リトアニア、ラトビアとともにバルト三国として知られる、バルト海に面する国の一つエストニア。北欧と東欧に挟まれた小国ながら、実は70年代から現代にかけて多くの名プログレ・グループが誕生してきました。
他の東欧諸国と同様ソビエト連邦の一員として発展しつつも、多国とは一味違う特有の透明感とキレの良さを持ったエストニア・プログレ。中でもイチ押しの作品をご紹介いたします!
エストニアの70年代を代表するバンドが、「エストニアのYES」の異名をとるRUJA。『究極』のようなドライヴ感いっぱいのアンサンブルにロックンロールやアヴァンギャルドなど多彩なサウンドを取り入れ、自分たち流のプログレを演奏していた、東欧全土でも屈指と言うべき実力派。
もう一つのエストニアを代表するバンドがIN SPE。他の東欧勢とは一線を画する透明感溢れるサウンドと霧がかったようなミステリアスな雰囲気が魅力的なプログレを演奏。
そのRUJAとIN SPEのメンバーによって結成されたKASEKEは、洗練されたサウンドを持つジャズ・ロック/プログレッシヴ・ロックの傑作。さすがエストニアシーンの猛者が集まっただけあって、エストニア・プログレここに在り!と言わんばかりの高い完成度を持った作品となっています。
RUJAのキーボード奏者Igor Garsnekは個人としてもエストニア・プログレの重要作を生み出しています。ギタリストNEVIL BLUMBERGとのユニットSYNOPSISよるこの86年作は、プログレ・ハードとシンフォニック・ロックが見事に溶け合った80年代東欧プログレの魅力が詰まった名作!
こちらはSYNOPSISと同年にリリースされた彼のソロ作。いかにもこの時代の東欧らしいポップなシンセワークとドライヴ感溢れる80年代YESのエッセンスを巧みに取り合わせた力作となっています。
もう一人、エストニアのプログレ・ミュージシャンとして重要な人物がシンセ奏者Sven Grunberg。自身のバンドMESSやソロ作品でも披露される、これぞ東欧!と言いたくなるような荘厳かつ粛々としたメランコリーを湛えたシンセサウンドが印象的な名手です。
続きましては90年代後半に活躍したエストニアのジャズ・ロック・グループ。キレのあるリズム隊にフリーキーなサックスや攻撃的なギターが火花散らすスリリングなアンサンブルを聴かせつつ、クールなエレピが醸し出す淡い叙情性はカンタベリー・ロックに通じます。
そして00年代のエストニアにもソフツやハットフィールドのDNAを継ぐカンタベリーなバンドが。硬質さとリリシズム、それを包むエストニアならではの透明感。絶品です。
PHLOXが気に入ったらこのバンドも是非。手数多くもしなやかなリズム隊と、鋭角なトーンでヘヴィに切り込むギターを軸とする硬質なジャズ・ロック・アンサンブルに芳醇な管楽器群を絡ませたサウンドは、息を呑むほどのカッコよさ!
RUJAと並んでエストニア・プログレの代表格と言えるバンド、83年の1stアルバム。息をのむほどにデリケートで透明感に満たされたサウンドによって紡がれる、民族色も織り込んだシンフォニック・ロックはもう絶品の一言。独特の間を感じさせる不思議な聴き心地のリズムに、淡い色彩を広げるシンセやハモンド、神秘的に囁き合うフルート&リコーダー、そしてシャープなトーンでメロディアスに旋律を描くギター。異世界の情景を描写するかのような静謐で美しく仄かにスペイシーな音像は、北欧プログレと東欧プログレ両方の味わいを備えていると言えます。そんなうっとりするようなパートから一転、フュージョン・タッチのシャープで音数の多い技巧派アンサンブルになだれ込む展開も見事すぎます。東欧シーンに留まらず、ユーロ・プログレという枠の中でも上位に位置するであろう大傑作です。
【カケレコ国内盤(直輸入盤帯・解説付仕様)】デジパック仕様、2枚組、Disc2には79〜83年に録音された未発表音源7曲(3曲はライヴ音源)を収録、デジタル・リマスター、定価3190+税
デジパック仕様(ブックレット付仕様)、19年リイシュー、デジタル・リマスター、79年〜83年の未発表音源およそ40分を収録した2枚組!
レーベル管理上、デジパック側面部に若干折れ線がある場合がございます。ご了承ください。
デジパック仕様
盤質: | 無傷or小傷 | 傷あり | 全面に多数傷
状態: | 良好 | 並(経年) | 並(一部不備) | 不良 |
旧ソ連はエストニアを代表するグループ、RUJAとIN SPEのメンバーを中心に結成されたグループ。83年作に81年作のEPをカップリングした2in1CD。シンセとギターがアグレッシヴかつ荘厳に畳みかけるパートと、フュージョン・タッチの流麗なギターが軽やかに舞うメロディアスなパートとを鮮やかに対比した展開が見事。辺境っぽさは全く無く、テクニック、アレンジ、メロディ・センスともにかなりのハイ・クオリティ。YES+HATFIELD & THE NORTHと言うと乱暴ですが、疾走感と繊細さが絶妙に調和された奇跡の傑作。
【カケレコ国内盤(直輸入盤帯・解説付仕様)】デジパック仕様、デジタル・リマスター、定価2990+税
エストニアのジャズ・ロック・グループ、2010年の4thアルバム。手数多くシャープでアグレッシヴなリズム隊、流麗なフェンダー・ローズ、たおやかに飛翔するサックス!リズム隊の硬質さとエレピや管楽器のしなやかさとのバランスが絶妙。カンタベリー・ミュージックの遺伝子を受け継ぐ正統派グループ!これは素晴らしい作品です。ジャズ・ロックのファンにはかなりオススメ!痺れますよ。