2021年8月18日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ
NHK-FMの『プログレ三昧』でDISCUSが取り上げられ、プログレ・ファンにとって注目すべきエリアとなったインドネシア。
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そんなDISCUSにも勝るとも劣らない硬派かつイマジネーション溢れるジャズ・ロック/プログレの名作が存在するインドネシアのシーンより、実力派達をピックアップいたしましょう。
まずは、90年代以降のインドネシアを代表するロック・バンドGIGIのギタリストであるDewa Budjanaをご紹介。リリースされたばかりの21年作も豪華セッション・プレイヤーをバックに持ち味がしっかりと発揮されたさすがの快作でしたね~。
ロック色が強かった前作から再びフュージョン/ジャズロック路線に回帰した21年作。
このサウンド、例えるならPAT METHENY GROUPのステージにRoine Stoltが飛び入り参加した感じでしょうか。
オリエンタルな香りをぷんぷん放つ色彩に富んだギタープレイが相変わらず絶品!
現インドネシア最高峰ギタリストによる19年作!
J.ルーデスやM.ミンネマンといったプログレ人脈をメンバーに迎え、かつてなくプログレ/ロック・テイストあるパワフルなサウンドを聴かせてくれます。なんと元レッチリのジョン・フルシアンテがゲスト参加!
インドネシア恐るべし。リターン・トゥ・フォーエヴァーから80年代以降のクリムゾンまでを飲み込みつつ、フラワー・キングスのロイネ・ストルトばりのイマジネーションで包み込んじゃうセンス。オススメですよ~。
上の前作に続く14年作で、ジミー・ジョンソンとヴィニー・カリウタという達人らとのトリオで制作された注目作!パット・メセニーやTFKのロイネ・ストルトに比肩する色彩感覚と映像喚起力で描き出すイマジナティブなジャズ・ロックが絶品!カンタベリー・ファンもこれは唸っちゃいますよっ!
こちらの17年作では、トニー・レヴィン、ゲイリー・ハズバンド、ジャック・デジョネットなどの大物を迎え、オリエンタル・テイストたっぷりのジャズ・ロックを繰り広げます。それにしてもこの変幻自在なギタープレイ、「東洋のパット・メセニー」と言っちゃっても問題ないかも!
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続いては、85年より活動するインドネシア産ガムラン・ジャズ・グループKRAKATAUのキーボーディストで精力的なソロ活動も注目されるDwiki Dharmawanをピックアップ。これぞインドネシア!と言いたくなる浮遊感ある神秘的音作りとモダン・ジャズ/フュージョンのクールさを融合したスタイルが素晴らしいんです!
一曲目にイタリアン・プログレSADOのヴォーカリストを迎えた2020年作。
インドネシアらしいオリエンタルな旋律が魅力のピアノと、イタリア人シンガーによる熱くエモーショナルな伊語ヴォーカルの調和が鮮烈!
まさしく東洋と西洋のエッセンスが巧みに融合した力作!
ガムランやインドネシアの民族音楽と、洗練されたフュージョンを融合させたエキゾチックかつ美麗なジャズ・ロックを聴かせる18年作。
この宗教的な崇高を秘めた神秘的音像はインドネシアならでは!
超絶テクニックでせめぎ合うジャズ・ロックに、ガムラン・パーカッションやアラビア発祥の弦楽器ラバーブがオリエンタルに絡むこのサウンド、一言「鮮烈」…!
オープニングから伸び伸びと奏でられるジェリー・グッドマンのヴァイオリン!
インドネシアの名Key奏者がアメリカに渡り録音したジャズ/フュージョンのリーダー作ですが、参加メンバー通りのエキゾチック&テクニカルな熱演ぞろい。
次は、カケレコ一押しのジャズ・ロック/フュージョン・グループを紹介。93年結成で、初期には先ほどピックアップしたDewa Budjanaも参加していたようです。ハットフィールドなどカンタベリーのファンはきっと痺れるでしょう。
流麗でテクニカルなフュージョン・サウンドと東南アジアのエキゾチズムとが融合したサウンドは、フュージョンやカンタベリーの傑作とも比肩する知性を感じさせますね。この映像、どうです?
ハットフィールドの2ndに民族打楽器をサンプリングしたとしたら?この13年作ではそんなカンタベリー・ロックにも接近したジャズ・ロック・サウンドを展開。民族色をふんだんに取り入れながらも泥臭くならずフュージョニックに洗練されたアンサンブルにこのバンドの類まれなるセンスを感じます。
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ソフト・マシーンやハットフィールドなどカンタベリー・ミュージックのDNAを継ぐ新鋭ジャズ・ロック・バンドを世界中からピックアップいたしましょう。
そのSIMAK DIALOGの現ギタリストによる超絶テクニカル&ハイテンションなグループもあわせて是非!
まるで『太陽と戦慄』をマハヴィシュヌがカヴァーしたような、凄まじいテンションに圧倒されますね。DEWA BUDJANAと共にインドネシアの2大ギタリストに認定!
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プログレの魅力の一つと言えば、ビシバシ刻まれる変拍子リズムの中を息もつかせぬテンションと緻密さで疾走するテクニカルな演奏。今回は各国の新鋭よりそんなテクニカルなアンサンブルを特徴とするプログレ作品をピックアップしてまいりたいと思います!
こちらの17年作もカッコいいです!民族楽器、パーカッション、フルートなどが織りなすエスニックな演奏からしてゾクゾクしますが、そこにスリリングで鋭角的なギターが切り込んでくる展開がとにかく鳥肌モノ!インドネシアの至宝だなぁ。
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その他の注目グループがこちら♪
流麗なパートからアグレッシヴなパートまでバンドの熱量を自在に操りながら、流れるように洗練されたジャズ/フュージョン・ロックを聴かせるセンスはもう抜群!
DEWA BUDJANAも在籍するインドネシアを代表するロック・バンドGIGIのドラマーが参加するテクニカル・ジャズ・ロック・グループ!静かなパートでも「しなやかさ」はなく、終始、「くるぞくるぞ」という緊張感がみなぎってます。インドネシアはテクニカルなグループが多いですが、このバンドのエネルギーは特に凄まじ!
さぁ、ラストは70年代のグループをピックアップいたしましょう。
GIANT STEPとGURUH GIPSYというバンドが比較的ポピュラーだと思いますが、残念ながらCD化されていないor流通していません(涙)。
というわけでGIANT STEPの前身であるこのバンドをピックアップ!
1970年のインドネシアで、フルートと辺境臭ぷんぷんのハイ・トーン・ヴォーカルが渦巻く高温多湿プログレの名作が生まれていたとは。ジャケもいいなぁ。
いかがでしたか?
今やアジア一のプログレ/ジャズ・ロック・シーンとなったインドネシア。
今後どんな凄いグループが出てくるのか気になりますよね。
みなさまにとってピッタリの一枚が見つかれば幸いです。
85年より活動するインドネシア産ガムラン・ジャズ・グループKRAKATAUのキーボーディストによる18年ソロ作。Yaron Stavi(ベース)、Asaf Sirkis(ドラム)、フランスの技巧派ジャズ・ギタリストNguyen Le、スペインのジャズ・ロック・グループMUSICA URBANAのベーシストCarles Benaventらを従えたバンド編成を中心に、自国インドネシアのミュージシャンも多数起用。ガムラン・ミュージックを取り入れたエキゾチックなパートと、流麗でテクニカルなピアノをメインとした洗練されたフュージョン・アンサンブルを対比させた、美麗にしてダイナミックなジャズ・ロック/フュージョンを聴かせます。それだけでも素晴らしいのですが、随所に現れる、尺八のような響きの竹笛と神秘的な歌唱が織りなす浮遊感ある桃源郷的サウンドの美しさも絶品で、エキゾチックにして宗教的な崇高さも感じさせるインドネシアならではの音をふんだんに用いたサウンドに仕上げています。
85年より活動するインドネシア産ガムラン・ジャズ・グループKRAKATAUのピアノスト/キーボーディストによる2枚組の2020作。彼のソロではお馴染みとなったYaron Stavi(b)&Asaf Sirkis(dr)のリズム隊コンビに加え、本作の大きな特徴としてメンバーに伊プログレ・バンドSADO等で活躍したヴォーカリストBoris Savoldelliを迎え制作されています。インドネシア特有の浮遊感あるエキゾチックな音階も織り交ぜたピアノと、熱くエモーショナルに歌い込むイタリア語ヴォーカルがドラマチックに調和する冒頭のナンバーから素晴らしい一曲!以降は即興を中心とするミステリアスな演奏にスキャット・ヴォーカルが乗る前衛色の強い展開がメインとなりますが、随所でオリエンタル・テイスト薫る神秘的なフレーズを奏でるピアノのプレイが鮮烈です。DISC2に入ると、ピアノに加え派手なシンセも登場。すると何とヴォーカルがデメトリオ・ストラトスばりのヴォーカル・パフォーマンスを披露しだして、一気にアレアっぽい前衛ジャズ・ロックに突入していく展開に驚き。でも決して混沌とはしていなくて、一つ一つの音色が透明感に溢れていて美しいのが魅力です。ジャジーな即興をベースに、インドネシアらしい東洋エッセンスとイタリアン・プログレの熱量が見事に融合した力作!
盤質:傷あり
状態:良好
1枚は無傷〜傷少なめ、1枚は傷あり
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