2023年7月5日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
カケハシ・レコードです。
早いもので2023年も折り返し地点を過ぎましたね。
そんなわけで、23年上半期のカケレコ・ベストセラーTOP20をご紹介したいと思います!
耳の肥えたカケレコ・ユーザーの皆様が今年はどんな作品に注目しているのか、試聴しながらチェックしてみてください☆
1位に輝いたのは、6月ベストセラーで第1位を獲得しまだまだ勢いに乗るこの作品!
フランスの人気アヴァン・プログレ・トリオALCO FRISBASSの2人が結成したユニット、23年デビュー作。
HF&Nらカンタベリー譲りの芳醇さと伊PICCHIO DAL POZZOのピリッと緊張感の効いた芸術的センスを合わせたような、マジカルなサウンドの連続に興奮必至!
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2位に入ったのが、シンフォ・ファンにはお馴染みの存在となったKARFAGENの最新作。
GRYPHONやCAMELやTHE FLOWER KINGSを彷彿させた過去作品から、本作ではYES的な疾走感・飛翔感を身に纏い、これまで以上にメリハリの効いたシンフォニック・サウンドを完成させています。
Antony Kaluginというミュージシャンの底知れぬ才覚には脱帽するしかありません…。
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3位はイタリアの人気ジャズ・ロック・バンドが13年ぶりに発表したこの作品!
ポストロック的浮遊感やスペイシーな音響で煌びやかに装飾されたジャズ・ロックに、時折カンタベリー彷彿のしなやかで芳醇なタッチを織り込んだスタイルは、これぞ揺るぎなき彼らのサウンド。
相変わらず遊び心満載で先の読めない展開にワクワクしっぱなし!
フォーク・ロックとしては異質なほどズシッとタイトなドラムが圧巻で、それに触発され力強くかき鳴らすアコギ、スリリングに躍動するflu&vlnらによる切れ味鋭い演奏が見事です。
トラッド・フォーク系は少し退屈に感じる…という方には是非聴いてみて欲しい!
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アシッド・フォークの最高峰に君臨するCOMUS『First Utterance』から出発して、英国アシッド・フォークの深い森を探索します♪
ポーランドの異才がフロイドへのリスペクトたっぷりに作り上げた23年作。
フロイドっぽいダークかつ浮遊感あるメロディを歌いながら、叩きつけるようなリズム&ギターでヘヴィに攻める、独自のフロイド・リスペクトはかなり完成度高し!
伊ロック史上の名グループによる22年オーケストラ共演作。
メロトロンを中心とした神秘的ながら牧歌的温かさも宿したシンフォニック・サウンドに、オーケストラが加わり一層色彩豊かに輝きを放つような演奏は、一曲目から感動がこみ上げて来ること間違いなし!
前作のSF的世界観から、典雅で壮麗なクラシカル・シンフォへと堂々回帰した23年作!
元LATTE E MIELEのkey奏者が全編作曲を担当、LOST WORLD+LITTLE TRAGEDIES+SOLARISと言える聴き応えのサウンドには、プログレ・ファンなら歓喜の声を上げること請け合い!
イエスで言えば、P.バンクスがいた『時間と言葉』あたりのサウンドに『海洋地形学の物語』の神秘性を加えて幻想度を大幅アップさせたような感じ!?トランシルヴァニア地方出身の人気シンフォ・バンド、22年作♪
ヴィトウス期WR影響下の硬質なフュージョン+濃厚なラテン/アフロ・フレイヴァー!?
民族色を醸し出す本格的なパーカスも交え凄まじい手数で捲し立てるドラミングを土台に、ひたすらテクニカルにひた走るアンサンブルが圧巻の、独ジャズ・ロック発掘ライヴ!
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90年代ポーランドを代表する活躍を見せたシンフォ・バンドが、このたび27年ぶりの新作をリリース!
FISH期MARILLIONにエレクトロ要素と絢爛なストリングスkeyを加えたようなスタイルで、往年に劣らずドラマティックに盛り上がります。
必聴!
フランスの人気アヴァン・プログレ・トリオ、待望の22年作!冒頭からかなり素晴らしいです。
この1曲目、例えるなら1stをレコーディング中のPICCHIO DAL POZZOに、KING CRIMSONがメロトロン担いで飛び入り参加したかのよう!?
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エキセントリックさ控えめのケイト・ブッシュといった趣の妖艶な美声ヴォーカル。ヴィンテージ度100%の古式ゆかしきオルガンワーク。
その両方を務めるこの女性ミュージシャン、何という逸材!
このイタリア新鋭は要チェックですよ~☆
ハーバードの寮生で結成されたという4人組バンド。
CS&N彷彿のフォーク・ロックを聴かせてたと思ったら、聴き進めるにつれてルーズでアーシーなサザン・ロック・テイストが滲み出てきます。
CAPRICORN人脈も協力したフォーキー&グルーヴィーな好盤!
ポーランド、MILLENIUMの前身プロジェクトの復活作第2弾。
「ALAN PARSONS PROJECT彷彿のプログレ・ポップ+ポーランドらしい陰影と神秘性」と言える完成度の高いサウンドが流石です。
息子もヴォーカル参加して親子共演する1曲目、感動しちゃうなぁ。
LOONYPARKのリーダーにしてソロでも傑作を放つkey奏者/コンポーザーKrzysztof Lepiarczyk在籍のバンド。
シンフォ系かと思いきや、PT彷彿のインテリジェンスも漂わせたポスト・ロック/オルタナ調サウンドで、こいつがまたカッコいい!
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SAMURAI OF PROGのリーダーが、初となるソロ名義作をリリース!
「ピーターパン」を題材に、初期SOPに回帰したかのようなENGLANDやGENESISへの憧憬が滲むシンフォを素晴らしい完成度で聴かせます。
『GARDEN SHED』好きなら是非!
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ミシシッピ出身のゴスペル・シンガーによる70年作。
プロデュースはアラン・トゥーサン、バックにアトランタ・リズム・セクション、メリー・クレイトン、クライディ・キング…ってもう間違いなしの米スワンプ名盤!
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現代スペインが誇る新鋭プログレ・バンド、傑作『2038』から4年ぶりとなった22年作が到着!
往年のQUEENにHR/HM的ヘヴィネスを纏わせたような、最高に熱くて強烈にキャッチーなサウンドに終始虜にされます!
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ギタリスト樋浦一帆が在籍したバンドの73年1st。
サイケやブルース要素も織り交ぜて聴かせる叙情派ハード・ロックはびっくりの完成度。
泣きのプレイを得意とする技巧派ギター、存在感ある日本語ハイトーンvo、そこはかとなく和の情緒が滲むメロディが◎!
BJHやCAMELに通じる英国然とした淡い叙情性と、シンセが彩る時代らしいNW的なポップさを違和感なく調和させたスタイルが個性的。
82年に残された知られざる英プログレ!
いかがだったでしょうか。
気になる作品を見つけていただけましたら幸いです!
Patrick Dufour、Fabrice Chouette、Frederic Chaputの実力派マルチ・プレイヤー3人により結成、2015年と18年に完成度の高いアヴァン・プログレ作品をリリースしたことでプログレ・ファン注目の存在となっているフランス新鋭、待望の22年作3rd!あのMINIMUM VITALのJean-Luc Payssan(g)がゲスト・プレイヤーとして、Thierry Payssanがマスターなど制作にかかわっています。1曲目から早くもかなり素晴らしいです。このサウンド、例えるなら1stアルバムをレコーディング中のPICCHIO DAL POZZOに、KING CRIMSONがメロトロンを持って飛び入り参加したかのよう!メロトロンがジョワァ〜とファンタジックに高鳴る中を、フルート(おそらくメロトロン)とオルガンがリリカルに絡む美し過ぎるアンサンブル。それが突如鋭角的なリズムとともに緊張感を増し、クリムゾンが顔を出します。その間もミステリアスに浮遊するシンセのプレイがいかにもなフレンチ・プレグレっぽさを付与。不意に演奏が静まると、今度はエレピが淡く揺らめきオルガンがメロディアスに歌うPDPそのものな神秘的音空間へ。オルガンのプレイにはDave Stewartが感じられ、従来作と同じくNATIONAL HEALTHからの影響も見え隠れします。終盤はタイトでリズミカルな躍動感と共にスリリングに疾走するキーボード群が痛快。ここはまさしくMINIMUM VITALでしょう。10分余りの中で目まぐるしく変化する変幻自在すぎるサウンドにノックアウト必至です。よりカンタベリーな芳醇さを増していく以降の曲も勿論絶品。メロディアスな中にもアヴァンギャルドなタッチをまぶした演奏は、HATFIELD & THE NORTHファンなら堪らないでしょう。4曲目でのJean-Luc Payssanによる多彩なギター&マンドリンのプレイも聴き所です。さすが、見事に期待を上回ってくる傑作!
試聴は下記ページで可能です!
https://alcofrisbass.bandcamp.com/album/le-mystere-du-gue-pucelle
12年デビュー、メンバーほぼ全員がクイーンとドリーム・シアターをフェイバリットに挙げるスペインの要注目新鋭プログレ・バンド、前作から4年を経てついに届けられた4thアルバム!従来はQUEEN+DREAM THEATERを土台に豊富なアイデアが渦巻く奇想天外ロックを練り上げていた彼らですが、本作ではQUEEN+DTの土台と溢れんばかりのエネルギーはそのままに、よりストレートでドラマティックな表現で生き生きとロックするパフォーマンスが魅力的。80年代後半〜『Made In Heaven』あたりのQUEENにHR/HM的ヘヴィネスを纏わせたようなスタイルの、最高に熱くて強烈にキャッチーなサウンドに終始虜にされます。美しいピアノ独奏に続き、ソリッドに刻むギターリフと雄々しいヴォーカルが走り出す導入部から、もうDRY RIVERの世界に惹きこまれています。相変わらずとことん情熱的なスペイン語ヴォーカルと、まさにBrian MayのフレーズセンスとJohn Petrucciの畳みかける技巧を合わせたような超絶ギターが重量感たっぷりのリズムに乗って疾走する、パワフルかつ荘厳な1曲目で早くもノックアウト。そんな1曲目のテンションのままにスケール大きくパッション全開で展開してくサウンドは、従来のアルバムが気に入ったならまず間違いありません。QUEENファン、DTファン、そしてメロディアス・ハードが好きな方にも激オススメの一枚に仕上がってます。文句なしのカケレコメンド!!
Mylon LeFevreはゴスペル・グループで活動をスタートしたミシシッピ出身のシンガーで73年にアルヴィン・リーとのアルバムをリリースしたことでも知られています。本作はバンド名義での70年デビュー作。アラン・トゥーサンがプロデュース、バックはアトランタ・リズム・セクション、コーラスにクライディ・キング、メリー・クレイトンら鉄板の面々が参加しています。グルーヴィーな演奏にソウルフルなヴォーカル、間違いなしの米スワンプ名盤!
メロトロン溢れる76年の名作で知られ、2019年にリリースされた2ndアルバム以降、精力的に活動を続けるイタリアン・ロックの人気グループ、初となるオーケストラとの共演で制作された22年作!オーケストラは本作のため編成された、ヴァイオリン/ヴィオラ/チェロ/オーボエ/クラリネット/ファゴット/トロンボーンなど総勢10名以上からなるCELESTIAL SYMPHONY ORCHESTRAです。デビュー時から変わらぬメロトロンを中心とした神秘的ながら牧歌的温かさも感じさせるシンフォニック・サウンドに、オーケストラが加わって一層色彩豊かに輝きを放つような演奏は、CELESTEファンなら一曲目から感動がこみ上げて来ること間違いなし。オケとの共演作と言えばとかくスケールが大きくなりがちですが、本作ではあくまでバンド・アンサンブルの一員としてCELESTE本来のリリカルなサウンドをメロトロンやピアノと一緒に作り上げていっており、そのバンドとオケの一体感がとにかく素晴らしい。もちろん最大の聴きモノはメロトロンで、1stそのままの繊細で浮遊感溢れるあまりに優美なメロトロンのプレイは、やはり唯一無二の魅力を感じさせてくれます。零れ落ちるような情緒を宿すアコースティック・ギター、気品あるクラシカルな佇まいのピアノ、数曲で歌う男女のイタリア語ヴォーカルもいつもながら絶品です。CELESTEがオーケストラと一緒にやる、という事の魅力が最大限に引き出された傑作と言っていいでしょう!カケレコメンド!
DANDO SHAFTで活動した古楽器/弦楽器奏者Martin Jenkinsを中心とする英エレクトリック・トラッド・グループ、Tony Capstick With Hedgehog Pie名義での71年作を含めると通算3作目となる75年作。前74作ではアグレッシヴで疾走感あるトラッド・フォーク・ロックが特徴的でしたが、本作では前作不在だったドラマーが加入し一層躍動感あふれるフォーク・ロックが楽しめます。フォーク・ロックとしては異質なほどにズシリとタイトに叩くドラムスがアンサンブルを牽引、それに触発されるように力強くかき鳴らすアコギ、スリリングに躍動するフルート&ヴァイオリンによる切れ味鋭い演奏が展開されます。これぞ英フォークというジェントルな男性vo/麗しい女性voも良いし、要所でソロを取るややサイケがかった哀愁のエレキギターも絶品。「The Burning Of Auchendoon」をはじめ半数を占めるトラッド・ナンバーも、長閑さなどどこへやらのパワフルに突き進む痛快なアレンジで駆け抜けていて聴き応え抜群です。トラッド・フォーク系は少し退屈に感じるかも…という方には是非聴いてみて欲しい一枚!
22年作『LE MYSTERE DU GUE PUCELLE』がCDでは年間カケレコ・ベストセラー第1位に輝いた、フランスのアヴァン・プログレ・トリオALCO FRISBASS。そのメンバー3人のうちの2人、共にマルチ・プレイヤーのPatrick DufourとFrederic Chaputが結成したユニット、23年デビュー作!ずばり、ALCO FRISBASSが気に入られたなら必聴の内容です。プログラミングとは思えない「技巧」を感じる緻密なドラミングと、リッケンバッカーと思われるブンブンと唸るベースが刻む起伏に富んだリズムからしてワクワクしますが、そこにメロディアスながらちょっぴりひねたフレージングが楽しいエレキ・ギター、フワフワと浮遊するスティール・ギター、輝かしく響くメロトロン風シンセらが次々と飛び込んできます。1曲目にはALCO FRISBASSのもう一人Fabrice Chouetteがゲスト参加、デイヴ・スチュワートばりのオルガンを聴かせていて、ALCO FRISBASSそのものな一曲に仕上がっており堪りません。以降もNATIONAL HEALTHやHATFIELD & THE NORTHの芳醇さと伊PICCHIO DAL POZZOのピリッと緊張感の効いた芸術的センスを合わせたような、マジカルなサウンドの連続に興奮必至です。ALCO FRISBASSファンは勿論ですが、イタリアのFONDERIA、アメリカのINNER EAR BRIGADEあたりがお好きな方にも是非是非オススメ♪
歴史的にはトランシルヴァニアとしても知られる、ルーマニアのハンガリー人居住地域出身の人気シンフォ・グループ、4年ぶりのスタジオ・アルバムとなった22年作4th!ギターとキーボード類をメインに十数種類の楽器を演奏するリーダーBogati-Bokor Akosを中心に、2人の女性ヴォーカル、フルート奏者、パーカッション奏者らを含む7人編成での制作です。バンドが憧れの存在に挙げるYESを彷彿させるテクニカルかつアコースティックな牧歌性も織り込んだアンサンブルを、女声voとフルートが作り上げるドリーミーな幻想世界が包み込むシンフォニック・ロックは、ただただ至上の完成度。タイトに変拍子を叩き出すドラムと存在感あるリッケンバッカー・ベースによるYESを思わせるリズム・セクション、Peter Banksに近いセンスでジャジーかつスリリングなフレーズを決めるギター、躍動感いっぱいに疾走するシンセ、柔らかく広がるメロトロンのヴェール…。それだけでも素晴らしいところに、リリシズム溢れるフルート&淡い美声を重ね合わせるW女性voが加わると、もうそれは天上の音楽と言っても過言ではありません。特に2人の女性ヴォーカルはハンガリー語という事を忘れてしまうくらいにスッと耳に馴染む感じが本当に素晴らしい。YESで言えば、Peter Banksが在籍した『TIME AND A WORD』期のサウンドに、『TALES FROM TOPOGRAPHIC OCEANS』の神秘性を加えて幻想度を大幅アップさせたような印象でしょうか。いやはやさすが今作も圧巻の傑作です!
イタリア出身のギタリスト/キーボーディストLorenzo Bedini、のちにポンプ・ロック・バンドLA HOSTで活動するベーシストSean Peter Godfleyらにより結成された英グループの82年デビュー作。同時期のBJHやCAMELに通じる英国然とした淡い叙情性と、シンセが彩る時代らしいNW的なポップさを違和感なく調和させたスタイルが個性的に響きます。S.Hackett影響下の気品にプログレ・ハード的疾走感を足したようなギターと、七色に色彩を変化させて演奏を盛り上げるシンセのコンビネーションがナイスです。主張の強くない素朴な歌いぶりのヴォーカルの存在もあってかポンプ・ロック勢が持つある種の派手さはさほど感じられず、この地に足着いた実直で奥ゆかしい印象のサウンドは70sプログレ・ファンもきっと好感を抱くはず。BJHで言えば、78年作『XII』や81年作『Turn Of The Tide』あたりに近く感じられました。80年代英プログレの隠れた逸品。
90年代のポーランド・シンフォ・シーンを代表するバンドとして活躍し、03年に解散。13年に再結成して活動を続けていた彼らが、前作『SAFE』から27年を経てついにリリースした6thアルバム!現メンバーはキーボードのKrzysztof Palczewski、ベーシストPiotr Witkowski、ドラマーWojtek Szadkowskiという往年からのメンバーに、QUIDAMでも活躍したヴォーカリストBartek Kossowicz、ドラマー/パーカッショニストとしても活動する才人ギタリストMichal Kirmucの5人です。いきなりバンド史上最長21分の大曲からスタート。エレクトロニクスと虚ろなヴォーカルが漂う薄暗い展開から、ハケット調のファンタジックかつ気品あるギター&輝かしいシンセが溢れ出しGENESIS/MARILLION憧憬の音世界が広がる冒頭部で、COLLAGEの健在ぶりに嬉しくなります。ヴォーカルはガブリエル・リスペクトを示しつつも熱く歌い上げるFISHに近いスタイルで、FISH期MARILLION彷彿のシンフォにエレクトロ要素と絢爛なストリングス・キーボードを加えたようなサウンドでひたすらドラマティックに盛り上がっていきます。ラストの1曲ではゲスト参加のSteve Rotheryが入魂のソロをたっぷりと聴かせていてこれがまた大変に感動的。MILLENIUMを中心に活況を見せるポーランド・シンフォ・シーンに堂々帰還したベテランによる必聴傑作!
現代ポーランドを代表するシンフォ・グループMILLENIUMのリーダー/キーボーディストRyszard Kramarskiが96年に始動させた、MILLENIUMの前身にあたるプロジェクト。24年ぶりの復活作となった前作に続く23年作!今回もLOONYPARKのGrzegorz Fieber(dr)、MILLENIUMのKrzysztof Wyrwa(b)、リーダーバンドtRKprojectのMarcin Kruczek(g)ら盟友達をゲストに迎え、本人はヴォーカル/キーボード/ギターをプレイします。MILLENIUMやtRKprojectで聴けるPINK FLOYD憧憬のスタイルよりは、ALAN PARSONS PROJECTへの意識を感じるキャッチーな歌ものとしてのドラマ性を追求した音楽性が持ち味です。1曲目「Like Father Like Son」からして名曲で、どっしり刻まれるリズム、叙情が滲むオルガン&シンセ、エッジの立った音で舞うように奏でるギターらに支えられ、Ryszardが哀愁を帯びたハイトーンで伸びやかに歌い上げます。楽曲テーマのとおり、後半では彼の息子Michalのヴォーカルもフィーチャーされ、切ないピアノをバックに親子が心を通わせるように歌い合う展開があまりに感動的。以降もAPP的なプログレ・ポップをポーランド産らしい深い陰影と神秘性が包み込む、完成度の高いサウンドを楽しませてくれます。でも最終曲では抑えきれないFLOYD憧憬が顔を見せ、MILLENIUMファンならニヤリとしてしまうでしょう。歌を中心にしたプログレとして素晴らしい充実度を誇る一枚です。
ウクライナ出身の鬼才コンポーザー/key奏者Antony Kalugin率いる人気シンフォ・グループ、14作目となる23年作がリリース!別働プロジェクトSUNCHILDやソロとしても並行して活動するKaluginですが、そんな中で制作された本作も、分かってはいましたが現行シンフォニック・ロック・シーンの最高峰に位置する素晴らしい出来栄え。ここ最近はCAMELとTHE FLOWER KINGSを融合させたようなスケール大きくメロディアスな作風を追求していましたが、本作ではかつてなくテクニックを駆使したスリリングなバンド・アンサンブルが随所で聴けるのが印象的で、旧来のデリケートなCAMEL的ファンタジーとの間に絶妙な緩急を生み出しています。そのスタイルはさながら「CAMEL+YES」と言うべきもの。温かい響きのアコギが彩るAnthony Phillips彷彿の序曲を経て、どこかYES「Awaken」を思わせる浮遊感と緊張感が拮抗する2-3曲目の組曲へ。天上へ誘なうかのように高らかに鳴るシンセととめどなく美旋律を紡ぐギターのコンビに感動していると、急転直下、リズム隊が疾走し始め、ギターはヘヴィさを増し、シンセは荘厳に鳴り響く、KARFAGEN史上最もスリリングなサウンドに突入!この落差にはきっと旧来のKARFAGENファンも驚かされることでしょう。合間に挟まるA.Phillips的なアコギメインの小曲も、途方もないスケールを誇る大曲との間に良い流れを作り出しています。これまでの作品ではさほど感じられなかったYES的な疾走感・飛翔感が加わり、これまで以上にメリハリの効いたシンフォニック・サウンドを完成させた一枚となっています!
デジパック仕様、2枚組、Disc2には19年作「BIRDS OF PASSAGE」の新アレンジ・インストVer.を収録、ボーナス・トラック3曲
レーベル管理上、デジパックに小さい角つぶれがある場合がございます。ご了承ください。
ハーバード大学の学生寮で一緒になった4人で結成されたというバンドの73年デビュー作。レーベルはPOLYDORですが、プロデュースはCAPRICORNレーベルのお抱えドラマーだったBill Stewartで、レコーディングにはCOWBOYのメンバーが参加しています。1曲目はCS&N彷彿の爽やかなコーラス・ワークが彩るウエストコースト・テイストのフォーク・ロック。煌めくような美しい響きのアコギとリリカルなピアノをフィーチャーしたアンサンブルも素晴らしいです。ナッシュが書きそうな柔和なタッチのカントリー・ロックを聴かせる2〜3曲目もこれまたナイス。なるほどCS&N影響下なのかと思いながら聴き進めていくと、後半はタメの効いたリズムと旨味溢れるアーシーなエレキ・ギターがルーズにグルーヴする、サザン・ロッキンなスタイルを強めていきます。素朴だったヴォーカルもここではソウル色を含んだ熱っぽい歌唱を披露。さすがCAPRICORN人脈が噛んでるだけあってツボを押さえたサザン・テイストが堪りません。これはウエストコースト・ロック好きにもサザン・ロック好きにもオススメできる好作品!
女性ヴォーカル兼key奏者とギタリストを中心に09年に結成され12年にデビューしたイタリアのプログレ・バンド、2023年作。ヴィンテージ・トーンでワイルドに唸るオルガン、ジャジーで洒脱なタッチのピアノ、ハード・ロック気質の骨太なギターらが絡み合いながら疾走する、バンド名通りの70年代テイスト満点のアンサンブルからして最高なのですが、やはり一番の特徴はケイト・ブッシュばりに妖艶な女性ヴォーカルの存在。と言ってもケイトほどエキセントリックではなく、少しミステリアスな空気を漂わせながらもしっとりと歌い上げるタイプで、美声女性ヴォーカル好きの方にもアピールする声質です。ピアノがリードするジャジーなパートでのお洒落な歌いぶりも堪りません。それにしても、この素晴らしいヴォーカル・パフォーマンスとヴィンテージ度100%のオルガンのプレイを同一人物が務めているとは、何という逸材でしょう。女性ヴォーカル&70年代憧憬サウンドという2つの人気要素を余すことなく楽しませてくれる快作!
Neuoberschlesien、Oberschlesienなどのハード・ロック/インダストリアル系バンドでの活動歴を持つポーランドのギタリスト/マルチ・プレイヤー、23年作。タイトル通りピンク・フロイドへのリスペクトをテーマに制作された作品で、あのメランコリックで深遠な音響空間を再現しつつ、持ち味の重く硬質なギター・サウンドも遠慮なく鳴らされるヘヴィ・プログレは、フロイド・タイプのバンドがひしめくポーランドにあってもかなりの完成度。水の滴るSEをバックにうつむき加減のピアノ&ギルモア・ライクなタッチのギターが繊細かつドラマティックに交差する1曲目は、『ECHOES』の一部を切り取ったようで雰囲気抜群。かなりフロイドに忠実なスタイルで行くのかと思いきや、2曲目ではフロイドで歌われそうなダークかつ浮遊感あるヴォーカル・メロディをフィーチャーしながら、叩きつけるようなリズム&ギターでヘヴィに攻める、彼ならではのフロイド・リスペクトが聴けて「おお!」となります。随所で聴けるリック・ライト彷彿の物悲しいトーンで広がるシンセの海も素晴らしい出来栄えだし、硬質なギターリフの波状攻撃を浴びせたと思うとギルモア・リスペクトのエモーションたっぷりのブルージーで劇的なソロを聴かせたりと、フロイドをヘヴィ・プログレに仕立て上げたようなスタイルで全編を見事に聴かせきります。フロイド好きにはきっと響くだろう力作です。
プログレ・ファンにはお馴染みの存在となった、フィンランド/イタリア/アメリカ出身のミュージシャン3人を中心とする多国籍シンフォ・グループ、23年作!従来作にも参加していた元LATTE E MIELEのキーボーディストOliviero Lacagninaとのコラボレーションとして制作されており、全作曲を彼が担当。今回は17世紀フランスに実在した正体不明の囚人「鉄仮面」およびそれを題材にした文学作品に着想を得たコンセプト・アルバムとなります。前作は異色のSF的世界観を持つ作品でしたが、本作では従来のSOPスタイルを踏襲した典雅で壮麗なクラシカル・シンフォニック・ロックを展開。息をのむほどに表現力豊かなヴァイオリンがリードするクラシカルなパートはロシアのLOST WORLD BANDやLITTLE TRAGEDIESを、ギターとシンセ&オルガンが劇的に交差するスケール大きくも物悲しい哀愁を帯びたパートはハンガリーのSOLARISを彷彿。やがて両者が交わり一体となって迫りくるサウンドは、プログレ・ファンなら歓喜がこみ上げてくることでしょう。物語をシアトリカルな歌唱で表現するヴォーカル陣の好演も、聴き手を作品世界に引き込む役割を担います。プログレ名曲のカバー企画からスタートして、それらの名曲にも肩を並べるほどのクオリティを持つサウンドを作り上げた彼らを称賛せずにはいられません。上記したグループのファンのみならず、あらゆるプログレ・ファンに体験して欲しい音世界です!
74年にデビューし79年までに5作品を残したジャーマン・ジャズ・ロック/フュージョン・グループによる、77年のライヴ音源を収録。キャリア前半には元TOMORROW’S GIFTのWolfgang Lindnerがドラマーを務めていましたが、ちょうど本ライヴの直前に新ドラマ―へと交代しているようです。M.Vitousがいた初期WEATHER REPORTからの影響を感じさせる硬質なフュージョン・サウンドを土台に、濃厚なアフロ/ラテン・テイストを纏わせてひたすらテクニカルにひた走るアンサンブルに圧倒されます。リードを取る高らかな音色のサックス、舞うようなエレピをメインに隙あらばシンセもスピーディーに弾き飛ばすキーボードらが、ギターレスを感じさせないテンションで躍動。そんなリード楽器を支えるリズム・セクションも特筆で、特にドラムスは民族フレイヴァーを醸し出す本格的なパーカッションも交え凄まじい手数で捲し立てるテクニシャンでかなり強烈です。WR譲りの緊張感とアフロ/ラテン的な熱気やメロウネスが絶妙に融合した、テクニカル・フュージョン/ジャズ・ロックの好パフォーマンス!
人気多国籍シンフォ・グループSAMUEAI OF PROGを率いるイタリア人ベーシスト/コンポーザー、23年の初ソロ名義作!SOPの同僚Kimmo Porsti&Steve Unruhは勿論、SOP関連作品の常連であるスペイン出身ギタリストRafael Pacha、LATTE E MIELEのkey奏者Oliviero Lacagnina、現KAYAKのギタリストMarcel Singorほか数十人のゲストが参加します。タイトルから想像できる通り本作の題材は「ピーターパン」。近年のSOPでは管弦を取り入れて絢爛でスケール大きなサウンドを聴かせていますが、本作ではここぞで管弦の流麗な調べを配しつつも、初期SOPに回帰したかのようなENGLANDやGENESISなどへの憧憬が滲む英国的な香り豊かなシンフォニック・ロックを完成度高く聴かせます。フルートとヴァイオリンが気品高く掛け合うクラシカルなメインテーマを軸に、ファンタスティックなシンセやコロコロと愛らしいピアノ、高らかに響くホーン(シンセ?)などが次々と飛び出す胸躍るような導入から完璧。出色と言える3曲目なんかはGENESIS「In The Cage」やENGLAND「Three Piece Suite」あたりを彷彿させる英国度100%の堪らないナンバーに仕上がっています。もう一つの注目がラスト・ナンバーで、Marcoが在籍したイタリアのバンドELEKTROSHOCKが79年にリリースしたアルバム『ASYLUM』のタイトル・ナンバーを、当時のギタリストを迎えて蘇らせた一曲。Hackett&Banksを意識したkey&gのコンビネーションとヴァイオリンの絡みが素晴らしい、初期GENESISがヴァイオリニストをフィーチャーしたようなサウンドが楽しめます。GENESISファンそして『Garden Shed』を愛する方には是非一度聴いてみて欲しい力作です!
野口五郎、郷ひろみのバック・バンドやアニメ『六神合体ゴッドマーズ』の主題歌などで知られるギタリスト樋浦一帆が在籍したハード・ロック・バンド、73年1stアルバム。サイケやブルースの要素も織り交ぜつつ展開する泣きのハード・ロックはかなりの完成度でびっくり。ドシドシと重量感あるリズム、エモーショナルな泣きのプレイを得意とする技巧派のギター、そしてかなりの声量を誇る存在感ある日本語ハイトーン・ヴォーカルと、演奏は全編隙が無くハイレベル。そこはかとなく和の情緒が滲む哀愁のメロディも良いです。後半はライヴ録音になっており、熱い演奏と共に合間に聞けるMCも必聴。樋浦一帆のデビュー・バンドという位置づけに留まらないポテンシャルを持つ素晴らしいグループです。
結成は15年以上前に遡るポーランドのメロディック・ロック・バンド、23年1stアルバム。LOONYPARKを率いソロでも傑作を連発する天才キーボーディスト/コンポーザーKrzysztof Lepiarczykが在籍していますが、LOONYPARKや彼のソロとは打って変わって、シンフォニック要素は最小限に抑えられており、ポスト・ロック/オルタナ調のサウンドでスタイリッシュかつメロディアスに聴かせます。ザクザクと疾走感あるプレイから淡く揺らめくようなプレイまで硬軟自在なギター、そのギターのバックで無駄なく鳴らされる流石のセンスを感じるピアノやオルガン、そして雄々しくも哀愁ほとばしるポーランド語ヴォーカルらが、ドラマティックなロック・サウンドを構築。エレクトロニックな要素はほぼ登場しないのですが、どこかPORCUPINE TREEにも通じるインテリジェンスを漂わせている点も魅力的な好盤です。
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