狂四郎』世代なので、サンタには「やっぱりパーフェクトガンダムだよね」とテレパシーを送ったのですが、ドン引きされてもいいならいいけど、と返ってきたので、今風なガンダムとあいなりました。
さてさて、昨日売れたCDの中から店長オススメの作品をピックアップするこちらのコーナー「日々是ロック」。
世界をかけめぐるサンタに負けじと、プログレ、ロック、ジャズ・ロック、サイケ、ハード・ロック、フォークなどジャンルを横断して世界のロックをカケハしてまいります。
一枚目は、カケレコ一押しのイスラエルが誇る一枚であり、ユーロ・ロック/ジャズ・ロックの最高峰と言っても過言ではない一枚を!
ジャズ・ロックの緻密さと地中海音楽のたおやかさがブレンドしたまばゆい作品が多いイスラエル・ロックの中でも最高峰と言えるのがSHESHET。ハットフィールドの1st/2ndに匹敵する名作!
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ユーロのジャズ・ロックと言えば、最近、韓国M2UレーベルよりベルギーのCOSが再発されましたね!
RIO系のバンドとのメンバーの交流もあり、カンタベリー直系の淡く知的なジャズ・ロックを鳴らすベルギーのグループと言えば?
スペインのジャズ・ロックのシーンも絶賛レコメンド中なのですが、その中でも屈指の一枚がこちら。
サムラ風変態チェンバー・ジャズロックから始まり、お経のようなヴォイス、あげくはメロトロンまでとまさにごった煮なんですが、支離滅裂さはなく、最後はプログレ的様式美さえ感じさせます。by kobakun
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70年代にスペインでおこったロック・ムーヴメント「Musica Laietana ライエターナ・ミュージック」を特集!
ジャズ・ロックというと、イギリスやユーロに注目してしまいますが、本場アメリカもさすがの名作が多数生まれています。この作品は地味ですが、良いですよ~。
名ジャズ・サックス奏者チャーリー・マリアーノ率いるグループですね!
ゴングばりのスペーシーさ、ソフト・マシーンばりの知性、マグマばりの強靭さをもつ、なんとアメリカのジャズ・ロック作、70年のずばり傑作!
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淡い叙情性だったり、知的な凶暴性だったり、プログレッシヴな感性を持ったジャズ・ロック/アート・ロック作品を世界中からピックアップして紹介いたしましょう。
マグマ周辺の重鎮ローラン・チボーの関連作が最近再発されたのでピックアップ。ロバート・ワイアットのソロ作のファンは気に入ると思いますよ~。おすすめですよ~。
元マグマで、初期マグマ作もプロデュースしたローラン・チボーがベースで参加が特筆の仏女性コンポーザーによる74年作は、まるでRワイアットのソロばりの幻想絵巻
カンタベリーに通じる淡いジャズ・ロックといえば、近年のインドネシアは注目。
プログレ三昧でDISCUSとSHESHETに痺れた? なら、こちらのインドネシアのグループにも悶絶しちゃうはず!
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NHK-FMの『プログレ三昧』でDISCUSが取り上げられ、プログレ・ファンにとって注目すべきエリアとなったインドネシア。DISCUSにも勝るとも劣らない硬派かつイマジネーション溢れるジャズ・ロック/プログレの名作が続々と届いておりますので、ピックアップ!
売り切れていた人気盤が昨日多数再入荷しましたが、このギリシャの名作、今カケレコで一番売れている注目作!
クリムゾン『リザード』に通じる静謐な気品、『太陽と戦慄』ばりのテンションみなぎる変拍子、ヘンリー・カウばりの狂気の室内楽的アンサンブル。極めつけは全面に出て主旋律を奏でるメロトロン!ギリシャのみならずユーロ屈指の傑作!
旧ユーロはセルビア産プログレもよく売れていますよ~。
旧ユーゴ最高峰!というより、ユーロ・ロック最高峰と言えるほどの一大プログレ傑作。ジェントル・ジャイアントばりの超絶技巧とメロディ・センスとハーモニー。これでもかと畳みかけて圧巻!
まるでバンコの格調高さとオザンナの土着の荒々しさとが同居したような旧ユーゴ産プログレ名作!
最新リイシュー作をご紹介。なんとアイスランドのフォーク・ロック!
ずばりアイスランドのキース・クロス&ピーター・ロス!あれ、比較がマニアックすぎましたか・・・。とにかく極上の幻想フォーク・ロック!
90年代以降のプログレシーンをリードする北欧はスウェーデン。その下地を作った70年代の名作も大人気。
その中でもロングセラーなのがこちら!
まるでキャメルやジェネシスのファンタスティックな部分だけを抽出したみたいな溢れんばかりのリリシズム。スウェーデンが誇る名作シンフォで、ムーン・サファリにもきっと大きな影響を与えてるでしょう。
新鋭プログレも何枚かピックアップいたしましょう。
昨日再入荷した人気作。よく売れています。
あらためて聴くと、ムーン・サファリの『ラヴァーズ・エンド』に似ていますね。ファンは是非!
全パートのどこを切り取ってもメロディが溢れ出る、と言っても過言ではないメロディアスぶり!これはGENESISやCAMELやYESなど70年代プログレの遺伝子を受け継いだ正統派プログレとして一級の出来映え!
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イエス『危機』を出発点に、テンションいっぱいのアンサンブルとファンタスティックなメロディ&コーラスが素晴らしいプログレを世界中からピックアップ!
ノルウェーにも最近新譜を出したKERRS PINKを筆頭に優れたシンフォ・バンドが多数いますね。最近ではAIRBAGも注目ですね。
このバンドは90年代以降の筆頭格!
アングラガルドなど続々と好グループを輩出するスウェーデンに負けじとノルウェーから現れたヴィンテージ・スタイルのプログレ新鋭逸材。95年の傑作デビュー作!
キャメルのファンにはこちらの新鋭がオススメです。
キャメル、フィンチ、セバスチャン・ハーディがお好き?なら、このノルウェー新鋭の、ドラマティックな極上ギター・トーンも堪らないんじゃないでしょうか!?
プログレの本場はイギリスだ!という声が聞こえてくるような名作を続々リリースしているバンドがこちら。
メロトロンが洪水のように溢れ、サックスが暴れるパートでのダイナミズムと美しさは、絶頂期のクリムゾンに匹敵!英シンフォ新鋭、渾身の傑作ですね。
イタリアも負けていませんね。往年のヘヴィ・シンフォのDNAを継ぐ本格派がこちら。人気ですよ~。
ムゼオ・ローゼンバッハが好き?レ・オルメ『フェローナとソローナの伝説』も好き?それで何か新鋭が聴きたい?ずばりこれしかないでしょう。
現代的なクリアなメロディ/ハーモニー・センスを持ったグループも登場しています。この作品なんか最高ですよ!
PFMからCELESTEまでを宿す香り高く豊潤なイタリア叙情に、MOON SAFARIの爽やかなポップフィーリングを加えたようなサウンドが素晴らしい伊新鋭~!
さぁ、90年代以降のイタリア・プログレ・シーンを牽引する奇才、ファビオ・ズッファンティによるプロジェクトHOSTSONATEN。来年4月には待望の来日もしますね!
「四季」を描ききった伊プログレ新鋭による傑作をまだ聴いていない!? この「冬」編で聴けるメロトロンとピアノによる「凛」としたサウンドは、並の才能では出せませんよね。
南米アルゼンチンもまた素晴らしい新鋭グループを続々輩出しています。こちらが筆頭格でしょうか。
卓越した音響感覚と南米らしいリリシズム。そしてここぞで炸裂するアネクドテンばりのヘヴィネス。それにしてもこの圧倒的な情景描写力。現在のアルゼンチンでは期待度ナンバー1の新鋭ですね。
ポーランドのLYNXレーベルも新鋭では人気です。
このあまりにも情感豊かなサックスと雄大に広がるシンセとの絡み・・シンフォ・ファンならこの導入部で早くもノックアウトでしょう。ポーランドらしい深い陰影もたっぷり。ずばりファンタスティック・シンフォの大傑作!
昨日再入荷したロングセラーの新鋭作がこちら。
レビュワー5人が満点評価!クリムゾンやカンタベリーのファンは必聴の新鋭グループをフランスで発見!!
こちらも売り切れていた人気リイシュー盤!
テクニカルなギターが活躍するプログレが好き?ならホールズワース/ハルソールという英国2大技巧派が激突する、この超絶ライヴ盤は聴きましたよね?
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ジャジー&ソウルフルなブリティッシュ・ハード・ロック・バンドPATTOの1st『PATTO』と2nd『HOLD YOUR FIRE』。
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ここからは英国の深い森へとご案内。
もしVertigoからリリースされていれば、かなりの名作として評価されていたでしょう。淡くメロウなオルガン、ハードなファズ・オルガン、幻想的なメロトロン、ハード・エッジなギターによるサウンドは、ドラマティックかつ壮大!
原盤激レアなこの自主制作盤、トントン・マクートやランニング・マンやサムライあたりのファンは、「おおっ」となっちゃうだろうな!
アメリカにブッカーT&MG’sやミーターズがいるなら、イギリスにはこいつらがいるぜ!
アメリカン・ロックもピックアップいたしましょう。
ブルース/スワンプ・ロックもまたカケレコ一押し。クラプトンのファンは、是非とも本場アメリカのブルース・ロックやスワンプを探求してほしいっ!
ジェシ・エド・デイヴィスとライ・クーダーが参加してるって、豪華すぎ!もったりとタイト&グルーヴィーなリズムにからむスライド・ギターが絶品なんだ。最高にゴキゲンで旨味溢れる傑作ですね。
デレク&ザ・ドミノスなどで活躍するLAが誇る名ドラマー、ジム・ゴードンがプロデュースした米オルガン・ハード!
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ブルース〜R&B、ゴスペル、カントリーなど、アメリカのルーツ・ミュージックを見つめなおし、ロックのダイナミズムとともに鳴らした芳醇なサウンド、米スワンプ・ロック/ルーツ・ロックを特集。
ここからはサイケ/アシッド・フォーク沼へとご案内。
なんと70年代のオランダでこれほどのアシッド・フォーク作品があったとは!ずばり男性版ブリジット・セント・ジョン!
インドネシアってことでもっと湿度ある熱帯な音をイメージしましたが、南米ものに通じるリリシズムにうっとりなドリーミー・サイケ秘宝☆
朴訥としていて温かみに溢れていてドリーミーで。あまりに寝過ごしてしまった昼に、どこからともなく流れてきたらぴったりだろうなぁ。ベッドからなかなか出られないあなたに送る愛すべき英SSW。
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イギリスのレイト60sサイケ・ポップをディープな作品中心に聴いたあと、ユーロや南米の作品も聴いてまいりましょう。それでは、冬のマジカル・サイケ・ポップ・ドライヴ、スタート!
相当酔っ払って夢の中のボブ・ディラン!?トゲを全部抜いてマイルドになったニール・ヤング!?そんな感じのゆら~りゆら~りしながら時折裏返る歌声が最高!
初期ディランをニューヨークではなく中南米の蒸し暑い空気で包んだ感じ!?ドイツ出身の若きミュージシャンがメキシコに渡り録音したメガレア・サイケ秘宝、69年作!
いかがでしたか?
みなさまにとってぴったりの一枚が見つかれば幸いです。
FINISTERREやLA MASCHERA DI CERAの中心人物Fabio Zuffantiによるプロジェクト・グループ。08年作。「四季」を表現したコンセプト・アルバムで、メロトロンやキーボードをフィーチャーした壮大なシンフォニック・ロックに仕上がっています。ファンタスティックなパート、静謐なパート、ダークで荒涼としたパートなど、イメージ喚起力のある雄弁なアンサンブルが次々と溢れてきます。アコースティックな「静」とヘヴィな「動」との対比も鮮やか。70年代イタリアン・プログレ直系のサウンド・プロダクションもたいへん素晴らしい。オール・インスト。シンフォニック・ロックの名作。
女性ヴォーカル、ヴァイオリン、サックスをフィーチャーしたフランスの新鋭プログレ・グループ。09年デビュー作。クリムゾンやカンタベリー・ミュージックを中心に70年代プログレやジャズ・ロックからの影響を強く感じますが、懐古趣味的な印象はまったくありません。往年の名グループの遺伝子を受け継いだ、文字通りに「プログレッシヴ」なサウンドがここにあります。「太陽と戦慄」期のクリムゾンやHENRY COWあたりの攻撃性を軸に、HATFIELDS & THE NORTHに通ずる繊細さと緻密さ、フランス的な芸術性や演劇性を融合させたサウンドは、かなりの完成度!時にミニマルなフレーズを奏で、時にささくれだったリズムギターで牙をむくギター、シャープ&タイトな強靱なリズム隊、フリーキーに暴れ回るヴァイオリン&サックス、時に荘厳なメロトロン、時にアヴァンギャルドなシンセで楽曲を飛躍させるキーボード、フランス語で歌う存在感抜群のシアトリカルな女性ヴォーカル。各パートの演奏力、アンサンブルの強度ともに抜群です。14分を越える「ODS」など、構成も文句無し。これは強力なグループが登場しました!圧巻の名作。かなりおすすめです!
ギリシャ出身で主にフランスで活動したグループ。ピアノ/オルガン/メロトロンを操る鍵盤奏者が中心で、デビュー作からギタリストが抜け、ギターレスのキーボード・プログレ4人組となって制作された73年の2nd。ベーシストも代わり、一気にプログレ/アヴァンギャルド色が増しました。キング・クリムゾン『リザード』に通じる静謐な気品を漂わせるパート、鋭利に尖ったトーンのキーボードのミニマルな反復に『太陽と戦慄』ばりに狂気の変拍子が炸裂するパート、ヘンリー・カウばりのフリー・ジャズ/チャンバー・ロックなパートなど、一瞬たりとも気の抜けないテンションみなぎるアンサンブルが続きます。特筆なのがメロトロンで、持続音で荘厳にたなびく感じの使い方が一般的ですが、このグループは、全面に出てまるでピアノばりに主旋律を奏でます。アヴァンギャルドかつクラシカルな気品に満ちたギリシャ屈指・・・なのは言わずもがな、ユーロ・ロック屈指と言っても過言ではない傑作アルバム。必聴です!
ロシアの新鋭グループ、2011年のデビュー作。もうオープニング・ナンバーのイントロからキてます。リック・ウェイクマンとアンディ・ラティマーが共演!?っといった感じで、マイルドなトーンの流麗なギターとクラシカルなピアノが美しい旋律で幕を開け、一転して、マイク・オールドフィールド『チューブラー・ベルズ』を彷彿とさせるような緊張感あるピアノに切り替わったかと思うと、ドラムが走りだし、視界が一気に広がり、ギターとキーボードから次々とメロディが溢れ出る!この展開に心躍らないプログレ・ファンは居ないでしょう。さぁさぁ、ヴォーカルはどんな感じかな、と待っていると、透明感のある歌声と包み込むような歌唱が素晴らしい男性ヴォーカルが伸び伸びと美しいメロディを歌い上げる。バックではコロコロとリリカルなピアノがサポート。それにしても、全パートのどこを切り取ってもメロディが溢れ出る、と言っても過言ではないメロディアスぶり!これはGENESISやCAMELやYESなど70年代プログレの遺伝子を受け継いだ正統派プログレとして一級の出来映え!往年のプログレ・ファンは必聴の大傑作です。
北欧はノルウェーのシンフォニック・ロック・グループ、95年のデビュー作。幽玄なアコースティック・ギターの爪弾きとそこに柔らかに寄りそうハープシコード、透き通るようなハイトーンの美声女性ヴォーカルと幻想的な男性ヴォーカルが儚くメロディを歌うイントロ。そんな70年代憧憬の静謐なフォーク・サウンドから、ポスト・ロック的な浮遊感あるドラムが入ると、ムーグなどヴィンテージなキーボードが豊かに広がり一気にモダンプログレの世界へ。再び、音がすっと遠ざかると、フルートが繊細に紡がれ、優美にたゆたう。70年代プログレのファンは間違いなく言葉を失う完璧なオープニング!2曲目以降もフルートとヴァイオリンが交差したり、メロトロンがリリカルなメロディを奏でたり、レ・オルメばりのオルガン・プログレを聴かせたり、70年代プログレへのオマージュに満ちたサウンドがめくるめく続きます。アングラガルドなど続々と好グループを輩出するスウェーデンに負けじとノルウェーから現れたヴィンテージ・スタイルのプログレ新鋭逸材。これは傑作です。
ポーランドのマルチ奏者Kamil Konieczniakによるメロディアス・シンフォ・プロジェクト・バンド、12年作。前作、前々作ではどこまでも雄大に広がるファンタジックなシンフォニック・ロックを聴かせてくれましたが、本作、ただひたすらにロマンティックに吹き鳴らされるサックスに導かれ、煌めくギターと憂いを秘めたヴォーカルが歌い始める導入部で、もうすでに心奪われること必至。幻想性溢れる静謐な場面から、力強くも夢見るようにロマンティックなシンセソロが飛び出す展開などは、お約束的ながらもやはりグッと来ずにはいられない美しさ。東欧らしいメランコリーよりは北欧プログレなどを思わせるファンタジックで透徹な印象をあたえるサウンドメイクも他のポーランド勢とは一線を画する部分です。このひたすらエモーショナルで優美に広がる世界観に、いつまでも浸っていたいと思わせるような傑作に仕上がっています。これは素晴らしい!
Chris Harwoodの71年作やKevin Lambの73年作などもリリースしたマイナーレーベルBIRTHより71年にリリースされた唯一作。元CATAPILLAの女性Voが参加。淡くメロウなオルガン、ハードなファズ・オルガン、幻想的なメロトロン、ハード・エッジなギターによるドラマティックかつ壮大なサウンドが聴き所。もしVertigoレーベルからリリースされていれば、かなりの名作として評価されていたであろう完成度。名作。
イタリアの新鋭プログレ・バンド、2013年デビュー作。凛とした響きのアコギ・アルペジオ、格調高いピアノ、クラシック然とした艶やかなストリングス、柔らかに舞うフルート。オープニングからまるであのチェレステの傑作のように、イタリアならではの叙情が溢れ出します。英語で歌うジェントルでハートウォームな男性ヴォーカルも特筆。2曲目に切り替わるとドラムが入り、ヴィンテージなトーンのシンセが軽やかに伸びやかに透明感あるメロディを奏でます。包み込むように優美なハーモニーも絶品。この躍動感あるポップセンスは、そう、まるでムーン・サファリ!ポップさはそのままに、ギターは初期P.F.M.を彷彿させるし、メロトロンも溢れるし、まだ2曲目までしか聴いてないのに、イマジネーション豊かなアンサンブルの連続に圧倒されます。たおやかなアコギを基調としたハートウォームさとP.F.M.など70年代のイタリアン・プログレのDNAを継いだプログレッシヴな感覚とが見事に融合したファンタスティックすぎる名作。これはオススメです。
アメリカ、カリフォルニア州出身。17歳から21歳までの若いメンバー5人で結成されたハード・ロック・グループ、71年発表の唯一作。プロデューサーとしてDEREK & THE DOMINOSのドラマーJIM GORDONが参加しており、2曲でキーボード、サックスも演奏しています。太く力強い音色のギター、オルガンを中心とした骨太なアンサンブルを基調に、叙情的なピアノによるジャズ・テイスト、粘っこいベース、黒人女性コーラスによるスワンプ・テイストなどを取り入れており、洗練されたサウンドが特徴。オルガンをバックに野太くもメロディアスな旋律を奏でるギターがかっこいいです。メロウな曲で強調される埃っぽくも哀愁漂うメロディはプロデューサーが在籍していたDEREK & THE DOMINOSにも共通するものを感じます。知名度は低いながらもオルガン・ハードとしてクオリティの高い一枚。
英国はバーミンガム出身のジャズ・ロック・グループ。73年に自主制作された唯一作。ギター、ベース、ドラム、ピアノ兼フルートの4人組で、全曲インストゥルメンタル。ちょっとバタバタとしていて英国的な哀愁に満ちたドラムとよく動くベースによるリズム隊を土台に、ファズを効かせたギターがたゆたうようにメロディアスなギターを奏で、そこに流麗なエレピや陰影に富んだフルートがからみます。洗練されているとは言えないものの、R&Bタッチの洒落たタッチと英国的な叙情性に富んだアンサンブルは愛すべき魅力いっぱい。トントン・マクートやランニング・マンやサムライあたりのファンは、「おおっ」となることでしょう。ちゃんとしたプロデューサーのもとしっかりと録音され、ネオンあたりからリリースされていれば、きっと人気作となっていたはずです。オススメの一枚。
イタリアの新鋭ヘヴィ・シンフォ・グループ。ムゼオのヴォーカル在籍で話題になった2010年デビュー作に続く、2013年作2nd。ヴォーカルは交代となりましたが、前任のガリフィに近い声質&声量を持つヴォーカルで文句なし!そして、何といっても往年のイタリアン・ロックを受け継ぐアンサンブル。鋭角かつ厚いトーンのギターがここぞの変拍子で鮮烈なフレーズを聴かせ、時にゆったりとメロディアスなフレーズを奏で、そのバックでは、キーボードが荘厳に鳴り響き、メロトロンが溢れる。前面には出てこないものの、流麗なフレーズを奏でるピアノや艶やかなヴァイオリンがイタリアならではのクラシカルな気品をもたらしています。時に陽光が射すような、ファンタスティックなパートも織り交ぜられ印象的。ムゼオ・ローゼンバッハはもちろん、レ・オルメ『フェローナとソローナの伝説』に通じる荘厳なオルガン・プログレの要素も受け継いだドラマティックなサウンドは、往年のイタリアン・ロックのファンは、歓喜すること間違いなし。これは傑作です。
英サイケ・ポップ・グループTHE 23RD TURNOFFを率いて活躍したSSW。72年作3rd。朴訥としていて温かみに溢れドリーミーなヴォーカル&メロディ、格調高い管弦楽器やチープなキーボードなどによる、時にハッとするほどにリリカルで美しく、時に微笑ましく長閑なアンサンブル。本当に心に染みる素晴らしいフォーキー・ポップです。あまりに寝過ごしてしまった昼に、どこからともなく流れてきたらぴったりだろうなぁ。休日ベッドからなかなか出られないあなたに送る愛すべき名作です。
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