2015年12月22日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: ロック&ポップス
寒いのは嫌ですが、冬の凛とした空気はいいですよね!
近くに、僕的冬のささやかながら眺めが気持ちいいスポットがあるのですが、遠くに赤城山をはじめ群馬の山々が見えて、もう少しすると雪化粧をして、空の青とのコントラストが気持ち良いのです。
音のツブ立ちがよく、色彩鮮やかなサイケ・ポップなんか聴きながら、そのスポットを車で通ると、気分ルンルンとなります。
ということで、イギリスのレイト60sサイケ・ポップをディープな作品中心に聴いたあと、ユーロや南米の作品も聴いてまいりましょう。
それでは、冬のマジカル・サイケ・ポップ・ドライヴ、スタート!
【R&Bフレイヴァー編】
まずは、R&Bのグルーヴ感いっぱいのサウンドを聴いて、気分を上げていきましょう!
スウィンギン・ロンドンを活気づけたトランペット奏者のAlan Bownが、『サージェント・ペパーズ』の波を受けたレイト60sのサイケ・ムーヴメントに呼応して結成したグループ。68年の唯一作。
フルートと弦楽器が瑞々しくって気持ちいい!ヴォーカルは、後にBRONCOを結成するジェス・ローデン!
アラン・ボウンは、後にJONESYに参加しますね。
あのロッド・スチュワートも一時在籍していたR&BグループSOUL AGENTのオルガン奏者Don Shinnによる69年ソロデビュー作。
初期フロイドとニュークリアスがセッションしたようなサイケでジャジーなアンサンブルをバックに、グルーヴィーなオルガンが炸裂!
「She’s Not There」や「Time Of The Theason」などのヒット曲で、英国屈指のビート・バンドへと上り詰めた名バンド。
彼らの2015年作が素晴らしい!
コリンの歌声は、御年70歳とはとても思えないし、ロッド・アージェントの書くメロディも変わらずにエバーグリーンだし、まったく年齢を感じさせないエネルギッシュさ!
【ハード・ロック前夜のアート・ロック編】
気分が上がったところで、アクセル踏み込んでいきましょう。
ここでは、サイケ・ムーヴメントを経て表現欲が溢れんばかりとなった、ハードかつアーティスティックな作品をピックアップいたします。
「アート・ロック」という形容がぴったりで、いかにもサイケからプログレへの過渡期の音。
68年のロンドンの空気がつまった逸品。
なお、メンバーは、GENTLE GIANTをはじめ、BIG SLEEP、MAN、ANCIENT GREASEなど、英ロック・ファンにはたまらないディープなグループで活躍を続けます。
ブリティッシュ・ロックの名グループSPOOKY TOOTHの前身。
アメリカン・ルーツ・ロックへの憧れとサイケデリックな時代の空気が融合したサウンドは、同時代のTRAFFICやSMALL FACESと同傾向のアプローチ!
後に英ハードの名グループSTRIDERを結成するIan Kewleyが率いていた英サイケ・ポップ・グループ。
イミディエイト傘下のインスタントから69年にリリースされながら、イミディエイト倒産のためプロモーションされず、ほとんど売れずに忘れ去れた悲劇の一枚。
フレンチ・ホルンとトランペット奏者が在籍しており、クラシカルな気品に溢れたサウンドは「ハード・ロック前夜」ではありませんが、STRIDERにつながるバンドとしてこちらでピックアップ。
【お蔵入り発掘音源/編集盤編】
気分が乗ってくると、助手席の人にうんちくを話したくなります。
ここはディープに、リリース目前にお蔵入りとなった幻の音源や、アルバムとしてはリリースされたなかった音源の編集盤などをピックアップ。
「Clifford T. Ward、聞いたことある?あら、知ってたの(チキショー)。でも、Cliffordが在籍してたビート・バンドは聞いたことないよね!?」
ザ・フーやホリーズやハニーバスあたりのファンはニンマリな佳曲がずらり☆
英ソフト・ロック・バンドのWEST COAST CONSORTIUMで活躍したソングライターを中心に結成されたバンド。
70年~72年に録音されながらお蔵入りとなってしまった音源の発掘盤。
それにしても、これがお蔵入りとは!
バッドフィンガーのピート・ハムやパイロットのデヴィッド・ペイトンに比肩すると言って過言ではない才能!
アビー・ロード・スタジオでBEATLESのエンジニアを起用して録音されながら、未発表になった作品と言えば?
若きニック・ロウが在籍。ブリンズリー・シュウォルツの前身として知られるサイケ・ポップ・グループ。
これがホリーズやゾンビーズに通ずるフォーキーでジェントルなサイケ・ポップの佳曲ぞろい!
【地味ジャケ編】
うんちくはまだまだ続く・・・。
「このジャケでこの音が聴けるとは思わないでしょう!ね、そうでしょ。そんじゃ、次はこれ聴いてみてよ・・・」
71年リリースだから、時代は後ですが。ゾンビーズ『オデッセイ&オラクル』のファンは助手席へのうんちくネタとして是非!
メロディが三連になるところが、ビートリッシュでグッときます。
このジャケもね~。カラフルと言えばそうだけど、地味ですよね~。
ソングライターのデイヴ・ルイスは本当に素晴らしいミュージシャンで、アーシーかつ格調高いメロディを書かせたら、プロコル・ハルムのゲイリー・ブルッカーにも負けてないと思います。
「カラフルなんだけど、なんか地味なんだよね~」つながりで、こちらも。
「マイク・オールドフィールド『チューブラー・ベルズ』のプロデューサーとして後に名を馳せるトム・ニューマンが、「独自のサウンドを確立するために山にこもって修行した」上で録音した英サイケ盤」ってことで、助手席へのネタとしてもバッチリ盤。
地味ジャケ編のラストは、これで。
このジャケでこの気品!アーシーかつ英国叙情いっぱいの極上メロディがでてきてビックリ。
なるほど前身は、『メロディ・メイカー』誌主催のビート・コンテストに優勝したEYES OF BLUEなのか。
BIG SLEEP解散後は、Vo/Gのギャリー・ピクフォード・ホプキンスは、ワイルド・ターキーを結成したり、リック・ウェイクマンや山内テツのバンドに参加したり、Keyのフィル・ライアンはマンやニュートロンズに参加したり、Drのジョン・ウェザーズはジェントル・ジャイアントに参加したり、B/Pianoのリッチー・フランシスはソロ作を出したり活躍します。
ということで、うんちくネタもたっぷり。
プロコル・ハルムのファンは是非!
おまけで、B/Pianoのリッチー・フランシスの71年ソロ作も挙げておきましょう。
【マジカル・ポップ編】
ここからは華々しく、マジカル・ポップなメロディを持つ作品をピックアップしてまいりましょう!
気品あるリリシズムを持った英国純度120%と言える英SSWの75年作で、アラン・パーソンズがプロデュースで、録音はアビー・ロードと来れば、英ポップ屈指の傑作に仕上がること間違いなしでしょ!?
「Magic」収録の1stはもちろん傑作だけど、この2ndもすんばらしい!
「Call Me Round」なんて、10回ぐらい連続で聴いてもまだまだ聴き足りないぐらいだし、極めつけは名曲「January」!
涙腺もちませんっ☆
優れたメロディ・メイカー、ピーター・ダルトリー率いる英サイケ・ポップ・グループ。
レイト60sサイケ・ポップの数ある名作の中でも屈指の作品と言えるカラフルな67年の1stと、マジカルなメロディはそのままに英国的な陰影に包まれた69年の2nd全曲に加え、アルバム未収のシングル音源を加えたコンプリート編集盤。
後にメンバーそのままにFAIRFIELD PARLOURと名前を変え、Vertigoより気品たっぷりのブリティッシュ・ロック名作を残します。
ピーター・ダルトリーはもっともっと評価されるべき名メロディメイカー。
フルーツジャケにはずれなし!?
英国印のポップでカラフルな胸キュン・サウンドのオンパレード!
英国レイト60’sサイケ・ポップ珠玉の名盤として名高い一枚ですね。
Peter Framptonが参加していたサイケ・ポップ・バンドはご存知かしら? この曲、THE MOVEやTHE WHOと同スタイルのエネルギッシュかつフックに富んだサイケ・ポップ名曲だと思いません?
【ほのぼの編】
マジカル・サイケ・ポップ・ドライヴとして、まずはイギリスの作品をピックアップしてまいりましたが、ラストはほのぼのと。
わずか100枚自主制作された激レア盤ですが、スタックリッジ、リンディスファーン、クリフォード・T・ワード、スティーラーズ・ホイール、ペルーのウィ・オール・トゥゲザーあたりのファンはたまらない佳曲ぞろいですよ~。
さぁ、ここからはカケレコらしく、ユーロや南米のレイト60sサイケ・ポップをピックアップしてまいりますよ~!
まずは北欧からスタートいたしましょう!
コリン・ブランストーン、グレアム・ナッシュ、ポール・マッカートニーがトリオを組んで、ジョージ・マーティンがプロデュースしたようなグループをデンマークで発見っ!
ホリーズやゾンビーズの甘さ、キンクスの哀愁、ジェフ・リンに通じるクラシカルな気品をブレンドしちゃったようなスウェーデンの『サージェント・ペパーズ』と言える名作!
ジャケがもっとカラフルだったならなぁ。
後にプログレ傑作をものにするイタリアの名グループ。
68年の1stは、カラフルなジャケの通りのマジカル・サイケ・ポップで、ポップ・ファンもマスト!
イタリアだとこの一枚もサイケ・ポップのファンに激オススメです。
60年代に大活躍したビート・ポップ・グループが、メロトロン、オルガン、弦楽器、管弦楽器などを大胆に導入した意欲作。
ゾンビーズ『オデッセイ&オラクル』のファンは感極まること必至!
イタリアからもう一枚ディープなのをチョイス。
イタリアの70年代初期にこんなサイケでグルーヴィーですこぶるキャッチーな盤があったとは!
ファズ・ギターとオルガンが渦巻いてるけど、混沌としてなくて洗練されてて、センス抜群!
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スペインのビートルズ、LOS BRINCOSがラリー・ペイジに導かれてロンドンに渡り、アビーロードやオリンピック・スタジオで67年に録音し、68年にリリースされた3rdアルバム。
この曲、なんど聴いても泣きそうになります。レイ・デイヴィスもびっくりの哀愁の美メロ。ピート・タウンゼントばりのリズム・ギターもグッとくるなぁ。
アルゼンチンにもビートルズやホリーズからの影響が感じられるグループが居るのです。
GSにも通ずる哀愁いっぱいのメロディ、野暮ったいファズ・ギターも魅力的。
さぁ、家に帰ったら、コーヒーでも入れて、ゆっくりとこんな作品はいかがでしょう?
ジャケットからして、アル・スチュワート、イアン・マシューズ、ピート・デロあたりのファンはたまらないっすよね。
音も憂いと翳りと叙情たっぷり。
いかがでしたか?
みなさまにとってぴったりの一枚が見つかれば幸いです。
名作1stに続き、キャッチーかつ憂いのあるメロディと弾けるようでいてセンチメンタルなアンサンブルが光る佳曲がずらりと揃った、こちらも文句なしにエバーグリーンな名作2nd。75年作。「Call Me Round」なんて、10回ぐらい連続で聴いてもまだまだ聴き足りないぐらいに素晴らしすぎるメロディです。「Bad To Me」のキャッチーさの中にも憂いを含んだメロディと流麗なストリングス・アレンジもまた涙無しでは聴けません。そして極めつけは全英1位に輝いた名曲「January」。メロディはもちろんギターが素晴らしくて、歌のバックのメロディアスなオブリガードにはグッと来っぱなしです。最後を飾るWilliam Lyall作のバラード「Dear Artist」がまた気品があって素晴らしい。前作に勝るとも劣らない名作
68年発表のトム・ニューマン率いるジュライの1stアルバム。トム・ニューマンと言えばマイク・オールドフィールド「チューブラー・ベルズ」のプロデューサーとして有名な、初期Virginレーベルを支えた奇才。そんな彼が輝かしいキャリアをスタートさせたのが本作です。「独自のサウンドを確立するために山にこもって修行していた」なんてライナーに書いてありますが、それも嘘ではなさそうな、「音」にたいする偏執狂ぶりが存分に堪能できるアングラ・サイケ・ポップ。テープ逆回転、タブラ、シタールによるだら〜んとした雰囲気と、バンドによるハイな演奏の混ざり具合が絶妙の一枚。ぶっ飛びますLP。
EYES OF BLUEのメンバーそのままに71年にリリースされた唯一作。EYES OF BLUE時代の格調高い英国ポップに、プログレ、スワンプなどの要素を加えた、いかにも70年代初期の薫り漂う極上英国ポップ。叙情的なメロディー、クラシカルなストリング、哀愁のオルガンが絶妙なアンサンブルを奏でる1曲目は、70年代英国ロック・ファン必聴の名曲。もう少し品のあるジャケットであれば、評価も違っていたでしょう。完成度としては文句無しの傑作。
69年発表の唯一のアルバム。69年といえば、サイケデリック・ムーヴメントが終焉を迎え、新たにプログレッシヴ・ロックへと向かっていく過度期。このアルバムはその時代の空気を見事に音像化した名盤です。サイケ・ポップの文脈で語られることが多い彼らですが、そういったカテゴライズでは収まりきれないポテンシャルを持った本格派。サイケデリック時代の名残を見せる美しく流麗なコーラス・ワークに加え、へヴィかつメロディアスなギターと重厚かつプログレッシヴなハモンドが、他の凡百サイケ・バンドとは一線を画すオリジナリティを主張しています。全編通して佳曲揃いですが、特に9曲目の「Andwella」は、60年代最後を飾る名曲。テープ逆回転の混沌としたイントロから、メロディアスなアルペジオが立ち昇る瞬間は鳥肌ものです。
サイケ〜プログレへの過渡期の音がつまったサウンドが魅力のイギリスはウェールズ出身のバンド、68年にロンドンで録音された1st。R&B、クラシック、ジャズをゴッタ煮にしたオルガンが豪快にフィーチャーされ、ベース、ドラム、ギターがゴリゴリと初期イエスばりのダイナミズムを注入。一方で、ハスキーでメロウなヴォーカル、キラキラしたコーラス・ワークやハープシコードやリコーダーはサイケ・ポップ的。「アート・ロック」という形容がぴったりのレイト60sならではの魅力に溢れた好盤です。この後、2ndをリリースした後、メンバーは、GENTLE GIANTをはじめ、BIG SLEEP、MAN、ANCIENT GREASEなど、英ロック・ファンにはたまらないディープなグループで活躍を続けます。
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