サイケデリックで、実験精神旺盛な、1970年前後のジャーマン・ロック。いわゆる「クラウト・ロック」。ドイツ料理「ザワー・クラウト(キャベツの酢漬け)」にちなんで、ロック本場の英国人が呼び示した蔑称なわけですが、そんな意味はいざ知らずとも、その音楽性と語感が持つ不可思議な魔力のトリコにされてしまったリスナーは、いまなお増殖していることでしょう...。
ここでは、そんな「クラウト・ロック」を愛聴している皆さんが、最終的には「ジャーマン、ジャーマン、雨、ジャーマン。雨、雨、ジャーマン...」といった具合に、もうドップリとジャーマン漬けになられることを願いつつ、「クラウト・ロック」を足掛かりに、広くドイツのロックをご紹介してまいります。
第二弾は、70年代初期のジャーマン・アンダーグラウンド/プログレ・シーンの中核を形成していた3つのレーベル<Ohr><Pilz><Kosmische>の作品群をご紹介。なお、タンジェリン・ドリームやグルグルといったビッグネームがこれらのレーベルからリリースした作品は、別項「趣味のクラウト・ロック」で特集しております!
<Ohr><Pilz><Kosmische>という3つのレーベルを主宰していたロルフ=ウルリッヒ・カイザーは、個性的な作品を世に発信する傍ら、68年にはフランク・ザッパやサンフランシスコのミュージシャンを呼んで「エッセン・インターナショナル・ソング・フェスティバル」を開催。本場アメリカのサイケデリック・ロックをドイツの聴衆に紹介するとともに、国内で活動するアンダーグラウンドなミュージシャン達にも衝撃的な影響を与えました。ちなみに、アシュ・ラ・テンペルとLSDの伝道師=ティモシー・リアリーを引き合わせ、かの酩盤「7up」の制作に至らせた功労者として、サイケ・ファンからしてみれば尊敬にすら値する人物とも言えるのではないでしょうか...!?
Ohrレーベルの記念すべき第一号を飾った、ブラックユーモア満載の歌詞とアヴァンギャルドなステージングで知られるグループの70年2nd。ちなみに本作からカタログ5番のタンジェリン・ドリームの1stまでは、ゴム風船が封入されていたことでお馴染み。
Ohrレーベルメイトのグルグルに通じるフリーフォームでアヴァンなロックサウンドを、たっぷりとエコーを効かせたスペーシーな音響で包みこんだジャーマンサイケの名盤。72年作。メロトロン、シタール、宇宙空間に響き渡るメロディアスな旋律も◎
70年の大阪万博で来日し、ジャーマンロックバンドとしては初の来日公演を行った7人組。本作はOhrから70年にリリースされた1st。フリージャズとアヴァンギャルド、そしてロックの融合と評されたフリークス・サウンドは、Ohrを代表する傑作の一枚。
独アヴァン/ジャズロックの最高峰グループ。Ohrからリリースされた71年作。2本のサックスを軸に展開するアグレッシヴかつフリーキーかつスピリチュアルなアンサンブルは「ドイツ版ビッチェズ・ブリュー」と呼ぶべき絶品!
専任ヴィオラ奏者を擁する個性的な編成のロックグループ。Pilzからリリースの72年作。儚げな女性Vo、消え入りそうなメロトロンの上を叙情的なフルートがたゆたうフォークロック調のサウンドは、まさにゲルマンの深い森から聴こえてくる極上の調べ。
独人男性とカナダ人女性Voの2人から成るサイケ/プログレフォークグループ。72年にPilzからリリースされた幻想的かつ緊張感溢れる名作。コスミック・ジョーカーズを手掛けたエンジニアによるスペーシーな音響処理とロマン溢れる世界観の融合が絶妙。
Ohr/Pilz/Kosmischeそれぞれから作品を発表しているサイケ/プログレフォークデュオ。本作はPilzから発表、宗教色を強く感じさせる瞑想的な71年作。トラディショナルな旋律と音響処理が施された語り部。ドイツの深い森の奥から聴こえるヒッピー音楽。
スモーキーな渋みを持った力強いオルガンロック。ブルージーでハスキーな女性Voを擁し、アース&ファイヤーやサヴェイジ・ローズに通じる艶と実力を兼備した、この界隈では稀有なグループ。本作はPilzから発表、バレエのために書き下ろされた71年作。
強烈なヘヴィネスとサイケデリック濃度を持つ本格派ハードロックグループ。コニー・プランクによるエンジニアリング、Pilzからリリースの71年1st。数ある英ハード影響下の「サイケハード」とは一線を画す酩酊感と音響的サイケデリアを包含した傑作!
70年代最初期からメロトロンやピアノを軸にした本格的なシンフォニックロックを発表、コスミック・ジョーカーズやアシュラへの参加でも知られるドラマーが在籍したバンド。Kosmischeから発表した73年作は、初期のへヴィさと儚さが融合した代表作。
カイザー自らがプロデュースした詳細不明人物の作品。Kosmischeからリリースの73年作。クラウス・シュルツェやヴァレンシュタインのメンバーらが奏でる東西折衷楽器によるアンサンブルとポエトリーを、広がり豊かな音響で包み込んだ神秘的名作。
当時亡命中だったLSDの伝道師=ティモシー・リアリー博士を招いて制作されたセッション作。73年Kosmischeからのリリース。スタジオ内に持ち込んだ7upの瓶にLSDを混入させ、それを回し飲みしながら繰り広げられたという、寄る辺なき集会の記録...
個性的なグループを多く排出したPilzからリリースされたジャーマン・ロック・グループの71年作。エンジニアはコニー・プランク。BIRTH CONTROL、BROSELMASCHINEへも参加したドラマーManni von Bohrが在籍したグループであり、その音楽性はハード・ロック、サイケデリック・ロックが中心。加えてやはりPilzレーベルだけあって、適度な酩酊感が素晴らしいトリップ・ミュージックや過度にデフォルメされたエフェクティブ且つ実験性に富んだサウンドなど、当時のドイツ産らしいごった煮な雰囲気。強烈な個性を放つ、クラウト・ロックの隠れた名盤です。
ドイツらしい深みを持ったフォーク・ロック調のサウンドを紡ぎ、専任ヴィオラ奏者を擁するという個性的なバンド編成から素晴らしいシンフォニック・ロックを生み出したグループの72年作。儚げな女性ボーカルをフューチャーした田園調のフォークサウンドからアコースティックな質感で聴かせ、消え入りそうなメロトロンの上で叙情的なフルートが鳴れば、まさにゲルマンの森から聴こえてくる極上のシンフォニック・ロックの世界。レーベルメイトのBROSELMASCHINEからPeter BurschとMike Hellbachがシタール、タブラで参加し、オリエンタルな色彩も加味。浮遊感を感じさせる内省的なサウンドを作り上げています。
紙ジャケット仕様、直輸入盤(帯・解説付仕様)、03年デジタル・リマスター、定価2600+税
盤質: | 無傷or小傷 | 傷あり | 全面に多数傷
状態: | 良好 | 並(経年) | 並(一部不備) | 不良 |
帯有
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