2013年12月9日 | カテゴリー:MEET THE SONGS,世界のロック探求ナビ
タグ: ハード・ロック
ジャジー&ソウルフルなブリティッシュ・ハード・ロック・バンドPATTOの1st『PATTO』と2nd『HOLD YOUR FIRE』をピックアップいたします。
PATTOは、TIMEBOXを前身に70年にロンドンで結成。TIMEBOXは、60年代末にDERAMレーベルなどにシングルを残したR&Bロック~サイケ・ポップ・バンド。
当時のTV映像が残っていますので、ピックアップいたします。
あれ、ギタリストが居ない!?
なんと、ビブラフォンを弾くのが若きオリー・ハルソール!
知る人ぞ知る、オリー・ハルソールは、TIMEBOXへはギターではなくビブラフォン奏者として加入していたのです。
Key奏者が脱退したことを期に、よりプログレッシヴなサウンドを指向し、PATTOに改名。新興のVertigoレーベルと契約します。
メンバーは、以下の通り。
ソウルフルな歌声が魅力のヴォーカリスト。74年にはVo/KeyとしてSPOOKY TOOTHに加入。75年にはBOXERを結成します。
いぶし銀のギタリスト。PATTOの後は、TEMPESTに加入し2nd『LIVING IN FEAR』を残します。マイク・パトゥとのBOXERをはじめ、ケヴィン・エアーズのバンドやラトルズで活動します。
フィル・コリンズにも影響を与えたドラマー。ルー・リード『トランスフォーマー』への参加やニール・イネスのサポートでもロック・ファンに知られています。
ベース。
—–
70年に『PATTO』でデビュー。コシのあるトーンのブルージー&メロウなサウンドとジャズ・ピアノのように流れるようなフレージングが魅力のオリー・ハルソールのギター。そして、マイク・パトゥの張りのあるソウルフルなヴォーカルが魅力のスリリングかつ哀愁に溢れた英国らしいハード・ロック佳曲が満載。
オープニング・ナンバー「The Man」をピックアップしましょう。
オリー・ハルソールによるビブラフォンも印象的。
この曲でのギターはオリーの特徴のジャズ・フレイヴァーはなく、ふくよかな英国叙情美がいっぱい。初期ニュークリアスのクリス・スペディングにも通じる味わい。ほんっと絶品です。
オリーらしいジャジーで流れるようなギターが冴える楽曲もピックアップいたしましょう。
10分を越す大曲で、後にテンペストにてあのアラン・ホールズワースへも影響を与えたフレージングが冴え渡っています。
そして、デビューの翌年1971年にリリースされた2ndが『HOLD YOUR FIRE』
オリーのギターは、1stに比べてより一層ジャジーに洗練された印象。
それでは、オープニング・ナンバーから聴いていきましょう。
パブ・ロッキンなピアノはオリーによるもの。ギターにビブラフォンに、本当器用なプレイヤーですよね。
弾むような演奏によりパブ・ロック風味も加わっています。
後半はジャジーな超絶インプロが炸裂。様々な音楽的要素を取り入れつつ、雑多&強引にはならず、滑らかに聴かせてしまうセンス。このグループにしか出せないサウンド。オリジナリティが強烈!
初期ニュークリアスのような音の隅々から滲み出る英国叙情。オリーのレガードな早弾きも極上。すごい早弾きなのにテクニック剥き出しな感じがまったくなく、音が艶やかでふくよかなのが印象的。
XTCのアンディ・パートリッジが、「アルバート・アイラーやジョン・コルトレーンのように、はたまたジャズ・ピアニストのようにギターを弾く」と言っていたようですが、言い当て妙。ちなみにアンディ・パートリッジは、影響を受けた3人のアーティストの中に、このオリーを入れているようです。
フェイセズばりのルーズなロックンロールもばっちりキマってます。ここぞでの流れる早弾きもぴったりとハマっていて、ほんっとこのセンス、凄いなぁ。
オリーは、ミック・テイラーの後釜としてストーンズのギタリストの候補にも挙がったようですが、この曲とか聴くとなるほどと思います。オリーが入ったストーンズ、聴きたかった!
いかがでしたか?
ライヴにも定評があったようですが、ソリッドかつ変幻自在の演奏はライヴで見たら痺れるでしょうねぇ。
最後に、70年のTV放送映像がありましたので、ご紹介いたしましょう。
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PATTOの72年作3rd『Roll’Em Smoke’Em Put Another Line Out』をピックアップ【オリー・ハルソール特集2】
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今日の「MEET THE SONGS」は、BOXERがVIRGINから76年にリリースした1st『Below The Belt』をピックアップ!
71年にVertigoレーベルより発売された記念すべき1stアルバム。オリー・ハルソールのムーディーなギターとマイク・パトゥのソウルフルなヴォーカルのからみがドラマティックな1曲目からいきなりトップギアで、続くハード・ドライヴィングなナンバーで興奮はすでに最高潮。4曲目のエキサイティングなアドリブ・パートにもう卒倒です。5曲目以降も熱演続きで、時にハードに時にジャジーに暴れまわるリズム隊もマイクとオリーに負けず劣らずの熱演。狭〜い地下スタジオで上半身裸、汗だらだら流しながら演奏するバンドの姿が目に浮かびます。70年代初期のブリティッシュ・ハード・ロックを代表する名作。
紙ジャケット仕様、SHM-CD、22年デジタル・リマスター、ボーナス・トラック1曲、オリジナル国内LP帯付仕様、定価3182+税
紙ジャケット仕様、05年24bitデジタル・リマスター、ボーナス・トラック1曲、内袋付仕様、定価2039+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
71年にVertigoレーベルよりリリースされた2nd。前作で既に確立していた、オリー・ハルソールの職人芸的なドライヴィング・ギターとマイク・パトゥの熱唱ヴォーカルというスタイルに更に磨きがかかった名作。もうスピーカーから汗がピシピシ飛び散ってます。ライヴはさそがし凄かったんだろうな、と思わせるブリティッシュ・ハードの名作。
紙ジャケット仕様、05年24bitリマスター、ボーナス・トラック3曲、内袋付き仕様、定価2039+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
73年に録音され、そのままお蔵入りになっていた幻の4thアルバム。熱気むんむんのマイク・パトゥのヴォーカルとオリー・ハルソールによるこれぞ英国ロックないぶし銀かつキレのあるギターのコンビネーションは相変わらずの素晴らしさ。製作途中でオリーは脱退していますが、その穴を埋めているメル・コリンズによるさすがのサックスも聴き所です。
発売後すぐに回収となった幻のライヴ盤。ジミー・ペイジ弾きまくり!
YARDBIRDS/LIVE YARDBIRDS FEATURING JIMMY PAGE
800042(LOST DIAMONDS)
2600円
2400円 (税込2640)
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不思議音楽館/不思議音楽館 ORANGE POWER VOL.6
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バキっと歪んだスリリングなギター、ツェッペリンばりにタイトでヘヴィ級のリズム隊、熱くシャウトするヴォーカル。バンド全体が塊となったソリッドなアンサンブルは、本格感ぷんぷん。
LION197(LION)
2520円 (税込2772円)
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英米混成ハード・ロックと言ったら、カクタスだろうって? おいおい、俺らも忘れちゃ困るぜ。ハード&ソリッドな音ならツェッペリンにだって負けねぇぞ!
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2490円 (税込2739円)
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ドアーズと同じく『知覚の扉』からインスパイアを受けたサイケ・バンドをドイツで発見!サイケデリックかつ前衛的なのに、全体の印象は大変にポップでセンス抜群。ドイツVERTIGOよりリリースされた72年作!
BRAVE NEW WORLD/IMPRESSIONS ON READING ALDOUS HUXLEY
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英国トラッド・フォークの「三種の神器」と言えば、スパイロジャイラ、メロウ・キャンドルと、こちらのグループですね!ベル&セバスチャンあたりのファンにもオススメな清涼感いっぱいのフォーク逸品ですね。
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1360円 (税込1496円)
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